9318 アジア開発キャピタル 2021-08-31 19:00:00
株式会社東京機械製作所経営陣との面談結果並びに2021年8月30日付け同社適時開示記載の対抗措置及びその発動手続(一部株主意思確認)に対する当社の見解 [pdf]

                                                    2021 年 8 月 31 日
各    位


                             会 社 名 アジア開発キャピタル株式会社
                             代表者名 代表取締役社長 アンセム ウォン
                                                   ANSELM WONG
                             (コード:9318 東証第 2 部)
                             問合せ先     IR 推進執行役員 山内 沙織
                             (TEL. 03-5534-9614)




         株式会社東京機械製作所経営陣との面談結果並びに 2021 年 8 月 30 日付け
 同社適時開示記載の対抗措置及びその発動手続(一部株主意思確認)に対する当社の見解


 当社らは、株式会社東京機械製作所(以下「東京機械製作所」といいます。
                                  )の経営陣と
の間で、2021 年 8 月 27 日に面談を実施しましたので、面談結果を御説明いたします。
 また、東京機械製作所は、同月 30 日付け東証適時開示「当社株式の大規模買付行為等へ
の対応方針に基づく新株予約権の無償割当て及び株主意思確認を臨時株主総会において行
うことに関するお知らせ」
           (以下「TKS 適時開示(8/30)」といいます。)において、本対応
方針に基づき、同年 10 月下旬頃開催予定の同社臨時株主総会において当社らを排除した一
部株主による意思確認の手続を経た上で対抗措置の発動(差別条件付新株予約権の無償割
当て)を行うことを公表しています。そこで、以下では、TKS 適時開示(8/30)に記載の対
抗措置及びその発動手続(一部株主に限った意思確認)に対する当社の見解及び今後の方針
につきましても御説明いたします。
    なお、本適時開示において用いる略語等は、特に断らない限り、当社適時開示(8/6)
                                           、当
社適時開示(8/17)及び同月 26 日付け東証適時開示「株式会社東京機械製作所との面談実
施の決定及び 2021 年 8 月 24 日付け同社の適時開示に対する当社の見解」
                                        (以下「当社適時
開示(8/26)
       」における定義と同一の意味を有するものとします。


1.2021 年 8 月 27 日の面談結果について


    当社ら経営陣は、2021 年 8 月 27 日、東京機械製作所の経営陣との間で、面談(1 時間程
度)を実施いたしました。
    東京機械製作所の経営陣からは、事前に具体的事業計画等を開示していただけなかった
こともあり、同社の沿革や事業概要について概略を御説明いただきました。
    当社らは、東京機械製作所の株式を取得した経緯として、市場において同社の株式価値が


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低廉に評価されていると判断したため取得を行ったこと、保有目的は、短期での株式売却を
予定しておらず、同社の経営支配権を取得して中長期的に保有し、企業価値・株式価値向上
によるリターンを得ることにあることを説明しました。また、当社らは、現在のところ、東
京機械製作所への取締役派遣を予定していないこと、引き続き現経営陣に経営を委ねる方
針であること、現経営陣には、主たる事業である新聞用輪転機の製造、販売、メンテナンス
事業の継続を前提としながら、経営指標(KPI)の達成に努めていただき、一方で、当社ら
は、支配株主として、建設的な対話と適正な議決権行使に努め、協同して、東京機械製作所
の企業価値・株式価値の向上を実現していきたいということを説明しました。
 面談の終了時には、東京機械製作所の都並社長から、従前の書面のやり取りでは双方とも
過激な物言いとなってしまったかもしれないが、書面上でのやり取りよりも当社らの考え
を理解することができたとの御発言があり、また、次回の面談開催についての打診もいただ
きましたので、当社らといたしましては、今回の面談を通じて、東京機械製作所の経営陣の
皆様と、株主として建設的な対話の第一歩を踏み出すことができたものと理解しておりま
した。


2.TKS 適時開示(8/30)について


 しかしながら、東京機械製作所は、面談日の翌営業日である 2021 年 8 月 30 日午前 9 時、
TKS 適時開示(8/30)において、面談における対話の内容には言及せず、以下の公表を行い
ました。


(1) TKS 適時開示(8/30)における公表内容


・ 2021 年 8 月 30 日開催の取締役会において、本対応方針に基づき、取締役全員の一致に
 より、TKS 適時開示(8/30)の別紙 1 に記載のとおり、株主に対して差別条件付新株予約
 権(以下「本新株予約権」といいます。)を無償で割り当てること(以下「本対抗措置」
 といいます。)について決定した。
・ 同取締役会は、独立委員会の勧告(以下「本勧告」といいます。
                              )を踏まえ、当社らが
 東京機械製作所の株式を対象とする買集め行為がなされることを受け入れるか否かの判
 断につき株主の意思を確認するために、2021 年 10 月下旬に臨時株主総会(以下「本株主
 意思確認総会」といいます。)を開催し、本対抗措置の発動について議案として上程する
 ことを決議した。
・ 株主意思確認総会における決議事項は、本対抗措置の発動に関する承認議案であり、普
 通決議とするが、当社ら及び東京機械製作所の取締役並びにそれぞれに関係する者とし
 て独立委員会が認める者を、承認可決要件の計算から除外して取り扱う。
・ 東京機械製作所の取締役会は、本株主意思確認総会において、本対抗措置の発動に係る


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 議案が承認可決された場合には対抗措置発動に向けた手続を進めるが、承認可決されな
 かった場合には本新株予約権の無償割当てを中止する。
・ 同取締役会は、本新株予約権の無償割当ての効力が発生するまでに、①当社ら及びその
 関係者が、今後本対応方針に定義される大規模買付行為等(当該定義における「議決権割
 合」又は「株券等保有割合」の「20%」については「32.72%」に読み換えられるものとす
 る。)を実施せず、かつ、②当社らの株券等保有割合を 2021 年 8 月 30 日から 6 ヶ月以内
 に 32.72%以下まで減少させる(当該期間においては、臨時株主総会招集請求権を行使し
 ない)ことを誓約する旨の書面を差し入れ、当該誓約書を遵守する限りにおいては、独立
 委員会による勧告に基づき、新株予約権無償割当ての実行(無償割当ての効力を発生させ
 ること)を留保する。
・    2021 年 8 月 30 日、独立委員会は、独立委員 3 名全員の一致により、取締役会に対し、
 ①当社らが、本件対応方針に定める手続を遵守していないと認められること、②取締役会
 において、当社らに対する本対抗措置の発動を決議した上で、本株主意思確認総会を開催
 し、本株主意思確認総会において本対抗措置の発動の是非について株主意思を事後的に
 確認する(仮に本株主意思確認総会において本件対抗措置の発動が承認されない場合に
 は、本対抗措置の発動を中止する)ことは適当であること、③本株主意思確認総会におけ
 る決議要件を当社ら及び東京機械製作所の取締役並びにそれぞれに関係する者として独
 立委員会が認める者を除く当社株主の議決権の過半数とすることは相当であることを内
 容とする勧告(本勧告)を行った。


(2) 本株主意思確認総会が、株主意思を確認するための手続とは認められないこと


    東京機械製作所は、本対抗措置の発動について、本株主意思確認総会における承認決議に
よるとする一方で、
        「本議案との関係で特別の利害関係を有するアジアインベストメントフ
ァンドら及びそれぞれに関係するものとして独立委員会が認める者」 承認可決要件の計
                               を、
算から除外して取り扱うこととしており、その理由について、
                           「独立委員会の本勧告を踏ま
えて、上記議案については、特定株主グループと一般株主の皆様との重大かつ構造的な利益
相反の状況及び会社法 831 条 1 項 3 号の趣旨を勘案して、本議案との関係で特別の利害関
係を有するアジアインベストメントファンドら及びそれぞれに関係する者として独立委員
会が認める者を、その承認可決要件の計算から除外して取り扱うことが合理的であると判
断しております。」と述べています。
    しかしながら、会社法は、株主総会において特定の株主のみ議決権を行使できない場合を
法定し、例外的な場面として定めていますが(会社法 140 条 3 項、 条 4 項、 条 2 項)
                                   160    175   、
本件はいずれにも該当せず、当社らが株主総会において議決権行使を制限される法令上の
根拠はありません。したがって、本株主意思確認総会の法的性質が、株主総会において普通
決議による勧告的決議を行うというものであるとするならば、東京機械製作所が、当社らの


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議決権を制限・排除することは会社法 308 条 1 項が定める一株一議決権の原則(株主平等
原則)に反し違法です。
 また、当社らが、当社らの知り得る東京機械製作所の経営方針(TKS 適時開示(8/6)に
記載された「当社の企業価値及び株主共同の利益向上に向けた取組み」Ⅱ1(1)(4~6 頁)
等)の変更は求めていないこと、東京機械製作所の株式について上場維持を考えており、非
公開化取引(二段階買収)は一切考えていないことは、TKS 適時開示(8/17)及び東京機械
製作所の経営陣に対して面談時に説明しているとおりであって、
                            「一般株主の皆様との重大
かつ構造的な利益相反の状況」はなく、当社らの議決権行使によって「著しく不当な決議」
(会社法 831 条 1 項 3 号)となり得る余地はありません。
 そもそも、特別利害関係を有する株主の議決権行使の一律排除の定めを削除した会社法
改正(商法等の一部を改正する法律(昭和 56 年法律第 74 号)
                                )の立案担当官は、
                                        「株式会社
は利益集団であり、資本多数決の原則が支配している。そして、特別の利害関係を有する者
が常に不当な結果を生ずるような議決権行使をすると決めつけることも妥当ではない。資
本多数決原理を根本的にゆるがすおそれがある(特別利害関係人が大株主の場合、それ以外
の一握りの株主が決定権を持つ事態も起こりうるが、これは資本多数決原理からいって必
ずしも適当ではない)」と解説しています(稲葉威雄『改正会社法』171 頁(金融財政事情
          。
研究会、昭 57)。
        )
 当社らは、当社回答書(3)において、東京機械製作所の経営陣が対抗措置の発動を求める
のであれば、速やかに、株主総会を開催して、株主意思を確認するように求めておりました。
しかしながら、本株主意思確認総会は、東京機械製作所の取締役会限りの決議及び独立委員
会の本勧告(その法的な性質は、東京高等裁判所によれば、
                          「取締役会の判断を代替又は補
完する存在であって、その判断を株主意思の確認に置き換えることはできない」
                                   (東京高決
令和 3 年 4 月 24 日)というものにすぎません。)に基づいて、当社らの議決権を排除・制限
する一方で、東京機械製作所の現任取締役に OB を派遣している一部大株主などの議決権行
使は認めるというものですから、取締役会が認める一握りの株主が決定権を持つというこ
とであり、最早、株主総会において株主意思を確認するものとは認められません。TKS 適時
開示(8/30)は、そのような決議も「株主総会」の「普通決議」であると強弁していますが、
それは、会社法 308 条 1 項が定める一株一議決権の原則(株主平等原則)に違反し、同法
309 条 1 項が定める「普通決議」の決議要件に反する違法なものであることは、上記のとお
りです。
 したがって、当社らは、東京機械製作所が本株主意思確認総会の決議に基づいて、本対抗
措置の発動(差別条件付新株予約権の無償割当て)を行うというのであれば、近日中に、そ
の差止めを求める申立てを東京地方裁判所に行う予定です。
                                            以   上




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