9202 ANA 2020-10-27 15:00:00
「ANAグループの新しいビジネス・モデルへの変革」に関するお知らせ [pdf]

                                          2020 年 10 月 27 日
各   位
                            会 社 名   ANAホールディングス株式会社
                            代表者名    代表取締役社長    片野坂 真哉
                            (コード番号      9202 東証第1部)
                            問合せ先    グループ総務部長    植野 素明
                            (TEL . 03-6735-1001 )



        「ANA グループの新しいビジネス・モデルへの変革」に関するお知らせ



 当社は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に対し、これまで運航便の大幅な減便やコスト削減策
など様々な自助努力を迅速に実施してまいりました。コロナがもたらす人々の行動変容により、航空需
要の「量」と「質」の変化が予想されることから、ANA グループのビジネス・モデルを変革し、グループ
全体の事業ポートフォリオを見直すことで、感染症の再来にも耐え得る強靭な企業グループに生まれ変
わるための事業構造改革プランを策定し、本日開催の取締役会で決議しましたので、別紙のとおりお知
らせいたします。


                                                   以   上
ANA HOLDINGS NEWS
                                                         第 20-029 号
                                                         2020 年 10 月 27 日



 ANA グループの新しいビジネス・モデルへの変革について

 ANA グループは、新型コロナウイルス感染症の影響に対し、これまで運航便の大幅な減便やコスト削減策など
さまざまな自助努力を迅速に実施してまいりました。コロナがもたらす人々の行動変容により、航空需要の「量」
と「質」の変化が予想されることから、ANA グループのビジネス・モデルを変革し、グループ全体の事業ポートフ
ォリオを見直すことで、感染症の再来にも耐え得る強靭な企業グループに生まれ変わります。


■ANA グループの新しいビジネス・モデルの全体像
航空需要の「量」と「質」の変化
① ビジネス需要は減少し、完全には戻らない(Web 会議の浸透等、ワークスタイルの変容)
② レジャー、VFR※需要は今後も堅調、ワーケーション、居住地分散等により、潜在的な成長力あり
③ 新たな顧客ニーズ(ESG/衛生、清潔、非接触/セルフ、シンプル、パーソナル)
 ※VFR: Visiting friends and relatives 友人や親戚の訪問を目的とした旅行




 感染症の再来にも耐え得る強靭な企業グループに生まれ変わり、持続的な成長を実現
1.エアライン・ビジネスの変革
 ANA、Peach に加え、エアージャパンを活用した第 3 ブランドにより、お客様の価格・サービスにおける幅広い
  ニーズに対応できるエアライングループとして持続的な成長を追求します。
 各エアラインがコロナ後の新常態に適合した新しいサービス・モデルを展開するとともに、マーケティングにお
  いて連携を図り、顧客回遊を促進することにより、お客様のライフタイム・バリューを最大化します。




(1) ANA ブランド
 ANA グループのプレミアムエアラインブランドとして、アフターコロナのお客様のニーズに適合した、人や地
    球環境に優しい、新しいプロダクトとサービスを提供、「ユニバーサル」を重視したエアラインへと進化
 デジタルを活用した「セルフ化」・「パーソナル化」推進によるサービスの提供
 省人化や業務の効率化による生産性向上を実現し、アフターコロナにおいても継続的に収益を生み
    出すことができる成長モデルを実現

(2)Peach
 従来のプレジャー旅客に加え、ビジネス旅客やファミリー等新たな顧客層にも拡大、ANA のマイルからピー
    チポイントへの交換など ANA とのマーケティング連携を実施
 地域・自治体と連携したワーケーション促進の取り組みや SNS の活用などの非航空事業「Peach ビジネス」
    の展開
   10 月 25 日の成田空港第 1 ターミナルへの移転を機に、利便性向上の訴求、グループのシナジー効果によ
    り首都圏における利用者を拡大
   エアバス A321LR にて国際線中距離路線へ進出
   ANA・ANA カーゴとの協業による航空貨物事業への参入

(3)第 3 ブランド
 中距離東南アジア・豪州路線を中心に拡大が見込まれるレジャー需要獲得を担う新たな低コストエアライン
    を立ち上げ、国際線の需要の回復をにらみながら 2022 年度を目途に運航を開始
   エアージャパンを母体とすることで、速やかな事業立ち上げが可能であり、急激な需要動向の変化への柔
    軟な対応力を保持
   300 席級の ANA で使用されているボーイング 787 型機を活用することで、低ユニットコストを実現


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2.グループ事業におけるビジネス・モデルの変革
 顧客との強力なタッチポイントであるエアライン事業、旅行事業、日常的な購買を中核に、プラットフォーム・
  ビジネスを具現化し、グループにおける非航空収益を拡大します。
 10 年以上にわたりノウハウを蓄積してきた首都圏を含む地域創生事業について、地域の窓口を明確化し、
  ANA グループが持つさまざまなリソースを活用することで、地域と ANA グループ双方の利益創出を目指しま
  す。

(1)新しいプラットフォーム・ビジネスの具現化
 ANA X が中心となり、当社グループが蓄積してきた顧客データと ANA アプリやホームページ等のデジタルタ
   ッチポイントを活用したプラットフォーム・ビジネスを具現化
 エアライン事業、旅行事業、4 兆円規模※の決済額を持つ ANA カード事業を中核に、ANA グループ全体でお
   客様のライフタイム・バリューの最大化を図り、航空に留まらない価値を創出
  ※2019 年度 当社調べ




(2)旅行事業の再編とデジタル化
 ANA セールスを会社分割の上、旅行事業は ANA X と統合し、プラットフォーム事業会社へと再編
   (2021 年 4 月予定)
 旅行事業のデジタル化により顧客を ANA グループのプラットフォームサービスへ誘導

(3)航空セールス事業の地域創生事業会社への進化
 ANA セールスの航空セールス事業における航空券及び旅行販売業務は効率化。ANA グループ地域代表
   として地域と ANA グループを結び連携をさらに深め、双方の利益を創出。地域の魅力的な有形・無形の商
   材を発掘・開発し、プラットフォームに展開する地域創生事業会社へと進化




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3.エアライン事業の規模を一時的に小さくすることでコロナのトンネルを抜ける

 コロナ危機を確実に乗り切るコスト構造に転換するため、需要に合わせてエアライン事業規模とグループ内
  の路線分担を最適化、機材数の削減など固定費を中心とした更なるコスト削減を実行します
 コスト削減を図るとともに、将来の成長に向け雇用を維持する施策を実施します
 費用削減効果の見通しは、2020 年度で約▲1500 億円※、2021 年度は約▲2500 億円※となります
    ※2020 年度当初計画との比較、固定費を中心としたコスト削減施策の合計

 
(1)ウィズコロナにおけるエアライン事業の規模、拠点・ネットワークの見直し
① ANA ブランド
  【国際線】 各国における出入国規制や検疫体制、需要動向等を踏まえ、羽田から運航を回復
  【国際線】 成田も重要な結節点として段階的に運航を再開
  【国内線】 高需要路線を中心にネットワークを維持、機材の小型化により生産量を適正化
② Peach
  【国際線】 需要動向に応じて機動的に運航を再開
  【国内線】 LCC の強みを活かし ANA との路線分担を進めながら、関西・成田を中心に就航路線を拡大
  【国内線】 12 月より中部空港へ進出

(2) 固定費を中心としたコスト構造の見直し
① 大型機を中心とした機材数の削減
 ANA では、当初計画していた 7 機に加え、28 機を早期に退役。2020 年度の退役は、合計 35 機
 追加退役するボーイング 777 型機計 22 機に加えて、エアバス A380 型機 1 機とボーイング 777 型機 1 機の
    受領延期により、24 機の大型機を削減
 2020 年度末時点におけるグループ全体の機材数は、当初計画から 33 機を削減し、連動した整備コストを
    削減
 発注済み機材のデリバリー、前払金支払いの先送りによる設備投資額の圧縮




②   調達・物流コストの削減
   調達部門への調達機能の一元化により、購買・配送・倉庫管理を強化
③   オフィスの返却を通した賃借面積の削減
   主に働き方の変化に合わせた執務スペースの見直しによるオフィスを縮減・集約・返却を実施
④   収益貢献しない事業・資産の見直し
   PanAm USA の事業売却及び会社清算
⑤    整備体制の連携強化
   ANA・Peach・パートナーエアラインの連携を深化させ、高い生産性の整備部門を実現



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(3) 将来の成長のための雇用維持施策
内製化、外部出向などにより、委託費および人件費の削減を図るとともに、将来の成長のために雇用を維持し
ます。

① 外注業務の内製化
 海外に委託していた航空機やエンジン等の整備作業や、グループ会社から更に外部に再委託していた空
  港ハンドリングなどの外注業務を内製化
② ANA グループ内における人員配置の変更
 各拠点における事業規模の変化に伴い、空港会社間の人事異動などにより生産体制を最適化
③ ANA グループ外企業などへの出向
 接遇サービススキル向上や交流を通じた人財育成と、グループ外企業での就労経験で獲得した知見など
  を、ANA グループにおける新たな価値の醸成に活用することを目的として、人員が不足している ANA グル
  ープ外の企業などへの出向を実施
 出向先での業務内容は、コールセンターやホテルのコンシェルジェ、企業の受付・事務・企画業務などで、
  12 月までに約 10 社 100 名程度を予定。今後も随時規模を拡大し来春には 400 名以上を見込む
④ 賃金・雇用に関する施策
 グループ役職員の報酬・賃金・一時金の削減や、休業・休職制度の拡充などの人件費抑制策を労働組合
  に提案


                                                       以 上
      ANA ホールディングス株式会社 広報・コーポレートブランド推進部 03-6735-1111




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