8938 J-グロームHD 2020-04-22 16:00:00
調査報告書受領のお知らせ [pdf]

                                                 2020 年 4 月 22 日
各   位
                          上場会社名   グローム・ホールディングス株式会社
                          代表者     代表取締役社長 金子 修
                                  (JASDAQ・コード      8938)
                          問合せ先    経営企画管理室 室長 宮下            仁
                                  (TEL 03-5545-8101)


                     調査報告書受領のお知らせ


    当社は、2020 年2 月4 日付の「当社元子会社における不適切な取引行為判明による社内調査委員
会設置に関するお知らせ」にて開示致しましたとおり、当社の元連結子会社であるロジコムリア
ルエステート株式会社(現株式会社LCリアルマネジメント(以下「リアル社」といいます。)
                                          )
において、過去の決算において不適切な取引行為が行われていた可能性があることが判明しまし
た。当社は直ちに不適切な取引行為等の詳細、影響金額を含め事実関係解明のために、社外有識
者を主要メンバーとする社内調査委員会を設置し、調査を実施しました。
    本日、社内調査委員会より、その調査報告書を受領致しましたので、お知らせいたします。


                            記
1.社内調査委員会の調査結果
    調査委員会の調査結果につきましては、当社において要約を施した別添の「調査報告書
(要約版)
    」をご参照下さい。


2.業績への影響
    当社は、2015 年 3 月期以降の売上高、売上原価及び資産除去債務の金額の見直し等、必
要と認められる訂正を行うことといたしました。
    この決算訂正により、2015 年 3 月期第3四半期から 2017 年 3 月期までの有価証券報告書及
び 2015 年 3 月期第3四半期から 2017 年 3 月期までの四半期報告書に係る訂正報告書を提出
するとともに、過年度の決算短信等を訂正いたします。なお、2018 年 3 月期に係る第 1 四
半期報告書、同第 2 四半期報告書、同第 3 四半期報告書、及び同有価証券報告書並びに 2018
年 3 月期に係る第 1 四半期決算短信、同第 2 四半期決算短信、同第 3 四半期決算短信、及び
決算短信につきましては、2017 年 3 月期に係る記載があることを受けて訂正したものです。
    詳細については、本日付当社プレスリリース「過年度の有価証券報告書等の訂正報告書の
提出及び過年度決算短信等の訂正に関するお知らせ」をご参照ください。




                            -1-
3.再発防止策
 当社といたしましては、財務報告に係る内部統制の重要性を認識しており、本件のような
不適切な取引はもちろんのこと、取引情報の把握及び情報の共有を強化するために、以下の
再発防止策を実行し、情報共有体制及びコンプライアンス遵守体制の整備・運用を図ってま
いります(期間内に順次実施して参ります。。
                   )
1 グループ会社管理体制の強化(2020 年 9 月末まで)
  (1) 当社関係会社管理規程の内容を各子会社に周知する。
  (2) 各子会社の事業内容や事業規模に照らして、報告基準に関する運用細則を定め、事業
   内容・リスクに応じた情報収集体制を構築する。
  (3) 子会社の各業務分野に応じて当社の情報収集体制を構築し、情報収集の各主管部署は
   管理・監督のモニタリング状況を踏まえて、適宜必要な業務の見直しを行い、グループ
   会社管理を強化していく。
2 当社内における情報共有体制の強化(2021 年 3 月末まで)
  当社関係会社管理規程に定められた連携推進部署は、それぞれ子会社から吸い上げた情報
 を社内に適切に共有・展開するための仕組みを整備し、運用を開始する。
3 会計コンプライアンス遵守の意識の再確認(2021 年 3 月末まで)
  (1) 当社の財務・経理部門が中心となり、当社及び各子会社の全役職員に対して、会計コ
   ンプライアンスに係る法令、会計基準等についての社内研修・教育等を実施し、
  ・各子会社の役職員らに対して、上場会社の子会社として、会計コンプライアンス意識の
   徹底を図る。
  ・当社の関係役職員に対して、親会社として、各子会社の事業実態を把握し、自社グルー
   プとして問題をとらえるべく、コンプライアンス遵守の意識の徹底を図る。
  (2) 新たな事象に対する会計基準等の適用を検討したり、過去の会計処理等の適否をあら
   ためて検証したりするような場合には、財務・経理部門は会計監査人や外部の各種専門
   家に対して、適時適切に相談を行う。
                                          以   上




                       -2-
(別添) 調査報告書(要約版)


第 1 調査の概要
    当社は、当社の元連結子会社であるロジコムリアルエステート株式会社(現株式会社 LC
リアルマネジメント。以下商号変更の時期にかかわらず、「LRE」という。)の 2015 年 3 月期
及び 2016 年 3 月期の会計処理の適切性について、外部より指摘を受け(以下、当該指摘を
「本件指摘」という。)、本件指摘に係る事項の当時の事実関係に関する調査及び検討のた
め、2020 年 2 月 5 日に外部の専門家を交えた社内調査委員会を設立した1。
    社内調査委員会は、①本件指摘に係る事実関係の調査及び会計処理の適切性についての
検討、②類似事象の有無に関する調査及び検討、③①及び②の事実調査の結果判明した事
実が発生した原因・背景事情の分析、④③の分析を踏まえた再発防止策の提言を目的とし
て、かかる目的に必要な範囲で、ヒアリング調査、関係資料の精査及びデジタル・フォレ
ンジック等を実施した。


第 2 調査結果


1    LRE の概要等


    LRE は、岐阜県本巣市の商業施設(当時の名称は「リオワールド」といい、その後施設名を
「LC ワールド本巣」と変更した。以下、時期を問わず「LC ワールド本巣」という。)の所有及
び運営を主な事業とする会社であり、2011 年 9 月に当社連結子会社となった。
    当社は、2016 年 6 月 30 日に、株式会社ダヴィンチ・ホールディングス(現株式会社 DA
ホールディングスをいい、以下、時期を問わず「DA 社」という。)との資本・業務提携並び
に DA 社の持分法適用関連会社化を行うにあたり、LRE 株式を、DA 社の 100%子会社である
リータ社に譲渡した。その結果、LRE は当社の持分法適用会社である DA 社の 100%孫会社
となり、現在に至る。


    本件指摘の対象となっている取引や会計処理が行われた 2015 年 3 月期及び 2016 年 3 月
期における LRE の代表取締役は A 氏であり、他に B 氏、C 氏及び D 氏が取締役を務めてい
た。

1
     社内調査委員会の構成は、委員長:渋谷卓司(弁護士)、委員:古市岳久(公認会計士)、福島満則(当
     社常勤監査役)、田中宏(当社内部監査室長)及び野崎有希子(当社財務・経理部長)である。本件指摘
     はいずれも LRE の会計処理に関するものであるところ、当社は、2016 年 6 月、当社が保有していた
     LRE の全株式を株式会社リータ(以下「リータ社」という。)に譲渡しており、本件指摘を受けた時点に
     おいて、LRE は当社の子会社ではなかったことから、外部の弁護士及び公認会計士が調査を主導する
     限り、当社の役職員を社内調査委員に選任したとしても、調査の客観性が損なわれるものではない
     と判断し、当社役職員も当委員会の委員として選定した。また、西村あさひ法律事務所の弁護士及
     び太陽グラントソントン・アドバイザーズ株式会社の公認会計士が調査補助者として社内調査委員
     会の調査に携わった。




                           - 1 -
    2016 年 4 月 2 日に A 氏及び B 氏は、LRE 取締役を解任された。その後、A 氏及び B 氏は、
当社や LRE 等を相手に損害賠償請求訴訟(以下「本件訴訟」という。)を提起した。本件訴訟
については、当社等を被告とする弁論と LRE を被告とする弁論に分離された後、当社等を
被告とする訴訟は第一審判決(当社等の勝訴)が確定している。LRE を被告とする訴訟は、
2018 年 12 月 26 日第一審判決及び 2019 年 11 月 27 日控訴審判決を経て、2020 年 2 月 21
日、上告及び上告受理申立てをいずれも却下する決定がなされ、控訴審判決(LRE の勝訴)
が確定した。


2    調査の結果修正すべきと認められた案件


(1) a 社及び b 社案件


    LRE は、2015 年 3 月期、a 社が物件甲にかかる信託受益権及び物件乙を売却するに際し
て、同社との間で事務処理等の業務を受託する旨の業務委託契約を締結したとして、同契
約に基づき 1 億 7850 万円2を、さらに、a 社から、同社の物件乙にかかる不動産賃貸借に伴
う協力業務を受託したとして、3200 万円を売上として計上した。また、LRE は、2015 年 3
月期、b 社に対し、物件甲及び物件乙の売買に関する事務処理業務等を委託したとして、
外注委託料として 5950 万円を、さらに、物件乙にかかる不動産賃貸借に伴う協力業務を委
託したとして、外注委託料として 2000 万円を、それぞれ計上した。
    また、LRE は、b 社に対し、本巣ショッピングワールドに関する有効活用コンサルタント
に関する業務及び庶務関連業務を委託する旨の業務委託契約を締結したとして、2016 年 3
月期に 1 億 1800 万円及び 6000 万円の前渡金を計上した。


    この点につき、本件訴訟において、LRE は、これらの契約は、A 氏及び B 氏が、a 社の要
望を受けて、同社の関係会社である b 社に還流させてほしい旨を要望されたことによる架
空の取引である旨主張しており、控訴審の判決において、いずれの契約も実体を伴わない
架空の取引であると認定されている。
    金額的にも、物件甲の信託受益権売買並びに物件乙の売買及び賃貸借に関する業務委託
料名目で LRE から b 社に支払われた金額は合計 1 億 9750 万円であり、物件甲の信託受益権
売買並びに物件乙の売買及び賃貸借に関して a 社から LRE に支払われた金額合計 2 億 1050
万円の約 94%の金銭が LRE から b 社に流れており、LRE が受領した金額割合が僅少にとどま
る。
    以上に鑑みれば、これらの契約は、実体を伴わない架空のものであり、LRE を介して a 社
から b 社に金銭を還流させることを目的とした、実質的な資金取引であったと認められ


2
     消費税別。表示単位未満の端数については切り捨て表示とする。以下、金額について特段の記載が
     ない限り同様である。




                             - 2 -
る。
 また、LRE は、b 社に対し、本巣ショッピングワールドに関する有効活用コンサルタント
に関する業務及び庶務関連業務を委託する旨の業務委託契約に基づく前渡金を計上してい
るところ、本件訴訟の控訴審判決において、当該業務委託契約も実体を伴わない架空のも
のであったと認定されており、本件訴訟に係る資料をあらためて精査しても、関係者メー
ルから認められる当該業務委託契約書の作成経緯や、業務委託料に見合う業務が遂行され
たと認めるに足りる事実が不見当であったことに照らしても、当該業務委託契約が実体を
伴ったものであったと認めることはできない。
 したがって、LRE が 2015 年 3 月期において、a 社との契約に基づき売上を計上したこと
は不適切であり、売上計上を取り消すべきである。また、同様に、LRE が 2015 年 3 月期及
び 2016 年 3 月期において、b 社の契約に基づき外注委託料等を計上したことは不適切であ
り、当該会計処理を取り消すべきである。具体的には以下の修正処理を行う必要がある。
 なお、修正仕訳については、当社が LRE 株式をリータ社に売却したことにより、LRE が
当社の子会社でなくなった 2016 年 6 月末までの期間について記載する(以下、全ての修正
仕訳について同様である。)。


※1:2015 年 3 月期に計上された a 社に対する架空の売上高(入金済)を取り消し、仮受金を
     計上する。
※2:2015 年 3 月期に計上された b 社に対する架空の支払手数料(支払済)を取り消し、仮払
     金を計上する。
※3:2016 年 3 月期に計上された b 社に対する架空の支払手数料(支払済であり、特別損失
     で計上されている)を取り消す。
※4:a 社からの入金、b 社への支払の決済差額を特別損失に計上する。




                       - 3 -
【修正仕訳】
                                                                (単位:千円)
     会計年度         注          借方科目           金額           貸方科目       金額
    2015 年 3 月期        売上高              178,500 仮受金                178,500
                  ※1
                       売上高                  32,000 仮受金              32,000
                       仮払金                  59,500 販売費及び一般管理費       59,500
                  ※2
                       仮払金                  20,000 販売費及び一般管理費       20,000
    2016 年 3 月期 ※3 仮払金                  192,240 特別損失3              192,240
                  ※4 特別損失                   61,240 仮払金              61,240


(2) モジュールハウス事業に関係する案件


ア      モジュールハウス事業概要


     2015 年頃、LRE は、土木及び建築の設計・管理・施工事業を営む c 社からの提案を受
け、モジュールハウス事業を始めることとした。
     LRE は、自らが発注者となって c 社に対して 40 戸のモジュールハウス建築を発注し、36
戸の引渡を受けた(以下「タウン 1 案件」という。)。また、新たに d 社を発注者として、モ
ジュールハウス建築工事を請け負い、当該モジュールハウス建築工事を c 社に下請発注す
ることとした(以下「タウン 2 案件」という。)。そして、2015 年 12 月 25 日付けで、d 社が
LRE に対して、モジュールハウス 150 戸を建築する工事(完成日:2016 年 3 月 25 日、建築
工事代金 3 億円)を発注する旨の契約書(以下、同契約書に記載された内容の契約を「d 社建
築工事請負契約」という。)が作成された。また、同日付けで、LRE が c 社に対して、モ
ジュールハウス 150 戸を建築する工事(完成日:2016 年 3 月 25 日、建築工事代金 3 億円)を
発注する旨の契約(以下、同契約書に記載された内容の契約を「c 社建築工事請負契約」とい
う。)が作成された。
     その後、タウン 2 案件の引渡期限である 2016 年 3 月 25 日に至っても、中国から輸入さ
れるはずのコンテナは輸入されず、基礎工事も行われない状況が続き、LRE は、d 社に対し
て、引渡期限を 2016 年 6 月まで延長するよう交渉していたが、同年 4 月 2 日、LRE におい
て、モジュールハウス事業を担当していた A 氏及び B 氏の両名が LRE の取締役から解任さ
れた。
     LRE は、中国からのコンテナ輸入の目途が立っていないことに加えて、今後、B 氏抜きで
は、c 社と協働することはできないと判断し、c 社の債務不履行等を理由に、c 社建築工事


3
       本調査報告書では、仕訳の連動性を確保するために特別損失で表示している。連結財務諸表の開示
       においては、当初計上時に収用に関する譲渡経費として収用補償金(特別利益)と相殺して表示して
       いたため、当該修正仕訳についても連結財務諸表の開示においては収用補償金(特別利益)の調整と
       して表示される。




                                    - 4 -
請負契約を解除する旨の 2016 年 4 月 11 日付け通知書を発出した。また、d 社建築工事請負
契約については、2016 年 5 月 19 日付けで、LRE の履行不能を理由に合意解除する旨の合意
書が作成された。


イ   e 社案件


 LRE と、e 社との間で、2015 年 11 月 30 日付けで、タウン 1 案件に関して、元請事業者で
ある c 社を e 社に紹介した対価として、e 社が LRE に 3900 万円の紹介料を支払う旨の取引
約定書が作成され、LRE は、2016 年 3 月期、e 社から受領した紹介料 3900 万円について、
売上として計上した。


 この点につき、本件訴訟において LRE は、e 社との間で作成された取引約定書は、A 氏
が、c 社に対し、決算の黒字化を目的として、LRE が c 社に支払った金額の一部を LRE に還
流して欲しいと依頼した実体を欠く架空の契約書であった等と主張している。LRE は、e 社
から紹介料の支払いを受けた 2016 年 3 月 15 日に、紹介先である c 社に対して、タウン 1
案件の前渡金として 3746 万円、タウン 2 案件の前渡金として 5855 万円の合計 9602 万円を
支払っているところ、本件訴訟の控訴審判決においては、上記取引約定書は架空のもので
あり、2016 年 3 月 15 日に e 社から LRE に振り込まれた 3900 万円は、同日 LRE が c 社に対
して支払った金銭の一部が入金されたものであると認定されている。本件訴訟に係る資料
をあらためて精査し、A 氏の証言や主張構造を踏まえて検討したが、控訴審判決と異なる
判断をすべき事情は不見当であり、上記取引約定書は実体を欠き、e社から振り込まれた
3900 万円は、LRE から c 社に対して支払われた前渡金の一部が e 社を介して LRE に還流さ
れたものに過ぎないと認められる。
 したがって、LRE が、2016 年 3 月期に、e 社から受領した紹介料 3900 万円を売上として
計上したことは不適切であり、同計上は取り消されるべきである。また、e 社から LRE に
支払われた 3900 万円の紹介料は、LRE から c 社に支払われたタウン 2 案件の前渡金 5855 万
円を原資としているところ、当該紹介料相当額は、前渡金に充当されるべきである。
 e 社に対する売上計上の修正仕訳については、下記ウ記載の c 社案件との関連性が深い
ため、下記ウに一括して記載する。


ウ   c 社案件


 LRE は、モジュールハウス事業に関連して c 社に支払った合計 1 億 5443 万円を前渡金と
して計上した。その後、2017 年 12 月期末において、LRE は、c 社から回収不能であると判




                            - 5 -
断し、特別損失を計上した4。


    この点、上記ア記載のとおり、2016 年 4 月 11 日の時点で既に、LRE は、c 社の債務不履
行等を理由とする c 社建築工事請負契約の解除通知を発出している。これに対して、c 社
側は、契約解除や前渡金の返還を拒み、LRE に対して、輸入済みのコンテナを引き取るよ
う求めていたことが認められるものの、双方の主張は平行線を辿り、LRE は、2016 年 7 月
以降、c 社との間で任意の交渉を取りやめた。LRE としては、弁護士から、前渡金の返還を
受けるには訴訟を提起する必要があるとの助言を得たものの、仮に勝訴したとしても c 社
にはめぼしい財産がなく回収可能性があるとは考えにくいことなどから、c 社に対する訴
訟を提起するとの判断には至らず、結局、c 社へ支払った前渡金は全く回収できなかっ
た。
    以上のとおり、LRE は、2016 年 4 月 11 日付けの解除通知により、c 社による債務不履行
等を理由とする解除の意思表示を行い、c 社からコンテナの引渡を受けることを拒絶して
いる以上、LRE としては、c 社に支払済みであった前渡金については、原則として、解除に
基づく原状回復請求権の対象として、現金による回収のみを見込む状況となっていた。し
かしながら、この時点において既に、LRE としては、c 社に支払済みの前渡金相当額を支払
う資力はないと考えており、それ以上財務状況等の調査も行っていないことに照らせば、
当該未収金の回収可能性は乏しいと認識していたものと認められる。なお、LRE は c 社と
の任意での交渉を続けてはいるものの、任意交渉の過程で、c 社からの回収可能性が高
まったと期待される事実は認められず、現実に、LRE は、c 社から前渡金の返還を受けてい
ない。
    これらの事情に照らせば、LRE から c 社に支払われた前渡金は、2016 年 4 月 11 日に解除
通知を発出した時点において、LRE として回収可能性が乏しいと認識していたと認めら
れ、かかる解除通知の原因となる c 社の債務不履行は、2016 年 3 月 25 日の時点で既に存在
していたことからすれば、これを修正後発事象として、2016 年 3 月期の会計処理に反映さ
せるべきであった。
    具体的には、上記イ記載の e 社案件に係る修正処理と併せて、以下の修正処理を行う必
要がある。


※1:e 社に対する架空の売上高を取り消し、その原資となった 2016 年 3 月 15 日の前渡金
     を取り崩す。
※2:回収不能となった c 社への前渡金合計 1 億 5443 万円のうち、e 社からの入金 3900 万
     円を相殺した 1 億 1543 万円の損失処理を行う。なお、2017 年 3 月期に計上された前渡
     金である 44 万円(2016 年 4 月 15 日)と 1119 万円(2016 年 7 月 31 日)の合計 1163 万円

4
     ただし、DA 社の連結財務諸表では、1 億 5443 万円の前渡金の内 9982 万円を 2016 年 6 月末の LRE 受
     入時に、残額の 5460 万円を 2016 年 12 月期に回収不能であるとして取り崩す処理を行っており、持
     分法投資損益を通じて当該処理が当社の連結財務諸表にも反映されている。




                                 - 6 -
      は、2016 年 3 月期末では未払費用とする。
※3:2017 年 3 月期(2016 年 6 月 30 日以前)に費用計上された d 社建築工事請負契約に関連
      する支出を 2016 年 3 月期に費用処理する。
※4:2017 年 3 月期(2016 年 6 月 30 日後)に費用計上された d 社建築工事請負契約に関連す
      る支出を 2016 年 3 月期に費用処理する。
※5:※3 で修正対象となった仕訳の修正(LRE での当初計上金額が 400 万円誤っていた。)
      が 2016 年 7 月に行われていたため、※3 の修正に合わせて 2016 年 3 月期の修正として
      処理する。
※6:※2 について 2017 年 3 月期(2016 年 6 月 30 日以前)に費用処理又は前渡金として計上
      された仕訳を取り消す。
※7:※3 について 2017 年 3 月期(2016 年 6 月 30 日以前)に費用処理又は前渡金として計上
      された仕訳を取り消す。


【修正仕訳】
                                                            (単位:千円)
     会計年度     注          借方科目           金額           貸方科目      金額
    2016 年 3 月期 ※1 売上高                  39,000 前渡金              39,000
              ※2 特別損失               115,430 前渡金                103,796
                                             未払費用               11,633
              ※3 特別損失                   26,716 未払費用             26,716
              ※4 特別損失                   2,595 未払費用               2,595
              ※5 未払費用                   4,000 特別損失               4,000
    2017 年 3 月期 ※6 未払費用                   440 前渡金                  440
              ※7 未払費用                   26,716 前渡金              18,320
                                             売上原価                8,040
                                             販売費及び一般管理費            354


エ     d 社案件


    LRE は、d 社建築工事請負契約に基づいて、d 社から消費税を含めて合計 2 億 77 万円の支
払を受け、2016 年 3 月期に、上記金額のうち 1 億 8590 万円を売上計上し、残る 1487 万円
を仮受消費税等として計上した。当該売上に対応して、c 社への前渡金を充当する形で売
上原価 4020 万円を計上した。
    その後、LRE は、2016 年 7 月 31 日に、上記売上及び売上原価の計上を取り消した5。

5
     DA 社の連結財務諸表では、1 億 8590 万円について 2016 年 6 月末の LRE 受入時に売上を取消した上で、
     受入処理を行っており、持分法投資損益を通じて当該処理が当社の連結財務諸表にも反映されてい
     る。




                                - 7 -
 ただし、上記ア記載のとおり、タウン 2 案件については、引渡期限である 2016 年 3 月 25
日になっても引渡がなされず、d 社建築工事請負契約については、2016 年 5 月 19 日付け合
意書において、LRE の履行不能を理由に合意解除されており、両者の間で売買契約を締結
した事実や、それに伴う目的物の引渡の事実は窺われない。
 なお、この点に関し、LRE が所有するモジュールハウス及び付帯設備一式を、d 社に代金
1 億 8590 万円で売却する旨の 2016 年 3 月 29 日付け「商品売買基本契約書」と題する書面が
存在することが確認された。
 しかしながら、当該書面には、d 社と LRE いずれの押印・署名もなされていない。また、
LRE と d 社は、2016 年 5 月 19 日付けの合意書において、タウン 2 案件について、LRE の履
行不能を理由とした契約解除を合意しているが、同合意書において解除の対象とされてい
るのは、あくまでも d 社建築工事請負契約であってモジュールハウスの売買契約について
は何ら言及されていない。このことからすると、同合意書の作成以前の段階において、
LRE と d 社との間で、モジュールハウスを売買する旨の合意が成立していたとは認め難い。
 これらのことからすれば、上記書面は存在するものの、2016 年 3 月 29 日の時点で、LRE
が所有するモジュールハウス及び付帯設備一式を、d 社に代金 1 億 8590 万円で売却する旨
の契約は、そもそも実在性を有していなかったものと認められる。しかも、タウン 2 案件
について、モジュールハウスの売上が計上された同月 31 日の時点においても、未だ、モ
ジュールハウスの建材となるコンテナは輸入されておらず、LRE の手元にも届いておら
ず、LRE が売上を計上した 2016 年 3 月期時点において、モジュールハウスの d 社への引渡
が実現していたとも認められない。
 したがって 2016 年 3 月期の LRE から d 社に対する売上計上は不適切であり、同計上は取
り消されるべきである。また、当該売上に対応して計上された売上原価 4020 万円について
も同様に取り消されるべきである。具体的には以下の修正処理を行う必要がある。


※1:2016 年 3 月期の d 社に対する売上高及び売上原価を取り消す。
※2:※1 の売上原価に係る仮払消費税相当額を取り消す。消費税はすでに納税が完了して




                          - 8 -
      いるため、損益処理による調整とする。


【修正仕訳】
                                                          (単位:千円)
     会計年度     注          借方科目           金額        貸方科目       金額
    2016 年 3 月期 ※1 売上高              185,902 仮受金              185,902
                  前渡金                   40,200 売上原価           40,200
                                                      6
              ※2 前渡金                    3,216 特別損失             3,216


(3) f 社案件


    LRE は、2015 年 12 月 22 日付けで、f 社から、東京都千代田区のプロジェクトに関し、委
託料 3000 万円にて、マーケティング調査等を行う基本構想業務、行政対応等を行う基本計
画業務、広告宣伝計画等を行う総合監修業務を受託する旨の業務委託契約を締結したとし
て、2016 年 3 月期、f 社との契約に基づき、3000 万円を売上計上した。
    なお、LRE は、f 社から同委託料の支払を受けておらず、2017 年 3 月期、上記 3000 万円
の売上を取り消している。


    この点につき、本件訴訟において、LRE は、A 氏及び B 氏が f 社と実体を伴わない架空の
契約に及んだことを主張しており、A 氏及び B 氏も、自己の関与を否定する一方、上記業
務委託契約が実体を伴わないものであることは争っておらず、f 社の代表者も、上記業務
委託契約が実体を伴わない架空のものであったことを認めている。そもそも契約の内容に
照らしても、LRE の受託業務内容は、東京都内のビル再開発プロジェクトに係るマーケ
ティング業務であるところ、f 社は、タイル工事等を行う名古屋所在の有限会社であっ
て、かかる業務を委託すること自体に不自然さが認められ、架空の契約である旨の関係者
の供述を裏付けるものと認められる。
    以上に鑑みると、LRE と f 社との業務委託契約は、実体を伴わない架空の契約であると
認められる。
    したがって、LRE が、2016 年 3 月期において f 社との契約に基づき売上を計上したこと
は不適切であり、売上計上を取り消すべきである。具体的には以下の修正処理を行う必要
がある。


※1:2016 年 3 月期に計上された f 社に対する架空の売上高を取り消す。




6
      上記(3)記載のとおり、モジュールハウス事業に係る前渡金については特別損失で処理しており、そ
      の調整額としている。




                                - 9 -
【修正仕訳】
                                                         (単位:千円)
     会計年度     注          借方科目        金額           貸方科目      金額
    2016 年 3 月期 ※1 売上高               30,000 売掛金              30,000


(4) LC ワールド本巣の収用に係る補償金に関する会計処理


    LRE は、同社が所有する LC ワールド本巣の土地の一部について、国土交通省が施工する
一般国道 475 号新設工事に伴う物件移転に関する契約を、2015 年 2 月 6 日(補償金額 15 億
2513 万円。以下「2015 年 2 月契約」という。)及び 2015 年 5 月 7 日(補償金額 10 憶 5001 万
円)。以下「2015 年 5 月契約」という。)に締結した(以下これら一連の収用を「本件収用」と
いう。)。
    2015 年 2 月契約の補償金額は、圧縮記帳の対象となる対価補償金714 億 252 万円と、圧
縮記帳の対象とならない対価補償金8の 2286 万円及び家賃減収補償金等の 9973 万円から成
るところ、LRE は、2015 年 3 月期において、前者については固定負債として、後者につい
ては雑収入(営業外収益)及び売上高として、それぞれ計上した。
    また、2015 年 5 月契約の補償金額は、圧縮記帳の対象となる対価補償金 9 億 6489 万円
と、圧縮記帳の対象とならない対価補償金 1573 万円及び家賃減収補償金等の 6939 万円か
ら成るところ、LRE は、2016 年 3 月期において、前者については特別利益として、後者に
ついては雑収入(営業外収益)及び売上高として、それぞれ計上した。
    さらに、LRE は、2016 年 3 月において、2015 年 3 月期に固定負債に計上した 14 億 252 万
円を取り崩して同額を特別利益として収益計上し、未購入分を含む代替資産等に関して圧
縮記帳を適用し、13 億 1359 万円の圧縮積立金(税効果会計適用後)を計上した。


    この点、LRE は、本件収用について、行政側の都合により、2 つの契約に分割されたもの
の、実態としては一体の収用事業であり、実際に物件移転が行われる 2016 年 3 月期が「収
用等のあった日」の属する期であると認識していた。ただし、税務上の観点から、2015 年 2
月契約の締結時期が 2015 年 3 月期中であるため、2015 年 2 月契約のうち圧縮記帳の対象と
なる対価補償金以外の補償金が、税務上当該期の収益であるとの指摘を受けるおそれがあ
ることを考慮し、2015 年 2 月契約のうち圧縮記帳の対象となる対価補償金に該当しない
9973 万円及び 2286 万円の補償金については、2015 年 3 月期に収益計上した。また、LRE
は、本件収用に係る補償金の計上区分に関して、圧縮記帳の対象となる対価補償金につい
ては通常の営業活動外で発生した多額の収益であるため特別利益に、圧縮記帳対象となら
ない対価補償金については、金額も小さく重要性が低いことから営業外収益に、家賃減収


7
      対価補償金額から譲渡対象資産の帳簿価額を控除した額を指す。
8
      譲渡資産の帳簿価額相当額を指す。




                                - 10 -
補償金等については売上高を補填する性質を有することから売上高として計上した。


 しかしながら、税法上の「収用等のあった日」については、実務上、約定日又は引渡日と
することが考えられるところ、本件収用において、「収用等のあった日」を「約定日」と認識
するならば、2015 年 3 月期及び 2016 年 3 月期の収用に係るそれぞれの契約締結時点で収用
に係る補償金を収益計上し、代替資産の取得額等について圧縮記帳の会計処理を行うべき
であり、一方で、これを「引渡日」と認識するならば、2016 年 3 月期に本件収用に係る一連
の補償金を収益計上し、代替資産の取得額等について圧縮記帳の会計処理を行うべきこと
となる。
 LRE としては、「収用等のあった日」を引渡日と認識していた以上、2015 年 3 月期に収益
計上された収用に係る補償金 9973 万円及び 2286 万円については、引渡日の属する期であ
る 2016 年 3 月期に収益計上する必要がある。また、収益の計上区分についても、本件収用
に係る補償金は、一体の収用事業であり、通常の営業行為に伴う収益ではなく、その合計
額も多額であることに照らせば、その全額について特別利益として計上する必要がある。
 したがって、現行の会計処理は修正することを要する。具体的内容は以下のとおりとな
る。
※1:2015 年 3 月期に収益計上された収用に係る補償金を、引渡日の属する期である 2016
     年 3 月期に収益計上すべく仮受金計上する。
※2:2015 年 3 月期に固定負債として計上された補償金は、2016 年 3 月期に収益計上され
     るため流動負債へ振り替える。
※3:2015 年 3 月期に仮受金計上した収用に係る補償金を、引渡日の属する期である 2016
     年 3 月期に収益計上する。
※4:2016 年 3 月期に雑収入(営業外収益)及び売上高として計上された補償金を、収用補
     償金(特別利益)へ振り替える。


【修正仕訳】
                                                         (単位:千円)
 会計年度      注         借方科目        金額               貸方科目       金額
2015 年 3 月期 ※1 営業外収益                 22,866 仮受金             122,602
               売上高                   99,735
          ※2 その他固定負債           1,402,527 仮受金               1,402,527
2016 年 3 月期 ※3 仮受金               122,602 特別利益               122,602
               仮受金             1,402,527 その他固定負債           1,402,527
          ※4 営業外収益                   15,731 特別利益              85,123
               売上高                   69,391




                            - 11 -
(5) LC ワールド本巣の資産除去債務に関する会計処理


     LRE は、LC ワールド本巣に関して、2011 年 11 月に入手した LC ワールド本巣解体工事見
積総額約 2 億 1000 万円(以下「当初見積り」という。)に基づき、2012 年 3 月期に、本館、遊
館及びウェルネスモール等の地上建物に係る資産除去債務合計約 2 億 1000 万円を計上し
た。なお、LRE の資産除去債務の見積りは、LRE が自ら見積資料を入手した上で、かかる資
料に基づき当社が実施していた。
     その後、LRE は、LC ワールド本巣の資産除去債務に関する会計上の見積りの見直しは
行っていなかった。
     この点につき、LRE は、LC ワールド本巣の収用及び再開発に伴い、2013 年 4 月から 2016
年 11 月にかけて、複数の解体工事業者から解体工事費用の見積りを入手しているところ、
これらの見積金額は、当初見積りにおける見積金額と乖離していた。ただし、建物の解体
工事に要する費用は、実際に解体を行わなければ、概算額の算出であっても必ずしも容易
でないという性質を有しており、当社グループの過去の経験に基づいても、解体工事業者
から入手した見積額と実績が乖離することは度々生じていた。現に、LRE においても、
2011 年 11 月以降も、複数回にわたり、複数の解体工事業者から LC ワールド本巣の解体工
事の見積りを入手したが、同じ条件で見積依頼を行ったにもかかわらず、各解体工事業者
によって、見積額が大きく異なっており、有意性のある傾向は認められなかった。このよ
うな中で、いずれかの見積結果をもって、当初見積りが合理性を失ったとして、新たに資
産除去債務を合理的に見積もることができる情報を得られていたとまでは言い難い。
     しかしながら、本調査の過程で、2014 年 12 月に、LRE は、当初見積りと同じ解体工事業
者から、遊館解体工事等の見積りを入手していたことが判明した(かかる見積について
は、LRE において収用に伴う遊館解体工事のために取得したにとどまり、当社に共有はな
されていなかった。)。かかる遊館解体工事見積額は 6840 万円であり9、当初見積りにおけ
る遊館の解体工事見積額 1928 万円と大幅に乖離が生じていた。同一業者による見積りであ
るにもかかわらず、遊館についての解体工事見積額が、当初見積りの 1928 万円から 6840
万円と大幅に乖離していたのであるから、同時点において、遊館にかかる資産除去債務に
ついては、割引前の将来キャッシュ・フローに重要な見積りの変更が生じており、最新の
遊館の解体工事見積額に基づき、遊館の資産除去債務の計上額を見直す必要があったと考
えられる10。
     また、2012 年 3 月期に資産除去債務を計上した時点では、本館、遊館及び物件丙を、
2041 年 3 月期に取り壊すことを前提として、同時点の除去に要する割引前の将来キャッ
シュ・フローを算出して資産除去債務が計上されていた。もっとも、LRE は、2015 年 2 月
に LC ワールド本巣の土地の一部についての収用に関する契約を締結し、並行して LC ワー


9
      最終的に、他の解体工事業者に委託して実施された遊館の解体費用実績額は 6123 万円であった。
10
      企業会計基準第 18 号「資産除去債務に関する会計基準」10 項




                             - 12 -
ルド本巣の再開発も検討しており、遅くとも 2016 年 3 月期には、再開発に伴う本館の取壊
しを予定し、現に本館について個別に減損損失を計上している。このように、本館、遊館
及び物件丙いずれについても、解体見込時期が大幅に、且つ具体的に早期化されている状
況に照らせば、これらの資産の解体見込時期の早期化に伴い、将来キャッシュ・フローを
算出し直し、資産除去債務の計上額を補正する必要があったと考えられる。
     したがって 2015 年 3 月期、2016 年 3 月期及び 2017 年 3 月期(2016 年 6 月 30 日以前)に
おいて以下の修正処理が必要となる。


※1:遊館の資産除去債務を新たに入手した見積りに基づいて追加計上する。
※2:遊館及び物件丙の資産除去債務を解体予定日までの残存期間に応じて追加計上す
      る。
※3:時間経過に伴う遊館及び物件丙の資産除去債務及び減価償却費を追加計上する。
※4:遊館及び物件丙の解体に伴い固定資産除却損を追加計上する。
※5:遊館及び物件丙の解体に係る費用に資産除去債務を充当する。
※6:本館の資産除去債務を解体予定日までの残存期間に応じて追加計上する。
※7:本館の減損損失を計上する。
※8:時間経過に伴う資産除去債務を追加計上する(2016 年 6 月 30 日以前)。


【修正仕訳】
                                                               (単位:千円)
     会計年度     注        借方科目           金額            貸方科目          金額
 2015 年 3 月期 ※1 建物及び構築物(純額)               25,595 資産除去債務           25,595
              ※2 建物及び構築物(純額)              23,701 資産除去債務           23,701
 2016 年 3 月期 ※3 売上原価                        990 資産除去債務              990
                  売上原価                    5,244 建物及び構築物(純額)        5,244
              ※4 特別損失11                   44,052 建物及び構築物(純額)      44,052
              ※5 資産除去債務                   50,287 特別損失             50,287
              ※6 建物及び構築物(純額)              55,173 資産除去債務           55,173
              ※7 特別損失                     55,173 建物及び構築物(純額)      55,173
 2017 年 3 月期 ※8 売上原価                        277 資産除去債務              277




11
      連結財務諸表の開示においては、収用に関連する損失として、収用補償金(特別利益)と相殺して表
      示される。




                                 - 13 -
第 3 類似事象の検討


1    検証方法


    上記第 2 記載のとおり、調査の結果、不適切であったと認められた会計処理は、2015 年
3 月期及び 2016 年 3 月期において、LRE が、架空の売上や外注委託料等を計上していたほ
か、回収可能性の乏しい前渡金を資産計上していたものであった。
    社内調査委員会による調査の結果、これらの不適切な会計処理に当社役員が関与した事
実は認められず、本案件は当時 LRE の役員であった A 氏らの関与の中で行われた、いわば
LRE 内の問題であり、他の当社グループ会社には波及するものでないと考えられる。
    社内調査委員会は、上記の点を踏まえ、本案件と類似(又は関連)する事象の有無を確認
するため、LRE の取引について、以下の視点から検証を実施した。
     ① 取り消すべき収益取引(売上高、営業外収益、特別利益)の検証
     ② 重要資産勘定科目の回収可能性の検証


    なお、本案件のうち、LC ワールド本巣の収用補償金及び資産除去債務についても会計処
理に適切でなかった点があり、修正が必要ではあるものの、これらの会計処理は、いずれ
も、LRE 又は当社が意図的に操作したものとは認められず、会計処理上の誤謬であると認
められるため、この事実をもって、他に類似取引が存在すると疑うべき事情と捉えるべき
とは認め難い。また、本件収用は臨時的な取引であり、本件収用に関する取引は全て上記
第 3 の 4 において検証したこと、LC ワールド本巣の建物に関する資産除去債務は、上記第
3 の 5 において解体された全ての建物について検討したことから、上記の検証範囲には含
めないことした。


2    検証結果


(1) 取り消すべき収益取引の検証結果


    実体のない収益を計上しようとしたと疑われる取引は認められなかった。


(2) 重要資産勘定科目の回収可能性の検証結果


    LRE が 2015 年 3 月期末又は 2016 年 3 月期末に残高を有していた相手先について、資産項
目の残高推移を検証した結果、回収可能性に疑義が認められた取引については詳細な内容
確認を行った。
    その結果、LRE が 2016 年 3 月期に計上した g 社に対する短期貸付金について、以下の修
正が必要であると認められた。




                           - 14 -
     LRE は、2015 年 12 月に g 社に対して、2016 年 2 月末を返済期日として 4000 万円を貸し
付けた。上記返済期日に弁済がなされず、LRE は、g 社との間で、2016 年 4 月から 2017 年
3 月末までの 12 回分割払いとする 2016 年 3 月 25 日付け確約書(以下「g 社確約書」という。)
を締結した。
     g 社確約書に基づき延長された初回の返済期日は 2016 年 4 月 29 日であったが、g 社から
弁済はなされず、その後のいずれの返済期日においても弁済はなかった。この点、LRE
は、2017 年 3 月期第 1 四半期に、2016 年 6 月末までに弁済期日を超過した金額に基づき
255 万円を破産債権等へ振り替え、同額の貸倒引当金を計上した。また、LRE は、2017 年
12 月期末に残額 3745 万円を破産債権等へ振り替え、同額の貸倒引当金を計上した12。
     しかしながら、LRE は、2016 年 3 月 25 日に g 社確約書を締結し、貸付けから 3 か月後の
2016 年 2 月末に回収予定であった債権について、最終弁済期限を 2017 年 3 月末まで延長し
ていることに照らせば、弁済条件を大幅に緩和したと認められる。したがって、2016 年 3
月期末において、g 社に対する短期貸付金債権は、貸倒懸念債権13に区分し、貸倒見積高を
個別に算定すべきであったと考えられる。
     この点、LRE 及び g 社は、g 社確約書の締結同日に、「確約書に関する覚書」を締結し、少
なくとも 2016 年 9 月末日までの返済計画を具体化した「返済計画一覧表」を作成しており、
g 社確約書締結時点においては、債権の元本の回収及び利息の受取りに係るキャッシュ・
フローを一定程度見積もることが可能だったとも思われる。もっとも、結局、g 社確約書
による延長後、最初の返済期日であった 2016 年 4 月 29 日においても、g 社からの弁済はな
されず、次の返済期日であった同年 5 月 31 日にも弁済はなかった。このような状況に鑑み
ると、2016 年 3 月 25 日に作成された返済計画の実現可能性は乏しく、その他に追加で担保
等を付したなどの事情が見られない中では、2016 年 3 月期末の貸付金残高 4000 万円及びそ
れに係る未収利息 1 万円全額について回収可能性が乏しかったと言わざるを得ない。g 社
確約書の締結及び返済計画の作成が、2016 年 3 月 25 日になされていたことに照らせば、上
記各事情は、修正後発事象として、2016 年 3 月期の会計処理に反映させるべきであった。
具体的には、以下の修正処理を行う必要がある。


      ※1:回収不能となった g 社に対する貸付金及び未収利息について、破産債権等に振り
         替えるとともに貸倒引当金を計上する。
      ※2:LRE が 2017 年 3 月期(2016 年 6 月 30 日以前)に計上した破産債権等への振替え、
         貸倒引当金及び受取利息計上を取り消す。



12
      ただし、DA 社の連結財務諸表では、当該貸付金については 2016 年 6 月末の LRE 受入時に全額が回収
      できないものとして会計処理した上で、受入処理を行っており、持分法投資損益を通じて当該処理
      が当社の連結財務諸表にも反映されている。
13
      企業会計基準第 10 号「金融商品に関する会計基準」第 27 項 2 号




                               - 15 -
      【修正仕訳】
                                                              (単位:千円)
     会計年度     注      借方科目              金額            貸方科目              金額
 2016 年 3 月期 ※1 破産債権等                     40,000 その他短期貸付金              40,000
                  破産債権等                     19 未収利息                         19
                  営業外費用                   40,019 貸倒引当金                 40,019
 2017 年 3 月期 ※2 その他短期貸付金                  2,547 破産債権等                   2,547
                  貸倒引当金                   2,547 営業外費用                   2,547
                  営業外収益                     575 未収利息                      575




第 4 当社連結財務諸表への影響


     上記第 2 及び第 3 の調査結果等によれば、2016 年 6 月 30 日時点の LRE の純資産が 4 億
3733 万円減少することとなる。ただし、上記第 2 の 1 記載のとおり、当社は 2016 年 6 月
30 日に LRE の全株式を DA 社の子会社であるリータ社に売却しており、当社の 2017 年 3 月
期の連結財務諸表において、当該 LRE の純資産の減少は、LRE 株式売却による関係会社株
式売却損 3 億 6114 万円に影響することとなる。
     2016 年 6 月 30 日以前の LRE の個別財務諸表の修正及び LRE 株式売却に伴う関係会社売却
損の修正により、当社の過年度の連結財務諸表に与える影響額のサマリーは以下のとおり
である。


      連結財務諸表への影響額
                                                                  (単位:千円)
                     2015 年 3 月期          2016 年 3 月期       2017 年 3 月期(※)
      売上高                   △310,235             △254,902                   -
      営業利益                  △230,735             △220,937               8,118
      経常利益                  △253,602             △260,957              10,090
      当期純利益                 △253,602             △193,819             447,421
      純資産(累積)               △253,602             △447,421                   -
     (※)2016 年 6 月 30 日の LRE 株式売却までの影響を集計・反映14


第 5 原因分析及び再発防止策の提言


     第 2 及び第 3 記載のとおり、社内調査委員会の調査の結果、不適切と認められた会計処


14
      なお、当社は、LRE の全株式をリータ社に売却したことにより、LRE は当社の子会社ではなくなって
      いることから、本調査報告書では、LRE 売却後の当社連結財務諸表への影響については言及していな
      い。




                                 - 16 -
理そのものは、LRE において行われており、当社が直接架空取引等に関与した事実は認め
られなかった。もっとも、当社は、LRE の会計処理を連結決算において取り込み、当社と
しての連結財務諸表を作成し、有価証券報告書等を提出している以上、LRE による不適切
な会計処理は、当社自身の問題として受け止めるべき事案である。
    社内調査委員会は、調査結果を踏まえ、以下のとおり、不適切な会計処理の原因背景
を、主として、当社による LRE への管理体制、LRE 自身の内部統制機能、当社内部におけ
る連携、会計監査人に対する情報提供等の視点から整理した上で、再発防止策を提言す
る。


1    原因分析


(1) 当社が LRE に生じた重要事象を把握できていなかったこと


    上記第 2 の 2(1)乃至(3)記載の各案件は、LRE において、実体と異なる契約書を作成する
などして、不適切な会計処理を行ったものである。もっとも、例えば、上記第 2 の 2(1)記
載の b 社の案件では、2015 年 3 月期に、LRE は、架空の契約に基づき合計約 2 億円の売上
を計上しているところ、2 億円という金額は、当時の当社グループの連結売上高約 64 億円
の 3%にも相当する高額な契約であったにもかかわらず、当社は、各物件の売買契約に関
して、LRE が a 社から業務委託を受けているという事実も正確に把握していなかった。ま
た同様に、上記第 2 の(2)記載のモジュールハウス事業に関して、当社は、2016 年 5 月に、
請負金額 3 億円もの d 社建築工事請負契約を LRE が解除していることを認識しておらず、
当該解除の事実を 2016 年 3 月期の会計処理において、修正後発事象として反映させること
もできていなかった。
    この点、当社は、当社の関係会社管理規程に基づき、グループ会社管理を行っており、
LRE が当社子会社であった当時、同規程においては、当社の経営企画責任者が、子会社に
おける情報を統括することとされていた。また、当社は、一部の役職員に、子会社の役員
を兼任させており(以下、当社に属しつつ子会社との役員を兼任している者を「兼任役員」
という。)、当該兼任役員を通じて子会社の情報を収集することが想定されていた。
    もっとも、当社の経営企画責任者は、子会社の予算と実績の差等については個別に確認
することとしていたものの、子会社に対して重要な取引について一律に報告義務を課した
り、経営上の重要性やリスクに応じた重点的な子会社管理を行おうとしていたなどの事情
は窺われない。それに加えて、LRE については、2015 年 3 月以降、兼任役員が順次当社を
退任し、A 氏らが LRE に専従するようになった以降の時期においては、兼任役員がおらず、
兼任役員を通じた情報収集という仕組みは機能しなくなっていた。
    また、当社の決算対応においても、各子会社に対して、単体の決算情報(連結パッケー
ジ)の提出を求める際に、期末以降の事象にも留意していたものの、後発事象に関する確
認・対応プロセスについてのルールは定めておらず、3 月期末以降の決算対応の中で、子




                         - 17 -
会社に対して個別に後発事象の有無を確認するといった手続もとっていなかった。
 このように、各子会社の特性に応じた管理体制が構築されておらず、後発事象について
の報告ルールも明確に定められていなかったことは、2015 年 3 月期及び 2016 年 3 月期当
時、当社が、当社グループとして金額的に相当な規模を有する LRE の各取引の状況を正確
に把握することができなかった原因の1つとなったと考えられる。


(2) 子会社自身の内部統制機能の不十分さ


 上記第 2 の 2(1)乃至(3)記載の各案件については、当時の LRE の取締役らが関与する中で
なされた案件であり、その意味では通常の業務過程で発生する取引案件とは異なる特殊案
件的な側面があったとも考えられるが、これらの各案件に係る取引や会計処理において
は、LRE 内部における所要手続自体が適切に履行されていなかった。
 例えば、上記第 2 の 2(2)エの d 社案件では、両者の押印が交わされた売買契約書が存在
せず、また、目的物の引渡しについて検収が行われたことを示す証憑も存しない状況にも
かかわらず、売上を計上していた。また、モジュールハウス事業に関連して作成された多
数の契約書について、後日稟議手続を行い、契約日付が期を跨ぐ形でバックデートされて
いたが、このような手続の適切性について疑義が呈された事実も窺われない。さらに、上
記第 2 の 2(2)ウ記載のとおり、LRE は、モジュールハウス事業に関連して、c 社に対して、
合計約 1 億 5000 万円もの前渡金を支払っているが、これに先立って、同社の与信調査等を
行った事実も認められない。
 このように、LRE においては、少なくとも上記各案件については、契約書の作成や証憑
の確認、及び取引先の与信管理等が適切に行われておらず、このような LRE 内部における
チェックや牽制等が十分に機能しなかったことが、架空取引の実行を許してしまった原因
の 1 つであると考えられる。


(3) 当社内部における連携不足


 上記第 2 の 2(1)1 乃至(3)記載のとおり、本件訴訟において、LRE は、2016 年 7 月に提出
した準備書面以降、A 氏及び B 氏による、実体を伴わない架空取引の事実を一貫して主張
していた。
 当社は、2016 年 6 月に、LRE 株式を売却し、それ以降、LRE は当社子会社ではなくなった
ものの、本件訴訟においては、当社自身も当事者となっており、少なくとも 2017 年 1 月 27
日に弁論が分離されるまでは、LRE の主張は把握可能な状況であった。もっとも、当時、
当社における本件訴訟の担当者は、本件訴訟について、LRE 側の具体的な主張内容を確認
しておらず、LRE の主張内容等に関する情報を、当社の経理部門等に共有するなどの対応
はとっていなかった。
 本件訴訟において、LRE が、架空取引の事実、即ち当社の子会社であった当時の LRE に




                         - 18 -
おける会計処理の適切性に関する疑義を主張していたにもかかわらず、当該事実が当社経
理部門等に情報共有されていなかったことは、当社内部において、本件訴訟を対応する部
門と、経理部門との連携が不十分であったことを示すものと考えられる。


(4) 会計監査人(監査法人)に対する情報提供が不十分であったこと


    上記第 2 の 2(2)エ記載のとおり、LRE は、2016 年 5 月に、d 社建築工事請負契約を解除
したにもかかわらず、当社は、2016 年 3 月期の決算手続の中で、2016 年 6 月 20 日付け経
営者確認書において、後発事象が生じていない旨を会計監査人に回答していた。上記(1)
記載のとおり、そもそも当社においても、当時、解除の事実を把握していなかったが、そ
の結果として、会計監査人に対しても、正確な情報を提供することができていなかったこ
とにより、後発事象が正確に反映されなかったものと考えられる。
    本件訴訟についても同様に、当社は、本件訴訟において LRE が架空取引を主張している
事実を、当社経理部門だけでなく、会計監査人に対しても情報共有していなかった。
    このように、当社が LRE から情報を十分に収集できていなかったことや、当社内部にお
いて情報を適切に共有できていなかったことなどに起因して、会計監査人に対して、十分
に情報を提供できていなかったことも、不適切な会計処理の発見や迅速な是正がなされな
かった原因の 1 つであると考えられる。


(5) 適切な会計処理についての当社及び LRE 関係役員の意識の不足・欠如


    上記第 2 の 2(1)乃至(3)記載の各案件は、いずれも、当時の LRE の取締役らが関与・承認
して実行されたものであり、当該取締役らには、適切な会計処理についての意識が欠如し
ていたと言わざるを得ない。
    当社の元役員についても、当社が 2016 年 6 月に LRE の全株式をリータ社に売却したこと
により LRE が子会社でなくなったという事情があったにせよ、本件訴訟の主張内容を把握
しているか、又は主張内容を把握する機会があったにもかかわらず、その重大性を看過
し、会計処理の修正の要否を検討したり、関係部門に検討を求めるなどしていないことに
照らせば、適切な会計処理に対する意識が不足していたと考えられる。


2    再発防止策の提言


(1) グループ会社管理体制の強化


    当社において LRE における高額な取引や、後発事象といった事業内容を正確に把握でき
ていたとは言い難いことを踏まえると、各子会社の情報収集方法を見直すべきである。
    当社は、2020 年 3 月 16 日、当社グループ管理規程を改訂し、当社の法務チーム、人事・




                           - 19 -
総務チーム、財務・経理部、経営企画室、内部監査室、IT チームを「連携推進部署」と位置
付け、各部署が、それぞれ子会社との情報の連携を図る形に改め、上記各部署において、
リスク発生の防止及び軽減のため、子会社に必要な支援及び指導を行い、内部統制の連携
と推進を行うこととされ、情報収集の対象となる子会社情報の範囲も拡大された。今後
は、当該改訂内容を各子会社に周知した上、上記改訂に沿って、実効的かつ的確に情報収
集体制が運用されるともに、その運用状況を踏まえて、適宜必要な見直しを行い、グルー
プ会社管理体制の強化を図るべきである。
 特に、当社は、2016 年 3 月期当時においては国内外に 16 社の連結子会社を擁しており、
2020 年 3 月時点においても、その数はなお国内外併せて 13 社に及ぶことから、各子会社の
事業内容や事業規模に照らして、その実施細目等で報告基準等を区別する等、事業内容や
リスクに応じた情報収集体制を構築することが必要である。


(2) 当社内における情報共有体制の強化


 当社内部における連携不足が、より早期に不適切な会計処理を是正するに至らなかった
原因となった可能性があるところ、当社は、当社グループ管理規程を改訂し、当社各連携
推進部著がそれぞれ子会社から情報を収集する体制に変更されたものの、同規程上は、当
社内の連携推進部署間の情報連携の具体的方法が明確に定められてはいない。
 今後は、当社連携推進部署が、それぞれ子会社から吸い上げた情報を社内に適切に共
有・展開するための仕組みをより具体的に整備する必要がある。


(3) 会計コンプライアンス遵守の意識の再確認


 当社は、上場会社として、適切に会計処理を行い、正確な有価証券報告書等を提出しな
ければならないことは言うまでもないところ、上記 1(5)記載のとおり、当社の元役員らに
おいて、適切な会計処理等に対する意識が不十分であったことは否定し難い。
 当社は、全役職員に対して会計コンプライアンスに係る法令、会計基準等についての社
内研修・教育等を実施するとともに、新たな事象に対する会計基準等の適用を検討した
り、過去の会計処理等の適否をあらためて検証したりするような場合には、会計監査人や
外部の各種専門家に対して、適時適切に相談を行うことも肝要である。
 また、LRE は当社子会社ではなくなっているものの、今後、他の子会社において、不適
切な会計処理が行われることのないよう、各子会社の役職員らに対して、上場会社の子会
社として、コンプライアンス意識の徹底を図ることはもとより、当社の関係役職員に対し
ても、親会社として、各子会社の事業実態を把握し、自社グループとして問題をとらえる
べく、コンプライアンス遵守の意識の徹底を図る必要がある。


 現在、当社は、不動産関連事業から病院関連事業へと主たる事業を移行させ、コーポ




                       - 20 -
レート・ガバナンス体制も監査等委員会設置会社から監査役会設置会社に回帰させるな
ど、本件各事案が発生した当時とは、その事業内容・体制に変化が生じているものの、今
般、外部から本件指摘を受けるまで、不適切な会計処理の是正に至らなかったこともまた
厳然たる事実である。当社は、かかる事実に思いを致し、本件を過去の事案と片付けるこ
となく、また、本件における不適切な会計処理の発生及び長期間の不是正という事態が、
当時の当社子会社及び当社の役員から生じたことへの反省に立ち、上記子会社からの情報
提供・その当社内での共有に関する仕組みの整備を図るとともに、その実効性を確保する
ためのグループ会社も含めた全社的なコンプライアンス意識・会計リテラシーを向上させ
る施策を講じ、役職員問わず、構成員が問題に気付き、それを共有し、その解決・解消に
つなげていくことのできる、風通しのよい企業文化を醸成していくことが肝要であると考
える。


                                     以   上




                  - 21 -