8848 レオパレス21 2020-01-30 17:00:00
(変更)株主提案一部撤回の承認に伴う臨時株主総会開催及び株主提案に対する当社取締役会の意見に関するお知らせの一部変更について [pdf]
2020 年 1 月 30 日
各 位
会 社 名 株 式 会 社 レ オ パ レ ス 21
代表者名 代表取締役社長 宮 尾 文 也
(コード番号 8848 東証第一部)
問合せ先 執 行 役 員 新 井 清
(TEL 050-2016-2907 )
(変更)株主提案一部撤回の承認に伴う臨時株主総会開催
及び株主提案に対する当社取締役会の意見に関するお知らせの一部変更について
当社は、2019 年 12 月 27 日付け「株主による臨時株主総会の招集請求に関するお知ら
せ」において、当社株主 2 名(以下「提案株主」といいます。)より、臨時株主総会の招
集請求に関する書面(以下「本招集請求書」といいます。)を受領したことをお知らせ
し、また、2020 年 1 月 6 日付け「臨時株主総会招集のための基準日設定に関するお知ら
せ」において、2020 年 2 月下旬ないし 3 月上旬を目処に、同年 1 月 24 日を議決権行使の
基準日とする臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を開催することの適
否につき検討を開始している旨をお知らせし、2020 年 1 月 27 日付け「臨時株主総会開催
及び株主提案に対する当社取締役会の意見に関するお知らせ」において、同日開催の取締
役会にて、本臨時株主総会の開催日、場所及び付議議案並びに株主提案に対する当社取締
役会の意見について決議した旨をお知らせしておりましたが、2020 年 1 月 28 日付け「株
主提案の一部撤回に関する書面の受領に関するお知らせ」においてお知らせしたとおり、
提案株主より本臨時株主総会の付議議案としていた株主提案議案(以下「当初提案」とい
います。)の一部を撤回したい旨の書面(以下「本撤回通知」といいます。)を受領いた
しました。
当社は、本撤回通知を踏まえて、本日開催の取締役会において、本撤回通知に記載され
た株主提案議案の撤回を承認するとともに、本臨時株主総会の開催日、場所及び付議議案
並びに株主提案に対する当社取締役会の意見について、改めて下記のとおり決議いたしま
したのでお知らせいたします。
なお、当社は本撤回通知の承認後の株主提案に係る議案(以下「本株主提案」といいま
す。)に引き続き反対であります。当社取締役会の意見の詳細については、下記 3.及び別
紙 3 をご覧ください。
記
1. 本臨時株主総会の開催日時、場所及び付議議案
(1) 開催日時
2020 年 2 月 27 日(木曜日)午前 10 時
-1-
(2) 開催場所
ベルサール渋谷ファースト
※当社第 46 期定時株主総会(2019 年 6 月 27 日開催)とは開催場所が異なりま
すので、ご来場の際には招集ご通知に記載いたします「臨時株主総会会場ご案
内図」をご参照頂き、お間違えになりませんようご注意ください。
(3) 付議議案
第 1 号議案(会社提案) 取締役 2 名選任の件
第 2 号議案(株主提案) 取締役 1 名選任の件
2. 付議議案の要領、提案理由の概要
(1) 会社提案
【議案の要領】
第 1 号議案(会社提案) 取締役 2 名選任の件
取締役 2 名(候補者:藤田和育、中村裕)を選任する。
【第 1 号議案の提案理由の概要】
当社は、本臨時株主総会の開催に伴い、従前決定していた方針(2020 年 6 月
開催の当社定時株主総会において取締役の過半数を社外取締役とする議案を提
出する方針)の趣旨に従って、当社のコーポレートガバナンスの向上のため、
当社の社外役員の独立性基準を満たし、かつ、その有する知識・経験から、当
社が直面する企業再生・事業再編や建築施工における品質管理及び環境管理と
いった課題への対応にも深い理解のある藤田和育氏及び中村裕氏を取締役候補
者として提案させて頂くこととしました。当社は、藤田和育氏及び中村裕氏
は、当社の事業の特性も踏まえつつ、一部の大株主のみではなく全ての株主の
皆様を含むステークホルダーの利益に貢献することができる社外取締役として
適任であると考えております。
なお、藤田和育氏及び中村裕氏の両氏が取締役に選任された場合には、当社
取締役会は、業務執行取締役 5 名、社外取締役 7 名の合計 12 名から構成され
ることとなり、その取締役の過半数は社外取締役となります。
第 1 号議案の議案の要領及び提案理由の詳細については、別紙 1 をご覧くだ
さい。
(2) 株主提案
【議案の要領】
第 2 号議案(株主提案) 取締役 1 名選任の件
-2-
取締役 1 名(候補者:大村将裕)を選任する。
【第 2 号議案の提案理由の概要】
当社の現経営陣には、①当社が開発・販売した集合住宅において界壁工事が
なされていないという施工不備問題(以下「本件施工不備問題」といいま
す。)が発覚して以降、業績予想の大幅な下方修正を繰り返し、不適切な情報
開示を許容していること、②本件施工不備問題に関する調査・改修工事の完了
時期について、その公表から短期間の後に延期を発表しており、本件施工不備
問題を解決する能力が欠けていること、③当社が 2018 年 5 月から 8 月にかけ
て行った自己株式取得により分配可能額の欠損を生じさせており、これに関す
る欠損填補責任を負うことといった問題点があり、このような当社の現経営陣
に今後の当社の経営を委ねることはできないと考え、当初提案を行っていたと
ころ、提案株主が要望する事業提携・事業再編を含めた改革案の検討につい
て、当社は他の大株主にも説明をする等、改革案について真剣に検討を進めて
いる姿勢も表面化し始めていたことから、6 月の定時株主総会までの間の経営
体制では、施工不備問題の是正と繁忙期の営業を優先して注力するものとして
現任の取締役の解任案を撤回し、かつ、本臨時株主総会の開催にあたり、当社
による会社提案として新たに社外取締役 2 名を加える議案が公表されたことか
ら、提案株主が推薦する新任取締役は必ずしも 3 名までは必要ないと考え推薦
人数を 1 名に絞ることとし、当社の企業価値の向上に対して株主の視点で取り
組むことができる新たな取締役 1 名の選任を請求するとのことです。
第 2 号議案の議案の要領及び提案理由の詳細については、別紙 2 をご覧くだ
さい。
3. 株主提案に対する当社取締役会の意見
当社取締役会は、本株主提案に、以下の理由で反対します。
(1) 当社の現状における経営上の最重要課題は、本件施工不備問題の早期解決に
より入居率を回復させ業績を回復させることと、再発防止策の取り組みにあり
ます。当社は、本件施工不備問題によって毀損した当社の社会的信用及び業績
の早期回復を目的とし、昨年の定時株主総会にて選任された現在の経営陣に
よって新経営体制を組織し、上記の経営上の最重要課題、とりわけ全棟調査及
び改修の完了に向けて真摯に取り組んでいる最中です。本件施工不備問題は想
定を超える規模であったため、時間を要していることは確かですがその成果は
着実に現れているものと認識しております。
当初提案においては、本件施工不備問題を収束できない経営陣との指摘がな
されておりますが、提案株主からは、本件施工不備問題について速やかに解決
-3-
するための具体的な提案は示されておりません。
当社の現状における経営上の最重要課題を解決するために、現在の経営陣は
本件施工不備問題に真摯に対応しているものであり、本株主提案にあるよう
に、当社の個別具体的な業務に通じているとはいえない大村氏を取締役に選任
する必要はないと考え、本株主提案に反対します。
(2) また、提案株主は、その 2020 年 1 月 28 日付け「弊社株主提案議案の変更の
お知らせ」において、①「弊社の目的は経営権を握ることではな」いこと、②
当社が「2 名の社外取締役候補の選任議案を提案されたことについては、前向
きに評価」すること等述べた上で、「様々なご意見を伺いながら検討」した結
果、本撤回通知を行ったと述べており、その翌日である 2020 年 1 月 29 日付け
で当社に通知された本株主提案の提案理由の概要では、③「提案株主が要望す
る事業提携・事業再編を含めた改革案の検討について、当社は他の大株主にも
説明をする等、改革案について真剣に検討を進めている姿勢も表面化し始めて
いたこと」、④「提案株主は、推薦する新任取締役は必ずしも 3 人までは必要
ないと考え」たこと、⑤「繁忙期の営業を優先して注力するものとして、現任
の取締役は解任」しないこと等の理由から、本撤回通知を行ったと述べてお
り、加えて、⑥「当社においては、企業価値の向上に対して株主の視点で取り
組んでいるとはいい難く、株主の視点をもった取締役が新たに加わることに
よって、初めて真摯な議論をすることができる取締役会へ変わることができま
す」として、大村氏が「企業価値の向上に対して株主の視点をもった取締役」
であることが述べられております。しかしながら、別紙 3 に詳述するとおり、
いずれも従前の提案株主の主張にそぐわず、本撤回通知は、当初提案の内容そ
れ自体が当初から不合理であったことを認めたに等しいものであり、そのよう
な提案はたとえその一部であっても受け入れることはできません。
とりわけ、「繁忙期の営業を優先する」のであればそもそも本臨時株主総会
の招集を請求しないはずであり、繁忙期に本臨時株主総会の招集を請求して
いる時点で提案株主は当社の事業価値の毀損を全く考慮していないと言わざ
るを得ません。現に、本撤回通知を受けて当社は 2020 年 1 月 28 日に提案株主
に対し本臨時株主総会の招集請求自体を取り下げることを要請いたしました
が、提案株主はこれに応じませんでした。
加えて、大村氏は、繁忙期における本臨時株主総会の招集請求から不合理な
理由による株主提案の一部撤回に至る提案株主の一連の行動について、提案
株主の窓口となって当社を混乱させた人物であり、当社の事業価値の毀損を
全く考えていないと言わざるを得ない大村氏を当社の経営に参画させるべき
ではありません。
(3) 更に、提案株主の過去の投資手法及び本株主提案に至るまでの経緯に照らす
と、提案株主は真摯に当社の企業価値の向上を目指すものではなく、当社の
-4-
「解体型買収」を企図していることが強く推認され、大株主である自己の利益
を追求する目的で本株主提案を行っていると考えられるものであり、当社の企
業価値が毀損され、一般株主の皆様を含む多くのステークホルダーの不利益と
なる可能性が高いと考えられます。
当社の現在の経営陣は、株主様、入居者様、オーナー様を初めとするすべて
のステークホルダーの皆様の利益を考え、本件施工不備問題を中心とした最重
要課題に対処しているものであり、大株主である自己の利益を追求することの
みを目的とする本株主提案には反対します。
当社取締役会の意見の詳細については、別紙 3 をご覧ください。
以上
-5-
別紙 1
会社提案(第 1 号議案)の議案の要領及び提案理由
第 1 号議案(会社提案)
議案の要領
取締役 2 名(候補者:藤田和育、中村裕)を選任する。
候補者 氏名 略歴及び他の会社の代表状況並びに重要な
番号 (生年月日) 兼職の状況
ふじたかずやす
1 藤田和育 1965 年 4 月
(1946 年 6 月 24 大阪府庁入庁
日) 1970 年 11 月
東洋シヤッター株式会社入社
1999 年 10 月
同社 業務管理部長
2000 年 6 月
同社 取締役事業推進部長兼購買部長
2002 年 6 月
同社 代表取締役社長
2006 年 4 月
同社 代表取締役社長兼執行役員社長
全般統括
2010 年 6 月
同社 特別顧問
2011 年 6 月
同社 退職
2011 年 9 月
Management Consulting Partner 株式会社
設立、同社代表取締役社長(現任)
【重要な兼職の状況】
Management Consulting Partner 株式会社
代表取締役社長
なかむらゆたか
2 中村 裕 1981 年 4 月
(1958 年 9 月 28 ナショナル住宅建材株式会社(現パナ
日) ソニックホームズ株式会社)入社
-6-
2002 年 10 月
同社 品質・環境推進部長
2006 年 10 月
同社 品質・環境・IT 部長
2011 年 4 月
同社 理事 品質・環境本部長
2012 年 4 月
同社 上席理事 品質・環境本部長
2018 年 4 月
同社 品質・CS 担当 上席主幹
2019 年 3 月
同社 退職
(注)
1. 各候補者と当社との間には、特別の利害関係はありません。
2. 候補者番号 1 番の藤田和育氏及び候補者番号 2 番の中村裕氏は、いず
れも社外取締役候補者であります。なお、藤田和育氏及び中村裕氏の
両氏は、㈱東京証券取引所の有価証券上場規程第 436 条の 2 に規定す
る独立役員候補者であり、また当社が定めた独立性基準を満たしてい
るため、当社としては独立性を十分確保されているものと判断いたし
ます。
3. 各取締役候補者の選任理由について
(1) 藤田和育氏は、東洋シヤッター株式会社出身であり、同社が 1999 年に
デリバティブ取引の多額損失発生により経営危機に直面した際に業務
管理部長に任じられ、私的整理ガイドラインに基づく会社再建計画案
の企画立案に主体的に関わり、金融機関との交渉や事業計画作成に参
画しました。そして、同社の代表取締役社長として再建 7 カ年計画を
実施し、再建完了を 3 年短縮して 4 年間で完了させています。このよ
うに同氏は企業再生・事業再編に深い経験と知見を有しているため、
本件施工不備問題により毀損された当社の社会的信用及び業績の早期
回復に向けた取組みにおいて、その経験及び知見に基づく貢献が期待
でき、独立、公正な立場から取締役会等において業務執行の監督の役
割を果たしていただけるものと判断し、同氏を社外取締役候補者とい
たしました。
(2) 中村裕氏は、パナソニックホームズ株式会社出身であり、同社におい
て入社時から一貫して品質管理及び環境管理の業務に携わり、同社の
上席理事 品質・環境本部長として同社の品質管理及び環境管理を業
界トップレベルにまで引き上げた実績を有しています。また、住宅業
-7-
界における複数の団体において要職(一般社団法人プレハブ建築協会
の CS 品質委員会委員長、一般社団法人優良ストック住宅推進協議会
の技術委員長、住宅産業協議会の研修企画部会長)を務めた経験も有
しています。中村氏は、過去に社外取締役又は社外監査役となること
以外の方法で会社の経営に関与した経験は有しておりませんが、上記
のように同氏は建築施工における品質管理及び環境管理の分野に深い
経験と知見を有しており、また住宅業界における人脈も豊富であるこ
とから、本件施工不備問題により明らかになった当社の品質管理及び
環境管理上の課題の解決において、その経験及び知見に基づく貢献が
期待でき、独立、公正な立場から取締役会等において業務執行の監督
の役割を果たしていただけるものと判断し、同氏を社外取締役候補者
といたしました。
4. 藤田和育氏及び中村裕氏の両氏の選任が承認された場合、当社は両氏
との間でそれぞれ会社法第 427 条第 1 項の規定により同法第 423 条第
1 項の損害賠償責任を法令に定める最低責任限度額に限定する旨の責
任限定契約を締結する予定であります。
提案理由
当社は、2019 年 12 月 16 日付けプレスリリース「コーポレートガバナンスの
向上を目的とした取締役会の構成に関する方針についてのお知らせ」において
お知らせしておりますとおり、本件施工不備問題の再発防止策の一環として、
コーポレートガバナンスの向上を図るため、2020 年 6 月開催予定の当社定時株
主総会において、取締役の過半数を社外取締役とする議案を提出する方針を決
定しております。
今般、当社は、本臨時株主総会の開催に伴い、従前決定していた方針を前倒
しし、当社のコーポレートガバナンスのより早期の向上を図るため、本臨時株
主総会において当社の社外役員の独立性基準を満たし、かつ、その有する知
識・経験から、当社が直面する企業再生・事業再編や建築施工における品質管
理及び環境管理といった課題への対応にも深い理解のある藤田和育氏及び中村
裕氏を取締役候補者として取締役選任議案を提案させて頂くこととしました。
当社は、藤田和育氏及び中村裕氏が、当社の事業の特性も踏まえつつ、一部の
大株主のみではなく全ての株主の皆様を含むステークホルダーの利益に貢献す
ることができる社外取締役として適任であると考えております。
なお、藤田和育氏及び中村裕氏の両氏が取締役に選任された場合には、当社
取締役会は、業務執行取締役 5 名、社外取締役 7 名の合計 12 名から構成され
ることとなり、その取締役の過半数は社外取締役となります。
-8-
別紙 2
株主提案(第 2 号議案)の議案の要領及び提案理由
1. 第 2 号議案(株主提案)
議案の要領
取締役 1 名(候補者:大村将裕)を選任する。
候補者 氏名 略歴及び他の会社の代表状況並びに重要な
番号 (生年月日) 兼職の状況
おお むら まさ ひろ
1 大村将裕 平成 9 年 4 月
(昭和 49 年 3 月 18 清水建設株式会社入社
日) 平成 16 年 5 月
住友信託銀行株式会社入社
平成 19 年 2 月
レッドウッド・グループ・ジャパン株
式会社入社
平成 21 年 8 月
株式会社レノ入社
平成 25 年 2 月
株式会社シティインデックスホスピタ
リティ代表取締役社長(現任)
【重要な兼職の状況】
株式会社シティインデックスホスピタ
リティ代表取締役社長
(注)
1. 候補者と当社との間には、特別の利害関係はありません。
2. 取締役候補者の選任理由について
大村将裕氏は、清水建設株式会社、住友信託銀行株式会社での業務を
通じて建築、不動産および金融の知識を得ています。現在は、有料老
人ホーム事業を核としたシニア事業を行う株式会社シティインデック
スホスピタリティの代表取締役社長を務め、シニア事業の知識に加え
てコーポレートガバナンス、経済、経営における高い見識と経験を有
しています。当社は、賃貸事業を核としてシニア事業も営んでおり、
現在建築不備問題を抱える状況に対して同氏が有する知見は完全に適
合するものであり、大いなる貢献が期待できることから、当社の取締
役に適任であると判断し、選任をお願いするものであります。
-9-
提案理由の概要
(会社注)以下、当初提案の提案理由の概要及び本撤回通知を受けて提案株主から
2020 年 1 月 29 日付けで通知された提案理由の概要を順に記載いたします。
【当初提案の提案理由の概要】
当社の現経営陣には、下記①から③の問題点があり、このような当社の現経営陣
に今後の当社の経営を委ねることはできないと考え、前記【議案の要領】記載の取
締役 1 名の選任を請求するとのことです。
① 業績予想の大幅な下方修正と不適切な情報開示を許す経営体制
本件施工不備問題が発覚して以降、当社は物件の全棟調査を行い、改修等の
対応が必要であると判断されたことから、2019 年 3 月期の業績予想について、
度重なる下方修正を行いました。また、2020 年 3 月期の業績予想も大幅に下方
修正しています。このような大幅な下方修正の原因は、本件施工不備問題に起
因して、多額の補修工事関連損失引当金を特別損失として計上したことなどに
あります。
提案株主は、当社に対して、施工不備の是正完了の遅れや物件の入居率が低
下している状況に照らし、業績予想の実現可能性には疑問があることを指摘
し、業績の下方修正が後手に回って信頼を失うことのないよう積極的かつ迅速
な開示を行うことを繰り返し要請し続けてきました。にもかかわらず、当社が
通期業績予想の下方修正を最後に発表した 11 月 7 日は、第 2 四半期決算発表の
直前でした。
業績予想とは、単なる努力目標ではなく、その達成に向けて経営陣がコミッ
トを果たすべき現実的な数値であるところ、上記のように、当社の経営陣は、
自らが公表した業績予想を次々と下方修正し、かつ、その開示も後手後手に
回っています。本件施工不備問題が増幅し、社会からの信頼を失った最大の理
由は、このように無責任な業績の下方修正や不適切な情報開示を許容する当社
の不透明な経営体制にあるというべきです。
② 施工不備問題を収束できない経営陣
当社の 2019 年 3 月 8 日付リリース「当社界壁施工不備物件の調査・補修工事
の体制強化及び完了時期の前倒しについて」において、当社は、本件施工不備
問題について国土交通省の指示に従い、2019 年 10 月末までの完了を目指して
- 10 -
いた補修工事の完了時期を前倒しするとしていました。
しかしながら、そのわずか 4 ヶ月後である同年 7 月 31 日付リリース「当社施
工不備物件の調査・改修工事完了時期の見直しについて」において、当社は、
「調査を進めた結果(中略)施工不備の範囲が拡大し(中略)改修工事が必要
な棟数・箇所が当初の想定より大幅に拡大」したことなどを理由に、当社が
「優先調査対象物件」と位置付ける「ゴールドネイル」など一定の物件につい
ては、2020 年 6 月末を目処に改修工事完了を目指すと発表し、さらに同年 10
月 31 日付リリース「当社施工不備物件の全棟調査の状況及び今後の改修工事
の方針について」において、「優先調査対象物件」以外の物件についての工事
完了時期を 2020 年 12 月末予定とすることを発表しました。
以上のように、当社は、改修工事の完了を 2019 年夏とすることを自ら発表
しておきながら、そのわずか 4 ヶ月後、工事の完了時期を 1 年以上も延期する
と発表しているのであって、これは、当社の現経営陣において、本件施工不備
問題を解決する能力が欠けていることを示すものというほかありません。
③ 分配可能額の欠損を生じさせた経営陣
当社は、2018 年 5 月 11 日の取締役会で自己株式取得決議を行い、同月 14 日
から 8 月 23 日までの間に取得価額の総額が 50 億円に上る自己株式取得を行い
ました(以下「本件自己株式取得」といいます)。
他方、上記①のとおり、当社は、本件施工不備問題に起因して多額の補修工
事関連損失引当金を特別損失として計上したことから、2019 年 3 月期に係る計
算書類の確定時において、当社の分配可能額はマイナスとなりました。
会社法上、株式会社が自己株式取得をした場合、当該自己株式取得を行った
日の属する事業年度に係る計算書類について株主総会の承認を受けたときにお
ける分配可能額がマイナスとなるときは、当該自己株式取得に関する職務を
行った取締役は、その職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明しな
い限り、会社に対して連帯して分配可能額のマイナス分(欠損の額)か、会社
から払い出された財産の額のいずれか少ない額を会社に対して支払う責任を負
います(以下「欠損填補責任」といいます)。
本件自己株式取得は、本件施工不備問題が顕在化した 2018 年 3 月以降、い
わば異常事態のなか取締役会において決議されたものであり、当該決議におい
て賛成した当社の取締役は、本件自己株式取得を実施するに際して、平時より
も慎重な注意義務を払うべきであったといえます。
また、本件自己株式取得には、これを実行する必要性・緊急性を裏付ける事
情もありません。さらに、本件自己株式取得を実行した時期において、本件施
工不備問題に関する調査の進捗状況はいまだ初期的な段階であり、本件施工不
- 11 -
備問題の全体像やこれに基づく損失額の規模を把握できていない可能性が高い
状況下であったことも考えると、本件自己株式取得が実行された当時の当社の
取締役は、全棟調査の過程でさらなる問題事象が発見されて、追加改修などの
対応を必要とする状況が生じることを十分に予測すべきでした。
以上からすると、本件自己株式取得の決議に賛成し、あるいはその実行がな
された当時の当社の取締役(現経営陣のうち、宮尾文也氏、児玉正之氏、田矢
徹司氏及び笹尾佳子氏の 4 名が該当します)は、本件自己株式取得に関する職
務を行うについて注意を怠らなかったとは到底いえず、欠損填補責任を負うと
いうべきです。
上場企業が自己株式取得を決議、実行した後、その企業の取締役が欠損填補
責任を負うことになるというのは、極めて異常な事態であって、そのような異
常事態を招いた取締役が会社の経営陣として相応しくないことは明白です。
④ 小括
以上のように、当社は、無責任な下方修正を行い、不適切な情報開示を許容
する不透明な経営体制を改めることをせず、本件施工不備問題を増幅させ、社
会からの信頼が失われるままにしています。また、自ら公表した改修工事の完
了時期を、短期間の後に延期しており、本件施工不備問題を解決する能力に欠
けていることも明らかです。さらに、現経営陣には、上場企業として異常事態
である自己株式取得を実行した後に欠損填補責任を負うというべき取締役 4 名
が含まれています。このような当社の現経営陣に今後の当社の経営を委ねるこ
とはできないと考えますので、本議案を提案する次第です。
なお、現任の執行役については、精査のうえ特に問題がない限りは、その職
務を継続していただく予定です。
【本撤回通知を受けて 2020 年 1 月 29 日付けで通知された提案理由の概要】
提案株主は、昨年 12 月 27 日に当社に対して臨時株主総会の招集請求書を提出し
ました。提案株主からの株主提案議案は、①現任の取締役全員の解任、②提案株主
の推薦する 3 名の取締役選任、の 2 つの議案が提起されていました。
その後、提案株主は、提案株主による臨時株主総会の開催許可を東京地方裁判所
に申し立て、当社は臨時株主総会の招集を行わない旨の意見を表明していました。
東京地方裁判所での協議の結果、当社は提案株主の招集請求の正当性を認め、臨時
株主総会を当社が招集して開催することになりました。
加えて、提案株主が要望する事業提携・事業再編を含めた改革案の検討につい
て、当社は他の大株主にも説明をする等、改革案について真剣に検討を進めている
- 12 -
姿勢も表面化し始めていたことから、6 月の定時株主総会までの間の経営体制で
は、施工不備問題の是正と繁忙期の営業を優先して注力するものとして、現任の取
締役は解任せず、並行して大きく企業価値を改善することのできるような改革案に
ついて新たな取締役を交えて協議検討し、6 月の定時株主総会で選任された経営体
制でその改革案を実行していくことが最善であるという結論に至ったため、提案株
主は現任の取締役の解任案を撤回することにしました。
提案株主が当初より当社に要望していたものは、企業価値の向上について株主の
目線で考えることのできる取締役が加わった取締役会へと変わることです。
当社による臨時株主総会の開催にあたり、当社による会社提案として新たに社外
取締役が 2 名を加える議案が公表されたことから、提案株主は、推薦する新任取締
役は必ずしも 3 人までは必要ないと考え、推薦人数を 1 名に絞ることにしました。
6 月に開催される定時株主総会までの約 4 か月の期間、当社の経営陣に求められ
るものは、施工不備問題の是正と賃貸事業の繁忙期における営業活動と並行して、
大きく企業価値を改善することのできる改革案について協議検討を進めることで
す。
6 月の定時株主総会で選任された経営体制でその改革案を実行していくこととな
りますが、改革案の検討にあたっては、企業価値の向上に対して株主の視点で考え
ることのできる取締役が参画していることが重要です。
当社においては、企業価値の向上に対して株主の視点で取り組んでいるとはいい
難く、株主の視点をもった取締役が新たに加わることによって、初めて真摯な議論
をすることができる取締役会へ変わることができます。
本議案はこれに相応しい取締役として上記記載の取締役の選任を求めるもので
す。
- 13 -
別紙 3
株主提案に対する当社取締役会の意見
当社取締役会は、本株主提案に反対します。反対の理由は以下のとおりです。
(1) 現在の経営陣が当社の課題を解決するために真摯に取り組んでいる最中であり、大
村氏の選任の必要がないこと
当社は、2019 年 5 月 29 日付け「当社施工物件における界壁等の施工不備に関す
る原因及び再発防止策等について」でお知らせしましたとおり、本件施工不備問題
を重く受け止め、全社一丸となって引き続き調査及び改修の速やかな実施を行うと
ともに、企業風土の抜本的改革、コンプライアンス・リスク管理体制の再構築及び
建築請負事業体制の見直しを再発防止策として策定し、これらを経営上の最重要課
題と位置付けております。そして、当社は、本件施工不備問題によって毀損した当
社の社会的信用及び業績の早期回復を目的とし、経営体制の刷新を図るため、2019
年 6 月 27 日開催の当社第 46 期定時株主総会で選任された取締役 10 名によって新経
営体制を組織し、上記の経営上の最重要課題、とりわけ全棟の調査及び改修の完了
に向けて日々真摯に取り組んでいる最中であります。
たしかに、本件施工不備問題は想定を超える規模であったがゆえに、全棟調査の
過程で新たに明らかになった不備も多く、改修費用やその工程が当初の予想よりも
増加し、改修工事の完了や入居者募集の再開が遅延し、それによって賃料収入が減
少していること等によって、当社が 2019 年 3 月期及び 2020 年 3 月期の業績予想に
ついて下方修正を行ったことや、2019 年 3 月に公表した改修工事の完了時期を同年
7 月に延期したことは事実であり、当社の見通しの甘さもその一因であったことと
言わざるを得ません。
しかしながら、当社は、上記のとおり 2019 年 6 月下旬に発足した新経営体制の下
で、当社代表取締役社長執行役員の宮尾文也を中心とした 5 名の業務執行取締役が
それぞれ事業統括本部長、管理本部長及び経営企画本部長並びに本件施工不備問題
を受けて新設された施工不備問題緊急対策本部長及びコンプライアンス統括本部長
としての業務を分担し、残る 4 名の独立社外取締役・1 名の社外取締役がそれぞれ
の知識・経験を活かして独立・公正な立場から当社の業務執行の監督の役割を適切
に果たすという形で、これらの取締役を中心に想定を超える規模の本件施工不備問
題に鋭意取り組みを続けており、その成果は少しずつではあるものの着実に現れて
いるものと認識しております(なお、全棟調査や改修工事の進捗状況については当
社ホームページにおいて適時にお知らせしているところでございます)。
これに対し、当初提案においては、本件施工不備問題を収束できない経営陣との
指摘がなされておりますが、提案株主からは、本件施工不備問題について速やかに
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解決するための具体的な提案は示されておりません。
現経営陣は、本件施工不備問題を発端とする当社の課題解決に日々真摯に取り組
んでいる最中です。また、本株主提案の大村氏の選任理由には、清水建設株式会社
の経験から建築・不動産の知識があるとされておりますが、大手ゼネコンの建築知
識は当社が主力としている低層の集合住宅建築に生かされるものではなく、当社の
サブリース事業とも何の関係もありません。当社の個別具体的な業務に通じている
とはいえない大村氏を取締役に選任する必要はないと考えるものであり、当社は本
株主提案に反対いたします。
なお、提案株主は、当社が 2018 年 6 月 14 日から同年 8 月 23 日までに実施した本
件自己株式取得について、当時の当社取締役が欠損填補責任を負うことも当初提案
の提案理由としておりますが、この点については、当社が 2019 年 7 月 31 日付け
「第 46 期自己株式の取得における取締役の責任についての監査役会意見受領のお
知らせ」でお知らせしましたとおり、当社は、当社監査役会より、当社取締役の当
時の認識・検討状況や欠損が生じるに至った経緯等を踏まえると、当社取締役は本
件自己株式取得を行うにあたり欠損填補責任及び損害賠償責任を負わないとの結論
に至ったため、取締役に対する責任追及をしない旨の意見を受領しております。し
たがって、現任の取締役は本件自己株式取得に関する欠損填補責任のみならず損害
賠償責任をも負うものではなく、その適格性に疑義は生じないと考えております。
(2) 本撤回通知は当初提案の内容が不合理であったことを認めたに等しいこと
また、提案株主は、その 2020 年 1 月 28 日付け「弊社株主提案議案の変更のお知
らせ」において、①「弊社の目的は経営権を握ることではな」いこと、②当社が
「2 名の社外取締役候補の選任議案を提案されたことについては、前向きに評価」
すること等述べた上で、「様々なご意見を伺いながら検討」した結果、本撤回通知
を行ったと述べております。また、その翌日である 2020 年 1 月 29 日付けで当社に
通知された本株主提案の提案理由の概要では、③「提案株主が要望する事業提携・
事業再編を含めた改革案の検討について、当社は他の大株主にも説明をする等、改
革案について真剣に検討を進めている姿勢も表面化し始めていたこと」、④「提案
株主は、推薦する新任取締役は必ずしも 3 人までは必要ないと考え」たこと、⑤
「繁忙期の営業を優先して注力するものとして、現任の取締役は解任」しないこと
等の理由から、本撤回通知を行ったと述べております。加えて、⑥「当社において
は、企業価値の向上に対して株主の視点で取り組んでいるとはいい難く、株主の視
点をもった取締役が新たに加わることによって、初めて真摯な議論をすることがで
きる取締役会へ変わることができます」として、大村氏が「企業価値の向上に対し
て株主の視点をもった取締役」であることが述べられております。
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しかしながら、以下の理由により本撤回通知は、当初提案の内容それ自体が当初
から不合理であったことを認めたことに等しいものであり、そのような提案はたと
えその一部であっても受け入れることはできません。
① 提案株主の当初提案は、当社が 2019 年 12 月 27 日付け「株主による臨時株主総
会の招集請求に関するお知らせ」においてお知らせしたとおり、当社の現取締
役 10 名を解任したうえで提案株主の提案する候補者 3 名を選任するというもの
であり、当初提案の目的が当社の経営権の奪取にあったことは明らかであるこ
と。
② 当社が 2019 年 12 月 16 日に公表した方針(2020 年 6 月開催予定の当社定時株主
総会において、取締役の過半数を社外取締役とする議案を提出する方針)につ
いて、提案株主の 2019 年 12 月 31 日付け「株式会社レオパレス 21 臨時株主総
会の招集請求について」においては、「取締役の過半数を社外取締役にすると
いうだけでは、現状の取締役会に社外取締役が新たに 1 名加わる、または社外
取締役でない取締役が 1 名退任するだけでその要件を満たすことができるた
め、現状の取締役会と実質的に何ら変わりはなく、コーポレートガバナンスの
向上とは到底言え」ず、「株主の目線を有した取締役が過半数にな」るべきと
して、取締役の「過半数を大株主から推薦を受けた社外取締役とする必要性」
について主張していること。
③ そもそも、下記(3)で述べるとおり、提案株主が当初提案を行った経緯は、当
社が、本件施工不備問題への対応と並行して、アライアンスを含む経営の抜本
的改革の検討を開始する旨の公表を行うことを検討していたところ、提案株主
が、当該抜本的改革案の検討プロセスに提案株主自身をも参加させるよう求
め、当社が当該要求を断った直後に当初提案が行われたというものであり、当
社は経営の抜本的改革案を検討する姿勢を当初提案の前から一貫して示してい
たのであって、提案株主による当初提案は当社の経営の抜本的改革案の検討と
は無関係であること。
④ 提案株主は当社が本臨時株主総会の招集決定を行う直前の 2020 年 1 月 26 日に
は、当初提案のうち当社の現取締役 10 名の解任議案を取り下げることと引換え
に、大村氏を含む提案株主の推薦する候補者 3 名の取締役選任議案を当社の会
社提案として提案することを要求していたこと。
⑤ そもそも「繁忙期の営業を優先する」のであれば本臨時株主総会の招集を請求
しないはずであり、繁忙期に本臨時株主総会の招集を請求している時点で提案
株主は当社の事業価値の毀損を全く考慮していないと言わざるを得ないこと。
加えて、大村氏は繁忙期における本臨時株主総会の招集請求から不合理な理由に
よる株主提案の一部撤回に至る提案株主の一連の行動について、提案株主の窓口と
なって当社を混乱させた人物であり、当社の事業価値の毀損を全く考えていないと
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言わざるを得ません。
現に、本撤回通知を受けて当社は 2020 年 1 月 28 日に提案株主に対し本臨時株主
総会の招集請求自体を取り下げることを要請しましたが、大村氏はこれに応じませ
んでした。当社の最繁忙期にあえて、緊急性のない臨時株主総会の開催を要求し
て、当社事業活動を阻害しようとする大村氏を当社の経営に参画させることはでき
ないと考えます。
なお、提案株主は、2020 年 1 月 29 日付けの提案理由の中で「東京地方裁判所で
の協議の結果、当社は提案株主の招集請求の正当性を認め、臨時株主総会を当社が
招集して開催することになりました」と述べておりますが、当社として、提案株主
の本臨時株主総会の招集請求の正当性を認めたものではございません。
(3) 提案株主の過去の投資手法及び本株主提案に至るまでの経緯に照らすと、提案株主
は真摯に当社の企業価値の向上を目指すものではなく、大株主である自己の利益を
追求する目的で本株主提案を行っていると考えられること
提案株主は、いずれも村上ファンドグループ(提案株主を含む、旧村上ファンド
系の投資会社を総称したものをいいます。以下同じです。)であるところ、村上
ファンドグループがコーポレートガバナンスの向上を標榜して会社の株式を大量に
買い集め、かかる会社の経営陣に対して様々な圧力をかけるという手法を過去にも
繰り返してきたことは周知の事実です。また、村上ファンドグループが、自らが推
薦する取締役を会社に送り込み、非現実的な高水準の株主還元等の要求を繰り返
し、かかる会社を上場廃止に追い込んだ事例もあります。さらに、村上ファンドグ
ループは、過去の複数の事例において、会社の経営権を取得した後に、その資産の
全部又は一部を切り売りするといういわゆる「解体型買収」を行っています。
以上のような村上ファンドグループの過去の投資行動を踏まえると、本株主提案
の目的が、当社の中長期的な企業価値の向上に取り組むことではなく、他の株主の
皆様を含むステークホルダーの利益を犠牲にして、自己の利益を追求することにあ
ると考えられます。
実際、提案株主は、本件施工不備問題の発覚後の 2019 年 3 月頃より当社の株式の
取得を開始しており、2019 年 4 月以降の当社との面談や書簡のやり取りの中で当社
の解体を示唆する発言や、当社の支配権を獲得する意欲があるかのような発言に
よって当社に圧力をかけつつ、更に株式の買い増しを続けてきました。また、同年
12 月の当社との面談においては、提案株主は、村上ファンドグループが最近行っ
た、「解体型買収」の最たる例といえる事例に言及しつつ、当社の解体を行うこと
も合理的であると発言しております。
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さらに、提案株主は当社に対して、当社の企業価値向上のため、事業分割等も含
めた抜本的改革の検討を開始する旨を公表すること等を提案し、これに応じない場
合には臨時株主総会招集請求書を提出することになると述べました。当社は、本件
施工不備問題の発覚以降、調査・改修等の対応や再発防止策の取り組みと並行し
て、アライアンスを含む経営の抜本的改革の必要性は認識しており、そのような経
営の抜本的改革を検討するという当社の方針をステークホルダーの皆様にご理解い
ただくことは信頼回復に資するものと考えていたため、そのような内容の検討を開
始する旨の任意の公表については前向きに検討することとしました。ところが、提
案株主は、上記の抜本的改革案の検討プロセスに提案株主自身をも参加させるよう
求めてきたところ、当社は一部の大株主が主導する改革は株主の皆様を含む全ての
ステークホルダーの共同の利益に反するものと考え、これをお断りいたしました。
そのようなお断りを申し入れた直後に、提案株主より本臨時株主総会の招集請求書
を受領した次第です。
提案株主は、大村氏の取締役選任議案を除いた議案を撤回しておりますが、撤回
した議案は、当初から当社に圧力をかける手段として利用したに過ぎないことは明
らかであり、正当な株主権の行使といえるか疑問であると言わざるをえません。
上記のように、当社が本件施工不備問題の対応に追われている中で、そのような
機会に乗じて当社の解体や支配権の取得を示唆しながら株式を買い増しつつ、提案
株主が実際に行った「解体型買収」の事例にも言及していること、経営改革に大株
主として自らをも参加させることを求めていること等を踏まえると、提案株主は本
株主提案を通じて当社の「解体型買収」を企図していることが推認されます。当社
が提案株主の要求を受け入れなかったがために直ちに当社の取締役全員の解任等を
目的とする本臨時株主総会の招集請求を行うという強引なやり方を見ても、提案株
主が当社の中長期的な企業価値の向上に取り組む意図がないことは明らかです。か
かる「解体型買収」が実現された場合には、提案株主以外の株主の皆様を含む多く
のステークホルダーの皆様の利益が犠牲にされる可能性が高いことから、当社は本
株主提案に反対いたします。
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