9318 アジア開発キャピタル 2021-10-29 19:30:00
株式会社東京機械製作所による本対抗措置の発動としての新株予約権無償割当ての差止仮処分命令を求める申立てに対する却下決定に関するお知らせ [pdf]

                                              2021 年 10 月 29 日
各    位
                        会 社 名 アジア開発キャピタル株式会社
                        代表者名 代表取締役社長 アンセム ウォン
                                              ANSELM WONG
                        (コード:9318 東証第 2 部)
                        問合せ先     IR 推進執行役員 山内 沙織
                        (TEL. 03-5534-9614)


    株式会社東京機械製作所による本対抗措置の発動としての新株予約権無償割当ての
           差止仮処分命令を求める申立てに対する却下決定に関するお知らせ


 当社は、アジアインベストメントファンド株式会社(以下当社と併せて「当社ら」といい
ます。
  )とともに、株式会社東京機械製作所(以下「東京機械製作所」といいます。)が 2021
年 8 月 30 日開催の取締役会で決定した本対抗措置の発動としての本新株予約権の無償割当
てについて、当該新株予約権無償割当ての差止仮処分命令を求める申立て(以下「本申立て」
といいます。)を行いましたが、本日、東京地方裁判所は本申立てを却下する旨の決定(以
下「本決定」といいます。
           )を行いましたので、お知らせいたします。
 なお、本開示において用いる略語等は、特に断らない限り、2021 年 9 月 17 日付け当社東
証適時開示「株式会社東京機械製作所による本対抗措置の発動としての新株予約権無償割
当ての差止仮処分命令を求める申立てに関するお知らせ」における定義と同一の意味を有
するものとします。
                          記
1.本決定の概要
(1) 本決定をした裁判所
     東京地方裁判所
(2) 本決定をした年月日
     2021 年 10 月 29 日
(3) 本決定の内容
    裁判所は、本申立てを却下する決定をしました。裁判所は、その理由において、債務取締
役会が、MoM 要件(本開示 2 ページでの説明を参照)をもって本対抗措置の発動に関する
承認議案を可決したことを不合理ではないと判示しています。以下、該当部分を引用します。


「そして,本件新株予約権無償割当ては,令和 3 年 8 月 30 日,債務者取締役会において,
本件対応方針に基づく対抗措置の発動として,上記 20%を 32.72%と読み替えた上で,おお
むね上記に沿う内容(本 A 新株予約権が本新株予約権に相当し,本 B 新株予約権が第 2 新
株予約権に相当する。)で行う旨が決定されたものであるが,本件新株予約権無償割当ての
効力発生日までに,債務者取締役会が本件新株予約権無償割当ての必要がなくなったと判

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断したとき,例えば,①非適格者が,今後,株券等保有割合が 32.72%以上となる大規模買
付行為等を実施せず,かつ,②債権者らの株券等保有割合を,本件対抗措置が決議された令
和 3 年 8 月 30 日から 6 か月以内に 32.72%以下まで減少させる(当該期間においては,臨
時株主総会招集請求権を行使しない)ことを誓約する旨の書面を差し入れ,当該誓約書を遵
守する場合には,独立委員会による勧告に基づき,本件新株予約権無償割当ての実行(すな
わち,本件新株予約権無償割当ての効力を発生させること)を留保するものとされていた
(認定事実 4(2),別紙 4)
               。
 このような本件対応方針の仕組み及び対抗措置(その発動としての本件新株予約権無償
割当て)の内容に加え,本件対応方針の導入時(令和 3 年 8 月 6 日)時点における債権者ら
の株券等保有割合は,同日時点で公表されていたものは 32.72%であったが,実際には
34.71%であり,
         同月 10 日にはその旨が公表されていたこと(認定事実 1(3), 2(1), 3(2))
                                         同     同
に照らすと,債務者取締役会において,債権者らの持株比率を低下させようという意図が全
くなかったとはいえないものの,少なくとも債権者らの持株比率を本件対応方針の導入時
に債務者取締役会が把握することができた債権者らの株券等保有割合以下に低下させるこ
とを目的として,本件対応方針の導入及びそれに基づく本件対抗措置の内容を決定したも
のとまでは認められないというべきである。
(ウ)本件対応方針の導入及びこれに基づく本件対抗措置の発動(本件新株予約権無償割当
て)は,いずれも債務者の株主総会決議を経ずに,取締役会の決議のみで決定されたもので
あるが,債務者取締役会は,令和 3 年 10 月 22 日開催の本件株主意思確認総会において,債
務者の議決権を行使することができる株主のうち,債権者ら及びその関係者並びに債務者
の取締役及びその関係者以外の出席した当該株主(以下「本件非利害関係出席株主」という。
                                         )
の議決権の過半数をもって(以下,この議決要件を「MoM 要件」という。,本件対抗措置
                                   )
の発動に関する承認議案(本件議案)を可決する決議がされなかった場合には,本件新株予
約権無償割当てを中止することとしていた(認定事実 4((2))
                              。
 この点,債権者らは,令和 3 年 6 月 9 日から債務者株式の買付けを開始すると,同年 7 月
20 日に債務者株式の保有状況(同月 13 日時点の株券等保有割合 8.08%,
                                       保有目的「純投資」
                                               )
を公表するまでの間に債務者株式 231 万 3600 株(株券等保有割合 26.50%)を取得し,更に
同月 21 日にはその保有目的を「支配権の取得。ただし,現時点で,発行者に取締役候補者
を派遣することを予定していない。
               」に変更したと公表し,債務者株式の買付けの期間価格
及び買付予定数等は明らかにしないまま,債務者から前記(ア)のような要請・警告を受け
た後も,同年 9 月 10 日まで市場内取引による債務者株式の買付けを進め,同日,債務者株
式 348 万 5900 株(株券等保有割合 39.94%)
                             を保有するに至った(認定事実 2(1),同 3,同 6(2))
                                                           。
しかも,債権者らは,上記の間,債務者の経営支配権取得後の経営方針について,現経営陣
に経営を委ね,議決権行使を通じて債務者の企業価値•株式価値の向上を図るなどと表明す
るだけで,それ以上に経営方針や事業計画は具体的に明らかにせず,債務者株式の非公開化
(二段階買収)は考えていないことも表明していたのである(認定事実 3(3))。
 以上の諸点に照らすと,債権者らによる債務者株式の上記買付行為は,債務者の株主ら
(債権者らを除く。
        )にとって相応の強圧性があるというべきであり,このような株主らが

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債権者らによる債務者株式の上記買付行為について適切な判断を下すための十分な情報と
時間を確保することができないことにより,会社の利益ひいては株主の共同の利益が害さ
れることとなるか否かについて,当該株主ら自身において判断させることは,直ちに不合理
であるとはいえない。
 そうすると,債務者取締役会が,本件株主意思確認総会において,MoM 要件をもって本
件対抗措置の発動に関する承認議案を可決する決議をする(すなわち,議決権を行使するこ
とができる債務者の株主のうち本件非利害関係出席株主以外の者の議決権の行使を制限す
る)こととしたことも,上記のような趣旨に照らして直ちに不合理であるとはいえない。
(エ)そして,債務者は,令和 3 年 10 月 6 日,債務者の株主らに対し,本件株主意思確認
総会の招集通知を発し,同月 15 日の本件申立てに係る審尋期日において,債権者らとの間
で本件株主意思確認総会の開催に関する事項(委任状勧誘,議長の権限行使,株主総会にお
ける質疑応答等)について合意した上,同月 22 日,本件株主意思確認総会を開催した(認
定事実 6(6),同 7(2),同 8(1))。本件株主意思確認総会においては,債権者ら及びその関係者
も意見を述べる機会を与えられ,本件議案についての質疑応答等を通じた議論を経て,同年
9 月 14 日時点の株主(株主数 3844 名,議決権総数 8 万 6668 個)のうち,債務者により議
決権の行使を認められた本件非利害関係出席株主(出席者総数 1633 名,議決権総数 3 万
8017 個)の過半数の賛成(株主数 1572 名,議決権数 3 万 0022 個)により本件議案が可決
された(認定事実 8)。
 したがって,本件株主意思確認総会において,本件議案は,本件非利害関係出席株主の議
決権総数の約 79%の賛成を得て可決されたものであるから,債権者らによる債務者株式の
上記買付行為によって相応の強圧性を受ける債権者ら以外の株主らのほとんどにおいて,
当該株主らが債権者らによる債務者株式の上記買付行為について適切な判断を下すための
十分な情報と時間を確保することができないことにより,会社の利益ひいては株主の共同
の利益が害されることになると判断したものということができる。そして,本件株主意思確
認総会の手続に適正を欠く点があったとはいえず,前記(ウ)で説示したところを併せ考慮
すれば,上記判断に,その正当性を失わせるような重大な瑕疵は認められない。
ウ   以上の事情に照らすと,本件新株予約権無償割当てが,債務者の経営支配権に現に争い
が生じている場面において,債務者株式の敵対的買収によって経営支配権を争う債権者ら
の持株比率を低下させ,経営を担当している取締役等又はこれを支持する特定の株主の経
営支配権を維持することを主要な目的としてされたものと推認することはできない。
 そして,他に,本件新株予約権無償割当てが,会社の企業価値ひいては株主の共同の利益
を維持するためではなく,専ら経営を担当している取締役等又はこれを支持する特定の株
主の経営支配権を維持するためのものであると認めるに足りる疎明はない。
 したがって,前記ア(イ)の特段の事情の有無を検討するまでもなく,本件新株予約権無
償割当ては,著しく不公正な方法によるものということはできない。
                              」


 以上のとおり、裁判所は、債務者経営陣が本株主意思確認総会において、MoM 要件で承
認可決したことに関し、債権者らが「債務者株式の買付けの期間価格及び買付予定数等は明

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        」債務者から「要請・警告を受けた後も、同年 9 月 10 日まで市場内取引
らかにしないまま、
による債務者株式の買付けを進め、 債務者株式 348 万 5900 株
               同日、                (株券等保有割合 39.94%)
を保有するに至」ったこと、債権者らが、「上記の間、債務者の経営支配権取得後の経営方
針について、現経営陣に経営を委ね、議決権行使を通じて債務者の企業価値•株式価値の向
上を図るなどと表明するだけで、それ以上に経営方針や事業計画は具体的に明らかにせず、
債務者株式の非公開化(二段階買収)は考えていないことも表明していた」ことから、債権
者らによる債務者株式の買付行為は、
                「債務者の株主ら(債権者らを除く。)にとって相応の
強圧性があるというべきであ」り、
               「このような株主らが債権者らによる債務者株式の上記
買付行為について適切な判断を下すための十分な情報と時間を確保することができないこ
とにより、会社の利益ひいては株主の共同の利益が害されることとなるか否かについて、当
該株主ら自身において判断させることは,直ちに不合理であるとはいえない」という判断を
しています。


2.今後の方針及び見通し
 当社らは、東京地方裁判所が、「強圧性」という不明確な要件を理由に、当社らが我が国
の証券取引市場において適法に取得した株式に係る議決権の制限を認めて、一部株主のみ
の意思を確認しただけで本新株予約権の無償割当てを行って当社らの持株比率を低下させ
ることを許容するという判断をしたことは、本件に留まらず、我が国の証券取引市場の透明
性を害し、資本多数決原理の根本を揺るがし、我が国会社法制に対する信頼を害するともい
える違法があると考えておりますので、速やかに、東京高等裁判所に対し、本決定に対する
即時抗告を行う予定です。


                                             以 上




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