8560 宮崎太銀 2021-09-28 16:00:00
2021年3月期における経営強化計画の履行状況について [pdf]

                                                                 2021 年 9 月 28 日
各    位
                                            会    社
                                                 名  株式会社 宮崎太陽銀行
                                            代表 者 名  取締役頭取 林田 洋二
                                              ( コード番号   8560 福証 )
                                         問い合わせ先 取締役総合企画部長 上野 哲弘
                                                ( TEL 0985-24-2111 )



           2021 年 3 月 期 に お け る 経 営 強 化 計 画 の 履 行 状 況 に つ い て


  株式会社宮崎太陽銀行(頭取 林田 洋二)は、  「金融機能の強化のための特別措置に関する法律」に基づき、
2021 年 3 月期における経営強化計画の履行状況をとりまとめましたのでお知らせいたします。

進捗のポイント

1.コア業務純益
     資金利益が有価証券利息配当金の減少により計画を下回ったこと等から、コア業務純益は計画を下回りま
    した。

2.業務粗利益経費率
     経費(機械化関連費用を除く)は計画を下回ったものの、業務粗利益が資金利益および役務取引等利益の
    減少等により計画を下回ったことから、業務粗利益経費率は計画を上回りました。

3.中小規模事業者等向け信用供与の残高、比率
     地元中小規模事業者のお客さまとのリレーション強化に努めながら、コロナ禍での資金繰り支援や販路開
    拓支援を通じた売上改善に伴う資金需要への対応等に取組んだ結果、中小規模事業者に対する貸出残高は計
    画を上回りました。
     一方、総資産に対する比率は、資金繰り支援による貸出増加や預金増加による現預金増加により総資産が
    増加したことから、計画を下回りました。

4.経営改善支援取組率
     事業者のお客さまが抱える事業運営上の課題把握を行った上で、本業サポート With や TBMS を通じた売
    上改善支援のほか、営業店・本部および外部支援機関との連携による事業再生・事業承継支援、新型コロナ
    関連の助成金・給付金の対応等に取組んだ結果、経営改善支援取組率は計画を上回りました。

* 進捗状況の詳細については、当行ホームページの経営方針に掲載しております「経営強化計画の履行状況
  報告書(2021 年 6 月)」の P3 から P5 および P11 から P14 を、関連する取組状況については P5 から P9
  をご覧ください。
  掲載場所:https://www.taiyobank.co.jp/investors/policy/



                                                                          以   上


          本件に関する問い合わせ先        総合企画部     實藤( TEL 0985-60-6275 )
経営強化計画の履行状況報告書




    2021 年 6 月




        0
                      目次

1.2021 年 3 月期決算の概要                           ・・・1
(1)経営環境                                      ・・・1
(2)決算の概要(単体ベース)                              ・・・1

2.経営の改善に係る数値目標の実績                            ・・・3
(1)収益性を示す指標(コア業務純益・たいよう KPI)                 ・・・3
(2)業務の効率性を示す指標(業務粗利益経費率・たいよう KPI)            ・・・4

3.経営の改善の目標を達成するための方策の進捗状況                    ・・・5
(1)第四次経営強化計画の浸透・定着に向けて                       ・・・5
(2)着実な顧客価値提供                                 ・・・6
(3)顧客価値提供を着実に行うために                           ・・・8
(4)公的資金の活用状況                                 ・・・9

4.従前の経営体制の見直しその他の責任ある経営体制の確立に関する事項の進捗状況      ・・・9
(1)業務執行に対する監査又は監督の体制の強化のための方策                ・・・9
(2)リスク管理の体制の強化のための方策                         ・・・9
(3)法令遵守の体制の強化のための方策                          ・・10
(4)経営に対する評価の客観性の確保のための方策                     ・・11
(5)情報開示の充実のための方策                             ・・11

5.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化その他の主として業務を行っている地域にお   ・・11
  ける経済の活性化に資する方策の進捗状況
(1)中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化その他の主として業務を行っている地域に   ・・11
   おける経済の活性化に資するための方針
(2)中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化のための方策                ・・12
  ①中小規模の事業者に対する信用供与の実施体制の整備のための方策            ・・12
  ②担保又は保証に過度に依存しない融資の促進その他の中小規模の事業者の需要       ・・12
   に対応した信用供与の条件又は方法の充実のための方策
  ③中小規模事業者等向け信用供与円滑化計画を適切かつ円滑に実施するための方       ・・12
   策
(3)その他主として業務を行っている地域における経済の活性化に資する方策         ・・13
  ①創業又は新事業の開拓に対する支援に係る機能の強化のための方策            ・・14
  ②経営に関する相談その他の取引先の企業に対する支援に係る機能の強化のための方策    ・・14
  ③早期の事業再生に資するための方策                          ・・15
  ④事業の承継に対する支援に係る機能の強化のための方策                 ・・15

6.剰余金の処分の方針                                  ・・16
(1)配当、役員に対する報酬および賞与についての方針                   ・・16

7.財務内容の健全性および業務の健全かつ適切な運営の確保のための方策の進捗状況      ・・16
(1)経営管理に係る体制および今後の方針等                        ・・16
(2)各種のリスク管理の状況および今後の方針等                      ・・17




                       1
1.2021年3月期決算の概要
(1)経営環境
      当期の国内経済は、政府がコロナ禍における経済対策として財政支出を急拡大し、個人・
    事業者向けの各種給付金や「Go To キャンペーン」等の景気浮揚策を実施したほか、日本銀
    行も企業の資金繰り改善に向けて企業への積極融資を促す金融支援特別オペを実施するな
    ど、財政と金融政策を総動員した危機対応が図られましたが、新型コロナウイルス感染症の
    拡大、更には長期化により、人々の移動と消費が停滞し続け、様々な企業活動が制約を受け
    たことから、総じて厳しい状況となりました。
      また、県内経済においては、一時的に収束の兆しと経済活動の持ち直しが見られたものの、
    その後の再拡大や県独自の緊急事態宣言発令に伴う飲食店の時短営業等により再び経済活
    動が弱まったことなどから、宿泊・飲食サービス等の個人消費関連の業種を始めとした幅広
    い業種で、売上減少等の影響が継続することとなりました。
      なお、先行きにつきましては、ワクチンの優先接種が開始され、一般の人々にまで普及す
    ることによる感染収束と景気回復への期待が高まりを見せ始めているものの、   現状では収束
    時期が見通せないことから、引き続き、公私を通じた感染防止策の徹底を前提としながら、
    当行を含む地元事業者と県民とが一体となり、   個人消費と事業活動の活性化に向けた取り組
    みを進めていくことが必要な状況となっております。
      当行は引き続き、今回の新型コロナウイルス感染症流行のほか、毎年発生している台風や
    豪雨等の自然災害といった不測の事態により経済が停滞してしまう要素を十分に孕んだ環
    境であることを認識しながら、  もう一段踏み込んだ地域経済活性化支援を実現していくため、
    経営強化計画に掲げる各種方策に取組んでまいる方針です。

(2)決算の概要(単体ベース)
    2021年3月末の貸出金は、地元を中心とした中小規模事業者等向け貸出が増加した結果、
   前年同期比208億29百万円増加し、5,224億67百万円となりました。有価証券は、前年同期
   比158億12百万円増加の1,445億44百万円となりました。
    一方、預金は、個人預金、法人預金ともに増加したことで、前年同期比478億43百万円増
   加し、7,016億97百万円となりました。

   【資産・負債の推移(表1)】                                           (単位:百万円)
              2021//3期                                2020/9期     2020/3期
                実績        2020/9期比       2020/3期比       実績          実績
   資産           828,099      48,605         124,942     779,494     703,157
    うち貸出金       522,467       5,522          20,829     516,945     501,638
    うち有価証券      144,544       2,849          15,812     141,695     128,732
   負債           781,106      46,844         121,061     734,262     660,046
    うち預金        701,697       5,195          47,843     696,502     653,854
   純資産           46,993       1,761           3,883      45,232      43,110


    2021 年 3 月期は、有価証券利息配当金の減少により資金利益は前年同期比 1 億 95 百万円
   減少し、94 億 48 百万円となりました。その結果、業務粗利益は前年同期比 2 億 55 百万円
   減少の 92 億 53 百万円となりました。
    経費は、   昨年までの新勘定系システム移行に伴う費用負担が無くなったことで物件費が減
   少しましたが、働き方改革を踏まえ、女性行員の積極的な監督職への登用を行ったことで人
   件費が増加し、また、効率的な店舗展開のための店舗建設にかかる消費税計上等もあり、前
   年同期比 21 百万円増加の 82 億 87 百万円となりました。
    臨時損益は、コロナ感染拡大以前から業況が芳しくないお取引先において、コロナを発端
   として売上減少、    事業売却などの影響が若干出始めていることを勘案して予防的な引当てを
   行いましたが、一方で、好調な有価証券相場を反映し株式等売却益を計上したことで前年同
                                     1
期比 24 百万円の微増となりました。  以上のことから、 2021 年 3 月期の経常利益は 14 億 90
百万円、当期純利益は 11 億 66 百万円となりました。

           (表 2)
【損益状況の推移(単体)    】                                             (単位:百万円)
                 2021/3期                                 2020/9期        2020/3期
                   実績            2020/3 期比                 実績             実績
業務粗利益                 9,253                 △255             4,514          9,508
(コア業務粗利益)            (9,278)                △177           (4,525)        (9,455)
 資金利益                 9,448                 △195             4,740          9,643
   うち貸出金利息            8,172                  △27             4,084          8,199
   うち有価証券利息配当金        1,306                 △221              688           1,527
   うち預金利息                90                  △26               49            116
 役務取引等利益              △205                   △12            △222           △193
 その他業務利益                 10                  △48              △3              58
   うち国債等債券損益           △25                   △77             △11              52
経費(除く臨時処理分)           8,287                   21             4,149          8,266
 うち人件費                4,395                   48             2,213          4,347
 うち物件費                3,258                 △115             1,607          3,373
一般貸倒引当金繰入額            △434                  △423               -             △11
業務純益                  1,399                  146              365           1,253
(コア業務純益)              (990)                 △199             (376)        (1,189)
臨時損益                     90                   24              580             66
 うち不良債権処理額              727                  607                1            120
 うち貸倒引当金戻入益              -                    -               479              -
 うち株式等関係損益              743                  719               74             24
 うち退職給付費用              △82                    62             △41           △144
経常利益                  1,490                  171              945           1,319
特別利益(△は特別損失)             39                  108               83            △69
税引前当期(中間)純利益          1,530                  281             1,029          1,249
税金費用                    363                  199               88            164
当期(中間)純利益             1,166                   81              940           1,085


 2021 年 3 月末の金融再生法開示債権については、営業店・本部、外部専門機関が連携し
て事業再生支援に取組んでおりますが、その過程において返済等があったことから、前年同
期比 19 億 88 百万円減少し、102 億 64 百万円となりました。その結果、金融再生法開示債
権比率は、前年同期比 0.47 ポイント低下し 1.96%となりました。

【金融再生法開示債権比率の状況(単体)(表3)
                      】                                                 (単位:百万円、%)
                          2021/3期                                       2020/9期     2020/3期
                            実績              2020/9期比       2020/3期比       実績          実績
 破産更生債権およびこれらに準ずる債権             3,002              450             80      2,552      2,922
 危険債権                           4,931         △1,282          △944         6,213      5,875
 要管理債権                          2,330          △741         △1,124         3,071      3,454
合計(A)                          10,264         △1,572        △1,988        11,836     12,252
 正常債権                      512,911             7,070         22,689      505,841    490,222
総与信(B)                     523,175             5,498         20,701      517,677    502,474
金融再生法開示債権比率(A)/(B)               1.96         △0.32          △0.47          2.28       2.43


 2021年3月末は、主に有価証券増加に伴うリスクアセット増加により単体自己資本比率は、
前年同期比0.12ポイント低下し、9.60%となりました。


                                        2
   【単体自己資本比率の推移(表4)
                  】                                                 (単位:%)
             2021/3期                                     2020/9期       2020/3期
               実績       2020/9期比   2020/3期比                実績            実績

   自己資本比率        9.60      △0.20         △0.12               9.80          9.72


2.経営の改善に係る数値目標の実績
(1)収益性を示す指標(コア業務純益)
    資金利益および役務取引等利益が計画を下回ったことで、コア業務純益は、計画を8億34
   百万円下回る9億90百万円となりました。
    資金利益は、長期国債がマイナス金利で推移するなど厳しい投資環境が続く中で、過度に
   有価証券を積み上げることを控え、また終息の見通しが立たないコロナ禍において、今後も
   一定水準の利益確保を図るため、 有価証券を活用した利益計上を無理に行うことも避けたこ
   とから、利息配当金が計画を下回る水準となりました。また、役務取引等利益については、
   コロナ禍に苦しむお客様への当たり前の対応として、 各種手数料の無料化や減免に取り組ん
   だことなども影響し、計画を下回る水準となりました。

  【コア業務純益(表5)
            】                        (単位:百万円)
              2018/3期   2019/3期    2020/3期          2020/9期
             実績(始期)       実績         実績               実績
  コア業務純益        1,811      1,072         1,189              376

                              2021/3期
              計画         実績         計画比              始期比
  コア業務純益        1,824        990         △834             △821
  ※ コア業務純益=業務純益+一般貸倒引当金繰入額-国債等債券関係損益


    本計画においては、法定KPIであるコア業務純益の補助的指標として、    「地元中小規模事
   業者等向け貸出金利息」をたいようKPI(コア業務純益)として管理してまいりました。
    2020年度が宮崎県のコロナ感染症対応資金の利子補給前の指定金利条件が当行の中小規
   模事業者等向け貸出金利回りを大幅に下回る中、   新規の資金需要をコロナ感染症対応資金で
   調達することを多くのお客さまが望まれたことに加え、2018年度、2019年度は、販路開拓
   支援等による顧客価値提供に努めたことで中小規模事業者向け貸出利息および平均利回り
   は改善トレンドを維持できたものの、  お客さまにご満足いただける事業運営上の支援にまで
   十分に踏み込めておらず、  顧客価値に裏付けられた質の高い貸出の着実な積み上げに至らな
   かったことから、2021年3月期は、計画を3億84百万円下回る40億68百万円となりました。
    今後も、地元の中小規模事業者のお客さまへの顧客価値提供に注力することから、売上付
   与を中心とした顧客価値に裏付けられたリレーションの含み益の確保状況を、     このたいよう
   KPI(コア業務純益)によりフォローしてまいります。

  【たいようKPI(コア業務純益)(表6)
                     】                                                            (単位:百万円)
                        2018/3期 2019/3期 2020/3期                          2021/3期実績
                        実績 (始期)   実績      実績                 計画          実績       計画比     始期比
  地元中小規模事業者向けの貸出金利息       3,561    3,777         3,926         4,452      4,068    △384     507
  ※ 「地元中小規模事業者等向け貸出」とは、宮崎県、鹿児島県に本社を構える中小規模事業者のうち、政府出資主要法
    人向け貸出および特殊法人向け貸出、土地開発公社向け貸出等、大企業が保有するSPC向け貸出、当行関連会社向け
    貸出、その他金融機能強化法の趣旨に反するような貸出を除く貸出とし、
                                    「地元中小規模事業者等向けの貸出金利息」
    は、「地元中小規模事業者等向け貸出」により得られる貸出金利息




                                     3
  【(参考)貸出金年間平残・利息・利回りの推移(表7)】                                                                  (単位:百万円)
                            2019/3期                         2020/3期                          2021/3期
                                          前年度比                                 前年度比                          前年度比
                              実績                              実績                               実績
  中小規模事業者向け貸出金 平残            254,463        12,843              268,098           13,635       291,434           23,336
  中小規模事業者向け貸出金 利息              4,000               50             4,181             181             4,353           172
  中小規模事業者向け貸出金 利回り             1.572        △0.063                1.559          △0.013             1.493        △0.066


(2)業務の効率性を示す指標(業務粗利益経費率)
    2021年3月期の経費については、機械化関連費用を除く経費は、効率的な運用を行った結
   果、計画を1億37百万円下回る64億26百万円となりました。
    業務粗利益は、資金利益および役務取引等利益が計画を下回ったことで、計画を7億56百
   万円下回る92億53百万円となりました。この結果、業務粗利益経費率は、計画を3.87ポイン
   ト上回る69.44%となりました。

  【業務粗利益経費率(表8)】                                        (単位:百万円、%)
                  2018/3期 2018/9期         2019/3期          2020/3期            2020/9期
                  実績(始期)    実績              実績               実績                 実績
  経費(機械化関連費用除く)     6,334       3,215        6,551              6,438           3,189
  業務粗利益             9,558       4,479        9,315              9,508           4,514
  業務粗利益経費率          66.26       71.77        70.32              67.71           70.64


                                      2021/3期
                   計画           実績         計画比             始期比
  経費(機械化関連費用除く)     6,563        6,426       △137                 92
  業務粗利益            10,009        9,253       △756               △305

  業務粗利益経費率          65.57        69.44           3.87            3.18


    本計画では、法定KPIである業務粗利益経費率の補助的指標として、      「売上付与実績のな
   い行員数1人あたりの地元中小規模事業者等向け貸出金利息」をたいようKPI(業務粗利益
   経費率)として管理してまいりました。具体的には、       「地元中小規模事業者等向け貸出金利
   息」を分子、 「販路開拓支援業務において売上付与実績のない行員数」     を分母に算定します。
    これは、販路開拓支援業務によって売上付与実績のある行員を増やすことは、本ビジネス
   モデル改革に寄与しない行員を減らすことと同義であることから、       「売上付与実績のない行
   員数」を減少させることによって、売上付与に関する業務に注力させながらも、目指す収益
   を確保する仕組み作りができているかの進捗を測るために設定したものであります。
    2021年3月期は、計画を0.615百万円上回る10.272百万円となりました。

  【たいようKPI(業務粗利益経費率)
                   (表9)】                                                                    (単位:百万円、%)
                            2018/3期 2018/9期 2019/3期 2020/3期                                   2021/3期
                        実績(始期)        実績      実績      実績                         計画         実績        計画比         始期比
  地元中小規模事業者向けの貸出金利
                              3,561      1,842          3,777      3,927        4,452       4,068     △384          507
  息(A)
  行員数(a)                       643        644            630            628       650        641        △9          △2
  売上付与実績のある行員数(b)              102        126            147            207       189        245            56      143
  売上付与実績のない行員数
                               541        518            483            421       461        396       △65        △145
  (c)=(a)-(b)
  1人あたりの地元中小規模事業者等
                              6.582      7.111          7.819      9.327        9.657      10.272     0.615       3.690
  向けの貸出金利息(B)=(A)/(c)
  ※ 「地元中小規模事業者等向けの貸出金利息」は、たいようKPI(コア業務純益)の実績値・計画値と同一
  ※ 「行員数」は、役員、嘱託、パートを除く行員数と同一

                                            4
  ※ 「売上付与実績のない行員数」は、上記行員数から、「本業サポートWithならびにTBMSの売り手事業者のお客さまに
    対する売上付与実績のある行員(除く役員、嘱託、パート)」を除いた行員数
  ※ 各年度9月期の「1人あたりの地元中小規模事業者等向けの貸出金利息」は、1年間での貸出金利息を基準とするため、
    便宜的に「地元中小規模事業者等向けの貸出金利息」の中間決算時の計画・実績を2倍して算出する運営とする。


3.経営の改善の目標を達成するための方策の進捗状況
(1)第四次経営強化計画の浸透・定着に向けて
  ①重要なステークホルダーとの対話
    本計画における「経営の改善の目標を達成するための方策」の成否は、当行経営陣と重要
   なステークホルダーである「当行のお客さま」および「当行の業務執行に関わる行員」との
   対話を通じて、当行の使命が地域経済活性化にあるということをいかに理解していただくか
   にかかっているとの認識の下、本計画期間においては、従前からの株主や地域のお客さまへ
   の情報開示等に加えて、経営陣が上記2つのステークホルダーとの対話を継続的に行ってい
   くことを、
       「経営の改善の目標を達成するための方策」の前提として取組んでまいりました。

  A.役員とお客さま
    従前より、お客さまへの訪問や定例の交流会等の機会を捉え、当行の使命が地域経済活性
   化への貢献であるという方向性を理解いただくべく対話に努めてまいりましたが、2020年1
   月に顕在化した新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年3月以降は感染収束と再拡
   大を繰り返す状況が続き、対話機会は十分に得られる状況ではございませんでした。
    しかしながら、計画当初より地道に対話に取組み、コロナ禍以降も、感染防止策やお客さ
   まの状況に最大限配慮しながら対話に努めてきた結果、 これまで参加の少なかったお取引先
   の実権者等のお客さまが当行の会合等に参加いただく機会が増えてきたほか、  本計画で取組
   みを開始した販路開拓支援「本業サポートWith」のお客さま自らが、他のWith契約先のお
   客さまに販路をご紹介いただくという、当行の取組みが評価されていなければ起こり得るは
   ずもない、お客さま同士のネットワークの誕生という非常に喜ばしい事象も発生するように
   なりました。
    このほか、重要なステークホルダーに含まれるマスコミの皆さまに対しては、従来から決
   算発表やトップインタビュー等の機会を通じて、 地域経済活性化にコミットする姿勢を発信
   してまいりましたが、とりわけ、決算記者会見にかかる地元紙の記事においては、当行の地
   域経済活性化に向けたビジネスモデル改革を掲載いただける様になりました。
    こうしたことから、当行が地域経済活性化にコミットする姿勢について、お客さま、マス
   コミ、その他県民の皆さまに広くご理解いただいているものと捉えております。
    引き続き、お客さまとの一層の対話を促す態勢づくりも進めながら、お客さまとの様々な
   接点の活用による、役員とお客さまとの継続的な対話に取組んでまいります。

  B.役員と当行行員
    本計画期間を通じて、期初や業績表彰等の支店長会、 創立記念日や年頭における頭取訓示、
   毎月のブロック支店長会等を通じ、業務執行を担う行員に対して、当行の使命が地域経済活
   性化への貢献であること、そして、その達成に向けた関連施策を浸透・定着させる対話に努
   めてまいりました。
    こうした対話がもたらした行員の変化としましては、顧客リレーション、提供顧客価値を
   重視したバランススコアカード型業績評価に即した業務運営に徐々に慣れてきたことで、 過
   去、貸出利率を引き下げなければ地元事業者さま向けの貸出を増やせなかったハンディを克
   服できるようになったことのほか、預り資産販売を担う窓口行員においては、トスアップ後
   の事務手続きをほぼ本部集中化したことで、ワークライフバランスの改善も見られました。
    また、コロナ禍関連としては、金融庁の「新型コロナウイルス感染症を踏まえた対応事例」
   に挙げられた 、債務の条件変更・新規融資など地元事業者の実情に応じた万全の対応につ
   いて、自発的な対応を継続してきたほか、行員によるお取引先商品の購買に留まらず、業績

                            5
   評価に反映されないにも関わらず、 営業店駐車場を販売ブースとしてお取引先に開放する等、
   地域経済活性化への貢献を志向するマインドの醸成と行動が組織的な広がりを見せること
   となりました。
    引き続き、役員と当行行員との様々な接点を通じ、当行使命の再確認と、商流情報、有用
   情報、本業サポートWithといった具体的な施策から生まれる、顧客リレーションや当行業
   容・財務面での改善、お客さま同士のネットワークの誕生といった成功体験を共有していく
   ことにより、地元のお客さまに対する取組み姿勢の浸透と、それに基づく顧客価値提供に資
   する行動の実現に努めてまいります。

  ②営業推進の大方針
    第四次経営強化計画においては、  「経営の改善の目標を達成するための方策」の着実な実
   行を下支えする土台部分として、  上記2つのステークホルダーに対する対話企画と合わせて、
   「営業推進の大方針」 (=短期的収益や短期的業容の向上への執着を改め、地元のお客さま
   とのリレーションを無形資産として捉え、着実な顧客価値提供の裏付けをもって、この無形
   資産の含み益の最大化に宮崎太陽銀行は注力する)を制定し、本方針を営業店行員の行動規
   範的な位置づけとしておりました。
    2020年度下期も引き続き、この行動規範に適した営業店行員の行動を実現するべく、 2019
   年度上期に抜本的見直しを実施した業績評価  (お取引先とのリレーション改善やお取引先へ
   の顧客価値提供を重視した業績評価)に即した営業活動に努めてまいりました。
    その結果、お取引先(実権者)との対話内容は、コロナ禍においてもファイナンス関連実
   績向上目的中心ではなく、 お取引先の事業運営が手に取るように分かる商流情報を基にお取
   引先が抱える事業運営上の課題把握に向けた対話を継続することができました。
    本計画期間に通じた営業推進の大方針の行内への浸透状況については、   中小規模事業者向
   け貸出に関する一定期間毎の残高変化と利回り変化に基づく分析を行ったところ、   第一次か
   ら第三次計画期間と本計画期間の間に明確な違いが表れており、   本計画に掲げた地域経済活
   性化に向けた諸方策に取組んできたことにより、   顧客リレーションの含み益が貯まり始めて
   いる兆候を確認することができました。
    なお、 当行の業績評価はバランススコアカードの学習と成長の視点を除く各視点に対応し
   た3つの大項目で構成されており、  高い総得点を取るには、内部プロセスの視点に対応する1
   番目の「顧客リレーション改善基盤項目」で高得点を獲得しなければ、顧客の視点に対応す
   る2番目の「提供顧客価値増強項目」や財務の視点に対応する3番目の「当行財務改善項目」
   で獲得した得点が目減りするという難易度の高い業績評価   (本格的なバランススコアカード
   型業績評価)としており、営業推進の大方針が営業活動へ浸透する仕組みとなっており、引
   き続き踏襲する方針としております。
    今後も引き続き、行員一人ひとりが、これからお客さまにご提案しようとしているサービ
   スが、 本当にお客さまに心底喜んでいただけるものになっているのかを吟味しながら方策の
   実行に邁進できるよう、本方針および業績評価に即した行動の浸透を図ってまいります。

(2)着実な顧客価値提供
  ①お客さま自身の事業運営課題の収集
    お客さまの事業運営上の課題認識に関わる情報は、  借入ニーズ対応以外での価値あるサー
   ビス提供を行うために有用であることから、当行では「有用情報」と呼んでいます。
    有用情報の収集は、お客さまの商流を手掛かりに事業運営状況を把握し、その商流に存在
   する課題の原因に踏み込んでいくことで「事業運営上の課題認識」 を探り、取得するもの
   で、その課題に対する解決策として下記 4 項目を定義しております。
     A )売上改善支援
     B )不測の事態により増加した製造原価の低減策支援
     C )不測の事態により調達できなくなった生産要素(ヒトを除く)の調達支援
     D )事業運営改善に向けた慢性的なボトルネック解決支援
                       6
  2019 年度上期より、有用情報の本格収集、収集した有用情報活用に基づく価値あるサー
 ビス提供、有用情報の取組みにおける業績評価等を本格稼働しております。2020 年度は、
 本業サポート With 契約先、たいようビジネスマッチングサービス(以下、TBMS)登録先、
 商流情報を収集させていただくお取引先、経営改善支援対象先、20 百万円以上の貸出のあ
 る経営改善を必要と考えておられるお客さまを対象に有用情報の収集を行い、    延べ 252 件を
 収集・登録しました。
  試行錯誤を重ねながら、   実権者との対話により聴き取りのできた有用情報の具体事例とし
 ては、通常、口外されない既存の大口取引先(卸先)との契約条件等の聴き取りができ、同
 業他社への販売ができないこと、納品の遅れや欠品が契約解除に繋がること、契約期間も定
 められておらず、安定・安心した事業運営ができないこと等の重要な経営課題の聴き取りも
 でき始めております。
  なお、有用情報の収集を継続しながら、2020 年度からはこれまで収集した有用情報への
 解決支援(  「レスポンス」提供)を業績評価目標にも反映させることで、着実な顧客価値提
 供を行い、更なるお客さまとのリレーション強化への取組みを開始しております。

②有用情報に基づくサービス提供
  有用情報として組織知化されたお客さまの経営課題については、借入ニーズ以外の上記A
 ~Dの課題解決支援という価値あるサービス提供を行うことより、地元のお客さまとのリレ
 ーションという無形資産の含み益を増やしていくことができると考えております。

A.本業サポート With
  2019 年度上期より、従来取組んでいる TBMS に加え、特に経営改善の観点から販路開拓
 支援が必要なお取引先向けサービスとして、本業サポート With の取扱いを開始しました。
  本業サポート With は、お取引先の商品・サービスの深掘り(事業性評価)を目的とした
 カタログを作成し、商談のセッティングから入金管理まで行う等、通常のビジネスマッチン
 グよりも、一段踏み込んだ丁寧な販路開拓支援を行うものです。2021 年 3 月末現在の契約
 先数は 26 先であり、今後も半期で 5 先程度ずつ増やしていく方針であります。
  2020 年度下期は、コロナ禍において商談等が難しい状況にありましたが、コロナ対策商
 品、販売チャネルの多様化提案等、コロナ禍における事業運営に適した商品・サービスのマ
 ッチングに力を入れ、    併せて補助金の活用も積極的に提案することで多くの成約事例が生ま
 れました。
  その結果、2020 年度下期成約実績は 223 先 80 百万円、サービス開始からの累積は 747
 先 1 億 89 百万円となりました。
  引き続き、TBMS による取組みも含め、全行を挙げたお取引先の売上増加および買い手
 となるお取引先事業者さまの課題解決にも繋がる販路開拓支援活動に取組んでまいります。

 <販路開拓支援 成約事例>
  A 社(売り手):紙器製造業(本業サポート With 契約先)
  B 社(買い手):食肉卸業
 ≪経緯≫
  地元学校給食や宿泊事業者向けの食肉卸を主業とする B 社では、 コロナ禍において特に宿泊事業
   者向け売上が減少していた。
  売上回復策として一般小売向け商品開発を行い、商品自体は完成したものの、初めての取組みと
   いうこともあり、商品包装の作成に課題を抱えていた。
  これを受け、オリジナル紙器のデザイン、製造を得意とする With 契約先 A 社を紹介。
  商品の保存方法、販売方法等を考慮した上で、適切な素材の紙器提案を行った。
 ≪結果≫
 ・最初の商談から 1 週間後には紙器サンプルの提示、方向性も決定。
 ・商談からわずか 1 ヶ月で B 社の新しい商品包装での一般小売向け商品販売が始まり、学校給食

                       7
    や宿泊事業者向けに落ち込んでいた売上の 5 割程度補完できたと大変喜ばれた。  また紙器製造業
    である A 社においても、年間 1 百万円程度の売上改善に繋がる新規継続商流先が増えたことで、
    大変感謝いただいた。
   ≪その他事例≫
   ・その他 2020 年度上期同様、除菌電解水販売業事業者や空気清浄取扱い事業者の商品、サービス
    を介護、医療事業者等へ補助金活用も併せ幅広く提案した他、来店客が減少していた食品販売業
    者へ販売ツール拡大を目的とした EC サイト制作を提案し Web 制作会社の販路開拓支援に繋げ
    るといった新型コロナ感染拡大対策や新しい生活様式に関連した商品・サービスにおいて、多く
    の成約事例が生まれた。

  B.たいようビジネスマッチングサービス(TBMS)
    2016年4月から本サービスの取扱いを開始し、2021年3月末時点の契約先数は90先、2020
   年度下期成約実績は99先1億円、 サービス開始からの累積は519先4億83百万円となりました。
    また、登録先の商品・サービスの理解を深めることを目的とし、全登録先について本業サ
   ポートWith並のヒアリングシート(商品サービスレベルの事業性評価シート)を作成して
   おり、営業担当者が、登録先の商品・サービスを十分に理解した上で、営業活動を行うため
   の態勢整備を継続しております。

  C.その他事業運営課題に対するサービス提供
     お取引先の事業運営課題の理解に基づく、   事業者のお客さまに心底喜んでいただくための
   価値ある融資関連以外のサービスとして、売上改善支援業務である本業サポートWith、
   TBMSに加え、 2020年度よりお客さまが抱えておられる、事業運営上の重要な課題である有
   用情報の解決支援を行う「レスポンス」の提供を開始しました。
     2020年度においては、M&A支援(買い手支援)による販路・人員不足の課題解決や当行
   お取引先のWeb制作事業者と連携したホームページの制作、   販促チラシの作成による売上改
   善支援、学生数減少により売上減少が続く学校法人への学生募集に向けた対応策の策定等、
   16件のレスポンス支援を実施しました。

   <有用情報に基づくレスポンス提供事例:売上改善支援としての取組み>
   ≪経緯≫
   ・学校法人経営のお客さまでは、学生数の減少で売上の減少傾向が続き、赤字計上が続いていた。
   ・学生数増加に向けた検討において、学校のアピール方法等、効果的な対策に課題を抱えていた。
   ≪支援内容≫
   ・学生数の増加を含めた事業運営協議会を定例的に開催した。
   ・これまで入学実績の無かった九州各県の工業・商業・農業等の実業系高校や定時制高校等でも
    大学進学が可能である旨のアピールをすることをアドバイスし、   実際に大学担当者が定例訪問を
    開始した。
   ・スポーツ分野にも力を入れ、メディアにも注目される強豪校として大学の知名度アップを図る
    旨のアドバイスを実施し、 ・
                野球 バスケット部において指導力のある著名な指導者を招へいした。
   ・オープンキャンパス時における他大学と差別化した講義・実験等の採用の提案等を実施した。
   ≪結果≫
   ・事業運営協議会で、上記の様なアドバイスを一つひとつ実施した結果、2021 年 4 月の学生数は
    具体的な支援開始の前々年比 92 名増加することとなり、1 億円以上の売上増加となった。

(3)顧客価値提供を着実に行うために
    本計画の土台部分である「営業推進の大方針」を遂行していくために、以下のような経営
   資源配分、インフラ整備を行っております。

  ①地域経済活性化に向けた経営資源配分
    2019年度上期より、預り資産や個人ローン等のリテール分野に関する業績評価項目を廃
   止しております。
                        8
    また、営業店行員の本業サポートWithに対する稼働時間を確保するため、預り資産や個
   人ローンといったリテール関連業務を本部集中化する組織改正も実施済であり、引き続き、
   同様の態勢を維持していく方針としております。

  ②ビジネスモデル変革に向けたインフラ整備
     当行、豊和銀行、南日本銀行の 3 行にて合同開発を行っておりました販路開拓支援システ
   ムについて、2020 年 6 月に完成し同年 7 月より運用を開始しております。本システムにお
   いては、販路開拓支援業務における販売見込先のリスト化や、販売案件の進捗管理が可能と
   なっております。
(4)公的資金の活用状況
     当行では、金融機能強化法の趣旨を踏まえた地域経済活性化に貢献するため、公的資金を
   有効活用することによって、    より多くの地元中小規模事業者のお客さまへの資金供給や事業
   再生支援等に努めていくこととしており、地元ULの適正水準確保と地域経済活性化に向け
   た”生き金”として、  公的資金の本来の趣旨に則り、   事業再生目的での活用を行っております。
     2021年3月末における地元ULは、地元の中小規模事業者さまへの貸出が2020年3月末比
   238億円増加しておりますが、   UL算定上の基礎数値であるデフォルト率が低下したことによ
   り1億21百万円減少し、40億73百万円となりました。
     また、公的資金注入以降の債権放棄等累計額は197億円で、このうち、地元での累計額は
   195億円、うち事業再生目的が132億円となっております。

4.従前の経営体制の見直しその他の責任ある経営体制の確立に関する事項の進捗状況
(1)業務執行に対する監査又は監督の体制の強化のための方策
    当行は、2019年6月27日に開催された第118期定時株主総会において、コーポレート・ガ
   バナンスの充実を目的として、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行し、取締
   役会の職務執行の監査等を担う取締役監査等委員    (社外監査等委員3名を含む4名体制)を取
   締役会の構成員とすることにより、取締役会の監督機能の更なる強化を図っております。
    こうした中、取締役会は、相互牽制機能を確保するため、監査等委員(会)や会計監査人
   との連携強化や監査部の監査態勢強化を図っております。
    なお、社外取締役、  社外取締役監査等委員全員を独立役員とし、  5名体制としております。
    また、当行の内部監査態勢は、取締役会直轄の組織として監査部を設置し、監査部には被
   監査部門の全ての業務執行を一切の影響を受けず独自の立場で監査できる権限を付与して
   おります。監査部は、監査等委員および監査等委員会との連携を強化するとともに、会計監
   査人との連携も適切に行っております。また、監査部は、取締役会で承認を受けた監査計画
   に基づく監査を実施するとともに、   その結果について適時適切に取締役会へ報告を行ってお
   り、取締役会が必要な改善を指示していることに加え、頭取、専務自らも必要に応じて直接
   指導並びに所管部署に対して改善を指示する体制とし、    経営として十分な関与を行っており
   ます。

(2)リスク管理の体制の強化のための方策
   ①統合リスク管理体制強化のための方策
     当行では、毎期、信用リスク、市場リスク等の各リスクに対する配賦資本(リスク資本)
    額を決定し、定期的にALM委員会において検証を行い、取締役によって構成されるリス
    ク管理委員会へ報告する体制としております。また、四半期毎にストレステストを行い、
    ストレスシナリオに対するリスク量が配賦資本額範囲内に収まっていることを確認し、 運
    用に対する自己資本の十分性が確保されていることをリスク管理委員会に報告しており
    ます。
     なお、地元外の大手金融機関向け貸出については、外部格付機関のバックアセットに関
    わる信用格付によらず、時価情報を収集し、その毀損状況(貸出簿価-時価を引当額と見
    なす)から当行内部の債務者区分と整合性をとり、一般の事業性貸出同様の取扱いを統合
                        9
    リスク管理として行っていくこととしております。

   ②信用リスク管理体制強化のための方策
     信用リスク管理については、 統合リスク管理の中でリスク限度枠管理やストレステスト
    を行うとともに、ALM委員会において信用リスク計量化手法による業種別、格付別、営
    業店別等のリスク量分析を通じ、 リスク偏在や与信集中の検証等の与信ポートフォリオ管
    理を行っております。
     与信集中リスクの抑制に向けては、「大口与信管理規定および同規定細則」や「大口与
    信先等管理データ手引書」に基づく「大口与信先等管理報告」(四半期毎の取締役会への
    報告)や「融資動静報告」(毎月の取締役への稟議)における結果検証を通じて、リスク
    の集中を抑制するためのPDCA管理を行っております。

   ③市場リスク管理体制強化のための方策
     総合企画部は、統合リスク管理の一環として、株式に係るリスク量、IRRBB金利リス
    クの状況等を分析・評価し、ALM委員会、リスク管理委員会において、市場リスク量や
    管理の適切性等を検証、確認、報告し、経営陣が市場リスクを的確に認識し、適切に判断
    できる体制としております。
     経済および市場のストレス発生時において、経営の健全性を確保するため、ストレス発
    生の予兆を捉えて予め具体的な対応策を定め、実行するための実施基準を定めております。
     また、リスク管理委員会において、市場利回りと株価の変動による評価損益増減分析を
    行い、株価と金利の変動による収益や自己資本への影響度について評価しておりますが、
    今後もこの分析、評価を継続するなど、市場リスク管理の高度化に取組んでまいります。
     有価証券の運用計画およびその運用状況は、定期的に経営陣へ報告を行う体制としてい
    ます。なお、有価証券全体に占める株式の保有割合は10%以内と定めております。

   ④流動性リスク管理の強化
     流動性リスクに関する分析・評価を毎月実施し、ALM 委員会へ報告しております。資
    金繰りの状況は、日次モニタリングを行い、資金繰りの計画・見通しについては定期的に
    経営陣へ報告しています。

   ⑤オペレーショナルリスク管理の強化
     当行では、オペレーショナルリスク管理方針や管理基準に基づき、事務リスク、システ
    ムリスク、法務リスク等のオペレーショナルリスクとして規定している個々のリスクの管
    理主管部署が、取締役会等にその管理状況に関する業務報告を行っております。また、統
    括部署である総合企画部は、上記の管理主管部署に各リスクの管理状況の報告を求め、オ
    ペレーショナルリスクの総合的な報告を取締役会等に対して行い、これらの報告により取
    締役会等が個々のリスク管理の状況と併せて、オペレーショナルリスク管理の状況を総体
    的に把握できる態勢としております。

   ⑥自己資本管理態勢の強化
     自己資本管理規定に基づき、ALM委員会において統合リスク管理の結果検証等を実施
    し、期中におけるリスク量に対する自己資本の十分性等の充実度を確認しております。ま
    た、市場リスク管理において実施するストレステストによる自己資本の十分性の検討も継
    続して実施しております。

(3)法令遵守の体制の強化のための方策
    当行は、地域社会からの信用・信頼を存立基盤とする地域金融機関であり、地域に根差す
   銀行として「法令等遵守態勢の確立」を経営の最重要課題の一つに位置づけ、法令等遵守の
   徹底、企業倫理の確立、不祥事件の未然防止並びに反社会的勢力の排除に取組んでおります。

                     10
    コンプライアンス遵守態勢については、頭取を委員長とし全取締役で構成する「コンプラ
   イアンス委員会」、その下部組織として本部部長で構成する「コンプライアンス部会」にお
   いて、法令等遵守の徹底と企業倫理の確立による健全かつ公正な業務執行をチェックし、そ
   の強化・確立に努めております。また、お客さま応対時には、お客さまの事務負担等に配慮
   しながら、本人確認や取引時確認の周知徹底、取引モニタリングを踏まえた疑わしい取引の
   届出等につき適切な対応に努めているほか、各業務の適法性確保のため、契約書等のリーガ
   ルチェック実施状況をコンプライアンス統括部で一元管理しております。
    コンプライアンス意識については、頭取が機会を捉え、コンプライアンスに関する訓示を
   行うほか、研修や臨店時において、役員、担当部長による具体事例を交えた講話や意見交換
   会等を実施し、その浸透・定着に努めております。
    なお、昨今、国際的なテロの脅威等が高まる中で、地域銀行に対しても、マネロン・テロ
   資金供与対策が徹底された上での決済取引等が強く求められております。
    こうした中、組織的対応を進めていくため、 マネー・ローンダリング等の防止に係る企画・
   統括組織としてコンプライアンス統括部に「金融犯罪対策室」を設置し、組織的・横断的に
   マネー・ローンダリング等の情報を共有する体制としました。このほか、コンプライアンス
   統括部には警察OBを2名配置し、悪質化、巧妙化する様々な金融犯罪に対して的確に対応で
   きる体制整備を行っております。

(4)経営に対する評価の客観性の確保のための方策
    経営に対する評価の客観性を確保するため、行政や事業者支援の経験者等の第三者で構成
   する「経営評価委員会」を年2回開催し、当行の経営方針や経営戦略、地域経済活性化に向
   けた取組み状況等について、客観的な立場による評価や助言をいただいております。
    直近の委員会においては、委員より、「過去に比べて、
                            (当行取組みの)地元紙等への露出
   が増えてきている」という趣旨のコメントをいただき、重要なステークホルダーであるマス
   コミの皆さまに対して、当行の地域経済活性化への貢献姿勢を伝えるべく取組んできた対話
   が奏功していることを客観的な評価により確認することができました。
    また、地元事業者の事業承継支援に携わる別の委員からは、「他の金融機関と比べ、当行
   行員はお客さまと一緒に相談に訪れることが多く、相談内容も事業の現況をしっかりと踏ま
   えたものとなっており、非常に寄り添った支援をされている」という趣旨のコメントをいた
   だき、事業者のお客さまへの伴走型支援が着実に展開されていることを確認することも出来
   ました。
    今後も、同委員会が当行経営に対する客観的な評価や助言を行うことで、経営に対する評
   価の客観性を確保してまいります。

(5)情報開示の充実のための方策
    当行では、お客さま、株主を始めとする投資家の皆さま、地域社会等から正しい理解と信
   頼を得るため、福岡証券取引所への適時開示のほか、記者会見、プレスリリース、ホームペ
   ージへの情報掲載を通じて、迅速かつ正確な四半期情報の開示に取組んでおります。
    また、事業者のお客さまに対する本業支援の取組みや、文化・スポーツ・環境保護等に関
   する社会貢献活動についても、ホームページやディスクロージャー誌等で開示しており、今
   後も、各取組みとその開示内容の充実を図りながら、地域のステークホルダーの皆さまへの
   迅速かつ質の高い情報発信に努めてまいります。

5.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化その他の主として業務を行っている地域における
 経済の活性化に資する方策の進捗状況
(1)中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化その他の主として業務を行っている地域におけ
   る経済の活性化に資するための方針
     本計画におきましては、当行が地元と定義する宮崎県、鹿児島県のお客さまに対する信用
    供与のみならず、経営改善を必要と考えておられるお客さまを積極的にご支援していくため、
                      11
   従来からのTBMSに加えて、2019年度より取扱いを開始しております本業サポートWithを
   通じた販路開拓支援に注力し、地域経済活性化に向けた取組みを行ってまいりました。

(2)中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化のための方策
  ①中小規模の事業者に対する信用供与の実施体制の整備のための方策
     2019年度より事業性評価の深化を目的にスタートした商流情報への取組みについて、
   2020年度下期においては、取組みの出口となる『 「商流による事業性評価を踏まえた取組方
   針」に基づく支援実施』を業績評価項目へ追加し、   「収集した商流情報から、取組方針を作
   成し、支援実施を行う」という一連の大まかな業務フロー体系の整備を行いました。
     2020年度下期においては、顧客価値の提供度合いを客観的に推計するための評価フロー
   表に基づき6件を支援実績として認定しましたが、一方では、これまで仕入商流については
   販管費や税金も含めた財務データ的な情報を中心に収集してきたことや、   登録された商流情
   報の内容が不十分、もしくは曖昧なものであったり、顧客管理や営業活動を目的としたその
   他の情報についても商流情報として登録してきたことから、   営業店において作成された現在
   の取組方針については、   一般的な金融サービスレベルの提案(例えば、保険見直しやM&A・
   事業承継等)も散見される状況にありました。
     したがって、2021年度からは、お取引先が自社の商品サービスを提供するために、仕入
   れる必要がある具体的な商品サービスのみを商流情報として収集し   (仕入商流から販管費や
   税金は除外)  、かつ登録する商流情報に関する一定の要件を設ける等、商流情報の質の改善
   に取組んでいくことで、ビジネスコンサルタントレベルでの提案支援(例えば、お取引先の
   PL改善にまで貢献し得る業務運営改善支援等)に向けた土台づくりを図っていく方針です。

  ②担保又は保証に過度に依存しない融資の促進その他の中小規模の事業者の需要に対応した
   信用供与の条件又は方法の充実のための方策
    担保・保証に依存しない融資を促進するため、これまでの慣習を見直し、経営者保証の取
   得について安易かつ明確な基準を定めました。  基準外のケースにおいても経営者さまとの対
   話に基づき柔軟に対応しております。
    さらに、2020年4月の改正債権法施行に併せて、個人事業者さまからは原則、保証人を徴
   求しない取扱いに変更しております。
    また、事業内容や成長可能性等を適切に評価する事業性評価によって、地元企業の生産性
   向上を図り、お取引先の創業や成長を積極的に支援していくことが重要であるとの認識の下、
   お取引先の経営者さまとの対話により、事業運営上の課題を共有し、その解決策を協議する
   過程で発生する資金ニーズに対応する経営合理化支援を実施しております。

  ③中小規模事業者等向け信用供与円滑化計画を適切かつ円滑に実施するための方策
    当行は、地元のお客さまとのリレーションという無形資産の含み益を増やすことで、資金
   調達先として選ばれやすくなることに加え、本業サポートWithやTBMSで売上改善による
   増加運転資金や設備資金喚起だけでなく、    コロナ禍での資金繰り支援にも積極的に取り組ん
   できました。
    その結果、2020年3月期においては、法定KPIである中小規模事業者等向け信用供与の残
   高は3,051億円となり、計画を117億円上回りました。
    また、その補助的指標として管理してまいりましたたいようKPI「地元中小規模事業者等
   向け信用供与の残高」は2,885億円となり、計画を108億円上回る結果となりました。
    今後も、地元の中小規模事業者のお客さまへの顧客価値提供に注力することから、地元の
   お客さまとのリレーションという無形資産の含み益を増やすことで、    中小規模事業者等向け
   信用供与である運転資金や設備資金等の資金ニーズに積極的に対応してまいります。




                       12
  【中小規模事業者等向け信用供与の残高、比率(表10)
                           】                                                                 (単位:億、%)
                     2018/3期       2019/3期        2020/3期                               2021/3期
                     実績(始期)          実績             実績              計画          実績           計画比           始期比
  中小規模事業者等向け貸出残高        2,529           2,656           2,803       2,934       3,051             117           522
  総資産末残                 6,851           6,942           7,031       7,381       8,280             899          1,429
  総資産に対する比率             36.91           38.25           39.86       39.75       36.84        △2.91         △0.07
  ※ 中小規模事業者等向け貸出とは、銀行法施行規則第19条の2第1項第3号ハに規定する別表一における中小企業等から
    個人事業者以外の個人を除いた先に対する貸出で、かつ次の貸出を除外しております。政府出資主要法人向け貸出お
    よび特殊法人向け貸出、土地開発公社向け貸出等、大企業が保有するSPC向け貸出、当行関連会社向け貸出、その他
    金融機能強化法の趣旨に反するような貸出


  【たいようKPI(地元中小規模事業者等向け信用供与の残高)【表11】                                                    (単位:億、%)
                   2018/3期 2019/3期         2020/3期                            2021/3期
                   実績(始期)    実績              実績             計画           実績              計画比            始期比
  地元向け中小規模事業者等向
                     2,320       2,519          2,647       2,777           2,885          108           565
  け貸出残高
  ※ 中小規模事業者等向け貸出とは、銀行法施行規則第19条の2第1項第3号ハに規定する別表一における中小企業等
    から個人事業者以外の個人を除いた先に対する貸出で、 かつ次の貸出を除外しております。 政府出資主要法人向
    け貸出および特殊法人向け貸出、土地開発公社向け貸出等、大企業が保有するSPC向け貸出、当行関連会社向け
    貸出、その他金融機能強化法の趣旨に反するような貸出


(3)その他主として業務を行っている地域における経済の活性化に資する方策
   本計画では、地域経済活性化への実効性を重視して、経営改善支援の定義をプロセス評価
  から成果評価への変更など厳格化し、顧客価値等において実効性の測定が難しいもの、プロ
  セスにしか過ぎない評価は廃止し、お客さまの課題を当行自らの課題として位置づけ、経営
  者さまと力を合わせ、課題を解決する経営改善支援に重点的に取組んでまいりました。
   2020年度下期は、「早期事業再生支援」以外の4分野を達成し、経営改善支援取組率の計
  画0.95%を達成しました。特に経営相談分野において、コロナ関連の助成金・給付金(雇用
  調整助成金や持続化給付金など)の支援対応に加え、助成額は少額ながらも医療機関・福祉
  機関向けの感染対策支援金など県や市町村の補助金のご案内も行い、本業サポートWith契
  約先が販売する空気清浄器など買い手への支援も積極的に実施してまいりました。
   早期事業再生支援については、引き続き支援先へ丁寧な対応を継続し、ランクアップや資
  本性ローンの対応、専門機関との連携による再生計画の策定、事業譲渡(M&A含む)等実
  施し支援先数の増加を図ってまいります。2021年度以降についても、引き続き、営業店、
  本部が一体となり、お客さまの経営改善のお手伝いに取組んでまいります。

  【経営改善の取組み(表12)】                                                                            (単位:先、%)
                          2018/3期         2018/9期          2019/3期       2019/9期          2020/3期        2020/9期
                         実績(始期)             実績               実績            実績               実績             実績
  創業・新事業開拓支援                      21              26              22            39                47             28
  経営相談                            18               6              12            21                24            171
  早期事業再生支援                        18               5              14            15                 9             15
  事業承継支援                           1               1                4               5              4              5
  担保・保証に過度に依存しない融資                12              91              55            48                47             31
  経営改善支援取組先数合計(a)                 70             129             107           128               131            250
  取引先数(b)                       9,826           9,795           9757          9,646          9,576            9,655
  経営改善支援取組率(a/b)                 0.71            1.31           1.09           1.32              1.36          2.59




                                          13
                                          2021/3期
                          計画        実績          計画比         始期比
 創業・新事業開拓支援                 22            29           7       8
 経営相談                       22            22           0       4
 早期事業再生支援                   22            14         △8      △4
 事業承継支援                        5           5           0       4
 担保・保証に過度に依存しない融資           24            25           1      13
 経営改善支援取組先数合計(a)            95            95           0      25
 取引先数(b)                  9,975         9,653       △322    △173
 経営改善支援取組率(a/b)            0.95          0.98        0.03    0.27
 ※1     前計画では、創業支援や事業承継支援など経営改善支援の過程についても計上しておりました。本計画におけ
        る経営改善の取組みは支援実施の顧客価値提供成果がもたらす結果にこだわった定義付けを行っております。
 ※2     表中、2018/3期実績の計数は、本計画の基準による実績を記載しております。
 ※3     「経営相談」の2021年3月期実績には、実績133先のうち、コロナ関連対応111先を除く22先を計上
 ※4     「経営改善支援取組先」とは、次の項目への取組先といたします。
 1. 創業・新事業開拓支援先
  (1)   創業や新事業展開に係る補助金・助成金の申請支援を行い、交付完了した先
  (2)   創業・新事業・6次化等に対する創業融資実行を行った先
  (3)   株式会社宮崎太陽キャピタル等を活用し、創業・新事業に関連する資金提供を行った先
  (4)   新規での海外取引・海外進出ニーズ先に対し、支援実施の結果、商取引が開始された先
 2. 経営相談・早期事業再生支援先
  (1)   有用情報に基づく事業者のお客さまに心底喜んでもらえるサービス(上述B~D)によるコスト削減、効率化支
        援等の経営改善提案を行った先
  (2)   補助金・助成金申請の支援を行った先(創業や新事業展開に関するものを除く)
  (3)   株式会社日本人材機構等を活用した人材紹介支援を行った先
 3. 早期事業再生支援
  (1)   宮崎県中小企業再生支援協議会、経営改善支援センター、REVICと連携し再生支援計画を策定した先
  (2)   経営改善支援対象先および事業性評価実施先からランクアップした先
  (3)   債務超過企業等に対する金融支援(DDS、債権放棄、準則型私的整理等)を行った先
  (4)   事業再生に係る事業譲渡・M&A等の取組みを成立させた先
 4. 事業承継支援先
  (1)   個人事業者を含む事業承継・M&Aの取組みを成立させた先
 5. 担保又は保証に過度に依存しない融資促進先
  (1)   新規無担保融資、新規無保証融資、ABL活用融資、債権担保融資等を行った先(太陽光発電融資等再生エネルギ
        ー関連融資は除く)
  (2)   担保・保証を考慮した、日本政策金融公庫や他行と協調融資実行を行った先(提供可能な保全を超える資金調
        達を希望する事業者に対する協調融資支援先数(太陽光発電融資等再生エネルギー関連融資は除く) )


① 創業又は新事業の開拓に対する支援に係る機能の強化のための方策
   本計画では、各商工会議所や宮崎県産業振興機構、宮崎大学、日本政策金融公庫国民生活
 事業等との更なる連携強化および各種補助金の積極的な活用や日本人材機構による人材紹
 介支援等により、創業・新事業開拓支援の強化に取組んでおり、宮崎大学と連携した新事業
 分野における技術的相談や共同研究相談や、 日本政策金融公庫と連携した協調融資対応等を
 実施しております。
   特に、日本政策金融公庫との連携におきましては、商工会議所を含めた3者で、新規創業
 者相談会を定期的に開催し、 創業希望者の具体的な悩みについて助言や支援を実施しており
 ます。その他、各種補助金の活用(認定支援機関としての計画策定支援対応やご案内等) 、
 宮崎県プロフェッショナル人材戦略拠点等への人材紹介相談等の対応を行っております。

②経営に関する相談その他の取引先の企業(個人事業者を含む)に対する支援に係る機能の強
 化のための方策
  2021年3月末で227社となったTBMS登録先および本業サポートWith契約先26社に対し

                                   14
 て、売上向上に繋がる取組みを継続しております。
  2020年4月から、新型コロナウイルス感染症拡大による影響を受けておられるお取引先支
 援の一環として、取引のある飲食店などの商品を当行行員が購入する取組みを開始し、86
 先に対し5,453千円の販売協力となったほか、当行営業店の駐車場を活用したお取引先事業
 者による販売会を実施してまいりました。
  また、事業再生については、外部専門機関や税理士等の専門家と連携し、お取引先の経営
 改善計画策定等の支援、M&A・事業譲渡の支援や廃業に向けた支援に取組んでおります。
  このほか、お取引先の販路拡大支援の一環として、第二地方銀行協会が主催する「               『食の
 魅力』発見商談会」へのお取引先の出展を支援しました。
  また、当行では、地元における消費促進および事業者のお客さまの事業運営(オペレーシ
 ョン)改善に資する取組みとして、キャッシュレス決済の普及に取組んでおります。
  これは、  (コロナ禍により状況は一変しましたが)宮崎県が国内有数の観光立県であり、
 国内外からの観光客の一層の増加が見込まれたことから取組み始めたものです。
  なお、2020年7月のドコモ口座の不正利用に端を発した「セキュリティの脆弱性」の問題
 を受け、2020年9月以降、口座接続を停止しておりましたスマホ決済サービス「メルペイ」             、
 「J-Coin」および「Bank Pay」につきまして、多要素認証としてIVR(※)の導入による
 セキュリティ強化やモニタリング態勢整備等を行い、2021年4月より順次、口座接続を再開
 しております。
 (※)IVR(Interactive Voice Response)は、当行へ届出いただいている電話番号宛に自動
     音声にて本人認証に必要なワンタイムパスワードを自動音声で通知する仕組み。

③早期の事業再生に資するための方策
  2020年度下期は、業況悪化の傾向にはあるものの、経営者さま自身に再生へ向けた意欲
 が認められ、事業再生の可能性が見込まれるお取引先215先を、経営改善支援対象先に選定
 し、改善計画の策定支援のほか、業況改善に向けたフォローアップに取組みました。
  また、2021年3月末時点で、貸出条件変更を実施された113先のお取引先について、事後
 モニタリングにより業況把握に努めるとともに、業況改善に向けた支援を行っております。
 コロナ禍を直接的な要因として経営破綻した経営改善支援対象先や貸出条件変更を実施さ
 れたお客様は2021年3月末時点では皆無となっています。
  再生支援においては、引き続き、中小企業再生支援協議会や地域経済活性化支援機構とい
 った外部専門機関と積極的に連携し、実効性のある支援を実施してまいります(2020年度
 は中小企業再生支援協議会関与のスポンサー型私的整理による再生案件1件(債権放棄額34
 百万円)を実施) 。
  なお、新型コロナウイルスの感染拡大により被害を受けられたお取引先については、経営
 者さまの心情に配慮した提案型の条件変更、追加融資による資金繰り支援の実施、並びに資
 本の毀損が懸念され、  本来の収益力が回復するまで財務安定化に向けた資本の増強が必要と
 判断されるお取引先に対しては、  日本政策金融公庫等と連携し資本性劣後ローンの取組みも
 実施しております(2020年度は5件3億60百万円の実行)。

④事業の承継に対する支援に係る機能の強化のための方策
  連携している宮崎県事業引継ぎ支援センターや同センター登録の民間支援機関と定例的
 なミーティングを行い、案件の発掘・内容協議から同行訪問による共同支援等、具体的な事
 業承継支援を実施しております。
  事業承継に対する行員の資格取得の取組みとして、金融業務検定の事業承継・M&Aコー
 スを奨励しており、2021年3月末現在で65名が同資格を保有しております。
  2020年度下期より、お取引先の今後の事業承継に対する課題の有無について調査を開始
 しており、2021年度より、調査結果に基づき専門家と連携した承継スキームの提案や第三
 者承継支援等を実施してまいります。
  また、お客さま向けとして、後継者育成支援を目的に「次世代塾(外部講師による毎月1
                          15
   回開催の講義、12回コース) 」を継続的に開催しております。2019年7月に第6期を開講し、
   28名の後継者・幹部候補の方に参加いただいております(第6期は新型コロナウイルス感染
   症の影響で2021年2月までの間に12回を実施)。受講生は延べ200名を超え、7名の方が実際
   に事業を承継し、現在も代表者として活躍しておられます。なお、第7期は2021年6月から
   定員25名での開講を予定しております。

6.剰余金の処分の方針
(1)配当、役員に対する報酬および賞与についての方針
    当行は、企業価値向上に向けて、地域経済活性化への貢献と収益力の強化による財務基盤
   の安定化に努め、  安定的な配当および内部留保の蓄積に努めていくことを基本方針としてお
   ります。
    2021年3月期は、普通株式1株当たり25円00銭、優先株式1株当たり29円90銭の配当を実
   施しました。
    また、 業績と企業価値向上への役員の貢献意欲および株主重視の経営意識を高めることを
   目的として、2012年6月に、役員退職慰労金制度の廃止と業績連動型報酬を組み入れた役員
   報酬制度へ移行しているほか、  役員賞与については、  従来より支給しておりません。 今後も、
   業績を踏まえた報酬および賞与としていく方針であります。
    なお、2021年3月期の利益剰余金は、当期純利益が11億66百万円となったことから、計画
   を22億円上回る174億円となりました。
    今後も、経営強化計画の着実な実行により、2025年3月末には182億円の利益剰余金が積
   み上がり、返済後の自己資本比率悪化を極力回避した上での、公的資金130億円の返済財源
   を確保できると見込んでおります。

    【当期純利益、利益剰余金の残高推移(表13)】                                                           (単位:億円)
            2010/3   2011/3   2012/3    2013/3    2014/3   2015/3   2016/3   2017/3   2018/3   2019/3
            期実績      期実績      期実績       期実績       期実績      期実績      期実績      期実績      期実績      期実績

    当期純利益     △83        10       16        11        24       19       47       29       12       10
    利益剰余金       11       17       29        36        56       72      115      141      151      158



            2020/3            2021/3期             2022/3   2023/3   2024/3   2025/3
            期実績                                   期計画       期計      期計画      期計画
                     計画        実績       計画比

    当期純利益       10        7       11         4         5        5        7        8
    利益剰余金      167     152       174        22       175      175      178      182
    ※利益剰余金は、普通株および優先株の配当額を当期純利益に対応する年度から控除しております。

7.財務内容の健全性および業務の健全かつ適切な運営の確保のための方策の進捗状況
(1)経営管理に係る体制および今後の方針等
     経営強化計画に掲げた各種施策については、所管部および関係部が取組み状況を分析し、
   課題の解決に向けた対応策等を検討しております。
     これら検討内容については、 本部各部からなる経営強化計画進捗管理検討会議や経営戦略
   会議において定期的な報告・協議を行い、その結果を取締役会に報告しております。取締役
   会は、各種施策の検証および実効性向上への指示を行う等、これらのPDCAサイクルの徹底
   により、経営強化計画の実現に向けた運営を行っております。
     また、財務報告に係る内部統制強化のため、業務の健全性・適切性の向上に向けた体制の
   整備に努めており、2020年度の財務報告に係る内部統制は、監査部が独立した立場でその
   有効性に係る運用状況の監査を行い、  全ての統制において財務報告の信頼性に重要な影響を
   与える不備およびその可能性が高い欠陥は認められないことを確認しております。なお、
   2021年3月期における財務報告に係る内部統制に関しては、新日本有限責任監査法人とも協
                                             16
   議しております。
(2)各種のリスク管理の状況および今後の方針等
    当行は、リスク管理を経営の最重要課題の一つとして位置づけ、経営体力比適正な水準に
   リスクをコントロールした上で収益力の向上を図る経営に努めており、  この実現のためにリ
   スク管理に関する各種規定を整備し、リスク統括部署(総合企画部リスク管理グループ)や
   関係委員会(ALM委員会、リスク管理委員会)等の組織体制を整備しています。
    また、こうした規定体系、組織体制の下で、総合企画部リスク管理グループを中心に資本
   配賦をベースとした統合リスク管理を実践し、  その一方で個別リスクを所管する業務部署に
   おいても、主に定性的な観点からリスク管理を行っております。
    2020年度も、4-(2)「リスク管理の体制の強化のための方策」に記載した通り、統合
   リスク管理の精緻化、信用リスク管理、市場リスク管理、オペレーショナルリスクおよび流
   動性リスク管理の強化に取組んでまいりました。




                      17