9308 乾汽船 2020-05-21 17:10:00
当社定時株主総会に係る株主提案に対する当社取締役会意見に関するお知らせ [pdf]

                                                2020 年5月 21 日
各 位
                             会 社 名 乾汽船株式会社
                             代表者名 代表取締役社長      乾 康之
                                    (コード番号:9308 東証第一部)
                             問合せ先 コーポレートマネジメント部長
                                              加藤 貴子
                                         (TEL. 03-5548-8613)

   当社定時株主総会に係る株主提案に対する当社取締役会意見に関するお知らせ

 2020年5月15日付「株主提案に関する書面受領等のお知らせ」において開示いたしましたとおり、当社
は、当社の株主であるアルファレオホールディングス合同会社(以下「提案株主」といいます。     )より、
提案株主が2020年6月開催予定の当社第100回定時株主総会において株主提案(以下「本株主提案」とい
います。  )を行う旨の2020年4月15日付書面(以下「本株主提案書面」といいます。
                                          )を受領しておりまし
たが、  本日開催の当社取締役会において、   本株主提案に反対することを決議いたしましたので、下記のと
おりお知らせいたします。

                         記
1. 本株主提案の内容及び理由
(1) 議題
  ①   定款の一部変更の件(クローバック条項の採用について)
  ②   監査役3名の解任
  ③   政策保有株式の売却に係る定款変更の件
  ④   第三者割当増資に係る定款変更の件

(2) 議案の要領及び提案理由の概要
     別紙に記載のとおりです。なお、別紙は、提案株主から提出された本株主提案書面の内容を原文
    のまま記載しております。

2. 本株主提案に対する当社取締役会の意見
(1) 定款の一部変更の件(クローバック条項の採用について)
    ① 株主提案の概要
       当社定款の一部を変更し、 当社の役員報酬制度として、いわゆるクローバック条項の採用を求
      めるものです。
    ② 当社取締役会の意見
       当社取締役会は、本議案に反対いたします。
    ③ 反対の理由
       提案株主は、「業績に見合った報酬額とするために、定款へ明確に規定する必要がある」とし
      て、報酬額算定の基礎となる業績指標に虚偽や誤りがある場合には、 取締役の善管注意義務違反
      の有無にかかわらず、取締役の報酬を返還させる旨の定款規定を設けることを提案しております。
       しかしながら、支給した報酬の返還等を含む個別の取締役の報酬制度に関する事項は、 取締役
      会が当社固有の事情を踏まえて適切に判断すべき事項であり、 取締役に対する報酬の返還等を求
      めるべきか否か、また、返還等を求める額等については、取締役会、監査役会等の適切な機関に
      おいて、個別具体的な状況を踏まえた判断が必要であるため、 定款で一律の定めを設けることは
      不適切であると考えております。
       また、当社取締役会は、当社の役員報酬制度は既に適切な業績評価を踏まえて支給されており、
      提案株主が主張するような、 業績に見合った報酬額とするために、
                   「                 定款へ明確に規定する必要」
      はないと考えております。具体的には、当社取締役会は、個別の取締役の報酬決定に当たり業績
      を適切に反映させるためには、 ①業務執行を担う取締役が適切な経営指標の選択や執行状況の評
    価の方法の設定を行って算定方式等を決定した上で、②当該指標・方法に従い、個別具体的な事
    情を斟酌して個別の取締役の報酬を決定する必要があると考えているところ、       当社では、 ①算定
    方式等について、当社が2018年度に任意で設置した「指名・報酬委員会」    (2017年度まで当社が
    任意で設置していた報酬委員会に取締役の指名等に係る諮問機能を追加拡充して設置したもの
    です。代表取締役1名、独立社外取締役2名(内1名が指名・報酬委員会委員長)で構成されて
    おります。)の審議・提案を経て、当社取締役会が、固定金銭報酬及び業績連動金銭報酬のいず
    れについても、取締役の役位、 職責及び会社業績等を勘案した客観的な算定方式等を定めており、
    その上で、②個別の取締役の報酬についても、  2008年2月28日開催の第87回定時株主総会におい
    てご決議いただいた取締役の報酬総額(年額2億円)の範囲内で、当社が2018年度に任意で設置
    した「指名・報酬委員会」の審議・提案を経て取締役会で決定することとしております。このよ
    うに、現状の当社の報酬制度は、その審議・決定の過程に客観性が担保され、取締役の恣意性が
    最大限排除されたものであり、  既に適切な業績評価を踏まえて支給されていることから、      提案株
    主が述べるような「業績に見合った報酬額とするために、定款へ明確に規定する必要」はないと
    考えております。
     したがいまして、当社取締役会は、本議案に反対いたします。


(2) 監査役3名の解任
    ① 株主提案の概要
       当社現任監査役である加島昭久、田中正人、山田治彦の3名の解任を求めるものです。
    ② 当社取締役会の意見
       当社取締役会は、本議案に反対いたします。
    ③ 反対の理由
       当社は、提案株主が株主総会への付議を請求した、2019年6月21日開催の当社定時株主総会に
      おいて導入が決議された当社株式の大規模買付行為等への対応策(以下「買収防衛策」といいま
      す。)の廃止議案を、2019年11月4日開催の当社臨時株主総会(以下「2019年臨時総会」といいま
      す。)の議案として取り上げないことといたしましたが、提案株主は、これを決定した2019年10
      月7日付の当社取締役会の書面決議(以下「本書面決議」といいます。   )に先立ち、当社監査役が
      意見を述べるための検討時間が過少であったことや、    当社監査役が無条件に異議を述べなかった
      ことから、当社監査役は、当社代表取締役の行為の追認機関として存在しているだけであると主
      張しております。
       しかしながら、(a)当社現任監査役3名は、買収防衛策の廃止議案を2019年臨時総会の議案と
      して取り上げないことの適法性及び妥当性につき、    十分な検討を行っているため、  上記の提案株
      主の主張には理由がなく、また、(b)当社現任監査役3名は、当社の監査役に相応しい資質を有
      しており、かつ、当該資質を踏まえた適切な活動を行っていることから、当社監査役として適任
      であると考えます。以下、上記(a)及び(b)のそれぞれについて、ご説明いたします。

   (a) 提案株主の提案理由における主張には理由がないこと
       当社では、原則として、月2回の取締役会に加え、当社取締役及び当社監査役が出席する月
     2回の経営会議が開催されており、当社現任監査役3名は、2019年9月12日及び同月26日に開
     催された経営会議等により、本書面決議についての関連資料及び情報の共有を受け、買収防衛
     策の廃止議案を2019年臨時総会の議案として取り上げないことの適法性及び妥当性につき検
     討しておりました。
       かかる検討において、当社現任監査役3名は、当社取締役及び当社取締役会より独立した立
     場から、法令、当社定款、類似事案における裁判例や法律専門家等の意見等を確認・検証した
     結果、異議を述べないこととしたのであり、当社代表取締役の行為を漫然と追認したものでは
     ありません。
       このように、提案株主の提案理由における主張には理由はないと考えます。

   (b) 当社監査役は選任方針等に沿い適任であること
       当社は、財務・会計に関する知見等、監査に必要となる専門性と幅広い分野についての豊富
     な知識を有する人材を当社の監査役候補者として指名することとしております。 監査役候補者
     の指名に当たっては、同方針に従い、独立性の高い指名・報酬委員会における諮問を経て取締
     役会の決議により決定することとしております。
       そして、当社現任監査役3名は、以下のとおり、上記の選任方針等に照らし、当社の監査役
     に相応しい資質を有しており、かつ、当該資質を踏まえた適切な活動を行っていることから、
     当社監査役として適任であると考えます。


       <各監査役の資質・経験・活動状況等>

                総務、人事などコーポレート部門での業務に従事し当社執行役員を務め、ま
                た、当社子会社の役員を歴任した経験から、当社の監査に必要となる専門性
      加島昭久      と当社の管理運営業務をはじめとする幅広い分野に関する豊富な知見を有し
      (常勤監査役)
                ており、かかる専門性と知見を活かして、取締役会の意思決定の妥当性・適
                正性を確保するための発言を行っております。
                証券会社における経験を含む企業経営についての豊富な経験と知識を有して
      田中正人      おり、社外監査役として、かかる経験と知識を活かして、企業経営の専門家
      (社外監査役)   としての専門的見地から、取締役会の意思決定の妥当性・適正性を確保する
                ための発言を行っております。
                公認会計士としての専門的な見識を有しており、社外監査役として、かかる
      山田治彦      見識を活かして、公認会計士としての専門的見地から、取締役会の意思決定
      (社外監査役)
                の妥当性・適正性を確保するための発言を行っております。

     また、指名・報酬委員会は、監査役の選任方針のほか、各監査役の資質・経験、それらのバ
    ランス等の観点から検討・審議のうえ、2020年5月21日付で、当社取締役会に対して、当社現
    任監査役3名を解任することは妥当でない旨を答申しております。
     なお、本議案が承認可決された場合、当社には監査役が存在しないこととなるため、当社の
    監査体制に重大な支障を来すことが想定されます。この点に関して、提案株主は、本議案によ
    り当社現任監査役の解任を提案するものの、これに対する代替案(監査役選任議案)を提案し
    ておりませんので、その点でも提案株主の提案は、当社の監査体制を考慮しない、合理性を欠
    くものであると考えます。
     したがいまして、当社取締役会は、本議案に反対いたします。


(3) 政策保有株式の売却に係る定款変更の件
    ① 株主提案の概要
       当社定款の一部を変更し、当社第100期定時株主総会の終結時点で当社が貸借対照表に計上し
      ている政策保有株式(当社有価証券報告書記載の特定投資株式)の全てを第101期中に速やかに
      売却することを求めるものです。
    ② 当社取締役会の意見
       当社取締役会は、本議案に反対いたします。
    ③ 反対の理由
       当社は、当社グループの企業価値の維持・向上のため、政策的に、取引先の一部についてその
      株式を保有しておりますが、かかる政策保有株式については、当社グループと取引先との取引内
      容、取引の規模、取引の継続期間等を考慮して、その保有の必要性や保有に伴う便益が資本コス
      トに総合的に見合っていること、     及び価格変動等のリスクを考慮してもなおメリットがあること
      について、定期的に検証し保有の適否を判断しております。
       実際に、当社は、上記の検討過程を経て、政策保有株式の縮減を進めており、以下の表に記載
      のとおり、2015年3月末時点で政策保有株式として保有していた72銘柄を、2019年3月末時点で
      は35銘柄まで縮減させており、その貸借対照表上の帳簿価額が総資産に占める割合も、2015年3
      月末時点の10.09%から2019年3月末時点の5.55%へと減少しております。
     <保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式(上場/非上場)>


            項目           15/3期    16/3期    17/3期    18/3期    19/3期     増減
                                                                      (15/3期比)


      銘柄数        (社数)      72       38       38       35       35      ▲37社


      貸借対照表計上額   (百万円)    7,650    2,883    3,256    3,139    2,909   ▲61.97%


      -対総資産      (%)      10.09    5.67     6.75     6.48     5.55    ▲4.54pt



    この点に関して、事業会社である当社は、数多のステークホルダーとの相互の関係によって経
   営環境を整えております。その一環として、取引先、同業他社及び金融機関等の株式を保有し、
   友好的な関係を維持・強化することにより、取引先及び同業他社との連携・協業に役立て、また、
   金融機関等からの経営上の有用な助言を得ることにつながる等、現在の当社の政策保有株式は、
   当社の中長期的な企業価値の維持・向上に貢献しております。このような観点から、現在の当社
   の政策保有株式は、これらのステークスホルダーとの間での強固な信頼関係の下支えとなり、ひ
   いては、株主共同の利益を守り企業価値を維持・向上に資するものといえ、積極的にこの関係を
   壊すことは事業上のデメリットにしかなりません。
    また、個別の政策保有株式の保有の適否は、上記のとおり、個別具体的な事情を踏まえて、当
   社取締役会が、企業価値の維持・向上に資するか否か等を判断して決するべきものであり、定款
   で一律に規定することは妥当ではありません。以上のとおり、政策保有株式の全てを一律的に売
   却することを定める定款の規定は、上記の当社における政策保有株式の保有方針及び当該方針に
   基づく検証結果にそぐわないものであり、また、株主共同の利益の確保及び企業価値の向上に反
   するものであると考えます。
    したがいまして、当社取締役会は、本議案に反対いたします。


(4) 第三者割当増資に係る定款変更の件
    ① 株主提案の概要
       当社定款の一部を変更し、当社取締役会が、第三者割当増資を行おうとする場合は、割り当て
      られる募集株式に係る議決権の比率(希釈化率)が25%以上となるか否か、支配株主が異動する
      こととなるか否かにかかわらず、  事前に株主総会の普通決議を経なければならないとするもので
      す。
    ② 当社取締役会の意見
       当社取締役会は、本議案に反対いたします。
    ③ 反対の理由
       提案株主は、当社社外取締役及び当社社外監査役が、当社代表取締役の意見の追認機関になっ
      ており、「経営陣から一定程度独立した者」としての責務を果たしていないことから、東京証券
      取引所の有価証券上場規程432条に定める第三者割当に係る遵守事項(以下「本遵守事項」とい
      います。)の趣旨を踏まえ、第三者割当増資の場面においても株主総会の普通決議を必要とすべ
      きと主張しております。
       しかしながら、当社社外取締役及び当社社外監査役は、いずれも東京証券取引所の有価証券上
      場規程の定めに基づく独立役員に該当する、   当社及び当社代表取締役から高い独立性を有する者
      であり、また、取締役会・監査役会においてそれぞれの専門的見地から当社及び当社代表取締役
      に対して適切な助言を行う等、それぞれの職責を適切に果たしており、当社代表取締役の意見の
      追認機関になっている事実はありません。
       そもそも、本遵守事項は、第三者割当による募集株式等の発行により、割り当てられる募集株
      式等に係る議決権が当該割当て前の発行済株式に係る議決権の総数に占める比率が25%以上とな
      る場合、又は、支配株主が異動する見込みがある場合に限り、経営者から一定程度独立した者に
      よる当該割当ての必要性及び相当性に関する意見の入手等の手続を求めるものであって   (有価証
      券上場規程432条、同施行規則435条の2)
                           、全ての第三者割当増資について上記手続を求めるも
のではありませんので、  全ての第三者割当増資について株主総会の普通決議を必要とすべきとす
る根拠にはならないと考えます
 このように、 全ての第三者割当増資について株主総会の普通決議を必要とすべきとする提案株
主の主張には、理由がないと考えます。
 また、会社法上、公開会社においては、機動的な資金調達を行うことができるよう、募集株式
の発行は原則として取締役会決議により行うことができるものとされております(会社法201条
1項、199条2項)
         。
 当社においては、  かかる会社法上の原則を修正することにより、全ての第三者割当増資の場面
において株主総会の普通決議を必要とすべき特段の理由はなく、  かえって、時機を捉えた機動的
な資金調達を阻害するのみならず、  株主総会開催のための無用なコストも生じることから、株主
の利益を害する結果となりかねません。  そのような資金調達の是非については、高度な経営判断
として、会社経営に関する専門的な知見を有する取締役会の適時かつ適切な判断に委ねることが
合理的であると考えます。
 以上のとおり、 本提案に係る定款変更は、その必要性及び合理性に欠けるものであり、むしろ、
提案株主自らの持株比率を維持するための提案ではないかとの疑念すら抱かざるを得ません。
 したがいまして、当社取締役会は、本議案に反対いたします。
                                          以 上
                                                         別紙

株主提案(1)
定款の一部変更の件(クローバック条項の採用について)
1. 議案の要領
 現行定款(平成 30 年 6 月 22 日最終改正)の第 30 条につき第 2 項として以下の条項を追加し、第 31
条につき但書を追加する。


 第 30 条(報酬等)
 ②固定報酬、業績連動報酬及び譲渡制限付株式報酬を含む全ての報酬において、投資の不成功による
減損損失が発生した場合、不正会計等により過年度決算の修正が起きた場合または当会社全体、部門、
部署ごとの目標達成度合の評価が誤った情報を反映した場合など、報酬額算定の基礎となる業績指標の
虚偽や誤りがある場合には、正しい指標等に基づいて報酬額を再算定し、差額の報酬を当会社に返還さ
せ、または報酬の額を減額しもしくは不支給とするものとし、その内容の詳細については内規にて規定
し、各取締役と当会社間の委任契約書へ記載するものとする。

 第 31 条(取締役との責任限定契約)
 ただし、第 30 条第 2 項による報酬の返還または報酬の額の減額(もしくは不支給)はこの限りでな
い。


2. 提案理由の概要
  この規定は、経営陣が事業運営に関して意思決定を行う際に、そのリスクを包括的に把握する為に必
要である。日本企業の場合、従来、上記 30 条 2 項案に記載したような事象が判明した場合に将来の報酬
を自主的に放棄することはあっても、過去に支払った報酬を返還する事例は少なく、その判断は取締役
に委ねられている。高い倫理観がある経営者であればよいが、そうでない経営者は返還を行わない。株
主への配当を大幅に減額する一方で、取締役報酬は大幅に増加されるなど、乾汽船の報酬委員会は運営
が不透明であり、機能しているとは言い難い。また、現常勤取締役就任後、2016 年 3 月期に約 140 億円
の巨額の減損損失の計上、そして 2019 年 3 月期には僅か 1 年で繰延税金資産を取り崩して経常赤字に転
落した。にもかかわらず、常勤取締役報酬額は前年比 36 百万円も増加している。業績に見合った報酬額
とするために、定款へ明確に規定する必要がある。



株主提案(2)
監査役 3 名の解任
1. 議案の要領
  監査役加島昭久氏、監査役田中正人氏及び監査役山田治彦氏の 3 名を解任する。

2. 提案理由の概要
  当社は、昨年 9 月 6 日付で「対象会社株式の大規模買付行為等への対応策(買収防衛策)廃止の件」
(5 号議案)を含む 5 つの事項を目的事項とする株主総会招集請求を行った。これに対し乾康之社長は
昨年 10 月 6 日(日曜日)の取締役会(書面決議)の提案書にて、5 号議案は議案の適法性に疑義がある
と解し臨時株主総会の議案として取り扱わないことを提案し、回答期限を 10 月 7 日(月曜日)の正午と
した。検討時間が数時間しかないのに、監査役 3 名全員は異議がないとの書面を取締役会に提出した。
しかし、買収防衛策は株主総会決議で廃止できることが昨年 6 月定時総会招集通知及び有価証券報告書
に明記されている。監査役 3 名は当然そのことを知っていたにもかかわらず、無条件に異議を述べなか
った。監査役 3 名は責務を果たさず、単に、社長の行為の追認機関として存在しているだけであり、ガ
バナンス改善及び株主共同の利益を守るため解任する必要がある。



株主提案(3)
政策保有株式の売却に係る定款変更の件
1. 議案の要領
 現行定款(平成 30 年 6 月 22 日最終改正)に以下の章及び条文を新設する。
 第 9 章 政策保有株式の売却
 第 52 条(政策保有株式の売却)
  当会社の第 100 期に係る定時株主総会の終結時点で当会社が貸借対照表に計上している政策保有株式
(有価証券報告書記載の特定投資株式)の全てを、第 101 期中に速やかに売却するものとする。


2. 提案理由の概要
  乾汽船の第 99 期有価証券報告書によれば、貸借対照表計上額で約 22 億円の政策保有株式(18 社)を
保有している。保有目的は「取引・協力関係の維持・強化」とされているが、乾汽船は、保有が企業価
値を向上することについての定量的な説明をしていない。更に、コロナウイルスの影響で保有先の業績
が不透明な状況下では減損の可能性が高い。実際に、2020 年 3 月期通期業績予想は有価証券の減損によ
り下方修正している。その損失は株主が負担することになる。また、昨年 6 月開催の定時株主総会にお
いては、政策保有株式 18 社の内、15 社が乾汽船に代理人氏名が空欄の白紙委任状を提出しており、そ
の議決権割合は約 20%になる。政策保有株式の実態は、経営陣が自らの意向に応じて議決権を行使する
為の「疑似自己株」であり、経営者の利益を守る為のものになっている。株主共同の利益を守り企業価
値を向上する為には政策保有株式は売却されるべきである。



株主提案(4)
第三者割当増資に係る定款変更の件
1. 議案の要領
  現行定款(平成 30 年 6 月 22 日最終改正)に以下の章及び条文を新設する。
  第 10 章 第三者割当増資における株主意思の反映
  第 53 条(決議の方法)
  取締役会は、第三者割当増資を行おうとする場合は、割り当てられる募集株式にかかる議決権の比率
(希釈化率)が 25%以上となるか否か、または支配株主が異動することとなるか否かに関わらず、事前
に株主総会の普通決議を経なければならない。
  尚、上記議題案(3)の「政策保有株式の売却に係る定款変更の件」が可決されなかった場合、第 9
章及び第 52 条は欠番とした上で、本議案の提案を維持する。

2. 提案理由の概要
  第三者割当増資の場面においても株主総会の普通決議を必要とすべきである。東京証券取引所の有価
証券上場規程「企業行動規範」において、公開会社が第三者割当増資により割り当てられる募集株式に
かかる議決権の比率が、25%以上となるとき、または支配株主が異動することとなるときは、経営陣か
ら一定程度独立した者による第三者割当の必要性及び相当性に関する意見の入手をすれば、取締役会の
決議により第三者割当増資が可能となる。しかしながら、現在の乾汽船の社外取締役及び社外監査役
は、乾康之社長の意見の追認機関になってしまっており、 「経営陣から一定程度独立した者」としての責
務を果たしていない。よって、株主総会決議がなければ第三者割当増資をすることができないとするこ
とが上記の東証の規程の趣旨に沿うものである。
                                                     〆