8803 平和不 2021-05-14 18:00:00
株主提案に関する書面の受領および当該株主提案に対する当社取締役会意見に関するお知らせ [pdf]
2021 年5月 14 日
各 位
東 京 都 中 央 区 日 本 橋 兜 町 1番 10号
平 和 不 動 産 株 式 会 社
代 表 取 締 役 社 長 土 本 清 幸
(コード番号 8803)東京・名古屋市場第一部・福岡・札幌
問合せ先 代表取締役専務執行役員 岩崎範郎
TEL 03-3666-0182
株主提案に関する書面の受領および当該株主提案に対する当社取締役会意見に関するお知らせ
当社は、当社株主である LIM JAPAN EVENT MASTER FUND(以下、「本提案株主」といいます。)より、2021 年 6
月開催予定の当社第 101 回定時株主総会における議案について株主提案(以下、「本株主提案」といいます。)を行
う旨の書面(以下、「本株主提案書」といいます。)を受領し、その内容について検討を重ねてまいりました。その結果、
本日開催の当社取締役会において、本株主提案について反対することを決議いたしましたので、下記のとおり、お知
らせいたします。
記
I. 本株主提案の内容および理由
1. 議題
(1) 定款一部変更(日本取引所グループからの天下りの禁止)の件
(2) 定款一部変更(取締役の経験)の件
(3) 定款一部変更(政策保有株式の売却)の件
2. 議案の内容
別紙「本株主提案の内容」に記載のとおりです。
なお、本提案株主から提出された本株主提案書の該当箇所を原文のまま掲載したものであります。
II. 本株主提案に対する当社取締役会の意見
1. 定款一部変更(日本取引所グループからの天下りの禁止)の件
(1) 当社取締役会の意見
当社取締役会としては、本株主提案に、以下の理由で反対いたします。
(2) 反対の理由
当社は、取締役および監査役の人事の客観性や透明性を確保するため、取締役会の下に、委員長を社外取
締役、委員の過半数を社外取締役(現在は委員 4 名中 3 名が独立社外取締役)とする任意の指名委員会を設置
しております。当社の取締役および監査役候補には、それぞれの職務を適切に遂行することが可能な能力・見
識を有し、人格に優れた人物を選定しており、指名委員会による各候補者についての審議・答申を踏まえ、取締
役会が決定しています。
また、当社は、後継者計画(サクセッションプラン)を策定したうえ、指名委員会は各人のスキルや能力を踏ま
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えて代表取締役社長の後継者候補を選出し、取締役会は指名委員会からの答申を踏まえ、代表取締役社長を
決定しており、代表取締役社長の評価や選解任も含めたプロセスの客観性・適時性・透明性の確保を図っており
ます。
このように、当社においては、取締役および監査役ならびに代表取締役社長の選解任について、プロセスの
客観性・透明性等を確保した形で、かつ、当社の企業価値・株主利益の向上に資するかという観点から検討を
行っており、当社の役員の一部に株式会社東京証券取引所の出身者が就任していることについて、「天下り」と
の本提案株主の指摘は妥当しません。
なお、本提案株主が指摘する東京証券取引所ビルの 1 坪当たり賃料 1 万 6,650 円(月額)という金額は、一棟
貸しであることを考慮していない延床面積ベースの賃料単価であることから、これを周辺地域の募集賃料と単純
に比較することは誤った評価であります。また、当社は、従来より、株式会社東京証券取引所との賃貸料協議に
真摯に取り組んでおり、2019 年 4 月には増額改定するなど、企業価値・株主利益の最大化に努めております。し
たがって、本提案株主が指摘するような利益相反関係が生じていることはありません。今後も企業価値・株主利
益の向上のため、東京証券取引所ビルの資産価値向上に尽力してまいる所存であります。
加えて、当社取締役会といたしましては、取締役候補者の選任は、指名委員会および取締役会において多様
な観点を考慮し検討・決定されるべきものであり、本株主提案の内容を会社の根本規則である定款に規定する
ことは不適当であると考えております。
以上の理由により、当社取締役会としては、本株主提案に反対いたします。
2. 定款一部変更(取締役の経験)の件
(1) 当社取締役会の意見
当社取締役会としては、本株主提案に、以下の理由で反対いたします。
(2) 反対の理由
当社は現在の取締役会構成の下、経営に取り組み、その結果、当社の連結業績の親会社株主に帰属する当
期純利益は、2018 年 3 月期より、4 期連続で過去最高益を更新しており、年間 1 株当たりの配当金についても、
2017 年 3 月期の 26 円から 2021 年 3 月期は 77 円と約 3 倍となっております。また、日本橋兜町・茅場町再開発
をスタートさせた 2011 年 3 月末日時点で 960 円(株式併合による調整後)であった当社の株価は、2021 年 5 月
10 日時点では約 4 倍の 3,910 円まで上昇し、さらに同期間の株主総利回り(TSR)は 391.0%となっております。
このような実績から、当社の取締役会構成は、現在はもとより、これまでにおいても適切なものであり、企業価値
および株主利益の向上に繋がっていると確信しており、本提案株主による主張は当を得ないものです。
また、中期経営計画「Challenge & Progress」(2020 年度~2023 年度)では再開発事業の推進や賃貸資産の含
み益を活用した物件売却益の獲得、高水準の株主還元等に取り組むことを掲げており、引き続き、企業価値・株
主利益の向上に尽力してまいります。
各取締役の選任議案につきまして、2020 年 6 月の当社株主総会では、99%以上の高い賛成率でご承認をい
ただいており、また、近年の賛成率も高い水準であることからも、当社の取締役会構成は多くの株主の皆様から
のご支持をいただいているものと認識しております。
本提案株主からは、2019 年 12 月に発生した当社不正事案は、天下り慣行により当社のプロパー従業員が社
長になれないことが一因となっている旨の主張がなされていますが、上記のとおり、そもそも「天下り」という事実
は存在せず、プロパー従業員が社長になれないという指摘も全くの誤解です。また、当時の社内調査委員会か
らも上記の様な因果関係は指摘されておりません。
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また、当社では執行役員制度を導入しており、当社の業務執行は執行役員が担っております。執行役員 8 名
のうち不動産分野の実務経験を 10 年以上有する者は 5 名であり、不動産事業の事業遂行に懸念はないものと
考えております。
当社といたしましては、本株主提案のように定款で取締役の経験を制限することは、時宜に応じた柔軟な取締
役会構成の実現可能性を奪うことになり、取締役会のスキルの多様性、経営の柔軟性を喪失し、ひいては企業
価値を毀損する可能性があると考えております。
以上の理由により、当社取締役会としては、本株主提案に反対いたします。
3. 定款一部変更(政策保有株式の売却)の件
(1) 当社取締役会の意見
当社取締役会としては、本株主提案に以下の理由で反対いたします。
(2) 反対の理由
当社は、中長期的な事業展開上有益であると考えられる、取引関係の強化、財務活動の円滑化、事業提携の
強化等を目的として、株式の政策保有を行っています。当社は、毎年、取締役会において、中長期的な事業展
開上有益であると考えられる、取引関係の強化、財務活動の円滑化、事業提携の強化等の保有目的に沿って
いるか、および個別の政策保有株式について、保有に伴う便益や資本コスト等を総合的に勘案し、保有の適否
を検証します。かかる検証の結果、保有の妥当性が認められないと判断された場合には、株価や市場動向等を
考慮して売却することにより、縮減する方針としております。
現行の中期経営計画においては、政策保有株式の縮減に取り組むことをコミットメントとしており、2021 年度よ
り縮減を進める方針です。本提案株主の指摘する株式会社日本取引所グループの株式についても、当社が現
在保有する政策保有株式の中で相対的に連結貸借対照表計上額が多いこともあり、その保有株数の大半を、
今後、段階的に売却していく方針です。
当社取締役会といたしましては、政策保有株式の縮減については、取締役会で議論すべき個別の業務執行
に係る事項であり、かつ、上記のとおり、当社取締役会において縮減に向けた十分な取り組みをすでに実施して
いることから、本株主提案の内容を会社の根本規則である定款に規定することは不適当であると考えておりま
す。
以上の理由により、当社取締役会としては、本株主提案に反対いたします。
以 上
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(別紙「本株主提案の内容」)
※本提案株主から提出された本株主提案書の該当記載を原文のまま掲載しております。
第 1 株主総会の目的である事項(提案する議題)
1 定款一部変更(日本取引所グループからの天下りの禁止)の件
2 定款一部変更(取締役の経験)の件
3 定款一部変更(政策保有株式の売却)の件
第 2 議案の要領及び提案の理由
1 定款一部変更(日本取引所グループからの天下りの禁止)の件
(1) 議案の要領
当社の定款に以下の条文を新設する。
(下線は変更部分を示します。)
現行定款 変更案
(新設) (日本取引所グループ関係者の天下り禁止)
第 20 条の 2 当社は、株式会社日本取引所グ
ループ又はその子会社若しくは関連会社において
5 年以上役員又は従業員としての勤務経験のある
者を会社提案の取締役候補者としてはならない。
(2) 提案の理由
東京証券取引所(「東証」)が入居する東京証券取引所ビル(「東証ビル」)は当社保有の最大物件であるが、金原
氏、吉野氏、岩熊氏を経て、現社長の土本氏まで、東証出身者が当社の代表取締役社長を務め、それ以外にも多数
の東証出身者を当社は取締役として受け入れてきた。東証ビル賃料は、当社と東証による改訂交渉に基づいた数年
間の固定額契約となった 1998 年以来は下落の一途にあり、岩熊氏などは、東証時代に当社との賃料交渉担当者
だった。
金原氏が社長になる直前の事業年度末である 2006 年 3 月を起点とした場合、三幸エステート株式会社発表の
データによると、周辺の築地・新富・茅場町地域の 1 坪当たり募集賃料(大規模ビル)が 2021 年 3 月時点で 9%上昇し
たのに対し、東証ビル賃料は同期間で 38%下落した。絶対値でも、2021 年 3 月時点の同周辺地域の 1 坪当たり賃料
2 万 3500 円(月額)に対し、東証ビル賃料は約 1 万 6650 円(同)と 29%も下回る。
当社株主の利益が損なわれる不健全な経済取引が長らく継続しているのは、テナントである東証出身者が指定席
のように当社の業務執行取締役へ天下りするという利益相反関係に起因するといわざるを得ない。
天下り慣行や後述する政策保有株式の存在は、資本市場のグローバル・スタンダードからは逸脱した慣行であり、
「日本橋兜町・茅場町に国際金融センターの一翼を担わせる」という崇高な目標を当社が掲げるならば、「先ず隗より
始めよ」である。
2 定款一部変更(取締役の経験)の件
(1) 議案の要領
当社の定款に以下の条文を追加する。
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(下線は変更部分を示します。)
現行定款 変更案
(選任方法) (選任方法)
第 20 条 取締役は、株主総会において選任する。 第 20 条
2 取締役の選任決議は、議決権を行使すること (第 1 項から第 3 項 現行どおり)
ができる株主の議決権の 3 分の 1 以上を有する 4 当会社の取締役のうち、社外取締役を除く取締
株主が出席し、その議決権の過半数をもって行 役の 3 分の 2 以上は、不動産投資を含む不動産
う。 分野の実務経験を少なくとも 10 年以上有する者と
3 取締役の選任決議は、累積投票によらないも する。
のとする。
(2) 提案の理由
東証から天下った代表取締役社長の多くが、人事や総務の専門家だった。結果、現在の当社の社内取締役 5 名の
うち、2 名は前職が不動産事業とは直接関係のない事業に従事している。社外取締役 4 名には、不動産事業の経営
経験者は含まれておらず、同事業を本業とする会社の取締役会としては、関連の専門知識・経験が不足しているとい
わざるを得ない。
賃貸用不動産が抱える税引後の含み益を考慮した本業の事業価値と保有する投資有価証券の価値の合算から
純負債額を差し引いた正味資産価値(「NAV」)に対し、当社の時価総額は割り引かれて長年推移してきた。NAV は、
当社のような資産持ちの企業の評価に利用される指標であるが、4 月 16 日終値の当社株価 3655 円が、2020 年 9 月
末時点の当社の 1 株当たり NAV の 5249 円から 30%割り引かれていることを鑑みるに、株主から託された資本を当
社の社内取締役が有効活用できていない。
前述の天下り慣行で、当社のプロパー従業員は社長になれない。複数の従業員が仲介業者等から不正なキック
バックを受領していた不動産取引に関連し、当社が 2019 年 12 月 13 日に開示した「社内調査委員会の調査報告書受
領に伴う再発防止策等に関するお知らせ」は、「待遇への不満等による当社に対するロイヤリティーの低下」を発生
原因の一つに挙げた。同提案は当社プロパー従業員が社内昇格する道筋をつけ、社員のモチベーションだけでなく、
ロイヤリティーも向上させる狙いがある。
3 定款一部変更(政策保有株式の売却)の件
(1) 議案の要領
当社の定款に以下の章及び条文を新設する。
(下線は変更部分を示します。)
現行定款 変更案
(新設) 第 7 章 政策保有株式の売却
(政策保有株式の売却)
第 41 条 当会社は、2022 年 3 月 31 日までに、政
策保有株式として保有する株式会社日本取引所
グループの株式の全てを処分するものとする。
(2) 提案の理由
当社が 2020 年 6 月 23 日に開示した有価証券報告書によれば、当社は、2020 年 3 月末現在、貸借対照表計上額
で 128 億 2000 万円となる 28 銘柄の政策保有株式を保有している。当該時点における当社グループの連結貸借対
照表上の純資産額 1073 億200 万円の 1 割超にも達し、なかでも、株式会社日本取引所グループ(「JPX」)の株式は、
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貸借対照表計上額ベースで 61 億 1300 万円と政策保有株式の約半分を占める。
当該有価証券報告書上は、JPX 株式の保有目的として、「当社の旗艦ビルである東京証券取引所ビルや大阪証券
取引所ビル等のテナントとして、不動産賃貸に係る取引実績があり、同社との取引関係の強化を図ることは、中長期
的な事業展開上有益であると考えられる」とあるが、前述のように、東証から天下り慣行のもと、東証ビルの賃料は
低下を続け、周辺地域よりも低い。
JPX 株式の保有は当社のメリットとなるどころか、かえって当社株主の利益が損なわれる事態となっている。4 月
16 日終値の当社株価 3655 円が、2020 年 9 月末時点の当社の 1 株当たり NAV の 5249 円から 30%割り引かれた
金額となっている要因ともなっており、保有の意義が見いだせない。
上場会社に対して政策保有株式の縮減を求める東証の姿勢を踏まえれば、東証の親会社である JPX 株式を当社
が政策保有株式として保有することには何ら合理性を見出すことはできず、速やかに処分すべきであり、東証からも
何ら異論は出ないものと考えられる。
以 上
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