9308 乾汽船 2021-06-08 14:00:00
当社第101回定時株主総会の第5号議案に関する議決権行使助言会社ISS社の反対推奨に対する当社の見解について [pdf]

                                                        2021年6月8日
各 位
                                    会 社 名 乾汽船株式会社
                                    代表者名 代表取締役社長      乾 康之
                                           (コード番号:9308 東証第一部)
                                    問合せ先 執行役員 コーポレートマネジメント担当
                                                       加藤 貴子
                                                (TEL. 03-5548-8613)


               当社第 101 回定時株主総会の第5号議案に関する
           議決権行使助言会社 ISS 社の反対推奨に対する当社の見解について

  このたび当社は、本年6月 23 日開催予定の第 101 回定時株主総会(以下「本総会」といいます。              )に
おける第5号議案「特定の株主グループを対象とした当社株式の大規模買付行為等および濫用的株主権
行使への対応策(買収防衛策)の導入ならびに当該買収防衛策の導入に伴う現行の当社株式の大規模買
付行為等への対応策(買収防衛策)の廃止の件」                   (以下、 「本件議案」といい、本件議案の承認により導
入される買収防衛策を以下「本プラン」といいます。                       )に関しまして、議決権行使助言会社の
Institutional Shareholder Services Inc.(以下、「ISS」といいます。
                                                     )が反対の推奨をしているとの
情報を入手いたしました。
  つきましては、株主・投資家の皆様に改めて本件議案に関する当社の考え方等を十分にご理解いただ
きたく、本件議案に関し以下のとおり補足の説明をさせていただきます。以下をご確認いただいた上で、
本件議案への賛否を十分にご検討いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。


Ⅰ ISS レポートにおける ISS の見解

(1) 本プランの導入が否決された場合、2019 年5月14 日開催の当社取締役会において導入が決議され、
    同年6月 21 日開催の当社株主総会において承認された、当社株式の大規模買付行為等への対応策
    (買収防衛策)  (以下、「現行プラン」といいます。  )が維持されるため、賛否の判断に当たっては、
    現行プランと本プランの相異点がポイントとなるが、本プランは、現行プランと比較して、以下の
    点で株主にとって不利益である。
    ① 現行プランは対抗措置の発動に当たって株主総会による承認を必須としているのに対し、本プ
      ランは株主総会による承認を必須としていないこと
    ② 現行プランは株主総会決議によって廃止できるのに対し、本プランは株主総会決議によって廃
      止できないこと
    ③ 現行プランは 2022 年6月に終了するのに対し、本プランは 2024 年6月まで存続すること
(2) 本プランの導入が否決された場合でも、アルファレオホールディングス合同会社(以下、        「アル
    ファレオ」といいます。   )に対しても有効な買収防衛策である現行プランが存続し、当社において
    必要な対応策として機能する。

Ⅱ 当社の見解


1.   本プランは適用対象者をアルファレオを含む特定の株主グループのみに限定した点において、現行
     プランよりも一般株主の皆様の利益に資するものであること




                                1
 ISS は、上記 I.(1)のとおり、現行プランと本プランを比較し、①の発動に係る手続、②の廃止に係る
手続、および③の存続期間といった表面的な要素をもって、本プランが現行プランに比して株主の皆様
に不利益である旨結論づけております。
 しかし、このような ISS の見解は、本プランが、その適用対象者を、大規模買付行為を行おうとする
者一般ではなく、アルファレオおよびその共同保有者または特別関係者並びにこれらの者を実質的に支
配する者またはこれらの者と共同ないし協調して行動する者(以下「アルファレオグループ」といいま
す。
 )のみに限定することにより、現行プランと比較して、取締役会の裁量の範囲を厳しく限定すると
共に、株主の皆様にとって、その適用対象についての予測可能性を飛躍的に向上させたものであるとい
う、本プランの最大の特徴および株主の皆様にとってのメリットを完全に等閑視するものであって、妥
当性を欠くと考えております。
 また、上記のような本プランと現行プランとの決定的な違いを看過し、上記 I.(1)で記載したとお
り、その適用対象者をアルファレオグループに限定したこと等に伴って本プランにおいてなされている
副次的な手当てのみに着目して、本プランがあたかも現行プランを株主にとって不利益に変更したかの
ように述べる ISS の見解は、本プランの本質を正面から捉えていないものと考えております。
 株主の皆様におかれましては、本プランが、当社の定款と株主の皆様のご意思に基づいて、現行プラ
ンと比較して、取締役会の裁量の範囲を厳しく限定し、株主の皆様の予測可能性を飛躍的に向上させた
ものであって、現行プランを、株主の皆様共同の利益をさらに重視する方向で改良したものである点
を、正当にご理解賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。


2.   前記 I.(1)について


 上記のとおり、当社としては、ISS の見解は、本プランが、取締役会の裁量の範囲を厳しく限定し、
株主の皆様の予測可能性を飛躍的に向上させている点で、現行プランを、株主の皆様共同の利益をさら
に重視する方向で改良したものである点を全く看過するものであって、妥当性を欠くと考えております
が、これに加えて、ISS が、前記 I.(1)において、現行プランと比較して株主にとって不利益であると指
摘している点についても、下記のとおり、重大な事実誤認を含むものであると考えております。


 まず、上記①および②については、それぞれ、以下のとおり、ISS が指摘している点は、株主の皆様
にとって不利益とは考えられません。


①     アルファレオは、2021 年3月 31 日時点で、既に当社株式 7,819,500 株(議決権比率:31.50%)
      を所有しているため、本プランに定める手続が遵守されなかった場合等においても対抗措置の発
      動を決定するには「常に」株主総会を招集し、株主の皆様の意思を確認することが必要であると
      した場合、当該株主総会の基準日までの間に、アルファレオグループが、市場等において当社株
      式の大規模買付けを強行し、対抗措置の不発動を強要できる水準に至る可能性が完全には否定で
      きず、そのような場合には、当社の中長期的な企業価値ひいては株主の皆様共同の利益を最大化
      するため、それを妨げる事態が生じることを防止するという本プラン本来の目的を果たすことが
      できないものと考えております。なお、本プランにおいても、独立委員会は、必要と認める場合
      には、株主総会において対抗措置発動の要否や内容について賛否を諮る形式により株主の皆様の
      意思を確認することを勧告できることとされており、その場合、当社取締役会は取締役としての
      善管注意義務に明らかに反する特段の事情がない限り、独立委員会の当該勧告を最大限尊重した
      上で、対抗措置の発動の要否や内容を決定することとされております。




                                2
②   アルファレオは、株主の皆様もご高承のとおり、昨年5月以降、現行プランの廃止を目的事項と
    する臨時株主総会の招集請求を短期間のうちに繰り返しており、当社としては、本プランの導入
    について株主の皆様の賛成多数によりご承認いただいた場合でも、アルファレオグループが、本
    プランの廃止を目的事項とする臨時株主総会の招集請求等を繰り返し行う可能性が高いものと判
    断しています。当社としても、一般的には、株主総会決議によって買収防衛策が廃止できること
    の必要性および重要性を一概に否定するものではありませんが、(i)そもそも、当社定款第 50 条
    は、第1項で「買収防衛策の導入には株主総会の決議を得なければならない」とする一方で、第
    2項において、
          「当会社は、いつでも取締役会の決議に基づいて買収防衛策を廃止することができ
    る」としており、このような当社定款規定の構造からすれば、当社における買収防衛策の廃止
    は、あくまで当社取締役会の決議によってなされるべきであって、この点で、現行プランにはそ
    もそも当社定款規定との不整合があるため、修正が必要と考えられること、(ii)本プランにおい
    ても現行プランと同様に株主総会決議によって本プランをいつでも廃止できるものとした場合に
    は、アルファレオグループから本プランの廃止を目的事項とする臨時株主総会の招集請求等が今
    後も短期間に繰り返し行われるものと予想され、かかる場合には、臨時株主総会開催のための多
    額の費用が発生するだけでなく、当社の中長期的な企業価値向上に向けた各種の前向きな施策を
    推進・展開するための貴重な時間と経営リソースを空費することとなり、当社の中長期的な企業
    価値ないし株主の皆様共同の利益を毀損するおそれが強いと考えられること、(iii)本件議案につ
    いて株主の皆様にご承認いただいた場合には、3年間の有効期間中は、本プランの導入を是とす
    る株主の皆様の意思を原則として尊重すべきであると考えられること、および(iv)株主の皆様と
    しては、本プランの廃止が適切と考えられる場合には、株主総会決議によって当社取締役会の構
    成メンバーを入れ替えた上で、取締役会決議により廃止することが可能であること等々から、当
    社としては、本プランの廃止の決定については、株主総会決議事項としないことが、当社の中長
    期的な企業価値ないし株主の皆様共同の利益に資するものと考えております。


 また、ISS は、現行プランと本プランの有効期間を合算した上で、総継続期間が3年を超えるため、
通常の形式審査においては原則として反対を推奨する結果となる旨述べておりますが、上述のとおり、
本プランはアルファレオグループのみを対象に限定し、かつ、濫用的な株主権行使を適用対象行為とす
る点において、現行プランとは全く異なる性質のものであり、現行プランと本プランの有効期間を合算
して判断することは妥当ではありません。そもそも、本総会で本プランの導入が承認された場合には、
本総会の終結時点で現行プランは廃止される一方で、本プランの有効期間は 2024 年6月開催予定の当社
定時株主総会の終結時までですので、本プランの有効期間はあくまで3年間であり、しかも、上記 II.2
において述べたとおり、本プランと現行プランとは大きく構造および内容が異なりますので、本プラン
は現行プランの継続とはいえません。他方、本プランの導入が否決された場合、現行プランが 2022 年6
月開催予定の当社定時株主総会終結時まで存続することとなりますが、これは、2019 年6月 21 日開催
の当社第 99 回定時株主総会における株主の皆様の承認決議に基づくものです。
 さらに、万一、現行プランと本プランの有効期間を合算した上で本プランの是非につき判断するとし
ても、本プランは、アルファレオによる当社に対する議決権比率が既に 31.50%に達し、同社による当社
の役員に対する解任請求訴訟等が多数係属するなど、当社の経営支配権を巡る争いが現実化するおそれ
が大きく高まっている状況下において、アルファレオを含むアルファレオグループが当社の中長期的な
企業価値および株主の皆様共同の利益を毀損することを防止することを目的として導入されるもので
あって、経営支配権の争いがある場合における基準に準じて、有効期間の点を過度に重視することな
く、アルファレオの 2018 年以降の当社に対する一連の行動が、当社の中長期的な企業価値および株主




                          3
の皆様共同の利益に与えてきた影響を踏まえた上での実質的な判断が行われるべきであると考えており
ます。


3.   前記 I.(2)について


 ISS は、本プランの導入が否決された場合でも、アルファレオに対して有効な買収防衛策(現行プラ
ン)が存続し、当社において必要な対応策として機能するとしてしていますが、現行プランは、濫用的
株主権行使を適用対象としていないため、アルファレオグループによる濫用的株主権行使によって当社
の中長期的な企業価値ひいては株主の皆様共同の利益を毀損するおそれがある場合であっても、有効な
対応策とはならないことや、上記 2 で詳述した理由により、当社といたしましては、本プランを導入す
ることは、当社の中長期的な企業価値ひいては株主の皆様共同の利益に資するものであり、現行プラン
に代えて本プランを導入する強い必要性があるものと考えております。


4.   まとめ


 以上のとおり、本プランと現行プランとの決定的な違いを看過し、その適用対象者をアルファレオグ
ループに限定したこと等に伴って本プランにおいてなされている副次的な手当てのみに着目して、本プ
ランがあたかも現行プランを株主にとって不利益に変更したものであるかのように述べる ISS の見解
は、本プランの本質を正面から捉えていないものと考えられ、また、ISS が本件議案について反対推奨
する理由として挙げている諸点はいずれも重大な事実誤認を含んでおりますので、当社といたしまして
は、ISS による反対推奨には合理的な理由がないものと考えております。株主の皆様におかれまして
は、本プランが、当社の定款と株主の皆様のご意思に基づいて、現行プランと比較して、取締役会の裁
量の範囲を厳しく限定し、株主の皆様の予測可能性を飛躍的に向上させたものであって、現行プラン
を、株主の皆様共同の利益をさらに重視する方向で改良したものである点を、正当にご理解賜りますよ
う、よろしくお願い申し上げます。


 当社といたしましては、2021年5月14日付「特定の株主グループを対象とした当社株式の大規模買付
行為等および濫用的株主権行使への対応策(買収防衛策)の導入ならびに当該買収防衛策の導入に伴う
現行の当社株式の大規模買付行為等への対応策(買収防衛策)の廃止について」において公表いたしま
したとおり、現行プランの導入以降、アルファレオが、①二度に亘り現行プランの廃止に係る議案を目
的事項とする株主総会の招集請求を行ったこと、②委任状勧誘の結果として取得した委任状を持参する
株主が議場への入場を制限される蓋然性の大きい態様により2020年5月7日に裁判所の許可を得てアル
ファレオが開催した当社の臨時株主総会を開催しようとしたこと、③2020年6月19日に開催された当社
の第100回定時株主総会において株主の皆様にご承認いただいた第3号議案「当社取締役会によるアル
ファレオホールディングス合同会社に対する情報提供要請に関する承認の件」に基づく情報提供要請に
つき、当社株主の皆様の意向を尊重せず実質的に無視し、当社との建設的な対話の実現のために必要と
なる情報の提供を一切行っていないこと、④東京証券取引所の定める有価証券上場規程第411条第2項に
基づき当社において開示義務を負っているアルファレオの決算の内容について必要な情報提供を行わな
いこと、⑤約3年間で13件(当該自己株式取得議案を含む。
                           )に上る株主提案または実質的動議を提出
し、そのいずれも株主の皆様のご判断により否決されていること、⑥わずか6か月の間に二度、当社に
対し、会社法第433条第1項に定める会計帳簿閲覧謄写請求として、当社の会計帳簿の閲覧謄写を請求し
ていること、⑦約2年間で、当社に対し、8件もの訴訟を提起していること等々を踏まえると、アル



                        4
ファレオグループによる大規模買付行為等または濫用的株主権行使によって、当社の中長期的な企業価
値ひいては株主の皆様共同の利益を毀損するおそれが存することから、アルファレオグループによる大
規模買付行為等および濫用的株主権行使への必要かつ相当な対抗策として、本プランの導入が是非とも
必要であり、株主の皆様共同の利益に資するものと確信いたしております。


                                           以 上




                      5