9264 J-ポエック 2020-07-28 16:30:00
国立大学法人東北大学との共同研究契約締結のお知らせ [pdf]

                                             2020年7月28日
各   位
                         会 社 名 ポ エ ッ ク 株 式 会 社
                         代 表 者 名 代表取締役社長 釆 女 信 二 郎
                          (コード番号:9264 東証JASDAQ)
                         問 合 せ 先 取締役管理部長 吉 本 貞 幸
                                     (TEL. 084-922-8551)



        国立大学法人東北大学との共同研究契約締結のお知らせ


 この度、当社は、国立大学法人東北大学との間で、ウイルス不活化(注1)技術の開発及
び当該技術の製品化に向けて共同研究契約を締結いたしましたので、下記の通りお知らせ
いたします。

1.本共同研究契約締結の目的及び理由
  新型コロナウイルス感染症「COVID-19」の蔓延により世界各地で重篤な健康被害が拡
 大し、経済的な影響が危惧されるとともに、その終息も未だ見えない状況であります。
  各分野ではコロナウイルス被害対策のための対応がとられるなか、オゾンによるウイ
 ルス不活化効果が注目を浴びております。
  一方、パンデミックとなっているコロナウイルス被害の状況については、国内で一時
 的に収束の兆しがみえたものの、再び感染被害が拡大傾向を示しております。
  今後、第2波、第3波感染被害が想定されるなか、ウイルスリスクに対して迅速な対
 策を講じることができる技術の開発が求められております。
  こうした背景を受けて、当社及び国立大学法人東北大学は、それぞれがもつ得意な分
 野で技術を融合し活用していくことにより、さまざまなウイルスの発生によるパンデミ
 ックに対し、迅速な被害対策を講じることができるような技術開発を開始します。

2.本共同研究の内容
  本共同研究開発は、東北大学国際放射光イノベーション・スマート研究センター(村
 松 淳司センター長)、東北大学大学院農学研究科(原田 昌彦教授)等がもつ次世代
 放射光技術(注2)及びナノバブル(注3)技術に関する知見に、ポエックがもつオゾ
 ン(注4)ガス及びオゾン水製造技術を融合し、多様なウイルスに対して環境基準を満
 たす濃度のオゾンであっても有効な不活化機能を発揮する装置の開発をスタートさせる
 ものであります。
  当社は本共同研究の開始に当り、次世代放射光施設(仙台市青葉区東北大学青葉山キ
 ャンパス)のコアリションメンバー(注5)への加入を決定し、放射光技術の活用等に
 より、今後発生が危惧されるコロナウイルス第2波あるいは、第3波感染被害の拡大を
 も念頭に、同大学と連携のもと技術開発を加速的に進めます。
  こうした取り組みを通じ、現行のオゾン装置に対して安全面、機能面でさらに進化し
 たウイルス対応製品の開発と市場への投入を目指します。
  なお、当社は、本契約締結を当社のESG活動(環境 Environment、社会 Social、ガバ
 ナンス Governance) に係る取り組みの一環として考え、企業体としての利益追求活動
 のみならず、投資家の皆様を始めとした全ステークホルダーを含む社会全般への貢献活
 動をも重視した活動を行ってまいる所存であります。

3.本共同研究において利活用される技術の概要
 ・オゾンガス発生及びオゾン水製造技術
 ・次世代放射光技術
 ・ナノバブル技術

4.本共同研究契約の相手先の概要
  (1)名称        国立大学法人東北大学

  (2)所在地       宮城県仙台市青葉区片平二丁目1番1号

  (3)代表者       総長 大野 英男

  (4)対象研究部門    国際放射光イノベーション・スマート研究センター


5.今後の見通し
 本共同研究が2020年8月期の連結業績に与える影響は、現時点で軽微であります。
 なお、2021年前半までにオゾン抗ウイルスシステムの製品化につなげ、2021年後半から
多様なウイルスに作用し安全性の高いシステムの確立に向けた開発をスタートさせ2023年
中を目途に製品化につなげます。
 2021年8月期以降の連結業績に与える影響は現時点では未定でありますが、明らかにな
り次第速やかにお知らせいたします。
(用語説明)

(注1)不活化
  本来の働きを失わせる作用。特に、ウイルスなどの感染力や毒性を失わせること。

(注2)次世代放射光技術
   物質の状態をナノレベルで分析し、創薬や高分子材料開発など広い分野で応用が期待
 される次世代の放射光技術である。
   国内に既にある放射光施設として代表的なものには「Spring-8」(兵庫県)がある。
   次世代放射光施設は、比較的エネルギーは低いが、より明るくより輝く「軟X線」を
 主に使う。Spring-8はエネルギーの高く波長が短い「硬X線」と呼ばれる放射光を主に
 使う。
   軟X線は軽元素を感度良く測定でき、物質表面の分析を得意とし、硬X線は重元素を
 感度良く測定でき、物質内部の分析を得意とする点でそれぞれ異なる特徴をもつ。
   次世代放射光施設における技術は、その特長から炭化水素系の化合物から構成される
 新薬の発見や、新たな触媒、高分子材料、磁性材料の開発などにより威力を発揮するこ
 とが期待されている。
   東北大学 国際放射光イノベーション・スマート研究センターは、次世代放射光施設
 における、地域パートナー側のビームライン技術と研究に深く関わり、運用面でのお手
 伝いをしている。この4月には「SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)感染症(COVID-
 19)対策のために期待される放射光技術」を取りまとめて、課題募集を開始した。
   同時に、世界主要放射光施設サミット(SR20サミット)を開催(東北大学主催)し、
 世界の放射光施設が一致団結して、COVID-19に打ち勝つ技術(創薬、関連技術など)を
 早急に開発していくことを確認した。

(注3)ナノバブル
  ナノレベル(1ナノメートルは10億分の1メートル)まで微細化した気泡のことで、気
 泡が極小のため肉眼では見ることができない。
  通常の気泡と異なり、水中で破裂することなく水中を漂い続けることが特徴である。
 水中で汚れに吸着し洗浄する効果や、静電気的な引力によりウイルスを引き付け不活化
 する効果などがある。

(注4)オゾン
1.概要
  オゾンは、3つの酸素原子からなる酸素の同素体であり、酸化力が強く刺激臭を持つ有
 毒な気体であるが、地球の大気中に低い濃度で存在する。
2.性質
  常温常圧では無色(高濃度では薄青色)の気体である。3つの酸素原子の結合力が弱い
 ため、すぐに酸素(О₂)と酸素原子(О)に分かれる。強い酸化力を持つため、高濃度では
 人体に有害であり、日本における作業環境での許容濃度基準は0.1ppmと定められてい
 る。
3.一般的な活用目的
(除菌・脱臭)
   オゾンはその除菌・脱臭などの効果により、主に病院及び福祉施設、食品加工工場等
  で利用され、また低濃度では塩素のような臭気が残らないことから水処理施設でも利用
  されている。また、オゾンの原料は酸素であるため、あらゆる場所で原料を得ることが
  できることから容易にオゾン発生装置の設置が可能であることや、反応において有害な
  副産物を生成しないことが特徴である。なお、上記の施設の他にホテル・飲食店等にお
 いても利用されている場合がある。
(毒性)
  オゾンは低濃度では安全性の高い気体だが、高濃度の場合は人体に有害である。特に
 呼吸器系に取り込まれた場合は呼吸器障害を引き起こすことが報告されている。
  0.1ppmが労働環境における許容濃度基準となっているが、0.1~0.2ppmで強い臭気、
 鼻・のどに刺激を感じ、1~2ppmでは2時間で頭痛、胸部痛、上部気道の渇きと咳が起
 こり、これが続くと慢性中毒になると言われている。
  実際にオゾンを取り扱う場合、毒性を示す濃度では刺激臭がするため、通常はそのこ
 とに気付くので、長時間危険状態にさらされることは少ないと思われる。

(注5)次世代放射光施設のコアリションメンバー
  次世代放射光施設は、国の事業主体である量子科学技術研究開発機構と民間・地域の
 パートナーである(一財)光科学イノベーションセンター、宮城県、仙台市、東北経済
 連合会、東北大学が仙台市に建設を進めている軟エックス線を用いた物質の機能分析な
 どを行う2023年稼働予定の次世代の実験施設である。
  当該施設のコアリションメンバーは、必要に応じて学術研究者と一対一の研究開発の
 連合(コアリション)を組み、 製品開発・技術開発等の「競争領域」で放射光施設を利
 活用できる。

                                           以   上