9081 神奈中交 2021-04-27 15:00:00
「神奈中グループ中期経営計画(2021年度~2023年度)」の策定について [pdf]
報告事項3 『「神奈中グループ中期経営計画(2021年度~2023年度)」の策定につ
いて』の開示について
2021年4月27日
各 位
会 社 名 神奈川中央交通株式会 社
代表者名 取 締 役 社 長 堀 康紀
(コード番号9081 東証第1部)
問合せ先 総務部総務担当課長 大雲 武士
(TEL 0463-22-8800)
「神奈中グループ中期経営計画(2021年度~2023年度)」の策定について
当社では、このたび「神奈中グループ中期経営計画(2021年度~2023年度)」を
策定いたしましたので、お知らせいたします。
記
1.前中期経営計画の振り返り
当社グループでは、当社創立100周年(2021年)に向けた事業基盤の強化と、次の100
年に向けた更なる成長を基本方針に掲げ、 基準計画として 「神奈中グループ中期経営計
画(2018年度~2020年度) を策定し、
」 各事業において本計画を推進するとともに、 2021
年度を目標とする経営指標の達成に向けて取り組んでまいりました。
しかしながら、 2019年度第3四半期までは概ね計画通り進捗しておりましたが、 新型
コロナウイルス感染症の拡大は、一般旅客自動車運送事業をはじめとする当社グルー
プが営む多くの事業に対して深刻な影響を与えました。一般旅客自動車運送事業では、
テレワークやオンライン授業の浸透、外出の自粛や消費行動の変化などにより乗合バ
ス、 タクシーの利用客が大幅に減少したほか、 バスツアーや学校行事などの中止により
貸切バスの稼働が低迷しました。自動車販売事業では、法人顧客のバス・トラックの代
替需要が落ち込み、販売台数が減少しました。レジャー・スポーツ事業、飲食・娯楽事
業などでは、緊急事態宣言発出による店舗休業や営業時間の短縮のほか、 「新しい生活
様式」 に沿ったお客さまの行動変容が浸透したことにより、 連結の売上高は計画数値を
大幅に下回りました。
その結果、 営業利益および経常利益は計画未達となり、 親会社株主に帰属する当期純
利益は、 繰延税金資産の取崩しなどの影響もあり、 2020年度は当期純損失の計上に至り
ました。
このような状況を踏まえ、売上高が感染症拡大前の水準に戻らないことが想定され
ることから、 2021年度を目標とする経営指標を取り下げ、 収益力や財務状況の早期改善
に努めてまいります。
1
(1)前中期経営計画期間中に具体化した各種施策
① 一般旅客自動車運送事業
2018年5月に辻堂駅~湘南ライフタウン~慶応大学線で連節バスを新規導入いた
しました。 また、2020年4月に学生の増加に合わせて湘南台駅~慶応大学線で連節
バス4両を増車いたしました。
安全運転教育の拡充と運転技術の向上のために、研修センターを2020年2月に当
社秦野営業所構内へ移転し、新たに運転教習施設を新設して運用開始いたしまし
た。
自動運転バスの導入に向けた課題解決を図るため、異なる走行環境下で実証実験
を実施いたしました。
オンデマンドバスや交通利用チケットなど、MaaSアプリを活用した実証実験
に参画いたしました。
乗用事業の会社再編、 事業所統合を実施し、管理体制の効率化を推進いたしました。
② 不動産事業
分譲事業では、横浜・湘南エリアを中心に3ヵ年で戸建24戸、宅地7区画、マンシ
ョン3物件64戸を販売いたしました。
賃貸事業では、 営業所の建替えや事業所再編に合わせて、新規賃貸施設を建設し、
社有地の高度利用を図りました。
③ 自動車販売事業
商用車販売では、神奈川三菱ふそう自動車販売株式会社湘南支店を2021年4月に
移転したことにより、販売拠点網の最適化プロジェクトを完了いたしました。
輸入車販売では、メルセデス・ベンツ相模原店を2020年8月に移転し、中古車販売
を併設するとともに、デジタルコンテンツを活用した営業展開を開始いたしまし
た。
④ その他の事業
レジャー・スポーツ事業では、新たな業態として商業施設内に、子どもの体操教室
をメインとしたスタジオを開設し、業容を拡大いたしました。
資源活生事業では、 静岡県小山町に用地を取得し、ペットボトルA級フレークリサ
イクル工場の2021年10月稼働開始に向け工事を推進いたしました。
自動車整備事業では、 神中興業株式会社本社整備工場の移転に合わせ、当社グルー
プバスの点検整備業務の一部を委託し効率化を推進いたしました。
ビル管理事業では、 株式会社オリエントサービスを買収し、事業規模を拡大いたし
ました。
2
(2)2018年度~2020年度実績と中期経営計画の比較
(実績) (単位:百万円)
2018年度 2019年度 2020年度 3年間合計
一般旅客自動車 売上高 59,249 57,155 40,379 156,784
運送事業 営業利益 2,838 1,469 △9,138 △4,830
不動産事業 売上高 6,671 6,577 6,487 19,737
営業利益 2,427 2,619 2,713 7,759
自動車販売事業 売上高 30,985 31,801 26,120 88,907
営業利益 297 289 501 1,087
その他の事業 売上高 31,183 31,226 25,773 88,183
営業利益 1,284 1,214 269 2,768
消去 売上高 △13,280 △14,058 △7,846 △35,185
営業利益 △240 △262 △286 △789
全事業 売上高 114,809 112,702 90,915 318,426
営業利益 6,606 5,329 △5,940 5,995
経常利益 6,789 5,470 △5,354 6,905
親会社株主に帰属する当期純利益 4,089 2,044 △8,516 △2,381
EBITDA(営業利益+減価償却費) 12,986 12,088 1,129 26,205
売上高営業利益率 5.8% 4.7% △6.5% 1.9%
(計画)
2018年度 2019年度 2020年度 3年間合計
一般旅客自動車 売上高 60,010 60,540 60,980 181,530
運送事業 営業利益 2,250 2,380 2,620 7,250
不動産事業 売上高 8,140 6,540 7,430 22,110
営業利益 2,530 2,440 2,620 7,590
自動車販売事業 売上高 31,600 31,730 32,620 95,950
営業利益 320 310 370 1,000
その他の事業 売上高 30,830 31,480 30,970 93,280
営業利益 1,300 1,410 1,520 4,230
消去 売上高 △14,380 △15,090 △13,000 △42,470
営業利益 △410 △420 △180 △1,010
全事業 売上高 116,200 115,200 119,000 350,400
営業利益 5,990 6,120 6,950 19,060
経常利益 5,920 5,950 6,670 18,540
親会社株主に帰属する当期純利益 3,540 3,550 4,190 11,280
EBITDA(営業利益+減価償却費) 12,670 13,620 15,070 41,360
売上高営業利益率 5.2% 5.3% 5.8% 5.4%
(差引)
2018年度 2019年度 2020年度 3年間合計
一般旅客自動車 売上高 △760 △3,384 △20,600 △24,745
運送事業 営業利益 588 △910 △11,758 △12,080
不動産事業 売上高 △1,468 37 △942 △2,372
営業利益 △102 179 93 169
自動車販売事業 売上高 △614 71 △6,499 △7,042
営業利益 △22 △20 131 87
その他の事業 売上高 353 △253 △5,196 △5,096
営業利益 △15 △195 △1,250 △1,461
消去 売上高 1,099 1,031 5,153 7,284
営業利益 169 157 △106 220
全事業 売上高 △1,390 △2,497 △28,084 △31,973
営業利益 616 △790 △12,890 △13,064
経常利益 869 △479 △12,024 △11,634
親会社株主に帰属する当期純利益 549 △1,505 △12,706 △13,661
EBITDA(営業利益+減価償却費) 316 △1,531 △13,940 △15,154
売上高営業利益率 +0.6P △0.6P △12.3P △3.5P
3
2.
「神奈中グループ中期経営計画(2021年度~2023年度)」基本方針
当社グループを取り巻く事業環境は、 本格的な少子高齢社会を迎え、 人口減少による
国内マーケットの縮小が進む中、 顧客の減少が進行することは必定であります。 また、
コロナ禍による「新しい生活様式」の浸透は、当社グループのお客さまの行動や価値観
を大きく変化させており、 今後はデジタル技術の急速な進展により、 新たなサービスが
拡充していくとともに、ESG(環境、社会、ガバナンス) 、SDGs(持続可能な開
発目標)への企業の取り組みがより重要視されております。
このような状況の下、 当社グループがさらなる成長を志向するためには、 バス事業を
中心として、 多様化するお客さまニーズに合わせたビジネスモデルを構築し、 新たなサ
ービスの創造に挑戦していかなければなりません。 そして、ESGの視点に立った経営
を進め、企業価値の向上に努めるとともに、当社ステークホルダーからの「信頼」を高
めていく必要があります。
今回策定しました「神奈中グループ中期経営計画(2021年度~2023年度)」では、次
の100年に向けて更なる成長を遂げるため、「多様化するお客さまニーズに応え続ける
ために、時代の変化に柔軟に対応し、新たなサービスの創造に挑戦し続ける」をありた
い姿に掲げ以下の重点課題に取り組んでまいります。そして、経営理念である「お客さ
まの『かけがえのない時間(とき) 』と『ゆたかなくらし』の実現」を目指してまいり
ます。
(1)持続的な成長を支える基盤づくり
新型コロナウイルス感染症の拡大は、当社グループが営む多くの事業に対し深刻
な影響を与えております。当社グループは本中期経営計画の3ヵ年を「体質変革期」
と位置付け、構造改革による生産性の向上に取り組み、コロナ禍で悪化した収益力の
回復と財務状況の改善に努めてまいります。また、成長の原動力となる社員の働きが
いを創出するために業務改革や職場環境の整備を推進するとともに、ESGの視点
に立った経営に取り組み、当社グループの持続的な成長を支える基盤を構築してま
いります。
(2)モビリティサービスの変革
一般旅客自動車運送事業は、少子高齢化や人口減少による人口構造の変化に加え
て、コロナ禍における「新しい生活様式」の浸透に伴い、旅客人員が大幅に減少して
おります。コロナ収束後も感染症拡大前の水準には戻らないと推測され、事業を存続
していくためには、抜本的な対策を講じていかなければなりません。一方で、デジタ
ル技術の進展は、自動運転実現に向けた取り組みや、交通を中心に多様なサービスを
統合するMaaSの実証実験など、新たなモビリティサービスを提供できる土壌が
形成されつつあります。当社グループは、これまで築き上げてきた神奈中ブランドに
「先進性」を加えることで、新たなモビリティサービスの創出を目指すとともに、需
要の変化に柔軟に対応したサービスの提供と、安心・快適な旅客輸送に努めてまいり
ます。
(3)
「ゆたかなくらし」への貢献
当社グループでは、一般旅客自動車運送事業を中心に不動産事業、レジャー・スポ
4
ーツ事業、飲食・娯楽事業など、生活に密着した様々なサービスを通じて、長年にわ
たり地域の人々のくらしを支えてきました。コロナ禍における「新しい生活様式」の
浸透は、当社グループのお客さまの行動や価値観を大きく変化させております。この
変化に柔軟に対応するため、お客さまのニーズを的確に捉え、先進のデジタル技術等
を活用しながら、新たな生活サービスの創出に努めてまいります。また、SDGsの
目標達成への貢献と、地域社会の課題に意欲的に取り組み、新たなニーズを自社の強
みで解決していくことで、「ゆたかなくらし」の実現に貢献してまいります。
3.各事業の計画
(1)一般旅客自動車運送事業
・ 運輸安全マネジメント制度のもと、先進のデジタル技術を活用した運行管理シス
テムを導入し、さらなる輸送の安全確保と運行管理の効率化を図ります。
・ 人口減少・少子高齢化等による地域需要の変化や「新しい生活様式」による行動変
容に即したダイヤ改正を適宜実施していくとともに、当社グループの多様なモビ
リティを活用して地域交通ネットワークの構築を図ります。
・ テレワークやオンライン授業など通勤通学におけるバス利用が変容する中、金額
式IC定期券の導入や定期券のスマートフォン対応などを推進しキャッシュレス
化に対応します。また、MaaSアプリを活用した多様なサービスをワンストップ
で提供することにより、お客さまのシームレスな移動を実現し、快適なモビリティ
ライフを提供いたします。
・ ヒューマンエラーによる交通事故の減少、乗務員不足の解消や地域交通の維持な
どが期待される自動運転バス導入に向けた課題解決を図り、次世代モビリティの
実用化を目指します。
・ 乗用事業の事業所統合やグループ会社間の運行業務の移管などにより、管理体制
と業務の効率化を推進いたします。
(2)不動産事業
・ ライフスタイルの多様化に伴い、住宅事情は都市部から郊外へ需要が変化してい
ることから、横浜、湘南エリアを中心に新規分譲を拡大いたします。
・ 高齢化社会が進行する中、相続や空き家など物件の売却ニーズが増加しているこ
とを踏まえ、仲介事業を強化するとともに、新たに買取再販事業に取り組みます。
・ 事業所の統合や建替えに合わせて、新規賃貸施設を新設し、社有地の高度利用を図
ります。また、新規賃貸床の取得や新たに投資開発案件に取り組み、賃貸事業の収
益拡大を目指します。
(3)自動車販売事業
・ 商用車販売では、神奈川三菱ふそう自動車販売株式会社湘南支店の移転により販
売拠点網の最適化と規模拡大が完了したことから、地域密着型ディーラーとして
新規顧客との接点を増やし、マーケットシェアの拡大を図ります。また、先進技術
に対応した整備機器を全支店に導入し、車両技術の高度化や電動化に対応してい
くことで整備入庫台数の増加を図ります。
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・ 輸入車販売では、移転・新規オープンしたメルセデス・ベンツ相模原店を拠点に幅
広いラインアップと、多様化するユーザーの趣向に対応すべく、様々なデジタルコ
ンテンツやツールを用いたブランド体験を提供し、新しいユーザーとの接点を強
化し、新規顧客の獲得を図ります。
(4)その他の事業
・ 資源活生事業では、使用済みペットボトルから再生フレークを製造するリサイク
ル工場を静岡県小山町に新設し、パートナーと連携して「ボトルtoボトル」の循
環型社会の形成に向けた取り組みを推進します。
・ レジャー・スポーツ事業では、国による健康寿命延伸プランの推進や神奈川県にお
ける未病改善の取り組みが進む中、高齢者施設等への運動指導出張サービスや企
業向けヘルスケア事業に取り組み、地域に根差したスポーツクラブとして、地域の
人々の健康増進に貢献いたします。
・ 飲食・娯楽事業、サービス事業、流通事業では、ライフスタイルの変化に合わせた
サービスを展開し、地域の人々の「ゆたかなくらし」と地域社会の発展に貢献いた
します。
・ ビル管理事業では、AIを活用した自動床清掃ロボットや、ICTを活用した顧客
管理システムの導入等により業務の効率化を推進し、安定かつ高品質なサービス
を提供いたします。
・ 商用車架装事業では、貨物需要の増加に対応するために横浜車輌工業株式会社本
社工場を移転・拡張し、トラック架装の受注拡大と業務の効率化を図ります。
4.財務健全性の回復の目安
持続可能な経営を実現するために、本中期経営計画の3ヵ年を「体質変革期」と位置
付け、厳しい経営環境下においても利益を創出できるように構造改革に取り組み、2023
年度を目安に売上高営業利益率および有利子負債/EBITDA倍率を感染症拡大前
の水準に回復することを目指します。
経営指標 2023年度(目安)
売上高営業利益率 6.0%以上
有利子負債/EBITDA倍率 5.0倍以下
以 上
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