8963 R-INV 2020-05-11 15:30:00
主要テナントとの定期建物賃貸借兼管理業務委託契約変更覚書締結に関するお知らせ [pdf]

                                                        2020 年5月 11 日
各位
                            不動産投資信託証券発行者名
                             東京都港区六本木六丁目 10 番1号 六本木ヒルズ森タワー
                             インヴィンシブル投資法人
                             代表者名   執   行   役   員    福田 直樹
                                                      (コード番号:8963)
                            資産運用会社名
                             コンソナント・インベストメント・マネジメント株式会社
                             代表者名   代表取締役社長           福田 直樹
                             問合せ先   企   画   部   長     粉生   潤
                                                    (TEL 03-5411-2731)



          主要テナントとの定期建物賃貸借兼管理業務委託契約変更覚書締結に関するお知らせ

 インヴィンシブル投資法人(以下「本投資法人」といいます。
                            )が資産の運用を委託する資産運用会社であ
るコンソナント・インベストメント・マネジメント株式会社(以下「本資産運用会社」といいます。
                                            )は、本
日、本投資法人の主要テナントである株式会社マイステイズ・ホテル・マネジメント(以下「MHM」とい
います。
   )及びその関連会社(以下、MHMと併せて「MHMグループ」といいます。)との間で、MHMグル
ープが運営する本投資法人保有国内ホテルに係る各定期建物賃貸借兼管理業務委託契約(以下「本MLPM
契約」といいます。
        )の変更覚書(以下「本覚書」と総称します。
                            )を締結することを決定いたしましたので、
下記のとおりお知らせいたします。
 なお、MHMグループは、本投資法人のスポンサーである Fortress Investment Group LLC(以下「FI
G」といいます。)の関係法人が運用するファンドから間接的に出資を受けていることから、本資産運用会社
においては、MHMグループを社内規程上の利害関係者(スポンサー関係者)に準じるものとして取り扱っ
ています。したがって、本覚書の締結に際しては、利益相反対策のための本資産運用会社の社内規程に従い、
本資産運用会社及び本投資法人において慎重に審議・検討の上、所要の手続を経て決定しております。


                              記


1.本覚書の概要
      新型コロナウイルスの感染拡大と政府による緊急事態宣言及びこれに伴う地方自治体による休業要請
     その他の措置等により、日本全国のホテルの利用客数は大幅に減少しています。政府は不要不急の移動
     を控えるとともに、ビジネス・レジャー目的を問わず、旅行を控え在宅するよう求めています。これら
     によりホテルの客室稼働率は大幅に減少し、多くのホテルが営業停止を余儀なくされる未曾有の事態と
     なっています。このような状況を踏まえ、本覚書は、本投資法人が信託受益権の形態で保有する国内ホ
     テル 83 物件のうち、MHMグループが運営する 73 物件(以下「対象物件」といいます。)に関して、本
     年6月末までの暫定的な措置として、①本MLPM契約における賃料の支払条件を一部変更して固定賃
     料の支払いを免除するとともに、変動賃料の計算方法を変更し、②MHMグループが従来負担していた
     対象物件に係る物件管理費(なお、物件管理費とは、対象物件の建物・設備の保守・点検等に係る費用、
     修繕費等であり、MHMグループの人件費や営業費等の一般管理費はこれに含まれません。
                                             )の負担緩和
     を図り、本投資法人の負担とする(以下「物件管理費負担」といいます。
                                     )とともに、③MHMグループ
     に対して支払う管理業務受託手数料の金額をホテル営業を継続するために必要な金額として別途合意す
     る金額に引き上げること(以下「管理業務受託手数料引き上げ」といいます。
                                       )について合意するもので
     す。



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   MHMグループとの間の対象物件に係る本MLPM契約は、変動賃料及び固定賃料を組み合わせた賃
  貸借契約であり、変動賃料はGOP(注1)に連動する賃料ストラクチャーを採用しているところ、①
  については、対象物件の稼動及び収益の足許の状況と今後の見込み、MHMグループの支払余力(注2)
                                                、
  会計・税務上の影響等(注3)を勘案し、本覚書の締結により、2020 年3月1日から同年6月 30 日まで
  の期間については、固定賃料(合計約 35 億円)を全額免除するとともに、これに伴い、本覚書締結時を
  含む変動賃料計算期間の開始日である 2020 年2月1日から同年6月 30 日までの期間における変動賃料
  の算出方法について、従前の3ヶ月ごとの計算期間から暦月ごとに算出される月間営業粗利益(月間G
  OP)と同額(負の値となる場合には0円)とすることに変更するものです。その結果、対象物件に係
  る 2020 年3月から同年6月までの固定賃料は免除され、月間GOPに相当する変動賃料のみ(上記のと
  おり、月間GOPが正の値の場合にのみ発生)の支払いを受けることとなります。また、②及び③につ
  いては、MHMグループの収益予想、キャッシュフローの見込み等を勘案し、MHMグループの破綻を
  回避することも勘案し、対象物件に係る物件管理費を本投資法人が負担することに変更するとともに、
  MHMグループに支払う管理業務受託手数料(注4)についてホテル営業を継続するために必要な金額
  として別途合意する金額とするものです。
  (注1) 営業粗利益(Gross Operating Profit)をいい、テナントのホテル売上高からホテル営業に係る費用(人件費、水道
       光熱費、広告費等の諸費用)及びオペレーターへの管理業務委託手数料を控除した額をいいます。
  (注2) MHMの 2019 年 12 月期末時点の流動資産は約 60 億円、固定資産は約 10 億円に留まり、流動資産約 60 億円のうち、
       約 24 億円が現預金ですが、これは同期末時点においてホテル運営等に係る未払費用等(約 26 億円)の債務にほぼ見
       合うものであり、MHMの手元現預金は極めて限定された水準に留まっています(足元の状況についても資金繰り表
       等により、別途確認しております)        。また、固定資産には有形固定資産約4億円が含まれているものの、本資産運用会
       社において、当該資産は少なくとも現在の市場環境下においては換価が困難であり、担保価値も見込まれないもので
       あることを確認しております。また、MHMの 2019 年 12 月期の当期純利益は約 22 百万円、2020 年 12 月期の上半期
       については運営ホテルからの管理手数料収入等の大幅な減少により営業損失を計上する見込みであることを確認して
       います。
  (注3) 賃料の免除ではなく支払の猶予とすることも考えられますが、支払い猶予とする場合、会計・税務上は当期の利益・
       益金として賃料が計上される一方、         当面賃料の支払いはなされないことから、  導管性要件を維持するために当該利益・
       益金を配当する場合には手元現金が大幅に減少するという問題が生じます。詳細については、後記「2.本覚書締結
       の経緯及び理由 (2)本覚書締結の理由と代替措置の検討 ② 固定賃料の繰延べではなく免除とした理由」をご
       参照ください。
  (注4) 本MLPM契約上、管理業務受託手数料は、原則として、          「(i)月間売上高の2%相当額、(ii)テナントの本社営業部
       門及びテナントが管理運営する自社ホームページを経由した送客実績に基づく月間売上高の0%から6%相当額の送
       客手数料、並びに(iii)月間GOPから上記(i)及び(ii)の金額を控除した金額の4%から6%相当額」           (料率は個別の
       対象物件により異なります。      )とされているところ、本覚書により、2020 年 3 月 1 日から 6 月 30 日までの特例措置と
       して、 「対象物件のホテル営業を維持するために必要な金額として本覚書の当事者が別途書面出合意する金額」に変更
       するものです。


   対象物件の一覧は、
           「別紙        対象物件一覧」をご確認ください。また、各対象物件の賃料条件等を含む
  賃貸借契約の概要については、本投資法人が 2020 年3月 25 日に提出した第 33 期(2019 年7月1日~
  2019 年 12 月 31 日)
                  有価証券報告書「第一部ファンド情報        第1   ファンドの状況      5   運用状況 (2)
  投資資産」をご参照ください。


2.本覚書締結の経緯及び理由


(1)本覚書の締結に至った経緯


   上記のとおり、政府による緊急事態宣言及びこれに伴う地方自治体による休業要請その他の措置等に
  より、ホテル業界は急速な売上げの減少にさらされています。世界各国の感染拡大対策や企業・市民に
  よる出張・旅行の自粛もあいまって、この状況は極めて深刻なものとなっています。対象物件の3月の
  平均客室稼働率は 44.9%であり、4月・5月は更に客室稼働率が低下することが見込まれています。




                                    2
   MHMグループは、ホテル運営に伴う報酬(管理業務受託手数料)を極力抑えることにより、関連フ
  ァンド(及び本投資法人)によるホテル投資機会の拡大とこれに伴う運営受託ホテル物件数の拡大を志
  向する事業戦略を採用してきたことから、本MLPM契約についても、固定賃料と変動賃料を組み合わ
  せた賃料体系とするとともに、本投資法人がGOPのアップサイドのほとんど全てを享受し、MHMグ
  ループは本社経費等を勘案して設定した必要最低限の管理業務受託手数料に相当する金額のみを受領す
  る仕組みになっております。したがって、MHMグループには、対象物件を含むMHMグループが運営
  するホテル物件について、今般の未曾有の状況のように全般的にホテル収益が営業費用を下回り、GO
  Pに大幅なマイナスが生じた場合にこれを負担する財務基盤を有しておりません。この前例のない危機
  的な状況において、MHMグループは、本投資法人を含む全ての同グループ運営ホテルの所有者に対し
  て、このようなGOPのマイナス分を負担するとともに、固定賃料を免除するよう要請しており、本投
  資法人としても、当該要請の内容や市場動向、今後の見通しその他諸般の状況を慎重に検討の上、以下
  に記載の条件でこれに応じることとしたものです。


   MHMグループは、本投資法人が保有する国内ホテル 83 物件のうち 73 物件を運営するオペレーター
  であり、2019 年 12 月期において、MHMグループから支払われた本MLPM契約に基づく賃料は約 112
  億円(固定賃料として約 59 億円及び変動賃料として約 53 億円)と、本投資法人の物件売却益を除く営
  業収益の約3分の2を占める最大テナントであることから、MHMグループとの本MLPM契約の一時
  的な条件変更やMHMグループの事業継続が本投資法人の業績及び収益に重大な影響を及ぼすとともに、
  MHMグループが運営する対象物件の運用及び将来見通しに重大な影響を及ぼすことも勘案し、本投資
  法人及び本資産運用会社としても、本投資法人の利益を最大限考慮した上で慎重に検討して参りました
  が、以下に記載の検討経緯等も踏まえ、今般の合意に至ったものです。


(2)本覚書締結の理由と代替措置の検討


 ① MHMグループに対する賃料免除及び費用負担に係る条件変更等の支援を行うこととした理由


   前記のとおり、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、MHMグループからは、2020 年5月 11
  日(同年3月分に対応する固定賃料の支払期日)及びそれ以降当面の間に支払期日が到来する賃料の支
  払免除並びに経費負担の変更その他の条件変更を強く要請されました。
   かかる要請を受けて、本投資法人及び本資産運用会社としては、条件変更に伴う本投資法人の業績へ
  の影響の重大性及びMHMグループの本投資法人におけるホテルポートフォリオ運営上の重要性と、新
  型コロナウイルスの感染拡大及びその影響がホテル業界に及ぼしている影響及び今後の見通し、各対象
  物件の運営状況及びその見通し、MHMグループの業績及びキャッシュフローの見込み、考えられる対
  応策とそれぞれに対する会計・税務上の影響等の様々な要因を勘案し、関係者間で慎重に協議・交渉・
  検討を重ねて参りました。
   まず、本投資法人及び本資産運用会社としては、MHMグループの運営実績及び本投資法人の収益に
  対する変動賃料の支払を含む多大な貢献や、人材、運営ノウハウ、予約管理その他のシステム、サービ
  スレベル等に鑑み、MHMグループのホテルオペレーターとしての運営能力自体には何ら問題はないと
  判断しております。


   他方、MHMグループの要請する賃料の減免及び費用負担の変更を行わなかった場合には、MHMグ
  ループは遅くとも 2020 年5月中旬には本投資法人に対する固定賃料支払債務を含む各種支払債務につ
  いて支払不能に陥ることが見込まれています。この場合、MHMグループの賃料支払義務やホテル運営




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コストを考慮すると、MHMグループが運営する対象物件以外のホテルの所有者だけでなく、本投資法
人においても何らかの支援を行わない場合、MHMグループが倒産する可能性は否定できません。また、
倒産手続の開始に至らなかった場合であっても、ホテルの運営に必要不可欠な取引先が取引停止その他
の措置をとることも想定されます。このような事態に陥った場合、MHMグループによる 73 物件に及ぶ
対象物件のホテル運営が再開の時期を見通せない状況で少なくとも相当の期間停止することを余儀なく
され、結果として本投資法人は対象物件からの賃料収入の全部又は大部分を当該期間中得られなくなり、
本投資法人の投資主の利益が著しく害される結果となると考えられます。なお、現在、ホテル業界にお
いては、上記と同様、客室稼働率の大幅な低下により生じる損失についてホテル所有者に一定の負担が
求められる状況が一般的に生じていると考えています。また、本投資法人を除くMHMグループ運営ホ
テルの他の所有者においても、当初からGOPのマイナス分がそのままホテル所有者に帰属することと
なる運営委託契約となっているものを除き、すべてのホテルについて、少なくとも本年6月末までの間、
GOPのマイナス分を負担するとともに固定賃料を免除するとのMHMグループの要請を受け入れてい
るとのことです。


 他方、MHMグループには主立った資産は存在せず、MHMグループに対して強制執行を行い、又は
倒産手続を申し立てることによって強制的に賃料債権の回収を図ることは現実的ではないと考えており
ます。
 また、MHMグループに対し、最大限のコストカットを求めており、同社グループにおいてもこれに
努めておりますが、ホテルの営業を継続する限りは最低限の人件費、営業費、一般管理費等が発生し、
ホテルの営業を一時休止したとしても(現時点で既にMHMグループの運営ホテルの内、11 ホテルにつ
いて一時全館閉館、 ホテルについて一部フロア・別館の閉館により水光熱費等の削減を図っています。
         36                                    )
最低限の物件管理費や人件費の負担は発生するため、コスト削減によって補填できる収入減は限定され、
ホテルの収入が大幅に減少している状況においては、GOPがマイナスとなることも避けられない状況
にあります。
 さらに、MHMグループの実質的な投資家(株主)は、本投資法人のスポンサーであるFIGの関係
法人が運用するファンドですが、同ファンドは、今般の新型コロナウイルスの感染拡大及びその経済的
な影響によりMHMグループの収益が大幅に下落していることを踏まえ、MHMグループの本社経費等
に必要な金額に充てるため、総額 13 億円の追加出資(うち7億円の追加出資については本年4月中に実
行済み)を行う予定であることを確認しています。しかしながら、同ファンドは、追加出資を行う契約
上その他の法的義務を負うわけではなく、また、現在の環境下において、MHMグループの本社経費等
に必要な金額に充当するための総額 13 億円を超えて、MHMグループの運営ホテルの営業赤字相当額
を追加出資等により補填することはできないとのことです。他方、対象物件におけるホテル営業を継続
するためには、2020 年3月1日から同年6月末日までの4ヶ月間だけでも、固定賃料支払債務約 35 億
円、ホテル運営に必要となる費用約 15 億円、合計約 50 億円程度の資金手当が必要な状況であると見込
まれており(但し、現時点における見込みであり、不透明かつ変化の激しい事業環境にあることもあり、
必要資金額は今後変動する可能性があります。、当該追加出資のみでは、MHMグループの事業継続の
                     )
ための必要資金には大幅に不足が生じます。また、MHMグループは基本的にホテル運営による手数料
を受け取る事業を行っているのみであり、上記「1.本覚書の概要(注2)」記載のとおり、十分な資産
を保有しているわけでもないため、借入その他の金融支援を受けることもできない状況にあります。そ
のため、本覚書による賃料の減免を行うか否かにかかわらず、MHMグループに対する賃料の全部又は
その大部分は回収不能となることが見込まれます。また、対象物件の価値を維持するために最低限の物
件管理費及び営業費用は、MHMグループに対するホテル運営の委託を継続するか否かにかかわらず避
けられない費用であり、MHMグループが負担できない場合、最終的には対象物件の保有者である本投
資法人が負担せざるを得ない状況にあります。




                        4
 以上の考慮の結果、MHMグループの倒産又は経営破綻を回避しつつ、MHMグループによる対象物
件のホテル運営を継続することが、現時点においては、本投資法人の投資主にとっても最善の選択肢で
あると判断し、2020 年3月分の固定賃料の支払期限が本日であることも踏まえ、本年6月末までの一時
的な措置として、本覚書を締結することといたしました。なお、代替テナントを確保することが困難で
あること、その他の代替措置の検討状況については、後記③をご参照ください。


② 固定賃料の繰延べではなく免除とした理由


 固定賃料の免除ではなく、支払い猶予(支払時期の延期)についても検討いたしましたが、MHMの
収益構造及び本MLPM契約の仕組み上、賃料の支払いを猶予することにより将来的に賃料の回収が実
質的に見込まれる状況にないことから、かかる選択肢には経済的なメリットを見出し難いと判断しまし
た。すなわち、本MLPM契約は、固定賃料及び変動賃料によって、ホテル営業粗利益のほぼすべてを
本投資法人に支払うことを想定した契約内容となっており、仮に賃料支払いを猶予し、かつ将来ホテル
事業を取り巻く市場環境が好転しても、その利益は本投資法人に変動賃料として支払われる仕組みとな
っているため、猶予された固定賃料が将来において支払われることは見込まれません。なお、本MLP
M契約の条件を変更し、将来におけるMHMグループに利益が見込まれる程度に将来の賃料を減額する
こととし、当該利益をもって繰り延べた賃料の支払いを受けることも考えられますが、かかる変更は、
結局のところ、MHMグループからの賃料の支払いを、変更前の本MLPM契約に基づく将来の変動賃
料として収受するか、繰り延べた賃料の支払として収受するかの違いであるに過ぎず、この点において
実質的に経済的な差異はないと考えられます。
 他方、支払の猶予とする場合、会計・税務上は当期の利益・益金として賃料が計上されることから、
導管性要件の維持(注1)のために、実際には支払われていない繰延賃料の 90%以上(今回のケースで
は 30 億円以上の現金)を配当として払い出さなければならず、足許の危機的な状況下、手元現金が大幅
に減少してしまうことから、実態として回収が困難である賃料を繰り延べることとするよりは、将来の
変動賃料として収受する方がかかる観点からも望ましいと判断したものです。
(注1) 税法上、投資法人に係る課税の特例規定により、一定の要件(導管性要件)を満たした投資法人に対しては、投資法人
     と投資主との間の二重課税を排除するため、利益の配当等を投資法人の損金に算入することが認められていますが、導
     管性要件の一つに「金銭の分配の額が配当可能利益の 90%超であること」という要件があり、賃料の繰延べの場合には、
     繰り延べられた賃料も配当可能利益に計上されます。他方、今回のケースで賃料を免除した場合には、本投資法人に法
     人税の課税は生じないと判断しております。


③ 代替テナント・オペレーターを確保することその他の代替措置の困難性について


 本資産運用会社が4月末にホテル業界に精通する第三者機関に依頼した調査では、有効回答を得られ
た9社のホテルオペレーターは全て、現時点で新規契約を締結する場合、固定賃料を含む賃貸借契約で
の受託は困難であり、GOPがマイナスとなった場合はホテル所有者がこれを負担することが前提にな
るとの回答であったとの報告を受けています。現状のホテル業界全体の状況を踏まえますと、新型コロ
ナウイルスの感染拡大の収束、その後の経済活動の正常化等に向けた見通しが立つまでは、そもそも代
替テナントを確保し、賃貸条件について合意に至ること自体が極めて困難であるといわざるを得ません。
 また、前述のホテル業界に精通する第三者機関に依頼した調査結果が示す通り、MHMグループとの
間で締結している本MLPM契約と同様の固定賃料を含む条件で契約することは極めて困難であると考
えられますが、仮に固定賃料を含む賃貸借方式で契約することが可能であるとしても、現下の状況にお
いては、固定賃料は本MLPM契約に比して相当低額なものとならざるを得ず、ホテルのマーケットが
落ち着くまで相当程度の期間のフリーレントの設定を要求される可能性が高く、マイナスのGOPにつ
いてはホテル所有者である本投資法人が負担を求められる可能性もあるといわざるを得ません。仮に、



                            5
同様の条件の下に、対象物件 73 物件について他のオペレーターと契約を締結できたと仮定した場合で
も、ホテルのリブランドに多額の経費を要するうえに、長期にわたり相当程度の減収を余儀なくされる
ことが見込まれます。また、73 物件という多数の対象物件のデューディリジェンス、契約条件について
の協議・交渉、対象物件のホテル運営に必要な人員の確保及びリブランドを含むオペレーションの変更
には、実務上最低でも数ヶ月を要することとなります。
 以上のとおり、代替テナントを確保し、円滑に変更を実現することは、新型コロナウイルス感染症の
拡大とホテル業界に及ぼしている未曾有の状況を踏まえると、実務上極めて困難である上、今後の状況
への見通しが明らかでない現時点において代替テナントとの契約条件に合意する場合、仮にかかる合意
が可能であるとしても、本投資法人に極めて不利な条件での合意を余儀なくされるおそれが高いといわ
ざるを得ません。また、代替テナントが確保できた場合であっても、前記のとおり代替テナントへの移
行までには相当の期間を要することから、それまでの間、代替テナントからの賃料は得られないことと
なります。


④ 物件管理費負担の変更及び管理業務受託手数料引き上げについて
 本MLPM契約においては、物件管理費については、原則としてテナント兼オペレーターであるMH
Mグループが負担することとされていますが、現下の対象物件の運営状況並びにMHMグループの収益
状況及び財務状況に鑑みれば、本年6月末日までの間、物件管理費は本投資法人において負担すること
に変更することはやむを得ないと判断いたしました。なお、ホテルオペレーターとの契約上、物件管理
費を物件保有者が負担することは比較的一般的であると認識しており、当該変更は、現下の状況におい
ては、交渉上やむを得ないものと判断しております。
 また、賃料の減免及び物件管理費の負担に加え、管理業務受託手数料の引き上げについても合意する
ことといたしましたが、当該合意はMHMグループが対象物件におけるホテル営業を継続するために必
要な金額として別途合意する金額とすることとしており、具体的な金額はMHMグループとの間で別途
合意することとなります。なお、当該変更に関する合意は、当面の間は、新型コロナウイルス感染症の
影響により対象物件におけるホテル営業は極めて厳しい状況が継続し、ホテルのGOPが相当程度マイ
ナスとなることも想定されることから、MHMグループにおけるホテル営業の継続に必要な限度で当該
マイナスのGOPを実質的に本投資法人が負担することにより、ホテル営業の継続に支障が生じないよ
うに手当することを意図しているものです。
 これは、MHMグループによる対象物件のホテル営業が困難となり、一旦ホテルを閉鎖して従業員等
を解雇することを余儀なくされた場合、短期間でのホテル営業再開は困難となることが想定され、また、
再雇用を意図しても優秀な人材を早期に確保することが困難となる可能性があるなど、本投資法人の保
有ホテル物件の価値を決定的に毀損する虞があること、さらに、金銭的に評価することは容易ではあり
ませんが、MHMグループが倒産を余儀なくされた場合には、本投資法人のポートフォリオ全体(148 物
件)の約半数、国内ホテル物件 83 物件の大部分に相当する 73 物件が一度に閉鎖され再開の見込みも立
たない状況に陥り、本投資法人の将来の財務及び業績に与える悪影響は深刻なものになると想定される
ことから、かかる事態が生じることを回避するために、対象物件のGOPがマイナスとなった場合(注
1)には、必要な範囲でこれを補うべく、管理業務受託手数料の引き上げにより対応することとしたも
のです。但し、当該引き上げは、あくまで別途合意するところによるものであり、対象物件のGOPそ
の他のオペレーションの状況だけでなく、MHMグループの業績及び財務状況、その後の見通し等を踏
まえて判断することとなります。
 本書の日付現在において、本投資法人といたしましては、対象物件のGOP予想等を勘案し、物件管
理費の負担額と管理業務受託手数料の引上額の合計額として 15 億円を上限として、管理業務受託手数
料の金額に合意することを想定しています。なお、物件管理費と管理業務受託手数料については、必要




                        6
  に応じて合意の上随時支払いますが、当該金額の合計額が 15 億円を上回ることとなる場合には、改めて
  お知らせ致します。
  (注1) 現時点において、今般の変更の対象期間である本年6月末日までの期間における対象物件の売上の見込額からホテル従
       業員の人件費、一般管理費等の対象物件のホテル運営に必要な費用の見込額を控除した見込額として、全体として約 15
       億円を見込んでいます。


 ⑤ 小括


   以上を踏まえ、本投資法人は、新型コロナウイルス感染症の拡大とその影響を踏まえた一時的な特例
  措置として、現時点では本年6月末日までの期間に限った暫定的な措置として、本MLPM契約の条件
  を締結し、MHMグループに対して、固定賃料の免除、一部費用の投資法人負担への変更及びMHMグ
  ループに対する管理業務受託手数料の引き上げに関して合意することといたしました。本投資法人及び
  本資産運用会社といたしましては、今般の合意は、現下の未曽有の状況を踏まえるとやむを得ない措置
  であり、本投資法人の業績に与える悪影響を極小化する観点から現実的かつ合理的な対応策である考え
  ております。
   また、本投資法人及び本資産運用会社は、かかる特例措置の期間中に、新型コロナウイルス感染症や
  ホテル業界への影響の見通しを踏まえて、本年 7 月以後の本MLPM契約の条件変更の要否やその内容
  等について、慎重かつ真摯に検討して参る所存です。


3.MHMの概要
  ①   名               称   株式会社マイステイズ・ホテル・マネジメント
  ②   所       在       地   東京都港区六本木六丁目2番 31 号六本木ヒルズノースタワー14 階
  ③   代表者の役職・氏名           代表取締役社長       代田   量一
  ④   事   業       内   容   ホテル、旅館の管理運営
  ⑤   資       本       金   4億 5,000 万円(2020 年4月末日現在)
  ⑥   設   立   年   月   日   1999 年7月8日
  ⑦   投資法人・資産運用会社と当該会社の関係

                          本投資法人 本資産運用会社とMHMとの間には記載すべき資本関係は
                                 ・
                          ありませんが、MHMの親会社の株式は本資産運用会社の発行済株式
      資   本       関   係   の 100%を直接・間接的に保有する親会社であるソフトバンクグループ
                          株式会社の子会社であるFIGの関係法人が運用するファンドが間接
                          的に保有しています。

                          本投資法人 本資産運用会社とMHMとの間には記載すべき人的関係は
                               ・
                          ありませんが、本日現在において、本投資法人の役員及び本資産運用会
                          社の役職員のうち本投資法人の執行役員かつ本資産運用会社の代表取
      人   的       関   係   締役社長である福田直樹氏並びに本資産運用会社の取締役会長である
                          市來直人氏及び非常勤取締役であるクリストファー リード氏はFIG
                                                 ・
                          の子会社であるフォートレス・インベストメント・グループ・ジャパン
                          合同会社からの出向者です。

                          本投資法人は、本日現在において、MHMとの間で、ホテル合計 73 物
      取   引       関   係
                          件に係る賃貸借契約(注2)を締結しています。




                                    7
                          MHMは、本投資法人・本資産運用会社の関連当事者には該当しませ
      関 連 当 事 者 へ の       ん。また、MHMの関係者及び関係会社は、本投資法人・本資産運用
                          会社の関連当事者には該当しません。また、MHMは、本資産運用会
      該     当    状    況   社の投資信託及び投資法人に関する法律に規定する利害関係人等に該
                          当しません。
  (注1) 前記のとおり、MHMは 2020 年4月に7億円の増資をしておりますが、その一部については資本準備金に振り替えているた
        め、資本金は4億 5,000 万円となっています。
  (注2) MHMの子会社との契約及びMHMとテナントとの間の運営委託契約を含みます。


4.利害関係人等との取引
    対象物件のテナント兼オペレーターであるMHM又はその関連会社は、本資産運用会社が本投資法人
   の資産運用に係る利益相反対策のために定める自主ルール上のスポンサー関係者(注1)には該当しま
   せん。しかしながら、当該テナント兼オペレーターはスポンサーであるFIGの関係法人が運用するフ
   ァンドから間接的に出資を受けています。したがって、本資産運用会社では、MHM及びその関連会社
   をスポンサー関係者に準ずるものとして取り扱っています。
    そのため、本覚書の締結については、本資産運用会社の内規であるスポンサー関係者取引規程及びス
   ポンサー関係者取引管理マニュアルに従い、本資産運用会社の 2020 年5月 11 日開催のコンプライアン
   ス委員会及び同日開催の投資委員会の審議及び決定を経て、同日開催の取締役会において本覚書を承認
   する旨の決議を行い、更に同日開催の本投資法人の役員会において承認を得ています。
   (注1) スポンサー関係者とは、(a)投信法及び投資信託及び投資法人に関する法律施行令(平成 12 年政令第 480 号、その後
        の改正を含みます。)で定義される利害関係人等に該当する者、(b)本資産運用会社の株主全て及び(c)  (b)に該当す
        る者が運用の委託を受けている又は出資若しくは匿名組合出資を行っている特別目的会社をいいます。以下同じです。


5.今後の見通し
    本覚書の締結に伴う本投資法人の 2020 年6月期(2020 年1月1日~2020 年6月 30 日)の運用
   状況及び分配金の予想の修正については、本日付「2020 年6月期(第 34 期)の運用状況及び分配
   金の予想の修正に関するお知らせ」をご参照ください。2020 年 12 月期(2020 年7月1日~2020 年
   12 月 31 日)の運用状況及び分配金の予想は、引き続き未定としていますが、2020 年7月以後の本
   MLPM契約の条件変更の有無及びその内容、新型コロナウイルス感染症によるホテル業界への影響
   の状況等の見通しを踏まえ、予想の公表が可能となり次第速やかにお知らせ致します。
    なお、財務状況に関し、本投資法人の有利子負債に係る利払い及び本投資法人の運営コスト等の
   費用の支払につきましては、住居物件及び商業施設からの賃料収入によって大半をカバーすること
   ができ、また、本投資法人には約 72 億円の手元資金(2020 年3月末における分配金支払後時点)
   がありますので、本覚書の締結により、その履行に悪影響が生じるものではないと判断しています。


                                                                以上




* 本投資法人のホームページアドレス:https://www.invincible-inv.co.jp/




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別紙    対象物件一覧



物件番号    物件名称                       物件番号   物件名称

D1      ホテルマイステイズ神田                D34    フレックステイイン川崎小川町

D2      ホテルマイステイズ浅草                D35    フレックステイイン江古田

D3      ホテルマイステイズ京都四条              D38    ホテルマイステイズ心斎橋

D4      マイステイズ新浦安コンファレンスセンター       D43    ホテルマイステイズ五反田駅前

D5      ホテルマイステイズ舞浜                D44    ホテルエピナール那須

D6      ホテルマイステイズプレミア堂島            D45    ホテルマイステイズ福岡天神

D7      ホテルマイステイズ名古屋栄              D46    ホテルマイステイズ浜松町

D8      ホテルマイステイズ堺筋本町              D47    ホテルマイステイズプレミア金沢

D9      ホテルマイステイズ横浜                D49    ホテルマイステイズプレミア浜松町

                                          ホテルマイステイズ新大阪
D10     ホテルマイステイズ日暮里               D50
                                          コンファレンスセンター

D11     ホテルマイステイズ福岡天神南             D51    ホテルマイステイズプレミア大森

D12     フレックステイイン飯田橋               D52    別府亀の井ホテル

D13     ホテルマイステイズ上野稲荷町             D53    ホテルマイステイズ札幌駅北口

D14     フレックステイイン品川                D54    ホテルマイステイズ横浜関内

D15     フレックステイイン常盤台               D55    アートホテル上越

D16     フレックステイイン巣鴨                D56    アートホテル弘前シティ

D17     ホテルマイステイズ大手前               D57    ホテルマイステイズ大分

D18     ホテルマイステイズ清澄白河              D58    ホテルマイステイズ五反田

D19     フレックステイイン中延 P1             D59    ホテルマイステイズ立川

D20     フレックステイイン中延 P2             D60    ホテルマイステイズプレミア赤坂

D22     ホテルマイステイズ函館五稜郭             D61    ホテルマイステイズプレミア札幌パーク

D23     フレックステイイン白金                D62    ホテルマイステイズ上野イースト

D24     ホテルマイステイズ羽田                D63    ホテルマイステイズ御堂筋本町

D25     ホテルマイステイズ亀戸 P1             D64    ホテルマイステイズ札幌アスペン

D26     ホテルマイステイズ上野入谷口             D65    アートホテル石垣島

D27     ホテルマイステイズ亀戸 P2             D66    ホテルマイステイズ富士山展望温泉

D28     ホテルマイステイズ清水                D67    ホテルソニア小樽

D30     フレックステイイン東十条               D68    ホテルマイステイズ金沢キャッスル

D31     ホテルマイステイズ宇都宮               D69    アートホテル新潟駅前

D32     フレックステイイン川崎貝塚              D70    ホテルマイステイズ名古屋錦




                               9
D71   ホテルノルド小樽                 D78   フレックステイイン桜木町

D72   ホテルマイステイズ鹿児島天文館          D79   MyCUBE by MYSTAYS 浅草蔵前

D73   アートホテル旭川                 D80   ホテルマイステイズ鹿児島天文館 2 番館

D74   ホテルマイステイズ松山              D81   ホテルマイステイズ名寄

D75   ホテルマイステイズ札幌すすきの          D82   ホテルマイステイズプレミア成田

D76   ホテルマイステイズ札幌中島公園          D83   アートホテル盛岡

D77   ホテルマイステイズ札幌中島公園別館




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