8560 宮崎太銀 2020-09-30 16:00:00
2020年3月期における経営強化計画の履行状況について [pdf]

                                                                2020 年 9 月 30 日
各    位
                                           会    社
                                                名   株式会社 宮崎太陽銀行
                                           代表 者 名   取締役頭取 林田 洋二
                                            ( コード番号   8560 福証 )
                              問い合わせ先     取締役常務執行役員総合企画部長 上野 哲弘
                                            ( T E L   0985-24-2111 )



           2020 年 3 月 期 に お け る 経 営 強 化 計 画 の 履 行 状 況 に つ い て


  株式会社宮崎太陽銀行   (頭取 林田 洋二) 「金融機能の強化のための特別措置に関する法律」
                         は、                      に基づき、
2020 年 3 月期における経営強化計画の履行状況をとりまとめましたのでお知らせいたします。

進捗のポイント

1.コア業務純益
     経費は新勘定系システム費用の負担等により増加したものの、資金利益が貸出金利息や有価証券利息
    配当金が計画を上回ったこと等から計画を上回り、コア業務純益は計画達成となりました。

2.業務粗利益経費率
     経費(機械化関連費用を除く)が計画を下回ったことや、業務粗利益が資金利益の増加により計画を
    上回ったこと等から、業務粗利益経費率は計画達成となりました。

3.中小規模事業者等向け信用供与の残高、比率
     お客さまとのリレーション強化に努めながら、事業者のお客さまの資金繰り改善支援である経営合理
    化支援の取組み等を通じ、地元の中小規模事業者等向け貸出に取組んだ結果、中小規模事業者に対する
    貸出残高・比率とも計画達成となりました。

4.経営改善支援取組率
     事業者のお客さまが抱える事業運営上の課題把握を行った上で、営業店、本部の連携による経営相談
    支援や外部支援機関との連携等による事業再生・事業承継支援等に取組んだ結果、経営改善支援取組率
    は計画達成となりました。

 * 進捗状況の詳細については、当行ホームページの経営方針に掲載しております「経営強化計画の履行
   状況報告書(2020 年 6 月) 」の P4 から P5 および P13 から P15 を、関連する取組状況については P6 か
   ら P10 をご覧ください。
   掲載場所:https://www.taiyobank.co.jp/investors/policy/


                                                                         以   上




           本件に関する問い合わせ先         総合企画部     實藤( TEL 0985-60-6270 )
経営強化計画の履行状況報告書




    2020 年 6 月




        0
                      目次

1.2020 年 3 月期決算の概要                           ・・・1
(1)経営環境                                      ・・・1
(2)決算の概要(単体ベース)                              ・・・1

2.経営の改善に係る数値目標の実績                            ・・・4
(1)収益性を示す指標(コア業務純益・たいよう KPI)                 ・・・4
(2)業務の効率性を示す指標(業務粗利益経費率・たいよう KPI)            ・・・5

3.経営の改善の目標を達成するための方策の進捗状況                    ・・・6
(1)第四次経営強化計画の浸透・定着に向けて                       ・・・6
(2)着実な顧客価値提供                                 ・・・7
(3)顧客価値提供を着実に行うために                           ・・・9
(4)公的資金の活用状況                                 ・・10

4.従前の経営体制の見直しその他の責任ある経営体制の確立に関する事項の進捗状況      ・・10
(1)業務執行に対する監査又は監督の体制の強化のための方策                ・・10
(2)リスク管理の体制の強化のための方策                         ・・11
(3)法令遵守の体制の強化のための方策                          ・・12
(4)経営に対する評価の客観性の確保のための方策                     ・・12
(5)情報開示の充実のための方策                             ・・12

5.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化その他の主として業務を行っている地域にお   ・・13
  ける経済の活性化に資する方策の進捗状況
(1)中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化その他の主として業務を行っている地域に   ・・13
   おける経済の活性化に資するための方針
(2)中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化のための方策                ・・13
  ①中小規模の事業者に対する信用供与の実施体制の整備のための方策            ・・13
  ②担保又は保証に過度に依存しない融資の促進その他の中小規模の事業者の需要       ・・13
   に対応した信用供与の条件又は方法の充実のための方策
  ③中小規模事業者等向け信用供与円滑化計画を適切かつ円滑に実施するための方       ・・13
   策
(3)その他主として業務を行っている地域における経済の活性化に資する方策         ・・14
  ①創業又は新事業の開拓に対する支援に係る機能の強化のための方策            ・・15
  ②経営に関する相談その他の取引先の企業に対する支援に係る機能の強化のための方策    ・・15
  ③早期の事業再生に資するための方策                          ・・16
  ④事業の承継に対する支援に係る機能の強化のための方策                 ・・16

6.剰余金の処分の方針                                  ・・16
(1)配当、役員に対する報酬および賞与についての方針                   ・・16

7.財務内容の健全性および業務の健全かつ適切な運営の確保のための方策の進捗状況      ・・17
(1)経営管理に係る体制および今後の方針等                        ・・17
(2)各種のリスク管理の状況および今後の方針等                      ・・17




                       1
1.2020年3月期決算の概要
(1)経営環境
      当期の国内経済は、年内においては、新興国や中国経済の減速、地政学リスク等にかかる
    先行きの不透明感を抱えながらも、企業収益が高い水準を維持する中、設備投資の増加や個
    人消費が底堅く推移したことなどから、総じて緩やかな回復基調を辿ることとなりました。
      また、県内経済も、雇用・所得環境の改善が続く中、スポーツ分野における国内外トップ
    チームの合宿受け入れや世界規模の大会開催等を通じた観光需要の取組みに伴い、     個人消費
    や生産活動に持ち直しの動きが見られたことなどから、緩やかな回復基調となりました。
      一方、年明け以降においては、2020 年 1 月以降の新型コロナウイルス感染症の顕在化に
    伴い、中国における生産活動の停止等による影響が、サプライチェーンを通じて世界規模で
    の輸出や生産、消費活動の低迷に繋がり、国内外で景気が下振れすることとなり、県内経済
    においても、インバウンド需要の急減、不要不急の外出やイベント開催の自粛に伴う個人消
    費や生産活動の低迷により、小売や宿泊、飲食を始めとした幅広い業種で、売上減少等の影
    響が出ており、今後の景気動向を注視していく必要が生じております。
      なお、先行きにつきましては、全国的に新型コロナウイルス感染症流行の抑制が急がれる
    中、県内経済がいち早く回復するためには、当行を始めとする地元金融機関と県民とが一体
    となった、個人消費や生産活動の持ち直しに向けた取組みが必要な状況となっております。
      当行は引き続き、今回の新型コロナウイルス感染症流行のほか、毎年発生している台風や
    豪雨等の自然災害といった不測の事態により経済が停滞してしまう要素を十分に孕んだ環
    境であることを認識しながら、 もう一段踏み込んだ地域経済活性化支援を実現していくため、
    経営強化計画に掲げた各種方策に取組んでまいる方針です。

(2)決算の概要(単体ベース)
    2020年3月末の貸出金は、地元を中心とした中小規模事業者等向け貸出が増加した結果、
   前年同期比116億4百万円増加し、5,016億38百万円となりました。有価証券は、前年同期比
   11億44百万円減少の1,287億32百万円となりました。
    一方、預金は、個人預金、法人預金ともに増加したことで、前年同期比94億20百万円増加
   し、6,538億54百万円となりました。
   【資産・負債の推移(表1)】                                            (単位:百万円)
               2020/3期                                 2019/9期     2019/3期
                 実績        2019/9期比       2019/3期比       実績          実績
   資産            703,157       4,051           8,895     699,106     694,262
    うち貸出金        501,638      13,373          11,604     488,265     490,034
    うち有価証券       128,732       △665          △1,144      129,397     129,876
   負債            660,046       6,487          11,180     653,559     648,866
    うち預金         653,854       7,998           9,420     645,856     644,434
   純資産            43,110      △2,437         △2,286       45,547      45,396


    2020 年 3 月期は、貸出金利息がほぼ前年度水準を維持できたことに加え、有価証券利息
   配当金が増加したことで、資金利益は前年同期比 4 億 38 百万円増加し、96 億 43 百万円と
   なりました。
    その結果、業務粗利益は前年同期比 1 億 93 百万円増加の 95 億 8 百万円となりました。
    経費は、新勘定系システム移行に伴う費用負担による物件費の増加を主因として、前年同
   期比 40 百万円増加し、82 億 66 百万円となりました。
    臨時損益は、    株式等売却益の減少に加えて新型コロナウイルス感染拡大による市場混乱か
   ら株式等償却の計上を余儀なくされたことから、前年同期比 3 億 64 百万円減少となりまし
   た。以上のことから、2020 年 3 月期の経常利益は 13 億 19 百万円、当期純利益は 10 億 85
   百万円となりました。

                                      2
【損益状況の推移(単体)(表 2)】                                           (単位:百万円)
                 2020/3期                                2019/9期         2019/3期
                   実績            2019/3 期比                実績              実績
業務粗利益                 9,508                  193            4,810           9,315
(コア業務粗利益)            (9,455)                 156            4,747         (9,299)
 資金利益                 9,643                  438            4,932          9,205
   うち貸出金利息            8,199                   △6            4,080          8,205
   うち有価証券利息配当金        1,527                  401             898           1,126
   うち預金利息               116                  △35              62             151
 役務取引等利益              △193                  △280           △187               87
 その他業務利益                 58                   35              65              23
   うち国債等債券損益             52                   36              63              16
経費(除く臨時処理分)           8,266                   40            4,153           8,226
 うち人件費                4,347                  △60            2,188          4,407
 うち物件費                3,373                  145            1,673          3,228
一般貸倒引当金繰入額             △11                  △131             118             120
業務純益                  1,253                  286             538             967
(コア業務純益)             (1,189)                 117            (593)         (1,072)
臨時損益                     66                 △364             223             430
 うち不良債権処理額              120                 △523              33             643
 うち貸倒引当金戻入益              -                    -                -              -
 うち株式等関係損益               24                 △822             185             846
 うち退職給付費用             △144                    33            △72            △177
経常利益                  1,319                 △79              761            1,398
特別利益(△は特別損失)           △69                  △19             △30              △50
税引前当期(中間)純利益          1,249                 △99              731            1,348
税金費用                    164                 △99               76             263
当期(中間)純利益             1,085                    1             654            1,084


 2020 年 3 月末の金融再生法開示債権は、営業店・本部、外部専門機関が連携して取組ん
できた事業再生支援により、      当該取引先の信用格付が要管理債権から要注意先へランクアッ
プしたこと等により要管理債権額が大幅減少となったことで、前年同期比 23 億 65 百万円
減少し、122 億 52 百万円となりました。その結果、金融再生法開示債権比率は、前年同期
比 0.54 ポイント低下し 2.43%となりました。
【金融再生法開示債権比率の状況(単体)(表3)】                                                (単位:百万円、%)
                          2020/3期                                       2019/9期     2019/3期
                            実績              2019/9期比      2019/3期比        実績          実績
 破産更生債権およびこれらに準ずる債権             2,922          △131          △186          3,053      3,108
 危険債権                           5,875              30               7      5,845      5,868
 要管理債権                          3,454         △1,907       △2,187          5,361      5,641
合計(A)                          12,252         △2,009       △2,365         14,261     14,617
 正常債権                      490,222            15,314        13,708       474,908    476,434
総与信(B)                     502,474            13,305        11,422       489,169    491,052
金融再生法開示債権比率(A)/(B)               2.43         △0.48         △0.54           2.91       2.97




 2020年3月末は、当期純利益の計上による利益剰余金の積上げにより、自己資本の額が前
年同期比7億72百万円増加となったものの、地元中小規模事業者等向け貸出の増加によりリ
スクアセットが前年同期比124億74百万円増加となったことから、単体自己資本比率は、前
年同期比0.11ポイント低下し、9.72%となりました。

                                        3
   【単体自己資本比率の推移(表4)】                                             (単位:%)
              2020/3期                               2019/9期        2019/3期
                実績        2019/9期比    2019/3期比        実績             実績

   自己資本比率          9.72      △0.29         △0.11         10.01            9.83


2.経営の改善に係る数値目標の実績
(1)収益性を示す指標(コア業務純益)
    貸出金利息および有価証券利息配当金が計画を上回ったことで、コア業務純益は、計画を
   4億25百万円上回る11億89百万円となりました。
    これは、 地元を中心とする中小規模事業者等向け貸出において、    2018年4月より開始した、
   金利競争を回避した上での資金繰り改善支援である「経営合理化支援」や「税理士会短期貸
   付(保証協会保証付)  」を活用した実行を重ね、2019年度累計479件、66億円(純増額45億
   円)の実行に至ったこと等から、計画以上の貸出残高を確保する一方で、利回りは計画を下
   回ったものの、低下幅が前年度比0.013%低下と縮小したことから、貸出金利息が計画を上
   回ったことによるものです。
   【コア業務純益(表5)】                                                            (単位:百万円)
               2018/3期    2019/3期     2019/9期                      2020/3期
              実績(始期)        実績          実績          計画           実績           計画比            始期比
   コア業務純益         1,811      1,072          593      764         1,189           425         △622

               2020/9期    2021/3期
                 計画         計画
   コア業務純益          912       1,824
   ※ コア業務純益=業務純益+一般貸倒引当金繰入額-国債等債券関係損益


    本計画においては、法定KPIであるコア業務純益の補助的指標として、   「地元中小規模事
   業者等向け貸出金利息」をたいようKPI(コア業務純益)として管理しています。なお、本
   計画では、宮崎県に加え、長きに渡り支店を構えてまいりました鹿児島県も地元と定義して
   おりますが、2020年3月期は、計画に62百万円及ばない39億26百万円となりました。
    引き続き、本計画のビジネスモデルにおいては、地元の中小規模事業者のお客様への顧客
   価値提供に注力することから、顧客価値に裏付けられたリレーションの含み益確保状況を、
   このたいようKPIを使って可視化し、フォローしてまいります。
   【たいようKPI(コア業務純益)(表6)】                                                      (単位:百万円)
                           2018/3期     2019/3期                           2020/3期
                          実績(始期)         実績          計画             実績              計画比        始期比
   地元中小規模事業者向けの貸出金利息          3,561         3,777     3,988           3,926            △62          365

                           2020/9期     2021/3期
                             計画          計画
   地元中小規模事業者向けの貸出金利息          2,226         4,452
   ※ 「地元中小規模事業者等向け貸出」とは、宮崎県、鹿児島県に本社を構える中小規模事業者のうち、政府出資主要法
     人向け貸出および特殊法人向け貸出、土地開発公社向け貸出等、大企業が保有するSPC向け貸出、当行関連会社向け
     貸出、その他金融機能強化法の趣旨に反するような貸出を除く貸出とし、
                                     「地元中小規模事業者等向けの貸出金利息」
     は、「地元中小規模事業者等向け貸出」により得られる貸出金利息


   【(参考)貸出金年間平残・利息・利回りの推移(表7)】                             (単位:百万円)
                          2019/3期                   2020/3期
                                      前年度比                         前年度比
                            実績                        実績
   中小規模事業者向け貸出金   平残        254,463        12,843    268,098             13,635
   中小規模事業者向け貸出金   利息          4,000           50         4,181                181
   中小規模事業者向け貸出金   利回り         1.572     △0.063           1.559           △0.013

                                       4
(2)業務の効率性を示す指標(業務粗利益経費率)
    2020年3月期の経費は、新勘定系システム費用等の負担により増加しましたが、機械化関
   連費用を除くその他経費については、  効率的な運用を行った結果、計画を65百万円下回る64
   億38百万円となりました。
    業務粗利益は、資金利益が計画を上回ったことで、計画を6億19百万円上回る95億8百万
   円となりました。この結果、業務粗利益経費率は、計画を5.44ポイント下回る67.71%とな
   りました。
  【業務粗利益経費率(表8)】                                                                  (単位:百万円、%)
                  2018/3期 2018/9期          2019/3期    2019/9期                     2020/3期
                  実績(始期)    実績               実績         実績            計画        実績       計画比        始期比
  経費(機械化関連費用除く)     6,334        3,215       6,551         3,218      6,503     6,438     △65        104
  業務粗利益             9,558        4,479       9,315         4,810      8,889     9,508      619      △50
  業務粗利益経費率          66.26        71.77       70.32         66.90      73.15     67.71    △5.44      1.45


                  2020/9期     2021/3期
                    計画          計画
  経費(機械化関連費用除く)     3,282        6,563
  業務粗利益             5,005       10,009
  業務粗利益経費率          65.57        65.57


    本計画では、法定KPIである業務粗利益経費率の補助的指標として、      「売上付与実績のな
   い行員数1人あたりの地元中小規模事業者等向け貸出金利息」をたいようKPI(業務粗利益
   経費率)として管理しています。具体的には、    「地元中小規模事業者等向け貸出金利息」を
   分子、 「販路開拓支援業務において売上付与実績のない行員数」を分母として算定します。
    これは、販路開拓支援業務によって売上付与実績のある行員を増やすことは、本ビジネス
   モデル改革に寄与しない行員を減らすことと同義であることから、       「売上付与実績のない行
   員数」を減少させることによって、売上付与に関する業務に注力させながらも、目指す収益
   を確保する仕組み作りができているかの進捗を測るために設定したものであります。
    2020年3月期は、計画を1.367百万円上回る9.327百万円となりました。
  【たいようKPI(業務粗利益経費率)
                   (表9)】                                                          (単位:百万円、%)
                        2018/3期 2018/9期 2019/3期 2019/9期                              2020/3期
                        実績(始期) 実績         実績      実績                     計画       実績      計画比       始期比
  地元中小規模事業者向けの貸出金利
                              3,561      1,842    3,777       1,923     3,988    3,927      △61      366
  息(A)
  行員数(a)                       643        644        630       645        650      628      △22      △15
  売上付与実績のある行員数(b)              102        126        147       179        149      207         58    105
  売上付与実績のない行員数
                               541        518        483       466        501      421      △80     △120
  (c)=(a)-(b)
  1人あたりの地元中小規模事業者等
                              6.582      7.111    7.819       8.253     7.960    9.327    1.367     2.745
  向けの貸出金利息(B)=(A)/(c)


                            2020/9期 2021/3期
                              計画      計画
  地元中小規模事業者向けの貸出金利
                               2,226      4,452
  息(A)
  行員数(a)                         650        650
  売上付与実績のある行員数(b)                169        189
  売上付与実績のない行員数
                                 481        461
  (c)=(a)-(b)
  1人あたりの地元中小規模事業者等
                               9.255      9.657
  向けの貸出金利息(B)=(A)/(c)

                                            5
  ※ 「地元中小規模事業者等向けの貸出金利息」は、たいようKPI(コア業務純益)の実績値・計画値と同一
  ※ 「行員数」は、役員、嘱託、パートを除く行員数と同一
  ※ 「売上付与実績のない行員数」は、上記行員数から、「本業サポートWithならびにTBMSの売り手事業者のお客さまに
    対する売上付与実績のある行員(除く役員、嘱託、パート)」を除いた行員数
  ※ 各年度9月期の「1人あたりの地元中小規模事業者等向けの貸出金利息」は、1年間での貸出金利息を基準とするため、
    便宜的に「地元中小規模事業者等向けの貸出金利息」の中間決算時の計画・実績を2倍して算出する運営とする。


3.経営の改善の目標を達成するための方策の進捗状況
(1)第四次経営強化計画の浸透・定着に向けて
  ①重要なステークホルダーとの対話
    本計画における「経営の改善の目標を達成するための方策」の成否は、当行経営陣と重要
   なステークホルダーである「当行のお客さま」および「当行の業務執行に関わる行員」との
   対話を通じて、当行の使命が地域経済活性化にあるということをいかに理解していただくか
   にかかっていると認識しております。
    本計画期間においては、従前からの株主や地域のお客さまへの情報開示等に加えて、経営
   陣が上記2つのステークホルダーとの対話を継続的に行っていくことを、
                                   「経営の改善の目標
   を達成するための方策」の前提として取組んでおります。

  A.役員とお客さま
    2019年度下期も、お取引先との定例の交流会等の機会を捉え、当行の使命が地域経済活
   性化への貢献であるという方向性を理解いただくべく、対話に努めてまいりました。
    また、重要なステークホルダーに含まれるマスコミに対しては、従来から決算発表やトッ
  プインタビュー等の機会を通じて、   地域経済活性化にコミットする意向を発信しております。
    今回の決算発表は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を回避するため、広いスペース
  の取れる当行本社ビルでの開催となりました。   コロナ禍が当行決算に与える影響等に関する
  質問も多くいただきましたが、地元新聞社の記事には、   『地域企業の資金繰りを支える地方
  銀行としての役割を果たしながら、再生の道筋を一緒に考えていきたい』という、決算発表
  時の当行役員の発言が掲載されたことから、   当行の地域経済活性化にコミットする意向につ
  いて、お取引先のみならず広く県民にご理解いただいているものと考えております。
    なお、2020年3月以降、新型コロナウイルス感染症の影響により、お客さまへの訪問活動
  を自粛しておりましたが、現状、宮崎県内での当該感染拡大の懸念は収まりつつあることか
  ら、2020年7月以降、役員によるお客さまとの対話を再開する予定としております。
    引き続き、お客さまとの一層の対話を促す態勢づくりも進めながら、お客さまとの様々な
  接点の活用による、役員とお客さまとの継続的な対話に取組んでまいります。

  B.役員と当行行員
    2019年度下期も、期初支店長会、業績表彰支店長会、年頭所感における頭取訓示や、毎
   月のブロック支店長会等を通じて、業務執行を担う行員に対して、当行の使命が地域経済活
   性化であることを浸透・定着させる対話に努めてまいりました。
    そのような対話が奏功して、金融庁の「新型コロナウイルス感染症を踏まえた対応事例」
  にあげられた 、  債務の条件変更 ・新規融資など事業者の実情に応じた万全の対応について、
  自発的におおむね対応できていたことも確認できました。
    引き続き、 役員と当行行員との様々な接点を通じて、  本計画に掲げた当行使命の再確認と、
  「実権者対話」「有用情報」「商流情報」「本業サポートWith」「経営合理化支援」とい
           、      、       、         、
  った具体的な施策から発生する、顧客リレーションや当行業容・財務面での改善、お客さま
  同士のネットワークの誕生といった成功体験を共有していくことにより、    「地域経済活性化
  を望むお客さまに心底喜んでもらえる実績へのこだわり」    、
                                「地域経済活性化の大義のための
  惜しみないリスクテイクとコスト負担」    、
                        「中長期的な当行財務改善に向けた我慢強さの醸成」
  といった、地元のお客さまに対する取組み姿勢の浸透と、それに基づく顧客価値提供に資す
  る行動の実現に努めてまいります。
                            6
  ②営業推進の大方針
    第四次経営強化計画においては、  「経営の改善の目標を達成するための方策」の着実な実
   行を下支えする土台部分として、  上記2つのステークホルダーに対する対話企画と合わせて、
   「営業推進の大方針」 (=短期的収益や短期的業容の向上への執着を改め、地元のお客さま
   とのリレーションを無形資産としてとらえ、着実な顧客価値提供の裏付けをもって、この無
   形資産の含み益の最大化に宮崎太陽銀行は注力する)を制定し、本方針を営業店行員の行動
   規範的な位置づけとしております。
    2019年度下期も引き続き、この行動規範に適した営業店行員の行動を実現するべく、 2019
   年度上期に抜本的な見直しを実施した業績評価   (お取引先とのリレーション改善やお取引先
   への顧客価値提供を重視の業績評価)に即した営業活動に努めてまいりました。
    その結果、お取引先(実権者)との対話内容は、商流情報を基にお取引先が抱える事業運
   営上の課題把握に向けた対話へと変化してきました。これは、2019年度下期の対話を本計
   画で当行が取組む有用情報(定義は後述)や商流情報に的を絞って行い、営業店行員がデー
   タベースに登録した対話内容を本部で評価する取組みを継続したことによるものです。   この
   取組みによって、2019年度以前は当行の財務内容改善に繋がる貸出中心であった対話内容
   が着実に変化しております。
    なお、業績評価は3つの大項目で構成され、高い総得点を取るには、1番目の「顧客リレー
   ション改善基盤項目」で高得点を獲得しなければ、2番目の「提供顧客価値増強項目」や3
   番目の「当行財務改善項目」で獲得した得点が目減りするという難易度の高い業績評価(本
   格的なバランススコアカード型業績評価)としており、営業推進の大方針が営業活動へ浸透
   する仕組みとしております。
    引き続き、行員一人ひとりが、これからお客さまにご提案しようとしているサービスが、
   本当にお客さまに心底喜んでいただけるものになっているのか、   吟味しながら計画の推進に
   邁進できるよう、本方針および業績評価に即した行動の浸透を図ってまいります。

(2)着実な顧客価値提供
  ①お客さま自身の事業運営課題の収集
    お客さまの事業運営上の課題認識に関わる情報は、  借入ニーズ対応以外での価値あるサー
   ビス提供を行うために有用であることから、当行では「有用情報」と呼んでいます。
    有用情報の収集は、お客さまの商流を手掛かりに事業運営状況を把握し、その商流に存在
   する課題の原因に踏み込んでいくことで「事業運営上の課題認識」 を探り、取得するもの
   で、その課題に対する解決策として下記 4 項目を定義しております。
     A )売上改善支援
     B )不測の事態により増加した製造原価の低減策支援
     C )不測の事態により調達できなくなった生産要素(ヒト・モノ)の調達支援
     D )事業運営改善に向けた慢性的なボトルネック解決支援

    2019 年度上期より、有用情報の本格収集、収集した有用情報活用に基づく価値あるサー
   ビス提供、有用情報の取組みにおける業績評価等を本格稼働しております。2019 年度は、
   本業サポート With 契約先、たいようビジネスマッチングサービス(以下 TBMS)登録先、
   商流情報を収集させていただくお取引先、     経営改善支援対象先を対象として有用情報の収集
   を行い、延べ 163 件を収集・登録しました。
    2019 年 7 月には、「有用情報の定義(構成方針)、
                               」「記述すべきでない項目」「質の高い
                                            、
   有用情報の特徴」といった観点でのルールづけを行いましたが、未だ十分なレベルに達して
   いなかったことから、2020 年度上期より、有用情報の定義や収集すべき情報内容を更に行
   員へ浸透させるため、     有用情報に関するマニュアル策定と本部宛提出フォーマットの大幅な
   改訂を行いました。
    こうした試行錯誤を重ねながら、     実権者との対話により聴き取りのできた有用情報の具体
   事例としては、通常、口外されない既存の大口取引先(卸先)との契約条件等の聴き取りが
                       7
 でき、同業他社への販売ができないこと、納品の遅れや欠品が契約解除に繋がること、契約
 期間も定められておらず、安定・安心した事業運営ができないこと等の重要な経営課題の聴
 き取りもでき始めております。
  なお、新型コロナウイルス感染症の拡大によるイベント中止や観光客減少等に伴い、様々
 な業種の地元事業者のお客さまにおいて、  仕入や販売といった商流の喪失  (地元雇用を含む)
 等の影響が出ていることから、当行では、2020 年 4 月より、①仕入商流への影響、②販売
 商流への影響、③雇用への影響の 3 つのテーマに絞った形で、より具体的な影響事象の聴き
 取り活動を始めております。
  上記影響の聴き取り活動に加えて、有用情報の収集も継続しながら、2020 年度上期から
 はこれまで収集した有用情報への解決支援(  「レスポンス」提供)を業績評価目標にも反映
 させることで、営業推進の大方針の通り、着実な顧客価値提供を行い、顧客リレーションと
 いう無形資産の含み益の最大化に努めてまいります。

②有用情報に基づくサービス提供
  有用情報として組織知化されたお客さまの経営課題については、上記A~Dの借入ニーズ
 以外の解決支援という価値あるサービス提供を行うことより、地元のお客さまとのリレーシ
 ョンという無形資産の含み益を増やしていくことができると考えております。

A.本業サポート With
   2019 年度上期より、従来取組んでいる TBMS に加え、特に経営改善の観点から販路開拓
 支援が必要なお取引先向けサービスとして、本業サポート With の取扱いを開始しました。
   本業サポート With は、お取引先の商品・サービスの深掘り(事業性評価)を目的とした
 カタログを作成し、商談のセッティングから入金管理まで行う等、通常のビジネスマッチン
 グよりも、一段踏み込んだ丁寧な販路開拓支援を行うものです。
   取組みにあたっては、当行行員の商品・サービスに対する理解を深めるため、2019 年 5
 月と 11 月に、 契約先としてサポートさせていただく 15 社の代表者等を当行にお招きし、  全
 支店長や支店行員等、約 100 名の行員に対して、自社商品・サービスを説明いただく場を設
 けさせていただきました。また、2019 年 8 月及び 11 月には、15 社の商品の中に、男性行
 員よりも女性行員の方が馴染みのある商品があったことから、当該 1 社をお招きし、女性行
 員向け説明会も開催しました。
   こうした商品・サービスに対する理解を深める取組みを行いながら、全支店、全行員が、
 地域活性化部との連携による販路開拓支援活動に注力した結果、本業サポート With 契約先
 15 社全ての売上増加に繋がり、2019 年度の成約実績は 352 先、65 百万円となりました。
   なお、2020 年度上期には、新型コロナウイルス感染の影響による売上不冴えのお取引先
 を含む 7 社を新たな契約先とさせていただきました。
   引き続き、全行を挙げて、お取引先の売上増加に向けた販路開拓支援活動に取組んでまい
 ります。




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    <販路開拓支援 成約事例>
     A 社(売り手)
             :制服、オーダースーツ販売事業者      (本業サポート With 先)
     B 社(売り手)
             :オフィス家具販売事業者          (本業サポート With 先)
     C 社(買い手)
             :葬祭場運営事業者

    ≪経緯≫
    業歴の長い葬祭運営事業者 C 社が、最新の備品やサービスを具備した近代的な葬祭事業者
    にシェアを奪われながら、事業承継の時期を迎えていた。
    事業承継にあたっては、株式の譲渡や臨時株主総会の開催など、課題が多岐に渡っていた
    ことから、M&A 関連の外部専門機関を交えた支援を実施。

    当行融資では対応困難な事業承継に必要な資金が不足して、 M&A 関連の外部専門機関を交
    えても行き詰まっていたところに、C 社の遊休不動産に関心のある当行取引先が存在し、
    売却代金で事業承継に必要な資金の確保と債務圧縮を実現し、事業承継に道筋がついた。

    加えて、C 社の承継後の新会社でも競合する葬祭事業者に太刀打ちできる保証はなかった
    ため、本業サポート With 契約先であった A 社と B 社に、従業員の制服刷新や備品の入替
    等対応いただけるように打診し、C 社に当行より提案、成約に至った。



  B.たいようビジネスマッチングサービス(TBMS)
    2016年4月から本サービスの取扱いを開始し、2020年3月末時点の登録先数は223先とな
  り、2019年度の新規成約実績は90先、110.6百万円となりました。
   また、登録先の商品・サービスの理解を深めることを目的とし、全ての登録先について本
  業サポートWith並のヒアリングシート(商品サービスレベルの事業性評価シートで、カタ
  ログに内容が反映される)を作成しており、営業担当者が、登録先の商品・サービスを十分
  に理解した上で、営業活動を行うための態勢整備を継続しております。

  C.その他事業運営課題に対するサービス提供
    お取引先の事業運営課題の理解に基づく、事業者のお客さまに心底喜んでいただくための
  価値ある融資関連以外のサービスとして、売上改善支援業務である本業サポートWith、
  TBMSの他に、不測の事態により増加した製造原価の低減策支援、不測の事態により調達で
  きなくなった生産要素(ヒト、モノ)の調達支援、事業運営改善に向けた慢性的なボトルネ
  ック解決支援に特定した支援に取組んでおります。
   お客さまが抱えておられるこれらの課題に対しては、前述の通り、2020年度より、事業
  運営上の重要な課題の解決支援を行う「レスポンス」の提供に取組んでまいります。

(3)顧客価値提供を着実に行うために
    本計画の土台部分である「営業推進の大方針」を遂行していくために、以下のような経営
   資源配分、インフラ整備を行っております。

  ①地域経済活性化に向けた経営資源配分
    2019年度上期より、預り資産や個人ローン等のリテール分野に関する業績評価項目を廃
   止し、 ①顧客リレーション改善状況(内部プロセスの視点に該当)、②顧客価値提供状況(顧
   客の視点に該当) 、③当行財務改善状況(財務の視点に該当)の3要素からなる、バランスス
   コアカード型の業績評価運営に移行しております。
    これまでの業績評価では、顧客価値提供度合いを評価しうる①や②を努力しても、わずか
   半期で③ができなければ評価されないことから、 顧客価値に無関係で独善的な当行財務改善
   状況を助長するような傾向がありましたが、新しい業績評価では、当行が提供した顧客価値
   に裏付けられた当行財務改善が適切に可視化されることになり、  営業店にとっても新しいビ

                          9
   ジネスモデルの定着を促し、新しいビジネスモデルへの対応状況がフェアに評価されるよう
   になりました。
    また、営業店行員の本業サポートWithに対する稼働時間を確保するため、預り資産や個
   人ローン推進といったリテール関連業務を本部集中化する組織改正も実施しております。

  ②ビジネスモデル変革に向けたインフラ整備
    2019 年度より開始している販路開拓支援業務「本業サポート With」については、同様の
   業務を先行して運営している豊和銀行に対し、2018 年度本業支援部管理職 1 名を約 4 ヶ月
   間出向させ、業務ノウハウ、システム運用方法等の習得を行いました。
    また、現在、当行、豊和銀行、南日本銀行の 3 行合同にて新たな販路開拓支援システムを
   開発中であり、2020 年 6 月より運用開始予定としております。2019 年 10 月に営業店長、
   担当者向けに新システムに関する説明会を実施しており、    今後は操作に関する臨店指導も行
   ってまいります。

(4)公的資金の活用状況
     当行では、金融機能強化法の趣旨を踏まえた地域経済活性化に貢献するため、公的資金を
   有効活用することによって、   より多くの地元中小規模事業者のお客さまへの資金供給や事業
   再生支援等に努めていくこととしており、地元ULの適正水準確保と地域経済活性化に向け
   た”生き金”として、  公的資金の本来の趣旨に則り、事業再生目的での活用を行っております。
     2020年3月末における地元ULは、中小規模事業者のお客さまへの貸出が128億円増加した
   ものの、  UL算定の基礎数値であるデフォルト率が低下したため、 前期末比10百万円減少し、
   41億94百万円となりました。
     また、公的資金注入以降の債権放棄等累計額は196億円で、このうち、地元での累計額は
   194億円、うち事業再生目的が131億円となっております。

4.従前の経営体制の見直しその他の責任ある経営体制の確立に関する事項の進捗状況
(1)業務執行に対する監査又は監督の体制の強化のための方策
    当行は、2019年6月27日に開催された第118期定時株主総会において、コーポレート・ガ
   バナンスの充実を目的として、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行し、取締
   役会の職務執行の監査等を担う取締役監査等委員    (社外監査等委員3名を含む4名体制)を取
   締役会の構成員とすることにより、取締役会の監督機能の更なる強化を図っております。
    こうした中、取締役会は、相互牽制機能を確保するため、監査等委員(会)や会計監査人
   との連携強化や監査部の監査態勢強化を図っております。
    なお、社外取締役、  社外取締役監査等委員全員を独立役員とし、  5名体制としております。
    また、当行の内部監査態勢は、取締役会直轄の組織として監査部を設置し、監査部には被
   監査部門の全ての業務執行を一切の影響を受けず独自の立場で監査できる権限を付与して
   おります。監査部は、監査等委員および監査等委員会との連携を強化するとともに、会計監
   査人との連携も適切に行っております。また、監査部は、取締役会で承認を受けた監査計画
   に基づく監査を実施するとともに、   その結果について適時適切に取締役会へ報告を行ってお
   り、取締役会が必要な改善を指示していることに加え、頭取、専務自らも必要に応じて直接
   指導並びに所管部署に対して改善を指示する体制とし、    経営として十分な関与を行っており
   ます。

(2)リスク管理の体制の強化のための方策
   ①統合リスク管理体制強化のための方策
     当行では、毎期、信用リスク、市場リスク等の各リスクに対する配賦資本(リスク資本)
    額を決定し、定期的にALM委員会において検証を行い、取締役によって構成されるリス
    ク管理委員会へ報告する体制としております。また、四半期毎にストレステストを行い、
    ストレスシナリオに対するリスク量が配賦資本額範囲内に収まっていることを確認し、 運
                         10
 用に対する自己資本の十分性が確保されていることをリスク管理委員会に報告しており
 ます。
  なお、地元外の大手金融機関向け貸出については、外部格付機関のバックアセットに関
 わる信用格付によらず、時価情報を収集し、その毀損状況(貸出簿価-時価を引当額と見
 なす)から当行内部の債務者区分と整合性をとり、一般の事業性貸出同様の取扱いを統合
 リスク管理として行っていくこととしております。

②信用リスク管理体制強化のための方策
  信用リスク管理については、 統合リスク管理の中でリスク限度枠管理やストレステスト
 を行うとともに、ALM委員会において信用リスク計量化手法による業種別、格付別、営
 業店別等のリスク量分析を通じ、 リスク偏在や与信集中の検証等の与信ポートフォリオ管
 理を行っております。
  与信集中リスクの抑制に向けては、「大口与信管理規定および同規定細則」や「大口与
 信先等管理データ手引書」に基づく「大口与信先等管理報告」(四半期毎の取締役会への
 報告)や「融資動静報告」(毎月の取締役への稟議)における結果検証を通じて、リスク
 の集中を抑制するためのPDCA管理を行っております。

③市場リスク管理体制強化のための方策
  総合企画部は、統合リスク管理の一環として、株式に係るリスク量、アウトライヤー規
 制に対する金利リスクの状況等を分析・評価し、ALM委員会、リスク管理委員会におい
 て、市場リスク量や管理の適切性等を検証、確認、報告し、経営陣が市場リスクを的確に
 認識し、適切に判断できる体制としております。
  経済および市場のストレス発生時において、経営の健全性を確保するため、ストレス発
 生の予兆を捉えて予め具体的な対応策を定め、実行するための実施基準を定めております。
  また、リスク管理委員会において、市場利回りと株価の変動による評価損益増減分析を
 行い、株価と金利の変動による収益や自己資本への影響度について評価しておりますが、
 今後もこの分析、評価を継続するなど、市場リスク管理の高度化に取組んでまいります。
  有価証券の運用計画およびその運用状況は、定期的に経営陣へ報告を行う体制としてい
 ます。なお、有価証券全体に占める株式の保有割合は10%以内と定めております。

④流動性リスク管理の強化
  流動性リスクに関する分析・評価を毎月実施し、ALM 委員会へ報告しております。資
 金繰りの状況は、日次モニタリングを行い、資金繰りの計画・見通しについては定期的に
 経営陣へ報告しています。

⑤オペレーショナルリスク管理の強化
  当行では、オペレーショナルリスク管理方針や管理基準に基づき、事務リスク、システ
 ムリスク、法務リスク等のオペレーショナルリスクとして規定している個々のリスクの管
 理主管部署が、取締役会等にその管理状況に関する業務報告を行っております。また、統
 括部署である総合企画部は、上記の管理主管部署に各リスクの管理状況の報告を求め、オ
 ペレーショナルリスクの総合的な報告を取締役会等に対して行い、これらの報告により取
 締役会等が個々のリスク管理の状況と併せて、オペレーショナルリスク管理の状況を総体
 的に把握できる態勢としております。

⑥自己資本管理態勢の強化
  自己資本管理規定に基づき、ALM委員会において統合リスク管理の結果検証等を実施
 し、期中におけるリスク量に対する自己資本の十分性等の充実度を確認しております。ま
 た、市場リスク管理において実施するストレステストによる自己資本の十分性の検討も継
 続して実施しております。
                  11
(3)法令遵守の体制の強化のための方策
    当行は、地域社会からの信用・信頼を存立基盤とする地域金融機関であり、地域に根差す
   銀行として「法令等遵守態勢の確立」を経営の最重要課題の一つに位置づけ、法令等遵守の
   徹底、企業倫理の確立、  不祥事件の未然防止並びに反社会的勢力の排除に取組んでおります。
    コンプライアンス遵守態勢については、頭取を委員長とし全取締役で構成する「コンプラ
   イアンス委員会」  、その下部組織として本部各部長で構成する「コンプライアンス部会」に
   おいて、法令等遵守の徹底と企業倫理の確立による健全かつ公正な業務執行をチェックし、
   その強化・確立に努めております。また、お客さま応対時には、お客さまの事務負担等に配
   慮しながら、本人確認や取引時確認の周知徹底、取引モニタリングを踏まえた疑わしい取引
   の届出等につき適切な対応に努めているほか、各業務の適法性確保のため、契約書等のリー
   ガルチェック実施状況をコンプライアンス統括部で一元管理しております。
    コンプライアンス意識については、頭取が機会を捉え、コンプライアンスに関する訓示を
   行うほか、研修や臨店時において、役員、担当部長による具体事例を交えた講話や意見交換
   会等を実施し、その浸透・定着に努めております。
    また、 反社会的勢力の排除については、 反社会的勢力との関係遮断と排除を徹底するため、
   それらの情報を共有する「スクリーニングシステム」の活用による反社会的勢力の預金口座
   開設、融資申込みの全件謝絶や必要に応じた警察等への照会も行っているほか、   「取引開始
   時のスクリーニング実施および契約書等への暴力団排除条項の導入徹底」   、
                                       「取引モニタリン
   グや定期的な事後スクリーニングの実施」「反社会的勢力との取引解消」に継続的に取組む
                        、
   ことで、その実効性向上を図っております。このほか、2018年1月より、個人ローン申込み
   者を対象とした警察庁の反社データベースへの照会も開始しており、   反社チェック体制の高
   度化を図っております。
    なお、昨今、国際的なテロの脅威等が高まる中で、地域銀行に対しても、マネロン・テロ
   資金供与対策が徹底された上での決済取引等が強く求められております。
    こうした中、組織的対応を進めていくため、2018年9月に、マネー・ローンダリング等の
   防止に係る企画・統括組織としてコンプライアンス統括部に「マネロン・テロ資金対策室」
   を設置しました。
    また、2019年7月には、同室を「金融犯罪対策部」に格上げし、組織的・横断的にマネー・
   ローンダリング等の情報を共有する体制としました。このほか、金融犯罪対策部には警察
   OBを1名追加設置し、悪質化・巧妙化する様々な金融犯罪に対して的確に対応できる体制整
   備を行っております。

(4)経営に対する評価の客観性の確保のための方策
    経営に対する評価の客観性を確保するため、行政や事業者支援の経験者等の第三者で構成
   する「経営評価委員会」を年2回開催し、当行の経営方針や経営戦略、地域経済活性化に向
   けた取組み状況等について、客観的な立場による評価や助言をいただいております。
    今後も、同委員会が当行経営に対する客観的な評価や助言を行うことで、経営に対する評
   価の客観性を確保してまいります。

(5)情報開示の充実のための方策
    当行では、お客さま、株主を始めとする投資家の皆さま、地域社会等から正しい理解と信
   頼を得るため、福岡証券取引所への適時開示のほか、記者会見、プレスリリース、ホームペ
   ージへの情報掲載を通じて、迅速かつ正確な四半期情報の開示に取組んでおります。
    また、事業者のお客さまに対する本業支援の取組みや、文化・スポーツ・環境保護等に関
   する社会貢献活動についても、ホームページやディスクロージャー誌等で開示しており、今
   後も、各取組みとその開示内容の充実を図りながら、地域のステークホルダーの皆さまへの
   迅速かつ質の高い情報発信に努めてまいります。



                      12
5.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化その他の主として業務を行っている地域における
 経済の活性化に資する方策の進捗状況
(1)中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化その他の主として業務を行っている地域におけ
   る経済の活性化に資するための方針
    本計画におきましては、当行が地元と定義する宮崎県、鹿児島県のお客さまに対する信用
   供与のみならず、 経営改善を必要と考えておられるお客さまを積極的にご支援していくため、
   従来からのTBMSに加えて、2019年度より取扱いを開始しております本業サポートWithを
   通じた販路開拓支援に注力し、地域経済活性化に向けた取組みを行っております。

(2)中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化のための方策
  ①中小規模の事業者に対する信用供与の実施体制の整備のための方策
     2019 年度より事業性評価の深化を目的にスタートした商流情報への取組みについて、
   2019 年度下期においては、2019 年度上期に約 250 社のお取引先から収集した約 19 千件の
   全ての仕入・販売商流に対して優劣評価を行うとともに、その評価結果や判定理由、その他
   得られた情報等を「事業性評価システム」     (商流情報を登録するデータベースシステム)へ
   登録しております。
     この商流情報への取組みにより、お取引先の事業内容だけではなく、商流から分かる具体
   的な強みや弱み、各商流や今後の事業展開に関する経営者の考え、見直しの必要性を感じて
   いる課題等がより具体的に見えるようになってきました。
     今後は、この収集した商流に対する評価結果や判定理由、その他得られた情報等をエビデ
   ンス(根拠)資料として、既存の「事業性評価チェックシート」および 2019 年度下期に新
   設した「商流による事業性評価を踏まえた取組方針」を作成し、この一連の流れを持って、
   当行の新たな事業性評価とする方針です。
     当行は、  この商流に着目した事業性評価を通じて、   「他行には見えないものが見えてくる」
   ことで、お取引先にとって本物の相談相手になると共に、お取引先への円滑な信用供与に繋
   げていく考えであります。

  ②担保又は保証に過度に依存しない融資の促進その他の中小規模の事業者の需要に対応した
   信用供与の条件又は方法の充実のための方策
    担保・保証に依存しない融資を促進するために、経営者保証の取得について検討する「経
   営者保証チェックシート」を改定し、経営者保証の取得要否について安易でかつ明確な基準
   を定めており、基準外のケースにおいても柔軟に対応しております。
    また、事業内容や成長可能性等を適切に評価する事業性評価によって、地元企業の生産性
   向上を図り、お取引先の創業や成長を積極的に支援していくことが重要であるとの認識のも
   と、お取引先の経営者さまとの対話により、事業運営上の課題を共有し、その解決策を協議
   する過程で発生する資金ニーズに対応する経営合理化支援を実施しております。

  ③中小規模事業者等向け信用供与円滑化計画を適切かつ円滑に実施するための方策
    当行は、地元のお客さまとのリレーションという無形資産の含み益を増やすことで、資金
   調達先として選ばれやすくなることに加え、本業サポートWithやTBMSによってお客さま
   の売上改善に取組んでおります。そこで発生する増加運転資金や設備資金等の需要に積極的
   に対応してまいります。
   【中小規模事業者等向け信用供与の残高、比率(表10)】                                   (単位:億、%)
                    2018/3期 2018/9期    2019/3期             2020/3期
                    実績(始期)    実績         実績      計画      実績      計画比        始期比
   中小規模事業者等向け貸出残高     2,529    2,553     2,656   2,734   2,803        69     274
   総資産末残              6,851    6,931     6,942   7,196   7,031       165     180
   総資産に対する比率          36.91    36.83     38.25   37.99   39.86       1.87    2.95


                                 13
                      2020/9期      2021/3期
                        計画           計画
  中小規模事業者等向け貸出残高        2,834           2,934
  総資産末残                 7,288           7,381
  総資産に対する比率             38.88           39.75
  ※ 中小規模事業者等向け貸出とは、銀行法施行規則第19条の2第1項第3号ハに規定する別表一における中小企業等から個
    人事業者以外の個人を除いた先に対する貸出で、かつ次の貸出を除外しております。政府出資主要法人向け貸出および
    特殊法人向け貸出、土地開発公社向け貸出等、大企業が保有するSPC向け貸出、当行関連会社向け貸出、その他金融機
    能強化法の趣旨に反するような貸出


  【たいようKPI(地元中小規模事業者等向け信用供与の残高)【表11】                                             (単位:億、%)
                   2018/3期 2018/9期         2019/3期                      2020/3期
                   実績(始期)    実績              実績          計画          実績          計画比   始期比
  地元向け中小規模事業者等向
                     2,320       2,430          2,519    2,552       2,647        95    327
  け貸出残高

                    2020/9期   2021/3期
                      計画        計画
  地元向け中小規模事業者等向
                     2,665       2,777
  け貸出残高
  ※ 中小規模事業者等向け貸出とは、銀行法施行規則第19条の2第1項第3号ハに規定する別表一における中小企業等
    から個人事業者以外の個人を除いた先に対する貸出で、 かつ次の貸出を除外しております。 政府出資主要法人向
    け貸出および特殊法人向け貸出、土地開発公社向け貸出等、大企業が保有するSPC向け貸出、当行関連会社向け
    貸出、その他金融機能強化法の趣旨に反するような貸出



(3)その他主として業務を行っている地域における経済の活性化に資する方策
   本計画においては、地域経済活性化への実効性を重視して、経営改善支援の取組みの定義
  をプロセス評価から成果評価への変更など厳格化し、  顧客価値等において実効性の測定が難
  しいもの、プロセスにしか過ぎない評価は廃止し、お客さまの課題を当行自らの課題として
  位置づけ、経営者さまと力を合わせ、課題を解決する経営改善支援に重点的に取組むことと
  しております。
   2019年度下期は、「早期事業再生支援」以外の4分野を達成し、経営改善支援取組率の計
  画0.89%を達成することとなりました。早期事業再生支援につきましては、引き続き支援先
  へ丁寧な対応を継続し、ランクアップや専門機関との連携による再生計画の策定、事業譲渡
  (M&A含む)等実施し支援先数の増加を図ってまいります。
   2020年度以降についても、引き続き、営業店、本部が一体となり、お客さまの経営改善
  のお手伝いに取組んでまいります。
  【経営改善の取組み(表12)】                        (単位:先、%)
                          2018/3期         2018/9期       2019/3期      2019/9期
                         実績(始期)             実績            実績           実績
  創業・新事業開拓支援                      21              26          22           39
  経営相談                            18               6          12           21
  早期事業再生支援                        18               5          14           15
  事業承継支援                           1               1             4           5
  担保・保証に過度に依存しない融資                12              91          55           48
  経営改善支援取組先数合計(a)                 70             129        107           128
  取引先数(b)                       9,826           9,795      9757        9,646
  経営改善支援取組率(a/b)                 0.71            1.31      1.09           1.32




                                          14
                                         2020/3期                   2020/9期   2021/3期
                         計画        実績          計画比         始期比       計画        計画
 創業・新事業開拓支援                 21           47          26      26        22         22
 経営相談                       21           24           3       6        22         22
 早期事業再生支援                   21            9        △12      △9         22         22
 事業承継支援                       4           4           0       3         5          5
 担保・保証に過度に依存しない融資           22           47          25      35        24         24
 経営改善支援取組先数合計(a)            89          131          42      61        95         95
 取引先数(b)                  9,925        9,576       △349    △250      9,950     9,975
 経営改善支援取組率(a/b)            0.89         1.36        0.47    0.65      0.95      0.95
 ※1     前計画では、創業支援や事業承継支援など経営改善支援の過程についても計上しておりました。本計画におけ
        る経営改善の取組みは支援実施の顧客価値提供成果がもたらす結果にこだわった定義付けを行っております。
 ※2     表中、2018/3期実績の計数は、本計画の基準による実績を記載しております。
 ※3     「経営改善支援取組先」とは、次の項目への取組先といたします。
 1. 創業・新事業開拓支援先
  (1)   創業や新事業展開に係る補助金・助成金の申請支援を行い、交付完了した先
  (2)   創業・新事業・6次化等に対する創業融資実行を行った先
  (3)   株式会社宮崎太陽キャピタル等を活用し、創業・新事業に関連する資金提供を行った先
  (4)   新規での海外取引・海外進出ニーズ先に対し、支援実施の結果、商取引が開始された先
 2. 経営相談・早期事業再生支援先
  (1)   有用情報に基づく事業者のお客さまに心底喜んでもらえるサービス(上述B~D)によるコスト削減、効率化支
        援等の経営改善提案を行った先
  (2)   補助金・助成金申請の支援を行った先(創業や新事業展開に関するものを除く)
  (3)   株式会社日本人材機構等を活用した人材紹介支援を行った先
 3. 早期事業再生支援
  (1)   宮崎県中小企業再生支援協議会、経営改善支援センター、REVICと連携し再生支援計画を策定した先
  (2)   経営改善支援対象先および事業性評価実施先からランクアップした先
  (3)   債務超過企業等に対する金融支援(DDS、債権放棄、準則型私的整理等)を行った先
  (4)   事業再生に係る事業譲渡・M&A等の取組みを成立させた先
 4. 事業承継支援先
  (1)   個人事業者を含む事業承継・M&Aの取組みを成立させた先
 5. 担保又は保証に過度に依存しない融資促進先
  (1)   新規無担保融資、新規無保証融資、ABL活用融資、債権担保融資等を行った先(太陽光発電融資等再生エネルギ
        ー関連融資は除く)
  (2)   担保・保証を考慮した、日本政策金融公庫や他行と協調融資実行を行った先(提供可能な保全を超える資金調
        達を希望する事業者に対する協調融資支援先数(太陽光発電融資等再生エネルギー関連融資は除く) )


①創業又は新事業の開拓に対する支援に係る機能の強化のための方策
  本計画では、各商工会議所や宮崎県産業振興機構、宮崎大学、日本政策金融公庫国民生活
 事業等との更なる連携強化および各種補助金の積極的な活用や日本人材機構による人材紹
 介支援等により、創業・新事業開拓支援の強化に取組んでいくこととしております。
  2019年度につきましては、連携協定を締結している宮崎商工会議所が主催した創業スク
 ールへアドバイザーとして参加したほか、 宮崎大学に対する新事業分野における技術的相談
 事項の共同研究相談の持込み、 日本政策金融公庫と連携した協調融資対応等を実施しました。
 また、各種補助金の活用(認定支援機関としての計画策定支援対応やご案内等) 、宮崎県プ
 ロフェッショナル人材戦略拠点等への人材紹介相談等の対応を行ってまいりました。

②経営に関する相談その他の取引先の企業(個人事業者を含む)に対する支援に係る機能の強
 化のための方策
  2020年3月末で223社となったTBMS登録先および本業サポートWith契約先15社に対し
 て、売上向上に繋がる取組みを継続しております。
  また、事業再生については、外部の専門機関や税理士等の専門家と連携し、お取引先の経
                                  15
   営改善計画策定等の支援、   M&A・事業譲渡の支援や廃業に向けた支援に取組んでおります。
    このほか、お取引先の販路拡大支援の一環として、2019年6月に、第二地方銀行協会が主
   催する「 『食の魅力』発見商談会」へお取引先の出展支援を行い、2020年2月には、連携協
   定締結先である第一勧業信用組合が主催する「地方物産品販売会」へのお取引先の商品出品
   のお手伝いを行いました。
    また、当行では、地元における消費促進および事業者のお客さまの事業運営(オペレーシ
   ョン)改善に資する取組みとして、キャッシュレス決済の普及に取組んでおります。
    これは、宮崎県は国内有数の観光立県であり、今後各種イベントにより、国内外からの観
   光客の一層の増加が見込まれることから取組んでいるものです。
    具体的には、   県内の代表的な観光地である青島地区の30数店舗へのキャッシュレス端末の
   導入を行いました。また、2019年10月に始まった「キャッシュレス・消費者還元事業」に
   伴い、キャッシュレス決済の促進向上の一環として、スマホ決済サービス「メルペイ」およ
   び「J-Coin」との口座接続を開始しております。
  ③早期の事業再生に資するための方策
    2019年度下期には、業況悪化の傾向にはあるものの、経営者さま自身に再生へ向けた意
   欲が認められ、事業再生の可能性が見込まれるお取引先207先を、経営改善支援対象先に選
   定し、改善計画の策定支援のほか、業況改善に向けたフォローアップを行っております。
    また、2020年3月末時点で、貸出条件変更を実施された132先のお取引先について、一定
   基準の下、事後モニタリングにより業況把握に努めるとともに、業況改善に向けた支援を行
   っております。
    再生支援においては、引き続き、中小企業再生支援協議会や地域経済活性化支援機構とい
   った外部専門機関と積極的に連携し、実効性のある支援を実施してまいります。

  ④事業の承継に対する支援に係る機能の強化のための方策
     連携している宮崎県事業引継ぎ支援センター、   同センター登録の民間支援機関と毎月定例
   的なミーティングを行い、案件の発掘・内容協議から同行訪問による共同支援等、具体的な
   事業承継支援を実施しております。
     事業承継に対する行員の資格取得の取組みとして、金融業務検定の事業承継・M&Aコー
   スを奨励しており、2020年3月末現在で66名が同資格を保有しております。
     2019年度下期には、行員向け研修として、宮崎県事業引継ぎ支援センターより講師を招
   聘した事業承継・M&A支援の重要性等の理解に向けた研修に、約50名が参加し理解を深め
   ました。
     また、お客さま向けとして、後継者育成支援を目的に「次世代塾(外部講師による毎月1
   回開催の講義、  12回コース) を継続的に開催しております。
                   」              2019年7月には第6期を開講し、
   28名の後継者・幹部候補の方に参加いただいております。受講生は、通算で200名を超え、
   うち7名の方が実際に事業を承継し、現在代表者として活躍しておられます。

6.剰余金の処分の方針
(1)配当、役員に対する報酬および賞与についての方針
    当行は、企業価値向上に向けて、地域経済活性化への貢献と収益力の強化による財務基盤
   の安定化に努め、  安定的な配当および内部留保の蓄積に努めていくことを基本方針としてお
   ります。
    2020年3月期については、普通株式1株当たり25円00銭、優先株式1株当たり29円65銭の
   配当を実施しました。
    また、 業績と企業価値向上への役員の貢献意欲および株主重視の経営意識を高めることを
   目的として、2012年6月に、役員退職慰労金制度の廃止と業績連動型報酬を組み入れた役員
   報酬制度へ移行しているほか、  役員賞与については、 従来より支給しておりません。 今後も、
   業績を踏まえた報酬および賞与としていく方針であります。
    なお、2020年3月期の利益剰余金は、当期純利益が1,082百万円となったことから、計画
                        16
   を19億円上回る167億円となりました。
    今後も、経営強化計画の着実な実行により、2025年3月末には225億円の利益剰余金が積
   み上がり、弁済後の自己資本比率悪化を極力回避した上での、公的資金130億円の返済財源
   は確保できると見込んでおります。

    【当期純利益、利益剰余金の残高推移(表13)】                                                           (単位:億円)
            2010/3    2011/3   2012/3   2013/3    2014/3   2015/3   2016/3   2017/3   2018/3   2019/3
            期実績       期実績      期実績      期実績       期実績      期実績      期実績      期実績      期実績      期実績

    当期純利益     △83         10       16       11        24       19       47       29       12       10

    利益剰余金       11        17       29       36        56       72      115      141      151      158


                     2020/3期            2021/3    2022/3   2023/3   2024/3   2025/3
                                        期計画       期計画       期計      期計画      期計画
            計画        実績       計画比

    当期純利益        1       10        9         7        13       19       24       30

    利益剰余金     148       167       19       152       162      177      198      225
    ※利益剰余金は、普通株および優先株の配当額を当期純利益に対応する年度から控除しております。


7.財務内容の健全性および業務の健全かつ適切な運営の確保のための方策の進捗状況
(1)経営管理に係る体制および今後の方針等
     経営強化計画に掲げた各種施策については、所管部および関係部が取組み状況を分析し、
   課題の解決に向けた対応策等を検討しております。
     これら検討内容については、 本部各部からなる経営強化計画進捗管理検討会議や経営戦略
   会議において定期的な報告・協議を行い、その結果を取締役会に報告しております。取締役
   会は、各種施策の検証および実効性向上への指示を行う等、これらのPDCAサイクルの徹底
   により、経営強化計画の実現に向けた運営を行っております。
     また、財務報告に係る内部統制強化のため、業務の健全性・適切性の向上に向けた体制の
   整備に努めており、2019年度の財務報告に係る内部統制は、監査部が独立した立場でその
   有効性に係る運用状況の監査を行い、  全ての統制において財務報告の信頼性に重要な影響を
   与える不備およびその可能性が高い欠陥は認められないことを確認しております。なお、
   2020年3月期における財務報告に係る内部統制に関し、新日本有限責任監査法人より「適正
   である」との意見をいただいております。

(2)各種のリスク管理の状況および今後の方針等
    当行は、リスク管理を経営の最重要課題の一つとして位置づけ、経営体力比適正な水準に
   リスクをコントロールした上で収益力の向上を図る経営に努めており、  この実現のためにリ
   スク管理に関する各種規定を整備し、リスク統括部署(総合企画部リスク管理グループ)や
   関係委員会(ALM委員会、リスク管理委員会)等の組織体制を整備しています。
    また、こうした規定体系、組織体制の下で、総合企画部リスク管理グループを中心に資本
   配賦をベースとした統合リスク管理を実践し、  その一方で個別リスクを所管する業務部署に
   おいても、主に定性的な観点からリスク管理を行っております。
    2019年度も、4-(2)「リスク管理の体制の強化のための方策」に記載した通り、統合
   リスク管理の精緻化、信用リスク管理、市場リスク管理、オペレーショナルリスクおよび流
   動性リスク管理の強化に取組んでまいりました。




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