9308 乾汽船 2020-05-15 19:00:00
株主提案に関する書面受領等のお知らせ [pdf]

                                               2020 年5月 15 日
各    位
                               会 社 名 乾汽船株式会社
                                    (コード番号:9308 東証第一部)
                               代表者名 代表取締役社長         乾    康之
                               問 合 せ 先 コーポレートマネジメント部長
                                                    加藤 貴子
                                           (TEL. 03-5548-8613)


                株主提案に関する書面受領等のお知らせ

 当社は、2020 年4月 16 日、当社株主より、2020 年6月開催予定の第 100 回定時株主総会(以下「本
定時株主総会」といいます。)における株主提案権の行使に関する書面(以下「本株主提案書面」と
いいます。)を受領し、2020 年5月 14 日開催の当社取締役会において、本株主提案書面記載の各議
案を本定時株主総会に付議することを決議いたしましたので、下記のとおりお知らせいたします。


                           記


1. 提案株主
    株主名 アルファレオホールディングス合同会社


2.株主提案の内容
 (1)議題
    ①定款の一部変更の件(クローバック条項の採用について)
    ②監査役3名の解任
    ③政策保有株式の売却に係る定款変更の件
    ④第三者割当増資に係る定款変更の件


    (2)議案の要領および提案理由の概要
    別紙に記載のとおりです。なお、別紙は、提案株主から提出された本株主提案書面の内容を原文
    のまま記載しております。


3.今後の対応
    本株主提案に対する当社取締役会の意見については、決定次第、速やかにお知らせいたします。


                                                          以上
                                                      別紙


株主提案(1)
定款の一部変更の件(クローバック条項の採用について)
1. 議案の要領
 現行定款(平成 30 年 6 月 22 日最終改正)の第 30 条につき第 2 項として以下の条項を追加し、第
31 条につき但書を追加する。


 第 30 条(報酬等)
 ②固定報酬、業績連動報酬及び譲渡制限付株式報酬を含む全ての報酬において、投資の不成功によ
る減損損失が発生した場合、不正会計等により過年度決算の修正が起きた場合または当会社全体、部
門、部署ごとの目標達成度合の評価が誤った情報を反映した場合など、報酬額算定の基礎となる業績
指標の虚偽や誤りがある場合には、正しい指標等に基づいて報酬額を再算定し、差額の報酬を当会社
に返還させ、または報酬の額を減額しもしくは不支給とするものとし、その内容の詳細については内
規にて規定し、各取締役と当会社間の委任契約書へ記載するものとする。


 第 31 条(取締役との責任限定契約)
 ただし、第 30 条第 2 項による報酬の返還または報酬の額の減額(もしくは不支給)はこの限りでな
い。


2. 提案理由の概要
 この規定は、経営陣が事業運営に関して意思決定を行う際に、そのリスクを包括的に把握する為に
必要である。日本企業の場合、従来、上記 30 条 2 項案に記載したような事象が判明した場合に将来の
報酬を自主的に放棄することはあっても、過去に支払った報酬を返還する事例は少なく、その判断は
取締役に委ねられている。高い倫理観がある経営者であればよいが、そうでない経営者は返還を行わ
ない。株主への配当を大幅に減額する一方で、取締役報酬は大幅に増加されるなど、乾汽船の報酬委
員会は運営が不透明であり、機能しているとは言い難い。また、現常勤取締役就任後、2016 年 3 月期
に約 140 億円の巨額の減損損失の計上、そして 2019 年 3 月期には僅か 1 年で繰延税金資産を取り崩し
て経常赤字に転落した。にもかかわらず、常勤取締役報酬額は前年比 36 百万円も増加している。業績
に見合った報酬額とするために、定款へ明確に規定する必要がある。



株主提案(2)
監査役 3 名の解任
1. 議案の要領
 監査役加島昭久氏、監査役田中正人氏及び監査役山田治彦氏の 3 名を解任する。


2. 提案理由の概要
 当社は、昨年 9 月 6 日付で「対象会社株式の大規模買付行為等への対応策(買収防衛策)廃止の件」
(5 号議案)を含む 5 つの事項を目的事項とする株主総会招集請求を行った。これに対し乾康之社長
は昨年 10 月 6 日(日曜日)の取締役会(書面決議)の提案書にて、5 号議案は議案の適法性に疑義が
あると解し臨時株主総会の議案として取り扱わないことを提案し、回答期限を 10 月 7 日(月曜日)の
正午とした。検討時間が数時間しかないのに、監査役 3 名全員は異議がないとの書面を取締役会に提
出した。しかし、買収防衛策は株主総会決議で廃止できることが昨年 6 月定時総会招集通知及び有価
証券報告書に明記されている。監査役 3 名は当然そのことを知っていたにもかかわらず、無条件に異
議を述べなかった。監査役 3 名は責務を果たさず、単に、社長の行為の追認機関として存在している
だけであり、ガバナンス改善及び株主共同の利益を守るため解任する必要がある。



株主提案(3)
政策保有株式の売却に係る定款変更の件
1. 議案の要領
 現行定款(平成 30 年 6 月 22 日最終改正)に以下の章及び条文を新設する。
 第 9 章 政策保有株式の売却
 第 52 条(政策保有株式の売却)
 当会社の第 100 期に係る定時株主総会の終結時点で当会社が貸借対照表に計上している政策保有
株式(有価証券報告書記載の特定投資株式)の全てを、第 101 期中に速やかに売却するものとする。


2. 提案理由の概要
 乾汽船の第 99 期有価証券報告書によれば、貸借対照表計上額で約 22 億円の政策保有株式(18 社)
を保有している。保有目的は「取引・協力関係の維持・強化」とされているが、乾汽船は、保有が企
業価値を向上することについての定量的な説明をしていない。更に、コロナウイルスの影響で保有先
の業績が不透明な状況下では減損の可能性が高い。実際に、2020 年 3 月期通期業績予想は有価証券の
減損により下方修正している。その損失は株主が負担することになる。また、昨年 6 月開催の定時株
主総会においては、政策保有株式 18 社の内、15 社が乾汽船に代理人氏名が空欄の白紙委任状を提出
しており、その議決権割合は約 20%になる。政策保有株式の実態は、経営陣が自らの意向に応じて議
決権を行使する為の「疑似自己株」であり、経営者の利益を守る為のものになっている。株主共同の
利益を守り企業価値を向上する為には政策保有株式は売却されるべきである。



株主提案(4)
第三者割当増資に係る定款変更の件
1. 議案の要領
 現行定款(平成 30 年 6 月 22 日最終改正)に以下の章及び条文を新設する。
 第 10 章 第三者割当増資における株主意思の反映
 第 53 条(決議の方法)
 取締役会は、第三者割当増資を行おうとする場合は、割り当てられる募集株式にかかる議決権の比
率(希釈化率)が 25%以上となるか否か、または支配株主が異動することとなるか否かに関わらず、
事前に株主総会の普通決議を経なければならない。
 尚、上記議題案(3)の「政策保有株式の売却に係る定款変更の件」が可決されなかった場合、第
9 章及び第 52 条は欠番とした上で、本議案の提案を維持する。


2. 提案理由の概要
 第三者割当増資の場面においても株主総会の普通決議を必要とすべきである。東京証券取引所の有
価証券上場規程「企業行動規範」において、公開会社が第三者割当増資により割り当てられる募集株
式にかかる議決権の比率が、25%以上となるとき、または支配株主が異動することとなるときは、経
営陣から一定程度独立した者による第三者割当の必要性及び相当性に関する意見の入手をすれば、取
締役会の決議により第三者割当増資が可能となる。しかしながら、現在の乾汽船の社外取締役及び社
外監査役は、乾康之社長の意見の追認機関になってしまっており、
                             「経営陣から一定程度独立した者」
としての責務を果たしていない。よって、株主総会決議がなければ第三者割当増資をすることができ
ないとすることが上記の東証の規程の趣旨に沿うものである。
                                           以上