8713 フィデアHD 2019-09-27 16:30:00
2019年3月期における経営強化計画の履行状況について [pdf]

                                               2019 年 9 月 27 日
各   位
                            会 社 名 フィデアホールディングス株式会社
                            代表者名  代表執行役社長 CEO 田尾 祐一
                            コード番号  8713 東証第一部
                            問合せ先  執行役副社長 CFO 宮下 典夫
                                         (TEL.022-290-8800)



        2019 年 3 月期における経営強化計画の履行状況について


  当社及び当社子会社の北都銀行は、   「金融機能の強化のための特別措置に関する法律」に基づき、
2019 年 3 月期における経営強化計画の履行状況を別添のとおり取りまとめましたので、お知らせいた
します。
                                                以上




                【本件に関するお問い合わせ先】
         フィデアホールディングス IRグループ 大石 TEL:022-290-8800
経営強化計画の履行状況報告書




      2019年6月

  フィデアホールディングス株式会社

      株式会社北都銀行
                                                          目        次
1 2019 年 3 月期決算の概要 ............................................................................................... 1
  (1)     経営環境 .................................................................................................................. 1
  (2)     決算の概要 ............................................................................................................... 1
2 経営の改善に係る数値目標の実績 .................................................................................. 4
  (1)     コア業務純益 ........................................................................................................... 4
  (2)     業務粗利益経費率 .................................................................................................... 5
3 経営の改善の目標を達成するための方策の進捗状況 ...................................................... 5
  (1)     基本方針 .................................................................................................................. 5
  (2)     主要施策 .................................................................................................................. 6
4 従前の経営体制の見直しその他の責任ある経営体制の確立に関する事項の進捗状況 ... 20
  (1)     業務執行に対する監査または監督体制の強化のための方策 ................................... 20
  (2)     リスク管理体制の強化への取り組み状況 ............................................................... 21
  (3)     北都銀行における法令等遵守態勢.......................................................................... 29
  (4)     経営に対する評価の客観性の確保のための方策 .................................................... 29
  (5)     情報開示の充実のための方策................................................................................. 30
  (6)     持株会社における責任ある経営管理体制の確立に関する事項 ............................... 31
5 中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化その他主として業務を行っている地域にお
ける経済の活性化に資する方策の進捗状況 ......................................................................... 31
  (1)     中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化、その他主として業務を行っている地
  域における経済の活性化に資する方針 ............................................................................ 31
  (2)     中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化のための方策 ................................... 31
  (3)     その他主として業務を行っている地域における経済の活性化に資する方策 .......... 34
6 剰余金の処分の方針...................................................................................................... 39
  (1)     配当に対する方針 .................................................................................................. 39
  (2)     役員に対する報酬および賞与についての方針 ........................................................ 40
  (3)     財源確保の方策 ...................................................................................................... 40
7 財務内容の健全性および業務の健全かつ適切な運営の確保のための方策の進捗状況 ... 41
  (1)     経営管理に係る体制 ............................................................................................... 41
  (2)     北都銀行における各種のリスク管理の状況および今後の方針等 ............................ 41




                                                               i
 1 2019 年 3 月期決算の概要
(1) 経営環境
 2019年3月期の国内経済は、輸出や生産活動が緩やかに回復し、設備投資も増加基調で推
移しました。この間、雇用情勢の着実な改善や個人消費の持ち直しもあり、緩やかな回復傾
向が続きました。また、株式会社北都銀行(以下、「当行」または「北都銀行」)の主たる
営業エリアである秋田県内の経済は、災害復旧に起因する公共投資が増加する中で、有効求
人倍率は1.52倍と過去最高水準で推移しており、個人消費は1世帯あたり平均支出額が前年
比16.5%増加するなど回復基調で推移しました。生産面は主力である電子部品や機械金属に
減速感がうかがえるものの高操業を維持しており、全体としても堅調な水準にあります。
 このような経済環境のもと、フィデアホールディングス株式会社(以下、「フィデア
HD」)および北都銀行は、金融仲介機能を安定的かつ継続的に発揮し地域活性化に貢献
するために、地域のお取引先に寄り添いその課題やニーズにこれまで以上にお応えするべ
く、「経営強化計画」に掲げた各種施策に取り組んでおります。


(2) 決算の概要
① 資産・負債の状況(当行)
 (イ) 貸出金
 貸出金残高は、個人ローンおよび地方公共団体向け貸出を中心に減少したものの、県内
向け事業性貸出および中央政府向け貸出を中心に増加し、前年度末比 208 億円(2.5%)
増加の 8,327 億円となりました。


(ロ)預金等
 譲渡性預金を含む預金等残高は、法人預金および公金預金が減少し、前年度末比 51 億
円(0.4%)減少の 1 兆 2,406 億円となりました。


(ハ)有価証券
 有価証券残高は、金利リスクに配慮しつつ将来の収益基盤強化のためのポートフォリオ
のリバランスに取り組む中で、前年度末比 26 億円(0.7%)増加の 3,654 億円となりまし
た。


【図表 1】資産・負債の残高推移(当行)                                                  (単位:百万円)
              2018年3月末        2018年9月末        2019年3月末
                 実 績             実 績             実 績        2018年3月末比     2018年9月末比
資産                1,340,922       1,380,245       1,356,840        15,918      △ 23,405
 うち貸出金              811,973         821,759         832,774        20,801        11,015
 うち有価証券             362,754         354,969         365,437         2,683        10,468
負債                1,282,813       1,321,261       1,296,882        14,069      △ 24,379
 うち預金等            1,245,776       1,278,321       1,240,670       △ 5,106      △ 37,651
  (預金)            1,209,429       1,222,075       1,221,350        11,921        △ 725
  (譲渡性預金)            36,347          56,246          19,320      △ 17,027      △ 36,926
(注)本図表の増減は表上計算にて算出しております。




                                         1
② 損益の状況(当行)
 コンサルティング営業体制の強化による役務取引等利益の積み上げと経費削減に努めた
一方で、貸出金利息の減少や有価証券利息配当金の減少を主な要因として、コア業務純益
は前年度比 5 億 83 百万円(24.2%)減少の 18 億 19 百万円となりました。経常利益は国
債等債券関係損益の増加や株式等関係損益の減少を含め前年度比 2 億 76 百万円(10.3%)
減少の 23 億 79 百万円、当期純利益は前年度比 3 億 3 百万円(16.6%)減少の 15 億 12
百万円となりました。


【図表 2】損益の状況(当行)                                                 (単位:百万円)
                     2018年3月期           2018年9月期           2019年3月期
                        実 績                実 績                実 績              2018年3月期比
業務粗利益                     15,780              7,989             16,692                  912
[コア業務粗利益]        [        16,377   ][         7,982   ][        15,519   ]   [       △ 858 ]
 資金利益                     14,756              7,056             13,942               △ 814
 役務取引等利益                   2,194              1,283              2,414                  220
 その他業務利益                 △ 1,170             △ 350                 335                1,505
 (うち国債等債券関係損益)   (        △ 597    )(             7   )(         1,173   )   (        1,770 )
経費                        13,974              6,806             13,699               △ 275
 (うち人件費)         (         6,493   )(         3,107   )(         6,209   )   (       △ 284 )
 (うち物件費)         (         6,581   )(         3,264   )(         6,601   )   (           20 )
一般貸倒引当金繰入額                     -                  -             △ 371                △ 371
業務純益                       1,805              1,182              3,364                1,559
[コア業務純益]*        [         2,402   ][         1,175   ][         1,819   ]   [       △ 583 ]
臨時損益                         849                352             △ 985              △ 1,834
 (うち貸倒引当金戻入益)                103                251                  -                    -
 (うち不良債権処理額)     (           116   )(          △ 5    )(           493   )   (          377 )
 (うち株式等関係損益)     (           815   )(           175   )(        △ 477    )   (     △ 1,292 )
経常利益                       2,655              1,534              2,379               △ 276
特別損益                      △ 527               △ 77              △ 347                   180
税引前当期純利益         (         2,127   )(         1,456   )(         2,031   )   (        △ 96 )
法人税、住民税及び事業税                 348                179                430                   82
法人税等調整額                    △ 35                 236                 88                  123
当期純利益                      1,815              1,040              1,512               △ 303


③ 自己資本比率の状況(当行)
 自己資本比率は、内部留保の充実に取り組む一方でリスクアセットの増加を主因として
前年度末比 0.06 ポイント低下し 10.92%となりました。


【図表 3】自己資本比率の状況(当行)

          2017年3月末     2018年3月末             2019年3月末          前年度末比
自己資本比率        11.25%          10.98%             10.92%            △ 0.06%




                                        2
④ 不良債権の状況(当行)
    金融再生法ベースの開示債権額は、破産更生債権や危険債権の減少を主な要因として、
前年度末比 13 億 22 百万円減少の 84 億 19 百万円となりました。また、総与信に占める割
合は前年度末比 0.19 ポイント減少の 0.98%となりました。


⑤ フィデア HD の連結業績
    経常収益は、貸出金利回りの低下や、国内外の金利上昇リスクに配慮したポートフォリ
オ運営により有価証券関係損益が減少したことを主な要因として、前年度比 21 億 43 百万
円(4.1%)減少し 488 億 83 百万円となりました。
    また、経常費用は、預金等利息の減少や経費削減を主な要因として、前年度比 6 億 34
百万円(1.4%)減少し、438 億 1 百万円となりました。
    これらの結果、経常利益は前年度比 15 億 8 百万円(22.8%)減少し 50 億 81 百万円、
親会社株主に帰属する当期純利益は前年度比 4 億 96 百万円(11.5%)減少し 37 億 85 百
万円となりました。
    譲渡性預金を含む預金等残高は、個人預金を中心に前年度末比 614 億円(2.4%)減少
し 2 兆 4,675 億円となりました。
          個人ローンや地方公共団体向け貸出を中心に前年度末比 214 億円
    貸出金残高は、                               (1.2%)
減少し 1 兆 7,169 億円となりました。
    連結自己資本比率は、内部留保充実への取り組みによる着実な自己資本の増加とリスク
アセットの減少により、前年度末比 0.29 ポイント上昇し 9.50%となりました。


【図表 4】2019 年 3 月期におけるフィデア HD の連結業績

                            フィデアHD連結
                                          前年度(末)       前年度(末)比         同増減率
         経常収益                48,883 百万円   51,026 百万円   △ 2,143 百万円 △ 4.1 %
         業務純益                 5,747 百万円    6,119 百万円    △ 372 百万円 △ 6.0 %
損       益 コア業務純益              5,450 百万円    7,226 百万円   △ 1,776 百万円 △ 24.5 %
         経常利益                 5,081 百万円    6,589 百万円   △ 1,508 百万円 △ 22.8 %
         親会社株主に帰属する当期純利益      3,785 百万円    4,281 百万円    △ 496 百万円 △ 11.5 %
自己資本 比率 自己資本比率                9.50 %       9.21 %         0.29 ポイント
         総資産                 27,312 億円    27,619 億円     △ 307 億円       △ 1.1 %
主要勘定 残高 預金等(譲渡性預金を含む)        24,675 億円    25,289 億円     △ 614 億円       △ 2.4 %
( 末 残 ) 貸出金                  17,169 億円    17,383 億円     △ 214 億円       △ 1.2 %
         有価証券                 7,498 億円     7,446 億円         52 億円        0.6 %
(注)本図表の増減は表上計算にて算出しております。




                               3
 2 経営の改善に係る数値目標の実績
(1) コア業務純益
 貸出金利息は、個人ローンや地方公共団体向け貸出における利回りが当初想定を下回っ
たことを主因として、計画を 77 百万円下回る 98 億 95 百万円となりました。
 有価証券利息配当金は、市場動向に機動的且つ弾力的に対応をするため、ポートフォリ
オのリバランスを実施し、計画を 3 億 52 百万円上回る 46 億 41 百万円となりました。
 役務取引等利益は、預り資産販売額や、決済業務収支が当初想定を下回ったことを主因
として、計画を 2 億 46 百万円下回る 24 億 14 百万円となりました。
 経費は、物件費において一部業務を外部委託したことやモバイル端末などの新規投資を
主な要因として計画を上回ったものの、人件費において退職や総人員の減少を主な要因と
             計画を 1 億 5 百万円下回る 136 億 99 百万円となりました。
して計画を下回ったことから、
 この結果、コア業務純益は、計画を 53 百万円上回る 18 億 19 百万円となりました。


【図表 5】2019 年 3 月期の計画および実績並びに 2018 年 3 月期との比較(単位:百万円)

                   2018年3月期      2019年3月期           2019年3月期
                        実績           計画               実績       2018年3月期比       計画比
業務粗利益                   15,780           15,670       16,692         912        1,022
[コア業務粗利益]          [    16,377 ] [       15,570 ]     15,519   [   △ 858 ] [    △ 51 ]
 資金利益                   14,756           13,574       13,942       △ 814         368
 (うち貸出金利息)         (    10,345 ) (        9,972 ) (    9,895 ) (   △ 450 ) (    △ 77 )
 (うち有価証券利息配当金)     (     5,420 ) (        4,289 ) (    4,641 ) (   △ 779 ) (     352 )
 (うち預金利息等)         (       558 ) (          384 ) (      292 ) (   △ 266 ) (    △ 92 )
 (うち債券貸借取引支払利息)    (       407 ) (          281 ) (      269 ) (   △ 138 ) (    △ 12 )
 役務取引等利益                 2,194            2,660        2,414         220       △ 246
 (うち預り資産関係)        (     1,361 ) (        1,650 ) (    1,529 ) (     168 ) (   △ 121 )
 その他業務利益               △ 1,170           △ 564           335       1,505         899
 (うち国債等関係損益)       (    △ 597 ) (           100 ) (    1,173 ) (   1,770 ) (    1,073
 (うち外国為替売買損)       (       555 ) (          664 ) (      762 ) (     207 ) (       98 )
経費                      13,974           13,804       13,699       △ 275       △ 105
 (うち人件費)           (     6,493 ) (        6,301 ) (    6,209 ) (   △ 284 ) (    △ 92 )
 (うち物件費)           (     6,581 ) (        6,560 ) (    6,601 ) (      20 ) (       41 )
  (うち機械化関連費用)      (     2,167 ) (        2,116 ) (    2,190 ) (      23 ) (       74 )
 (うち税金)            (       900 ) (          942 ) (      888 ) (   △ 12 ) (     △ 54 )
一般貸倒引当金繰入額                   -               94       △ 371        △ 371       △ 465
業務純益                     1,805            1,772        3,364       1,559        1,592
[コア業務純益]           [     2,402 ] [        1,766 ]      1,819   [   △ 583 ] [       53 ]
経常利益                     2,655            1,417        2,379       △ 276         962
当期純利益                    1,815            1,200        1,512       △ 303         312
(注)本図表の増減は表上計算にて算出しております。




                                     4
【図表 6】コア業務純益の計画・実績                                                           (単位:百万円)
                  計画始期          2019/3期             2019/3期
                 (2018/3期)        計画                  実績              始期比               計画比
                     ①             ②                   ③              ③-①               ③-②
     コア業務純益           2,402            1,766                1,819            △ 583             53
(注)本図表の増減は表上計算にて算出しております。



(2) 業務粗利益経費率
 分子となる機械化関連費用を除く経費は、人件費の減少を主因として、計画を 1 億 80
百万円下回る 115 億 8 百万円となりました。
 分母となる業務粗利益は、資金利益やその他業務利益を中心に計画を 10 億 22 百万円上
回り 166 億 92 百万円となりました。
 この結果、業務粗利益経費率は、計画を 5.64 ポイント下回る 68.94%となりました。


【図表 7】業務粗利益経費率の計画・実績                                                                   (単位:百万円)
                        計画始期           2019年3月期             2019年3月期
                     (2018年3月期)            計画                   実績              始期比            計画比
経費(機械化関連費用を除く)                11,806               11,688           11,508            △ 298          △ 180

業務粗利益                         15,780               15,670           16,692               912          1,022

業務粗利益経費率                      74.82%               74.58%           68.94%           △ 5.88%        △ 5.64%
(注1)業務粗利益経費率=(経費-機械化関連費用)/業務粗利益
(注2)機械化関連費用には、機械賃借料、機械保守料及びアウトソーシング費用(システム関連)等を計上しております。
(注3)本図表の増減は表上計算にて算出しております。




 3 経営の改善の目標を達成するための方策の進捗状況
(1) 基本方針
 当行の主要な営業基盤である秋田県は、生産年齢人口の減少や地域内需要の縮小が懸念
されており、地域の核となる新しい成長産業や事業の育成、若い世代定着のための魅力的
な雇用の創出、移住者や起業家の支援、女性の力を引き出す環境の整備、観光資源の活用
による交流人口の拡大など、地方創生の具体的な成果を早期に実現することが大きな課題
と認識しております。
 当行は、経営理念「健全経営をすすめ 地域とともに                                           豊かな未来を創造します」に立
ち返り、地域の可能性の実現に貢献する、地域活力創造のために知恵を出す、地域の皆さ
まの期待と信頼に応える永続的な企業になることを目指しております。
 そのために当行は、お客さまの課題やニーズに寄り添う知恵袋としての存在価値を高め
ながら、事業性評価手法を含むコンサルティング営業を実践してまいります。また、経営
資源を地方創生に資する活動に集中し、地域経済の持続的成長の実現に貢献してまいりま
す。
 お客さま本位の営業活動が地域の発展につながり、地域経済の成長が当行の企業価値向
上につながる、価値共創のスパイラルを生み出す持続的なビジネスモデル実現に取り組ん
でまいります。



                                               5
【図表 8】第 4 次経営強化計画における基本方針




(2) 主要施策
① お客さま本位の徹底
 (イ) 法人取引基盤の強化
 [1] 一万先訪問活動の徹底と浸透
 お取引のない県内事業者さまとの対話を通じた間口拡大、経営課題の把握や将来像の共
有を図りながら、様々な提案を行い取引の重層化を進めていくことが法人取引基盤の強化
につながるものと考えております。
 営業活動の柱と位置付けしている一万先訪問活動は、お取引先をコンサルティング営業
先、事業性評価先、一万先訪問先のセグメントに分けて、それぞれに最適なスキルを有す
る担当者を配置することで、効果的かつ効率的な活動を実現してまいります。また、コン
サルティング営業先および事業性評価先への高度なソリューション提供を目的とする深度
重視の活動と、多くのお客さまと有効面談を行うことによる間口拡大を重視した活動を両
輪として展開しております。
 さらに、2018 年度より法個一体取引推進管理表を営業ツールとして活用し業績表彰制度
と連動させることで、活動の徹底および浸透を図っております。




                      6
【図表 9】一万先訪問活動推進態勢の概要




【図表 10】セグメント毎の営業体制




                       7
[2] 事業性評価活動の取り組み
 コンサルティング営業先および事業性評価先に対して、事業性評価シートを作成するこ
とにより、お取引先の事業内容や経営課題を把握し、深度ある活動を目指して、本業支援
や事業承継対策等の各種提案を行っております。
 2019 年 3 月末時点における事業性評価シートの作成先はコンサルティング営業先と事
業性評価先の合計 895 先のうち 756 先(計画始期比+243 先)となっております。特にコ
ンサルティング営業先 188 先に対しては、地区担当役員の関与のもと、お客さまの具体的
課題への対応方針に関するミーティングを定期的に個別開催し、都度協議しながら進めて
おります。
 深度重視の活動により資金ニーズを適切に捉えた結果、事業性評価先 895 先の貸出金残
高は、2019 年 4 月末時点で前年同月比 36 億 91 百万円伸張しております。今後は、お取
引先の経営課題、ニーズ、夢への理解を一層深め、金融仲介機能の発揮はもとより、有効
なソリューションを提供し、地域経済の活性化に貢献してまいります。


【図表 11】事業性評価活動推進態勢の概要




                        8
[3] 秋田県内最大のマーケットである秋田市内の取引基盤拡大
 2017年4月より、秋田市内の営業力強化を目的に、役員、本部担当部長および秋田市内営
業店長にて秋田市強化プロジェクトチームを立ち上げました。2018年4月からは、副頭取執
行役員を統括責任者とし、担当の執行役員1名を配置のうえ、プロジェクトメンバーの連携
を一層強化しております。
 秋田市は事業性評価先895先のうち301先(33.6%)が集中するエリアであり、並行する1
万先訪問活動と事業性評価活動のシナジー効果により、秋田市内の総貸出金残高は前年度末
比79億8百万円の増加となっております。


[4] 中小企業の経営力向上へ向けた支援
 条件変更等を実施したお取引先企業の実態把握、計画の進捗管理とニーズにお応えする
適切なソリューション提案に注力するとともに、中小企業再生支援協議会の企業再生スキ
ームおよび認定支援機関の企業再生スキーム等を活用し、経営改善支援を行っております。
 2019 年 3 月末までに、25 先の経営改善策定支援(計画 12 先)と 17 先の早期事業再生支
援(計画 10 先)を行いました。早期事業再生支援のうち 5 先は中小企業再生支援協議会、う
ち 8 先は認定支援機関(中小企業診断士等)を活用しております。
 引き続き、お取引先企業が抱える経営課題の把握、分析に努め、適切な助言を行いつつ、
経営者の主体的な経営改善への取り組みを促しながら、当該企業にとって最適で実効性の
高いソリューションを提供してまいります。
 また、これまで培った経営改善支援ノウハウを活かし、秋田県内の中小企業に対し、経
営安定に寄与する支援を行い、経営改善、育成、成長発展に貢献してまいります。


[5] 新たな収益機会の拡大に向けた取り組み
 一万先訪問活動により得られたお客さまニーズや、課題の解決に向けた最適な提案、支援
を行っていくため、法人向けコンサルティング機能を強化しております。
 私募債利用の提案、法人保険やビジネスマッチング(省電力、リース等の仲介)、事業承継
やM&Aなどのきめ細かな対応の実践により、2018年度の法人向けコンサルティング手数料
の成約件数は1,086件(件数は手数料入金ベース、前年度比+755件)となりました。
 当行では成功事例を行内で共有、伝播させることでコンサルティング営業の意識醸成とノ
ウハウの蓄積に努めています。また、行員一人ひとりのスキルアップが、より多くのお客さ
まの課題解決に寄与すると考え、今後も法人コンサルティング機能の強化を図ってまいりま
す。


(ロ) 効率的なリテール推進体制の構築
[1] 効率的営業推進に向けた取り組み
 フィデアHDにおいて株式会社荘内銀行(以下、「荘内銀行」)と一体のサービスとして、
お客さまの利便性向上ならびに営業活動の効率化に向け、フィンテックを活用したサービス
の導入を進めております。
 2018年9月に銀行ポータルアプリを導入し、事前の申込みを必要とせずスマートフォンか
らの残高照会や取引明細照会を可能といたしました。また、フィンテックベンダーであるマ


                         9
ネーツリー株式会社との提携により、他行口座情報やクレジットカード情報と連携し、家計
簿機能の利用が可能となりました。現在は、キャッシュレス化への対応として、QRコード
決済サービスの提供を開始しております。
    また、法人向けには、freee株式会社と提携し「クラウド会計ソフトfreee」の提供を開始
いたしました。お客さまの会計事務の効率化に向けた新たなソリューションとして、地域企
業の生産性向上への取り組みも進めてまいります。


[2] 無担保ローンの推進強化
    無担保ローンは主にマスマーケティング1での推進を強化しております。
    非対面型のカードローンとフリーローンを導入しておりますが、お客さまのニーズによ
り早くお応えすることや、非対面による利便性の向上を企図して、目的型ローンについて
も非対面化に向けた取り組みを進めております。


【図表 12】無担保ローンの残高推移                                 (単位:億円)
                  2018年3月期 2018年9月期 2019年3月期 前年同期比        前期比
                    ①         ②         ③         ③-①     ③-②
     無担保ローン残高           211       216       219       8      3
       うちカードローン          77        76        75     △ 2    △ 1
(注)本図表の増減は表上計算にて算出しております。



(ハ) 資産運用推進体制の強化
[1] 法個一体営業の推進
    法人取引基盤強化の柱に位置付けしている一万先訪問活動は、法個一体営業として、法
人個人を問わず横断的にお客さまとの取引深耕に取り組むことを目指しています。法人営
業経験の少ない若手や女性行員も当活動による OJT を通じ育成し、将来的により多くのお
客さまへ、より高度なソリューションを提供することを目指しております。
    活動人員は増強途上ではありますが、営業店において主に中小企業向け貸出や本業支援
を担当している従業員の割合は前年度末比 0.7 ポイント向上しております。
    また、2019 年 3 月末時点で、全従業員における法人コンサルティングスキル保有者2は、
2018 年 9 月末時点から 1.0 ポイント良化の 32.0%となっております。
    現在実施している財務に関する銀行業務検定の全員取得の取り組みやパターン営業によ
る OJT に引き続き注力し、全従業員による法個一体営業を実現すべく進めてまいります。




1 マスマーケティングとは、対象を特定せず、画一化された方法を用いて行うマーケティ
ング活動のこと。
2 当行独自の人事システム「スキルバロメーター」において、法人コンサルティングスキ

ル A~C のうち B 以上の従業員。


                              10
【図表 13】法個一体営業の概要




[2] バンカシュアランス推進体制
 地域のお客さまの保障性保険ニーズに積極的にお応えすることで、新規顧客取引および
保障性保険におけるストック収益の増強と、各金融商品、サービス、チャネルとのシナジ
ー効果による複合的取引(クロスセル)の強化を図っております。
 バンカシュアランスの取扱いを開始して 10 年目を迎え、相談来店数は累計 20,000 組を
超えました。
 引き続き、保障性保険分野における営業体制を一層強化するとともに、お客さまのニー
ズに応じた総合的なライフプランの提案活動を展開し、地域のお客さまから一生涯必要と
される銀行を目指してまいります。


 (ⅰ)ライフプランアドバイザー(LPA)のスキルアップ等による顧客価値向上
  当行では、保障性保険を中心とした総合的かつ専門的コンサルティングができる LPA
 人材の育成に注力し、保険相談を基点とした総合コンサルティングサービスの提供を推
 進しております。
  秋田県内 10 店舗に専門スタッフである LPA を配置し、バンカシュアランス推進体制
 の強化を図っております。また、保障性保険の提案のみならず、地域のお客さまのライ
 フイベントに応じたサービス・商品を提案できるファイナンシャルプランナーとして、
 引き続き資質向上に努めてまいります。




                       11
【図表 14】バンカシュアランス推進体制の概要(2019 年 3 月末現在)




 (ⅱ)提案・クロスセル機会の拡大と総合収益力の強化
  LPA によるライフプランコンサルティングを基点とした、金融商品(積立投資信託、
 iDeCo、各種ローン等)
             、サービス、情報の提供による複合的取引(クロスセル)を推進
 し、総合収益力の強化を図っております。
  なお、2018 年度における保険相談からの複合的取引実績は次のとおりとなっておりま
 す。


【図表 15】LPA による取引実績

          ローン実行額   積立投資信託        iDeCo   投資信託販売額   NISA

 2018年度   17百万円      35件         23件      33百万円    39件


[3] 効率的営業推進に向けた取り組み強化
 お客さまのニーズや経験に合わせたコンサルティングを行うべく、一万先訪問活動およ
び法個一体営業のカテゴリー毎に最適なスキルを有する担当者を配置し、効率的かつ効果


                            12
的な営業体制の構築を図っております。
    2017 年 4 月より、県内 12 ブロックの母店に預り資産業務において高いコンサルティン
グスキルを有するマネープランアドバイザー(MPA)を常駐させ、各営業店長と MPA が
連携することで法人オーナー層に対しても効果的なコンサルティングを行っております。
    また、更なる効率化に向けてタブレット保険申込みシステムを導入したほか、2018 年
12 月からは、投資信託の購入や解約、コース変更を従来のパソコンに加え、タブレットや
スマートフォンからご利用いただけるサービスを開始いたしました。申込書のご記入など
お客さまの事務負担の軽減に加え、来店の難しいお客さまの利便性向上を図ったほか、当
行の業務効率化にもつながっております。今後も一層のサービスレベルの向上に努めてま
いります。


(ニ) 店舗ネットワークの再構築
    当行は、秋田県内に 69 店舗3、秋田県外に 3 店舗4(2019 年 4 月 1 日現在)を設置し、
秋田県内に重心を置いた店舗配置となっております。秋田県内においては、少子高齢化を
背景とした生産年齢人口や事業所の減少が継続していることに加え、異業種の非対面サー
ビスの台頭などにより、地域金融機関を取り巻く環境は刻々と変化しており、店舗ネット
ワークの再構築が必要であると捉えております。
    2018 年度(2019 年 4 月 1 日実施分を含む)は、由利本荘市内の店舗ネットワークを再
構築する目的で、人口密度の低下や事業所数の減少が進展する地域の 2 店舗を統合し(図
表 16 №1 2)開発が進む由利本荘市中心部に新店舗を開設しております
       ・ 、                         (図表 16 №4)。
    秋田市内においては秋田市手形地区で営業基盤が重複する 2 店舗を統合のうえ、統合店
をフルバンキング店に店質変更(図表 16 №3)しているほか、小規模店 2 店舗をそれぞ
れの地区の基幹店へ統合しております(図表 16 №7・9)。
    湯沢市内においては、小規模店を基幹店と統合するとともに、比較的来店客数が多くな
っている湯沢市役所派出所について、機能拡張を目的に出張所としております(図表 16
№5・6)。
    潟上市においては、小規模店を近隣店舗へ統合し、近隣商業施設に店舗外 ATM を新設
しております(図表 16 №8)。
    これらの店舗施策は、各地域のマーケット環境を踏まえたリロケーションを行うととも
に、統合により集約した人員を渉外力強化へ活用し、訪問型営業を一層推し進める目的で
実施したものです。
    今後も、各地域の特性や成長性を勘案しつつ、店舗の統合や移転、開設を通じて、一層
効率的な店舗ネットワークの実現を目指してまいります。併せて、営業時間の見直し(昼
休みの設定、平日の休日設定等)
              、店舗機能の変更(個人特化型店舗からフルバンキング店
への店質変更)等を検討しながら、コンサルティング営業体制の強化や経営資源の効率的
な活用につなげてまいります。


3 インターネット専用支店、店舗内店舗(ブランチインブランチ)、母店と同店番を利用した出張所
を除外。
4 東京支店(東京都)、仙台支店(宮城県)
                    、酒田支店(山形県)。


                            13
【図表 16】2018 年 4 月から 2019 年 4 月にかけての店舗施策
    №         年月日                               内容
    1    2018 年 6 月 18 日    ・西目支店を本荘支店に統合(ブランチインブランチ方式)
    2    2018 年 7 月 17 日    ・岩城支店を本荘支店に統合(ブランチインブランチ方式)
                            ・手形北支店を手形支店に統合(ブランチインブランチ方式)
    3    2018 年 11 月 26 日
                            ・手形支店を個人特化店舗からフルバンキング店に店質変更
    4    2018 年 12 月 3 日    ・本荘東支店を開設
    5    2018 年 12 月 17 日   ・湯沢北支店を湯沢支店に統合(ブランチインブランチ方式)
    6    2019 年 1 月 15 日    ・湯沢支店湯沢市役所出張所を開設
    7    2019 年 2 月 1 日     ・土崎南支店を土崎支店に統合(ブランチインブランチ方式)
    8    2019 年 3 月 11 日    ・飯塚支店を昭和支店に統合(ブランチインブランチ方式)
    9    2019 年 4 月 1 日     ・広面支店を秋田東支店に統合(ブランチインブランチ方式)


② 地域貢献力の向上
(イ) 地方創生への取り組み状況
    当行は、北都イノベーション戦略に基づき、地域の構造的な課題克服、ひいては地域経
済の持続的な成長に貢献するため、以下の通り地方創生へ取り組んでおります。


【図表 17】北都イノベーション戦略と取り組み状況(2019 年 3 月末現在)
① 再生可能エネルギーを                ・ 親密会社である株式会社ウェンティ・ジャパンと連携し、風力発電
        軸とした新しい産業の            事業にかかる工事、メンテナンス、部品製造などの風力発電関連事
        創出                    業への参入支援を行い、新たな産業や雇用の創出に向けて活動
                            ・ 当行組成のプロジェクトファイナンス5実績 20 件、総額 878 億円(う
                              ち当行引受額 310 億円、2013 年 6 月以降)
② 中小企業の新しい価値                ・ 日本を代表する優れた知見を各分野で培ってこられ、かつ秋田県に
        創造                    ゆかりのある方々(製造業大手で経営経験のある方、大学教授、外
                              国大使館公使)を招聘し、県内製造業の躍進を果たすべく、当行取
                              締役会長を座長とする有識者委員会「北都ものづくりアドバイザリ
                              ーボード6」を設置
                            ・ 事業性評価活動によるお取引先の課題解決に向けた支援活動を展
                              開。2018 年 4 月より、これまでの事業承継チームを「事業承継支
                              援グループ」に組織強化。事業承継分野、M&A 分野、相続支援等
                              に一層注力し相談件数は増加
                            ・ 起業をテーマにした秋田大学の講義へ当行から講師を派遣するな
                              ど次世代起業者の育成を支援




5 プロジェクトファイナンスとは、ある事業の資金調達において、その事業から生み出さ
れるキャッシュフローのみを返済原資に充てる融資形態のこと。
6 アドバイザリーボードとは、外部の有識者や専門家等から構成される委員会のこと。諮

  問委員会など。


                                       14
③ 農業の高付加価値化(6     ・ 大仙市や大曲商工会議所等と協働し「大仙市いぶりがっこ産地化協
    次産業化)支援          議会」を設立。大仙市産いぶりがっこの生産振興、地域ブランド確
                     立を目的とする新法人の設立を支援し、農業の 6 次産業化をサポー
                     ト
                  ・ JAPAN EXQUISE 株式会社(以下、ジャパン・エクスキーズ)と
                     協定を締結し、フランスへの輸出を支援
                  ・ 県内農業者と米穀商社のマッチングを行ったほか、新商品開発や施
                     設建設等の各補助金申請を支援
                  ・ 鹿角市、湯沢市の農業法人等を対象に、株式会社ミツハシ(三菱商
                     事グループの米穀専門卸売業者)とのマッチングセミナーを開催
                     し、2 件の成約を支援
④ シニアが輝く地域づく      ・ 当行が取り組む「秋田版 CCRC」の拠点施設が着工。2020 年 10 月
    り                の施設オープンに向けて、官民連携で「まちづくり協議会」を立ち
                     上げ。協議会にて事業の核となる地域交流スペースの活用と地域連
                     携などについて検討中
⑤ 女性の活躍フィールド      ・ 「女性ビジネススクール」を継続的に開催し、2018 年 7 月開講の 3
    の創出              期生まで累計 61 人が受講
                  ・ 親密会社である株式会社あきた食彩プロデュース(以下、あきた食
                     彩プロデュース)が秋田県より受託し開催している「あきた女性農
                     業者起業ビジネス塾」において、累計 28 人が受講
⑥ 県外・海外からの移住      ・ 2 件の議題にて地方創生委員会を開催
    促進              ① 「秋田版 CCRC」について
                    ②    移住定住について(外部講師招聘)
⑦ グローバル戦略による      ・ 2020 東京オリンピック・パラリンピックに向けてホストタウン登
    秋田ブランド確立         録や事前合宿地の誘致活動等を支援。美郷町がタイ王国バドミント
                     ンナショナルチームの事前合宿地に決定。本事案は地方創生に資す
                     る金融機関等の「特徴的な取組事例」に選出され、大臣表彰(国務
                     大臣内閣府特命担当大臣)を受賞
                  ・ ジャパン・エクスキーズとの協定を活用した輸出支援
                  ・ バンコク駐在員事務所やあきた食彩プロデュースの台湾駐在員を
                     活用して県内企業や自治体などの海外展開をサポート
⑧ 観光資源を活用した地      ・ バンコク駐在員事務所を活用し、県内自治体等と連携したタイ王国
    域づくり             からのインバウンド誘客を展開。2019 年 2 月末時点でのタイ王国
                     からの観光客数 4,110 人(秋田県調査による)のうち 885 人の誘客
                     に関与
                  ・ 県内地域 DMO7への参画
                  ・ タイ王国と秋田を結ぶチャーター便について、地元旅行会社と協働
                     で集客支援活動を展開




7DMO(Destination Management/Marketing Organization)とは、地域の多様な関係
者を巻き込みつつ、    科学的アプローチを取り入れた観光地域づくりの舵取り役となる法人。


                              15
(ロ) 再生可能エネルギー分野の取り組み状況
 再生可能エネルギー事業向け貸出は、2019 年 3 月末時点で 120 件、534 億円となって
おります。内訳としては、風力発電事業向けの残高が最も多く 269 億円(50.4%)
                                         、件数
は太陽光発電事業向けが最も多く 86 件(71.6%)となっております。
 また、2013 年 6 月以降、当行が幹事として組成した再生可能エネルギー事業向けプロ
ジェクトファイナンスは、累計 20 件、組成額 878 億円(当行引受額 310 億円)、関連手数
料の合計は 5.8 億円となっております。
 今後増加を見込む風力発電事業向けを中心に、秋田県内の再生可能エネルギー事業を支
援し、地域の新たな成長産業の支援や、それに伴う雇用創出を通じて地域に貢献してまい
ります。


【図表 19】再生可能エネルギー事業向け貸出状況                (単位:件、百万円)
    種別         件数         残高              残高比率
    風力              30         26,911         50.4%
    太陽光             86         22,722         42.5%
  バイオマス              2          2,590            4.8%
    地熱               1           818             1.5%
    水力               1           367             0.7%
    合計              120        53,408         100.0%
(注)本図表の比率は表上計算にて算出しております。


③ 経営基盤の強化
(イ) 強固な有価証券ポートフォリオの構築
 フィデア HD 証券投資戦略グループを中心に策定した有価証券運用方針および投資戦略
等に基づき、当行資金証券部が有価証券投資計画を立案し、有価証券運用を行っておりま
す。有価証券運用にあたり、投資手法の多様化や高度化が求められる中、人材育成に注力
しつつ、運用力の強化および業務管理態勢の充実に取り組んでおります。
 2018 年度下期の有価証券運用の基本方針として、①キャピタル性収益獲得への取り組み
強化(収益バランスのシフト)、②金利リスクコントロール、③リスクアセットコントロー
ル(増加抑制)を掲げて運営してまいりました。
 具体的には、国内低金利環境の長期化や米ドル調達コストの上昇などを背景に、内外債
券利息の減少を見据え、キャピタル性収益の獲得強化に注力するとともに、機動的かつ弾
力的にポジションを伸縮させながら収益確保、収益性向上を目指してまいりました。2018
年の年末にかけて世界的に株式相場が急落する局面がありましたが、株式のポジションを
圧縮する一方で、内外債券のポジションを増加させるなど機動的なアロケーションコント
ロールにより、有価証券ポートフォリオの評価損益悪化防止並びに収益確保を図りました。
 リスクアセットについては、自己資本比率の向上を念頭に、リバランスなどを実施しな
がらコントロールしております。
 今後の有価証券運用方針としても、引き続き市場環境の変化に対する感度を高め、運営



                          16
(ハ) 働き方改革の推進
    当行ではこれまでも働き方改革実現に向けて、フレックス制度の導入(2011年2月)、地
銀では全国初となるイクボス企業同盟への参画(2015年2月)、各種制度休暇の拡充(2015
年4月・2018年4月)、プレミアムフライデー導入(2017年2月)など、柔軟かつ効率的な働
き方が出来る環境を整備し、生産性の向上ならびにワーク・ライフ・バランス(WLB)の
促進に積極的に取り組んでまいりました。
    男性の育児休業取得促進にも積極的に取り組み、現在男女とも育児休業取得率100%を継
続しております。
    2017年4月より、職場環境の様々なシーン(WLB向上、非常時の業務継続(BCP)等)
に応じて柔軟な働き方を選択できるテレワーク制度(在宅勤務制度)を導入し、2018年度
からは在宅でも通常就業時と同じ環境で業務可能とする端末を全部店に導入いたしました。
2019年4月からはグループ統一で、より柔軟で効率的な働き方を自律的に選択できるようテ
レワーク制度を改定し、リモートワークおよび在宅勤務(介護や育児、怪我など傷病時)の
導入を進めております。
    また、2018年4月より、ワーク・ライフ・イノベーション8に取り組み、働き方改革による
生き方改革の実現を目指しております。各部店長をリーダーとした宣言書兼行動計画書を策
定するなど、働き方改革の意識醸成を図っているほか、2018年5月には、外部講師を招聘し
荘内銀行と合同の管理職向け研修を行い、管理職の意識向上を図っております。
    ワーク・ライフ・イノベーションにより、従業員の成長を当行の発展につなげ、ひいては
地域の発展につなげるサイクルを目指してまいります。


(ニ) 業務効率化の追求
[1] 営業店事務改革の実施
    2017 年 11 月に策定したフィデアグループの営業店事務改革基本構想書に基づき、営業
店事務の削減および少人数店舗運営の実現に取り組んでおります。
    2018 年 10 月に営業店と本部一体による営業店事務効率化の推進を目的に、フィデア
HD 事務企画グループ内に事務効率化推進チーム(当行駐在 3 名・荘内銀行駐在 3 名)を
設置しております。
    今後は、インターネットバンキングや ATM など既存非対面サービスの利用率向上とと
もに、セミセルフ端末(クイックカウンター)の導入、本部事務集中部門の機能高度化、
タブレット伝票の導入、イメージ伝送システムの拡張等に取り組んでまいります。


[2] フィデアグループのシステム統合促進
    当行は、2018 年 10 月より、システム開発業務をフィデア HD に集約し、企画から開発、
試験までの工程をフィデア HD で一貫して実施する体制とし、自行システム並びに複数の
分散系システムの統合を進めております。



8働き方改革によって創出した時間を活用し、プライベートや自己研鑽の時間を充実させ
ることによって、生き方改革を実現する当行独自の活動。


                          18
 また、今回の計画期間においては、タブレット保険申込システム(2018 年 10 月)
                                          、投
信インターネットバンキングシステム(2018 年 12 月)
                             、銀行単体決算システム(2019 年
1 月)、預り物件管理システム(2019 年 3 月)
                          、CRM システム(2019 年 3 月)の 5 つの
システムについてグループ内統合を実施しております。
 当行では、引き続き広域地方銀行グループとしてのスケールメリットを活かし、システ
ム導入および関連業務の更なる効率化に努めてまいります。


(ホ) 収益管理態勢の高度化
[1] 人件費マネジメントの強化
 2019 年 3 月期における人件費の実績は、計画比 92 百万円減少の 6,209 百万円となって
おります。2018 年 6 月および 12 月の賞与の支給率の計画比下振れや、時給制従業員の採
用抑制等により計画を下回りました。
 人材育成の一環として、従業員のキャリア開発サポートに向けた面談を 2016 年度から
全従業員に対して実施しており、自ら描いたキャリアプランを実現させる従業員も徐々に
増えてきております。本面談を継続し、人材育成を強化することで生産性向上を図り、本
部人員および営業店人員の適正化を進めてまいります。


【図表 21】2019 年 3 月期における人件費の実績                   (単位:百万円)
        計画始期         2019年3月期    2019年3月期
        (2018年3月期)     計画          実績        始期比        計画比
 人件費         6,493       6,301       6,209   △ 284       △ 92
(注)本図表の増減は表上計算にて算出しております。



[2] 物件費マネジメントの強化
 2019 年 3 月期における物件費の実績は、計画比 41 百万円増加の 6,601 百万円となって
おります。
 資金センターとメールセンター業務の外部委託やモバイル端末導入が主な増加要因であ
る一方、保守管理費、営繕費や業務伸張費等については削減が進んでおります。
 今後もフィデアグループ一丸となって、物件費の見直しを継続して推し進めるとともに、
適切なコスト管理を実施してまいります。


【図表 22】2019 年 3 月期における物件費の実績                   (単位:百万円)
        計画始期         2019年3月期    2019年3月期
        (2018年3月期)     計画          実績        始期比        計画比
 物件費         6,581       6,560       6,601         20         41
(注)本図表の増減は表上計算にて算出しております。




[3] 営業店収益管理態勢の高度化
 新たな収益管理システムを 2018 年度下期より試験稼動させております。新収益管理シ
ステムは、営業店別、顧客別、部門別等収益管理態勢の高度化および営業店における自立
的な計画策定とその実行に向けた行動プランの策定を支援することを目的としております。
 新収益管理システムの実効性を高めるべく、地区別定例会議(ブロック会議)において
各営業店長へ新収益管理システムの活用について周知し、収益管理の意識醸成を図りまし


                                     19
た。また、表彰制度の導入等、引続き収益に関する営業店の着意向上に努めるとともに、
本部営業施策立案の基準となるデータソースとして有効活用し、各種分析等の高度化を進
めてまいります。


 4 従前の経営体制の見直しその他の責任ある経営体制の確立に関する事項の進
    捗状況
(1) 業務執行に対する監査または監督体制の強化のための方策
① フィデア HD の経営管理体制
 フィデア HD は、経営監督機能の強化、迅速な意思決定を可能とし、透明性の高いガバ
ナンス体制を構築するため、指名委員会等設置会社としております。
 また、社外取締役が過半数を占める指名委員会、監査委員会、報酬委員会の各委員会が、
役員の選解任、関連会社を含む監査、役員の報酬の決定等を担い、経営の透明性の向上を
図っております。
 取締役会は取締役 10 名(うち社外取締役 6 名)により構成され、法令で定められた事
項やグループ経営の基本方針およびグループ経営上の重要事項に係る意思決定を担うとと
もに、取締役および執行役の職務の執行状況を監督しております。
 指名委員会は取締役 4 名(うち社外取締役 4 名)により構成され、株主総会に提出する
取締役の選任および解任に関する議案の内容を決議しております。
 監査委員会は取締役 3 名(うち社外取締役 2 名)により構成され、取締役および執行役
の職務執行の監督のほか、監査方針、監査計画、株主総会に提出する会計監査人の選解任
議案等の内容について決議しております。
 報酬委員会は取締役 4 名(うち社外取締役 4 名)により構成され、取締役および執行役
が受ける個別の報酬等の内容について決議しております。
 今後も経営管理体制の充実と一層の透明性確保に努めてまいります。


② 北都銀行の経営管理体制
 当行は、2015 年 5 月施行の「会社法の一部を改正する法律」(平成 26 年法律第 90 号)
により制度化された監査等委員会設置会社へ 2015 年 6 月から移行しております。それま
での監査役会設置会社における監査役(社外監査役を含む)が取締役監査等委員として取
締役会に参加し、監査監督機能の強化や取締役会の活性化等、コーポレートガバナンスの
一層の充実を図っております。
 監査等委員会設置会社へ移行後の当行の取締役会は、2019 年 6 月末時点で、取締役 14
名(うち社外取締役 4 名)で構成され、法令および定款に定める事項のほか、当行の重要
な業務執行を決定し、取締役および執行役員の職務の執行を監督してまいります。社外取
締役からは、当行の経営戦略等について、客観的な立場で評価および助言をいただき、経
営に反映させてまいります。
 また、監査等委員会は、取締役 3 名(うち社外取締役 2 名)で構成され、取締役および
執行役員の職務執行の監督のほか、監査方針、監査計画、株主総会に提出する会計監査人
の選解任議案等の内容について決議しております。
 今後も経営管理体制の定着、充実を図るべく、現行体制を引き続き強化してまいります。


                        20
金利リスク、事務・システムリスク等についても経営陣へ適時報告しております。
 銀行勘定の金利リスクに関しては、特に重要なリスクであるとの認識のもと、新制度で
の報告開始となる 2019 年 3 月末基準に合わせ ALM/市場リスク管理システムにて金利リ
スク量を算出できるよう高度化を図るとともに、銀行勘定の金利リスクに係る各種指標を
リスクマネジメント会議、取締役会等で経営陣へ報告しております。


④ 北都銀行における信用リスク管理強化への取り組み状況
(イ) 基本方針
 当行ではフィデアグループ共通のリスク管理基本方針のもとに信用リスク管理規程を制
定しており、この方針および規程に基づき信用リスク管理の強化を図ってまいります。
 当行(フィデアグループ共通)の信用リスク管理の基本方針は以下の通りです。
 ○   個々の信用リスクの度合いを適正に把握したうえで、信用リスクの分散を基本とし
     た信用集中リスク管理を行い、最適な与信ポートフォリオの構築と資産の健全性お
     よび収益性の向上を図る。
 ○   個別案件の取り組みにあたっては、クレジットポリシーに基づき適切な対応を行い、
     また、同一グループ先、同一業種および同一地域等に貸出が集中しないよう信用リ
     スクの分散を行い、大口与信先等についての信用集中リスクを管理する。


(ロ) 信用集中リスクの管理
[1] 「自己資本の額」による管理
 大口与信先については、未使用枠を含めた総与信額が単体与信先、グループ与信先とも
に行内管理用の自己資本の額の 10%を超える場合は、発生の都度および年 1 回以上取締役
会の承認を必要とする態勢としております。また、同基準の超過先については、フィデア
HD に対して、発生の都度および半年毎(3 月末、9 月末基準)の報告を行う態勢とし、フ
ィデアグループ全体で管理を徹底しております。
 また、大口信用供与規制上のすべての資産を合計した信用供与総額ベースでの大口先に
ついて、半期毎にモニタリングを実施のうえ、 1 回取締役会へ報告する態勢としており、
                    年
規制の堅守に努めております。


[2] クレジットリミットによる管理
 一社毎の与信限度額として信用格付別にクレジットリミットを設定し、一社集中リスク
を管理しております。
 クレジットリミットは個別行基準である Soft Limit とフィデアグループ合算基準であ
る Hard Limit があり、債務者区分が正常先に該当する信用格付別に 4 段階の上限を設定
しております。いずれも単体与信先とグループ与信先の両方を対象とし、未使用枠を含め
た未保全額で管理しております。
 与信対応については、基本的に個別行基準の Soft Limit の範囲内での対応としておりま
すが、やむを得ず本リミットを超過する場合は、当行のクレジット会議において超過する
ことの妥当性と今後の見通しについて十分に検討、協議し、対応する場合はその内容をフ
ィデア HD へ報告する態勢としております。


                       22
 更に、フィデアグループ合算基準の Hard Limit を超過する場合は、フィデア HD クレ
ジットコミティにおいて超過することの妥当性を十分に検討・協議したうえで対応し、当
該与信先に対する今後の取組方針(L 方針)と未保全与信限度額(個別 Limit)を個社別
に設定することで、管理の徹底を図っております。なお、 方針と個別 Limit については、
                          L
年 1 回、フィデア HD クレジットコミティにて見直しする態勢としております。
 また、Soft Limit、Hard Limit ともに超過先については未保全与信額推移を四半期毎に
モニタリングする態勢としております。


(ハ) 業種別与信管理
 リスクが比較的高いと考えられる業種を特定業種として選定し、業種毎に対応方針を定
めております。対象業種の合計与信残高や未保全残高は四半期毎にモニタリングを実施し、
リスクマネジメント会議において半期毎に方針に基づいた運営がなされているかを検証し
ております。


(ニ) 与信ポートフォリオ管理
 与信ポートフォリオ管理については、リスクマネジメント会議において半年毎に信用格
付別、業種別、貸出主体別によるモニタリングを実施し、適切な与信ポートフォリオの構
築に努めております。


(ホ) 信用格付の精緻化
 従来の個社別の信用格付制度に加えて、2017 年 4 月にプロジェクトファイナンス専用
の信用格付制度を新設し、信用リスク管理体制の高度化を図っております。
 個社別の信用格付制度は、外部スコアリングモデル(日本リスク・データ・バンク株式
会社の中小企業モデル)による定量評価に、経営方針や経営姿勢等の定性評価、格付機関
による依頼格付に基づく外部情報、実態財務や今後の見通し等による自己査定による調整
を勘案して信用格付を決定する制度としております。
 その一方で、プロジェクトファイナンス専用の信用格付制度は、信用格付決定プロセス
のうち定量評価および定性評価について、プロジェクトファイナンスが持つ特性を踏まえ
た指標や契約内容等を評価する制度としております。
 こうした信用格付制度のもとで、個社別および案件別の信用リスクを適切に管理し、信
用格付の精緻化に努めております。


(ヘ) 信用リスク量計測
 信用リスク量は、与信の質に応じて事業性与信、消費性与信の 2 つに分けて四半期毎に
計測し、その計測結果および年 2 回実施するストレステストの結果等についてリスクマネ
ジメント会議へ報告しております。また、リスク量の増減についてはその要因を分析し、
リスクマネジメント会議へ報告しております。




                         23
    なお、2019 年 3 月期末の事業性与信額をもとにして算出した UL        9
                                       (非期待損失額) は、
秋田県内が約 29 億円、県外が約 10 億円となっております。
    当行は、金融機能の強化のための特別措置に関する法律の趣旨を十分に理解し、今後も、
信用リスク管理を徹底しつつ、地域のニーズにお応えし積極的に金融仲介機能を発揮する
ことにより秋田県内経済の発展に貢献してまいります。


⑤ 北都銀行における不良債権の適切な管理のための方策
    当行では、新たな不良債権の発生防止および既存の不良債権の圧縮に向け、融資部が積極
的に現場(お取引先および営業店)に出向き、企業の実態把握強化を行い、本部・営業店が
一体となった深度ある協議を中心とした案件組成や問題債権の管理を行ってまいりました。
    2018年度下期においても、経営支援先や破綻懸念先以下に対する貸出債権および今後問
題が顕在化する懸念のある債務者について、今後の対応方針について「クレジットレビュー」
において協議しております。延べ21先について経営に報告し問題認識の共有化を図るととも
に、今後の対処方針を明確化し、貸出債権劣化防止の早期対処を実践しております。
    また、融資部経営支援グループを中心に、経営改善が必要な債務者に対する適切な経営改
善指導を行うため、お取引先と定期的な業績検討会を開催しております。2018年度下期は
延べ27先について同グループが業績検討会に参加し、リレーションを深めながら事業の改善
支援等による債務者区分ランクアップに積極的に取り組んでおります。
    債務者区分ランクアップの実績としては、2018年度における要管理先からその他要注意
先へランクアップした先が3先、破綻懸念先からその他要注意先へランクアップした先が24
先となっております。
    2019年3月期においては、要管理債権が94百万円増加したものの、破産更生債権等が770
百万円、危険債権が646百万円それぞれ減少し、開示債権全体では前期末比1,322百万円減少
したことなどから、開示債権比率は前期末比0.19ポイント低下いたしました。
    今後も上記取り組みと併せ、要管理先以下の経営改善計画に基づく再生状況や、条件変更
先の事業改善状況のモニタリングを従来以上にきめ細かく対応し、引き続き債務者企業の劣
化防止やランクアップに取り組んでまいります。


【図表23】金融再生法ベースの開示債権比率の推移(当行)                                        (単位:百万円)

                     2018年3月期       2019年3月期        2019年3月期
                         実績             計画              実績        計画比        前期比
金融再生法開示債権額(A)               9,741           9,450         8,419    △ 1,031    △ 1,322

総与信額(B)                  829,006        808,270         853,369     45,099     24,363

金融再生法開示債権比率(A)/(B)          1.17%           1.16%         0.98%    △ 0.18%    △ 0.19%
(注)本図表の増減は表上計算にて算出しております。




9UL(非期待損失額)とは、銀行の信用ポートフォリオにて発生しうる想定を超える最大
の損失額から、 将来、経常的に発生が予想される平均的な損失見込み額を差し引いたもの。
UL は、毎期の業務純益ではカバー不可能なため、自己資本内で補えるようにコントロー
ルする必要があります。


                                       24
      今後も引き続き、上記の重層的な評価損益管理スキームにより、有価証券運用の健全
     性確保に着意を持った市場リスク管理を実施してまいります。


【図表 24】市場リスク管理態勢の整備




(ⅱ)限度枠の設定
      市場取引部門が遵守すべき限度枠として、市場リスク枠、10BPV11枠、ポジション枠
     および損失限度枠を定め、リスク管理部門では限度枠の遵守状況と使用状況をモニタリ
     ングし、定期的にリスクプロファイルとの整合性を検証のうえ、経営陣および関連部署
     に報告しております。リスク枠の超過が想定される場合には、速やかにリスク管理部門
     から担当役員に報告し、リスク量の削減、或いはリスク枠の追加配賦等の対応策を協議
     しております。
      市場リスク枠に関しては、2016 年度より導入した信頼性補完枠管理のもと、有価証券
     ポートフォリオを守ることに主眼を置いた管理態勢を継続しております(注 1)。
      2018 年度下期は各市場リスク枠(「モデル計測枠」「信頼性補完枠」)の超過事例はな
     く、信頼性補完枠の原資となる有価証券ネット評価益も確保できております。
      (注 1)当行では、リスク量の計測モデルの信頼性を検証するため、モデルが計測した保有期間 1 日のリ
          スク量と実際の評価変動額を比較するバックテストを実施。なお、バックテストの結果に応じて、
          リスク量の信頼性向上を目的に、リスク量計測結果に対して掛け目を乗じる態勢としております。



11   10BPV とは、金利が 10BP(=0.1%)上昇した場合の債券価値変動額を表す。当行では、
     有価証券における同変動額に対して、限度額を設定(=10BPV 枠)し金利リスクを管理
     しております。


                             26
 (ⅲ)金利予兆分析について
      2017 年度下期以降、過去の経済指標等と金利実績の関係性を統計的に分析した自社開
     発モデル(特許出願中:特願 2019-78557)に基づく、国内金利・米国金利の予兆管理
     を継続しております。
      2018 年度下期は米国金利が大きく変動する中、期初の米国 10 年金利上限 3.26%を予
     知、さらにその後の金利低下局面での同金利下限 2.34%を概ね的中させる等、自社開発
     モデルの有効性を確認しております。
      今後も引き続き、相場急変時の早期対応、リスク管理の実効性向上のための 1 つのツ
     ールとして、予兆管理を活用してまいります。


[3] 取扱商品多様化への対応
 (ⅰ)海外資産投資への対応
      市場取引部門においては、市場金利が低位で推移する中、投資手法の多様化による収
     益基盤の強化およびリスク分散に継続的に取り組んでおります。このような中で、海外
     資産の有価証券に占める割合が相応に高まっていることから、リスク管理部門において
     は以下の取り組みを実施しております。
     • 外国債券の金利リスク管理強化の一環として、外貨建て債券の 10BPV 枠を設定・管
       理する態勢としているほか、米国金利に Check Point を設定し相場急変時の対応を
       強化しております。また、米国金利および欧州金利のストレスシナリオを複数設定
       (半期ないしは必要に応じて見直し)し、月次でストレステストを実施・報告する
       態勢としております。
     • 海外資産における国別保有残高や、主要投資対象国の CDS13推移に基づく信用状況、
       欧米の経済状況等をモニタリングし、月次でリスクマネジメント会議に報告してお
       ります。また、海外イベントによりリスク発生懸念が高まる局面では、その状況お
       よび有価証券ポートフォリオの影響等について都度、経営陣および関連部署に報告
       しております。
     • 為替リスクを内包する資産(投資信託にて保有)に関しては、為替の変動による時
       価評価への影響度について検証し、定期的に経営陣および関連部署へ報告しており
       ます。
     • 投資商品の多様化をふまえ、有価証券ポートフォリオが内包するリスクをファクタ
       ー毎に分析、検証し、その結果を経営陣および関連部署に報告しております。


 (ⅱ)新規商品への投資に対する対応
      新規投資商品の購入に際しては、規程等に基づき市場取引部門、リスク管理部門の双
     方において、購入時審査項目を網羅的に検証したうえで、投資の是非について検討する
     態勢としております。
              また、
                投資後のモニタリングについても規程等に明文化しており、


13   CDS(Credit Default Swap)とは、投資先の破綻による損失に備えるための保険の役
     割を果たすデリバティブ契約。CDS 保証料率は、参照対象(国、企業等)の信用度合い
     により上下する。


                            28
 モニタリングチェックシートに基づき、市場取引部門、リスク管理部門の双方が定期的
 にモニタリングし担当役員宛報告する態勢としております。
                           なお、モニタリングの結果、
 問題が認められた商品に関しては、要因を分析のうえ、その後の方針について担当役員
 と協議する態勢としております。


(3) 北都銀行における法令等遵守態勢
 ① フィデア HD における法令等遵守態勢
 フィデアグループでは、業務の健全かつ適切な運営を通じて、地域経済の発展に貢献す
るとともに、法令等遵守を経営の最重要課題の一つとして取り組んでおります。
 フィデア HD は当行および荘内銀行から、定期的にコンプライアンスプログラムの進捗
状況、訴訟案件、反社会的勢力に関する情報の報告を受けるほか、重要な苦情・トラブル、
不祥事件に関する事項、内部通報情報、その他法令等遵守、顧客保護等管理に関する重要
事実について随時報告を受け、改善等を図るべく指示を行う態勢を整備しております。


② 北都銀行における法令等遵守態勢
 当行では、
     コンプライアンス態勢の強化と法令等遵守状況の把握、
                             不祥事件等への対応、
諸施策の事後管理によりコンプライアンス態勢を確立することなどを目的として、コンプ
ライアンス部門担当役員を委員長、
               経営企画部長を副委員長、取締役(監査等委員を除く)、
本部担当執行役員、本部部長(内部監査グループ長を除く)
                          、お客さま相談室長を委員とし
たコンプライアンス会議を、四半期毎および必要に応じて開催し、コンプライアンスに係
る事案について協議しております。
 なお、2018 年度は 7 回開催しております。
 コンプライアンス実現のための具体的な実践計画であるコンプライアンスプログラムは、
コンプライアンス会議の協議、取締役会の承認を受けて年度毎に策定しております。
 2018 年度のプログラムは、インサイダー取引の未然防止、優越的地位の濫用防止や顧客
保護等への対応強化、反社会的勢力との関係を遮断するための態勢強化等を実施項目とし、
プログラムの進捗状況を定期的にコンプライアンス会議および取締役会に報告しておりま
す。
 法令等遵守の統括部門である経営企画部コンプライアンスグループは、各部店毎に実施
するコンプライアンス勉強会を毎月開催する等により、コンプライアンス態勢の充実に努
めております。そのほか、階層別各種研修会においてコンプライアンスに関する講義や役
員講話を行うなど、コンプライアンスマインドの向上を図っております。


(4) 経営に対する評価の客観性の確保のための方策
 ① フィデア HD
 フィデアHDは、経営に対する客観性と透明性を保ちつつ、各子銀行の経営に対する評価
の実施等、経営監視機能を強化すべく指名委員会等設置会社とし、社外取締役として、有識
者である公認会計士1名および弁護士1名に加えて、経験豊富な経営者1名と大手金融機関等
の役員経験者3名、計6名を選任しております。
 また、各委員会は、監査委員会は過半数、指名委員会および報酬委員会は、全委員を社外


                        29
取締役で構成し、外部の視点から業務運営等の適切性について監督しており、現行の体制を
引き続き堅持してまいります。


② 北都銀行
 当行は、2015 年 5 月 1 日施行の会社法の一部を改正する法律(平成 26 年法律第 90 号)
による改正後の会社法により制度化された監査等委員会設置会社へ 2015 年 6 月に移行し
ております。従来の監査役(社外監査役を含む)が取締役(監査等委員)として取締役会
に参加し、監査監督機能の強化や取締役会の活性化を図るなど、コーポレートガバナンス
体制の一層の強化に取り組んでおります。
 また、経営に対する評価の客観性を確保するため、弁護士や経営経験豊富な地元経営者
等 4 名を社外取締役に選任し、経営監視機能の十分な確保に努めており、現行の体制を引
き続き堅持してまいります。


③ 経営強化計画の運営管理
 フィデア HD は、経営強化計画の着実な遂行を確保するため、フィデア HD における経
営強化計画の実施状況を管理する部署を経営統括グループ(経営企画部門)としておりま
す。
 当行は、ALM・収益会議において、月次で計画数値・施策の進捗状況をチェックすると
ともに、進捗状況が芳しくない項目については、その対策について協議しております。
 また、引き続き、経営強化計画の履行状況について、当行およびフィデア HD のそれぞ
れの取締役会において四半期毎にレビューを実施してまいります。


(5) 情報開示の充実のための方策
 ① フィデア HD における四半期ごと情報開示の充実
 東京証券取引所への適時開示、ホームページへの掲載等を通じ、迅速かつ正確な四半期
情報の開示を行っております。
 今後も、迅速かつ正確で、より広く分かりやすい開示に努めてまいります。


② 北都銀行における主として業務を行っている地域への貢献に関する情報開示
  の充実
 お取引先への情報開示の充実を目的に、お取引先の組織(北都会)の中で、最近の当行
の取り組みについての説明会を開催し、当行の取り組みやフィデアグループの決算内容等
について説明を行っております。
 また、地域密着型金融の推進等を通じた地域の活性化へ向けた当行の取り組みや地域貢
献活動等について、ディスクロージャー誌やホームページ等で開示しております。
 今後も、地域貢献活動の充実を図るとともに、分かりやすい情報開示に努めてまいりま
す。




                         30
(6) 持株会社における責任ある経営管理体制の確立に関する事項
 子銀行の経営管理を強化するため、フィデアグループ運営方針の統括とグループ会社管
理全般を担当する経営統括グループを設置しております。経営統括グループには、グルー
プ長を含め専任者(子銀行業務を兼務しない者)を配置し、子銀行の経営管理を適切に行
う体制としております。


5 中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化その他主として業務を行ってい
    る地域における経済の活性化に資する方策の進捗状況
(1) 中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化、その他主として業務を行ってい
  る地域における経済の活性化に資する方針
① 中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化に関する方針
 当行の営業基盤の中心は中小零細企業をはじめとする地元事業者であり、健全な事業展
開をしている地元業者を幅広く支援し、信用供与を円滑に進めることは、地域金融機関で
ある当行の最も重要な役割の一つとして捉えております。また、これらの信用供与の円滑
化をもとにした地域経済の活性化や発展は、地域金融機関の収益基盤の拡大・強化に繋が
るものと認識しております。
 前計画において掲げた地域密着型金融を更に発展させ、一万先訪問活動を中心とした訪
問活動により得た地元企業の課題や悩みを、本部や提携先企業と連携しながら解決に向か
うとともに、そのリレーションから生まれる融資取引への対応についても積極的に推進し
てまいります。


② その他主として業務を行っている地域における経済の活性化に資する方針
 当行は、地域金融機関として、主たる営業基盤である秋田県経済を支えていく責務を強
く認識し、秋田県経済の活性化や産業の育成に努めてまいります。
 地元秋田県の人口減少や高齢化が進行する中で、地域経済の縮小停滞の克服、また、新
しい産業や雇用の創出が大きな課題であると認識しております。当行では、本県の個性豊
かで優れた資源を活用する、新たな価値創造を目指した活動が必要不可欠と考え、独自の
地方創生戦略「北都イノベーション戦略」を柱として、お客さまの本業支援と地域活性化
を進めてまいります。
 また、金融仲介機能の発揮にとどまらず、事業承継ニーズへの積極的な支援、ビジネス
マッチングを通じた販路拡大支援等、フィデアグループの総合力を活用した多種多様なソ
リューションメニューを用意し、上質な金融情報サービスの実現により地域に貢献してま
いります。


(2) 中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化のための方策
① 中小規模事業者等向け信用供与円滑化計画
(イ) 中小規模事業者等に対する信用供与の額および総資産に占める割合
 2019 年 3 月期における中小規模事業者等向け貸出残高は計画始期比(2018 年 3 月期末
比)86 億円増加し、計画を 64 億円上回る 2,988 億円となりました。
 再生可能エネルギー事業向け融資に加え、一万先訪問活動により顧客接点が拡大したこ


                        31
とにより中小規模事業者等向け貸出残高が増加し、中小規模事業者等向け貸出残高および
比率は計画始期および計画を上回りました。


【図表 26】中小規模事業者等向け信用供与額の残高                                    (単位:百万円)

                      2018年3月期
                                  2019年3月期      2019年3月期
                          実績
                                      計画            実績
                       (計画始期)                               始期比      計画比

中小規模事業者等向け貸出残高          290,219       292,419     298,851    8,632    6,432

 (ご参考)うち秋田県内            253,595       255,795     259,560    5,965    3,765

総資産                   1,340,922 1,349,549 1,356,840         15,918    7,291

中小規模事業者等向け貸出比率            21.64         21.66       22.02     0.38     0.36
(注)本図表の増減は表上計算にて算出しております。

※   「中小規模事業者等」とは、銀行法施行規則第 19 条の 2 第 1 項第 3 号ハに規定する別表第一における中小
    企業等から個人事業者以外の個人を除いた先に対する貸出で、かつ次の貸出を除外しております。政府出
    資主要法人向け貸出および特殊法人向け貸出、          大企業が保有する SPC 向け貸出、
                        土地開発公社向け貸出等、
    当行関連会社向け貸出、その他金融機能強化法の趣旨に反するような貸出


② 中小規模事業者等に対する信用供与円滑化のための方策
(イ) お客さま接点の拡大および情報連携機能強化による貸出先数の拡大
[1] 営業店サポートシートの活用状況
 営業店と本部が情報共有し、継続したフォローによる事業性貸出や法人関連役務手数料
の増強を図るべく、経営者ヒアリング用の営業店サポートシートを制定し、お客さまのニ
ーズや課題をより具体的に把握し、お客さまへの最適な商品・サービスや当行提携先の紹
介等のソリューション営業に活用しております。
 本シートは法人取引先のニーズを一定の規格化した目線で把握することが可能であるこ
とから、担当行員のキャリアや知識量を問わず、汎用的なヒアリングシートとして活用で
きる法個一体営業のサポートツールにもなっております。
 また、営業店が本シートを作成することにより、本部が情報共有し、記載内容に応じた
適切なアドバイスや情報提供を行い、本部行員が提携先とともに営業店と同行訪問を行っ
ております。


[2] CRM システムの活用状況
 当行では CRM システムを活用し、お取引先との交渉履歴を本部や他の営業店からも閲
覧やコメント入力することにより、役員や同地域の営業店との連携を可能としております。
お取引先情報や交渉履歴を時系列的に蓄積することで、お客さまに対する理解を一層深め、
課題解決や提案につなげております。
 2018 年度下期の全営業店によるお客さまとの交渉履歴の入力件数は 26,821 件と前年同
期比 2,492 件増加し、システム活用への着意が着実に高まっております。
 また、2019 年 4 月に CRM システムを荘内銀行と共通のシステムに更改するとともに、
勘定系システムと連携させることで、情報量と利便性の向上を図っております。


                                 32
 今後は、CRM システムを有効に活用するとともに、情報のストックを継続することで、
地域のお客さまをもっとよく知り、より有益な提案をすることで地域の期待に応えてまい
ります。


【図表 27】CRM システムの交渉履歴入力推移




(ロ) 再生可能エネルギーを中心とした資金需要創出と資金供給計画
 当行では、本計画期間(2018 年 4 月から 2021 年 3 月)において、300 億円の再生可能
エネルギー事業向け融資を計画しております。
 2018 年度の再生可能エネルギー事業向け融資は、計画を 4 億円上回る 124 億円の実績
となっております。
 今後も、地域の資源や特性を活用した本分野の成長に尽力し、地域経済の活性化に寄与
しまいります。
【図表 28】再生可能エネルギー事業向け融資額                            (単位:億円)
           2019年3月期 2019年3月期 2019年3月期 2020年3月期 2021年3月期    3ヵ年
               実績      計画比       計画       計画       計画       累計
融資実行額             124       4       120      100      80         300


(ハ) 営業店の渉外活動の充実と本部による適切なフォロー(行動管理)の実践
 2018 年度においては、営業推進表彰制度について推進項目の見直しを図りながら、営業
店自主計画制度を継続し運用いたしました。
 各営業店の計画計数設定にあたっては、営業店へ提示する本部期待値をベースに営業店
と本部間でコミュニケーションを重ねながら進めており、計画計数確定まで十分な時間の
確保を図ることにより、営業店の主体的な活動が定着してまいりました。
 営業店における営業活動について、渉外部門の「渉外行動基準」を制定し担当者の役割
や行動基準を明確化するとともに、顧客接点の増加と渉外力(営業力)の発揮に向けた態
勢整備に努めております。渉外担当は「渉外行動基準」を参考に、半期ベースおよび月次
ベースで目標設定し、毎週金曜日に当該週の実績チェックと翌週の訪問先を計画しており
ます。自己管理を徹底するとともに、面談履歴は CRM システムへ入力しております。ま
た、活動件数や成果実績を「営業店活動実績管理表」により半期ベースで集計し、本部宛
て報告する仕組みとしております。


                              33
 2019 年 4 月からは、面談内容に加え成果実績についても毎日 CRM システムに入力する
運用に変更しております。面談内容については地区担当役員や本部行員が随時確認し、事
案毎に情報提供や同行訪問を行いフォローしております。


(ニ) 本部支援体制の強化と目標計数等の実効性ある PDCA の発揮
 当行は、中小規模事業者等向け貸出残高に関連する経営強化計画の目標達成に向けて、
事業性融資を含む法人関連部門に関する取り組みを強化してまいりました。
 事業性融資案件についての管理ツールを 2018 年 10 月より改定し、新たに事業性融資案
件管理表として記載事項を見直ししております。申込経緯や案件の進捗状況をより詳細な
区分にし、また最大 1 年半分の見込み案件を記載可能とし、より詳細に案件の内容、進捗
を把握できるよう改定しております。
 本部は事業性融資案件管理表により融資案件状況の管理を徹底しており、確度別、期間
別、使途別の融資案件状況を営業店と共有し、貸出残高の見通しを把握しております。見
通し結果を営業店と本部が共有化することで、今後の施策を互いに検討しながら立案、実
行していく体制を整備しております。
 地区戦略の確立と各施策の PDCA 発揮を図るために設置した営業戦略会議を月初に行
い、前月実績と課題についてよりタイムリーに討議しております。討議した内容について
は、地区別に担当役員を議長とした業績検討会において各営業店長と共有しております。
 今後は、2018 年度下期より試験稼動している新収益管理システムを活用することで、分
析の高度化に注力し、営業戦略における Plan および Check の質的向上に努め、営業戦略
の実効性を高めてまいります。


(3) その他主として業務を行っている地域における経済の活性化に資する方策
① 経営改善支援等取組先企業の数の取引先企業の総数に占める割合
 2019 年 3 月期における経営改善支援等取組先数について、創業・新事業開拓支援先は
50 先(計画比+15 先)となっております。女性および若者、シニア層、移住者の方に焦
点を当てた取り組みを実施し、計画を上回りました。
 経営相談は 1,187 先(計画比+180 先)となりました。お客さまの経営改善計画策定を
積極的に支援したことや、ビジネスマッチング支援先が増加したことを主な要因として計
画を上回りました。
 早期事業再生支援先数は 17 先(計画比+7 先)となっており、中小企業再生支援協議会、
税理士等の認定支援機関等との連携を強化したことにより計画を上回りました。
 事業承継支援先数は 8 先(計画比+5 先)となりました。専門部署である事業承継グル
ープを中心に、お客さまに対する支援体制を強化してきたことにより計画を上回りました。
 担保・保証に過度に依存しない融資先数は 12 先(計画比+4 先)となっております。
再生可能エネルギー関連案件への取り組みを主な要因として、計画を上回りました。
 結果、経営改善支援取組先数(合計)は、計画を 211 先上回る 1,274 先となりました。
 お取引先企業の総数は、秋田県内における事業者の高齢化等に伴う廃業者数の増加やマ
ーケット縮小等に伴う事業所数の減少等により、計画を 135 先下回る 7,025 先となりまし
た。


                       34
 以上より、経営改善支援等取組先割合は、計画を 3.28 ポイント上回る 18.13%となりま
した。


【図表 29】経営改善支援等取組先割合の計画
                                  計画始期        2019年3月期    2019年3月期
                      項目
                                (2018年3月期)        計画          実績          始期比        計画比

創業・新事業開拓支援注1                             38          35              50         12         15

       注2
経営相談                                   990        1,007           1,187      197        180

                 注3
早期事業再生支援                                 23          10              17     △ 6             7

            注4
事業承継支援                                    2           3               8          6          5

                           注5
担保・保証に過度に依存しない融資促進                        7           8              12          5          4

合計 経営支援取組数(a)                        1,060        1,063           1,274      214        211

取引先企業の総数(b)注6                        7,152        7,160           7,025    △ 127      △ 135

経営改善支援等取組先割合(a)/(b)                 14.82%       14.85%       18.13%       3.31%      3.28%

(注)本図表の増減は表上計算にて算出しております。

  注1        ①    創業・新事業支援に資金使途を限定した融資商品(秋田県信用保証協会保証制度:創業支援資金・
                 事業革新資金)の貸出実績、およびプロパー融資等のうち創業・事業革新支援融資を行った先
            ②    「フィデア中小企業成長応援ファンド」等による出資先
            ③    秋田県内中小企業への助成制度「あきた起業促進事業」「あきた企業応援ファンド事業」
                                          、             、およ
                 び経済産業省「創業・第二創業促進補助金」等による各種補助金・助成金の活用支援を行った先
            ④    外部機関と連携し起業・創業を支援した先
  注2        ①    経営改善計画書(修正経営改善計画を含む)の策定をサポートした先
            ②    各種商談会・相談等と通じて当行の積極的な関与により成約した先数
            ③    当行のコンサルティング機能・情報提供機能を活用して、課題解決・販路拡大・業務委託・工事
                 の受注等企業間の業務上のビジネスニーズのマッチングを実施した成約先数
            ④    「ほくと成長戦略ファンド」等の取り組み先数(融資実行先数)
            ⑤    6 次産業化ファンド「とうほくのみらい応援ファンド」
                                          、シニアビジネス関連ファンド「地域ヘル
                 スケア産業支援ファンド」、再生可能エネルギー関連ファンド「スパークス・地域連携再生可能
                 エネルギーファンド」を活用して支援した先
  注3        ①    人材を派遣し再建計画等を支援した先
            ②    DES、DDS、DIP ファイナンス等を活用した先
            ③    中小企業再生支援協議会と連携し再生計画を策定した先
            ④    株式会社地域経済活性化支援機構(REVIC)を活用した先                 等
  注4        ①    秋田県信用保証協会保証制度:秋田県事業承継資金の活用支援を行った先
            ②    融資取り組み等当行関与による事業承継・M&A 支援先数
            ③    外部専門機関への取次ぎによる事業承継・M&A 支援先               等



                                          35
 注5   ①   ABL 手法の活用等、動産・債権担保で融資を行った先
      ②   財務制限特約条項(コベナンツ)を活用した融資商品で融資を行った先
      ③   秋田県信用保証協会保証制度「経営者保証ガイドライン対応保証制度」の活用支援を行った先
 注6   企業および消費者ローン・住宅ローンのみの先を除く個人事業主の融資残高のある先で、政府出資主
      要法人、特殊法人、地方公社、大企業が保有する各種債権又は動産・不動産流動化スキームに係る SPC、
      および当行の関連会社を含んでおります。


② 創業または新事業の開拓に対する支援に係る機能の強化のための方策
 2019 年 3 月期の支援実績は、一万先訪問活動および法個一体営業によりお客さまとの
接点が拡大したことを主な要因とし、計画比+15 先の 50 先となりました。
 創業および新事業の開拓に対する融資として、2015 年 3 月に創設したほくと創業サポ
ートローンや秋田県信用保証協会の制度を活用した資金供給により、創業や事業革新等の
支援を行っております。また、経営革新等支援機関として市町村との連携による創業に対
する経営支援にも積極的に取り組んでおります。
 引き続き、一万先訪問活動および法個一体営業を推進していくとともに、成長が見込ま
れる創業先等の掘り起こしや創業希望者との接点増加に向けたセミナーを企画する等、取
り組みを強化してまいります。


③ 経営に関する相談その他の取引先の企業に対する支援に係る機能強化のため
  の方策
(イ) 経営改善支援活動の充実
 経営改善支援業務を専担する部署である融資部経営支援グループの所管先 53 先を中心
に積極的に経営改善支援に取り組んでおります。
 お取引先企業の潜在能力と事業の持続可能性等に応じて 3 部門(経営支援グループ、融資
グループ、営業店)に担当者を割り振り、継続的な訪問などによるお取引先企業とのリレー
ション、きめ細やかな経営相談、経営指導等を通じて経営改善支援活動の充実を図ってお
ります。併せて、人材を育成するために、営業店担当者向け集合研修において、経営改善
計画の策定支援および検証のポイントを指導しております。また、同研修の中で、中小企
業再生支援協議会や認定支援機関制度の事業内容および実績を紹介しながら、同機関や制
度の認知度向上と利用促進を図っております。


(ロ) ビジネスマッチング支援活動の充実
 2018 年度上期においては、ビジネスマッチング支援活動の一環として会員制組織である
北都ビジネスクラブ、日経トップリーダー経営者クラブ、あきた食彩プロデュースととも
に「ほくと食マッチングフェア 2018」を開催しました。
 国内大手百貨店、大手卸売業、大手ホテルチェーン等の有名バイヤー25 社を招聘し、県
内企業を中心に食品関連企業 31 社が出展しました。出展企業 31 社の内 9 社とバイヤー13
社との間で商談が成立しております。商談会はバイヤーと出展企業が個別面談形式で 245
件の面談が行われました。
 2018 年度下期においては、東京で開催された地方銀行フードセレクションへ、お客さま


                             36
6 社が出展されました。商談会は 2 日間行われ、来場者総数約 13,000 名、バイヤーと出展
企業が個別面談等で商談を行い、成約実績 11 件のほか、148 件が継続交渉となりました。
 今後も、フィデアグループ関連会社、親密会社、外部連携先等と協力し、お取引先企業
の販路拡大支援に向けた活動を展開してまいります。


(ハ) 各種ファンドを活用したエクイティファイナンスの強化
 秋田県の成長産業と位置付ける、新エネルギー産業、アグリビジネス、シニアビジネス
分野において各種リスクマネー(出資)の提供に加え、経営支援(ハンズオン)を実施す
る体制を構築しております。
 2016 年 10 月より、エクイティの提供により地域企業の成長をサポートするべく北都成
長応援ファンド投資事業組合の取扱いを開始しており、2018 年度の出資実績は 5 件 50 百
万円となっております。
 質の高い事業性評価活動を展開することで、エクイティの提供機会は増加すると認識し
ております。今後は、行員一人ひとりがエクイティへの着意を高め、お取引先の多様なニ
ーズにお応えしてまいります。


(ニ) 北都ものづくりアドバイザリーボードの設置
 秋田県全体で年間 5,200 億円を超える付加価値を生み出している製造業の更なる躍進の
ために、当行取締役会長を座長とする有識者委員会「北都ものづくりアドバイザリーボー
ド)」を設置いたしました。
 日本を代表する優れた知見を各分野で培ってこられ、かつ秋田県にゆかりのある方々を
中心に、4 名の方々をボードメンバーに招聘しております。
 設置期間は 2019 年 3 月から 2020 年 3 月までを予定しており、お取引先への個別訪問
にて経営戦略立案や販路拡大に関する助言を行うほか、新たな産業や産業集積創出のアイ
ディアを生み出すことで、秋田県経済へ貢献することを企図しております。


【図表 30】
      「北都ものづくりアドバイザリーボード」 ボードメンバー(敬称略)

     氏    名                  現    職               備    考
嵯峨 宏英            CGプロジェクトサポート株式会社 代表取締役社長   トヨタ自動車株式会社 元専務役員
上釜 健宏            TDK株式会社 ミッションエグゼクティブ       同社 元代表取締役会長
島田 洋一            秋田大学学長補佐
バウォン・サッタャウティポン   タイ王国大使館 公使参事官




                               37
【図表 31】
      「北都ものづくりアドバイザリーボード」   イメージ図




④ 早期の事業再生に資する方策
 中小企業再生支援協議会や認定支援機関の活用および連携強化を図り、2018 年度で 17
先の経営改善(再生)計画策定支援を行っております。


⑤ 事業承継・M&A に対する支援に係る機能の強化のための方策
 2018 年 4 月より、営業推進部内に事業承継専担部署として事業承継支援グループを設
置しております。信託銀行専門部署でのトレーニー経験者を中心に配置することで、専門
的スキルをお取引先へ提供する態勢を整備しております。お客さまの事業・資産承継の課
題解決に向けて有効なソリューションを提案してまいります。
 また、多種多様な事業承継ニーズに対応すべく、税理士法人や M&A 支援会社との提携
も強化しているほか、行員の事業承継相談に対する対応力の向上を図るため、提携機関へ
のトレーニー派遣も継続的に実施しております。




                     38
【図表 32】事業承継支援グループの活動方針




【図表 33】事業承継・M&A 相談件数の推移
                       2018年度      2019年度     件数増減
       事業承継相談件数              88         185       97
        M&A相談件数               6          58       52
        相談件数合計               94         243      149



⑥ 不動産担保・個人保証に過度に依存しない融資の推進、または事業価値を見極
  める融資手法をはじめ中小規模事業者等に適した資金供給手法の活用
     動産債権担保融資として ABL14を活用した融資への取り組みは、12 先(計画比+4 先)
となりました。取り組みの内訳は、太陽光発電案件が 11 先、診療報酬によるものが 1 先
となっております。
     今後も財務制限特約条項(コベナンツ)を活用した融資やノンリコースローン等、幅広
い融資形態を検討しながら資金供給へ取り組んでまいります。


 6 剰余金の処分の方針
(1) 配当に対する方針
① フィデア HD
     フィデア HD は、剰余金の配当の決定機関を取締役会とし、グループの中核事業である
銀行業務をはじめとした各種事業の公共性を鑑み、長期的視野に立ち筋肉質な経営体質の
構築を目指すとともに、内部留保の充実と安定的な配当の維持に取り組んでまいります。
     2018 年度は、年間配当金 1 株当たり 6 円 00 銭を配当しております。2019 年度につき
ましても、年間配当金 1 株当たり 6 円 00 銭を予定しております。




14   ABL(Asset Based Lending)とは、企業の事業そのものに着目し、商品在庫や売掛金
     等の流動性の高い事業資産を担保として活用する融資手法のこと。


                              39
② 北都銀行
 当行は、フィデア HD としての安定的な配当を継続していくため、経営強化計画の着実
な遂行による収益力の強化と業務の効率化を図ることで安定した業績を確保することによ
り、公的資金返済財源である内部留保の蓄積に努めていくとともに、安定的な配当を継続
してまいります。
 なお、当行は、持株会社であるフィデア HD の 100%子会社となっており、当行の配当
金は、全額、フィデア HD へ支払いしております。


(2) 役員に対する報酬および賞与についての方針
① フィデア HD
 フィデア HD は、月額報酬に加え役員賞与支給という報酬体系となっております。業績
を勘案した報酬および賞与の支給を実施してまいります。
 なお、企業価値並びに株価を意識した経営の浸透を図るため、株価変動による利害得失
を株主の皆さまと共有しつつ、中長期的な業績向上に対する取締役並びに執行役のインセ
ンティブを高めることを目的とする自社株取得目的報酬を導入しております。


② 北都銀行
 当行は、月額報酬に加え役員賞与支給という報酬体系となっております。業績を勘案し
た報酬および賞与の支給を実施してまいります。


(3) 財源確保の方策
 フィデア HD は、当行の利益剰余金の積み上げにより公的資金 100 億円の早期返済を目
指してまいります。
 当行は、経営強化計画を着実に履行し、収益力の強化と資産の健全化を進め、安定した
収益を確保してまいります。
 なお、2019 年 3 月期における当行の利益剰余金は 185 億円と計画を上回って推移して
おります。


【図表 34】北都銀行の利益剰余金の積み上がり状況    (単位:億円)




                       40
 7 財務内容の健全性および業務の健全かつ適切な運営の確保のための方策の進
    捗状況
(1) 経営管理に係る体制
① フィデア HD および北都銀行における内部統制基本方針
 フィデア HD および当行は、会社法および会社法施行規則に基づき、取締役会において
内部統制システムの基本方針を決議し、この中で業務の適切性を確保するための体制につ
いて定めております。


② フィデア HD における内部監査体制
 フィデアグループの内部監査部門については、2018 年 4 月よりフィデア HD 内部監査
グループの統括のもと、両子銀行に業務監査室を置く組織体制としております。フィデア
HD 内部監査グループの業務内容としては、本部監査およびグループ会社の監査、資産監
査を主体に実施しております。
 また、フィデア HD 内部監査グループが実施した内部監査の結果については、定期的に
取締役会および監査委員会、当行監査等委員会等へ報告する体制としております。


③ 北都銀行における内部監査体制
 各業務執行部門等から独立した内部監査部門である業務監査室は、フィデア HD 内部監
査グループと連携の上、営業店監査等を行い、事務処理等の問題点の発見、指摘等をもと
に内部管理体制等の評価および改善に向けた提言等を実施する体制としております。
 また、業務監査室が実施した内部監査の結果については、取締役会等へ報告する体制と
しております。


④ フィデア HD における財務報告に係る内部統制の基本方針
 フィデアHDおよび当行は、2009年度制定の財務報告に係る内部統制の整備・運用および
評価の基本方針に基づき、2018年度に財務報告に係る内部統制の整備・運用および評価の
基本計画を制定しております。
 本計画に基づき、財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するための内部管理
体制の整備を行うとともに、財務報告に係る内部統制の整備および運用状況の有効性評価の
実施により、内部統制の有効性について検証し、財務報告の信頼性確保を図っております。


(2) 北都銀行における各種のリスク管理の状況および今後の方針等
 当行の各種のリスク管理体制、信用リスク管理、市場リスク管理については、「項目 4
(2)リスク管理の体制の強化のための方策」に記載のとおりです。
 その他のリスクとして、流動性リスク管理とオペレーショナル・リスク管理の状況は、
以下のとおりです。




                       41
① 流動性リスク管理
 リスク管理基本方針および流動性リスク管理規程に基づき、資金繰りリスクおよび市場流
動性リスクから成る流動性リスクを適切に把握しております。
 流動性リスク管理指標として、流動性リスク管理規程にて流動性準備量、資金ポジション、
大口預金比率等を定めており、各管理指標について関連部署からの報告に基づきリスク管理
部門が日次ベースで管理しているほか、定例的にリスクマネジメント会議等に報告しており
ます。
 なお、2019 年度上期より流動性リスク管理指標に「外貨資金累積ギャップ」を新たに設
定し、流動性リスク管理規程を改定しております。


② オペレーショナル・リスク管理
(イ) システムリスク
 グループのシステムリスク管理状況およびインシデントの発生状況に関しては、フィデア
HDのICT部門が一括して定期的または必要に応じて最高ICT・システム責任者(CTO)お
よびフィデアグループ経営会議に報告する体制としており、経営陣の関与のもと、迅速かつ
適切なインシデント対応を行える環境を整備しております。
 特にサイバーセキュリティに関しては、2020 東京オリンピック・パラリンピックに向け
た予防措置を万全とするべく、2016年12月より推進してきた整備計画における課題を見直
し、課題の再設定と優先課題の選定に取り組んでおります。
 当行のシステムに係るリスク要素は、外部接続業者との連携拡大等によりますます複雑化
していることから、更なるリスク管理体制強化に向けた取り組みを計画的に実施し、リスク
管理水