9202 ANA 2019-04-26 12:00:00
2019年3月期決算について [pdf]

ANA HOLDINGS NEWS
                                                                            第 19-005号
                                                                            2019年 4月 26日

                         2019年3月期決算について
 ANA ホールディングスは4月26日(金)、2019年3月期決算を取りまとめました。詳細は「2019年3
月期決算短信」をご参照ください。

1.2019年3月期の連結経営成績・連結財政状態
(1)概況
 当期のわが国経済は、企業収益及び雇用環境の改善が続く中、個人消費の持ち直しが見られる等、景気は緩や
  かに回復しました。航空業界を取り巻く環境は、国内・海外経済の緩やかな回復が続く中で、訪日外国人の増加等
  により、需要は概ね堅調に推移しました。
 英国スカイトラックス社から、顧客満足度で最高評価となる「5STAR」に7年連続で認定された他、公益財団法人日
  本生産性本部が実施している JCSI(日本版顧客満足度指数)調査において、国際航空部門の顧客満足で初の第
  1位となる等、当社グループのサービス品質に高い評価をいただきました。定時到着率においても、米 国
  FlightStats 社からアジア・パシフィック地域の第1位及び全世界の第3位に認定されました。
 また、経済産業省と東京証券取引所から、積極的な IT 利活用に取り組んでいる企業として「攻めの IT 経営銘柄
  2018」に選定されました。

   これらの結果、当期における連結業績は、航空事業を中心に増収となったことから、売上高は2兆583億円、営
  業利益は1,650億円と4期連続で過去最高を更新しました。一方、整備部品の除却が増加したこと等により、経
  常利益は1,566億円となりました。前期に Peach・Aviation㈱を連結子会社としたことによる特別利益等があった
  ため、親会社株主に帰属する当期純利益は1,107億円となりました。
   配当につきましては、株主の皆様に対する還元を経営の重要課題と認識しており、中長期的な企業価値向上に
  向けた成長投資の原資確保や財務の健全性の維持を前提に、株主還元を一層充実させていきたいと考えている
  ことから、2019年3月期につきましては、前期から15円増配となる1株につき75円とすることといたしました。
                                                        単位:億円(増減率を除き、単位未満は切り捨て)
   【連結経営成績】               2019年3月期                 2018年3月期            増減          増減率(%)
   売       上       高          20,583                  19,717            865              4.4
   営   業       費   用          18,932                  18,072            860              4.8
   営   業       損   益            1,650                   1,645               5            0.3
   営 業 外 損 益                     ▲83                       ▲38         ▲44             ―――
   経   常       損   益            1,566                   1,606          ▲39             ▲2.5
   特   別       損   益             ▲26                       360         ▲386            ―――
   親会社株主に帰属する
                                1,107                   1,438          ▲331            ▲23.0
   当 期 純 損 益

                                                                   単位:億円(単位未満は切り捨て)
                         2019年3月期                   2018年3月期                      増減
   【セグメント情報】
                        売上高       営業損益            売上高        営業損益      売上高             営業損益
   航 空 事 業             18,144      1,605          17,311     1,568          832           36
   航空関連事業              2,910            131       2,843          106        67            25
   旅 行 事 業             1,507             6        1,592          37      ▲85            ▲31
   商 社 事 業             1,506            37        1,430          45         76           ▲8
   そ   の           他     409            22          387          27         22           ▲4

       ANA ホールディングス株式会社 広報・コーポレートブランド推進部 03-6735-1111
                                              1
(2)航空事業
 当期は、成長戦略推進のために必要な「安全と品質・サービスの総点検」と位置付けた期間であり、「安全の堅持」
  「お客様の利便性・快適性の向上」への取り組みを着実に進めました。お客様に機内での安全に関わる情報を分
  かりやすく確実に伝えるために、12月より日本の伝統芸能「歌舞伎」をテーマに機内安全ビデオを一新した他、狭
  い機内でも移動や回転がしやすい機内用新型車いすの配備や、よりスムーズにご搭乗いただけるよう、搭乗ゲー
  ト幅の拡大を進める等、誰もが利用しやすい「ユニバーサルなサービス」の充実を図りました。



① 国内線旅客
 上期に相次ぐ自然災害やロールス・ロイス社製エンジンの点検整備による欠航の影響があったものの、堅調なビ
  ジネス需要と訪日旅客の国内移動需要を取り込むとともに、需要に応じた各種割引運賃の設定等に取り組んだ結
  果、旅客数・収入ともに前期を上回りました。
 路線ネットワークでは、サマーダイヤから中部=宮古線、福岡=石垣線を通年運航とし、日本各地から石垣島、宮
  古島への直行便を拡大する等、需要の取り込みを図りました。
 営業・サービス面では、10月からシンプルでわかりやすい運賃ラインナップへ変更し、予約・発売を搭乗の355日
  前から開始する等、運賃体系をリニューアルした他、自然災害からの復興支援として「でかけよう北海道」プロジェ
  クト及び「訪日旅客向け関西空港利用促進キャンペーン」の実施により、国内外からの渡航需要喚起を図りま
  した。また、4月から機内 Wi-Fi サービスの無料提供を開始した他、全席シートモニターを装着したエアバス
  A321neo 型機の導入を更に進め、本年2月に隈研吾氏監修のもと、伊丹空港、福岡空港、那覇空港の国内線ラ
  ウンジをリニューアルする等、サービス向上に努めました。

  結果として、国内線旅客収入は、68億円の増収(前期比1.0%増)となりました。
                                    (増減率、利用率を除き、単位未満は切り捨て)

    【国内線旅客】     2019年3月期       2018年3月期     増減      増減率(%)
 旅客収入(億円)          6,966          6,897       68      1.0
 旅客数(千人)          44,325         44,150      175      0.4
 座席キロ(百万)         58,475         58,426       48      0.1
 旅客キロ(百万)         40,704         40,271      432      1.1
 利用率(%)             69.6           68.9     0.7pt    ―――



② 国際線旅客
 国際線旅客は、日本発ビジネス需要が好調に推移していることに加え、旺盛な訪日需要を取り込んだこと等により、
  旅客数・収入ともに前期を上回りました。
 路線ネットワークでは、6月から羽田=バンコク線を1日3便へ増便し、10月からアリタリアとのコードシェア便の運
  航を開始した他、本年2月から羽田=ウィーン線を新規開設する等、ネットワークの更なる拡充を図りました。また、
  成長著しいアジア地域のネットワーク強化、プレゼンス向上を目的として、フィリピン航空の親会社である PAL ホー
  ルディングスと資本業務提携し、フィリピン航空との中長期的な戦略的パートナー関係を更に強化してまいります。
 営業・サービス面では、プレミアムエコノミーにおいて、マイルを利用した特典航空券やエコノミークラスからのアッ
  プグレードの予約を開始し、お客様の利便性向上を図りました。また、本年3月からビジネスクラスにおいて機内食
  の事前予約サービスを拡充した他、食物アレルギーを持つお客様が安心してお食事をお楽しみ頂けるよう、新たに
  開発したグルテンフリー米粉パンを提供する等、すべてのお客様に、より安心・快適に飛行機をご利用いただける
  環境づくりに努めました。




                           2
     結果として、国際線旅客収入は541億円の増収(前期比9.1%増)となりました。
                                       (増減率、利用率を除き、単位未満は切り捨て)

       【国際線旅客】       2019年3月期       2018年3月期    増減      増減率(%)
 旅客収入(億円)              6,515          5,974      541      9.1
 旅客数(千人)               10,093         9,740      352      3.6
 座席キロ(百万)              65,976         64,376   1,599      2.5
 旅客キロ(百万)              50,776         49,132   1,643      3.3
 利用率(%)                  77.0           76.3    0.6pt    ―――


③貨物
 国際線貨物では、第4四半期は中国発着貨物の需要が落ち込みましたが、第3四半期までは北米・欧州向けの自
  動車関連部品や電子部品を中心とした旺盛な貨物需要を背景に、好調に推移しました。輸送重量は前期を下回っ
  たものの、イールドマネジメントの強化や、エアラインチャーター(他社機材を使用した貨物チャーター便)を活用す
  る等の結果、収入は前期を上回りました。また、ウィンターダイヤから沖縄ハブネットワークの規模適正化や、一部
  路線の直行便化を行い、収益性の改善を図りました。

     結果として、国際線貨物収入は1,250億円(前期比5.9%増)となりました。
                                    (増減率、利用率を除き、単位未満は切り捨て)

         【貨物】        2019年3月期       2018年3月期    増減      増減率(%)

 国    貨物収入(億円)           274            307      ▲32    ▲10.6
 内    輸送重量(千トン)          393            436      ▲43     ▲9.8
 線    有償貨物トンキロ(百万)       408            448      ▲39     ▲8.9
 国    貨物収入(億円)         1,250          1,180       70      5.9
 際    輸送重量(千トン)          913            994      ▲80     ▲8.1
 線    有償貨物トンキロ(百万)     4,318          4,474     ▲156     ▲3.5


④LCC
 LCC では、路線の拡大や旺盛な訪日需要を取り込んだこと等により、旅客数、収入ともに前期を上回りました。
 路線ネットワークでは、Peach・Aviation㈱が4月から沖縄=高雄線、8月から関西=釧路線を新規開設した他、バ
  ニラ・エア㈱が7月から成田=石垣線、沖縄=石垣線を新規開設し、10月から沖縄=台北線を増便する等、国内
  線・国際線ともにネットワークの拡充を図りました。
 営業面では、Peach・Aviation㈱とバニラ・エア㈱の両社が、統合に向けて「恋するピーチとバニラ 甘すぎる!全路
  線合同セール」を実施する等、需要の取り込みに努めました。
 本年3月に Peach・Aviation㈱とバニラ・エア㈱は、那覇空港において新設されたターミナルへ移転し、モノレール駅
  から直接アクセスできる等、お客様の利便性が更に向上しました。

  結果として、LCC 旅客収入は、60億円の増収(前期比6.9%増)となりました。
                                       (増減率、利用率を除き、単位未満は切り捨て)

         【LCC】       2019年3月期       2018年3月期    増減      増減率(%)
 旅客収入(億円)                936            875       60      6.9
 旅客数(千人)               8,153          7,797      355      4.6
 座席キロ(百万)              12,052         11,832     219      1.9
 旅客キロ(百万)              10,394         10,212     182      1.8
 利用率(%)                  86.2           86.3   ▲0.1pt    ―――




                                3
⑤その他
 マイレージ附帯収入、機内販売収入、整備受託収入等で構成される航空事業におけるその他の収入は2,118億
  円(前期比6.8%増)となりました。

(3)航空関連事業・旅行事業・商社事業・その他
 航空関連事業では、福岡空港をはじめとした旅客の搭乗受付や手荷物搭載等の空港地上支援業務の受託が増加
  したことや、外国航空会社から機内食関連業務の受託が増加したこと等により、売上高は2,910億円(前期比
  2.4%増)となり、営業利益は131億円(同23.9%増)となりました。
 旅行事業では、国内旅行は、ダイナミックパッケージ商品「旅作」において、需要の早期取り込みを図ったこと等に
  より堅調に推移したものの、「ANA スカイホリデー」においては、自然災害の影響や沖縄方面を中心に集客が伸び
  悩んだこと等から、売上高は前期を下回りました。また、海外旅行は、添乗員付き商品において、ヨーロッパ方面の
  集客が堅調に推移したものの、ダイナミックパッケージ商品「旅作」の集客が伸び悩んだこと等から、売上高は前期
  を下回りました。これらの結果、当期の旅行事業における売上高は1,507億円(前期比5.4%減)となり、新しく
  稼働した旅行システムの費用増加等により、営業利益は6億円(同83.8%減)となりました。
 商社事業では、空港免税店「ANA DUTY FREE SHOP」等のリテール部門において訪日旅客の需要を取り込んだこ
  とに加え、食品部門での生鮮食品の取扱高が増えたこと等により、売上高は前期を上回りました。一方、航空・電
  子部門や生活産業部門の利益が減少したこと等が影響し、営業利益は前期を下回りました。これらの結果、当期
  の商社事業における売上高は1,506億円(前期比5.3%増)、営業利益は37億円(同17.8%減)となりました。
 航空保安警備事業が堅調に推移したこと等の結果、当期のその他の売上高は409億円(前期比5.8%増)となり
  ましたが、不動産関連事業において、土地売買に伴う仲介手数料収入が減少したため、営業利益は22億円(同
  17.8%減)となりました。

(4)連結財政状態                          (自己資本比率、D/E レシオを除き単位未満は切り捨て)

       【連結財政状態】            2019年3月期          2018年3月期            増減

  総資産(億円)                    26,871            25,624            1,246
  負債(億円)                     15,778            15,619             158
  純資産(億円)                    11,093            10,005            1,087
  自己資本(億円) (注1)              10,994            9,886             1,107
  自己資本比率(%)                   40.9              38.6             2.3pt
  有利子負債残高(億円) (注2)           7,886             7,983              ▲97
  D/E レシオ(倍) (注3)              0.7               0.8             ▲0.1
 注1:自己資本は純資産合計から非支配株主持分を控除しています。
 注2:有利子負債残高にはオフバランスリース負債は含みません。
 注3:D/E レシオ=有利子負債残高÷自己資本


(5)連結キャッシュ・フロー                                 単位:億円(単位未満は切り捨て)

      【連結キャッシュ・フローなど】           2019年3月期            2018年3月期

  営業活動によるキャッシュ・フロー                  2,961                3,160
  投資活動によるキャッシュ・フロー                 ▲3,086               ▲3,244
  財務活動によるキャッシュ・フロー                    ▲464               ▲299
  現金および現金同等物期末残高                    2,118                2,705
  減価償却費                             1,595                1,504




                               4
2.2020年3月期の見通し
 今後の経済見通しについては、通商問題の動向、海外経済の下振れ、テロや紛争等、景気を下押しするリスクが
  懸念されるものの、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果等もあり、緩やかな回復が続くことが期待されて
  います。
 このような状況の下、当社グループは、「世界のリーディングエアライングループを目指す」という経営ビジョンの達
  成に向け、「2018~2022年度 ANA グループ中期経営戦略」を引き続き着実に遂行してまいります。
 フルサービスキャリアにおいては、本年5月から、成田=ホノルル線の一部の便にエアバス A380型機「FLYING
  HONU」を順次投入し、ハワイ戦略を展開してまいります。世界最大の旅客機でホノルル線専用機材である特徴を
  最大限に活かし、完全個室型のファーストクラスをはじめ、フルフラットのペアシートやエコノミークラスのカウチ
  シートを導入する等、ANA にしか実現できない新たなハワイ体験を提供してまいります。また、本年9月から成田=
  パース線(オーストラリア西部)、ウィンターダイヤ期間中に成田=チェンナイ線(インド南部)を新規開設する他、本
  年4月から成田=シンガポール線、7月から成田=バンコク線に居住性と機能性を高めた新シートを装備したボー
  イング787-10型機を投入し、プロダクトとサービスの充実を図ってまいります。
 LCC では、本年4月より Peach・Aviation㈱が新千歳=ソウル線を新規開設する等、ネットワークの拡充を図ります。
  バニラ・エア㈱は、本年6月以降段階的に Peach・Aviation㈱への路線移管を進め、2019年度末までに Peach・
  Aviation㈱と統合し、「アジアのリーディング LCC」を目指してまいります。

   これらにより2020年3月期の連結業績見通しは以下の通りとなります。なお、配当につきましては、1株につき
 75円を予定しております。
                                        単位:億円(単位未満は切り捨て)
                                             前期実績
   【2020年3月期見通し(連結業績)】        予想                         増減
                                          (2019年3月期)
   売         上       高         21,500        20,583       916
   営     業       利   益            1,650       1,650       ▲0
   経     常       利   益            1,600       1,566        33
   親 会 社 株 主 に 帰 属 す る
                                  1,080       1,107       ▲27
   当   期    純   利    益


                                                          以上




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