9104 商船三井 2021-11-30 18:15:00
株式会社宇徳株券等(証券コード 9358)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ [pdf]

                                                                   2021 年 11 月 30 日
各 位
                                      会 社 名   株式会社商船三井
                                      代表者名    代表取締役 社長執行役員
                                                         橋本 剛
                                              (コード番号:9104 東証第一部)
                                      問合せ先    財務部長 井元 誠
                                              (TEL.03-3587-7003)



          株式会社宇徳株券等(証券コード 9358)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ



 株式会社商船三井(以下「公開買付者」といいます。)は、本日開催の取締役会において、以下のとおり、株式会社
宇徳(株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)市場第一部、コード番号 9358、以下「対象者」
といいます。)の普通株式(以下「対象者株式」といいます。)を金融商品取引法(昭和 23 年法律第 25 号。その後の改
正を含みます。以下「法」といいます。)による公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)により取得することを
決議いたしましたので、お知らせいたします。



1.買付け等の目的等
(1)本公開買付けの概要
      公開買付者は、本日現在、東京証券取引所市場第一部に上場している対象者株式 28,919,526 株(所有割合
  (注):66.87%)を所有しており、対象者を連結子会社としております。公開買付者が対象者を連結子会社とする
  に至った経緯については、下記「(2) 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程、
  並びに本公開買付け後の経営方針」の「① 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定
  の過程」の「(a) 本公開買付けの背景」をご参照ください。

        (注) 「所有割合」とは、対象者が 2021 年 10 月 29 日に公表した「2022 年3月期第2四半期決算短信〔日
           本基準〕(連結)」(以下「対象者決算短信」といいます。)に記載された 2021 年9月 30 日現在の対象
           者の発行済株式総数(43,448,099 株)から、同日現在の対象者が所有する自己株式数(200,910 株)
           を控除した株式数(43,247,189 株)に占める割合をいいます(小数点以下第三位を四捨五入しており
           ます。以下所有割合の記載について他の取扱いを定めない限り同じです。)。

      この度、公開買付者は、本日開催の取締役会において、対象者株式の全部(但し、公開買付者が所有する対
  象者株式及び対象者が所有する自己株式を除きます。以下同じです。)を取得し、対象者を公開買付者の完全
  子会社とすることを目的とする取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、本公開買付けを実施することを
  決定いたしました。

      公開買付者は、対象者を公開買付者の完全子会社とすることを目的としているため、本公開買付けにおいて、
  買付予定数の上限を設定しておりません。また、公開買付者は、本公開買付けにより売却を希望される対象者
  株主の皆様に確実な売却機会を提供するため、本公開買付けにおいて買付予定数の下限を設定しておらず、本
  公開買付けに応じて応募がなされた株券等(以下「応募株券等」といいます。)の全部の買付け等を行います。公
  開買付者は、対象者を公開買付者の完全子会社とすることを目的としているところ、上記のとおり、対象者株式
  28,919,526 株(所有割合:66.87%)を所有しているため、本公開買付けを行うことなく、対象者に会社法(平成 17
  年法律第 86 号。その後の改正を含みます。以下「会社法」といいます。)第 180 条に基づく対象者株式の併合(以
  下「株式併合」といいます。)の実施を要請すること等により、対象者を完全子会社とすることも可能と考えており
  ます。もっとも、本公開買付けを前置することにより、本取引に関して適切な情報開示を行うことで、対象者の株
  主の皆様に対して本取引につき適切な判断機会を確保し、もって本取引の公正性を担保することを企図していま

                                  1
 す。

  なお、公開買付者は、対象者を公開買付者の完全子会社とすることを目的としているため、本公開買付けにお
 いて対象者株式の全部を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、下記「(4) 本公開買付け後の
 組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載されている対象者の株主を公開買付者のみと
 するための一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)を実施することにより、対象者株式の全部
 を取得することを予定しております。なお、仮に本公開買付けが撤回等された場合(撤回等の条件については、
 下記「2.買付け等の概要」の「(9) その他買付け等の条件及び方法」の「② 公開買付けの撤回等の条件の有
 無、その内容及び撤回等の開示の方法」をご参照ください。)や本公開買付けに対して一切の応募が行われな
 かった場合等、本公開買付けが不成立となった場合には、本公開買付けが不成立となった理由・背景等の分析
 を踏まえ、対象者との間で公開買付者による本スクイーズアウト手続の実施について協議を行うことを想定して
 おりますが、本公開買付けが不成立となった場合に本スクイーズアウト手続を実施するか否かの方針は、本書
 提出日時点では未定です。

  また、対象者が本日公表した「当社親会社である株式会社商船三井による当社株式に対する公開買付けに係
 る賛同の意見表明及び応募推奨に関するお知らせ」(以下「対象者プレスリリース」といいます。)によれば、対象
 者は、本日開催の対象者取締役会において、本公開買付けに関して、賛同の意見を表明するとともに、対象者
 の株主の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨することを決議したとのことです。

  対象者の意思決定にかかる詳細は、対象者プレスリリース及び下記「2.買付け等の概要」の「(4) 買付け等
 の価格の算定根拠等」の「② 算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反
 を回避するための措置等本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「(viii) 対象者における利害関係を
 有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」をご参照ください。

  なお、公開買付者は、2021 年 11 月 30 日開催の取締役会において、本取引と同様に、公開買付者の連結子
 会社であるダイビル株式会社(以下「ダイビル」といいます。)を公開買付者の完全子会社とする取引の一環とし
 て、ダイビルの普通株式を公開買付け(以下「ダイビル公開買付け」といいます。)により取得することも併せて決
 議しておりますが、公開買付者は、本取引とダイビル公開買付けを、それぞれ別個独立の取引として検討し、対
 象者・ダイビルと個別に協議した結果、本取引及びダイビル公開買付けの実施をそれぞれ決定したものであり、
 本取引とダイビル公開買付けとはそれぞれ独立した取引です(公開買付者がダイビル公開買付けについて検討
 を開始した経緯その他ダイビル公開買付けの詳細は、公開買付者が本日付で公表した「ダイビル株式会社株券
 等(証券コード 8806)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」をご参照ください。)。


(2)本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程、並びに本公開買付け後の経営方針
 ① 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程
  (a)   本公開買付けの背景

         公開買付者は、1964 年4月、大阪商船株式会社と三井船舶株式会社の合併により発足した大阪商船三
        井船舶株式会社が、1999 年4月にナビックスライン株式会社と合併し、現在の商号となった会社であります。
        大阪商船株式会社は、1884 年5月、関西の船主が大同合併して資本金 1,200 千円をもって創立された定期
        船(注1)の保有及び運航を行う会社であります。三井船舶株式会社は、明治初期より海上輸送事業を行っ
        ていた三井物産株式会社の船舶部が、1942 年 12 月 28 日に分離独立し、資本金 50,000 千円をもって設立
        されました。大阪商船株式会社と三井船舶株式会社は、第二次世界大戦により所有船舶のほとんど及び自
        主運航権を失いましたが、1950 年4月に海運の民営還元が実現した後、運航権の回復と船舶の整備拡充
        に努めた結果、1950 年代前半には第二次世界大戦前の主要航路での運航を再開することができました。
        その後、上記のとおり 1964 年4月に実施された大阪商船株式会社と三井船舶株式会社の合併(合併後の
        商号は大阪商船三井船舶株式会社)を経て、わが国貿易の発展及び海上輸送形態と積荷の多様化に対応
        して事業の拡大と多角化に努めてまいりました。

         大阪商船株式会社は 1884 年6月に大阪株式取引所(現、株式会社大阪取引所)に、三井船舶株式会社

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は 1949 年5月に東京・大阪・名古屋の各証券取引所にそれぞれ上場し、1964 年には国内全ての証券取引
所において上場しました。その後 2007 年 11 月に証券会員制法人札幌証券取引所、2013 年5月に証券会
員制法人福岡証券取引所、2013 年7月に株式会社大阪証券取引所(現、株式会社大阪取引所)市場第一
部、2017 年5月に株式会社名古屋証券取引所市場第一部において上場を廃止し、現在、公開買付者は東
京証券取引所市場第一部に上場しております。

     2021 年9月 30 日現在、公開買付者の連結対象会社(対象者を含みます。)は 481 社(うち、連結子会社
369 社、持分法適用関連会社 112 社)(以下、公開買付者及び公開買付者の連結対象会社を総称して「公開
買付者グループ」といいます。)であり、公開買付者グループは海運業を中心にグローバルな事業展開を
図っております。公開買付者グループの事業は、ドライバルク船事業、エネルギー輸送事業、製品輸送事
業、関連事業及びその他の5セグメントに分類されており、それぞれの事業の概要は以下のとおりです。

I.     ドライバルク船事業:公開買付者グループは、ドライバルク船(注2)(火力発電用の石炭を輸送する
       石炭船を除く。)を保有、運航し、世界中で海上貨物輸送を行っております。

II.    エネルギー輸送事業:公開買付者グループは、火力発電用の石炭を輸送する石炭船、油送船、海洋
       事業・LNG船等を保有、運航し、世界中で海上貨物輸送を行っております。

III.   製品輸送事業:公開買付者グループは、自動車専用船(注3)を保有、運航し、世界中で海上貨物輸
       送を行っております。また、コンテナ船の保有、運航、コンテナターミナルの運営、航空・海上フォワー
       ディング(注4)、陸上輸送、倉庫保管、重量物輸送等の「トータル・物流ソリューション」を提供しており
       ます。さらに、公開買付者の連結対象会社である商船三井フェリー株式会社及び株式会社フェリーさ
       んふらわあが、主として太平洋沿海及び瀬戸内海でフェリーを運航し、旅客及び貨物輸送を行ってお
       ります。

IV.    関連事業:ダイビルを中心として不動産事業を行っているほか、公開買付者グループは、客船事業、
       曳船業、商社事業(燃料・舶用資材・機械販売等)等を営んでおります。

V.     その他:エム・オー・エル・シップマネージメント株式会社等の連結対象会社を通じて、油送船とLNG
       船を除く船舶の船舶管理業、グループの資金調達等の金融業、情報サービス業、経理代行業、海事
       コンサルティング業等を営んでおります。

       (注1)   「定期船」とは、始発港、寄港地、到着港、発着予定日、航路名などをあらかじめ公表して、
              一定航路を定期的に航海する船です。

       (注2)   「ドライバルク船」とは、梱包されていない穀物・鉱石・セメントなどのばら積み貨物を船倉に
              入れて輸送するために設計された貨物船です。

       (注3)   「自動車専用船」とは自動車の輸送に特化した船です。

       (注4)   「フォワーディング」とは、輸送の依頼主(荷主)と実際の輸送業者(キャリア)の間に立って、
              貿易事務や輸送手配に付随して発生する専門業務を支援する業務です。



 一方、対象者プレスリリースによれば、対象者は、1890 年3月に宇都宮徳蔵個人経営の宇都宮徳蔵回漕
店として横浜に創業し、1949 年1月に商号を宇徳運輸株式会社と改称した後、関東をはじめ、東北、北陸及
び関西といった地域への進出を行う中で業容拡大を進め、2007 年8月に、現在の社名である株式会社宇徳
に変更したとのことです。設立当時は主に回漕業を中心として行っておりましたが、その後、港湾事業(注
5)、プラント・物流事業(注6)へ事業を拡大し、現在では対象者売上高の 38%を港湾事業が、61%をプラン
ト・物流事業が占めているとのことです。また、1962 年9月、東京証券取引所市場第二部に上場し、1980 年
9月に東京証券取引所市場第一部に指定された後、米国、東南アジア及び中国への進出を経て、本日現
在、対象者は、対象者及び連結子会社 16 社(宇徳ロジスティクス株式会社、宇徳港運株式会社、宇徳トラン


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スネット株式会社、ターミナル・エンジニアリング株式会社、九州宇徳株式会社、宇徳流通サービス株式会
社、株式会社宇徳ビジネスサポート、宇徳プラントサービス株式会社、宇徳ターミナルサービス株式会社、
宇徳通運株式会社、UTOC ENGINEERING PTE.LTD.、UTOC (THAILAND) CO.,LTD.、UTOC AMERICA, INC.、
ASIA UTOC PTE.LTD.、UTOC PLANT CONSTRUCTION SDN.BHD.、宇徳物流(天津)有限公司)により構成
されるグループ(以下「対象者グループ」といいます。)として事業活動を展開するに至っているとのことです。

対象者は「顧客のニーズと時代の要請に沿った高品質なサービスの提供を通じ社会に貢献し、企業価値の
向上を目指すこと、社会規範と企業倫理に則った透明性の高い経営を行い、チャレンジ精神豊かな人間性
を尊ぶ企業を目指すこと、全ての事業領域での安全確保の徹底と環境保全に努めること」を理念に成長を
続けているとのことです。

    (注5)   港湾事業においては、京浜港(東京港、横浜港)、千葉港、茨城港を中心に、コンテナ船・自
           動車専用船・在来船・RO/RO 船(注7)等の各種本船荷役(注8)や、コンテナ船・RO/RO 船
           ターミナルオペレーションを行うとともに、対象者の港湾倉庫においてコンテナへの貨物の
           積卸し等のサービスを提供しているとのことです。

    (注6)   プラント・物流事業はプラント事業と物流事業に大別され、プラント事業においては、発電所
           関連等の大型設備の輸送・据付作業、石油化学をはじめとした各種プラントの建設・定修工
           事、高速道路等の橋梁の架設・撤去作業等において、設計・計画から施工管理までのサー
           ビスを提供しているとのことです。また、物流事業においては、対象者の物流倉庫、及び対
           象者グループの輸送車両等を活かし、食品から重量物まで多種多様な貨物に応じた国内外
           輸送手配、通関、倉庫保管、梱包等の複合一貫サービスを提供しているとのことです。

    (注7)   「RO/RO 船」とは、貨物を積載したトラックやトレーラーごと運搬が可能な貨物用の船舶のこ
           とをいい、RO/RO とは、ROLL-ON/ROLL-OFF の略称となります。

    (注8)   「本船荷役」とは、港湾内において船舶と陸地との間で行われる貨物の積卸作業全般をい
           います。



 対象者と公開買付者の資本関係については、公開買付者の前身である三井船舶株式会社が、1951 年に
資本参加し、2004 年3月 31 日現在、対象者株式 6,162,975 株(2004 年3月 31 日現在の持株割合(当該時
点の対象者の発行済株式総数から当該時点の対象者が所有する自己株式数を控除した数に対する割合
を意味します。小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、本段落の「持株割合」の記載において同
じです。):21.32%、同日現在の発行済株式総数:29,106,000 株、同日現在の自己株式数:197,686 株)を所
有するに至りました。その後、公開買付者は、港湾運送業務における取引関係維持及び関連会社としての
関係維持のため、2005 年2月 25 日付で三井物産株式会社の所有する対象者株式 2,910,000 株を取得し、
同日現在 9,072,975 株(2005 年2月 25 日現在の持株割合:31.39%、同日現在の発行済株式総数:
29,106,000 株、2004 年3月 31 日現在の自己株式数:197,686 株)を所有するに至りました。また、公開買付
者は、2006 年2月に、中核事業である外航海運を基軸に、強固な企業グループの実現、及びグループ経営
の促進を図るため、対象者を公開買付者グループ企業と明確に位置付けることを目的として、対象者株式
への公開買付け(買付け等の期間:2006 年2月6日から同月 27 日、買付予定数の上限:5,390,000 株、買付
予定数の下限:なし)を行い、2006 年3月7日付で対象者株式 5,390,551 株を新たに取得したことにより、同
日現在 14,463,526 株(2006 年3月7日現在の持株割合:50.05%、同日現在の発行済株式総数:29,106,000
株、同日現在の自己株式数:207,899 株)を所有し、対象者を連結子会社といたしました。その後、公開買付
者は、2011 年4月1日付の対象者と国際コンテナターミナル株式会社の合併の対価として対象者株式
14,456,000 株の割当てを受け、同日現在 28,919,526 株(2011 年4月1日現在の持株割合:66.87%、同日現
在の発行済株式総数:43,448,099 株、同日現在の自己株式数:200,052 株)の対象者株式を所有することな
り、本日現在、対象者株式 28,919,526 株(所有割合:66.87%)を所有するに至っております。



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(b)   公開買付者が本公開買付けを実施するに至った経緯・目的

       公開買付者グループの主たる事業分野である海運業は、世界各国の資源・原材料・製品の生産動向が
      輸送需要に直接的に影響する性質を有しており、世界経済全体の成長に伴い各国の生産動向の変動要因
      が多様化していることから、需要の見通しが立てにくい状況となりつつあります。また、近年は業界全体とし
      て LNG 等のクリーン代替燃料を利用した新型船舶の導入に向けた取り組みが進んでおりますが、こうした
      取り組みは技術革新という不確実な要素に左右される側面があることから、供給面についても将来予測が
      難しくなっています。このように需要・供給の両面において業界の見通し分析が年々難易度を増しているこ
      とから、コンテナ船事業をはじめ、鉄鉱石輸送を中心としたドライバルク事業やエネルギー輸送に従事する
      タンカー事業を含め、海運業に係る業界の成長性及び将来予測は不確実性を増しており、公開買付者は、
      運航や貨物の取り扱いの専門性が高くないがゆえに参入障壁が低い一般的な海上輸送事業を継続するだ
      けで公開買付者グループが中長期的に成長を続けていくことはもはや難しくなってきているとかねてより考
      えておりました。また、近年ますます顕著になっている、SDGs に代表される社会の持続性に関する世界的
      な大きな流れ、特に、気候変動をはじめとした環境問題への対応は、社会の要請が日に日に高まっており、
      公開買付者グループにとっても避けては通れない喫緊の課題と認識しております。公開買付者グループは、
      2021 年4月1日に公開買付者グループの企業理念とグループビジョンの改訂を行い、社会の長期的な繁栄
      のために、公開買付者グループが強みを持つ分野で貢献し、海運業にとどまらない幅広い社会インフラ事
      業をグローバルに展開しながら価値創造を行っていくこと、また、2021 年6月 18 日に公開買付者グループ
      の環境ビジョンを改訂した「商船三井グループ 環境ビジョン 2.1」においては、公開買付者グループ総力を
      挙げて、各業界のリーダーと共に、社会の温室効果ガス排出削減を目指す「2050 年ネットゼロ・エミッション」
      を謳っており、それによって公開買付者グループ自身の持続的な成長も可能になると考えております。

       公開買付者グループの主たる事業分野である海運業は、需要が景気や市況の変動による影響を受けや
      すく、業界として極端な好景気と不景気を繰り返す性質があるとともに、中長期的には、石炭・石油などの化
      石燃料エネルギーの輸送需要の減少や重油からLNG等のクリーン代替燃料への船舶燃料の切り替えの
      過程における追加投資負担や代替燃料価格変動などによる脱炭素化の影響による収益の不安定化等の
      不確実性があります。このような環境の中、対象者を公開買付者の完全子会社とすることは、海運業と親
      和性は高いものの、海運業とは異なる事業特性を持ち市況変動も限定的である港湾事業及び物流事業の
      事業ポートフォリオ上の比重を高めることに繋がり、伝統的な海運業に対する依存度を相対的に低下させ
      ることによるグループ全体として常に安定的な利益を上げられるような体質の強靭化及び海運業の中で
      培ってきた公開買付者グループの持つ強みやネットワークを活かせる新規事業領域への多様化に資する
      と考えております。また、対象者を公開買付者の完全子会社とすることで、上場会社として独立性の維持の
      観点から制限のあった対象者グループと公開買付者グループの間での顧客基盤、事業基盤、財務基盤等
      の経営資源の相互活用が可能になり、対象者グループを公開買付者グループにおける国内地域事業の中
      核と位置付け、その他の公開買付者グループ企業と情報共有・顧客基盤、事業基盤、財務基盤等の経営資
      源の相互活用も含めて連携・協業させることで、公開買付者グループの事業領域の拡大を図ることができ
      ると考えております。

       一方で、公開買付者は、対象者グループにおいては、対象者が公開買付者の完全子会社となることで、
      一時的な投資負担の増加や短期的な業績悪化が株主に与える影響を考慮することなく、これまで以上に迅
      速な意思決定が可能となること及び上場会社として独立性の維持の観点から制限のあった対象者グルー
      プと公開買付者グループの間での顧客基盤、事業基盤、財務基盤等の経営資源の相互活用が可能になる
      ことで、より中長期的視点に立脚した成長戦略の推進が可能になると考えております。具体的には、対象者
      グループの港湾事業においては、昨今、船社の統合によりユーザーである船社数が減少する中、総務省
      統計局の人口推計の示す人口減少等を背景とする輸出入貨物量の鈍化も想定されることから、これまで以
      上に顧客に提供するサービスの品質及び価格競争力の向上に向けた取り組みが必要となっており、本取
      引後は、上記のとおり対象者が公開買付者の完全子会社となることで、上場会社としての独立性の維持の


                             5
ために存在した制限がなくなるとともに、一時的な投資負担の増加や短期的な業績悪化が対象者の一般株
主に与える影響を考慮する必要が無くなるため、短期的な業績動向や利益にとらわれずに、中長期的な視
点に基づき、公開買付者グループのネットワークによる戦略的提携や、公開買付者グループの資本を活用
したコスト競争力確保のための新規投資を推進し、同事業をより強化していくことが可能になると考えてお
ります。また、公開買付者は、対象者グループはプラント・物流事業において安定した事業基盤を保有して
おり、特に祖業である重量物輸送においては高い技術力を持っていると認識しております。今後、国内では
老齢インフラの代替や風力発電等の環境関連プラントの新設等による底堅い需要が見込まれる中で、本取
引後は、公開買付者グループ及び対象者グループ、それぞれのグループ間で更なる連携強化を図り、見
込まれる需要を取り込むことで事業拡大をより推進したいと考えております。加えて、海外事業においても、
公開買付者グループのグローバルな事業基盤を活用し、対象者グループのプラント・物流事業をさらに拡
大させることを見込んでおります。

 公開買付者は 2006 年3月7日付で対象者を連結子会社として以降、上場会社としての対象者の独立性
を尊重しながら、公開買付者グループとしての一体運営及びシナジー実現を進めてまいりました。しかしな
がら、公開買付者としては、現在、対象者が上場会社であり、公開買付者グループと対象者グループの間
での顧客基盤、事業基盤、財務基盤等の経営資源を相互活用及び最適化することに独立性の観点から制
限があることから、対象者グループの上場を維持したままでは、前二段落に記載した、公開買付者が本公
開買付け後に実施することを想定している公開買付者グループのネットワークによる戦略的提携や、公開
買付者グループの資本を活用したコスト競争力確保のための新規投資の推進による港湾事業の更なる強
化、プラント・物流事業における更なる連携強化による事業拡大の推進、公開買付者グループのグローバ
ルな事業基盤を活用した対象者グループのプラント・物流事業の更なる拡大等の施策を実行することは難
しいと考えております。また、公開買付者は、上記の施策は中長期的には対象者グループの企業価値向上
に資すると考えているものの、短期的には対象者グループの投資額の増加や業績の不安定さを招く可能
性もあり、短期的には対象者の既存の一般株主の皆様の利益と必ずしも一致しないことも想定されること
から、対象者を連結子会社として以降、対象者との資本関係の在り方について内部で慎重な検討を重ねて
まいりました。そして、公開買付者は、2021 年4月5日付で発表した公開買付者グループの 2021 年度に係
る経営計画「ローリングプラン 2021」の策定以降、上記の施策の実現及び対象者グループの中長期的な
目線での成長戦略、経営戦略の実行のための対象者との資本関係について、公開買付者社内での検討を
加速させ、その結果、2021 年8月上旬、対象者を公開買付者の完全子会社とし、株主を公開買付者のみと
することが対象者グループを含めた公開買付者グループとしての一体的な運営及び上記の施策の実現の
ために最適であり、公開買付者グループ及び対象者グループ双方の企業価値の向上にとって最善の選択
であるとの考えに至りました。また、公開買付者は、上記「1.買付け等の目的」の「(1) 本公開買付けの概
要」に記載のとおり、対象者を公開買付者の完全子会社とすることを目的としているところ、上記のとおり、
対象者株式 28,919,526 株(所有割合:66.87%)を所有しているため、本公開買付けを行うことなく、対象者に
株式併合の実施を要請すること等により、対象者を完全子会社とすることも可能と考えております。しかし
ながら、本公開買付けを前置することにより、本取引に関して適切な情報開示を行うことで、対象者の株主
の皆様に対して本取引につき適切な判断機会を確保し、もって本取引の公正性を担保することを企図して、
本公開買付けを実施することを決定いたしました。公開買付者は、親子上場の解消について、2019 年6月
28 日に経済産業省が「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」を公表するなど、上場子会社の
ガバナンス体制の公正性・透明性がより一層要請される中で、公開買付者による対象者の完全子会社化を
行うことは、昨今のグループガバナンスに関する議論の潮流に沿ったものであると考えております。

 こうした認識のもと、公開買付者は 2021 年8月上旬に、公開買付者グループ及び対象者グループから独
立した財務アドバイザーとしてゴールドマン・サックス証券株式会社(以下「ゴールドマン・サックス」といいま
す。)を、法務アドバイザーとして森・濱田松本法律事務所をそれぞれ選任し、本取引に関する本格的な検
討を開始し、本取引の一環として公開買付けの手法により対象者株式の取得を行うことで対象者の少数株
主に合理的な株式売却の機会を提供することが適切であると考え、2021 年9月 30 日に対象者に対して公
開買付けの手法により本取引を行うことを提案するとともに公開買付者及び対象者の間で、本取引の実施


                          6
      の有無及び条件について協議を開始したい旨の初期的な打診を行い、対象者と協議を進めることで合意い
      たしました。その後、2021 年 10 月 22 日に対象者より 2022 年3月期から 2027 年3月期の事業計画(以下
      「対象者事業計画」といいます。)を受領するとともに、同年 10 月 28 日に対象者から対象者事業計画に関
      する説明を受け、同年 10 月 29 日に、対象者に対して、対象者株式の市場株価推移分析、及び対象者事業
      計画を踏まえた財務予測モデル分析等に基づく対象者の本源的な企業価値、並びに対象者による本公開
      買付けへの賛同の可否及び本公開買付けの成立の見通しを総合的に勘案して、本公開買付けにおける対
      象者株式の買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)を1株当たり 680 円とすることを含む、
      本取引に関する正式提案を行いましたが、同年 11 月4日に、対象者から、1株当たり 680 円については、
      非公開化を前提とした親子会社間の公開買付けの他事例と比較し、合理的な水準のプレミアムが市場株
      価に上乗せされているように思われないこと及び DCF 法(下記「2. 買付け等の概要」の「(4) 買付け等の
      価格の算定根拠等」の「②算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相
      反を回避するための措置等本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「(ii) 対象者における独立
      したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」において定義しま
      す。以下同じです。)により評価される対象者の理論株価の算定レンジに照らして対象者の企業価値を十分
      に反映した価格であるとは考えられないことを理由に、対象者少数株主にとって十分な価格であるとはいえ
      ないとして本公開買付価格の再検討を要請されました。その後、 公開買付者は、本公開買付価格の再検
      討を要請されたことを踏まえ、同月5日に本公開買付価格を1株当たり 700 円に引き上げる旨の提案を行い
      ましたが、同月8日に、対象者から、上記と同様の理由によりいまだ対象者少数株主にとって十分な価格で
      あるとはいえないという結論に至ったとして、改めて本公開買付価格の引き上げの検討を要請されました。
      公開買付者は、同月 12 日に、対象者に対して改めて本公開買付価格を1株当たり 710 円とする旨の提案
      を行いましたが、同月 16 日に、対象者から、1株当たり 710 円についても上記と同様の理由によりいまだ対
      象者少数株主にとって十分な価格であるとはいえないという結論に至ったとして、本公開買付価格の再検
      討を要請されました。その後も、公開買付者は、同月 17 日に、本公開買付価格を1株当たり 715 円とする
      旨の提案を行いましたが、同月 22 日に、対象者から、1株当たり 715 円についても上記と同様の理由によ
      りいまだ対象者少数株主にとって十分な価格とはいえないとして再検討を要請され、同月 25 日に本公開買
      付価格を1株当たり 725 円とする最終提案を行い、同月 29 日、最終的な意思決定は本特別委員会の答申
      を踏まえた上で取締役会決議を経てなされるという前提のもと本公開買付価格を 725 円とする旨の提案を
      受諾することが相当である旨、対象者より回答を受けました。

       以上の経緯のもとで、公開買付者は、本日開催の取締役会において、森・濱田松本法律事務所から受け
      た法的助言、ゴールドマン・サックスから受けた財務的見地からの助言及びゴールドマン・サックスから取
      得した同年 11 月 30 日付の株式価値算定書(以下「GS 算定書」といいます。)の内容も踏まえ、公開買付者
      による対象者の完全子会社化を目的とした本公開買付けを実施することを決議いたしました。なお、GS 算
      定書の概要については、下記「2.買付け等の概要」の「(4) 買付け等の価格の算定根拠等」の「① 算定
      の基礎」をご参照ください。



(c)   対象者における意思決定の過程及び理由

      (ⅰ)検討体制の構築の経緯

       対象者プレスリリースによれば、対象者は、2021 年9月 30 日に公開買付者より公開買付けの手法により
      本取引を行うことを提案されるとともに公開買付者及び対象者の間で、本取引の実施の有無及び条件につ
      いて協議を開始したい旨の初期的な打診を受け、公開買付者と協議を進めることで合意したとのことです。
      その後、本公開買付価格及びその他本公開買付けを含む本取引の公正性を担保すべく、公開買付者及び
      対象者から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として野村證券株式会社(以下
      「野村證券」といいます。)を、公開買付者及び対象者から独立したリーガル・アドバイザーとしてアンダーソ
      ン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業(以下「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」といいます。)を、
      それぞれ 2021 年 10 月中旬に選任したとのことです。そして、対象者は、対象者が公開買付者の連結子会

                                 7
社であり、本取引が構造的な利益相反及び情報の非対称性の問題が類型的に存する取引に該当すること
に鑑み、これらの問題に対応し、本取引の公正性を担保するため、アンダーソン・毛利・友常法律事務所の
助言を踏まえ、直ちに、公開買付者から独立した立場で、対象者の企業価値の向上及び対象者の少数株
主の皆様の利益の確保の観点から本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制の構築を開始した
とのことです。

 具体的には、対象者は、下記「2.買付け等の概要」の「(4) 買付け等の価格の算定根拠等」の「② 算定
の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等本公
開買付けの公正性を担保するための措置)」の「(iv) 対象者における独立した特別委員会の設置及び特
別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、2021 年 10 月中旬から、対象者の独立社外取締役、独立
社外監査役及び社外有識者から構成される特別委員会の設置に向けた準備を進めたとのことです。その
上で、同年 10 月 18 日開催の取締役会における決議により、中井元氏(対象者の独立社外取締役)、河合
千尋氏(対象者の独立社外監査役、ベイサイド・パートナーズ会計事務所代表、横浜市公立大学法人評価
委員会委員)、高橋明人氏(弁護士、高橋・片山法律事務所)の3名から構成される特別委員会(以下「本特
別委員会」といいます。本特別委員会の設置等の経緯、検討の経緯及び判断内容等については、下記「2.
買付け等の概要」の「(4) 買付け等の価格の算定根拠等」の「② 算定の経緯」の「(本公開買付価格の公
正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等本公開買付けの公正性を担保するた
めの措置)」の「(iv) 対象者における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」を
ご参照ください。)を設置し、本特別委員会に対し、(ⅰ)本取引の目的が合理的と認められるか(本取引が
対象者の企業価値向上に資するかという点を含む。)、(ⅱ)本取引に係る手続の公正性が確保されている
か、(ⅲ)本取引の条件(本公開買付価格を含む。)の妥当性が確保されているか、(ⅳ)上記(ⅰ)から(ⅲ)
を踏まえて、本取引が対象者の少数株主にとって不利益なものではないと考えられるか、(v)対象者取締
役会が本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、対象者の株主に対して本公開買付けに応募する
ことを推奨する旨の決議を行うことの是非(以下、これらを総称して「本諮問事項」といいます。)について諮
問したとのことです。また、対象者取締役会は、本特別委員会の設置にあたり、本取引に関する対象者取
締役会の意思決定は、本特別委員会の判断内容を最大限尊重して行われるものとし、特に本特別委員会
が本取引に関する取引条件を妥当でないと判断したときには、対象者取締役会は当該取引条件による本
取引に賛同しないこと、並びに①本特別委員会が必要と認める場合には、自らのファイナンシャル・アドバ
イザー及びリーガル・アドバイザー等のアドバイザーを選任する(その場合の合理的な費用は対象者が負
担する。)、又は、対象者のアドバイザーを承認する権限、②対象者の役職員その他本特別委員会が必要
と認める者から本取引の検討及び判断に必要な情報を受領する権限、並びに、③本特別委員会が必要と
認める場合には、公開買付者との間で本取引の取引条件等の協議及び交渉を行う権限を付与すること等
を決議したとのことです(当該取締役会における決議の方法については、下記「2.買付け等の概要」の「(4)
買付け等の価格の算定根拠等」の「② 算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置
及び利益相反を回避するための措置等本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「(iv) 対象者
における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)。なお、本
特別委員会は、下記「2.買付け等の概要」の「(4) 買付け等の価格の算定根拠等」の「② 算定の経緯」の
「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等本公開買付け
の公正性を担保するための措置)」の「(iv) 対象者における独立した特別委員会の設置及び特別委員会
からの答申書の取得」に記載のとおり、上記の権限に基づき、2021 年 10 月 29 日、独自のファイナンシャ
ル・アドバイザー及び第三者算定機関として山田コンサルティンググループ株式会社(以下「山田コンサル」
といいます。)を選任したとのことです。

 また、対象者は、下記「2.買付け等の概要」の「(4) 買付け等の価格の算定根拠等」の「② 算定の経緯」
の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等本公開買付
けの公正性を担保するための措置)」の「(iv) 対象者における独立した特別委員会の設置及び特別委員
会からの答申書の取得」に記載のとおり、本特別委員会において、対象者のファイナンシャル・アドバイ
ザー及び第三者算定機関である野村證券並びに対象者のリーガル・アドバイザーであるアンダーソン・毛


                        8
利・友常法律事務所について、その独立性及び専門性に問題がないことを確認の上、その選任の承認を受
けたとのことです。

 さらに、対象者は、下記「2.買付け等の概要」の「(4) 買付け等の価格の算定根拠等」の「② 算定の経
緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等本公開買
付けの公正性を担保するための措置)」の「(iv) 対象者における独立した特別委員会の設置及び特別委
員会からの答申書の取得」に記載のとおり、公開買付者から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及
び判断を行うための体制(本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する対象者の役職員の範囲及びその
職務を含みます。)を対象者の社内に構築するとともに、かかる検討体制に独立性及び公正性の観点から
問題がないことについて本特別委員会の承認を受けたとのことです。


(ⅱ)判断内容

 対象者は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所から受けた本取引における手続の公正性を確保するた
めの対応についてのガイダンスその他の法的助言及び野村證券から受けた対象者株式の価値算定結果
に関する報告、公開買付者との交渉方針に関する助言その他の財務的見地からの助言を踏まえつつ、本
公開買付けを含む本取引が対象者の企業価値向上に資するか否か、及び本公開買付価格を含む本取引
に係る取引条件が妥当なものか否かについて、2021 年 10 月下旬から 11 月下旬において、慎重に協議及
び検討を行ったとのことです。

 なお、対象者における協議及び検討並びに公開買付者との交渉過程において、本特別委員会は、適宜、
対象者や対象者のアドバイザーから報告を受け、確認及び意見の申述等を行ったとのことです。対象者の
ファイナンシャル・アドバイザーは、公開買付者との交渉にあたっては、事前に対象者内で検討し、本特別
委員会の意見を踏まえた交渉方針に従って対応を行っており、また、公開買付者から本公開買付価格につ
いての提案を受領した際には、その都度、直ちに本特別委員会に対して報告を行い、その助言を踏まえて
対象者内にて検討を行い、対応を行ったとのことです。

 そして、対象者は、2021 年 11 月 29 日、本特別委員会から、(i)本取引の目的が合理的と認められる(本
取引が対象者の企業価値向上に資するものと考える旨、(ii)本取引に係る手続の公正性が確保されている
ものと考える旨、(iii)本取引の条件(本公開買付価格を含む。)の妥当性が確保されているものと考える旨、
(iv)上記(i)から(ⅲ)を踏まえて、本取引が対象者の少数株主にとって不利益なものではないと考える旨、
(v)上記(i)から(ⅳ)を踏まえれば、現時点において、対象者取締役会が本公開買付けに賛同の意見を表
明するとともに、対象者の株主に対して本公開買付けに応募することをを推奨する旨の決議を行うことは相
当(すなわち「是」)であり、対象者の少数株主にとって不利益なものではないと考える旨の答申書(以下「本
答申書」といいます。)の提出を受けたとのことです(本答申書の概要については、下記「2.買付け等の概
要」の「(4) 買付け等の価格の算定根拠等」の「② 算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保す
るための措置及び利益相反を回避するための措置等本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の
「(iv) 対象者における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照くださ
い。)。

 その結果、以下のとおり、対象者としても、本日、公開買付者の完全子会社となることにより、シナジーの
創出を見込むことができ、対象者の企業価値の向上に資するとの結論に至ったとのことです。

 対象者を取り巻く市場環境は、対象者の主要事業領域である港湾事業及びプラント・物流事業の双方に
おいて、様々な変革期を迎えているとのことです。

 具体的には、港湾事業においては、SDGs に代表される社会の持続性に関する世界的な潮流を受け、環
境への配慮と高品質なサービス提供の両立が必要となる中、船舶の大型化など港湾を取り巻く環境変化に
も積極的な設備投資を通じて柔軟に対応する必要があり、また、物流事業においては、環境に配慮した
モーダルシフト(注1)での輸送の推進や収益性の向上に向けたコスト競争力強化、技術開発及び機材の拡


                         9
充等の経営資源の投入が必要になると考えているとのことです。

 (注1)   「モーダルシフト」とは、トラック等の自動車で行われている貨物輸送を環境負荷の小さい鉄道
        や船舶の利用へと転換することをいうとのことです。


 このように様々な変革期を迎え、先行きの不透明な状況が継続するものと予想される中、上記のとおり
経営基盤の抜本的な強化のためには積極的な投資が必要であると考えられ、当該投資は、中長期的には
メリットが見込まれ、対象者の企業価値向上に資すると考えられるものの、短期的には初期費用・投資が先
行し、対象者の財務状況や業績に影響を与える可能性及び資本市場から十分な評価が得られない可能性
があると考えているとのことです。したがって、対象者の一般株主の皆様の利益を図りつつ積極的な投資を
実行することについては限界が存在するため、公開買付者が本取引の実行により対象者を公開買付者の
完全子会社とし、親子上場に係る潜在的な利益相反を排除しつつ、柔軟かつ迅速な意思決定体制を構築
するとともに、両グループ間における経営資源の共有を行うことで、対象者事業及び経営基盤の抜本的な
強化を図ることが対象者の企業価値向上に資すると考えるに至ったとのことです。



 対象者が本取引によって実現可能と考える具体的なシナジーは以下のとおりとのことです。

 ①   公開買付者グループとの経営資源の共有・経営戦略遂行に向けた意思決定の迅速化

      これまで対象者は上場会社として、対象者の少数株主の利益を尊重し、対象者としての独立性の
     確保に努めてきたとのことです。このため、公開買付者グループの経営資源を共通活用することに
     ついては、公開買付者グループと少数株主との利益相反の懸念が存在し、対象者としての独立性の
     確保のため、多大な労力を要していたとのことです。本取引後においては、公開買付者の完全子会
     社となることで、そのような公開買付者グループと少数株主の間の利益相反や独立性確保のための
     制約を回避しつつ、中長期的な成長の観点から必要な公開買付者グループとの連携及び経営資源
     の効率的活用、積極的な投資を迅速かつ円滑に行うことを通じて、対象者を含む公開買付者グルー
     プの中長期的な企業価値向上を図ることができると考えているとのことです。



 ②   人材育成の強化による人材基盤の構築

      対象者グループは、これまでも事業の発展のため多様で優秀な人材の育成、確保に努めてまい
     りましたが、少子高齢化時代が到来し、働き方への価値観が大きく変わりつつある中で、必要とする
     専門性を持ち、新たな技術導入・海外展開に対応する人材の確保・育成はより重要性を増していると
     考えているとのことです。このような中、本取引を通じて公開買付者の完全子会社となることで、より
     積極的な人材育成に関する投資が可能になるのみならず、公開買付者グループと対象者の相互の
     人材交流強化を図り、様々な職種や地域において、より実践的な経験を積む機会を増加させること
     により、対象者グループの中核となる人材を確保し、人材基盤の強化を図ることができると考えてい
     るとのことです。



 ③   上場維持コスト及び関連する業務負担軽減

      対象者株式の上場廃止により、コーポレートガバナンス・コード等への対応を含めた近時の上場
     維持に係る業務負担や、有価証券報告書等の継続的な情報開示、監査、株主総会の運営や株主名
     簿管理人への事務委託に要する費用に代表される上場維持に要する費用の削減が見込まれ、本取
     引を通じて、更なる事業成長への経営資源集中を図ることが可能になると考えているとのことです。




                         10
 また、本公開買付価格に係る交渉経緯に関し、2021 年 10 月 29 日、対象者は、公開買付者から、本公開
買付価格を1株当たり 680 円とすることを含む最初の提案を受領して以降、公開買付者との間で、本公開買
付価格を含む本取引に係る取引条件について継続的に協議及び交渉を行ってきたとのことです。具体的に
は、公開買付者から、同年 11 月5日に本公開買付価格を1株当たり 700 円とする旨の提案を、同月 12 日
に本公開買付価格を1株当たり 710 円とする旨の提案を、同月 17 日に本公開買付価格を1株当たり 715 円
とする旨の提案を受領したとのことです。このいずれに対しても、対象者は、本特別委員会から聴取した意
見(本特別委員会は、当該意見の形成にあたり、そのアドバイザーである山田コンサルから助言を受けて
いるとのことです。)並びに野村證券及びアンダーソン・毛利・友常法律事務所から聴取した意見を踏まえて
検討を行った上で、適正な価格に達していないとして、公開買付者に対し本公開買付価格の再検討を要請
したとのことです。その後も公開買付者との間で、対象者のファイナンシャル・アドバイザーを通じて、継続
的に協議及び交渉を行い、その結果、対象者は、2021 年 11 月 25 日、公開買付者から、本公開買付価格を
1株当たり 725 円とすることを含む最終提案を受けるに至ったとのことです。

 本公開買付価格に関し、対象者は、以下の点等から、本公開買付価格である1株当たり 725 円は対象者
の少数株主の皆様が享受すべき利益が確保された妥当な価格であり、本公開買付けは、対象者の少数株
主の皆様に対して適切なプレミアムを付した価格での合理的な対象者株式の売却の機会を提供するもので
あると判断したとのことです。

(a)   当該価格が、対象者において、下記「2.買付け等の概要」の「(4) 買付け等の価格の算定根拠等」
      の「② 算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避す
      るための措置等本公開買付けの公正性を担保するための措置)」に記載の本公開買付価格を含む
      本取引に係る取引条件の公正性を担保するための措置が十分に講じられた上で、本特別委員会の
      実質的な関与の下、公開買付者との間で十分な交渉を重ねた結果合意された価格であること。

(b)   当該価格が、下記「2.買付け等の概要」の「(4) 買付け等の価格の算定根拠等」の「② 算定の経
      緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等
      本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「(ⅱ) 対象者における独立したファイナンシャ
      ル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載の野村證券から 2021
      年 11 月 30 日付で提出を受けた対象者株式の価値算定結果に関する株式価値算定書(以下「本株
      式価値算定書(野村證券)」といいます。)における野村證券による対象者株式の価値算定結果のう
      ち、市場株価平均法及び類似会社比較法による算定結果の範囲を上回っており、また、DCF法によ
      る算定結果の範囲内であること。

(c)   当該価格が、下記「2.買付け等の概要」の「(4) 買付け等の価格の算定根拠等」の「② 算定の経
      緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等
      本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「(ⅴ) 特別委員会における独立したファイナ
      ンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの
      取得」に記載の山田コンサルから 2021 年 11 月 29 日付で提出を受けた対象者株式の価値算定結
      果に関する株式価値算定書(以下「本株式価値算定書(山田コンサル)」といいます。)における山
      田コンサルによる対象者株式の価値算定結果のうち、市場株価法による算定結果の範囲を上回っ
      ており、また、類似会社比較法による算定結果の中央値及びDCF法による算定結果の中央値を上
      回っていること。また、下記「2.買付け等の概要」の「(4) 買付け等の価格の算定根拠等」の「②
      算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するため
      の措置等本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「(ⅴ) 特別委員会における独立した
      ファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピ
      ニオンの取得」に記載のとおり、山田コンサルから、本公開買付価格である1株当たり 725 円が対
      象者の株主(公開買付者及びその関係会社を除きます。)にとって財務的見地から公正である旨の
      フェアネス・オピニオン(以下「本フェアネス・オピニオン」といいます。)が発行されていること。

(d)   当該価格が、本公開買付けの実施についての公表日の前営業日である 2021 年 11 月 29 日の東

                          11
         京証券取引所市場第一部における対象者株式の終値 516 円に対して 40.50%(小数点以下第三位
         を四捨五入しているとのことです。以下、プレミアム率の計算において同じです。)、2021 年 11 月 29
         日から直近1ヶ月間の終値単純平均値 527 円(小数点以下を四捨五入しているとのことです。以下、
         終値単純平均値の計算において同じです。)に対して 37.57%、同直近3ヶ月間の終値単純平均値
         542 円に対して 33.76%、同直近6ヶ月間の終値単純平均値 534 円に対して 35.77%のプレミアムが
         加算されたものであり、公表日の前営業日の当社株式の終値 516 円に付された 40.50%に相当す
         るプレミアム水準は、2018 年1月1日以降に公表された親会社による上場子会社の完全子会社化
         を目的とした他の公開買付けの事例におけるプレミアムの実例 40 件(平均値 39%程度~43%程
         度・中央値 39%程度~41%程度)と比較して、特段異なる水準を提示しているものと考えられず、
         また、2021 年 11 月 29 日から直近1ヶ月間、3ヶ月間、6ヶ月間の当社株式の終値単純平均値に付
         された 33.76%から 37.57%に相当するプレミアム水準については、上記プレミアムの実例 40 件の
         うち、公表前営業日から直近1ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムが 30%未満である事
         例が8件、30%以上 40%未満である事例が 14 件、公表前営業日から直近3ヶ月間の終値単純平
         均値に対するプレミアムが 30%未満である事例が6件、30%以上 40%未満である事例が 15 件、
         公表前営業日から直近6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムが 30%未満である事例が9
         件、30%以上 40%未満である事例が9件と、相当数存在することを踏まえると、それぞれ合理的な
         水準の範囲内にあるものと評価できること。

   (e)   当該価格は、下記「2.買付け等の概要」の「(4) 買付け等の価格の算定根拠等」の「② 算定の経
         緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等
         本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「(ⅳ) 対象者における独立した特別委員会の
         設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、本特別委員会から取得した本答申書
         においても、妥当であると認められると判断されていること。



    以上から、対象者は、本取引が対象者の企業価値の向上に資するものであるとともに、本公開買付価格
   を含む本取引に係る取引条件は妥当なものであると判断し、本日開催の対象者取締役会において、本公
   開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、対象者の株主の皆様に対し、本公開買付けへの応募を
   推奨することを決議したとのことです。

   対象者取締役会における決議の方法については、下記「2.買付け等の概要」の「(4) 買付け等の価格
   の算定根拠等」の「② 算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を
   回避するための措置等本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「(ⅶ) 対象者における利害関
   係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」をご参照くだ
   さい。

   なお、対象者は、本公開買付価格は、対象者の 2021 年9月 30 日現在の簿価純資産から算出した1株当
   たりの純資産額 813 円(小数点以下を四捨五入しているとのことです。)を下回っていますが、対象者が保
   有する債権の早期回収に伴う費用・損失や倉庫の閉鎖に係る費用等、相当な費用・損失の発生を考慮する
   と、仮に対象者が清算する場合にも、簿価純資産額がそのまま換価されるわけではなく、相当程度毀損す
   ることが見込まれており、本公開買付価格は1株当たりの実質的な清算価値を上回っているものと考えて
   いるとのことです。


② 本公開買付け後の経営方針
   公開買付者は、本取引後、対象者を含む公開買付者グループ内の連携を加速させるとともに意思決定を迅
  速化し、顧客基盤、事業基盤、財務基盤等の当該グループの経営資源の配分の最適化及び相互活用を図る
  ことで、今後の事業環境の変化等にも対応し、対象者グループの特性や強みを十分に活かしながら対象者グ
  ループの事業強化及び持続的な収益成長を実現していく所存です。また、中長期視点での競争力強化、機動


                               12
   的な経営施策の実行等により、対象者グループを含めた公開買付者グループ全体の利益成長を加速させ、
   企業価値の向上に努めてまいります。

         なお、本取引後の対象者の経営体制につきましては、対象者の現在の経営体制を尊重した上で、本取引後
   に期待される対象者グループの競争力強化及び成長と、公開買付者グループ全体の中長期的成長をできる
   限り早期に実現することを目指して、今後、対象者と、必要な施策及びその推進について協議の上、速やかに
   決定していく予定です。


(3)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等本公開買付けの公正
 性を担保するための措置
         公開買付者及び対象者は、対象者が公開買付者の連結子会社であり、本公開買付けを含む本取引が支配
   株主との重要な取引等に該当し、また、公開買付者と対象者の公開買付者以外の株主との間で構造的に利
   益相反の関係があることに鑑み、本公開買付けの公正性を担保するとともに、本取引に関する意思決定の恣
   意性を排除し、対象者の意思決定過程の公正性、透明性及び客観性を確保し、かつ利益相反を回避するた
   め、以下の措置を実施しております。

         なお、公開買付者は、上記「(1) 本公開買付けの概要」に記載のとおり、本日現在、対象者株式を
   28,919,526 株(所有割合:66.87%)所有しているため、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マ
   イノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、
   かえって本公開買付けに応募することを希望する一般株主の皆様の利益に資さない可能性もあるものと考え、
   本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限
   を設定しておらず、また、同様の理由で、買付予定数の下限自体を設定しておりません。もっとも、公開買付
   者及び対象者において以下の(ⅰ)から(ⅸ)の措置を講じていることから、対象者の一般株主の利益には十分
   な配慮がなされていると考えております。

         また、以下の記載のうち、対象者において実施した措置については、対象者プレスリリース及び対象者から
   受けた説明に基づくものです。

   (i)    公開買付者における独立した財務アドバイザーからの株式価値算定書の取得

   (ii)   対象者における独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の
          取得

   (iii) 対象者における独立したリーガル・アドバイザーからの助言の取得

   (iv) 対象者における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得

   (v)    特別委員会における独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定
          書及びフェアネス・オピニオンの取得

   (vi) 対象者における独立した検討体制の構築

   (vii) 対象者における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議が
          ない旨の意見

   (viii) 取引保護条項の不存在

   (ix) 対象者の株主が本公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保するための措
          置

         以上の詳細については、下記「2.買付け等の概要」の「(4) 買付け等の価格の算定根拠等」の「② 算定
   の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等本公
   開買付けの公正性を担保するための措置)」をご参照ください。


                                13
(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)
    公開買付者は、上記「
             (1) 本公開買付けの概要」に記載のとおり、対象者を公開買付者の完全子
   会社とする方針であり、本公開買付けにおいて公開買付者が対象者株式の全部を取得できなかった場
   合には、本公開買付け成立後、以下の方法により、対象者株式の全部の取得を目的とした手続を実施
   することを予定しております。公開買付者は、上記「(1) 本公開買付けの概要」に記載のとおり、対象者を
   公開買付者の完全子会社とすることを目的としているところ、対象者株式 28,919,526 株(所有割合:66.87%)を
   所有しているため、本公開買付けを行うことなく、対象者に株式併合の実施を要請すること等により、対象者
   を完全子会社とすることも可能と考えております。もっとも、本公開買付けを前置することにより、本取引に関
   して適切な情報開示を行うことで、対象者の株主の皆様に対して本取引につき適切な判断機会を確保し、もっ
   て本取引の公正性を担保することを企図しています。なお、仮に本公開買付けが撤回等された場合(撤回等
   の条件については、下記「2.買付け等の概要」の「(9) その他買付け等の条件及び方法」の「② 公開買付
   けの撤回等の条件の有無、その内容及び撤回等の開示の方法」をご参照ください。)や本公開買付けに対し
   て一切の応募が行われなかった場合等、本公開買付けが不成立となった場合には、本公開買付けが不成立
   となった理由・背景等の分析を踏まえ、対象者との間で公開買付者による本スクイーズアウト手続の実施につ
   いて協議を行うことを想定しておりますが、本公開買付けが不成立となった場合に本スクイーズアウト手続を
   実施するか否かの方針は、本書提出日時点では未定です。

   ①   株式売渡請求

        公開買付者は、本公開買付けの成立により、公開買付者の所有する対象者の議決権の合計数が対
       象者の総株主の議決権の数の 90%以上となり、公開買付者が会社法第 179 条第1項に規定する特別
       支配株主となる場合には、本公開買付けの決済の完了後速やかに、会社法第2編第2章第4節の2の
       規定に基づき、対象者の株主(公開買付者及び対象者を除きます。以下①において同じです。)の全員
       に対し、その所有する対象者株式の全部を売り渡すことを請求(以下「株式売渡請求」といいます。)する
       予定です。

        株式売渡請求においては、対象者株式1株当たりの対価として、本公開買付価格と同額の金銭を対
       象者の株主に対して交付することを定める予定です。この場合、公開買付者は、その旨を対象者に通知
       し、対象者に対して株式売渡請求の承認を求めます。対象者が取締役会の決議により株式売渡請求を
       承認した場合には、関係法令の定める手続に従い、対象者の株主の個別の承諾を要することなく、公開
       買付者は、株式売渡請求において定めた取得日をもって、対象者の株主全員からその所有する対象者
       株式の全部を取得いたします。そして、公開買付者は、当該各株主の所有していた対象者株式1株当た
       りの対価として、当該各株主に対し、本公開買付価格と同額の金銭を交付する予定です。なお、対象者
       プレスリリースによれば、対象者は、公開買付者より株式売渡請求がなされた場合には、対象者取締役
       会にてかかる株式売渡請求を承認する予定とのことです。株式売渡請求がなされた場合については、
       会社法第 179 条の8その他の関係法令の定めに従って、対象者の株主は、裁判所に対して、その所有
       する対象者株式の売買価格の決定の申立てを行うことができます。

   ②   株式併合

        本公開買付けの成立後、公開買付者の所有する対象者の議決権の合計数が対象者の総株主の議決
       権の数の 90%未満である場合には、公開買付者は、株式併合を行うこと及び株式併合の効力発生を条
       件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下
       「本臨時株主総会」といいます。)を 2022 年3月頃を目途に開催することについて、対象者に要請する予
       定です。また、対象者プレスリリースによれば、対象者は本公開買付けが成立した場合には、公開買付
       者による要請に応じる予定とのことです。なお、公開買付者は、本臨時株主総会において上記各議案に
       賛成する予定です。

        本臨時株主総会において株式併合の議案についてご承認をいただいた場合には、株式併合がその


                              14
  効力を生ずる日において、対象者の株主は、本臨時株主総会においてご承認をいただいた株式併合の
  割合に応じた数の対象者株式を所有することとなります。株式併合をすることにより株式の数に1株に満
  たない端数が生じるときは、対象者の株主に対して、会社法第 235 条その他の関係法令の定める手続
  に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てら
  れます。以下同じです。)に相当する対象者株式を対象者又は公開買付者に売却すること等によって得
  られる金銭が交付されることになります。当該端数の合計数に相当する対象者株式の売却価格につい
  ては、当該売却の結果、本公開買付けに応募しなかった対象者の株主(公開買付者及び対象者を除き
  ます。)に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該各株主が所有していた対象者株式の数を乗
  じた価格と同一となるよう設定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことを対象者に要
  請する予定です。また、対象者株式の併合の割合は、本日現在において未定ですが、公開買付者のみ
  が対象者株式の全部(対象者が所有する自己株式を除きます。)を所有することとなるよう、本公開買付
  けに応募しなかった対象者の株主(公開買付者を除きます。)の所有する対象者株式の数が1株に満た
  ない端数となるように決定される予定です。

   株式併合がなされた場合であって、株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じ
  るときは、会社法第 182 条の4及び第 182 条の5その他の関係法令の定めに従い、対象者の株主は、
  対象者に対し、自己の所有する株式のうち1株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で買い取
  ることを請求することができる旨及び裁判所に対して対象者株式の価格の決定の申立てを行うことがで
  きる旨が会社法上定められております。上記のとおり、株式併合においては、本公開買付けに応募され
  なかった対象者の株主(公開買付者及び対象者を除きます。)が所有する対象者株式の数は1株に満た
  ない端数となる予定ですので、株式併合に反対する対象者の株主は、上記申立てを行うことができるこ
  とになる予定です。

   なお、本公開買付けは、本臨時株主総会における対象者の株主の皆様の賛同を勧誘するものでは一
  切ありません。

   また、本スクイーズアウト手続が 2022 年3月 31 日までの間に完了しない場合には、公開買付者は、
  対象者に対して、本スクイーズアウト手続が完了していることを条件として、2022 年3月期に係る 2022 年
  6月下旬開催予定の対象者の定時株主総会(以下「本定時株主総会」といいます。)で権利を行使するこ
  とのできる株主を、本スクイーズアウト手続完了後の株主(公開買付者を意味します。)とするため、定時
  株主総会の議決権の基準日の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを要請する予定です。そ
  のため、対象者の 2022 年3月 31 日の株主名簿に記載又は記録された株主であっても、本定時株主総
  会において権利を行使できない可能性があります。

 上記①及び②の各手続については、関係法令についての改正、施行及び当局の解釈等の状況によっては、
実施に時間を要し、又は実施の方法に変更が生じる可能性があります。但し、その場合でも、本公開買付け
が成立した場合には、本公開買付けに応募しなかった対象者の株主(公開買付者及び対象者を除きます。)
に対しては、最終的に金銭を交付する方法が採用される予定であり、その場合に当該対象者の株主に交付さ
れる金銭の額については、本公開買付価格に当該対象者の株主が所有していた対象者株式の数を乗じた価
格と同一になるよう算定する予定です。もっとも、株式売渡請求に関する売買価格の決定の申立て又は株式
併合についての株式買取請求に関する価格の決定の申立てがなされた場合において、当該申立てを行った
対象者の株主が保有していた対象者株式の売買価格又は株式買取請求に関する価格は、最終的に裁判所
が判断することになります。

 以上の各場合における具体的な手続及びその実施時期等については、対象者と協議の上、決定次第、対
象者が速やかに公表する予定です。なお、本公開買付けへの応募又は上記の各手続における税務上の取扱
いについては、対象者の株主の皆様が自らの責任にて税務専門家にご確認ください。




                         15
(5)上場廃止となる見込み及びその事由
       対象者株式は、本日現在、東京証券取引所市場第一部に上場されておりますが、公開買付者は、本公開
   買付けにおいて買付け等を行う株券等の数に上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、
   東京証券取引所の定める上場廃止基準に従って、対象者株式は、所定の手続を経て上場廃止となる可能性
   があります。また、本公開買付けの成立時点では当該基準に該当しない場合でも、公開買付者は、本公開買
   付けが成立した場合には、上記「(4) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する
   事項)」に記載の各手続を実施することを予定しておりますので、その場合には、対象者株式は、東京証券取
   引所の定める上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となります。なお、上場廃止後は、対象者株
   式を東京証券取引所市場第一部において取引することができなくなります。仮に、本公開買付けが撤回等さ
   れた場合(撤回等の条件については、下記「2.買付け等の概要」の「(9) その他買付け等の条件及び方法」
   の「② 公開買付けの撤回等の条件の有無、その内容及び撤回等の開示の方法」をご参照ください。)や本公
   開買付けに対して一切の応募が行われなかった場合等、本公開買付けが不成立となった場合には、本公開
   買付けが不成立となった理由・背景等の分析を踏まえ、対象者との間で公開買付者による本スクイーズアウト
   手続の実施について協議を行うことを想定しておりますが、本公開買付けが不成立となった場合に本スク
   イーズアウト手続を実施するか否かの方針は、本書提出日時点では未定です。


(6)本公開買付けに係る重要な合意に関する事項
       該当事項はありません。




2.買付け等の概要
(1)対象者の概要
   ①    名                 称   株式会社宇徳
   ②    所        在        地   横浜市中区弁天通6丁目 85 番地
   ③    代表者の役職・氏名             代表取締役社長 田邊 昌宏
                              港湾運送事業、海上運送事業、一般貨物自動車運送事業、貨物利用運送事
   ④    事    業       内    容
                              業、倉庫業、通関業、建設業、不動産業
   ⑤    資        本        金   2,155 百万円
   ⑥    設    立   年   月    日   1915 年 12 月8日
                              株式会社商船三井                                   66.87%
                              光通信株式会社                                    5.74%
                              日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)                    3.89%
                              BBH FOR FIDELITY PURITAN TR:
                              FIDELITY SR INTRINSIC OPPORTUNITIES FUND   3.70%
                              (常任代理人 株式会社三菱 UFJ 銀行)
                              三井住友信託銀行株式会社                               1.33%
        大株主及び 持株比率
                              (常任代理人 株式会社日本カス トディ銀行)
   ⑦    (2021 年9月 30 日現
                              BNYM AS AGT/CLTS 10 PERCENT                1.15%
        在)
                              (常任代理人 株式会社三菱 UFJ 銀行)
                              株式会社日本カストディ銀行(信託口)                         0.98%
                              三井住友海上火災保険株式会社                             0.77%
                              STATE STREET BANK AND TRUST
                              CLIENT OMNIBUS ACCOUNT OM02 505002         0.64%
                              (常任代理人 株式会社みずほ銀行)
                              株式会社三井住友銀行                                 0.63%
   ⑧    上場会社と対象者の関係


                                              16
                              公開買付者は、本日現在、対象者株式 28,919,526 株(所有割合:66.87%)を所
         資   本       関    係
                              有しています。
                              本日現在、対象者の取締役 13 名のうち1名(髙松泰則氏)は公開買付者の職
                              員を兼任・兼務し、3名(田邊昌宏氏、小川宏氏、廉岡卓氏)は公開買付者の出
                              身者です。対象者の監査役4名のうち1名(武田俊明氏は公開買付者の役員を
         人   的       関    係
                              兼任・兼務し、1名(津田昌明氏)は公開買付者の出身者です。
                              上記のほか、本日現在、公開買付者の従業員2名が対象者に出向しておりま
                              す。一方、対象者の従業員は公開買付者に出向しておりません。
                              公開買付者は、対象者より、公開買付者が運営するターミナルのオペレーショ
                              ン及び公開買付者グループが運航または傭船する船舶が寄港する京浜港等
         取   引       関    係
                              における本船荷役等の港湾荷役作業並びにその他の役務を提供を受けており
                              ます。
         関 連 当 事 者 へ の        対象者は、公開買付者の連結子会社であり、公開買付者と対象者は相互に関
         該   当       状    況   連当事者に該当します。


(2)日程等
 ① 日程
取   締    役   会   決   議   2021 年 11 月 30 日(火曜日)
                         2021 年 12 月1日(水曜日)
公開買付開始公告日                電子公告を行い、その旨を日本経済新聞に掲載します。
                         (電子公告アドレス https://disclosure.edinet-fsa.go.jp/)
公開買付届出書提出日               2021 年 12 月1日(水曜日)


 ② 届出当初の買付け等の期間
    2021 年 12 月1日(水曜日)から 2022 年1月 18 日(火曜日)まで(30 営業日)


 ③ 対象者の請求に基づく延長の可能性
    該当事項はありません。


(3)買付け等の価格
    普通株式1株につき、金 725 円


(4)買付け等の価格の算定根拠等
 ① 算定の基礎
     公開買付者は、本公開買付価格を決定するにあたり、公開買付者の財務アドバイザーであるゴールドマン・
    サックスに対し、対象者株式の価値に係る財務分析を依頼し、これに関してゴールドマン・サックスが作成した
    2021 年 11 月 30 日付の GS 算定書を受領しております(注1)。なお、ゴールドマン・サックスは、公開買付者
    及び対象者の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して重要な利害関係を有しておりません。また、
    公開買付者は、ゴールドマン・サックスから本公開買付価格又は本公開買付けの公正性に関する意見(フェア
    ネス・オピニオン)を取得しておらず、ゴールドマン・サックスはかかる意見を一切表明しておりません。

     ゴールドマン・サックスは、上記の GS 算定書において、市場株価法、DCF 法、将来株式価値の現価分析、
    プレミアム分析を用いた分析を行っております。なお、DCF 法及び将来株式価値の現価分析は本財務予測
    (公開買付者)((注1)に定義します。)に基づいております。各手法の分析結果として、対象者株式の1株当た
    り価値として下記のレンジが示されております。

     1. 市場株価法 454 円~603 円



                                             17
    市場株価法において、ゴールドマン・サックスは、2021 年 11 月 29 日を基準日とし、過去 52 週間に
  おける対象者株式の終値を検討しております。かかる検討に基づき、ゴールドマン・サックスは、対象
  者株式の1株当たり価値の範囲を 454 円から 603 円までと算出しております。

2. DCF 法 605 円~769 円

    DCF 法において、ゴールドマン・サックスは、対象者の推定加重平均資本コストを踏まえた 7.75%か
  ら 10.75%までのレンジの割引率を用いて、本財務予測(公開買付者)に織り込まれた対象者の将来の
  フリー・キャッシュ・フローを現在価値に割り引くことにより対象者株式の価値を分析しております。ゴー
  ルドマン・サックスは、0.25%から 0.75%までの永久成長率を適用してターミナル・バリューを計算して
  おります。かかる分析に基づき、ゴールドマン・サックスは、対象者株式の1株当たり価値の範囲を 605
  円から 769 円までと算出しております。ゴールドマン・サックスが DCF 法に用いた本財務予測(公開買
  付者)は、2022 年3月期から 2027 年3月期を対象とする6会計年度で構成されております。なお、ゴー
  ルドマン・サックスが DCF 法に用いた 2022 年3月期から 2027 年3月期を対象とする本財務予測(公開
  買付者)には、大幅な増減益を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、2025 年3月
  期において、重量物輸送を中心としたプラント事業での受注の増加により、営業利益が大幅な増益とな
  ることが見込まれております。なお、本財務予測(公開買付者)は、対象者単独のものであり、また、本
  取引により実現することが期待できるシナジー効果を現時点において具体的に見積もることが困難で
  あることから、当該シナジーを織り込んでおりません。

3. 将来株式価値の現価分析 649 円~879 円

    将来株式価値の現価分析において、ゴールドマン・サックスは、本財務予測(公開買付者)に基づく対
  象者の 2023 年3月期から 2026 年3月期の将来の EBITDA に 4.0 倍から 6.0 倍までの1年フォワード
  EBITDA 倍率を適用して、2022 年から 2025 年の各年3月 31 日時点の対象者株式の価値を算出してお
  ります。そして、対象者の推定株主資本コストを踏まえた 3.75%の割引率を用いて、それぞれの時点の
  株式価値を現在価値に割り引いております。2022 年から 2025 年の各年3月 31 日時点の対象者株式
  の価値を算出するに際して、ゴールドマン・サックスは本財務予測(公開買付者)における各年3月 31
  日時点のネットキャッシュを加算しています。更に、ゴールドマン・サックスは、本財務予測(公開買付
  者)において 2022 年3月期から 2025 年3月期のそれぞれの年度で対象者が支払うと見込まれる配当
  の現在価値の累積値を加算し、対象者株式の1株当たり価値の範囲を 649 円から 879 円までと算出し
  ております。

4. プレミアム分析 660 円~782 円

    プレミアム分析において、ゴールドマン・サックスは、公開情報に基づき、日本において一定の期間
  に公表された、上場子会社の少数株主持分の取得を目的とした親会社による公開買付けにおけるプレ
  ミアム水準の検討と分析を行っております。当該参照期間における取引に関して、ゴールドマン・サック
  スは、公表日の前営業日の対象会社の株価終値(事前に報道が行われた案件については、当該報道
  が行われた日の前営業日)に対する公開買付価格のプレミアムの第一四分位と第三四分位を計算して
  おります。かかる計算により、当該参照期間において、第一四分位である 27.9%から第三四分位であ
  る 51.5%までのプレミアム比率のレンジが示されております。そのうえで、ゴールドマン・サックスは、
  27.9%から 51.5%までのプレミアムを対象者株式の 2021 年 11 月 29 日の終値に適用しております。か
  かる分析に基づき、ゴールドマン・サックスは、対象者株式の1株当たり価値の範囲を 660 円から 782
  円までと算出しております。

 本公開買付価格である1株当たり 725 円は、公開買付者による本公開買付けの公表日の前営業日である
2021 年 11 月 29 日の東京証券取引所市場第一部における対象者株式の終値 516 円に対して 40.50%、直
近1ヶ月間(2021 年 11 月1日から 2021 年 11 月 29 日)の終値単純平均値 527 円に対して 37.57%、直近3ヶ
月間(2021 年8月 30 日から 2021 年 11 月 29 日)の終値単純平均値 542 円に対して 33.76%、直近6ヶ月間
(2021 年5月 31 日から 2021 年 11 月 29 日)の終値単純平均値 534 円に対して 35.77%のプレミアムをそれ

                               18
  ぞれ加えた金額となります。


② 算定の経緯
  (本公開買付価格の決定に至る経緯)

   公開買付者は、上記「1.買付け等の目的等」の「(2) 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目
  的及び意思決定の過程、並びに本公開買付け後の経営方針」の「① 本公開買付けの実施を決定するに
  至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、2021 年8月上旬に、公開買付者グループ及び対
  象者グループから独立した財務アドバイザーとしてゴールドマン・サックスを、法務アドバイザーとして森・濱
  田松本法律事務所をそれぞれ選任し、本取引に関する本格的な検討を開始し、本取引の一環として公開買
  付けの手法により対象者株式の取得を行うことで対象者の少数株主に合理的な株式売却の機会を提供する
  ことが適切であると考え、2021 年9月 30 日に対象者に対して公開買付けの手法により本取引を行うことを提
  案するとともに公開買付者及び対象者の間で、本取引の実施の有無及び条件について協議を開始したい旨
  の初期的な打診を行い、対象者と協議を進めることで合意いたしました。その後、2021 年 10 月 22 日に対象
  者より対象者事業計画を受領するとともに、同年 10 月 28 日に対象者から対象者事業計画に関する説明を
  受け、同年 10 月 29 日に、対象者に対して、対象者株式の市場株価推移分析、及び対象者事業計画を踏ま
  えた財務予測モデル分析等に基づく対象者の本源的な企業価値並びに対象者による本公開買付けへの賛
  同の可否及び本公開買付けの成立の見通しを総合的に勘案して、本公開買付価格を1株当たり 680 円とす
  ることを含む、本取引に関する正式提案を行いましたが、同年 11 月4日に、対象者から、1株当たり 680 円
  については、非公開化を前提とした親子会社間の公開買付けの他事例と比較し、合理的な水準のプレミアム
  が市場株価に上乗せされているように思われないこと及び DCF 法により評価される対象者の理論株価の算
  定レンジに照らして対象者の企業価値を十分に反映した価格であるとは考えられないことを理由に、対象者
  株主にとって十分な価格であるとはいえないとして本公開買付価格の再検討を要請されました。その後、公
  開買付者は、本公開買付価格の再検討を要請されたことを踏まえ、同月5日に本公開買付価格を1株当たり
  700 円に引き上げる旨の提案を行いましたが、同月8日に、対象者から、上記と同様の理由によりいまだ対
  象者少数株主にとって十分な価格であるとはいえないという結論に至ったとして、改めて本公開買付価格の
  引き上げの検討を要請されました。公開買付者は、同月 12 日に、対象者に対して改めて本公開買付価格を
  1株当たり 710 円とする旨の提案を行いましたが、1株当たり 710 円についても上記と同様の理由によりい
  まだ対象者少数株主にとって十分な価格であるとはいえないという結論に至ったとして、同月 16 日に、対象
  者から、本公開買付価格の再検討を要請されました。その後、公開買付者は、同月 17 日に、本公開買付価
  格を1株当たり金 715 円とする旨の提案を行いましたが、同月 22 日に、対象者から、1株当たり 715 円につ
  いても上記と同様の理由によりいまだ対象者少数株主にとって十分な価格とはいえないとして再検討を要請
  され、同月 25 日に本公開買付価格を1株当たり 725 円とする最終提案を行い、同月 29 日、最終的な意思決
  定は本特別委員会の答申を踏まえた上で取締役会決議を経てなされるという前提のもと本公開買付価格を
  725 円とする旨の提案を受諾することが相当である旨、対象者より回答を受けました。

   以上の経緯のもとで、公開買付者は、本日開催の取締役会において、森・濱田松本法律事務所から受け
  た法的助言、ゴールドマン・サックスから受けた財務的見地からの助言及びゴールドマン・サックスから取得
  した同年 11 月 30 日付の GS 算定書の内容も踏まえ、公開買付者による対象者の完全子会社化を目的とし
  た本公開買付けを実施することを決議いたしました。

   なお、公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った経緯の詳細につきましては、上記「1.買付
  け等の目的等」の「(2) 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程、並びに
  本公開買付け後の経営方針」をご参照ください。

  (i) 算定書を取得した財務アドバイザーの名称及び公開買付者との関係

   公開買付者は、本公開買付価格を決定するにあたり、公開買付者の財務アドバイザーであるゴールドマ
  ン・サックスに対し、対象者株式の価値の財務分析を依頼し、同年 11 月 30 日付の GS 算定書を取得してお
  ります。ゴールドマン・サックスは、公開買付者及び対象者の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関

                            19
して重要な利害関係を有しておりません。ゴールドマン・サックスは、2021 年9月 30 日時点の公開買付者の
株主名簿上同日時点において公開買付者の株式の 1.04%を所有しておりますが、ゴールドマン・サックスに
よれば、ゴールドマン・サックスの社内において、財務アドバイザリー業務及び対象者株式の価値の財務分
析業務を担当する部署と株式等のトレーディングを所轄する同社の別部署との間において情報隔壁措置等
の適切な利益相反防止措置を講じているとのことです。また、財務アドバイザリー業務及び対象者株式の価
値の財務分析業務を担当する部署は、株式等のトレーディングを所轄する同社の別部署とは独立した立場
で対象者株式の価値の財務分析を行っているとのことです。公開買付者は、上記記載のとおり、ゴールドマ
ン・サックスの社内において情報隔壁措置等の適切な利益相反防止措置が講じられていること、公開買付者
とゴールドマン・サックスは一般取引先と同様の取引条件で取引を実施していること、ゴールドマン・サックス
は過去の同種事案の財務アドバイザーとしての実績を有していること等を踏まえ、ゴールドマン・サックスを
公開買付者及び対象者から独立した財務アドバイザーとして選定いたしました。また、公開買付者は、ゴー
ルドマン・サックスから本公開買付価格又は本公開買付けの公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)
を取得しておらず、ゴールドマン・サックスはかかる意見を一切表明しておりません。

(ii) 当該算定書の概要

 ゴールドマン・サックスは、上記の GS 算定書において、市場株価法、DCF 法、将来株式価値の現価分
析、プレミアム分析を用いた分析を行っております。なお、DCF 法及び将来株式価値の現価分析は本財務予
測(公開買付者))に基づいております。各手法の分析結果として、対象者株式の1株当たり価値として下記
のレンジが示されております。

  1. 市場株価法 454 円~603 円

  2. DCF法 605 円~769 円

  3. 将来株式価値の現価分析 649 円~879 円

  4. プレミアム分析 660 円~782 円

詳細は、上記「① 算定の基礎」をご参照ください。

(iii) 当該算定書を踏まえて本公開買付価格を決定するに至った経緯

 公開買付者は、対象者との協議・交渉の結果を踏まえ、本日開催の取締役会において、対象者取締役会
による本公開買付けへの賛同が見込まれること、GS 算定書の内容、対象者株式の市場株価の動向、本公
開買付けに対する応募の見通し等を総合的に勘案し、最終的に本公開買付価格を1株当たり 725 円と決定
いたしました。なお、本公開買付価格は、GS 算定書における市場株価法によって示された対象者株式の1
株当たり価値のレンジを上回っており、DCF 法、将来株式価値の現価分析及びプレミアム分析によって示さ
れた対象者株式の1株当たり価値のレンジの範囲内となっております。詳細は、上記「① 算定の基礎」をご
参照ください。



(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等本公開買付けの公
正性を担保するための措置)

 公開買付者及び対象者は、対象者が公開買付者の連結子会社であり、本公開買付けを含む本取引が支
配株主との重要な取引等に該当し、また、公開買付者と対象者の公開買付者以外の株主との間で構造的に
利益相反の関係があることに鑑み、本公開買付けの公正性を担保するとともに、本取引に関する意思決定
の恣意性を排除し、対象者の意思決定過程の公正性、透明性及び客観性を確保し、かつ利益相反を回避す
るため、以下の措置を実施しております。

 なお、公開買付者は、上記「1.買付け等の目的等」の「(1) 本公開買付けの概要」に記載のとおり、本日
現在、対象者株式を 28,919,526 株(所有割合:66.87%)所有しているため、本公開買付けにおいていわゆる

                           20
「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの
成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する一般株主の皆様の利益に資さな
い可能性もあるものと考え、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of
Minority)の買付予定数の下限を設定しておらず、また、同様の理由で、買付予定数の下限自体を設定して
おりません。もっとも、公開買付者及び対象者において以下の(ⅰ)から(ⅸ)の措置を講じていることから、対
象者の一般株主の利益には十分な配慮がなされていると考えております。

 以下の記載のうち、対象者において実施した措置については、対象者から受けた説明に基づくものです。

(i) 公開買付者における独立した財務アドバイザーからの株式価値算定書の取得

    公開買付者は、本公開買付価格の公正性を担保するため、本公開買付価格を決定するにあたり、公
   開買付者及び対象者から独立した財務アドバイザーであるゴールドマン・サックスから GS 算定書を取
   得しております。なお、ゴールドマン・サックスは、公開買付者及び対象者の関連当事者には該当せ
   ず、本公開買付けに関して重要な利害関係を有しておりません。また、公開買付者は、ゴールドマン・
   サックスから本公開買付価格又は本公開買付けの公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)を取
   得しておらず、ゴールドマン・サックスはかかる意見を一切表明しておりません。

    詳細につきましては、上記「① 算定の基礎」をご参照ください。



(ii) 対象者における独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書
   の取得

   (a)算定機関の名称並びに対象者及び公開買付者との関係

    対象者は、本公開買付価格に関する意見表明を行うにあたり、公開買付者から提示された本公開買
   付価格に対する意思決定の公正性を担保するために、公開買付者及び対象者から独立したファイナン
   シャル・アドバイザー及び第三者算定機関である野村證券に対し、対象者株式価値の算定を依頼し、
   2021 年 11 月 30 日付で、本株式価値算定書(野村證券)を取得したとのことです(注2)。野村證券は、
   対象者及び公開買付者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害
   関係を有していないとのことです。また、本特別委員会は、初回の会合において、野村證券の独立性及
   び専門性に問題がないことを確認した上で、対象者のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定
   機関として承認したとのことです。なお、対象者は、野村證券から本公開買付価格の公正性に関する意
   見書(フェアネス・オピニオン)を取得していないとのことです。

    また、本取引に係る野村證券に対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が
   含まれているとのことです。対象者は、同種の取引における一般的な実務慣行及び本取引が不成立と
   なった場合に対象者に相応の金銭的負担が生じる報酬体系の是非等も勘案すれば、本公開買付けの
   完了を条件に支払われる成功報酬が含まれていることをもって独立性が否定されるわけではないと判
   断の上、上記の報酬体系により野村證券を対象者のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機
   関として選任しているとのことです。

   (b)対象者株式に係る算定の概要

    野村證券は、本公開買付けにおいて、複数の算定手法の中から対象者の株式価値算定にあたり採
   用すべき算定手法を検討の上、対象者が継続企業であるとの前提の下、対象者の株式価値について
   多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、対象者株式が東京証券取引所市場第一部に
   上場していることから市場株価平均法を、対象者と比較可能な上場会社が複数存在し、類似会社比較
   による対象者の株式価値の類推が可能であることから類似会社比較法を、将来の事業活動の状況を
   算定に反映するためにディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)を算定手



                             21
法として用いて、対象者の株式価値の算定を行い、対象者は野村證券から 2021 年 11 月 30 日付で本
株式価値算定書(野村證券)を取得したとのことです。

 本株式価値算定書(野村證券)において、上記各手法に基づいて算定された対象者株式の1株当た
りの株式価値の範囲は以下のとおりとのことです。


 市場株価平均法:      516 円から 542 円

 類似会社比較法:      322 円から 636 円

 DCF法:         630 円から 1,239 円



 市場株価平均法では、2021 年 11 月 29 日を算定基準日として、東京証券取引所市場第一部におけ
る対象者株式の基準日の終値 516 円、直近5営業日の終値の単純平均値 527 円、直近1ヶ月間の終
値の単純平均値 527 円、直近3ヶ月間の終値の単純平均値 542 円及び直近6ヶ月間の終値の単純平
均値 534 円を基に、対象者株式の1株当たりの株式価値の範囲を 516 円~542 円と算定したとのこと
です。

 類似会社比較法では、完全に類似していないものの、対象者と比較的類似する事業を営む上場会社
として、株式会社上組、名港海運株式会社及び伊勢湾海運株式会社を選定した上で、企業価値に対す
る営業利益の倍率、償却前営業利益(以下「EBITDA」といいます。)の倍率(以下「EBITDAマルチプ
ル」といいます。)、時価総額に対する純利益倍率、及び時価総額に対する株主資本倍率を用いて、さ
らに対象者が保有する現金同等物の全ての価値を加算する等財務上の一定の調整を行って、対象者
株式の株式価値算定を行い、対象者株式の1株当たりの株式価値の範囲を 322 円~636 円と算定した
とのことです。

 DCF法では、対象者事業計画を基に、2022 年3月期から 2027 年3月期までの6期分の事業見通し
における収益予測や投資計画、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、対象者が 2022 年3
月期第3四半期以降に創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを、一定の割引率で現在価値に
割り引いて、対象者の企業価値や株式価値を算定し、対象者株式の1株当たり株式価値の範囲を 630
円~1,239 円と算定したとのことです。なお、割引率は 4.50%~5.00%を採用しており、継続価値の算定
にあたっては永久成長率法及びマルチプル法を採用し、永久成長率は-0.25%~0.25%、EBITDAマル
チプルは 3.5 倍~5.5 倍として対象者株式の1株当たり株式価値を算定したとのことです。

 野村證券がDCF法による分析に用いた対象者事業計画に基づく財務予測においては、大幅な増益
を見込んでいる事業年度が含まれているとのことです。具体的には、2025 年3月期において、営業利
益が前期比で約 30%の大幅な増益となることを見込んでおりますが、これは重量物輸送を中心とした
プラント事業での受注の増加によるものとのことです。また、本取引実行により実現することが期待され
るシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、以下の財務予
測には加味していないとのことです。

 なお、DCF法による分析において前提とした財務予測は以下のとおりとのことです。

                                                      (単位:百万円)
                   2022 年        2023 年      2024 年
                   3月期           3月期         3月期
                  (6ヶ月)
      売上高             24,237        49,939      52,749



                            22
       営業利益                  606         2,067       2,255

       EBITDA              1,437         3,829       4,088

       フリー・キャッシュ・フロー       △454          △705      △1,240



                       2025 年        2026 年      2027 年
                       3月期           3月期         3月期
       売上高                54,950        55,417      55,437

       営業利益                2,923         2,952       2,962

       EBITDA              4,881         4,880       4,883

       フリー・キャッシュ・フロー       1,715         2,063       2,103



(iii) 対象者における独立したリーガル・アドバイザーからの助言

   対象者は、上記「(ⅳ) 対象者における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書
  の取得」に記載のとおり、公開買付者及び対象者から独立したリーガル・アドバイザーとしてアンダーソ
  ン・毛利・友常法律事務所を選任し、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置、
  本取引の諸手続並びに本取引に係る対象者の意思決定の方法及びその過程等に関する助言を含む
  法的助言を受けているとのことです。

   なお、アンダーソン・毛利・友常法律事務所は、公開買付者及び対象者の関連当事者には該当せ
  ず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有していないとのことです。また、本特別委
  員会