8750 第一生命HD 2020-04-01 08:00:00
現在の金融市場環境を踏まえた2020年3月期グループ修正利益の見通しと資本充足率(経済価値)の状況 [pdf]
2020 年4月1日
各 位
会 社 名 第一生命ホールディングス株式会社
代表者名 代表取締役社長 稲垣 精二
(コード番号:8750 東証第一部)
問合せ先 経 営 企 画 ユニット IRグループ
(TEL 050-3780-6930)
現在の金融市場環境を踏まえた 2020 年3月期グループ修正利益の見通しと
資本充足率(経済価値)の状況
第一生命ホールディングス株式会社(社長: 稲垣 精二、以下当社)は、現在の金融市場環境を踏ま
えた2020年3月期グループ修正利益の見通しと資本充足率(経済価値)の状況について、お知らせしま
す。
Ⅰ. 2020年3月期グループ修正利益の見通し
当社は、本日付けリリース「業績予想の修正及び特別損失(単体)の計上に関するお知らせ」の通り、
2020年3月期の連結経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益(以下、当期純利益)の予想
修正を行っていますが、株主還元の原資であるグループ修正利益は、期初に増益予想としてお示しし
た約2,400億円を達成できる見通しです。
本日の経常利益および当期純利益に関する業績予想の修正は、第一フロンティア生命保険株式会
社(以下、第一フロンティア生命)において、海外を中心とした急激な市中金利の低下に伴い、保有する
運用資産と保険負債の評価差異が拡大し、市場価格調整(以下、MVA)に係る責任準備金の積み増し
1
を行ったことや、アセットマネジメント事業において、米国株式市場に上場するジャナス・ヘンダーソン
の株価下落を受けた持分法に係るのれんの一括償却を反映したことが主な要因です。第一生命保険
株式会社(以下、第一生命)では、資産運用におけるリスクヘッジポジションの機動的な構築が奏功し、
金融市場環境が急変する現状においても、利益見通しに大きな影響は発生していません。また、米プロ
テクティブも期初予想を上回る利益を確保しています。
1 第一フロンティア生命が販売する保険商品には、市中金利の変動に伴う保険負債の価値変動を解約返還金額に反映させる「市場価格調整
(MVA)」を設定するものがあります。MVA 付き商品の会計上の負債は、「金利変動を踏まえた解約返還金額」と「予定利率に基づく責任準備
金」の大きい方を計上するため、市中金利の低下により解約返還金が責任準備金を上回る場合、差額の責任準備金の積立が発生します。
なお、第一フロンティア生命では、資産を負債にマッチングさせる資産運用を基本としているため、今後の市中金利が横這いの前提では、当
期に発生した MVA に係る責任準備金の積立は、残りの運用期間を通じて取り崩され、原則として最終的な会計上の損益には中立となりま
す。
1
こうしたことから、当社のキャッシュベースの実質的な収益力を示すグループ修正利益については、
期初予想を達成可能と考えています。株主還元については、グループ修正利益に対する総還元性向
40%を目処とする方針に変更はありません。また、1株当たり株主配当についても、前期から4円増配と
した期初予想の62円に変更はありません。
現在、新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大していますが、当社グループの2020年3月期業績
における直接的な影響は限定的と考えています。今後の動向を注視するとともに、グループ業績や事
業運営への影響に関して、新たに開示が必要な状況が生じた場合には速やかにお知らせします。
Ⅱ. 資本充足率(経済価値)の状況
当社は、2018-20年度中期経営計画『CONNECT 2020』において、高い財務健全性の確保に向けて、
経済価値ベースの資本充足率(以下、ESR)について「中長期的な時間軸で170~200%到達を目指す」
と掲げていますが、金融市場環境が大きく変動した3月のESRは、概算で170~200%の範囲内で推移し、
3月31日時点においても170%を上回る水準を確保しています。
現在の金融市場環境の変動を踏まえてもこのような健全性を維持できたのは、これまで海外展開を
通じて地域・事業分散を進めてきたことに加え、第一生命における分散された資産運用ポートフォリオと
上述したリスクヘッジポジション等により、金融市場変動の影響がコントロールされていることによるもの
です。
第一生命では、金利・株式等の市場関連リスクの削減に継続的に取り組んでおり、2020年3月期にも、
国内における低金利環境の長期化を見越し、超長期債券の購入によるデュレーションの長期化やデリ
バティブを活用した金利リスクの削減を進めました。また、保有株式の計画的な売却を継続したほか、高
予定利率の保険契約を再保険会社へ戦略的に出再するなど、金融市場変動の影響を受けにくい財務
体質に向けた取組を強化しています。
金融市場環境は今後も世界的に不安定な状況が継続すると想定される中、ESRの安定性を高めてい
くために、当社では市場関連リスクを削減するこれまでの取組を更に推進していく方針です。具体的に
は、市場関連リスクの太宗を占めている金利・株式リスク量を2024年3月末までに2020年3月末対比で
20%程度削減し、経済価値ベースの企業価値であるグループEEVの金融市場変動に対する感応度を
20%程度低下させることを目指します。
以上
次ページより付属の参考資料も併せてご覧ください
2
参考資料
2020年4月1日
第一生命ホールディングス株式会社
グループ修正利益・株主還元と連結当期純利益の見通し
▶ 連結当期純利益は、第一フロンティア生命における評価性のMVA関連損益やジャナス・ヘンダーソンの持分法に係る
のれんの一括償却の計上が影響
▶ 現在の環境下においても、株主還元の原資であるグループ修正利益および配当予想は、期初予想から変更なし
グループ修正利益・株主還元 連結当期純利益
投信解約など
3,639
(億円)
市場要因に起因する 2,432
2,363
2,400億円程度 (億円)
一時的要素
2,101
1,914
40% 40% 40%目処 前回発表予想
4,000
(億円)
2,312 3,639
2,250 2,260億円
(億円)
2,500
35%
280
3,000
2,000 30% 230 1,785 2,312 2,250
664
505 2,000
976
1,500
414
1,000 0
1,785
158
390 280 1,000
324
500 230
16% 0% 0% 160 0% 0% 0% 0% 0%
0
0 今回修正予想
666 324 13/3期 16/3期 17/3期 18/3期 19/3期 20/3期予
170
13/3期 16/3期 507
17/3期 584
18/3期 19/3期 20/3期予 170億円
416
160
13/3期 16/3期 17/3期 18/3期 19/3期 20/3期予 13/3期 16/3期 17/3期 18/3期 19/3期 20/3期予
グループ修正利益 配当金総額 連結純利益 第一フロンティア生命 その他一時損益
(~16/3期 連結修正純利益) (右記要因を除く) MVA関連損益
自己株式取得 総還元性向
2
13/3期、16/3期は連結修正純利益に対する総還元性向 その他一時損益は、アセットマネジメント事業における組織再編益やのれんの一括償却、プロテクティブの法人減税の影響など
現在の金融市場環境を踏まえた資本充足率(経済価値)の状況
▶ 金融市場環境が大きく変動する中、3月のESR(概算値)は目指す姿とする「170~200%」の範囲内で推移
▶ 第一生命の分散された資産運用ポートフォリオや金融市場リスクコントロールが金融市場変動の影響を緩和
資本充足率(ESR)の状況
主な増減要因 (対19/3末)
19/9末 188% [資本量] + 劣後債発行
中長期的に目指す姿 + 海外金利低下(含み益増加)
170~200% ー 国内金利低下
ー 内外株価下落(含み益減少)
7.2兆円 [リスク量] + 国内金利低下
金融市場環境が
ー 内外株価下落(含み益減少)
大きく変動する中、 ー 第一生命における
3.8兆円 170~200%の 金融市場リスクコントロールの実施
範囲内で推移
リスク量
資本量
17/3末 18/3末 19/3末 19/9末 2020年3月 [第一生命における金融市場リスクコントロール]
(概算値)
[主要指標]日経平均株価 債券デュレーション長期化
18,909円 21,454円 21,205円 21,755円 16,552~21,344円 金利スワップション構築 金融市場変動の
国債利回り (日本20年/米国10年) 保険ブロックの出再実施 等 影響を緩和
0.63%/2.39% 0.53%/2.74% 0.34%/2.41% 0.19%/1.67% 0.14~0.35%/0.49~1.25%
国内株・為替ヘッジ(オプション)構築
USD/円TTM 継続的な保有株式の削減
112.1円 106.2円 110.9円 107.9円 102.0~111.1円
3
資本充足率(経済価値)の安定化に向けた金融市場リスクコントロールの強化
▶ ESRの安定性を高めるべく、第一生命における金融市場リスクコントロールを推進
▶ 2024/3末までに金利・株リスク量を▲20%程度削減し、経済価値ベースの企業価値であるグループEEVの金融市場
変動に対する感応度を▲20%程度低下させることを目指す(対2020/3末)
金利リスク削減の取組み 株式リスク削減の取組み
債券デュレーションの長期化やデリバティブを活用した
金利リスクヘッジを継続 計画的な保有株式の削減を強化
戦略的な保険ブロックの再保険活用を継続検討
金融市場リスクコントロールの推進により、金利・株リスク量を▲20%程度削減
デュレーションコントロール* 株式残高コントロール* (実際の株式リスクの削減は外国株式を含む)
20 4
国内株式時価
年 兆円
簿価
18 3
削減
16
2
デュレーションギャップ
14 縮小 1
負債デュレーション
12 資産デュレーション(デリバティブ含む)
0
2010/3末 16/3末 19/3末 9末 12末 2024/3末 2010/3末 16/3末 19/3末 9末 12末 2024/3末
10 (上場) (上場)
4
*主に個人保険・個人年金に係る経理区分の保険負債と円建確定利付資産(金利スワップを含む)の会計上のデュレーション *国内株式のうち時価のあるもの(子会社・関連会社株式、非上場国内株式は除く)
(参考) 市場価格調整(MVA)に係る損益について
▶ 市場価格調整(MVA)付き商品の負債は、会計上、金利低下により「金利変動を踏まえた解約返還金額」 が「予定利
率に基づく責任準備金」を上回る場合、差額の責任準備金の積立が発生
▶ MVAに係る損益は、期間を通算すれば収支への影響はニュートラルなことから、グループ修正利益には含めない
MVAに係る責任準備金の MVAに係る責任準備金残高と
積立発生(イメージ) 会計損益への影響(イメージ)
金利低下
≒MVA積立の発生
②金利変動を踏まえた MVAに係る 金利低下に伴うMVAに係る責任準備金積立後、金利横這いの前提
実際には市中金利に応じて積立金額が再計算される
解約返還金額 責任準備金
金利上昇 積立初年度
年 積立 取崩時
一
時 ①予定利率に基づく 金 残高 プラス 運用期間
払 責任準備金 原 満了時
保 資
険
料
年金
契約 運用期間 開始
各期末における会計上の負債評価額は、①または②の 運用期間を通じて積立金額は取り崩され、
大きい金額となり、金利低下により②>①となる場合、 責任準備金の戻入が発生
差額の責任準備金の積立を実施 (途中解約時には、対応する債券の売却により売却益が発生)
会計損益は
5
積立時マイナス
本資料の問い合わせ先
第一生命ホールディングス株式会社
経営企画ユニット IRグループ
電話:050-3780-6930
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切の義務を当社は負いません。
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