8848 レオパレス21 2019-03-18 15:00:00
外部調査委員会による調査状況の報告に関するお知らせ [pdf]
平成 31 年 3 月 18 日
各 位
会 社 名 株 式 会 社 レ オ パ レ ス 21
代表者名 代表取締役社長 深 山 英 世
(コード番号 8848 東証第一部)
問合せ先 取締役常務執行役員 宮尾文也
(TEL 050-2016-2907)
外部調査委員会による調査状況の報告に関するお知らせ
当社が昨年4月27日及び5月29日にホームページ上でリリースした当社施工物件に関する界壁
不備及び本年2月7日にリリースした新たに確認された施工不備(以下「本件施工不備」といいます。)
に関し、当社施工物件居住者様および所有者様、株主様ならびに取引先様、その他すべてのステーク
ホルダーの皆様に、多大なるご心配とご迷惑をおかけしていることを謹んで深くお詫び申し上げます。
当社は、本年2月27日付「外部調査委員会設置のお知らせ」で公表いたしましたとおり、本件施
工不備に関し、その原因の解明等をより客観的に行うため、当社から完全に独立した中立・公正な専
門家のみで構成される外部調査委員会を設置して調査を進めてまいりました。
本日、外部調査委員会より調査状況について報告を受けましたので、別添のとおりお知らせいたし
ます。なお、同報告の概要は、下記のとおりです。
当社は、今後も外部調査委員会による調査に全面的に協力してまいります。今後、外部調査委員会
による再発防止策、社内役員の責任についての検討を含めた最終報告書が本年5月下旬を目途に作成
されることとなっております。当該最終報告書については当社が受領した後その内容を速やかにお知
らせ致します。
記
平成 31 年 3 月 18 日
株式会社レオパレス 21 外部調査委員会による調査の状況について
(概要)
株式会社レオパレス 21 外部調査委員会
第1 調査の概要
当委員会の当面の調査の目的は、株式会社レオパレス 21(「レオパレス 21」)が平成 30 年 4 月 27
日、同年 5 月 29 日及び平成 31 年 2 月 7 日に公表した、同社施工物件における、①小屋裏又は天
井裏において界壁を施工していない不備に係る問題(「小屋裏等界壁問題」)、②界壁の内部充填材
に設計図書に記載されたグラスウール又はロックウールではなく発泡ウレタンが使用されていた
-1-
不備に係る問題(「界壁発泡ウレタン問題」)、③外壁が設計図書に記載された国土交通大臣認定の
仕様に適合していなかった不備に係る問題(「外壁仕様問題」)、④天井部の施工仕上げが設計図書
に記載された国土交通省告示の仕様に適合していなかった不備に係る問題(「天井部問題」、①ない
し④の不備を合わせて「本件不備」)について、事実の確認を行い、原因究明を行うことである。
当委員会は、現時点までに、25 名の関係者に対して計 31 回のヒアリングを実施し、受領済みの
関係資料の精査を行った。今後、データレビューや、外部の確認検査機関等による図面等の確認
等を行う予定である。なお、本件不備が問題になっているレオパレス 21 施工物件の大多数は、平
成 5 年から平成 13 年という古い時期に施工・販売された物件であるため、関係者の退職や在職者
であってもその記憶の劣化、関係資料の散逸といった事情がある。また、レオパレス 21 で当時の
状況を知っていると思われる関係者も、同社が現在行っている施工物件全棟の調査や改修等に追
われている。そのため、平成 31 年 2 月 27 日の当委員会の設置後も、本件調査に時間を要してい
る。
当委員会は、本件調査の独立性・客観性を確保するため、日本弁護士連合会のガイドラインに
できる限り準拠し、また、日本取引所自主規制法人のプリンシプルを踏まえて調査を行っている。
第2 現在の調査状況
1. 小屋裏等界壁問題
レオパレス 21 においては、物件の開発・施工に当たって、複数の図面等が作成されているが、
図面等の記載の不整合が複数確認されている。小屋裏等界壁が施工されなかった直接の理由とし
ては、このような図面等の不整合が考えられるが、かかる不整合がなぜ発生したのかは、現時点
までの調査では明確になっていない。小屋裏等界壁問題はレオパレス 21 において広く蔓延してお
り、小屋裏等界壁の不施工については、物件の開発・施工の態勢のずさん・脆弱さだけでなく、
意図をもって組織的に行われていたのではないかと疑われるところであって、今後の調査の重要
な視点の1つである。
また、当時の商品開発における法規適合性判断や施工時のチェック等の態勢面等も問題となる。
なお、平成 24 年頃、レオパレス 21 と物件のオーナーとの間の民事訴訟において、物件のオー
ナーから小屋裏等界壁が施工されていないことが指摘されているため、レオパレス 21 が平成 30
年の物件のオーナーによる指摘以前から小屋裏等界壁問題を認識していたとの疑いがある。
2. 界壁発泡ウレタン問題
当時の社長により界壁等の内部充填剤として発泡ウレタンを使用する方向性が示され、一部の
物件において界壁の内部充填剤として発泡ウレタンが使用されたが、図面等には、界壁の内部充
填剤としてグラスウールを使用する旨が記載されている。ここでも、発泡ウレタンを使用するの
かグラスウールを使用するのかという点について、図面等の不整合があり、かかる不整合がなぜ
発生したのかが問題である。
より重要な問題点は、界壁の内部充填剤として発泡ウレタンを使用することにより、法令が要
求する遮音性の基準値を満たしていない可能性があるとの点である。発泡ウレタンの使用につい
ては、当時の社長からのトップダウンの指示であったこともあって、開発段階で十分な性能試験
-2-
が行われていなかったことがうかがわれ、当時の性能試験の実施状況や関係者の法令に関する意
識等についても調査を行う必要がある。
3. 外壁仕様問題
外壁に使用するパネルが国土交通大臣認定とは異なる仕様で製造されており、パネルの製作図
が不十分であったことがうかがわれる。そのため、各関係者の国土交通大臣認定に関する理解や
パネルの製作図の作成過程等について調査を行う必要がある。
また、上記 2 と同様の経緯により、当時の社長の指示の下、外壁の内部充填剤として発泡ウレ
タンが使用されていたが、界壁発泡ウレタン問題と同様に、図面等には、外壁の内部充填剤とし
てグラスウールを使用する旨が記載されており、かかる図面等の不整合の原因が問題となる。
なお、平成 27 年 5 月から平成 30 年 7 月にかけて、外壁の内部充填剤として発泡ウレタンを使
用した物件について改修工事の稟議申請がなされており、レオパレス 21 が外壁仕様問題を全棟調
査の実施以前に認識していたとの疑いがある。
4. 天井部問題
一部の図面等では、どのような施工仕上げとするのか誤解を招くような表記となっており、資
材発注部門や施工業者等における誤解が不備の原因となった可能性がある。誤解を招きかねない
表記が行われていた理由及び経緯や、図面等の変遷・改訂の経緯等が問題となる。
5. 法規適合性及び品質・性能等のチェックに係る態勢
本件不備に係る物件の商品開発が行われた当時、レオパレス 21 には、法的問題を専門的に扱う
部署や担当者は存在せず、商品開発段階における法的問題の検討の明確なルールはなかったもの
と思われる。また、商品開発に際して起用した外部の専門家との間でどのような検討がなされて
いたのかは、現時点までの調査でも明らかとなっていない。
レオパレス 21 は、品質保証課を設置し、工事主任による同行検査制度を導入するなどしていた
が、これらの態勢が実際に機能していたのか等が問題となる。
第3 現時点における考え得る本件不備の原因・背景
1. 組織的・構造的問題
これまでの調査によれば、①本件不備が複数の物件シリーズにわたり生じていたこと、②小屋
裏等界壁問題等は調査対象物件の大多数で生じていたこと、③本件不備が数年間にわたって発生
し、問題の発生から十数年後に至るまで問題として認識されてこなかったとされていること、④
建築確認との不整合が無視されてきたこと等を総合すると、各種図面の不整合など、本件不備の
原因・背景となる問題は、レオパレス 21 の一部の部署ないし役職員にとどまるものではなく、組
織的・構造的に存在していた。問題は、これが全社的な開発・施工態勢のずさん・脆弱さにとど
まるのか、意図をもって組織的に行われていたかどうかであり、更に調査が必要である。
また、工期の短縮や施工業務の効率化が求められていたことなど、レオパレス 21 の賃貸事業の
特性が本件不備に大きく関係していたと思われる。
さらに、当時の社長の直轄部署であった商品開発部門における開発態勢が、法令や品質を軽視
-3-
する原因・背景となっていたと思われる。
2. 開発・施工に係る仕組み上の問題
当時のレオパレス 21 においては、法規適合性や品質・性能等のチェックが十分に尽くされてい
なかったと思われる。
本件不備を直接引き起こした原因は、複数の異なる場面において生じていた可能性がある。商
品開発部門における図面作成、支店の設計部門における図面作成、施工管理や施工業者による施
工及び確認、資材発注部門における資材作成等における問題の有無について調査する必要がある。
第4 今後の方針
当委員会としては、更に調査を進め、本件不備の原因の特定に努める。当委員会は、図面等の
対照作業を進めているが、かかる作業には相応の時間を要することが予想される。
当委員会は、本年 5 月下旬をめどに、本件不備の原因分析、再発防止策の提言及び関係する役
員(退任した者を含む。)の責任についての検討結果をレオパレス 21 に報告する予定である。
以 上
<本件に関するお問い合わせ>
株主様 IR推進室 050-2016-2907 (受付:9:00-18:00 定休日 土日祝)
報道機関様 広報部 03-5350-0445 (受付:9:00-18:00 定休日 土日祝)
-4-
平成 31 年 3 月 18 日
株式会社レオパレス 21 外部調査委員会による調査の状況について
株式会社レオパレス 21 外部調査委員会
委員長 伊藤 鉄男
委員 木目田 裕
委員 山本 憲光
株式会社レオパレス 21(以下「レオパレス 21」といいます1。)の依頼により、株式会社レ
オパレス 21 外部調査委員会(以下「当委員会」といいます。)が行った調査(以下「本件調査」
といいます。)の現時点における状況を、下記のとおり報告いたします。
なお、本書面は、報告日現在における当委員会の調査の状況及び事実に対する理解を記
載したものであって、終局的なものではなく、今後の調査により更に判明する事実があり
得ることに加え、記載されている事実等についても今後の調査の過程で修正の可能性があ
ることを申し添えます。
記
第 1 調査の概要
1. 調査の経緯
平成 31 年 2 月 21 日、レオパレス 21 から、同社と利害関係を有していない西村あさひ法
律事務所に対し、同社が過去に施工した集合住宅において発覚した不備について原因究明
等のための調査の依頼があった。これを受けて、山本憲光弁護士を中心として、翌 22 日、
調査チームを組成し、調査に着手した。
その後、平成 31 年 2 月 27 日のレオパレス 21 の取締役会において、頭書の構成による当
委員会の設置が正式に決議され、同日、当委員会が設置された。
2. 調査の目的及び範囲
当委員会の当面の調査の目的は、以下の各不備(以下、これらの不備をまとめて「本件不
備」ということがある。)について、事実の確認を行い、原因究明を行うことである。
1
同社は、平成 12 年 7 月に、株式会社エムディアイから株式会社レオパレス 21 へと社名を変更して
いるが、本書面においては、時期を問わず、レオパレス 21 との呼称で統一している。
・ 平成 30 年 4 月 27 日及び同年 5 月 29 日にレオパレス 21 が公表した、同社施工物件に
おいて小屋裏又は天井裏の界壁を施工していない不備(以下、かかる不備に関する問
題を「小屋裏等界壁問題」という。)
・ 平成 31 年 2 月 7 日にレオパレス 21 が公表した、同社施工物件において界壁の内部充
填材として設計図書に記載されたグラスウール又はロックウールではなく発泡ウレタ
ンが使用されていた不備(以下、かかる不備に関する問題を「界壁発泡ウレタン問題」
という。)
・ 平成 31 年 2 月 7 日にレオパレス 21 が公表した、同社施工物件において外壁が設計図
書に記載された国土交通大臣認定の仕様に適合していなかった不備(以下、かかる不
備に関する問題を「外壁仕様問題」という。)
・ 平成 31 年 2 月 7 日にレオパレス 21 が公表した、同社施工物件において天井部の施工
仕上げが設計図書に記載された国土交通省告示の仕様に適合していなかった不備(以
下、かかる不備に関する問題を「天井部問題」という。)
また、当委員会は、本件調査が完了した後、その結果を踏まえ、再発防止策の提言及び
関係する役員(退任した者を含む。)の責任内容の検討を行った上、それらの結果を記載し
た最終報告書を作成する予定である。
なお、当委員会は、レオパレス 21 施工物件の所有者(いわゆる「オーナー」)の団体らか
ら、同社施工物件の不備等に関し、情報提供を受けている。そのため、本件調査の最終的
な調査範囲についても、いまだ流動的であることを付言する。
3. 調査体制
(1) 委員
当委員会の委員は、以下のとおりである。なお、いずれの委員も、本件調査以前に
レオパレス 21 から法律事務の委任を受けたことはなく、同社との間に利害関係はな
い。また、委員らが所属する西村あさひ法律事務所とレオパレス 21 との間にも、本件
調査の受任時点において、利害関係はない。
委員長 伊藤 鉄男(西村あさひ法律事務所 弁護士)
委員 木目田 裕(同)
委員 山本 憲光(同)
- 2 -
(2) 調査補助者
本件調査については、当委員会からの委嘱を受け、西村あさひ法律事務所の弁護士
計 20 名が、当委員会の調査を補助している。なお、調査を補助する西村あさひ法律事
務所の弁護士は、いずれも本件調査以前にレオパレス 21 から法律事務の委任を受けた
ことはなく、同社との間に利害関係はない。
4. 調査方法
当委員会が現時点までに実施した調査及び今後実施予定の調査は、以下のとおりで
ある。
なお、本件不備が問題になっているレオパレス 21 施工物件の大多数は、平成 5 年か
ら平成 13 年という古い時期に施工販売された物件であるため、関係者の退職や在職者
であってもその記憶の劣化、関係資料の散逸(当時は資料のほとんどがまだ紙ベース
であり、電子メールも普及していない時期であった。)といった事情がある。また、
レオパレス 21 で当時の状況を知っていると思われる関係者も、同社が現在行っている
施工物件全棟の調査(以下「全棟調査」という。)や改修等に追われている。そのため、
平成 31 年 2 月 27 日の当委員会の設置後も、本件調査に時間を要している。
(1) 関係者からのヒアリング
当委員会は、現時点までに、当時の商品開発担当者や設計担当者を中心に、25 名の
関係者に対して、計 31 回のヒアリングを実施した。
当委員会は、今後、レオパレス 21 の旧経営陣及び現経営陣を対象とするものも含
め、更なるヒアリングを実施する予定である。
(2) 資料の精査
当委員会は、現時点までに、以下の文書を含む各資料の精査を行った。
・ レオパレス 21 から提供された施工マニュアル
・ レオパレス 21 から提供された一般図、施工図、設計図書等の図面2
・ レオパレス 21 から提供された商品パンフレット
・ 業務分掌規程等の社内規程
2
なお、各図面の呼称については、レオパレス 21 の関係者から説明を受けたところを元に当委員会が
理解した限りのものであり、必ずしも正式名称であるとは限らず、また、業界における通常の呼称
とは異なっている可能性もある。
- 3 -
・ ISO 認証に関する資料
・ 社内稟議書
・ 平成 6 年から平成 30 年までのレオパレス 21 の従業員名簿
(3) データレビュー
当委員会は、本件不備に関する過去の検討状況や関係者の認識等(特に本件不備が
発覚した経緯やその後の社内における取扱状況に関するもの)を明らかにするため、
外部のフォレンジック業者を起用した上で、関係者の電子メール等を含む電子データ
のレビューを行っている。
なお、起用する外部のフォレンジック業者は、レオパレス 21 との間に利害関係がな
い者を当委員会が選定したものである。
(4) 外部の確認検査機関等による図面の確認等
当委員会は、施工マニュアルや設計図書等の図面を対比し、図面間の齟齬等を確認
する等のため、外部の確認検査機関や建築士らを起用する予定である。
なお、起用する外部の確認検査機関等は、レオパレス 21 との間に利害関係がない者
を当委員会が選定する。
5. 当委員会による本件調査の独立性・客観性を確保するための措置等
当委員会は、本件調査の独立性・客観性を確保するため、日本弁護士連合会「企業等不
祥事における第三者委員会ガイドライン」(平成 22 年 7 月 15 日、改訂同年 12 月 17 日。以
下「日弁連ガイドライン」という。)にできる限り準拠し、また、日本取引所自主規制法人
「上場会社における不祥事対応のプリンシプル」(平成 28 年 2 月 24 日公表)の「②第三者委員
会を設置する場合における独立性・中立性・専門性の確保」を踏まえて調査を行ってい
る。当委員会がとった措置は具体的には以下のとおりである。
当委員会は、本件調査に当たり、日弁連ガイドラインに準拠することをレオパレス 21 と
の間で合意した。
当委員会の委員及び調査補助者は、上記 3 のとおり、レオパレス 21 から法律事務の委任
を受けたことはなく、同社との間に利害関係はないことを確認した。
当委員会は、本件調査の調査体制等に関し、レオパレス 21 との間で、①レオパレス 21
は本件調査に協力し、その役職員に対して、優先的な協力を業務として命令すること、②
当委員会の委員及び調査補助者は、レオパレス 21 から独立した立場で中立・公正かつ客観
的な調査を行い、同社の役職員が行う補助は、事務作業に限定すること、③本件調査の調
査報告書の起案権は、当委員会に専属し、レオパレス 21 は、当委員会に対し、調査報告書
- 4 -
の提出前にその内容の全部又は一部の開示を求めないこと、④当委員会は、本件調査によ
り判明した事実がレオパレス 21 の現経営陣に不利になると考えられる場合であっても、調
査報告書に記載し、また、本件調査に対し、同社の役職員の協力が十分でない場合等には
その状況を調査報告書に記載することができること、⑤レオパレス 21 は、当委員会から調
査報告書を受領した際は、原則として、遅滞なくステークホルダーに開示することなどを
合意した。
第 2 現在の調査状況
1. レオパレス 21 の業務の概要
(1) レオパレス 21 のビジネスモデル
本件不備が問題となっている物件シリーズの販売が開始された当時、レオパレス 21
の主たる事業は、①不動産販売事業、②建築請負事業、③賃貸事業等であった。①の
不動産販売事業は、東京近郊及び全国主要都市におけるアパートの建築分譲等、②の
建築請負事業は、アパート、一戸建住宅等の建築工事及び改装工事、③の賃貸事業
は、アパート、マンション、店舗用建物等の賃貸のほか、アパートの所有者のための
管理業務である。
レオパレス 21 においては、かつては、同社がアパート用地を取得した上でアパート
を建築し、それを販売するという①の不動産販売事業が中心であったが、次第に、同
社がアパート用地を取得するのではなく、土地の有効活用を望む土地所有者から、ア
パートの建築を同社が請け負い、その建築請負代金を同社の収益とする②の建築請負
事業に移行していった。
これらの事業と並行して、レオパレス 21 は、アパートを土地・アパートの所有者か
ら一括で借り上げ、土地・アパートの所有者に代わって入居者募集をはじめとする賃
貸管理を行うという③の賃貸事業を行っていた。契約上、レオパレス 21 は、土地・ア
パートの所有者に対して、空室の有無を問わず、一定期間、固定額の賃料を支払うこ
とになっているため、同社がアパートの入居者から得る家賃収入と、同社が土地・ア
パートの所有者に対して支払う賃料との差額が、同社の収益となる。
(2) 当時の商品開発から物件の施工・引渡しまでの流れ
本件不備が問題となっている物件シリーズの販売が開始された当時における、物件
の施工・引渡しまでの大まかな流れを示したのが、以下の図である。本件不備に係る
物件シリーズの施工販売時期における各部門の当時の部署名については、現在、確認
を進めているところである。
- 5 -
2. 小屋裏等界壁問題
(1) 問題の概要
レオパレス 21 が開発・販売した集合住宅であるゴールドネイル(以下「GN」という。)
及びニューゴールドネイル(以下「NGN」という。)並びにゴールドレジデンス(以下「GR」
という。)、ニューシルバーレジデンス、ニューゴールドレジデンス(以下「NGR」とい
う。)、スペシャルスチールレジデンス、ベタースチールレジデンス及びコングラ
ツィア(以下、GR 以降の 6 物件シリーズを総称して「6 シリーズ」という。)の各シリー
ズの物件において、小屋裏界壁及び天井裏界壁(以下併せて「小屋裏等界壁」というこ
とがある。)の施工が必要であるにもかかわらず、小屋裏等界壁が施工されていない
か、施工が不十分であるものが存在した。
(2) 発覚の経緯
レオパレス 21 の平成 30 年 4 月 27 日付けプレスリリースによれば、同年 3 月 29 日
及び 4 月 17 日、同社が施工した GN 及び NGN 物件のオーナーから、同社に対して、建
築確認申請時の設計図書には小屋裏等界壁が記載されているにもかかわらず、実際の
物件には小屋裏等界壁が施工されていないとの指摘がなされ、同社における確認の結
- 6 -
果、小屋裏等界壁を施工していないことが判明したとされる。
その指摘を受けて、レオパレス 21 が全棟調査を開始したが、その過程で、GN 及び
NGN のほか、6 シリーズにおいても、小屋裏等界壁を施工していない物件があることが
明らかになった。
なお、平成 24 年頃にも、レオパレス 21 と物件のオーナーとの間の民事訴訟におい
て、物件のオーナーから小屋裏等界壁が施工されていないことが建物の瑕疵であると
の主張がなされていた。そして、当時の社内文書においては、弁護士からレオパレス
21 に対し、このような瑕疵の問題に正面から取り組むべき旨のアドバイスがなされた
ことが記されている。このような経緯からすると、レオパレス 21 において、平成 30
年の物件のオーナーによる指摘以前にも、小屋裏等界壁問題を認識していたのではな
いかとの疑いがある。
(3) 不備の原因に係る事実関係
レオパレス 21 においては、物件の開発・施工に当たって、当該物件シリーズのマス
ター図面に当たる一般図、施工の際の手順を説明した施工マニュアル、個別の物件に
応じてアレンジされた施工図、建築確認申請時の設計図書等の複数の図面等が作成さ
れている。当委員会は、現在、これらの図面等を収集した上で、それらにおける小屋
裏等界壁の記載を確認し、対照する作業を進めているところであるが、既に現時点に
おいて、図面等の記載の不整合が複数確認されている。小屋裏等界壁が施工されな
かった直接の理由としては、このような図面等の不整合が考えられるが、かかる不整
合がなぜ発生したのかが、現時点までの調査では明確になっていない。この点、レオ
パレス 21 の平成 31 年 2 月 7 日付けプレスリリースによれば、同年 1 月 28 日時点で、
GN 及び NGN 計 904 棟を調査し、そのうち 824 棟で小屋裏等界壁が施工されていない不
備が発見されているとのことであり、小屋裏等界壁問題は同社において広く蔓延して
いた。そのため、かかる小屋裏等界壁の不施工については、物件の開発・施工の体制
のずさん・脆弱さだけでなく、意図をもって組織的に行われていたのではないかと疑
われるところであって、今後の調査の重要な視点の1つである。
また、これまでの調査から、当時のレオパレス 21 においては、商品開発段階での法
規適合性判断を専門的に行う部署がなかったことがうかがわれる。また、小屋裏等界
壁を施工していないことが施工時のチェック等によって判明しておらず、牽制機能も
働いていなかった。これらの態勢面等も当然のことながら問題となる。
- 7 -
3. その他の不備
(1) 発覚の経緯
レオパレス 21 の平成 31 年 2 月 7 日付けプレスリリースによれば、小屋裏等界壁問
題が発見されたことから、全棟調査を開始し、その過程で、界壁発泡ウレタン問題、
外壁仕様問題及び天井部問題が発見されたとのことである。
もっとも、下記(3)イで述べるとおり、外壁仕様問題については、全棟調査の実施
以前に問題を認識できる機会があった可能性もある。
(2) 界壁発泡ウレタン問題
ア 問題の概要
レオパレス 21 が開発・販売した集合住宅である GR 及び NGR の両シリーズの物件に
おいて、設計図書には界壁の内部充填材としてグラスウールを使用する旨記載されて
いるにもかかわらず、実際には、発泡ウレタンが使用されているものが存在した。こ
れにより、建築基準法の規定により共同住宅の界壁に求められている遮音性の基準値
を満たしていない可能性がある。
イ 不備の原因に係る事実関係
これまでのヒアリング結果によれば、GR の販売開始後のある時期に、当時の社長で
あった深山祐助氏3の指示の下、同氏の直轄部署となっていた商品開発部門において、
施工業務の効率化等を目的として、界壁等の内部充填材として発泡ウレタンを使用す
る方向性が示されたとのことである。その一環として、GR 及び NGR の物件において界
壁の内部充填材として発泡ウレタンを使用することとなり、実際に、一部の物件にお
いて使用された。もっとも、発泡ウレタンを使用したパネルの製造工場は限られてお
り、輸送上の問題から、発泡ウレタンを内部充填剤として使用した界壁は、関東近郊
の一部の物件でしか施工されなかった。
このように一部の物件において界壁の内部充填材として発泡ウレタンが使用されて
いたにもかかわず、当委員会がこれまで確認した GR 及び NGR の施工マニュアル、設計
図書中の確認図及び施工図においては、全て、界壁の内部充填材としてグラスウール
を使用する旨が記載されている。
3
同氏は、昭和 48 年 8 月から平成 18 年 5 月までレオパレス 21 の代表取締役社長を務め、同年 6 月 1
日付けで取締役からも退任した。
- 8 -
これまでのヒアリング結果によれば、界壁の内部充填材として発泡ウレタンを使用
していたのは関東近郊の一部の物件のみであり、その他の多くの地域では、施工マ
ニュアル等に記載されたとおりにグラスウールが使用されているとのことであり、図
面等はそのような多くの地域における原則的な場合を想定して、グラスウールを使用
することを前提に作成されていた可能性がある。いずれにせよ、ここでも、発泡ウレ
タンを使用するのかグラスウールを使用するのかという点について、確認図や施工図
との不整合があり、かかる不整合がなぜ発生したのかが問題である。
より重大な問題点は、界壁の内部充填材に発泡ウレタンを使用することにより、建
築基準法の規定により共同住宅の界壁に求められている遮音性の基準値を満たしてい
ない可能性があるとの点である。これまでのヒアリング結果によれば、発泡ウレタン
はグラスウールよりも高価であり上位素材であると認識されていたことから、当時の
社長からのトップダウンの指示であったこともあって、発泡ウレタンの使用について
は、開発段階で十分な性能試験が行われていなかったことがうかがわれる。当時の性
能試験の実施状況や関係者における法令に関する意識等についても今後調査を行う必
要がある。
(3) 外壁仕様問題
ア 問題の概要
レオパレス 21 が開発・販売した集合住宅である GR、NGR 及びヴィラアルタの各シ
リーズの物件において、設計図書には外壁に国土交通大臣認定の準耐火構造又は防火
構造の仕様とする旨記載されているにもかかわらず、当該仕様を満たさない外壁が施
工されているものが存在した。
かかる不備がある物件においては、設計図書には外壁の内部充填材としてグラス
ウールを使用する旨記載されているにもかかわらず、発泡ウレタンが使用されてい
た。
イ 不備の原因に係る事実関係
国土交通大臣認定では、外壁の屋外側と屋内側に張るボードの下地間隔及び固定方
法が指示されていたが、実際には外壁に使用するパネルが国土交通大臣認定とは異な
る仕様で製造されていた。当委員会がこれまで確認した施工マニュアル並びに設計図
書中の確認図及び施工図では、外壁を国土交通大臣認定の仕様とする旨記載されてい
るが、かかる国土交通大臣認定の仕様の詳細は、施工マニュアル並びに設計図書中の
確認図及び施工図には記載されていない。これまでのヒアリング結果によれば、外壁
パネルの製作図において、国土交通大臣認定の仕様を盛り込むべきであったにもかか
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わらず、製作図が不十分であったことがうかがわれる。国土交通大臣認定に関する各
関係者の理解や外壁パネルの製作図の作成過程等について、今後、更に調査を行う必
要がある。
また、外壁の内部充填材には発泡ウレタンが使用されていたが、発泡ウレタンは、
上記(2)イと同様の経緯により、当時の社長の指示の下、開発が行われたものである
が、これも界壁発泡ウレタン問題と同様に、施工マニュアル、設計図書中の確認図及
び施工図においては、全て外壁の内部充填材としてグラスウールを使用する旨が記載
され、発泡ウレタンを使用する場合にも図面上はグラスウールを使用する旨記載され
ていた。かかる図面等の不整合の原因が問題となる。
なお、レオパレス 21 においては、平成 27 年 5 月から平成 30 年 7 月にかけて、外壁
の内部充填材として発泡ウレタンを使用した物件について、外壁の改修工事を行う旨
の稟議申請が複数なされており、当該稟議申請の大部分において、発泡ウレタンが収
縮した結果、サイディングに反りや変形、クラック等が生じた旨が指摘されている。
このような経緯からすると、レオパレス 21 において、全棟調査の実施以前にも、外壁
仕様問題を認識していたのではないかとの疑いがある。
(4) 天井部問題
ア 問題の概要
レオパレス 21 が開発・販売した集合住宅である GR の物件において、居室の床を構
成する天井部の施工仕上げについて、建築基準法の規定により 3 階建ての共同住宅の
床には、1 時間耐火構造が求められているにもかかわらず、設計図書に記載された部
材(強化石膏ボード(12.5mm)とロックウール吸音板(9mm))を組み合わせて 2 枚張りとす
るとされていたにもかかわらず、実際には 1 枚張りとなっているものや、2 枚張りで
はあるものの、定められた部材が組み合わさっていないものが存在した。
イ 不備の原因に係る事実関係
当委員会がこれまでに確認した設計図書中の確認図では、3 階建ての GR の物件の天
井部について、強化石膏ボード(12.5mm)の上にロックウール吸音板(9mm)を重ねるこ
ととされていた。
他方、当委員会がこれまでに確認した施工マニュアルの矩計図(かなばかりず)にお
いては、3 階建てのプランの GR の物件の天井部の仕様について、「強化 PB4○12.5mm」、
ア
「化粧板○9mm」と記載されており、矩計図のみでは、「化粧板○9mm」がロックウール吸
ア ア
4
「PB」とは、「Plaster Board」の略称であり、石膏ボードを意味する。
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音板(9mm)を指すのか、それとも化粧石膏ボード等でも足りるのか否かが不明瞭で
あった(ただし、施工マニュアルの資材リストには内装の構成材として「ロックウール
化粧板 9mm」と記載されているため、矩計図の記載と上記資材リストの記載を併せて読
めば、矩計図の「化粧板○9mm」との記載はロックウール吸音板 9mm を意味すると理解す
ア
ることは可能である。)。
また、当委員会がこれまでに確認した施工図の内部仕上表においては、3 階建ての
プランの GR の天井部の仕様について、「ロックウール吸音板、又は化粧石膏ボード○
ア
9.5」と記載されていた。かかる記載は、2 階建ての物件については強化石膏ボード
(12.5mm)の上に化粧石膏ボードを設置し5、3 階建ての物件については強化石膏ボード
(12.5mm)の上にロックウール吸音板を設置するという趣旨であったとも考えられる
が、それだけを見ると、3 階建ての物件でも、ロックウール吸音板又は化粧石膏ボー
ドのみを設置すればよい、又は、強化石膏ボード(12.5mm)の上にロックウール吸音板
又は化粧石膏ボードのいずれかを重ねればよいとも読める。
このような、矩計図や施工図の内部仕上表等の不正確・不適切な記載によって、資
材発注部門や施工業者等における誤解が生じ、強化石膏ボード(12.5mm)とロックウー
ル吸音板(9mm)の 2 枚重ねとされなかった可能性が考えられる。
このような誤解を招きかねない表記が行われていた理由及び経緯が問題となる。ま
た、施工図の内部仕上表には「ロックウール吸音板、又は化粧石膏ボード○9.5」との
ア
記載のないものも存在するため、図面等の変遷の経緯等も問題となる。
4. 法規適合性及び品質・性能等のチェックに係る態勢
(1) 法規適合性のチェック態勢
現在、レオパレス 21 においては、建築法務課が建築関係法令に関する法的問題の検
討や行政との法解釈に関する協議等を担当している。
しかし、当委員会によるこれまでの調査の限りでは、本件不備に係る物件の商品開
発が行われた当時、建築法務課は存在せず、レオパレス 21 において、法的問題を専門
的に扱う部署や担当者は存在しなかったものと思われる。当時、商品開発段階におい
ては、防耐火等に関する事項は商品開発部門のうちの意匠関係を担当する従業員らが
検討することが多かったようであるが、誰がどのような場合にどのような検討をすべ
きかについて明確なルールはなかったと思われる。
また、レオパレス 21 においては、商品開発に際して設計事務所等の外部の専門家を
起用することもあったようであるが、そのような専門家との間でどのような検討がな
されていたのかは、現時点までの調査でも明らかとなっていない。
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2 階建ての物件については法令上ロックウール吸音板の設置は不要とのことである。
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(2) 品質・性能のチェック態勢
レオパレス 21 においては、平成 4 年に品質保証課が発足した。これは、従来、施工
担当者が自ら品質等をチェックする態勢となっていたものを改め、他部門の目からの
チェックを可能とすることを意図したものであった。その後、平成 8 年には、工事主
任による同行検査制度が導入され、工事責任者が施工担当者や施工業者の指導・教育
をすることが期待されていた。
これらの態勢が実際に機能していたのか等が問題となる。
第 3 現時点における考え得る本件不備の原因・背景
1. 組織的・構造的問題
これまでの調査によれば、①本件不備が複数の物件シリーズにわたり生じていたもので
あること、②GN 及び NGN の両シリーズにおける小屋裏等界壁問題については調査対象物件
の約 9 割の物件で生じていたことをはじめとして、本件不備はいずれも、問題が発見され
た各物件シリーズにおいて相当高い割合で生じていたこと、③本件不備が数年間にわたり
継続して発生していた上、問題の発生から十数年後に至るまでレオパレス 21 において問題
として認識されてこなかったとされていること、④建築確認との不整合が無視されてきた
こと等を総合すると、各種図面等の不整合など、本件不備の原因・背景となる問題は、レ
オパレス 21 の一部の部署ないし役職員にとどまるものではなく、組織的・構造的に存在し
ていた。問題は、これが全社的な開発・施工態勢のずさん・脆弱さにとどまるのか、意図
をもって組織的に行われていたかどうかであり、更に調査が必要である。
また、これまでの調査からは、本件不備のうち、小屋裏等界壁問題については界壁を施
工しないことにより、界壁発泡ウレタン問題及び外壁仕様問題については発泡ウレタンを
界壁及び外壁の内部充填材として使用することにより、それぞれ工期の短縮や施工業務の
効率化が意図されていたことがうかがわれる。かかる事情に照らすと、本件不備の背景に
は、レオパレス 21 の賃貸事業の特性、すなわち、物件への入居者数を増やすために企業の
人事異動や学生・社会人の新生活開始のタイミング等に間に合うように物件を完成させる
ことが重要であり、そのために工期の短縮や施工業務の効率化が求められていたことが大
きく関係していたと思われる。
さらに、商品開発は、組織図上、当時の社長の直轄部署と位置付けられていた商品開発
部門において行われており、かかる開発態勢が、法令や品質を軽視する原因・背景となっ
ていたと思われる。
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2. 開発・施工に係る仕組み上の問題点
(1) 法規適合性及び品質・性能等のチェック態勢の不全
既に行われた関係者への初期的なヒアリング結果等からも、当時のレオパレス 21 に
おいては、初期設計を含む商品開発、個別の物件の建築確認申請及び施工用の設計、
施工から完成検査までの一連のプロセスのいずれにおいても、本件不備に関する設計
や仕様、施工された物件についての法規適合性や品質・性能等のチェックが十分に尽
くされていなかったと思われる。そのため、法規適合性等の全社的なチェック態勢の
不全が、本件不備の全体的な原因となっていた可能性がある。
(2) 商品開発段階における図面作成上の問題
上記第 2 の 1(2)のフローに鑑みると、小屋裏等界壁問題については、本来、関連法
規上、界壁を施工すべきと考えられるにもかかわらず界壁が存在しない物件に関し
て、多くの場合において、確認図には界壁を施工する旨が記載されていたとうかがわ
れることを考慮しても、①そもそも一般図や施工マニュアルに界壁が記載されていな
かった可能性、②一般図や施工マニュアルに界壁が記載されていたにもかかわらず、
施工図には界壁が記載されていなかった可能性、③施工図には界壁が記載されていた
にもかかわらず、実際には、界壁が施工されていなかった可能性など、本件不備を直
接引き起こした原因は、複数の異なる場面において生じていた可能性がある。現時点
までにいずれが主な原因であったかは確認されていないが、上記①ないし③のうち①
が原因であった場合には、商品開発部門が一般図や施工マニュアルを作成した際に問
題が生じていたことになる。
また、界壁発泡ウレタン問題及び外壁仕様問題については、施工の際には発泡ウレ
タンが使用されたにもかかわらず、商品開発部門が作成した一般図や施工マニュアル
ではグラスウールを使用する旨が記載されており、やはり、同部門が一般図や施工マ
ニュアルを作成した際の経緯を明らかにする必要がある。
(3) 支店の設計部門における図面作成上の問題
上記(2)の小屋裏等界壁問題における②の場合(一般図や施工マニュアルに界壁が記
載されていたにもかかわらず、施工図には界壁が記載されていなかった場合)におい
ては、支店の設計部門が施工図を作成する際に問題が生じていたことになる。
また、天井部問題においても、第 2 の 3(4)イのとおり施工図の内部仕上表において
設置すべき天井材について、資材発注部門や施工業者等における誤解を生じかねない
記載がなされており、支店の設計部門が施工図等を作成した際の経緯を明らかにする
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必要がある。
(4) 施工管理や施工業者による施工及び確認の不備
上記(2)の小屋裏等界壁問題における③の場合(施工図には界壁が記載されていたに
もかかわらず、実際には、界壁が施工されていなかった場合)、施工現場の施工管理
担当者や施工業者に問題があったことになる。小屋裏等界壁問題については、外観か
らは一見して不備を発見することは困難であった可能性があるその他の本件不備とは
異なり、チェックさえすれば界壁の不存在は容易に確認できたはずであることからす
ると、施工管理担当者や施工業者において完成検査等における施工内容の確認状況に
ついて調査する必要がある。
(5) 資材発注部門における問題
界壁発泡ウレタン問題において、各物件に発泡ウレタンを使用するか否かは資材発
注部門が決めていたことがうかがわれるが、発泡ウレタンの使用が、どの段階で誰に
よって決められて誰に伝えられていたのかは不明であるため、今後明らかにする必要
がある。
また、外壁仕様問題において、外壁パネルの製作図の作成には資材発注部門も関与
していた可能性があり、製作図の作成時の検討状況等を今後明らかにする必要があ
る。
第 4 今後の方針
当委員会の現時点における調査の状況は以上のとおりである。
当委員会としては、今後、更に調査を進め、本件不備に係る物件シリーズの開発から施
工に至る一般的な工程を明らかにするとともに、本件不備が発生した経緯を改めて確認
し、法規適合性や品質・性能等のチェック態勢、ビジネス上の特性等の背景事情も調査し
て、本件不備の原因の特定に努める。
本件不備の直接的な原因を特定する上では、不備が確認された物件に関して、業務フ
ローの過程で作成される一般図、施工マニュアル、施工図、確認申請時の設計図書等を対
照する作業が必要となる。現在、当委員会は、レオパレス 21 から入手した図面等の対照作
業を進めているが、かかる作業には、相応の時間を要することが予想される。
当委員会は、今後調査を進め、本年 5 月下旬をめどに、本件不備の原因分析に加え、再
発防止策の提言及び関係する役員(退任した者を含む。)の責任内容の検討結果をレオパレ
ス 21 に報告する予定である。 以 上
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