8746 J-第一商品 2020-12-15 16:00:00
改善計画・状況報告書(原因の総括と再発防止策の進捗状況)について [pdf]

                                                   2020 年 12 月 15 日
各    位
                            会社名    第   一   商   品    株   式    会   社
                            代表者名   代表取締役社長              木村 学
                                           (JASDAQ コード:8746)
                            問合せ先   執行役員 管理本部長 渡邊 誠一
                                    電話番号 03-3462-8011(代表)



    改善計画・状況報告書(原因の総括と再発防止策の進捗状況)について



Ⅰ.はじめに

    当社は、2020 年7月 10 日発表「特設注意市場銘柄の指定及び上場契約違約金の徴求に
 関するお知らせ」にてお知らせいたしましたとおり、東京証券取引所より当社の内部管理
 体制等について改善の必要性が高いと認められたために、2020 年 7 月 11 日付で「特設
 注意市場銘柄」に指定されました。
    当社は、この事態を深く反省し、2020 年4月 30 日発表「第三者委員会の調査報告書の
 受領に関するお知らせ」における第三者委員会の調査結果及び再発防止のための提言を
 基に、今般の不適切会計の原因分析を行い、改善策を取り纏めましたのでお知らせいたし
 ます。
    株主の皆様をはじめ、関係者の皆様に多大なご迷惑とご心配をお掛けしましたが、今後、
 コーポレート・ガバナンス体制と企業風土を再構築し、ステークホルダーの皆様及び社会
 からの信頼回復を目指し、全社一丸となって尽力してまいる所存でございますので、何と
 ぞご理解いただきますとともに、引き続きご支援を賜りたく、よろしくお願い申し上げま
 す。




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Ⅱ.原因分析

 当社は、2015 年 3 月期から 2020 年 3 月期第 1 四半期までの決算に係る会計処理にお
いて、回収可能な長期貸付金の回収を装った不正会計処理があり、資産が過大に計上され
ていたことにより、主務省から事業報告書及び月次報告書に虚偽の記載があったとの指
摘を受け、当該回収に関連した不可解な取引並びに使途不明金発生の可能性についても
指摘されました。これを受け第三者委員会による厳正かつ徹底した調査の結果、主務省か
ら指摘を受けた回収可能な長期貸付金の回収偽装及び当該回収に関連した委託者未収金
の回収偽装に関して、不正会計処理が判明し、事業報告書及び月次報告書に訂正が生じま
した。これにより特設注意市場銘柄に指定されました。
 特設注意市場銘柄指定に関する具体的な原因について以下のとおりと考えています。
なお、特設注意市場銘柄指定の原因となった過年度決算訂正の概要及び第三者委員会に
よる調査結果については、2020 年5月1日付開示「過年度の有価証券報告書の訂正報告
書の提出及び過年度の決算短信等の訂正に関するお知らせ」及び 2020 年4月 30 日付開
示「第三者委員会の調査報告書の受領に関するお知らせ」をご参照ください。
1. コンプライアンス意識の欠如
  (1) 役員のコンプライアンス
      今般の貸付金の回収偽装と使途不明金に係る不正会計処理については、過去
    の歴代の経営陣から引き継がれた負の遺産の後始末的な事象であり、本質的に
    は、過去から連綿と続いた経営トップの主導による経営者不正の事案であると
    考えています。
      具体的には、顧客の取引証拠金口座の資金を無断流用して他の顧客に対する
    委託者未収金の回収偽装に充てる利益操作及び担保権のある貸付金に関して広
    告宣伝費の名目で社外流出させた資金を還流させて回収偽装を行うとともに、
    上記取引証拠金の穴埋めに利用することが経営幹部の主導により行われました。
    当時の監査法人から指摘された適正な会計処理を回避し、担保権の実行を避け
    て貸付金を存続させながら回収を偽装して実態と異なる開示を行っており、歴
    代経営陣のコンプライアンス意識の欠如が今回の事態を招いたものと考えてお
    ります。
  (2) 従業員のコンプライアンス
      上記(1)のとおり、今回の不適切行為は経営トップから始まりました。本来、
    従業員を指導する立場の役員が、コンプライアンスを軽視し、表面的な業績の糊
    塗に走り、これに協力することが、従業員の役割であるかのように振舞っていま
    した。当然、従業員に対するコンプライアンスの指導は行われず、社内の価値観
    が誤った方向へ向かい、コンプライアンス軽視の風潮が社内に醸成されてしま
    いました。

                        2
2. ステークホルダーへの配慮に欠けた閉鎖的な組織風土
   歴代経営陣のコンプライアンス意識の欠如が大きく影響しておりますが、当社に
  は社外のステークホルダーを軽視した内向きかつ閉鎖的な組織風土が醸成されてい
  たと考えております。少なくとも 2006 年頃から断続的にみられる委託者未収入金の
  回収偽装については、当社にとって最も重要なステークホルダーであるはずの顧客
  の資産を無断流用していることに加え、別の顧客に対する委託者未収入金の回収偽
  装を行って当社の財務情報を偽り、投資家その他のステークホルダーをも欺くこと
  となり、経営トップが主導していたとはいえ、指示を受けた従業員は、経営層からの
  指示に盲目的に追従し、顧客に送付する報告書や残高照合通知書の破棄や偽装とい
  った行為にまで及んでおります。世間の常識からみれば顧客や投資家を裏切る反倫
  理的な行為であることは明らかであり、他のステークホルダーの利益を度外視して
  でも経営トップの意向を最優先する風潮及び上意下達の組織風土が醸成されていた
  ものと考えております。


3. 経営体制の問題
  (1) 特定の経営陣への権限の集中
     当社の定款には、取締役会の決議により、相談役及び顧問を若干名置くことが
    できると規定されています。こうした規程に基づき、旧経営陣の取締役会長や取
    締役社長を退任した者が顧問や相談役に就任し長期間にわたって実権を握り取
    締役会を掌握していたため、取締役社長を含め取締役のより適切な経営管理体制
    を整備し、自らの経営管理能力を随時向上させていくという姿勢の欠如と、過去
    の当社歴代経営陣から引き継がれた負の遺産とも言える連綿と続いた誤った判
    断に基づく経営体制が続くこととなり、当社の経営者を監視・監督するガバナン
    ス機能が発揮されることなく、長期間にわたる不正会計処理が見過ごされていま
    した。
  (2) 役員体制の問題
     当社は経営の意思決定と職務執行を分離し、取締役会が執行役員の職務執行
    を監督する体制を構築するため、執行役員制度を導入していますが、実際には社
    外取締役 1 名を除く取締役は、本部長、部長及び、室長などを兼任するなどして
    業務執行に関与することができる体制にあり、業務執行に対して安易に指示を
    出すことができる状況になっていました。
     そのため、取締役が職務執行を監督する体制が形骸化しており、今回の不正会
    計処理においても本来の監督する体制が機能せず発覚が遅れたものと考えてお
    ります。




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4. 取締役による監視・監督機能の問題
  (1) 取締役構成の問題
     当時の取締役会は、全 11 名の取締役により構成されていましたが、社外取締
    役を除く全員が本部長、部長又は室長などを兼務して業務執行に携わっていまし
    た。社外取締役は 2015 年6月に初めて選任された1名のみであり、しかも当社
    の元従業員であって、活発に発言している状況もなく、当社においても、社外取
    締役の知見を活用しようとする努力はなされませんでした。このように当時の取
    締役構成は独立性が保たれた社外取締役がおらず、経営陣の不正等を監視・監督
    するガバナンス機能が失われており、不正会計処理が行われている時も経営陣に
    対して不正を指摘し改善させることが出来ておりませんでした。
  (2) 取締役における責任感の欠如
     当社は、取締役の使命・職責を明確にしておらず、取締役が備えるべき管理能
    力の判断基準や教育研修制度が整えられておりませんでした。また、歴代経営陣
    のトップダウン型の経営方針により、当時の取締役は使命・職責を果たすことが
    困難な状況にありました。
     その結果、代表取締役への提言や率先した改善活動を行うことがなく、積極的
    な措置を行っておらず、資質に欠ける取締役が登用され管理・監督・監査といっ
    た各々の使命・職責を果たす上での緊張感が欠如していました。
  (3) 取締役会の形骸化
     当社取締役会は定時取締役会が原則として毎月 1 回開催されており、取締役
    会規程に規定された決議事項を決議するなどしておりましたが、実際は重要な案
    件についても取締役会決議は行われているものの、議案の中身について積極的な
    質疑が行われた形跡はなく、また、その経緯についても具体的な説明がなく形式
    的に追認している状況であり、取締役会による監視・監督機能は機能していない
    状況にありました。また、社外取締役に対する取締役会の議案の事前説明等は特
    段行われておりませんでした。議事録に会議の詳細は記載しておらず、どのよう
    な議論が行われていたのか不明で、今般の不正会計の調査でも事実認定に足る証
    拠が得られなかったことからも取締役会議事録の作成について問題があったも
    のと考えております。


5. 監査役による監視・監督機能の問題
  (1) 監査役における職責意識の欠如
     当社は監査役会設置会社であります。2015 年3月期に1名の常勤監査役が退
    任したことにより 2016 年3月期は常勤監査役1名、社外監査役2名の体制とな
    っておりましたが、 2017 年3月期にはガバナンス強化を目的として常勤監査役
    1名が追加で選任され、常勤監査役2名と社外監査役2名で構成されておりま

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    した。しかし、当時の社外監査役2名は、社外の目線から当社のトップダウン型
    の判断プロセスを是正しようとする動きは見られませんでした。
     また、常勤監査役及び社外監査役は、取締役会には出席しているものの、今般
    の不正会計の発端となった貸付金の実行や巨額の債権放棄などについて、取締
    役の善管注意義務が尽くされているかといった観点からの質問や指摘等を行っ
    ておりませんでした。広く情報収集を行い、リスク評価に応じた実行性ある監査
    の実施に努め、不適切な会計処理を発見し、あるいはそれを防止しようとする職
    責意識が欠如しておりました。当社の監査役監査の体制は、外形上は他の上場企
    業と比較しても遜色がないといえますが、監査役の取締役に対する監視・監査が
    機能していない状況にありました。
  (2) 情報共有の機能不全
     監査役会は、業務上の課題や問題の検出を内部監査室との連携により補完する
    こととしております。しかし、内部監査の実施状況や実施結果について十分な評
    価を行っておりませんでした。結果として業務上の問題や課題を適時かつ十分に
    収集できておりませんでした。
     さらに、社外監査役に対して取締役会議案や係る資料を事前に共有すること
    がなく、監査役会議事録にも会議の詳細が記載しておらず、どのような議論が行
    われていたのか不明であり、社外監査役が会社の課題や状況を知ることができ
    ない状態にありました。
     また、会計監査人との連携ができておらず、情報共有を決算時にのみ行ってお
    り、決算策定過程の問題については、決算時の指摘事項を聞くのみで会計監査人
    からの報告に対して、積極的に経営陣と会計監査人との間の調整過程に関与し、
    疑問を呈するなどの対策ができておりませんでした。


6. 社内体制の問題
  (1) 業務フローの不備
     当社による顧客の取引証拠金口座の資金を流用した委託者未収金の回収偽装
    につきましては、回収困難な委託者未収入金を別の顧客の取引証拠金口座から
    無断流用する顧客間の取引証拠金口座間の入出金取引を繰り返し行っておりま
    した。
     当時の代表取締役が業務を行う担当者へ直接指示をすることで、入出金の処
    理を行っておりましたが、担当者は上席者への報告や相談の必要性を感じるこ
    となく盲目的に従っている状況でありました。取引実績のない異常な入出金等
    について上席者がチェックを行う体制が構築されていれば気づくことができた
    と考えております。
     口頭での伝達など確認・承認がないフローがあり、確認や承認フローがあるも

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    のでも証憑が添付されておりませんでした。どのような証憑に基づいてチェッ
    クするのか明確なルールがなく、確認者や決裁者がその役割に応じて、相互チェ
    ックするという意識自体が欠如し、チェック体制自体が形骸化しておりました。
    社内全体が他部署を信頼しきっており、業務フローが不適切な処理を防止する
    仕組みを果たさず、役員・従業員間の牽制機能を発揮する体制にありませんでし
    た。
 (2)不適切な運用
    取引証拠金口座において入出金があった際には、業務部が取引報告書を顧客に
   送付することとされていましたが、流用を行った口座については意図的に破棄さ
   れておりました。また、偽造された残高照合通知書を顧客に送付しており、明らか
   に業務フローから逸脱した処理を行っていました。さらに、顧客の取引証拠金口座
   の入出金に対する日常的なモニタリングを行っておらず、運用チェックができて
   いない状況にありました。この社内全体が社内規程や業務マニュアルを軽視ない
   し無視をするという不適切な行動は、当時の当社代表取締役社長を筆頭に取締役
   及び監査役がコンプライアンスに対する関心が非常に低く、社内規程や業務マニ
   ュアルが適切に整備されているかどうかの調査や検討を取締役会等で議論される
   こともなく、社内規程や業務マニュアルについて不適切な運用がなされても大き
   な問題ではないという社内風土が醸成されていたことによるものと考えられます。
 (3)外部専門家の軽視及び対応不備
    当時の会計監査人から長期貸付金について、貸付金の回収が行われていないこ
   とを問題視し、担保権を実行して担保株式を処分した上、差額の回収不能部分は貸
   倒損失によって損失処理すべきと指摘されましたが、適切な対応をとらず、長期貸
   付金の回収偽装及び当該回収に関連した委託者未収入金の回収偽装のスキームを
   考案し、実行するなど誤った対応を行っておりました。
    また、今般の広告宣伝取引は消費税の課税取引として処理しておらず、その資金
   使途の実態に応じた適切な会計処理も行われておりませんでした。
    各部署が関連する外部専門家へ相談する社内風土がなく、外部専門家の意見や
   指摘を十分に検討し、適切な処理を行う体制が構築できていなかったためと考え
   ております。


7. 内部監査機能の問題
  (1) 組織体制の不備
     当社は、内部監査を実施する内部監査室を設置しておりますが、社長直轄とな
    っており、内部監査業務は、内部監査担当者に求められる独立性が十分に確保で
    きていない状況にありました。また、当社では前経営者などにより内部監査は形
    式だけ整えておけば良いといった発想で内部監査を軽視する姿勢を示しており、

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    内部監査室は慢性的に人員が不足しておりました。監査報告も社長のみに行っ
    ており、報告内容は内部統制監査のみとなっておりました。そのため、内部監査
    としての本来の機能(業務監査、組織・制度監査)について報告がないことについ
    て指摘されることはありませんでした。
     また、レポートラインが社長のみとなっていたため、問題点を是正するための
    仕組みがなく、業務監査や組織・制度監査について問題があったとしても該当す
    る部署や役職員にフィードバックできる体制にありませんでした。
  (2) 監査役・会計監査人との連携不備
     前述にありますように内部監査室は内部統制監査のみを行っていたため、監査
    役や会計監査人と会計監査について連携をしておりませんでした。そのため会計
    処理に関して協議ができる状態にありませんでした。
  (3) モニタリング機能不全
     上記 7.
         (1)にも記載しましたが当社は内部監査を軽視し、慢性的に人員不
    足でありました。その結果、内部監査が計画通りに実施されず十分な実施結果の
    評価をすることが出来ませんでした。また、リスク管理の第三線として、被監査
    部門から独立した内部監査部門が運用状況をモニタリングする必要があるにも
    関わらず、内部監査の主眼は、金融商品取引法の内部統制報告制度対応に置かれ
    ており、指摘事項も押印漏れ、書類の保管状況といった軽微な指摘のみとなって
    おり、経営に対する監視・監督が機能していない状況にありました。


8. 内部通報制度の不備
   当社では、不適切な会計処理の発覚までの間に内部通報が行われた実績はなかっ
  たことから、具体的にどのようなケースにおいて内部通報が求められるのかが役職
  員を含む従業員の間で十分に理解されていなかったものと考えており、その周知方
  法や制度理解の深度は不十分であったと認識しております。また、当社は歴代経営陣
  がコンプライアンスを軽視し、トップダウン型で物事を判断する体制が確立されて
  おりました。このため役職員を含む従業員に不適切行為への疑念を持った者があっ
  たとしても、内部通報制度を使用して通報することに意識が向かわなかった可能性
  があると考えております。



Ⅲ.再発防止に向けた改善措置

1. コンプライアンス意識の強化(原因分析「コンプライアンス意識の欠如」に対応する
  改善策)
   第一に、経営陣が今回の不適切行為の原因を正しく理解し、これまで役職員におい
  てコンプライアンス意識や知識が著しく欠如していたことを反省した上で、コンプ

                    7
ライアンスを徹底した経営を行うことを宣言することが必須と認識していることか
ら、当社代表取締役社長より全社員に対してコンプライアンス意識向上並びに今後
の研修等の重要性を伝えた上で、下記の施策を実施します。
(1) コンプライアンス委員会の設置
   旧経営体制ではコンプライアンス規程はありましたが、当該規程に即したコン
  プライアンス委員会は設立されておらず、当社のコンプライアンス体制の構築や
  維持を担う組織も存在しておりませんでした。また、社内のコンプライアンス意
  識の涵養を重視すべきであったにも関わらず、そのような姿勢を社内に打ち出す
  ことがなく、役職員各々の立場に応じたコンプライアンス研修についても実施し
  ておらず、積極的な役職員のコンプライアンス醸成活動や社内のコンプライアン
  ス意識の浸透状況の確認も行っておりませんでした。
   今般の不正会計処理の発覚を機に、取締役による経営方針の策定や重要な意思
  決定に対する社外からの監視強化まで期待して、コンプライアンス委員会を設置
  しました。しかし、従前のコンプライアンス規程では社長が委員長を務めるもの
  であったため、社外取締役を委員長とするようにコンプライアンス規程を 2020
  年 9 月 1 日に改定し、社外からの監視を強化し、コンプライアンスの徹底・強化
  に向けた活動を主導するため外部専門家を含めたコンプライアンス委員会とな
  るようさらなる改善を行いました。選任するコンプライアンス委員長や委員は、
  外部の有識者(弁護士、会計士、税理士)であり、コンプライアンスについての
  知見、経験を有している方を登用することが望ましいと考え、コンプライアンス
  委員長は新しく就任した社外取締役である川戸淳一郎弁護士とし、委員として外
  部の有識者である大下良仁弁護士が就任いたしました。川戸淳一郎弁護士は、コ
  ンプライアンスや内部統制についての講演を行っており、日本商品先物協会でも
  内部管理責任者等資格研修の講師を務めていることから金融業界にも精通して
  おり、当社のコンプライアンス委員長にふさわしいと判断いたしました。また、
  今般の件を受けてコンプライアンス研修を依頼し、講師を務めた大下良仁弁護士
  が当社のコンプライアンス意識の醸成に向けた活動に継続的に尽力いただける
  と考え、コンプライアンス委員の就任を依頼いたしました。
   さらに、同日付でコンプライアンス違反の未然防止のための行動指針を策定い
  たしました。
   コンプライアンス委員会は、旧経営陣に対する責任追及、社内のコンプライア
  ンスチェック、モニタリング、是正措置・再発防止策等の策定、コンプライアン
  ス研修の計画・実施を主な活動とし、それらの状況等を取締役会へ報告をいたし
  ます。事務局の整備など詳細については 2020 年 11 月に新たにコンプライアン
  ス委員会規程を制定、整備いたしました。
   今般の改善措置の実施状況に対しては遵法性の観点のみならず、内部統制のリ

                     8
  スクの見地からも審議を行い定期的に取締役会に調査報告書を提出することで
  継続的なコンプライアンス意識の醸成に向けた活動に取り組んでいく予定です。
   また、1 年に 1 回コンプライアンス強化週間を設け、関心が薄れないための対
  策を講じつつ、恒常的な周知活動を継続してまいります。
(2) コンプライアンス研修
   役員及び従業員のコンプライアンス意識の浸透状況を確認するとともに、業
  務に関連して遵守すべき法律等に関する基礎知識の習得を図るべく全役職員向
  け研修を以下のとおり継続的に実施いたします。
  ① 全役職員向け
     外部有識者を講師とする計4回のコンプライアンス研修を全役職員に対
    して予定しており、
            2020 年 10 月 13 日を初回として実施を進めております。
    e-ラーニングによる研修も導入しており、全役職員のコンプライアンス意識
    の定着・効用を目的として効果測定を実施しております。今回の 4 回の研修
    が終了した後、継続して毎年 1 回のコンプライアンス研修を行う予定です。
  ② 役員向け
     役員は、従業員とは異なる法律上の責任を負っており、会社法に定められ
    た取締役の法的責任を再確認し、それにふさわしいコンプライアンス行動が
    求められます。また、取締役及び監査役には取締役会の一員あるいは監査役
    会の一員としての責任だけでなく、取締役及び監査役個人としての責任があ
    ります。他の取締役及び監査役がどうであろうと、自らの信念に基づいて、
    自立的に責任を果たすことが求められます。
     ①の研修に加え、以下をテーマとする外部有識者を講師とするコンプラ
    イアンス研修を 2020 年 12 月から毎月開催し、コンプライアンスの浸透状
    況を考慮して 2021 年 11 月までを目安に予定しております。今回の研修が
    終了した後、継続して毎年 1 回のコンプライアンス研修を行う予定です。
   ・取締役の法的責任の知識(会社法、金融商品取引法など)
   ・当社の事業に関連する重要法令の知識
   ・全社的リスクマネジメントの知識
   ・内部監査や内部通報制度などの重要な社内制度の知識(特に構築面)
    また、日本取引所自主規制法人が開催する上場会社の役員等を対象とした
    上場会社セミナーなど外部の研修を利用し年 1 回を目安に参加する予定で
    す。
   なお、上記の研修以外では、取締役会、経営会議及び業務連絡会において、コ
  ンプライアンス活動の報告及び議論を行うことでコンプライアンス意識の醸成
  を図っております。
   また、子会社のコンプライアンスの醸成状況については、子会社独自でコンプ

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  ライアンス研修を毎月行っておりますが、年に1回は合同で研修を行う予定で
  す。子会社管理においては 2020 年 11 月に関係会社管理規程を制定し、当社の
  監査役及び内部監査室が子会社の監査役及び内部監査部門とそれぞれ連携し、
  レポートラインの確保を行い、当社から内部監査部門への指示ができ、また、当
  社への報告がされる体制としております。
(3) 社内風土の改善
   以下の施策を行うことでコンプライアンス意識の醸成の浸透を図っておりま
   す。
  ・業務連絡会の実施
   閉鎖的な社内風土を改善するために、従業員が主体性をもって事業に取り組
   むことを目的とした業務連絡会を 2020 年 8 月 11 日より毎日開催しておりま
   す。
   「事業の目標や評価」「業務の進捗確認」
                     「社内の課題共有」「現場レベルでの
   改善や施策の議論」
           「コンプライアンス活動の報告及び議論」
                             「外部専門家の意
   見の共有」などを毎回の議題としております。参加者は執行役員、各部から選
   出された社員とし、部署や役職を越えたコミュニケーションの機会として、現
   場からの意見を聞き顕在化していない課題を発見することにも寄与するもの
   と考えております。
  ・経営会議の実施
   トップダウン型の判断プロセスを是正し、ボトムアップの機能を持つ経営会
   議を新設するため、経営会議規程を 2020 年 11 月に制定し、2020 年 12 月よ
   り実施いたします。原則として参加者は執行役員と室長、各部署の責任者、常
   勤監査役とし、月 1 回開催いたします。従業員からの意見を吸い上げる場と
   し、各部署の活動報告、事業計画及び販売計画における実績等の状況報告、グ
   ループ内で生じているリスクの共有、報告を毎回の議題の基本とし、相互の活
   動を牽制する場でありながら、機動的に事業を推進する場としております。ま
   た、会議の内容を取締役会に報告することで、会社全体で実務実態と現場レベ
   ルのリスクの共有をいたします。
  ・部門ディスカッションの実施
   部門ごとに、法令ルール違反事例に関する職場ディスカッションを行うこと
   を 2021 年1月実施に向けて検討しております。なお、本年度においては、3
   か月に 1 回、以降は半年に 1 回を予定しております。内容としては自社や他
   社で起こったコンプライアンス事例を題材に、その発生原因、再発防止策、自
   職場でも同じ問題が生じないかなどを部門ごとにディスカッションを行う予
   定です。



                    10
2. ステークホルダーへの配慮と健全な組織風土の醸成(原因分析「ステークホルダーへ
  の配慮に欠けた閉鎖的な組織風土」に対応する改善策)
  (1) 責任の明確化
     今般の不正会計処理の再発防止をステークスホルダーからの信頼を回復する
    ための第一歩として、今般の不適切行為に関与した経営陣の責任を明確化すると
    ともに不正行為に関与した役員の経営責任及び法的責任の追及を検討しており
    ます。責任追及プロセスの客観性・公正性に疑問を持たれないよう配慮した体制
    で行われるよう慎重に協議を進めてまいります。
  (2) 社外向けメッセージの配信
     不正行為に関与していない者を社長に選定し、その者が当社グループの経営ト
    ップとして当社グループのコンプライアンス重視のメッセージを明確にかつ繰
    り返し発信することでステークホルダーの信頼回復に努めます。


3. 経営体制の変更・強化(原因分析「経営体制の問題」に対応する改善策)
   当社のガバナンスが機能不全に陥った一因としては、経営陣が交代してもカリス
  マ的な存在だった実質的な創業者をはじめとする旧経営陣の意向や方針を引き継い
  だ経営が行われていたことにあります。したがって、旧経営陣の影響を排除するため
  以下の対策を講じました。
  (1) 旧経営陣の退任
     当時の代表取締役社長、取締役副会長及び取締役経理本部長は、第三者委員会
    の調査結果を踏まえ、本件の不適切な会計処理が当社に与えた影響や経営責任を
    重く受け止め辞任を申し出たため、当社は 2020 年 4 月 30 日付でこれを受理い
    たしました。また、2020 年 5 月 1 日に新しく代表取締役社長に就任いたしまし
    た木村学は、今般の不正会計処理が当社に与えた影響や経営責任を重く受け止め、
    再発防止に向けた各施策が着実に運用されるよう努めてまいります。また、当社
    グループの危機的状況からの脱却、今後の持続的成長及び中長期的な企業価値向
    上を目指すため、事業の立て直しにも注力してまいります。
  (2) 顧問契約の解除・相談役の退任
     当社の顧問は 2020 年 3 月 31 日をもって顧問契約を解除いたしました。
     また、
       当社の相談役は 2020 年 4 月 30 日をもって相談役を退任しております。
     現在は、顧問及び相談役は不在となっておりますが、当社の取締役経験者を顧
    問・相談役として迎え入れる制度を廃止することを 2020 年 11 月2日開催の取
    締役会で決議いたしました。また、2021 年 6 月開催の定時株主総会にて定款を
    変更し廃止いたします。
  (3) 役割の分離
     当社の取締役は本部長、部長及び室長などを兼任するなどして業務執行に対し

                       11
    て安易に指示を出すことができる状況であり、決裁者としての権限を有していた
    ために不正を監視できる状態にありませんでした。
     牽制機能を発揮することを目的とし、取締役と執行役員の役割を明確化するこ
    とで取締役は執行役員が取締役会の決定した経営方針に従って業務を執行して
    いるか監視する体制をとるため、取締役を本部長職から外し、本部長職には執行
    役員を就任させる人事異動を 2020 年 5 月 1 日に行いました。2020 年 9 月 1 日
    に日産証券へ一部事業譲渡及び早期退職制度により人員が減ったことによる組
    織の統廃合のため執行役員を 5 名から2名に変更いたしました。現在は、日本商
    品先物取引協会の「会員の内部管理責任者等に関する規則」で内部管理総括責任
    者は、内部管理を担当する取締役又はこれに準ずる者を置くことが求められてい
    るため、調査本部長は取締役が兼任することとしておりますが、その他は、取締
    役と本部長等業務執行責任者との兼任体制は解消され、取締役が業務執行に関与
    できない体制となっております。
     また、2020 年 11 月、取締役の役割、選任プロセス、経営と業務執行の分離に
    ついて記載した役員規程を新たに制定いたしました。今後は不適切な兼務が起こ
    らないよう牽制の効いた組織体制を構築・維持するよう努めます。


4. 取締役による監視・監督の強化(原因分析「取締役による監視・監督機能の問題」に
  対応する改善策)
  (1) 社外取締役の選任
     当時の取締役は社外取締役であっても元従業員であり、独立性を有していると
    は言えず、執行側に対する監視・監督機能を有しておりませんでした。また、取
    締役間の相互牽制も機能していませんでした。
     現在は、取締役会の監視・監督機能を強化するため、2020 年 6 月 27 日開催の
    第 48 期定時株主総会をもって前任の社外取締役は辞任し、他社での社外取締役
    の経験と法律専門家としての知識を有し、当社とは独立した立場の川戸淳一郎弁
    護士が新たに社外取締役として就任しております。外部専門家による第三者的な
    視点から、 ・
         監視 監督機能の強化によるコーポレート ガバナンスの充実を図り、
                            ・
    法務・会計、コンプライアンスに関する積極的な指導・監督を実現することで、
    取締役会における業務報告をより充実させるとともに、牽制の効いた実効性のあ
    る取締役会への改善が進むものと考えております。
     また、当社グループの実態を踏まえ、社外取締役の人員構成や当社に必要とさ
    れる専門性を持つ人材の選任についても更なる検討を行ってまいります。
  (2) 取締役選任プロセスの整備
     当社の取締役会では、取締役の選定・解職の基準及びプロセスを社内規程等で
    明記されておらず、適格性を評価する基準も整備されていなかったことから、管

                        12
  理・監督・監視といった各々の使命・職責を果たす上での緊張感が欠如したもの
  と考えております。
   当社代表取締役を含むすべての役員が、コンプライアンスを第一に考えること
  を徹底し、以下の資質を有する人材を当社の取締役に選任する必要があると考え
  ております。今後当該資質を有する候補者を選任する事項を 2020 年 11 月に新
  設した役員規程に記載をいたしました。
  ・自己に与えられた使命・職責を理解していること
  ・高いコンプライアンス意識・倫理感を有していること
  ・戦略的な思考力・判断力に優れていること
  ・責任感を持って公正・的確な意思決定と経営の監督を実行できること
  ・当社及び子会社の業務に対する知見を有すること
   また、さらなる意識改善を進めるために、新設した役員規程に経営陣を律する
  行動規範を明記しました。今後は就任時に行動規範を遵守する旨を書面にて確認
  し、重大な違反等があれば辞任を勧告できることとします。また、行動規範を社
  員に周知することで社員による監視・牽制体制を強化いたします。
   現任の取締役は、就任の際に上記プロセスを経ておりませんが、業務全般に関
  する知識を有し、社外監査役からも取締役としての適性については問題ないとの
  見解を付されております。しかしながら、過去の不正が行われた際に、取締役等
  であったものには不正の抑止力となれなかったことについては責任があるもの
  と考えております。今後、選任プロセスに沿った新たな人選を行う予定です。
(3) 取締役会の透明化
   旧経営体制での取締役会は重要な案件についても取締役会決議は行われてい
  るものの、議案の中身について積極的な質疑が行われた形跡はなく、また、その
  経緯についても具体的な説明がなく形式的に追認している状況であり、透明性が
  確保できていない状況にありました。また、取締役に対して事前に議題や関連資
  料が提供されておりませんでした。このような状況を改善するため、取締役会に
  おいて当社の事業上のリスクを踏まえた十分な審議が行われるように、それぞれ
  の取締役に対して原則 3 日前には議題及び関連資料をメール送信などによって
  提供することで、取締役会開催前に取締役各自が判断できる期間を設け、提供す
  る情報の充実や早期化を図り、取締役会が十分な牽制機能を発揮できる体制を確
  保いたします。なお、2020 年 11 月より取締役会での審議の充実に向けた上記取
  り組みを実施しております。加えて、業務執行全般において、報告すべき事案が
  発生した場合、都度情報を集約し速やかに取締役に対して報告することを徹底し
  ます。
   また、社外取締役は監視体制を強化する点においても、非常に重要と考えてお
  り、助言機能や監督機能を十分に発揮するため、他の取締役と同様に情報共有を

                  13
    行い、2020 年 11 月に新設した役員規程において、社外からの視点によって経営
    の透明性と業務執行の監督の実効性を向上させることを役割とする旨を明記し
    ました。
     当社では、取締役会議事録を作成することとなっておりますが、取締役会議事
    録の作成について会議の具体的な協議の状況を記載するなど明確なルールが存
    在しておりませんでした。2020 年 11 月に取締役会規程を改定し、議事録の記載
    についてのルールを明記いたしました。今後は適切な運用に努めます。


5. 監査役監査体制の整備・強化(原因分析「監査役による監視・監督機能の問題」に対
  応する改善策)
  (1) 監査役会構成の見直し
     旧経営体制では監査役は取締役会には出席しているものの、取締役の善管注意
    義務が尽くされているといった観点から質問や指摘を行っておらず、取締役に対
    する監視・監査が機能しているとは言い難い状況にありました。
     現在は、取締役会に対する監視・監査機能を強化するため、2020 年 6 月 27 日
    開催の第 48 期定時株主総会をもって前任の社外監査役は辞任し、会社経営等の
    幅広い見識を持つ外部監査役として新たに橋本秀人氏、新田静男氏が社外監査役
    として選任され就任いたしました。
     今後は、再発防止に向けて下記の資質を有する人材を当社の監査役として選任
    する必要があると考えております。
    ・自己に与えられた使命・職責を理解していること
    ・高いコンプライアンス意識・倫理観を有していること
    ・責任感をもって自律的かつ積極的な監査を行い、経営管理体制強化に貢献でき
    ること
    ・(常勤監査役)職務を適切に果たすうえで必要な時間・労力を確保できること
    ・(社外監査役)企業経営・会計・法律その他分野に高い専門的知見を有すること
    ・当社及び子会社の業務に対する知見を有すること


     当該資質を有する候補者を選任する基準を 2020 年 11 月に新設した役員規程
    に明記しました。また、今後は当社グループの実態を踏まえ、監査役の人員構成
    や当社に必要とされる専門性を持つ人材の選任についても更なる検討を行い、新
    たに金融、法律、会計に精通した人材を選任する予定です。
  (2) 体制の整備・強化
     監査役は子会社の監査役とも連携を行い、監査計画を作成し、月に一回、子
    会社を含む各部門の責任者と面談を行い、活動状況、問題点を吸い上げ、業務
    執行の意思決定プロセスのモニタリングを行うなど実効的な監査体制を確立い

                     14
    たします。具体的には、代表取締役、取締役、執行役員との定期的な面談を行
    い、取締役会、監査役会、経営会議といった重要な会議体に参加するととも
    に、会議体における具体的な協議の状況を記載した議事録を閲覧し、監査役会
    ではモニタリング状況を報告し、議事録にも詳細に記載いたします。また、社
    外監査役との情報共有を徹底し、取締役会の付議事項をメール送信などによっ
    て関連資料の事前提供を徹底します。加えて、面談や業務執行の意思決定プロ
    セスのモニタリングを通じて報告すべき事案を発見した場合、速やかに社外監
    査役に対して報告を行います。
     なお、発見した事案については、必要に応じて内部監査室や会計監査人とも連
    携しつつ、監査役自ら社内調査を行うことにしております。これにより、内部監
    査室からの報告を待つだけでなく、監査役が社内動向や営業活動等を積極的に把
    握し、機動的に必要な是正を促せる体制としております。
  (3) 内部監査室及び監査法人との連携強化
     常勤監査役は、内部監査室との間で毎月 1 回のミーティングを実施し、内部監
    査の実施状況や実施結果について取り纏めた資料をもとに経営会議に報告し、内
    部監査の実施状況に関して懸念が生じた場合には代表取締役に対して追加の内
    部監査を要請するとともに取締役会及び会計監査人に対して当該状況を報告す
    ることといたします。また、決算時において会計監査人から報告された事項に対
    して、どのような経緯で会計監査人から指摘された決算処理が行われたのか独自
    に調査し、経営陣に対してヒアリングを行うなどして、会計監査人と情報を共有
    し、協議を行います。また、協議結果について取締役会で報告をいたします。


6. 社内規程の整備・運用の徹底(原因分析「業務フローの不備及び不適切な運用」に対
  応する改善策)
     当社では、業務フローの不備に対して社内規程の新設及び改定をするととも
    に、不適切な運用が行われないよう下記のとおり施策を実行いたします。また、
    2020 年 5 月 28 日付「事業譲渡に関するお知らせ」及び 2020 年 8 月 31 日付「早
    期退職者の募集結果及び特別損失の計上に関するお知らせ」にてお知らせいた
    しましたとおり、2020 年 7 月 20 日に日産証券へ一部事業譲渡するとともに、
    同社グループへ 70 名が転籍し、早期退職制度により 140 名が退職をいたしまし
    た。また、規程の改定等に際しては、ガバナンスの再構成のために 2020 年 9 月
    1 日に行った組織の統廃合も考慮しております。
  (1) 業務フローの改善
     当社の従前の業務フローには、確認者・承認者が明確になっていないものがあ
    りました。また、確認や承認の際に添付する証憑類が明確に示されていなかった
    という問題がありました。これにより明らかなコンプライアンス違反と思われ

                         15
  る処理に対しても上席者や他部署からの牽制機能が効かず、不適切な処理につ
  いても防止できる体制にありませんでした。
   起案部署での確認・承認を経てから承認部署での確認・承認を得ることを業務
  フローに組み込み、併せて証憑の添付を徹底することで、チェック体制の形骸化
  を防止し、牽制機能を発揮できる体制を構築します。業務実態に応じた確認・承
  認フローを設定し、どの証憑に基づいて何をチェックするのか明確なルールを作
  成し、これに伴う承認者権限の見直しを行い、確認・承認フローについて明記し
  た社内規程及び業務フローを 2020 年 11 月に整備いたしました。
   今後は、整備した業務フローや社内規程に対してのチェック機能を持ち、法務、
  コンプライアンス、リスク評価の観点から業務の遂行を確認する承認機関として
  コンプライアンス室の新設を検討しております。
(2) モニタリングの強化
   社内規程や業務マニュアルを軽視ないし無視するという不適切な運用を早期
  に発見し、対応するため内部監査室と監査役による日常的なモニタリングを実
  施いたします。
   また、内部監査室が毎月経理処理の整合性のチェックを行う、監査役が重要な
  契約や取引等について毎月全部署を対象とした面談を行うなど実態把握をし、
  適切な運用が行われているかを確認するなど日常的なモニタリングを継続して
  行うことで社内規程や業務フロー等の適切な運用を徹底し、不正に対する抑止
  効果を発揮できるものと考えております。日常的なモニタリングについては
  2020 年 12 月より実施いたします。
   なお、内部監査室が社内規程の整備状況及び運用状況の内容を精査し、実務執
  行者へのヒアリング等により実際の業務フローとの整合性についてのチェック
  を行った結果、各部署での業務フローと実態の乖離及び整合性に不備があった
  場合は、2020 年 12 月までに規程等の改定及び新設を検討いたします。


(3) 外部専門家の活用及び体制整備
   当社の従前の体制では、外部専門家を活用する社内風土が存在していなかっ
  たため、例えば契約に際して外部専門家に相談することがなく、重要な事項が記
  載されていない契約書が存在しておりました。今後は、各種業務において外部専
  門家への事前相談を業務フローに組み込み、外部専門家を積極的に活用する社
  内風土となるよう改善いたします。具体的には、経理部門には公認会計士、法務
  部門には弁護士、人事部門には社会保険労務士に対してそれぞれ相談する業務
  フローを構築する予定です。また、実態に応じて適切な会計処理が行われなかっ
  た原因として、外部専門家に相談をし、意見や指摘を受けたことに対して十分に
  検討することがなく一部署と経営者側のみの判断で誤った決断がされており、

                     16
       それについて他部署が指摘できる体制になかったこともあると考えております。
       外部専門家に指摘された問題や意見について業務連絡会で共有をし、対応が適
       切に行われているかを経営会議で確認することで部署間の相互牽制機能を発揮
       できるよう報告基準・検討体制を構築いたします。
        今般の不正会計処理や子会社(詳細につきましては、2020 年 5 月 25 日付「OK
       プレミア証券株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」をご参照くださ
       い。)の連結会計業務などを勘案して、2020 年6月度より公認会計士事務所とア
       ドバイザー契約を締結いたしました。当社は、当該会計士から、経理部門が行っ
       た会計処理の確認だけでなく、会計業務から有価証券報告書等の作成に至るま
       での指導を受けています。これにより当社全般の会計業務を強化するだけでは
       なく、作成した成果物について、当該公認会計士事務所が確認・検証できる体制
       が確保できるものと考えています。
        さらに、必要となる会計知識の取得・向上を目的とした会計基準に関する研修
       及び不正等の発生抑止を目的とした研修を 2020 年 12 月から実施する予定です。
       なお、参加対象者は常勤の取締役及び監査役、管理本部長、総務経理部責任者及
       び経理実務担当者、内部監査室責任者となっております。


7. 内部監査の整備・運用管理の徹底(原因分析「内部監査機能の問題」に対応する改善
  策)
  (1) 組織体制の変更
        当社は、内部監査を実施する内部監査室を設置していますが、社長直轄となっ
       ており、社長指示による不正行為まで適時に発見して是正するという機能を担わ
       せる上では内部監査の独立性が十分に確保できていない状況にありました。これ
       を解消するため、社長直轄から取締役会直轄の部門として 2020 年 5 月 1 日に組
       織体制を変更いたしました。内部監査室は牽制機能の強化として重要な役割を担
       うべく取締役会の命を受け、監査結果を取締役会に提出いたします。また、人事
       についても取締役会で決定することといたします。前経営者が内部監査は形式だ
       けを整えておけば良いといった発想で内部監査を軽視する姿勢を示していたこ
       ともあり、リスク管理の第三線として果たすべき役割や責任を十分に理解してお
       りませんでした。今後は、内部監査室の役割と責任を再確認し、実効的な内部監
       査に向けて運用を徹底いたします。
        また、内部監査室の人員不足を解消するために、2020 年 11 月 2 日付で内部
       監査室を 2 名から 3 名に増員を行いました。さらに内部監査体制強化のため外
       部のコンサルタントに指導をあおぎ、知識の強化やノウハウの蓄積を行う予定
       です。



                         17
  (2) 監査役・監査法人との連携強化
     内部監査室長は経営会議及び取締役会に出席するとともに、社内状況及び営
    業状況について相互の情報共有を行うとともにⅢ5.(3)にも記載している通り
    監査役との定期的なミーティングを行うことに加え、監査法人とも業務プロセ
    ス及び会計処理の方法等について協議を行うために定期的にミーティングを行
    うことといたします。
  (3) モニタリングの実施運用
     内部監査室は、社内規程を見直したのち、取締役会議事録等でその改定内容を
    確認し、さらに社内告知が適切になされていることを確認します。また、年間を
    通して実施される内部監査時に、社内規程の順守状況について、面談によるヒア
    リングおよび書面の視認、現場調査によって確認し、2021 年 3 月までに内部監
    査報告書として各会議体へ報告を行います。
  (4) 改善点のフィードバック
     内部監査室長は監査役と懸念事項や社内状況及び営業状況について相互の情
    報共有を行うとともに、以下の業務を行うことで改善点を是正するためのフィ
    ードバックを役職員に対して行う予定です。フィードバック体制は 2020 年 11
    月に整備を行いました。
    ① 統制環境、リスクの評価と対応、統制活動などの基本的要素で構成される全
      社統制のチェックリストに基づき、取締役会や監査役会の議事録の参照や関
      係者へのヒアリング
    ② 各部門が作成した業務フロー図及び RCM 又は業務記述書等に基づき、実務
      の作業に対してポイントとなる作業(キーコントロール)の証跡確認を行い、
      業務の整備評価及び運用評価
    ③ 全社統制のチェックリストや業務フロー図等について、内部監査室による確
      認だけでなく、会計監査人にも運用評価を実施する前に全社統制のチェック
      リストや業務フロー図に記載された統制の整備状況についての確認
    ④ 監査後に改善したほうが良いと思われる内容が監査法人又は内部監査室か
      ら指摘された場合、各部門で対処方法を検討・修正


8. 内部通報制度の整備(原因分析「内部通報制度の不備」に対応する改善策)
   旧経営体制では内部通報制度自体はあったものの、社内に設置されていた窓口は
  社長直轄部門となっており、役職員における内部通報制度の周知及び制度理解はも
  とより、不適切行為へ疑念を持った者があったとしても内部通報制度を使用して通
  報すること自体に意識が向かうことはなく、内部通報先としての機能を有しており
  ませんでした。
   内部通報制度の的確な整備・運用をすることと、表面化しないコンプライアンス

                       18
  違反を把握し、公正かつ厳正な処分を行うことは社内の規範意識を育むためには重
  要であると考え、法令遵守に向けた自浄作用のための内部通報規程を 2020 年 11 月
  に制定いたしました。
    また、社内におけるコンプライアンス違反の疑いの通報先として、12 月中に社外
  に通報窓口を設置する予定です。委託先の弁護士事務所を窓口として通報ルートを
  確立し、匿名性を確保するとともに通報者に不利益とならない配慮を施して、不正
  等の早期発見に努めてまいります。内部通報規程についての説明会を 2020 年 12 月
  に開催し、外部通報窓口の案内配布を行います。また、恒常的に全社員が見るイン
  トラネットに掲示をし、さらなる周知の徹底を行います。



Ⅳ.再発防止に向けた体制整備及び改善スケジュール

1. 体制
  以下の通り体制を整備します。
  今後の組織図(別紙1)
2. スケジュール
  主なスケジュールは別紙2のとおりです。なお、今後のスケジュールおよび改善策に
  大幅な変更があった場合は、速やかに開示します。
                                          以上




                    19
【別紙1】組織図




           20
【   別        紙   2   】   改     善      措        置        実    施    ス    ケ    ジ    ュ    ー     ル
                             :計画・整備

                             :実施・運用
                              2020年                                2021年

                             11月   12月    1月       2月   3月   4月   5月   6月   7月   8月   9月   10月

1.	ンプライアンス意識の強化
  コ

(1)	ンプライアンス委員会の設置
   コ
(2)	ンプ
   コ
         ①   全社員向け
ライアン
 ス研修     ②   役員向け

(3)	営会議の新設
   経

2.	テークホルダーへの配慮と健全な組織風土の醸成
  ス

(1)	任の明確化
   責

(2)	外向けメッセージの配信
   社

3.	営体制の変更・強化
  経

(1)	経営陣の退任
   旧

(2)	問契約の解除・相談役の退任
   顧

(3)	割の分離
   役

4.	締役による監視・監督の強化
  取

(1)	外取締役の選任
   社

(2)	締役選任プロセスの整備
   取

(3)	締役会の透明化
   取

5.	査役監査体制の整備・強化
  監

(1)	査役会構成の見直し
   監

(2)	制の整備・強化
   体

(3)	部監査室及び監査法人との連携強化
   内

6.	内規定の整備・運用の徹底
  社

(1)	務フローの改善
   業

(2)	ニタリングの強化
   モ

(3)	部専門家の活用及び体制整備
   外

7.	部監査の整備・運用管理の徹底
  内

(1)	織体制の変更
   組

(2)	査役・監査法人との連携強化
   監

(3)	ニタリングの実施運用
   モ

(4)	善点のフィードバック体制整備
   改

8.	部通報制度の整備
  内

内部通報制度の整備




                                               21