8746 J-第一商品 2020-05-01 15:30:00
不適切な会計処理に関する改善措置等のお知らせ [pdf]

                                    令和2年(2020年)5月1日


各   位
                        会社名    第 一 商 品 株 式 会 社
                        代表者名   代表取締役社長     木 村     学
                               (JASDAQ・コード8746)
                        問合せ先   執行役員 管理本部長 渡邊 誠一
                               電話番号 03-3462-8011(代表)




         不適切な会計処理に関する改善措置等のお知らせ



 第三者委員会から 4 月 30 日付にて、当社の不適切な会計処理に関する「調査報告書」の提出を
受け、本日開催の取締役会において、今後当社が取り組んでまいります改善措置等について決定
しましたので、お知らせいたします。
                          目次


Ⅰ.案件の概要、経緯    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
  1.過年度決算訂正の内容     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
  2.第三者委員会設置の経緯     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
  3.第三者委員会の調査目的、対象期間、範囲、方法等        ・・・・・・・・・・・・・ 8
    (1)第三者委員会の構成    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
    (2)調査目的   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
    (3)調査期間及び調査方法    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
    (4)調査範囲   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
  4.不正会計処理の概要と関係者の関与状況等        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
    (1)仮装広告宣伝費の支払及び貸付金 1,200 百万円の回収偽装    ・・・・・・・・9
   (2)委託者未収金の回収偽装と戻し入れ         ・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
Ⅱ.原因の分析   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
  1.歴代経営陣のコンプライアンス意識の欠如        ・・・・・・・・・・・・・・・・・11
  2.ガバナンス機能不全     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
   (1)取締役会による監視・監督機能の問題         ・・・・・・・・・・・・・・・・・11
   (2)監査役による監視・監督機能の問題         ・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
   (3)ステークホルダーへの配慮に欠けた閉鎖的な企業風土の問題         ・・・・・・・12
  3.再発防止に向けた改善措置     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
   (1)コーポレート・ガバナンス体制の強化         ・・・・・・・・・・・・・・・・・12
   (2)内部管理体制の強化     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
   (3)監査役による経営監視の強化       ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
   (4)経理及び会計処理の二重チェック体制         ・・・・・・・・・・・・・・・・・13
  4.経営体制(経営陣の責任の明確化等)について        ・・・・・・・・・・・・・・・13
   (1)経営陣の責任の明確化(取締役の辞任)         ・・・・・・・・・・・・・・・・13
   (2)顧問契約の解除     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
   (3)相談役の退任 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
   (4)令和 2 年 5 月以降の経営体制   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
   (5)令和 2 年 5 月 1 日現在の組織図 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
Ⅲ.不適切な情報開示等が投資家および証券市場に与えた影響についての認識         ・・・・・14
Ⅰ.案件の概要、経緯
 1.過年度決算訂正の内容
    当社は、令和 2 年 4 月 30 日付にて第三者委員会の調査報告書を受領し、5 月 1 日、過年
   度の決算短信等の訂正を行いました。また、同日、過年度の有価証券報告書等の訂正報告
   書を提出いたします。
    提出した過年度決算短信等及び業績への影響額は、以下のとおりです。


   【訂正した過年度決算短信等】
   平成 27 年 3 月期(第 43 期)
    決算短信          (自 平成 26 年 4 月 1 日 至 平成 27 年 3 月 31 日)
   平成 28 年 3 月期(第 44 期)
    決算短信          (自 平成 27 年 4 月 1 日 至 平成 28 年 3 月 31 日)
   平成 29 年 3 月期(第 45 期)
    決算短信          (自 平成 28 年 4 月 1 日 至 平成 29 年 3 月 31 日)
   平成 30 年 3 月期(第 46 期)
    第 1 四半期決算短信(自 平成 29 年 4 月 1 日 至 平成 29 年 6 月 30 日)
    第 2 四半期決算短信(自 平成 29 年 7 月 1 日 至 平成 29 年 9 月 30 日)
    第 3 四半期決算短信(自 平成 29 年 10 月 1 日 至 平成 29 年 12 月 31 日)
    決算短信          (自 平成 29 年 4 月 1 日 至 平成 30 年 3 月 31 日)
   平成 31 年 3 月期(第 47 期)
    第 1 四半期決算短信(自 平成 30 年 4 月 1 日 至 平成 30 年 6 月 30 日)
    第 2 四半期決算短信(自 平成 30 年 7 月 1 日 至 平成 30 年 9 月 30 日)
    第 3 四半期決算短信(自 平成 30 年 10 月 1 日 至 平成 30 年 12 月 31 日)
    決算短信          (自 平成 30 年 4 月 1 日 至 平成 31 年 3 月 31 日)
   令和 2 年 3 月期(第 48 期)
    第 1 四半期決算短信(自 平成 31 年 4 月 1 日 至 令和元年 6 月 30 日)
    第 2 四半期決算短信(自 令和元年 7 月 1 日 至 令和元年 9 月 30 日)
    第 3 四半期決算短信(自 令和元年 10 月 1 日 至 令和元年 12 月 31 日)
【訂正した有価証券報告書等】
平成 27 年 3 月期(第 43 期)
 有価証券報告書 (自 平成 26 年 4 月 1 日 至 平成 27 年 3 月 31 日)
平成 28 年 3 月期(第 44 期)
 有価証券報告書 (自 平成 27 年 4 月 1 日 至 平成 28 年 3 月 31 日)
平成 29 年 3 月期(第 45 期)
 有価証券報告書 (自 平成 28 年 4 月 1 日 至 平成 29 年 3 月 31 日)
平成 30 年 3 月期(第 46 期)
 第 1 四半期報告書(自 平成 29 年 4 月 1 日 至 平成 29 年 6 月 30 日)
 第 2 四半期報告書(自 平成 29 年 7 月 1 日 至 平成 29 年 9 月 30 日)
 第 3 四半期報告書(自 平成 29 年 10 月 1 日 至 平成 29 年 12 月 31 日)
 有価証券報告書 (自 平成 29 年 4 月 1 日 至 平成 30 年 3 月 31 日)
平成 31 年 3 月期(第 47 期)
 第 1 四半期報告書(自 平成 30 年 4 月 1 日 至 平成 30 年 6 月 30 日)
 第 2 四半期報告書(自 平成 30 年 7 月 1 日 至 平成 30 年 9 月 30 日)
 第 3 四半期報告書(自 平成 30 年 10 月 1 日 至 平成 30 年 12 月 31 日)
 有価証券報告書 (自 平成 30 年 4 月 1 日 至 平成 31 年 3 月 31 日)
令和 2 年 3 月期(第 48 期)
 第 1 四半期報告書(自 平成 31 年 4 月 1 日 至 令和元年 6 月 30 日)
 第 2 四半期報告書(自 令和元年 7 月 1 日 至 令和元年 9 月 30 日)
 第 3 四半期報告書(自 令和元年 10 月 1 日 至 令和元年 12 月 31 日)
    【過年度決算短信等の訂正による業績への影響額】
(単位:百万円)
    期間          項目      訂正前         訂正後         影響額          増減率
                        (A)         (B)         (B‐A)        (%)
               営業収益       6,336       6,336              -         -
   第 43 期      営業利益           △22         △4            18         -
 平成 27 年 3 月   経常利益           384         68       △315       -82.2%
     期         四半期純利益     △183        △500         △317            -
    通期          総資産      44,880      43,827      △1,053        -2.3%
                純資産       8,559       6,906      △1,652       -19.3%
               営業収益       4,885       4,885              -         -
   第 44 期      営業利益     △1,332      △1,112          220            -
 平成 28 年 3 月   経常利益     △1,175        △988          186            -
     期         四半期純利益   △1,073        △887          186            -
    通期          総資産      26,434      25,587        △847        -3.2%
                純資産       7,173       5,706      △1,466       -20.4%
               営業収益       4,023       4,023              -         -
   第 45 期      営業利益       △716        △289          426            -
 平成 29 年 3 月   経常利益       △703        △279          424            -
     期         四半期純利益   △1,052        △627          424            -
    通期          総資産      23,994      23,463        △531        -2.2%
                純資産       5,816       4,715      △1,100       -18.9%
               営業収益           881         881            -         -
   第 46 期      営業利益       △292        △144          148            -
 平成 30 年 3 月   経常利益       △267        △136          131            -
     期         四半期純利益     △271        △143          127            -
  第 1 四半期       総資産      21,987      21,423        △563        -2.6%
                純資産       5,545       4,572        △973       -17.6%
               営業収益       1,978       1,978              -         -
   第 46 期      営業利益       △254            42        296            -
 平成 30 年 3 月   経常利益       △233            58        292            -
     期         四半期純利益     △244            39        283            -
  第 2 四半期       総資産      22,211      21,810        △401        -1.8%
                純資産       5,573       4,756        △816       -14.7%
   期間          項目      訂正前         訂正後         影響額         増減率
                       (A)         (B)         (B‐A)       (%)
              営業収益       2,814       2,814             -         -
  第 46 期      営業利益       △441            △20       421           -
平成 30 年 3 月   経常利益       △405              7       413           -
    期         四半期純利益     △420            △20       400           -
 第 3 四半期       総資産      21,705      21,387        △318       -1.5%
               純資産       5,400       4,700        △700      -13.0%
              営業収益       4,074       4,074             -         -
  第 46 期      営業利益       △145            351       497           -
平成 30 年 3 月   経常利益           △13         393       407           -
    期         四半期純利益         △41         347       389           -
   通期          総資産      23,482      23,119        △363       -1.5%
               純資産       5,776       5,065        △710      -12.3%
              営業収益           876         876           -         -
  第 47 期      営業利益       △159            △41       118           -
平成 31 年 3 月   経常利益       △153            △35       118           -
    期         四半期純利益     △162            △46       115           -
 第 1 四半期       総資産      23,212      22,909        △303       -1.3%
               純資産       5,612       5,017        △595      -10.6%
              営業収益       1,626       1,626             -         -
  第 47 期      営業利益       △338        △161          177           -
平成 31 年 3 月   経常利益       △322        △145          177           -
    期         四半期純利益     △326        △154          171           -
 第 2 四半期       総資産      20,258      19,975        △283       -1.4%
               純資産       5,448       4,909        △539       -9.9%
              営業収益       2,415       2,415             -         -
  第 47 期      営業利益       △471        △195          275           -
平成 31 年 3 期   経常利益       △435        △160          275           -
 第 3 四半期      四半期純利益     △449        △181          267           -
               総資産      17,910      17,727        △183       -1.0%
               純資産       5,321       4,878        △443       -8.3%
   期間          項目      訂正前         訂正後         影響額          増減率
                       (A)         (B)         (B‐A)        (%)
              営業収益       3,538       3,538              -         0.0%
  第 47 期      営業利益       △327            66        394              -
平成 31 年 3 月   経常利益       △285            108       394              -
    期         四半期純利益     △310            72        383              -
   通期          総資産      18,436      18,373         △63        -0.3%
               純資産       5,461       5,134        △327        -6.0%
              営業収益           943         943            -         0.0%
  第 48 期      営業利益           △21         96        118              -
令和 2 年 3 月期   経常利益           △17         100       118              -
 第 1 四半期      四半期純利益         △52         54        107              -
               総資産      19,127      19,213             85         0.4%
               純資産       5,409       5,217        △191        -3.5%
              営業収益       2,178       2,178              -         0.0%
  第 48 期      営業利益           291         498       206        70.9%
令和 2 年 3 月期   経常利益           302         508       206        68.4%
 第 2 四半期      四半期純利益         283         457       174        61.6%
               総資産      20,367      20,385             17         0.1%
               純資産       5,744       5,620        △123        -2.2%
              営業収益       3,071       3,071              -         0.0%
  第 48 期      営業利益           378         604       225        59.8%
令和 2 年 3 月期   経常利益           395         621       225        57.1%
 第 3 四半期      四半期純利益         361         552       190        52.8%
               総資産      19,896      19,896              -         0.0%
               純資産       5,824       5,717        △107        -1.8%
2.第三者委員会設置の経緯
   当社は、2015 年 3 月期から 2020 年 3 月期第 1 四半期の決算に係る会計処理において、回収
 不能な長期貸付金の回収を装った不正経理及び当該回収に関連した不可解な取引並びに使途
 不明金発生の可能性があるとの指摘を主務官庁より受けました。
  そこで当社は、独立性を確保した調査委員会により厳正かつ徹底した調査を行い、事実
 関係を正確に把握して問題点を解明する必要があると判断したことから、当社と利害関係
 を有しない外部の専門家から構成される第三者委員会を設置して厳正な調査が行われるこ
 とになった。


3.第三者委員会の調査目的、対象期間、範囲、方法等
 (1) 第三者委員会の構成
      第三者委員会の構成は以下のとおりでした。
      委員長 西中     克己(弁護士)
      委 員 大塚     和紀(弁護士)
      委 員 林      令史(公認会計士)
      また、当第三者委員会の運営は、日本弁護士連合会による「企業等不祥事における
      第三者委員会ガイドライン」(平成 22 年 7 月 15 日公表、同年 12 月 17 日改訂)に
      準拠しており、当委員会の委員長および委員は、当社と何らの利害関係を有してお
      りませんでした。


 (2) 調査目的
    ① 主務官庁から疑義の指摘を受けた長期貸付金取引の実在性、その他関連取引(以下、
      「本件」という)の事実関係の確認および評価
    ② 本件による当社財務諸表等への影響
    ③ 本件に関連して当社がとるべき対応(再発防止策を含む)の提言
    ④ その他第三者委員会が必要と認めた事項


 (3) 調査期間及び調査方法
    ① 調査期間
      令和 2 年 3 月 11 日から令和 2 年 4 月 30 日


    ② 調査方法
        第三者委員会は、当社およびその関係者並びに外部関係者から開示された資料、
      当社およびその関係者並びに外部関係者に対するヒアリング(書面による質疑応
      答を含む。以下同じ。、
                ) 全社員へのアンケート並びに一般に入手可能な公開情報に
      基づき調査を実施しました。
       (ア) 開示資料、電子データ、登記情報等
            第三者委員会は、当社の会計処理に疑義が生じる可能性のある取引等を確
            認するために、各種議事録、契約書等取引関係資料、財務諸表、経理関係
           書類、預金口座、電子データ、不動産登記情報、法人登記情報等の調査を
           行いました。
       (イ) 当社およびその関係者並びに外部関係者に対するヒアリング
           第三者委員会は、対象取引に係わったと思料される当社関係者並びに外部
           関係者に対するヒアリングを実施しました。
       (ウ)全社員を対象としたアンケート
           第三者委員会は、全社員(取締役及び監査役を除く)に対して、不正行為
           及びコンプライアンス違反に抵触する行為の存在に関するアンケートを実
           施しました。


 (4) 調査範囲
   ① 調査対象の選別
       (ア) 広告宣伝費等の検出
            今回の主務官庁からの指摘は、株式会社ア・プリオリ(以下、
                                       「ア・プリ
           オリ」という)への広告宣伝費支払いを名目とした取引を経由して西生興
           発株式会社(以下、
                   「西生興発」という)に資金を提供し、当社への長期貸
           付金返済に充てていたとの疑義が指摘されているため、当社のア・プリオ
           リへの支払い記録並びに西生興発からの入金を当社の預貯金口座記録を
           基に網羅的に調査対象としました。
       (イ) 調査可能な範囲の資金移動
            第三者委員会の委員の専門家としての判断および経験則から、調査可能
           な範囲の資金移動を調査対象としました。


   ② 調査対象期間
        本調査では、主務官庁より不適切な会計処理行為等の可能性があると指摘を受
       けた平成 27 年 3 月期から令和 2 年 3 月期第 3 四半期までを調査対象としました。


4.不正会計処理の概要と関係者の関与状況等
 (1)   仮装広告宣伝費の支払及び貸付金 1,200 百万円の回収偽装
        当社監査法人(当時)は、西生興発に対する長期貸付金 1,200 百万円について
       2006 年 4 月の 300 百万円の返済以降に本件貸付金の回収が全く行われていないこ
       とを問題視し、担保権を実行して担保株式を処分した上、差額の回収不能部分は貸
       倒損失計上によって損失処理すべきと指摘した。
        この指摘を受けた当時、当社の代表取締役社長が取締役会長に相談したところ、
       取締役会長は担保提供された当社株式に対する担保権の実行を拒否した。
        当社のカリスマ的存在である取締役会長のこうした意向を受け、代表取締役社長
       と取締役経理本部長は、担保権を実行せずに本件貸付金を会計処理する方法を検討
       した。一度は、債権放棄の可能性をも検討したものの、担保権を有する本件貸付金
       の債権放棄は現実的に不可能との結論に至り、最終的には取締役経理本部長がア・
      プリオリに広告宣伝費の名目で支払った資金を還流させて回収するスキームを考
      案し、基本的には、当時の代表取締役社長、取締役経理本部長及び前代表取締役社
      長によって実行された。


(2)   委託者未収金の回収偽装と戻し入れ
       2014 年 3 月期と 2015 年 3 月期に行われた当社による顧客の取引証拠金口座の資
      金を流用した委託者未収金の回収偽装は、当時の取締役会長が収益目標の達成を厳
      しく求めていた状況で当時の代表取締役社長が主導して担当者に直接指示する形
      で実施された。
       具体的には、当時の代表取締役社長が業務の担当者に直接口頭で顧客名や金額等
      を具体的に指示し、当該担当者は関係する支店の担当者に電話連絡で当該指示を伝
      達することにより、入出金の処理を行っていた。
       他方、委託者未収金の回収偽装により流用した顧客の取引証拠金口座への戻し入
      れは、2016 年 10 月に就任した前代表取締役社長の主導により行われている。前代
      表取締役社長は、2015 年 3 月から開始されていた本件貸付金の回収偽装を目的と
      して行われたア・プリオリに対する広告宣伝費として仮装した支払いの金額を、代
      表取締役社長就任後の 2017 年 3 月期から増額して捻出し、前経営陣の負の遺産と
      もいえる顧客の取引証拠金口座の流用の戻し入れを行っている。
Ⅱ.原因の分析
   当社は、本事案に関して、第三者委員会による発生原因の検討及び再発防止策の提言等で
 記載された内容を参考に、原因を以下の通りと認識しております。


 1.歴代経営陣のコンプライアンス意識の欠如
   本件は、本件貸付金の回収偽装と使途不明金に関する疑義が発覚したことに端を発して
  いるが、それらは過去の当社歴代の経営陣から引き継がれた負の遺産の後始末的な事象で
  あり、本質的には、過去から連綿と続いた経営トップの誤った判断に基づく事案である。
   本報告書Ⅰの4(不正会計処理の概要と当社関係者の関与状況等)において記載したと
  おり、本件の最も大きな原因は、こうした歴代経営陣のコンプライアンス意識の欠如が今
  回の事態を招いたと考えられる。


 2.ガバナンスの機能不全
   当社は、取締役会や監査役会を設置し、相応のガバナンス体制を構築してはいたが、こ
  れらの機関等は、経営者を監視・監督する機能を果たしておらず、その結果、長期間にわ
  たる不正会計処理が見過ごされてしまった。また、本件の発覚の経緯においても当社のガ
  バナンスが機能して自浄作用が発揮されたものではなく、主務官庁の指摘という外部的な
  要因によって発覚に至っている。


   (1)    取締役会による監視・監督機能の問題
          当社の取締役会は、全 11 名の取締役により構成されているが、社外取締役を除く
         全員が本部長、部長又は室長などを兼務して業務執行に携わっている。社外取締役は
         2015 年 6 月に初めて選任された 1 名のみであり、しかも当社の元従業員であって、
         活発に発言している状況もなく、当社においても、社外取締役の知見を活用しようと
         する努力はなされなかった。


   (2)    監査役会による監視・監督機能の問題
          当社は監査役会設置会社である。2015 年 3 月期に 1 名の常勤監査役が退任したこ
         とにより 2016 年 3 月期は常勤監査役 1 名、社外監査役 2 名の体制となっていたが、
         2017 年 3 月期にはガバナンス強化を目的として常勤監査役 1 名が追加で選任され、
         現在は常勤監査役 2 名と社外監査役 2 名で構成されている。
          しかし、現在の社外監査役 2 名は、いずれも商品先物取引関連事業の経営や業務に
         携わった経験がなく、業界特有の知見に基づく指摘等は行われることがなく、社外の
         目線から当社のトップダウン型の判断プロセスを是正しようとする動きは見られな
         かった。
          また常勤監査役及び社外監査役は、取締役会には出席しているものの、本件貸付金
         の実行や巨額の債権放棄などについて、取締役の善管注意義務が尽くされているか
         といった観点からの質問や指摘等を行っていなかった。
          このように当社の監査役監査の体制は、外形上は他の上場企業と比較しても遜色
        がないといえるが、監査役の取締役に対する監視・監督が機能していたとは言い難か
        った。


  (3)    ステークホルダーへの配慮に欠けた閉鎖的な組織風土の問題
         上記1記載の歴代経営陣のコンプライアンス意識の欠如が大きく影響しているが、
        当社には社外のステークホルダーを軽視した内向きかつ閉鎖的な組織風土が醸成さ
        れていたと考えられる。
         また、当社の役職員の中には会計処理の不自然性等を認識していた者もいたこと
        がうかがわれるが、資産流出による企業価値の毀損が社外のステークホルダーに与
        える影響を顧みて何らかの指摘や内部通報を行うなどして対応した形跡はなかった。
         このように、歴代経営陣の経営スタイルの影響により、組織全体のコンプライア
        ンス意識が乏しく、上意下達の組織風土が醸成されたことが本件の早期発見を妨げ
        た大きな要因ということができる。


3.再発防止に向けた改善措置
 上記原因分析等に基づき、当社は再発防止に向けて以下の改善措置を講じてまいります。


  (1)    コーポレート・ガバナンス体制の強化
         経営における取締役及び執行役員の役割を明確化する。すなわち取締役は執行役
        員が取締役会の決定した経営方針に沿った業務執行を実施していることを監視し、
        執行役員は取締役会の決定した経営方針に基づいて業務を執行する。また、社内規
        定の見直しにより、職務権限や決済ルールを厳格化し、けん制強化と組織風土の改
        善を図るとともに、経営企画室及び内部監査室を取締役会の直轄部門とし、取締役
        会の意思決定及びガバナンス体制を補佐する。また、社外取締役の増強による取締
        役会への監視・監督機能を高める。
         取締役は執行役員の業務執行に関与することは能わず、また執行役員は経営方針
        の決定に関与できないため、互いにけん制効果が働き、経営の健全化や透明性の向
        上、及び業務執行に迅速性と効率性をもたらす。


  (2)    内部管理体制の強化
         外部専門家を含めたコンプライアンス委員会を設立する。取締役会による経営方
        針の策定や重要な意思決定に対して法規解釈に基づいた評価を実施する。また、コ
        ンプライアンス違反の未然防止のための行動指針の策定及び社内教育を徹底すると
        ともに、内部通報制度による法令順守に向けた自浄作用を促進する体制を整備する。
         コンプライアンス委員会は取締役会から独立して設置し、外部専門家をメンバー
        に加えることで社外の常識を重視し、利益相反状況を回避する。


  (3)    監査役による経営監視の強化
         監査役会は内部監査室と連携して各取締役及び取締役会の職務執行状況を監視す
        るとともに、疑義があれば取締役会に対して改善を勧告・実行させる体制を整備す
        る。また、監査法人との定期的な会合を持ち、協働・連携を図る。また、社外監査役
        の増強による経営監視機能を高める。
         さらに、コンプライアンス委員会及び内部監査室と連携し、取締役会のコンプラ
        イアンス意識を高める。


  (4)    経理及び会計処理のチェック体制の強化
         経理部が日々処理する入出金及び会計処理について、多層に渡るチェック体制を
        敷くことで、不正処理を防止する体制を整備する。
        具体的には、管理本部長及び内部監査室によるチェックを実施し、不正処理及び
        不正会計を未然に防止するとともに、不正の発生しない土壌を作る。


4.経営体制(経営陣の責任の明確化等)について
  (1) 経営陣の責任の明確化(取締役の辞任)
         山中教史、正垣達雄及び前川邦彦は、令和 2 年 4 月 30 日をもって取締役を辞任
        しました。
         なお、同 3 月 31 日をもって、常務取締役調査本部長である武田仁は取締役を退
        任しております。


  (2) 顧問契約の解除
         令和 2 年 3 月 31 日をもって、村崎稔との顧問契約を解除しております。


  (3) 相談役の退任
         令和 2 年 4 月 30 日をもって、相談役である落岩邦俊は相談役を退任しておりま
         す。


  (4) 令和 2 年 5 月以降の経営体制
         再発防止の改善措置を実行する経営体制を以下の通り、業務執行とその監視とに
        役割を分離します。
         また、取締役第一本部長である新美鹿次郎及び取締役第二本部長である三谷正志
        は新経営体制の下で同 5 月 1 日付にて執行役員に就任するため、同 4 月 30 日をも
        って取締役を辞任しております。
         なお、以下の取締役の任期は、令和 3 年 6 月開催予定の定時株主総会までとなっ
        ております。


        ① 取締役
          代表取締役社長     木村 学
          代表取締役専務     鈴村 建直
          取締役         岡田 義孝
                     取締役                         當野 忍
                     取締役(社外)                     中島 文隆


                 ② 執行役員
                         執行役員                    新美 鹿次郎
                         執行役員                    三谷 正志
                         執行役員                    渡邊 誠一
                         執行役員                    小林 武
                         執行役員                    東根 義行


         (5)令和 2 年 5 月 1 日現在の組織図
2020年5月1日付
会社組織図

         監査役会                        取締役会                                    コンプライアンス委員会
          常勤監査役 左海 博夫                 代表取締役社長         木村 学
          常勤監査役 浅野 信行                 代表取締役専務         鈴村 建直                  経営企画室
          社外監査役 中安 博司                 取締役               岡田 義孝                 室長       長澤 正広
          社外監査役 檜原 敏一                 取締役               當野 忍
                                      取締役(社外)          中島 文隆                 内部監査室
                                                                              室長       半田 邦彦




                         商品事業本部


 第一本部                        第二本部                                管理本部                    調査本部
  執行役員本部長 新美 鹿次郎              執行役員本部長 三谷 正志                       執行役員本部長 渡邊 誠一           専務取締役本部長 鈴村 建直




第   新   新    千   仙   名   大   第   日   大   和   広   高   福   法   総   広   経   業   市   業   人   企   フ      情   顧   顧
                                                                                              ュ
一   宿   宿    葉   台   古   阪   二   本   阪   歌   島   松   岡   人   務   報   理   務   場   務   事   画      ー   報   客   客
本   第   第    支   支   屋   第   本   橋   支   山   支   支   支   部   部   ・   部   部   部   シ   部   部          シ   審   管
店   一   二    店   店   支   二   店   支   店   支   店   店   店           I               ス           チ      ス   査   理
                                                                                             ャ
    支   支            店   支       店       店                       R               テ             ー    テ   部   部
    店   店                店                                       部               ム                  ム
                                                                                 部           ズ      部
                                                                                             2
                                                                                             4




Ⅲ.不適切な情報開示等が投資家および証券市場に与えた影響についての認識
        この度の過年度決算の訂正に関しまして、株主・投資家の皆様、金融機関の皆様、お客様、
    お取引先の皆様ほか多くの関係者の皆さまに、多大なるご迷惑とご心配をおかけしましたこ
    とを、深くお詫び申し上げます。
        上記Ⅱ.3に掲げた再発防止に向けた改善措置のほか、必要に応じて追加の再発防止策等を
    講じ、上場会社としてこの事態を改めて反省し、今後二度と本件のような不適切な会計処理
    が発生しないよう、当社全役職員が一丸となり、上記再発防止に向けた改善措置を確実に実
    行して過去の諸問題を一掃するとともに、すべてのステークホルダーの皆さまと市場からの
    信頼回復に向けて全力を尽くしてまいる所存です。
                                                                                                            以   上