8848 レオパレス21 2020-01-27 17:00:00
臨時株主総会開催及び株主提案に対する当社取締役会の意見に関するお知らせ [pdf]
2020 年 1 月 27 日
各 位
会 社 名 株 式 会 社 レ オ パ レ ス 21
代表者名 代表取締役社長 宮 尾 文 也
(コード番号 8848 東証第一部)
問合せ先 執 行 役 員 新 井 清
(TEL 050-2016-2907 )
臨時株主総会開催及び株主提案に対する当社取締役会の意見に関するお知らせ
当社は、2019 年 12 月 27 日付け「株主による臨時株主総会の招集請求に関するお知ら
せ」において、当社株主 2 名(以下「提案株主」といいます。)より、臨時株主総会の招
集請求に関する書面(以下「本招集請求書」といいます。)を受領したことをお知らせ
し、また、2020 年 1 月 6 日付け「臨時株主総会招集のための基準日設定に関するお知ら
せ」において、2020 年 2 月下旬ないし 3 月上旬を目処に、同年 1 月 24 日を議決権行使の
基準日とする臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を開催することの適
否につき検討を開始している旨をお知らせしておりましたが、本日開催の取締役会におい
て、本臨時株主総会の開催日、場所及び付議議案並びに株主提案に対する当社取締役会の
意見について、下記のとおり決議いたしましたのでお知らせいたします。
記
1. 本臨時株主総会の開催日時、場所及び付議議案
(1) 開催日時
2020 年 2 月 27 日(木曜日)午前 10 時
(2) 開催場所
ベルサール渋谷ファースト
※当社第 46 期定時株主総会(2019 年 6 月 27 日開催)とは開催場所が異なりま
すので、ご来場の際には招集ご通知に記載いたします「臨時株主総会会場ご案
内図」をご参照頂き、お間違えになりませんようご注意ください。
(3) 付議議案
第 1 号議案(会社提案) 取締役 2 名選任の件
第 2 号議案(株主提案) 取締役 10 名解任の件
第 3 号議案(株主提案) 取締役 3 名選任の件
2. 付議議案の要領、提案理由の概要
(1) 会社提案
【議案の要領】
第 1 号議案(会社提案) 取締役 2 名選任の件
取締役 2 名(候補者:藤田和育、中村裕)を選任する。
【第 1 号議案の提案理由の概要】
当社は、第 3 号議案のとおり提案株主より取締役 3 名の選任を提案されてお
り、株主提案に係る取締役候補者のうち福島氏及び中島氏は社外取締役候補者
とされていますが、後述するとおり、福島氏及び中島氏は当社の大株主である
提案株主の(社外取締役でない)取締役即ち業務執行者であり、当社の社外役
員の独立性基準を満たしておりません。
そこで、当社は、従前決定していた方針(2020 年 6 月開催の当社定時株主総
会において取締役の過半数を社外取締役とする議案を提出する方針)の趣旨に
従って、当社のコーポレートガバナンスの向上のため、当社の社外役員の独立
性基準を満たし、かつ、その有する知識・経験から、当社が直面する企業再
生・事業再編や建築施工における品質管理及び環境管理といった課題への対応
にも深い理解のある藤田和育氏及び中村裕氏を取締役候補者として提案させて
頂くこととしました。当社は、藤田和育氏及び中村裕氏は、株主提案に係る取
締役候補者とは異なり、当社の事業の特性も踏まえつつ、一部の大株主のみで
はなく全ての株主の皆様を含むステークホルダーの利益に貢献することができ
る社外取締役として適任であると考えております。
なお、藤田和育氏及び中村裕氏の両氏が取締役に選任された場合には、当社
取締役会は、業務執行取締役 5 名、社外取締役 7 名の合計 12 名から構成され
ることとなり、その取締役の過半数は社外取締役となります。
第 1 号議案の議案の要領及び提案理由の詳細については、別紙 1 をご覧くだ
さい。
(2) 株主提案
【議案の要領】
第 2 号議案(株主提案) 取締役 10 名解任の件
取締役 10 名(解任対象取締役:宮尾文也、蘆田茂、斜木克彦、岡本誠司、
早島真由美、児玉正之、田矢徹司、笹尾佳子、村上喜堂、古賀尚文)を解任す
る。
-2-
第 3 号議案(株主提案) 取締役 3 名選任の件
取締役 3 名(候補者:大村将裕、福島啓修、中島章智)を選任する。
【第 2 号議案及び第 3 号議案の提案理由の概要】
当社の現経営陣には、①当社が開発・販売した集合住宅において界壁工事が
なされていないという施工不備問題(以下「本件施工不備問題」といいま
す。)が発覚して以降、業績予想の大幅な下方修正を繰り返し、不適切な情報
開示を許容していること、②本件施工不備問題に関する調査・改修工事の完了
時期について、その公表から短期間の後に延期を発表しており、本件施工不備
問題を解決する能力が欠けていること、③当社が 2018 年 5 月から 8 月にかけ
て行った自己株式取得により分配可能額の欠損を生じさせており、これに関す
る欠損填補責任を負うことといった問題点があり、このような当社の現経営陣
に今後の当社の経営を委ねることはできないと考え、取締役 10 名の解任を請
求するとともに、新たな取締役 3 名の選任を請求するとのことです。
第 2 号議案及び第 3 号議案の議案の要領及び提案理由の詳細については、別
紙 2 をご覧ください。
3. 株主提案に対する当社取締役会の意見
当社取締役会は、株主提案に係る第 2 号議案及び第 3 号議案(以下合わせて「本株
主提案」といいます。)に、以下の理由で反対します。
(1) 当社の現状における経営上の最重要課題は、本件施工不備問題の早期解決に
より入居率を回復させ業績を回復させることと、再発防止策の取り組みにあり
ます。当社は、本件施工不備問題によって毀損した当社の社会的信用及び業績
の早期の回復を目的とし、昨年の定時株主総会にて選任された現在の経営陣に
よって新経営体制を組織し、上記の経営上の最重要課題、とりわけ全棟調査及
び改修の完了に向けて真摯に取り組んでいる最中です。本件施工不備問題は想
定を超える規模であったため、時間を要していることは確かですがその成果は
着実に現れているものと認識しております。
本株主提案においては、本件施工不備問題を収束できない経営陣との指摘が
なされておりますが、提案株主からは、本件施工不備問題について速やかに解
決するための具体的な提案は示されておりません。
当社の現状における経営上の最重要課題を解決するためには、本件施工不備
問題に真摯に対応し着実にすすめている現在の経営陣が適任であり、選解任の
必要はないと考え、本株主提案に反対します。
(2) 株主提案によれば、業務執行取締役候補者は 1 名ですが、当該候補者は当社
の個別具体的な業務に精通しておらず、上述のとおり、当社の現状における経
-3-
営上の最重要課題について具体的にどのように対処していくのかも示されてい
ないため、業務執行機能が不全に陥ることが明らかです。
提案株主が当社賃貸事業の最繁忙期であるこの時期に臨時株主総会の開催の
請求をして当社の業務執行に支障を生じさせること自体、当社の事業の本質を
理解していないことの証左であると考えます。
さらに、提案株主らの提案に係る取締役による経営が行われることで、法人
契約が中心である入居者募集に弊害が生じ、アパートオーナーの離反や事業
パートナー・金融機関との信頼関係が消失する懸念があります。
また、提案株主の過去の投資手法及び本株主提案に至るまでの経緯に照らす
と、提案株主は真摯に当社の企業価値の向上を目指すものではなく、当社の
「解体型買収」を企図していることが強く推認され、大株主である自己の利益
を追求する目的で本株主提案を行っていると考えられるものであり、当社の企
業価値が毀損され、一般株主の皆様を含む多くのステークホルダーの不利益と
なる可能性が高いと考えられます。
当社の現在の経営陣は、株主様、入居者様、オーナー様を初めとするすべて
のステークホルダーの皆様の利益を考え、本件施工不備問題を中心とした最重
要課題に対処しているものであり、大株主である自己の利益を追求することの
みを目的とする本株主提案には反対します。
当社取締役会の意見の詳細については、別紙 3 をご覧ください。
以上
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別紙 1
会社提案(第 1 号議案)の議案の要領及び提案理由
第 1 号議案(会社提案)
議案の要領
取締役 2 名(候補者:藤田和育、中村裕)を選任する。
候補者 氏名 略歴及び他の会社の代表状況並びに重要な
番号 (生年月日) 兼職の状況
ふじたかずやす
1 藤田和育 1965 年 4 月
(1946 年 6 月 24 大阪府庁入庁
日) 1970 年 11 月
東洋シヤッター株式会社入社
1999 年 10 月
同社 業務管理部長
2000 年 6 月
同社 取締役事業推進部長兼購買部長
2002 年 6 月
同社 代表取締役社長
2006 年 4 月
同社 代表取締役社長兼執行役員社長
全般統括
2010 年 6 月
同社 特別顧問
2011 年 6 月
同社 退職
2011 年 9 月
Management・Consulting・Partner 株式会
社設立、同社代表取締役社長(現任)
【重要な兼職の状況】
Management・Consulting・Partner 株式会
社代表取締役社長
なかむらゆたか
2 中村 裕 1981 年 4 月
(1958 年 9 月 28 ナショナル住宅建材株式会社(現パナ
日) ソニックホームズ株式会社)入社
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2002 年 10 月
同社 品質・環境推進部長
2006 年 10 月
同社 品質・環境・IT 部長
2011 年 4 月
同社 理事 品質・環境本部長
2012 年 4 月
同社 上席理事 品質・環境本部長
2018 年 4 月
同社 品質・CS 担当 上席主幹
2019 年 3 月
同社 退職
(注)
1. 各候補者と当社との間には、特別の利害関係はありません。
2. 候補者番号 1 番の藤田和育氏及び候補者番号 2 番の中村裕氏は、いず
れも社外取締役候補者であります。なお、藤田和育氏及び中村裕氏の
両氏は、㈱東京証券取引所の有価証券上場規程第 436 条の 2 に規定す
る独立役員候補者であり、また当社が定めた独立性基準を満たしてい
るため、当社としては独立性を十分確保されているものと判断いたし
ます。
3. 各取締役候補者の選任理由について
(1) 藤田和育氏は、東洋シヤッター株式会社出身であり、同社が 1999 年に
デリバティブ取引の多額損失発生により経営危機に直面した際に業務
管理部長に任じられ、私的整理ガイドラインに基づく会社再建計画案
の企画立案に主体的に関わり、金融機関との交渉や事業計画作成に参
画しました。そして、同社の代表取締役社長として再建 7 カ年計画を
実施し、再建完了を 3 年短縮して 4 年間で完了させています。このよ
うに同氏は企業再生・事業再編に深い経験と知見を有しているため、
本件施工不備問題により毀損された当社の社会的信用及び業績の早期
回復に向けた取組みにおいて、その経験及び知見に基づく貢献が期待
でき、独立、公正な立場から取締役会等において業務執行の監督の役
割を果たしていただけるものと判断し、同氏を社外取締役候補者とい
たしました。
(2) 中村裕氏は、パナソニックホームズ株式会社出身であり、同社におい
て入社時から一貫して品質管理及び環境管理の業務に携わり、同社の
上席理事 品質・環境本部長として同社の品質管理及び環境管理を業
界トップレベルにまで引き上げた実績を有しています。また、住宅業
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界における複数の団体において要職(一般社団法人プレハブ建築協会
の CS 品質委員会委員長、一般社団法人優良ストック住宅推進協議会
の技術委員長、住宅産業協議会の研修企画部会長)を務めた経験も有
しています。このように同氏は建築施工における品質管理及び環境管
理の分野に深い経験と知見を有しており、また住宅業界における人脈
も豊富であることから、本件施工不備問題により明らかになった当社
の品質管理及び環境管理上の課題の解決において、その経験及び知見
に基づく貢献が期待でき、独立、公正な立場から取締役会等において
業務執行の監督の役割を果たしていただけるものと判断し、同氏を社
外取締役候補者といたしました。
4. 藤田和育氏及び中村裕氏の両氏の選任が承認された場合、当社は両氏
との間でそれぞれ会社法第 427 条第 1 項の規定により同法第 423 条第
1 項の損害賠償責任を法令に定める最低責任限度額に限定する旨の責
任限定契約を締結する予定であります。
提案理由
当社は、2019 年 12 月 16 日付けプレスリリース「コーポレートガバナンスの
向上を目的とした取締役会の構成に関する方針についてのお知らせ」において
お知らせしておりますとおり、本件施工不備問題の再発防止策の一環として、
コーポレートガバナンスの向上を図るため、2020 年 6 月開催予定の当社定時株
主総会において、取締役の過半数を社外取締役とする議案を提出する方針を決
定しております。
今般、当社は、第 3 号議案のとおり提案株主より取締役 3 名の選任を提案さ
れており、株主提案に係る取締役候補者のうち福島氏及び中島氏は社外取締役
候補者とされていますが、後述するとおり、福島氏及び中島氏は当社の大株主
である提案株主の(社外取締役でない)取締役即ち業務執行者であり、当社の
社外役員の独立性基準を満たしておりません。
そこで、当社は、従前決定していた方針を前倒しし、当社のコーポレートガ
バナンスのより早期の向上を図るため、本臨時株主総会において当社の社外役
員の独立性基準を満たし、かつ、その有する知識・経験から、当社が直面する
企業再生・事業再編や建築施工における品質管理及び環境管理といった課題へ
の対応にも深い理解のある藤田和育氏及び中村裕氏を取締役候補者として取締
役選任議案を提案させて頂くこととしました。当社は、藤田和育氏及び中村裕
氏は、株主提案に係る取締役候補者とは異なり、当社の事業の特性も踏まえつ
つ、一部の大株主のみではなく全ての株主の皆様を含むステークホルダーの利
益に貢献することができる社外取締役として適任であると考えております。
なお、藤田和育氏及び中村裕氏の両氏が取締役に選任された場合には、当社
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取締役会は、業務執行取締役 5 名、社外取締役 7 名の合計 12 名から構成され
ることとなり、その取締役の過半数は社外取締役となります。
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別紙 2
株主提案(第 2 号議案及び第 3 号議案)の議案の要領及び提案理由
1. 第 2 号議案(株主提案)
議案の要領
取締役 10 名(解任対象取締役:宮尾文也、蘆田茂、斜木克彦、岡本誠司、早島
真由美、児玉正之、田矢徹司、笹尾佳子、村上喜堂、古賀尚文)を解任する。
提案理由の概要
当社の現経営陣には、下記①から③の問題点があり、このような当社の現経営陣
に今後の当社の経営を委ねることはできないと考え、取締役 10 名の解任を請求す
るとのことです。
① 業績予想の大幅な下方修正と不適切な情報開示を許す経営体制
本件施工不備問題が発覚して以降、当社は物件の全棟調査を行い、改修等の
対応が必要であると判断されたことから、2019 年 3 月期の業績予想について、
度重なる下方修正を行いました。また、2020 年 3 月期の業績予想も大幅に下方
修正しています。このような大幅な下方修正の原因は、本件施工不備問題に起
因して、多額の補修工事関連損失引当金を特別損失として計上したことなどに
あります。
提案株主は、当社に対して、施工不備の是正完了の遅れや物件の入居率が低
下している状況に照らし、業績予想の実現可能性には疑問があることを指摘
し、業績の下方修正が後手に回って信頼を失うことのないよう積極的かつ迅速
な開示を行うことを繰り返し要請し続けてきました。にもかかわらず、当社が
通期業績予想の下方修正を最後に発表した 11 月 7 日は、第 2 四半期決算発表の
直前でした。
業績予想とは、単なる努力目標ではなく、その達成に向けて経営陣がコミッ
トを果たすべき現実的な数値であるところ、上記のように、当社の経営陣は、
自らが公表した業績予想を次々と下方修正し、かつ、その開示も後手後手に
回っています。本件施工不備問題が増幅し、社会からの信頼を失った最大の理
由は、このように無責任な業績の下方修正や不適切な情報開示を許容する当社
の不透明な経営体制にあるというべきです。
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② 施工不備問題を収束できない経営陣
当社の 2019 年 3 月 8 日付リリース「当社界壁施工不備物件の調査・補修工事
の体制強化及び完了時期の前倒しについて」において、当社は、本件施工不備
問題について国土交通省の指示に従い、2019 年 10 月末までの完了を目指して
いた補修工事の完了時期を前倒しするとしていました。
しかしながら、そのわずか 4 ヶ月後である同年 7 月 31 日付リリース「当社施
工不備物件の調査・改修工事完了時期の見直しについて」において、当社は、
「調査を進めた結果(中略)施工不備の範囲が拡大し(中略)改修工事が必要
な棟数・箇所が当初の想定より大幅に拡大」したことなどを理由に、当社が
「優先調査対象物件」と位置付ける「ゴールドネイル」など一定の物件につい
ては、2020 年 6 月末を目処に改修工事完了を目指すと発表し、さらに同年 10
月 31 日付リリース「当社施工不備物件の全棟調査の状況及び今後の改修工事
の方針について」において、「優先調査対象物件」以外の物件についての工事
完了時期を 2020 年 12 月末予定とすることを発表しました。
以上のように、当社は、改修工事の完了を 2019 年夏とすることを自ら発表
しておきながら、そのわずか 4 ヶ月後、工事の完了時期を 1 年以上も延期する
と発表しているのであって、これは、当社の現経営陣において、本件施工不備
問題を解決する能力が欠けていることを示すものというほかありません。
③ 分配可能額の欠損を生じさせた経営陣
当社は、2018 年 5 月 11 日の取締役会で自己株式取得決議を行い、同月 14 日
から 8 月 23 日までの間に取得価額の総額が 50 億円に上る自己株式取得を行い
ました(以下「本件自己株式取得」といいます)。
他方、上記①のとおり、当社は、本件施工不備問題に起因して多額の補修工
事関連損失引当金を特別損失として計上したことから、2019 年 3 月期に係る計
算書類の確定時において、当社の分配可能額はマイナスとなりました。
会社法上、株式会社が自己株式取得をした場合、当該自己株式取得を行った
日の属する事業年度に係る計算書類について株主総会の承認を受けたときにお
ける分配可能額がマイナスとなるときは、当該自己株式取得に関する職務を
行った取締役は、その職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明しな
い限り、会社に対して連帯して分配可能額のマイナス分(欠損の額)か、会社
から払い出された財産の額のいずれか少ない額を会社に対して支払う責任を負
います(以下「欠損填補責任」といいます)。
本件自己株式取得は、本件施工不備問題が顕在化した 2018 年 3 月以降、い
わば異常事態のなか取締役会において決議されたものであり、当該決議におい
- 10 -
て賛成した当社の取締役は、本件自己株式取得を実施するに際して、平時より
も慎重な注意義務を払うべきであったといえます。
また、本件自己株式取得には、これを実行する必要性・緊急性を裏付ける事
情もありません。さらに、本件自己株式取得を実行した時期において、本件施
工不備問題に関する調査の進捗状況はいまだ初期的な段階であり、本件施工不
備問題の全体像やこれに基づく損失額の規模を把握できていない可能性が高い
状況下であったことも考えると、本件自己株式取得が実行された当時の当社の
取締役は、全棟調査の過程でさらなる問題事象が発見されて、追加改修などの
対応を必要とする状況が生じることを十分に予測すべきでした。
以上からすると、本件自己株式取得の決議に賛成し、あるいはその実行がな
された当時の当社の取締役(現経営陣のうち、宮尾文也氏、児玉正之氏、田矢
徹司氏及び笹尾佳子氏の 4 名が該当します)は、本件自己株式取得に関する職
務を行うについて注意を怠らなかったとは到底いえず、欠損填補責任を負うと
いうべきです。
上場企業が自己株式取得を決議、実行した後、その企業の取締役が欠損填補
責任を負うことになるというのは、極めて異常な事態であって、そのような異
常事態を招いた取締役が会社の経営陣として相応しくないことは明白です。
④ 小括
以上のように、当社は、無責任な下方修正を行い、不適切な情報開示を許容
する不透明な経営体制を改めることをせず、本件施工不備問題を増幅させ、社
会からの信頼が失われるままにしています。また、自ら公表した改修工事の完
了時期を、短期間の後に延期しており、本件施工不備問題を解決する能力に欠
けていることも明らかです。さらに、現経営陣には、上場企業として異常事態
である自己株式取得を実行した後に欠損填補責任を負うというべき取締役 4 名
が含まれています。このような当社の現経営陣に今後の当社の経営を委ねるこ
とはできないと考えますので、本議案を提案する次第です。
なお、現任の執行役については、精査のうえ特に問題がない限りは、その職
務を継続していただく予定です。
2. 第 3 号議案(株主提案)
議案の要領
取締役 3 名(候補者:大村将裕、福島啓修、中島章智)を選任する。
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候補者 氏名 略歴及び他の会社の代表状況並びに重要な
番号 (生年月日) 兼職の状況
おお むら まさ ひろ
1 大村将裕 平成 9 年 4 月
(昭和 49 年 3 月 18 清水建設株式会社入社
日) 平成 16 年 5 月
住友信託銀行株式会社入社
平成 19 年 2 月
レッドウッド・グループ・ジャパン株
式会社入社
平成 21 年 8 月
株式会社レノ入社
平成 25 年 2 月
株式会社シティインデックスホスピタ
リティ代表取締役社長(現任)
【重要な兼職の状況】
株式会社シティインデックスホスピタ
リティ代表取締役社長
ふく しま ひろ なほ
2 福島啓修 昭和 57 年 4 月
(昭和 34 年 7 月 13 オリックス株式会社入社
日) 平成 19 年 10 月
同社 投資銀行本部副本部長
平成 20 年 9 月
同社 リスク管理本部副本部長
平成 25 年 10 月
株式会社レノ入社
平成 26 年 12 月
同社 代表取締役(現任)
平成 28 年 9 月
株式会社シティインデックス代表取締
役(現任)
令和元年 6 月
株式会社エクセル社外取締役(現任)
【重要な兼職の状況】
株式会社レノ代表取締役
株式会社シティインデックス代表取締
役
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株式会社エクセル社外取締役
なか しま ふみ のり
3 中島章智 昭和 61 年 4 月
(昭和 35 年 12 月 弁護士登録(現任)
19 日) 平成 13 年 1 月
中島・宮本法律事務所(現中島・宮
本・溝口法律事務所)設立
平成 17 年 6 月
セブンシーズホールディングス株式会
社監査役
平成 20 年 9 月
株式会社レノ取締役(現任)
平成 22 年 6 月
セブンシーズホールディングス株式会
社社外取締役
平成 26 年 11 月
株式会社シティインデックス社外取締
役(現任)
【重要な兼職の状況】
株式会社レノ取締役
株式会社シティインデックス社外取締
役
(注)
1. 各候補者と当社との間には、特別の利害関係はありません。
2. 候補者番号 2 番の福島啓修氏及び候補者番号 3 番の中島章智氏は、社
外取締役候補者であります。
3. 各取締役候補者の選任理由について
(1) 大村将裕氏は、清水建設株式会社、住友信託銀行株式会社での業務を
通じて建築、不動産および金融の知識を得ています。現在は、有料老
人ホーム事業を核としたシニア事業を行う株式会社シティインデック
スホスピタリティの代表取締役社長を務め、シニア事業の知識に加え
てコーポレートガバナンス、経済、経営における高い見識と経験を有
しています。当社は、賃貸事業を核としてシニア事業も営んでおり、
現在建築不備問題を抱える状況に対して同氏が有する知見は完全に適
合するものであり、大いなる貢献が期待できることから、当社の取締
役に適任であると判断し、選任をお願いするものであります。
(2) 福島啓修氏は、オリックス株式会社投資銀行本部やリスク管理本部に
おいて役職を歴任し、現在は株式会社レノ及び株式会社シティイン
- 13 -
デックスで代表取締役を務めるほか、株式会社エクセルで社外取締役
を務めており、企業価値向上の取り組みに関する相当程度の知見と見
識を有しています。同氏が保有する知見や見識を活かし、当社経営に
関する適切な助言・監督を行っていただくことにより、当社企業価値
の向上ひいてはすべてのステークホルダーの利益向上に貢献していた
だけるものと判断し、社外取締役候補者といたしました。
(3) 中島章智氏は、コーポレートガバナンス、経済、経営における高い知
見と経験を有しており、また、弁護士としての専門的見地から、取締
役会の意思決定の妥当性・適正性を確保するために必要となる助言を
いただくことにより、当社企業価値の向上ひいてはすべてのステーク
ホルダーの利益向上に貢献していただけるものと判断し、当社の社外
取締役候補者といたしました。
提案理由
第 2 号議案の【提案の理由】に記載のとおり、当社は、不適切な情報開示を
許容する当社の不透明な経営体制を改めることをせず、また、本件施工不備問
題を解決する能力に欠けていることも明らかです。さらに、現経営陣には、欠
損填補責任を負うこととなる取締役 4 名も含まれています。このような当社の
現経営陣に今後の当社の経営を委ねることはできません。
欠損填補責任が生じるような自己株式取得当時の経営陣が主導し、度重なる
下方修正と後手に回った情報開示を繰り返し、さらには本件施工不備問題の解
決も大幅に遅延させた現体制にはガバナンスが機能していないと言わざるを得
ず、経営陣を刷新することによってはじめて、透明性のある積極的な情報開示
が可能となり、ひいては社会からの信頼を取り戻し、業績の回復を通じた株主
価値の最大化が達成されると考えられることから、これに相応しい取締役とし
て前記【議案の要領】記載の取締役 3 名の選任を求めるものです。
- 14 -
別紙 3
株主提案に対する当社取締役会の意見
当社取締役会は、本株主提案に反対します。反対の理由は以下のとおりです。
(1) 当社の課題を解決するためには現在の経営陣が適任であり、選解任の必要がないこ
と
当社は、2019 年 5 月 29 日付け「当社施工物件における界壁等の施工不備に関す
る原因及び再発防止策等について」でお知らせしましたとおり、本件施工不備問題
を重く受け止め、全社一丸となって引き続き調査及び改修の速やかな実施を行うと
ともに、企業風土の抜本的改革、コンプライアンス・リスク管理体制の再構築及び
建築請負事業体制の見直しを再発防止策として策定し、これらを経営上の最重要課
題と位置付けております。そして、当社は、本件施工不備問題によって毀損した当
社の社会的信用及び業績の早期の回復を目的とし、経営体制の刷新を図るため、
2019 年 6 月 27 日開催の当社第 46 期定時株主総会で選任された取締役 10 名によっ
て新経営体制を組織し、上記の経営上の最重要課題、とりわけ全棟の調査及び改修
の完了に向けて日々真摯に取り組んでいる最中であります。
たしかに、本件施工不備問題は想定を超える規模であったがゆえに、全棟調査の
過程で新たに明らかになった不備も多く、改修費用やその工程が当初の予想よりも
増加し、改修工事の完了や入居者募集の再開が遅延し、それによって賃料収入が減
少していること等によって、当社が 2019 年 3 月期及び 2020 年 3 月期の業績予想に
ついて下方修正を行ったことや、2019 年 3 月に公表した改修工事の完了時期を同年
7 月に延期したことは事実であり、当社の見通しの甘さもその一因であったことと
言わざるを得ません。
しかしながら、当社は、上記のとおり 2019 年 6 月下旬に発足した新経営体制の下
で、当社代表取締役社長執行役員の宮尾文也を中心とした 5 名の業務執行取締役が
それぞれ事業統括本部長、管理本部長及び経営企画本部長並びに本件施工不備問題
を受けて新設された施工不備問題緊急対策本部本部長及びコンプライアンス統括本
部長としての業務を分担し、残る 4 名の独立社外取締役・1 名の社外取締役がそれ
ぞれの知識・経験を活かして独立・公正な立場から当社の業務執行の監督の役割を
適切に果たすという形で、これらの取締役を中心に想定を超える規模の本件施工不
備問題に鋭意取り組みを続けており、その成果は少しずつではあるものの着実に現
れているものと認識しております(なお、全棟調査や改修工事の進捗状況について
は当社ホームページにおいて適時にお知らせしているところでございます)。
これに対し、本株主提案においては、本件施工不備問題を収束できない経営陣と
の指摘がなされておりますが、提案株主からは、本件施工不備問題について速やか
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に解決するための具体的な提案は示されておりません。
以上のような状況を踏まえると、現任の当社取締役がその職務を継続すること
が、本件施工不備問題を発端とする当社の課題を解決するために適切であり、ま
た、課題解決に日々真摯に取り組んでいる最中であることから、現時点において取
締役の選解任を行う必要はないと考えられます。よって当社は本株主提案に反対い
たします。
なお、提案株主は、当社が 2018 年 6 月 14 日から同年 8 月 23 日までに実施した本
件自己株式取得について、当時の当社の取締役が欠損填補責任を負うことも本株主
提案の提案理由としておりますが、この点については、当社が 2019 年 7 月 31 日付
け「第 46 期自己株式の取得における取締役の責任についての監査役会意見受領の
お知らせ」でお知らせしましたとおり、当社は、当社監査役会より、当社取締役の
当時の認識・検討状況や欠損が生じるに至った経緯等を踏まえると、当社取締役は
本件自己株式取得を行うにあたり欠損填補責任及び損害賠償責任を負わないとの結
論に至ったため、取締役に対する責任追及をしない旨の意見を受領しております。
したがって、現任の取締役は本件自己株式取得に関する欠損填補責任のみならず損
害賠償責任をも負うものではなく、その適格性に疑義は生じないと考えておりま
す。
(2) 本株主提案が承認された場合、当社の企業価値が毀損され、一般株主の皆様を含む
多くのステークホルダーの不利益となる可能性が高いこと
① 本株主提案が承認された場合、当社の企業価値が毀損される可能性が高く、株
主の皆様を含む多くのステークホルダーにとって不利益となること
仮に本株主提案が本臨時株主総会において承認された場合には、当社の個別
具体的な業務に通じた 10 名の取締役が全員解任されることとなり、これに代
わって当社の個別具体的な業務に通じているとはいえない大村氏ら 3 名の候補
者(以下「本提案候補者」といいます。)が取締役に就任することとなりま
す。さらに、福島氏及び中島氏は社外取締役候補者であることから、当社の業
務は、提案株主を含む旧村上ファンド系の投資会社(以下これらを総称して
、
「村上ファンドグループ」といいます。)の一員として活動している大村氏の
、
みが担うこととなりますが、上記(1)のとおり現在 5 名の業務執行取締役で
分担している業務(事業統括本部長、施工不備問題緊急対策本部本部長、管理
本部長、経営企画本部長及びコンプライアンス統括本部長)を全て大村氏が 1
人で担うことは全く現実的ではない上に、村上ファンドグループによる経営と
なることで、法人契約が中心である入居者募集に弊害が生じ、物件オーナーの
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離反や、事業パートナーや金融機関との信頼関係が消失することとなります。
また、福島氏及び中島氏は社外取締役として、当社の経営の監督の役割を果た
すこととなりますが、いずれも当社の大株主である提案株主の(社外取締役で
ない)取締役即ち業務執行者であり、当社の社外役員の独立性基準を満たして
いない上、両氏の経歴からは当社及び当社の業界を取り巻く経験・知見がある
か不明であり、現時点で当社に求められている、本件施工不備問題の解消及び
建築部門の機能回復といった課題への対応に資する者であるとは考えられませ
ん。加えて、福島氏及び中島氏はいずれも、村上ファンドグループの一員とし
て活動していることから、福島氏及び中島氏には現在当社の独立社外取締役 4
名が果たしている、公正、独立な立場から当社の経営を監督する役割を果たす
ことは期待できず、また、現在当社の社外取締役 5 名が果たしている、公正な
立場から当社の経営を監督する役割を果たすことも期待できません。
当社が本件施工不備問題の調査及び改修に向けて至急の対応に取り組んでい
る最中に急遽経営陣が全て交代することは、それ自体で著しい混乱を生じさ
せ、業務上大きな悪影響を及ぼすことが明白でありますが、これに加えて、本
提案候補者が当社の取締役に就任した場合には、上記のとおり、業務執行機能
が不全に陥ることが明らかである上に、大株主の利益のみを追求する経営が行
われた場合にそれを是正することも望めなくなることも明らかです。この場合
には、提案株主らのみの利益実現が図られることとなり、他の株主の皆様の利
益が害されることとなります。それに加えて、村上ファンドグループが当社を
経営することとなることで、法人契約が中心である入居者募集の低迷、物件
オーナーの離反や、事業パートナーや金融機関との信頼関係の消失により、当
社の事業全体、特に基幹である賃貸事業に重大な損害が生じることとなり、多
数の賃貸住宅居住者、賃貸住宅オーナー、下請先及び従業員といった多くのス
テークホルダーが重大な損害を被る可能性があります。提案株主らが、当社の
賃貸募集の最繁忙期であるこの時期にあえて本臨時株主総会の開催を請求して
いることからも、提案株主らは当社の事業の本質を理解しておらず、さらには
事業の価値の毀損を全く考慮していないと言わざるを得ません。
以上のように、本株主提案は提案内容それ自体が、提案株主以外のステーク
ホルダーの利益を犠牲にして提案株主の純個人的な利益を実現しようとするこ
とを窺わせるものであり、このような観点からも、当社は本株主提案に反対い
たします。
② 提案株主の過去の投資手法及び本株主提案に至るまでの経緯に照らすと、提案
株主は真摯に当社の企業価値の向上を目指すものではなく、大株主である自己
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の利益を追求する目的で本株主提案を行っていると考えられること
提案株主は、いずれも村上ファンドグループであるところ、村上ファンドグ
ループがコーポレートガバナンスの向上を標榜して会社の株式を大量に買い集
め、かかる会社の経営陣に対して様々な圧力をかけるという手法を過去にも繰
り返してきたことは周知の事実です。また、村上ファンドグループが、自らが
推薦する取締役を会社に送り込み、非現実的な高水準の株主還元等の要求を繰
り返し、かかる会社を上場廃止に追い込んだ事例もあります。さらに、村上
ファンドグループは、過去の複数の事例において、会社の経営権を取得した後
に、その資産の全部又は一部を切り売りするといういわゆる「解体型買収」を
行っています。
以上のような村上ファンドグループの過去の投資行動を踏まえると、本株主
提案の目的が、当社の中長期的な企業価値の向上に取り組むことではなく、他
の株主の皆様を含むステークホルダーの利益を犠牲にして、純個人的な利益を
追求することにあるのは明らかであると考えられます。
実際、提案株主は、本件施工不備問題の発覚後の 2019 年 3 月頃より当社の
株式の取得を開始しており、2019 年 4 月以降の当社との面談や書簡のやり取り
の中で当社の解体を示唆する発言や、当社の支配権を獲得する意欲があるかの
ような発言によって当社に圧力をかけつつ、更に株式の買い増しを続けてきま
した。また、同年 12 月の当社との面談においては、提案株主は、村上ファン
ドグループが最近行った、「解体型買収」の最たる例といえる事例に言及しつ
つ、当社の解体を行うことも合理的であると発言しております。
さらに、提案株主は当社に対して、当社の企業価値向上のため、事業分割等
も含めた抜本的改革の検討を開始する旨を公表すること等を提案し、これに応
じない場合には臨時株主総会招集請求書を提出することになると述べました。
当社は、本件施工不備問題の発覚以降、調査・改修等の対応や再発防止策の取
り組みと並行して、アライアンスを含む経営の抜本的改革の必要性は認識して
おり、そのような経営の抜本的改革を検討するという当社の方針をステークホ
ルダーの皆様にご理解いただくことは信頼回復に資するものと考えていたた
め、そのような内容の検討を開始する旨の任意の公表については前向きに検討
することとしました。ところが、提案株主は、上記の抜本的改革案の検討プロ
セスに提案株主自身をも参加させるよう求めてきたところ、当社は一部の大株
主が主導する改革は株主の皆様を含む全てのステークホルダーの共同の利益に
反するものと考え、これをお断りいたしました。そのようなお断りを申し入れ
た直後に、提案株主より本臨時株主総会の招集請求書を受領した次第です。
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上記のように、当社が本件施工不備問題の対応に追われている中で、そのよ
うな機会に乗じて当社の解体や支配権の取得を示唆しながら株式を買い増しつ
つ、提案株主が実際に行った「解体型買収」の事例にも言及していること、経
営改革に大株主として自らをも参加させることを求めている点も当該事例と同
様であること等を踏まえると、提案株主は本株主提案を通じて当社の「解体型
買収」を企図していることが強く推認されます。当社が提案株主の要求を受け
入れなかったがために直ちに当社の取締役全員の解任等を目的とする本臨時株
主総会の招集請求を行うという極めて強引なやり方を見ても、提案株主が当社
の中長期的な企業価値の向上に取り組む意図がないことは明らかであると言わ
ざるを得ません。かかる「解体型買収」が実現された場合には、提案株主以外
の株主の皆様を含む多くのステークホルダーの皆様の利益が犠牲にされる可能
性が極めて高いことから、当社は本株主提案に反対いたします。
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