9064 ヤマトHD 2021-01-29 15:00:00
中期経営計画「Oneヤマト 2023」策定に関するお知らせ [pdf]

                                           2021 年1月 29 日
各     位
                        会 社 名   ヤマトホールディングス株式会社
                        代表者名 代 表 取 締 役 社 長 長 尾          裕
                                (コード番号:9064   東証第1部)
                        問合せ先    執行役員 IR戦略担当 樫 本      敦 司
                                       (TEL. 03-3541-4141)


          中期経営計画「One ヤマト 2023」策定に関するお知らせ


    ヤマトホールディングス株式会社(本社:東京都中央区 代表取締役社長:長尾裕)は、
2022年3月期~2024年3月期ヤマトグループ中期経営計画「Oneヤマト2023」(以下、
「Oneヤマト 2023」)を策定しました。
    本年4月1日、ヤマト運輸はグループ各社の多様な経営資源を結集した、
                                    「新しいヤマト
運輸」に生まれ変わります。
    「Oneヤマト2023」は、この新しいヤマト運輸を中核とするワンヤマト体制のもと、
生活様式の変化と、それに伴う流通構造の変化に対応するサプライチェーンの変革に向け、
個人、法人、地域のお客さま、そして社会のニーズに総合的な価値提供を目指す中期経営
計画です。
    2024年3月期の数値目標は、営業収益2兆円、営業利益1,200億円(営業利益率6%)、
ROE10%以上とします。
                          記


1.「One ヤマト 2023」が目指す姿

    ヤマトグループは、昨年1月に発表した中長期の経営のグランドデザイン「YAMATO
NEXT100」で、経営課題と構造改革プランを明示するとともに、発表以前からその実現に
向けたグループ一体での経営をスピーディーに進めてきました。
    データ分析による需要予測の精緻化と、予測に基づく人員・車両の最適配置、「全産業
のEC化」に応えるオープンな新配送ネットワークの構築、新たなビジネスニーズに対応
する経営資源の柔軟な相互活用に加え、デジタルデータでお客さまのニーズにリアル
タイムに応える新サービス「EAZY」の早期導入を通じ、予期せず訪れたコロナ禍による
生活様式、ビジネスの急速な変化と、加速度的な荷物の急増に対応しました。

    「One ヤマト 2023」では、これらの成果を確固たるものにし、新たな時代に求められる
サプライチェーンの変革に向けたトータルな価値提供で、個人、地域のお客さまの利便性の
向上はもちろん、法人のお客さまの経営を支援するパートナーとなるため、「One ヤマト
2023」では、9つの重点施策に取り組みます。
    また、サステナビリティへの取り組みをさらに強化し、社会インフラの一員として、
社会課題の解決に向けた物流のエコシステム創出を進めます。
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 【「One ヤマト 2023」9つの重点施策】
(1) データ分析に基づく経営資源の最適配置
(2) グループインフラの強靭化
(3) サプライチェーンをトータルに支援する、ビジネスパートナーへの進化
(4) 「ECエコシステム」の最適解の創出
(5) 資本効率の向上
(6) 「運創業」を支える人事戦略の推進
(7) 経営体制の刷新とガバナンスの強化
(8) データ戦略、イノベーション戦略の推進
(9) サステナブル経営の強化



2.各重点施策の内容

(1)データ分析に基づく経営資源の最適配置

   データ基盤整備とアルゴリズム開発の高度化で、各地域の需要と業務量予測の精度
  を向上し、個人、法人ともに変化、多様化するお客さまのニーズに応えるグループ
  経営資源の最適配置を進めます。
   幹線を含む輸送工程の最適化と標準化に加え、各拠点の人員・車両の適正配置、
  作業のオペレーション改革や自動化・デジタル化で、第一線がお客さまに向き合う
  時間と接点、および集配対応力を拡大し、ネットワーク全体の生産性を向上させます。


(2)グループインフラの強靭化

  ①拠点の再配置と機能拡充による価値提供の強化と、生産性の向上
   営業倉庫約110拠点、ベース(仕分けターミナル)77拠点、宅急便センター約3,700
  拠点など、グループ各社が全国に保有する拠点をネットワーク上に再配置し、さらに
  各拠点の機能を統合、増強します。
   集配の作業集約による拠点間輸送の削減と各拠点の自動化に加え、フルフィル
  メント機能を有する新たな拠点の配置などで、ネットワーク上の仕分け能力を最大約
  1.5倍(2021年3月期比)に向上させます。


  ②輸送機能の最適化、多機能化と、オープンな配送ネットワークの拡充
   グループ各社が保有する幹線・ミドルマイル・ラストマイルの輸送機能をネット
  ワーク上に再配置し、輸配送工程のさらなる全体最適化を図ります。また、小~中
  ロ ッ ト の 多 頻 度 集 配 に 対 応 す る 域 内 ネ ッ ト ワ ー ク と 独 自 の TMS(Transport
  Management System)の開発で、地域ごとの多様なニーズに応える 輸送機能を拡充
  します。
   ECを中心に多様な顧客ニーズに対応する「EAZY CREW」など、パートナーとの
  連携をさらに拡大するため、集配支援ツールの高機能化、ドライバー向けポータル
  サイトの構築、リース車両の提供に加え、安全研修や福利厚生の充実など、パートナー
  へのサポート体制を拡充します。
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  ③業務プロセス改革(BPR)の推進
   第一線がお客さまにしっかり向き合う時間と接点を創出するため、プロフェッショ
  ナルサービス機能本部を中心に、管理・間接業務を標準化、電子化、集約化します。
   さらに、共同調達・購買にグループ全体で取り組むことで、第一線の管理・間接
  業務を約4割(2021年3月期比)削減します。


(3)サプライチェーンをトータルに支援する、ビジネスパートナーへの進化

  ①上流から下流まで、サプライチェーン全体にわたる価値提供の強化
   全国の営業倉庫・拠点・幹線・ミドルマイル・ラストマイル、および新たな域内
  輸送機能のシームレスな結合と、デジタル情報による可視化を通じて、サプライヤー・
  メーカーから店舗・生活者にいたるサプライチェーンをトータルに支援するビジネス
  パートナーを目指します。
   消費地に近い拠点に商材を一括輸送し、域内の需要に応じた小~中ロットの店舗
  納品にスピーディーに対応することで、欠品による店舗の販売機会ロス削減や総在庫
  の偏在を抑制するなど、法人のお客さまの売上げの最大化と、サプライチェーンの
  スリム化、キャッシュフローの改善に貢献します。
   クロスボーダー領域では、輸出入する EC などの小口貨物、一般貨物の発注情報、
  出荷・到着予定情報、通関関連情報など、グローバルサプライチェーン上のすべての
  情報をデジダル化、可視化し、国内・海外のネットワークをスムーズに結節すると
  ともに、フルフィルメント機能の活用による在庫の最小化やリードタイムの最適化
  など、高度なソリューションを提供します。


  ②お客さまに向き合う法人部門の一体運営
   第一線からのお客さまのニーズをスピーディーに収集、集約し、質の高い提案に
  結びつけるため、「法人ソリューション・コントロールセンター」を新設します。
   情報集約からデータ分析、課題抽出に加え、各機能本部が開発するソリューション、
  サービス、マーケティングを一元的にマネジメントすることで、第一線の営業担当者
  の提案活動を支援し、法人のお客さまに常に最適な提案を実現する体制を構築します。


(4)「ECエコシステム」の最適解の創出

   加速する「全産業の EC 化」に向け、事業者、運び手、生活者が共にメリットを享受
  できる持続的な「EC エコシステム」の確立に向けた取り組みをさらに強化します。
   事業者には、在庫・事務コストを最小化するサプライチェーンの上流における価値
  提供に加え、ライブコマースなどの新たな販売チャネルの創出や、実店舗の EC 化
  支援など、サポート体制を充実させます。
   運び手には、EAZY CREW のネットワークをさらに拡充するとともに、デジタルを
  活用した集配ツールの充実など、「運ぶ」を効率化する支援を強化します。
   買い手となる生活者には、EAZY のリアルタイムトラッキングやダイナミック
  プライシングの導入、スマホで受け取れる店舗の拡大など、デジタルを活用した
  新たな顧客体験を提案していきます。
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   さらに、4,500 万人を超えるクロネコメンバーズ会員をはじめとするお客さまと、
  生産者、店舗、あるいは 130 万社を超えるヤマトビジネスメンバーズ会員をつなぐ
  仕組みの検討などを通じ、「新たな“運ぶ”」を創り、お客さまとの一層のエンゲージ
  メント強化を進めます。


(5)資本効率の向上

   事業成長とコスト構造の改革を進め、財務戦略との両輪でより資本効率を重視する
  経営に取り組みます。成長性(営業収益)と収益性(営業利益率)および、財務の
  健全性(キャッシュ創出状況、保有現預金、自己資本比率の水準)、投資の進捗状況、
  資本効率等を踏まえ、安定的な配当(株主資本配当率を意識)を基本とした 適時
  適切な資本政策により、株主価値向上を実現します。
   具体的には、ROE10%以上(2024 年 3 月期)、配当性向 30%以上、総還元性向 50%
  以上(2021 年 3 月期~2024 年 3 月期までの累計)を目指します。


(6)「運創業」を支える人事戦略の推進

   第一線の社員一人ひとりの役割を明確化し、評価できる制度、事業本部、機能本部
  でグループをリードする専門人材が育成され、高いパフォーマンスを発揮できる制度
  へと、人事制度を刷新します。
   また、社員が学び、成長するための教育専門組織「クロネコアカデミー」を新設し、
  組織力の向上を図ります。
   さらにデジタル教育プログラムを充実し、経営層を含む全社員のデジタルリテラシー
  の底上げと、デジタル人材の早期育成を図ります


(7)経営体制の刷新とガバナンスの強化

   2021 年 4 月 1 日、ヤマト運輸とグループ会社 7 社を統合し、 部門
                                       2  (リテール部門・
  法人部門)を構成する 4 つの事業本部(リテール事業、法人事業、グローバル SCM
  事業、EC 事業)と、4 つの機能本部(輸送機能、デジタル機能、プラットフォーム
  機能、プロフェッショナルサービス機能)、およびコーポレートからなる経営体制に
  移行します。純粋持株会社は存続するものの、統合後のヤマト運輸を中核会社とし、
  意思決定のスピードを重視したガバナンスを構築します。
【組織図】




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(8)データ戦略、イノベーション戦略の推進

   基幹システムの刷新に加え、データ活用のさらなる高度化に向け、引き続き
  デジタルデータの整備と、デジタル基盤の強化を進めます。最新テクノロジーを活用
  したデータ取得の仕組みや、クラウド技術を中心とした「Yamato Digital Platform」
  の拡充を通じ、9つの重点施策をデジタル面から支えます。
   また、2020年4月に創設した「KURONEKO Innovation Fund」をはじめ、スタート
  アップの発掘と連携、新規事業創出に向けたスタートアップへの投資など、オープン
  イノベーションをさらに強力に推進します。

(9)サステナブル経営の強化

   「YAMATO NEXT 100」で掲げたビジョンの実現と注力すべき社会課題の解決に
  向け、環境と社会を組み込んだ経営を実行するため、マテリアリティ(重要課題)
  ごとに2024年3月期の中期目標を策定しました。
   各施策を事業活動の中で遂行することにより、社会と事業の持続可能な発展を
  目指します。


  ※環境・社会に関するマテリアリティごとの主要な中期目標は、本日開示しました
  「ヤマトグループ サステナブル中期計画2023【環境・社会】策定に関するお知らせ」
  をご参照ください。


3.「Oneヤマト2023」の主要数値目標

(1)収支計画

                2021 年 3 月期                    2024 年 3 月期
                   予想               計画              増減        伸率(%)
  営業収益           1 兆 6,800 億円          2 兆円       +3,200 億円    +19.0%

  営業利益                820 億円        1,200 億円       +380 億円     +46.3%

  営業利益率                 4.9%              6%          +1.1%        -

  連結経常利益              820 億円        1,200 億円       +380 億円     +46.3%

  親会社株主に帰属する          430 億円         720 億円        +290 億円     +67.4%
  当期純利益
  ROE                   7.8%             10%          +2.2%        -




(2)投資計画

   9つの重点施策を着実に実行するため、事業継続に必要な車両、施設、機器等の
  メンテナンスなどの経常投資 2,000 億円に、基幹システムの刷新、データ基盤強化、
  EAZY の機能拡張などのデジタル投資に 1,000 億円、物流オペレーションの自動化、
  拠点設置などの建物に 500 億円、荷役機器などに 500 億円の計 2,000 億円の成長投資
  を加え、3年間で合計 4,000 億円の投資を実施します。
                                                                 以      上

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