8854 日住サービス 2019-02-22 16:30:00
第三者委員会報告書を受けて当社の対応方針等に関するお知らせ [pdf]
平成 31 年2月22日
各 位
会 社 名 株式会社日住サ-ビス
代表者名 代表取締役社長 新名 和子
(コード番号 8854 東証第2部)
問合せ先 常務取締役管理担当 犬伏 健次
(T E L 06-6343-1841(代表))
第三者委員会報告書を受けて当社の対応方針等に関するお知らせ
当社は、平成31年1月31日付「第三者委員会」からの「第三者委員会報告書」(以下、「調査報告
書」という。)を受け、その対応方針等につきまして下記の通りお知らせいたします。
記
当社の対応方針
1.はじめに
今回の元取締役経理部長による会社経費に係る不正取引(以下、「本件」という。)に関しまして、 株主や投
資家の皆様はじめ関係各位におかれましては、多大なるご迷惑とご心配をおかけしておりますことを心よりお詫
び申し上げます。
当社といたしましては、二度とこのような不祥事が起こらないよう、コーポレートガバナンス機能の再構築によ
る内部統制システムの見直しおよびコンプライアンス経営の強化に努め、社会からの信用と信頼回復のために
全社をあげて再発防止策の徹底に取り組んでまいります。
2.再発防止策の策定方針
元取締役経理部長の不正を長きに亘って発見することが出来なかった当社のコーポレートガバナンスおよび
内部統制上の問題について、「調査報告書」は根本原因の考察として、「現金取り扱い時の内部統制の不備」
「現場社員による事後チェックの不備」「内部監査の脆弱性」「役職員の権限と責任の不明瞭性」があったことを
指摘しております。当社はこれらの指摘を真摯に受け止め、以下の再発防止策を策定いたします。
3.再発防止策の内容
以下の3点を再発防止策の重点項目として推進してまいります。
①コーポレートガバナンス機能の再構築
②再発防止策の喫緊の課題として、本件の領得手段に対応する具体的なチェック体制の見直しと
役職員の会計リテラシーの向上
③コンプライアンス経営の強化
①コーポレートガバナンス機能の再構築
当社は、株主はじめ顧客・取引先・役職員・地域社会等の立場を踏まえたうえで、透明・公正かつ迅速な意
思決定を行い、社会からの信用・信頼を得て、持続的な成長と企業価値の向上を目指してコーポレートガバ
ナンス体制の見直しを実施し、その機能の再構築をはかってまいります。
役職員の権限と責任が不明瞭であること
「調査報告書」は、当社のコーポレートガバナンス体制の問題点の一つとして、「職務権限規程」という社内
ルールがあるにもかかわらず、現状はその規程に則った運営がなされておらず、「取締役や幹部職員の権限
と責任が不明瞭であること」を指摘しています。即ち「職務権限規程」と「実務慣行」の乖離が問題視されてお
らず、社内ルールを遵守する組織風土が失われ、問題が発生した場合に責任を回避する風潮が生じていた
ことを認識せざるを得ない状況でした。
「職務権限規程」の見直しによる役職員の権限と責任の所在の明確化
上記指摘事項に関し、2019年1月31日開催の臨時取締役会において「職務権限規程」の見直しを行い、
「業務執行に関しての責任の所在」について検討し、17項目の決裁事項について社長から担当役員への権
限の委譲を決定しました。引き続き「職務権限規程」の見直しを進めていくとともに社内ルール遵守の徹底を
はかり、取締役および経営幹部の権限と責任の所在の明確化を進めることで、業務執行の確実性と迅速性の
向上につなげてまいります。
運営組織の抜本的見直しの検討による役職員の権限と責任の所在の明確化
前述の「職務権限規程」の見直しを引き続き実行するとともに、業務執行の権限と責任の所在の明確化お
よび業務執行の効率化のため、当社運営組織の抜本的見直しを検討してまいります。
見直しについては、業務内容に沿った二部門の営業本部と経理・財務・総務等を統括する管理本部の三
本部制とし、各本部単位においてコンプライアンス研修および役職員の会計リテラシー向上のための研修を
企画するとともに部内監査を徹底して行い、併せて後述します「内部監査室」の新設をもってより厳しいチェッ
ク体制を確立し、権限と責任の所在が明確且つ不正行為の発生しない組織運営を目指してまいります。
内部統制システムの機能の見直し
「調査報告書」は、当社において不正を防止するための内部統制に不備があり、当該不備を是正しなかっ
たことが社会的信頼を損う結果を招いたと指摘しています。
「職務権限規程の見直し」および「運営組織の抜本的見直し」によりガバナンス体制を再構築するとともに、
「内部監査室」の新設および「コンプライアンス委員会」の見直しを実施し、チェック機能を強化することによっ
て二度と不正行為が発生しないように努めてまいります。
見直しを実施する運営組織に基づく新たな社内ルールを確立するとともに、取締役は会社を運営すること
の責任の重大性を再認識し、内部統制の本来の目的である「コンプライアンスの推進」「財務報告の信頼性の
確保」「会社内外のリスクの識別・評価および対応」「経営効率の増進」 「資産の保全」を社内研修と自己研鑽
をもって確実に理解し、二度と不正を発生させない、また、あらゆる可能性を想定し、どのような事態に対して
も機能する内部統制システムの構築を目指してまいります。
②本件における領得手段に対応する具体的チェック体制の見直し
本件領得手段における一番の問題点は、取締役経理部長という立場をもって「自己承認」をおこなってい
たことにあります。加えて現場においてそのチェックが一切なされてなかったため、取締役経理部長の不正行
為を長期間発見できませんでした。まずは喫緊の課題として、同様の不正行為を発生させないために下記項
目の実践を徹底してまいります。
(A)会計システムの自己承認伝票の禁止
経理部長の起票伝票は管理担当役員が必ず承認し、管理担当役員は承認権限のみとし、内部監査室
(新設)による自己承認伝票の有無のチェックを随時行います。
(B)手許現金の管理については、営業時間中は経理部の金庫に手提げ金庫を保管し、金庫の鍵は経理
部長が管理することとします。経理部長が外出等不在の時は、鍵を管理担当役員もしくは総務部長に
預け金庫を施錠します。現金の出納は担当経理部員が行い、現金出納帳に必ず記載することとします。
現金伝票の起票は必ず経理部員が行い、経理部長による現金伝票の起票は禁止します。また、週 1 回
経理部長による現金・帳簿・現金出納帳のチェックを行い残高の一致を確認し、内部監査室(新設)に
よって随時チェックを行います。
(C)印紙の管理については、経理部が印紙の管理を行い、各部署からの申請により印紙を受渡すこととしま
す。印紙の購入・受渡しの際は印紙出納帳および印紙受渡管理簿に記載し、週 1 回経理部長による印
紙・印紙出納帳・印紙受渡管理簿のチェックを行い残高の一致を確認し、内部監査室(新設)によって随
時チェックを行います。
(D)出張旅費に関しては必ず決裁文書を提出し、経理部は決裁済であることを確認の上、仮払金を支払う
こととします。
仮払金の精算は、領収書を添付し部所長の検印を得た出張旅費精算書を提出して精算します。
内部監査室の新設
従来「監査室」(旧「社長室」)が社内監査の業務を担当していましたが、その人員は専従者が1名のみであ
り、その主たる業務は、支店運営の効率性およびコンプライアンスの確認に関連した監査が中心であり、本社
管理部門の監査業務は、ほぼ実施されておりませんでした。
この状況を改善するために、2019年3月1日に社長の直轄部門として「内部監査室」を4名体制にて設置
します。
「内部監査室」を設置することで、役職員の社内ルールの遵守意識の向上・運営の効率化・社内不正の予
防および早期発見を実現してまいります。
役職員の会計リテラシーの向上
「調査報告書」は、上場企業はコーポレートガバナンス・コードに基づき、財務情報・経営戦略・経営課題・
リスクやガバナンスについての適正な情報開示が求められる中、取締役・監査役は財務報告の信頼性を確保
するための会計リテラシーを備える必要があるにもかかわらず、当社においては経営陣のリスク管理が極めて
低かったと指摘しています。
当社は当該指摘を真摯に受け止め、外部有識者による研修・外部研修への積極的参加・社内研修等を実
施してまいります。取締役・監査役のみならず、幹部職員に対する研修を実施することにより、役職員の会計リ
テラシーの向上を実現し、財務報告の信頼性を高めてまいります。
③コンプライアンス経営の強化
「調査報告書」は本件に加え、同年に発生した「産業廃棄物処理法違反」事案も併せて指摘しています。
「コンプライアンス経営の強化」について、当社のコンプライアンスに対する役職員の向き合い方を検証し、コ
ンプライアンスの意識改革を徹底することで、不正行為を許さない企業風土の醸成を実現してまいります。
取締役および職員を対象とした「コンプライアンス意識の向上」の為の研修の実施
外部有識者や顧問弁護士等による計画的な研修を実施し、会計・税務・法務等業務全般に係る知識・見
聞を広め「コンプライアンス意識の向上」を徹底してまいります。また研修を通じて、総務部や経理部等の管理
部門を担える取締役・幹部職員の育成を目指してまいります。
「社内通報制度」の有効性の向上
「社内通報制度」の社員への浸透をはかるため、既存の「社内通報窓口」に加え、顧問弁護士等による「社
外窓口」の設置などの施策を構築することにより、全社から問題提起を受け入れ出来る体制をつくり、不正行
為を許さない企業風土をつくります。
コンプライアンス委員会の機能の見直し
現在の「コンプライアンス委員会」は、管理担当役員を中心に常勤監査役・総務部長・お客様相談室長・コ
ンプライアンス関係相談窓口担当および社長の指名した者がメンバーとなり、2ヶ月に一度開催されています。
その内容は、顧客からのクレーム事案、社内パワハラ等に関すること、社外事案等の発表・報告会の形式とな
っていました。
本件を受け、本来当社が取り組むべきコンプライアンス強化の必要性を再認識し、コンプライアンス委員会
の在り方について検討した結果、2019年4月以降については、下記の通り内部統制委員会を統合したうえ、
委員会メンバーについても変更し、その機能を強化してまいります。
コンプライアンス委員会の改革計画
2019年1月以前の委員会内容 2019年4月以降の委員会内容(予定)
コンプライアンス委員 コンプライアンス委員(予定)
管理担当役員 お客様相談室長 総務部長 常勤 社長 管理本部長 営業本部長 内部監査室長
監査役 (社内通報窓口 賃貸管理部係長 総務課 総務部長 経理部長 建装部長 社内通報窓口担
長 人材開発部課長) 社長の指名した者 当 社長の指名した者
(内容) (内容)
①最近の新聞報道等よりの参考事例報告 ①コンプライアンス意識の徹底をはかるための研
②当社に関連する法令違反等の報告 修計画
(直近では) ②当社における問題点の抽出と対応策の検討
・産業廃棄物事件の件 ③他社事案に基づき当社における対応の研究
・広告物違反(マンションの階数間違い)で国土交 ④「社内通報制度」における窓口の運営
通省に報告書を提出した件 ⑤問題が発生した場合の検証と責任の所在の究
③社内不備事案等の報告 明、具体的対応策の提案
(直近では) ⑥その他コンプライアンスの推進に関する事項
・労働基準法の改正に向けての件
・書類不備が散見される件
(機能) (機能)
・内部統制委員会との区別が明確でなく、他社事 ・従前の内部統制委員会を廃止し、コンプライ
例などの報告事案が多く、当社に関連する事項 アンス委員会に統合する。
についても、若干の討議はされていたようですが、 ・全社のコンプライアンス意識の向上を図り、ルー
その結果についても一部の幹部職員に回覧され ル遵守、問題が発生しない、発生した場合も迅
ているだけで充分機能していたとは言い難い状 速かつ適正な対応が出来る様、役職員の指導・
況であった。 教育を実施する。
・コンプライアンス委員会という名称ではあるが、取 ・問題が発生した場合の対応、責任の所在等につ
り組みとしては、コンプライアンスに対る危機意識 いての確認、再発防止策の検討および全社告知
が不足していた。 等について討議する。
・内部統制システムの運用状況について検討す
る。
※「産業廃棄物処理法違反事件」(以下「産廃事件」という。)についての当社対応状況
産廃事件について当社および当社役職員5名は、2018年8月29日付にて「不起訴」となりましたが、当社
は、産廃事件の重要性を鑑み「社内調査委員会」を設置し、弁護士法人大江橋法律事務所に詳細調査を依
頼しました。2018年9月28日に「調査報告書」を受領し、これを受けて「業務改善委員会」を立ち上げ、産業
廃棄物処理法の権威である行政書士尾上雅典氏を顧問に迎え、当社の業務に沿った産業廃棄処理の方法
を構築するための検討会を8回開催しました。
現在は、その成果をもって正しい運用方法を確立するとともに、建装部において2名の業務改善担当を指
名し、受注する全案件において運用方法が遵守されているかのチェックを行っています。また工事協力業者
に対しては、産業廃棄物処理法に基づく「産業廃棄物収集運搬免許」の有無を確認し、同様の不祥事が発
生しないよう万全を期しております。
尚、新たな建装部員、仲介担当営業員が加わった場合のために、産業廃棄物処理の運用が理解できるよ
う「建装部員向け産業廃棄物処理運用マニュアル」、「仲介担当向け産業廃棄物処理運用マニュアル」を作
成中です。
当社は、本再発防止策を確実に実行・定着させ、企業価値の速やかな回復と向上に努めてまいりますとと
もに、今後その進捗状況を適時開示してまいります。
以上