8554 南日本銀 2020-03-03 17:15:00
2019年9月期における経営強化計画の履行状況について [pdf]

                                                            2020 年3月3日
各   位
                                      会   社   名    株式会社   南日本銀行
                                     代表者名          取締役頭取     齋藤     眞一
                                     (コード番号 8554 福証 )
                                     問合せ先         総合企画部   経営企画グループ
                                      電話番号        (099)226-1117(直通)



               2019 年9月期における経営強化計画の履行状況について


 株式会社 南日本銀行(頭取 齋藤 眞一)は、「金融機能の強化のための特別措置に関する法
律」に基づき、2019 年9月期における経営強化計画の履行状況をとりまとめましたのでお知らせ
いたします。


進捗のポイント
1. コア業務純益
        資金利益が貸出金利息の減少等により計画を下回ったこと等から、コア業務純益は計画を
    下回りました。


2. 業務粗利益経費率
        経費(機械化関連費用を除く)が計画を下回りましたが、業務粗利益が資金利益の減少等
    により計画を下回ったことから、業務粗利益経費率は計画未達となりました。


3. 中小規模事業者等向け信用供与の残高・比率
        顧客の事業性の把握及び理解に基づく貸出を中心に、地元への融資に積極的に取り組んだ
    ことから、中小規模事業者に対する貸出残高・比率ともに計画を達成しました。


4. 経営改善支援先割合
        取引先企業が抱える経営課題等を把握した上で、本部・営業店が連携してアドバイス等を
    行う経営相談支援等に取り組んだことから、経営改善支援先割合は計画を達成しました。


※進捗状況の詳細につきましては、当行ホームページの「IR情報」の「経営強化計画」に掲載
 しております「経営強化計画の履行状況報告書」
                      (2019 年 12 月)のP4からP6及びP24 から
 P30 をご覧ください。 https://nangin.jp/ir/management_plan/post_12.html )
             (


                                                                    以    上
経営強化計画の履行状況報告書




     2019年12月
                        < 目 次 >

1. 2019年9月期決算の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・     1
(1)経営環境・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・       1
(2)決算の概要(単体ベース)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・       1
  ①資産・負債の状況
  ②損益の状況
2. 経営改善にかかる数値目標の実績・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・       4
(1)収益性を示す指標(コア業務純益・なんぎんKPI)・・・・・・・・・・・・・・・       4
(2)業務の効率性を示す指標(業務粗利益経費率・なんぎんKPI)・・・・・・・・・・       5
3.経営の改善の目標を達成するための方策の進捗状況・・・・・・・・・・・・・・・・・       7
(1)なんぎんKPI(コア業務純益)達成に向けた取組み・・・・・・・・・・・・・・・・・     7
  ①貸出の質を高めるための方策について
  ②WIN‐WIN ネット業務契約先に対するビジネスマッチングのクロスセル解放について
(2)質の高い顧客本位のWIN-WINネット業務運営に向けた精緻化・・・・・・・・・・・・・   7
  ①WIN-WINネット業務の取組み状況
  ②顧客本位の業務運営に向けた踏み込み
  ③具体的な取組み
(3)業績評価方法の見直し・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・       10
  ①ビジネスモデル修正に対応する業績評価の改定
(4)適切な収益確保に向けた取組み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・       10
  ①中小企業・事業者向け貸出
  ②リテール戦略の再構築
(5)適正な経営資源配分に向けた取組み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・       14
  ①人材の適正配置
  ②人事評価
  ③店舗戦略
(6)積極的な信用リスクテイクと資産の健全化の両立に向けた取組み・・・・・・・・・・       18
  ①信用リスクテイク
  ②事業再生・経営改善支援への取組み
4.従前の経営体制の見直しその他の責任ある経営体制の確立に関する
  事項の進捗状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・        20
(1)業務執行に対する監査または監督の体制の強化のための方策・・・・・・・・・・・・       20
(2)リスク管理の体制強化のための方策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・       20
  ①統合リスク管理に関する事項
  ②信用リスク管理に関する事項
  ③市場リスク管理に関する事項
(3)法令遵守の体制の強化のための方策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・      22
(4)経営に対する評価の客観性の確保のための方策・・・・・・・・・・・・・・・・・・   23
(5)情報開示の充実のための方策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   23
  ①四半期情報開示の充実
  ②主として業務を行っている地域への貢献に関する情報開示の充実
  ③株主への取組み(IR含む)
5.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化、その他の主として業務を行っている
  地域における経済の活性化に資する方策の進捗状況・・・・・・・・・・・・・・・・    24
(1)主として業務を行っている地域における経済活性化に資する方策・・・・・・・・・・   24
  ①経営改善取組先企業の数の取引先企業の総数に占める割合
  ②地域における経済活性化に資する方策
(2)中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化のための方策・・・・・・・・・・・・・   28
  ①中小規模事業者に対する信用供与の残高の総資産に占める割合および
   なんぎんKPI
  ②中小規模の事業者に対する信用供与の実施体制の整備のための方策
  ③担保・保証に過度に依存しない融資の促進、その他の中小規模の事業者の
   需要に対応した信用供与の条件または方法の充実のための方策
  ④中小規模事業者等向け信用供与円滑化計画を適切かつ円滑に実施するための方策
6.剰余金の処分の方針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   31
(1)配当、役員に対する報酬及び賞与についての方針・・・・・・・・・・・・・・・・・   31
7.財務内容の健全性および業務の健全かつ適切な運営の確保のための方策
  の進捗状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   32
(1)経営強化計画の適切な運営管理に向けた活動・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   32
(2)経営の透明性確保・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   32
(3)内部監査態勢の強化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   32
  ①内部監査部門の態勢整備
  ②監査役・監査法人との連携
  ③経営計画運営管理の適切性および有効性の検証
(4)各種のリスク管理の状況および今後の方針等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   33
  ①流動性リスク管理
  ②オペレーショナルリスクへの対応
  ③マネー・ロンダリング及びテロ資金供与対策
1.2019年9月期決算の概要
(1)経営環境
   当期におけるわが国経済は、輸出・生産や企業マインド面に海外経済の減速の影響がみられ
  るものの、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、基調としては緩やかな回
  復基調が続きました。
   一方、地域経済においては、個人消費が底堅く推移し、雇用情勢が堅調に推移している中、全体
  としては緩やかな回復を続けています。
   このような環境のもと、当行は、
                 「WIN-WINネット業務(新販路開拓コンサルティング) を
                                            」 「本業」
  と位置付け、
       「真の顧客本位の業務運営」を目指し、
                        「地元鹿児島県を中心とした地域経済活性化へ
  の貢献」を果たしていくために、
                「経営強化計画」に掲げた各種施策に取組んでまいりました。


(2)決算の概要(単体ベース)
 ①資産・負債の状況
  主要勘定のうち、2019年9月末の貸出金は、物件売却等によりアパートローンの弁済が進み、前年
 比34億38百万円減少し、5,631億55百万円となりました。有価証券は、国債等の減少により、前年比44
 億46百万円減少し、810億70百万円となりました。
  一方、預金は、個人預金が増加したものの、公金預金を中心に前年比113億52百万円減少し、7,433
 億71百万円となりました。
  純資産は、前年比4億22百万円増加し、436億66百万円となりました。


  [資産・負債の推移(表1)](単体)                                            (単位:百万円)
               '19年9月末                                '19年3月末     '18年9月末
                  実績        '19年3月末比 '18年9月末比           実績          実績
   資産             798,739       △246        △7,330      798,985     806,069
    うち貸出金         563,155      △4,205       △3,438      567,360     566,593
    うち有価証券        81,070       △3,154       △4,446       84,224      85,516
   負債             755,072       △696        △7,752      755,768     762,824
    うち預金          743,371      △4,631       △11,352     748,002     754,723
    うち社債・借用金           -               -          -          -           -
   純資産            43,666              450       422      43,216      43,244




                               - 1-
②損益の状況
 資金利益は、貸出金利息の減少により、前年比1億50百万円減少し65億32百万円となりました。
 業務粗利益は、資金利益の減少はあったものの、その他業務利益の増加により前年比86百万円増加
し、63億65百万円となりました。
 経費は、新システム移行関連費用の増加に伴い、前年比2億26百万円増加し、52億28百万円となりま
した。
 一方、一般貸倒引当金繰入額は、前年比1億6百万円減少し、△2億1百万円となりました。
 以上により、業務純益は、前年比2億36百万円減少し、11億36百万円となりました。
 また、臨時損益は、不良債権処理費用の減少等により、前年比2億89百万円増加し、3百万円となり
ました。
 この結果、経常利益は、前年比54百万円増加し、11億39百万円となりました。また、当期純利益に
ついては、前年比1億44百万円増加し、8億79百万円となりました。


 [損益状況の推移(表2)] (単体)                                         (単位:百万円)
                    '19年9月期                       '19年3月期       '18年9月期
                       実績           '18年9月期比         実績            実績
  業務粗利益                   6,365              86        12,776         6,279
  [コア業務粗利益]             [6,094]         [△135]       [12,556]       [6,229]
    資金利益                  6,532           △150         13,343         6,682
    役務取引等利益               △449                3         △790          △452
    その他業務利益                 281             232           223            49
    (うち国債等債券損益)           (271)           (221)         (219)          (50)
  経費                      5,228             226        10,224         5,002
    (うち人件費)             (2,765)          (△56)        (5,609)       (2,821)
    (うち物件費)             (2,128)           (296)       (3,964)       (1,832)
  一般貸倒引当金繰入額              △201            △106           △41           △95
  業務純益                    1,136           △236          2,593         1,372
  [コア業務純益]                [865]         [△361]        [2,332]       [1,226]
  臨時損益                       3              289      △1,115          △286
    (うち不良債権処理額)            (23)         (△253)        (1,011)         (276)
    (うち株式関係損益)           (△13)           (△65)         (△15)           (52)
  経常利益                   1,139               54        1,477         1,085
  特別損益                    △43              △41           △4            △2
  税引前当期純利益               1,096               13        1,473         1,083
  法人税、住民税及び事業税             208              △9           132           217
  法人税等調整額                    8            △122           462           130
  当期純利益                    879              144          878           735




                             - 2-
 2019年9月末の金融再生法開示債権は、前年比26億64百万円減少し、317億75百万円となりました。
金融再生法開示債権比率については、前年比0.43ポイント低下し、5.59%となりました。
 金融再生法開示債権のうち80.86%にあたる256億92百万円については担保・保証や貸倒引当金で保
全を行っております。また、部分直接償却を実施した場合の開示債権比率は5.06%となります。


 [金融再生法開示債権比率の状況(表3)](単体)                               (単位:百万円、%)
                '19年9月末                               '19年3月末     '18年9月末
                    実績         '19年3月末比 '18年9月末比        実績          実績
 金融再生法開示債権          31,775       △1,085      △2,664     32,860      34,439
 総与信                567,952      △4,153      △3,450     572,105     571,402
 金融再生法開示債権比率            5.59      △0.15       △0.43       5.74        6.02


  2019年9月末の自己資本比率は、前年比0.03ポイント低下し、8.44%となりました。


 [自己資本比率の状況(表4)](単体)                                              (単位:%)
             '19年9月末                                  '19年3月末     '18年9月末
               実績         '19年3月末比        '18年9月末比      実績          実績

 自己資本比率          8.44             0.15        △0.03       8.29         8.47




                                  - 3-
2.経営改善にかかる数値目標の実績
(1)収益性を示す指標(コア業務純益・なんぎんKPI)
 ①コア業務純益
  2019年9月期の貸出金の平均残高は、アパートローンの減少により、前年比9億24百万円減少し、
 5,603億29百万円となりました。また、当行が取引先への顧客価値提供に関する重要指標と位置付けて
 いる貸出金利回りは計画を0.107ポイント下回ったことから、貸出金利息は、計画に対して4億54百万
 円下回りました。
        (詳細については、下記イ.に記載しております)預金においては、利回りが計画を
 0.024ポイント下回り、また法人預金や公金預金が減少したことにより、預金利息は計画に対して87百
 万円下回りました。また、有価証券利息配当金についても、計画を1億38百万円下回り、資金利益全体
 では計画を5億3百万円下回りました。
  役務取引等利益は、消費者ローン関連の支払保証料が減少したことにより、役務費用が計画を33百
 万円下回ったものの、役務収益も計画を3億7百万円下回ったことから、計画を2億74百万円下回りまし
 た。
  一方、営業経費においては、人件費が計画を23百万円下回ったものの、物件費がシステム関連費用
 等の増加により計画を1億48百万円上回ったことなどから、営業経費全体で計画を1億24百万円上回り
 ました。
  これらにより、コア業務純益は、計画を8億91百万円下回る8億65百万円となりました。


 [コア業務純益の計画・実績(表5)]                                               (単位:百万円)
          '17/3期    '19/3期                     '19/9期                   '20/3期
          実績(始期)     実績       計画          実績         計画比       始期比       計画

  コア業務
            3,651     2,332   1,756            865      △891   △1,921     3,662
   純益

 ※コア業務純益=業務純益+一般貸倒引当金繰入額-国債等債券関係損益
 ※始期比においては計画の水準が通期ベースであるため、2019/9期実績(半期)を2倍したものと比較

  コア業務純益については、長期経営計画(後記)で計画する貸出金の先数・残高をベースとして、
 事業性評価を必要とする事業者に対する貸出に注力するなど、金融仲介機能の発揮に資する取組みを
 実践するとともに、顧客本位の業務運営に徹することによって中長期的収益の向上を図る計画として
 おります。


  イ. 貸出金利息の減少要因について(管理会計システムより算出)
        貸出金利息については、計画を4億54百万円下回りましたが、貸出金利回りの低下を主因とし
      て、事業性貸出金の利息が計画を1億12百万円下回ったことに加え、アパートローン(保証会社
      保証付)や消費者ローンなどの個人向け貸出の利息が計画を3億28百万円下回ったことが要因と
      なります。
      後述のQTシートの活用などにより、事業性貸出利回りの低下に歯止めをかけ、質の高い貸
      出の獲得に努めるとともに、非対面チャネルを中心とした施策による消費者ローン残高の維持
      を図ることで、貸出金利息増強に努めてまいります。




                                   - 4-
 ②なんぎんKPI(コア業務純益)
  当行は、コア業務純益を構成する収益のうち長期経営計画をベースに計画する「重点先事業者向け
 貸出から得られる貸出金利息」を当行が目指すべき収益と位置づけ、顧客価値の提供に裏付けられた
 収益性を示す当行独自の「なんぎんKPI(コア業務純益)
                           」として、フォローアップしております。
  2019年9月期は、なんぎんKPI(コア業務純益)は、計画を2億21百万円下回る37億3百万円とな
 りました。
  また、2018年9月期より従来のなんぎんKPIと併せて、地公体向け分を除外したなんぎんKPI
 の計画を本計画期間中に追加設定し、下記実績と始期比を併記するとともに、地公体向け分を除外し
 た計数による管理運用を行っています。


 [なんぎんKPI(コア業務純益)の計画・実績(表6)]                                      (単位:百万円)
             '17/3期    '19/3期                  '19/9期                  '20/3期
             実績(始期)     実績        計画      実績        計画比        始期比      計画

   なんぎん
               7,701      7,500   3,924   3,703         △221    △295      7,848
    KPI

   なんぎんKPI
               7,568      7,403   3,864   3,658         △206    △252      7,728
  (除く地公体分)


  ※「重点先事業者」は、長期経営計画で「事業性評価を必要とし地元鹿児島県の商流や雇用に貢献のある
   先」と定義する事業者のこと(一般先事業者を除く事業者)。
  ※「一般先事業者」 貸出金が
           は、   「実質消費性ローン(不動産賃貸業者、   太陽光売電事業者向けの貸出金)」
   のみの事業者のこと。
  ※「重点先事業者の貸出金利息」=「重点先事業者貸出残高」×「計画(実績)利回」
  ※始期比においては計画の水準が通期ベースであるため、2019/9期実績(半期)を2倍したものと比較


(2)業務の効率性を示す指標(業務粗利益経費率・なんぎんKPI)
 ①業務粗利益経費率
  2019年9月期における機械化関連費用を除く経費は、計画を1億9百万円下回る41億34百万円となり
 ました。業務粗利益については、国債等債権損益が計画を1億21百万円上回ったものの、資金利益が計
 画を5億3百万円下回ったことに加え、役務収支が計画を2億74百万円下回ったことから、計画を6億45
 百万円下回る63億65百万円となりました。
  その結果、業務粗利益経費率は、計画を4.42ポイント上回る64.95%となりました。
  今後も引き続き、中小企業等向け貸出の増強等によって資金利益の拡大を図ることで、業務粗利益
 経費率の低減に努めてまいります。




                                   - 5-
[業務粗利益経費率の計画・実績(表7)]                                                  (単位:百万円、%)
                '17/3 期   '19/3期                      '19/9期                   '20/3期
                実績(始期)     実績         計画           実績       計画比       始期比       計画

      経費
                  8,366     8,423          4,243   4,134       △109     △98      8,389
  (機械化関連費用除く)

    業務粗利益        14,506    12,776          7,010   6,365       △645   △1,776    14,571
   業務粗利益経費率       57.67     65.93          60.53   64.95       4.42     7.28     57.57
 ※業務粗利益経費率=(経費-機械化関連費用)/業務粗利益
 ※機械化関連費用は、減価償却費、機械賃借料等を計上
 ※始期比においては計画の水準が通期ベースであるため、2019/9期実績(半期)を2倍したものと比較


 経費面(分子)については、金融仲介機能発揮に支障が生じないように、WIN-WINネット業務への注
力、リテール部門の顧客本位の業務運営に向けた態勢構築を予定するため必要な人材の確保ならびに
コスト増加を見込んでおります。さらに、当行が加盟しているSBKの新システムにかかる周辺費用
の増加も見込まれるため、業務粗利経費率は本計画期間においては計画始期の水準程度となる見込み
であります。


②なんぎんKPI(OHR)
 業務の効率性を示す指標としては、
                「重点先事業者の貸出金利息」を分母とし、機械化関連費用を除
く経費を分子として業務粗利益経費率(OHR)を算定します。これに基づき算出される指標を当行
独自の「なんぎんKPI(OHR)
               」として、フォローアップしてまいります。
 2019年9月期は、機械化関連費用を除く経費は計画を1億21百万円下回ったものの、重点先事業者の
貸出金利息も計画を2億21百万円下回る37億3百万円となりました。
 その結果、なんぎんKPI(OHR)は、計画を3.17ポイント上回る111.32%となりました。


[なんぎんKPI(OHR)の計画・実績(表8)]                                              (単位:百万円、%)
                '17/3期    '19/3期                      '19/9期                   '20/3期
                実績(始期)     実績         計画           実績       計画比       始期比       計画
      経費
                  8,366     8,407          4,243   4,122       △121    △122      8,389
  (機械化関連費用除く)

   なんぎんKPI
                  7,701     7,500          3,924   3,703       △221    △295      7,848
   (コア業務純益)

   業務粗利益経費率      108.64    112.09     108.15       111.32      3.17     2.68    106.90

※分母は「重点先事業者の貸出金利息」(なんぎんKPI(コア業務純益))とする。
 ・重点先事業者の貸出金利息=「重点先事業者貸出残高」×「計画(実績)利回」
※分子は「機械化関連費用を除く経費」とするが、
 ・SBK新システム移行関連費用(増員に伴う人件費、コンサル料等)
 ・顧客本位の業務運営に資する費用(リテール部門におけるWEB化費用等)については、経費実績か
  ら除くのもとする。
※始期比においては計画の水準が通期ベースであるため、2019/9期実績(半期)を2倍したものと比較




                                    - 6-
3.経営の改善の目標を達成するための方策の進捗状況
 (1)なんぎんKPI(コア業務純益)達成に向けた取組み
   当行は、顧客本位の業務運営に則り、投資信託の解約益や預かり資産販売に依存しない形で目指
  すべき収益として、「重点先事業者の貸出金利息」を当行独自のKPIとしてフォローアップして
  います。2019年9月期は、計画を2億21百万円下回ったことを重く受け止め、第四次経営強化計画の
  最終年度である2020年3月期は、引き続き、次の取組みにより計画の達成に努めてまいります。
   ①貸出の質を高めるための方策について
    2019 年4月、質の高い貸出(スプレッドの高い融資)の増強を図るとともに、質の低い融資の
   抑制を図っていくことを企図して、
                  「QTシート(新規実行貸出の質評価シート)
                                      」を新設しまし
   た。これは地元の金融包摂を担いながらも、他行と融資取引のある取引先の約定金利の漫然とし
   た低下の影響で、渉外担当者が主観的に考える「金融包摂にふさわしい最優遇金利水準」が低下
   し続けることを発見したことから新設するにいたりました。稟議申請する約定金利水準が当行ポ
   ートフォリオの3種類の平均約定金利に比べて割高か割安かということが、稟議申請時に貸出案
   件毎に格付表示され、約定金利のプライシングの客観性を確保することが可能となります。
    QTシートにつきましては、スプレッドがとれるに足る顧客価値提供と相関した貸出の是非を
   見極めるなどの項目を網羅した、
                 「貸出の“質”
                       」をチェックし、データ蓄積を図ることに主眼を
   置いたものとしていますが、利回り低下の抑制及び重点先事業者の貸出金利息の増強に寄与して
   いくものと考えます。
    当期においては、全新規実行貸出について、稟議時にQTシートの作成を求め、その結果、質
   が高いとは言えない貸出実行がなお残高ベースで半分を占めることが判明し、さらなる顧客価値
   の提供が必要であると総括いたしました。


   ②WIN‐WIN ネット業務契約先に対するビジネスマッチングのクロスセル解放について
    当行ではこれまで、機動性に優れ、手数料を都度回収する他行並のビジネスマッチングのクロ
   スセルを、成果報酬として一括払いする一般型 WIN-WIN ネット業務との混同を回避するために、
   抑制していました。
    しかしながら、貸出金利回り低下が顕著となりはじめている要注意先上位以上の販路開拓支援
   先に対しても一定の顧客価値提供を与えていることがアンケート結果より判明したことから、当
   行自身の収益性向上を企図し、一般型 WIN-WIN ネット業務契約先事業者に対して、十分な説明責
   任を果たした上で、クロスセルを解放いたしました。2019 年9月末現在、64 先とビジネスマッ
   チング契約を締結、8先に対して 76 百万円の売上高改善実績を計上しております。
    尚、一般型 WIN-WIN ネット業務とビジネスマッチングの統合も視野に入れ、業務運営の見直し
   を継続して進めてまいります。


(2)質の高い顧客本位のWIN-WINネット業務運営に向けた精緻化
 ①WIN-WINネット業務の取組み状況
    当行は、第二次経営強化計画以降、当行独自のリレバンモデルとして「WIN-WINネット業務(新
   販路開拓コンサルティング)(以下「同業務」)」に取組んでおります。
    また、第三次経営強化計画からは、
                   「事業再生型WIN-WINネット業務」に注力してまいりました。
    さらに、「売上付与」によって顧客満足を提供する同業務の役割を明確にして、その他の顧客

                        - 7-
   満足提供に煩わされることなく同業務の推進管理に専念するため、
                                「WIN-WINネット業務部」を2017
   年7月に設置しました。
       一方、同業務に取組む上で必要な行員のスキル向上については、外部コンサルタントによるセ
   ミナーや各種研修時における説明会を実施しております。自主勉強会「RM統一勉強会」は定期的
   に開催しており、業界特性や事業性評価(経営課題も含む)等の理解に努めております。
       こうした取組みの結果、2019年9月末で1,033先と業務委託契約を締結中であり、売上高改善実
   績累計は69億74百万円(売上改善した契約先数は768先)となっております。また、2019年度上期
   においては、売り手が重点先事業者となるビジネスマッチング契約を64先と締結し、販路開拓支
   援に努めております。


[WIN-WINネット業務の実績推移(表9)]                                   (単位:先、百万円)
               項 目        '17/3       '17/9    '18/3    '18/9    '19/3    '19/9
             契約先合計         1,604       1,639    1,612    1,254    1,239    1,097
  契約        業務委託契約締結先      1,604       1,639    1,612    1,254    1,239    1,033
           ビジネスマッチング契約先           -       -        -        -        -        64
           売上高改善実績累計       4,554       5,091    5,595    6,166    6,651    7,050
            業務委託契約締結先      4,554       5,091    5,595    6,166    6,651    6,974
           ビジネスマッチング契約先           -       -        -        -        -        76
  成約
          売上改善した契約先数累計       571         621      672      717      747      776
            業務委託契約締結先        571         621      672      717      747      768
           ビジネスマッチング契約先           -       -        -        -        -            8
 ※2015年9月以降の契約締結先数の増減は、前ビジネスモデルによる契約終了先を加味。
 ※ビジネスマッチング契約先については、売り手が重点先事業者となる先。


  イ.WIN-WINネット業務を活かした地方創生への取組みについて
   地方創生には、地元中小企業が強くなり、安定した雇用が創出されることによる定住人口の増加
  に加え、地域資源を活用した観光分野の情報発信による交流人口の増加が必要であると考えており
  ます。そのためには、本業として取組んでいるWIN-WINネット業務を活用した地域事業者の安定的な
  トップラインの拡大を図るとともに、域外への情報発信にも積極的に取組んでまいります。
   また、商談会参加も難しい鹿児島の取引先の商品サンプルを保管して、積極的に首都圏の販売見
  込先等に紹介できるように、東京支店に業務用冷蔵庫を常設しております。
   当期の県外への売上高改善実績(鹿児島県内のWIN-WINネット業務契約先の鹿児島県外店舗での売
  上高改善実績)は、43件43百万円となりました。


  ロ.地方創生への取組みについて
   鹿児島県内の12自治体に有識者メンバーとして参加しております。また、「空家対策事業に関わ
  る業務連携協定」や「地方創生に係る相互協力及び連携に関する協定」(包括連携)も締結し、移
  住者向けローン等の商品を提供しております。今後も本支店一体となって地方創生への取組みを行
  ってまいります。


                           - 8-
 ハ.豊和銀行及び宮崎太陽銀行との販路開拓支援分野における業務提携
  2018 年5月、3行が地盤とする九州南東部(鹿児島、大分、宮崎県)の面的地域経済活性化への
 貢献を目的として、
         「(3行による)お取引先事業者の販路開拓支援分野における業務提携」を締結
 いたしました。
  2019 年9月までに、計 11 回(web 会議・打合せ含む)にわたり、3行による販路開拓に関するシ
 ステムの共同開発会議を行い、同分野でのビジネスモデルの難易度に相応しい「業務フロー・ノウ
 ハウの共有」「システムの共同利用」及び「県境を越えた新販路情報の共有」を有効且つ効率的に
      、
 機能させるためのシステムの要件定義などの協議・準備を進めてまいりました。当システムについ
 ては現在構築中であり、上記対応を踏まえたシステム更改を予定しております。
  今後も、
     「自力では売上が増加しない商品・サービスを抱えて悩む各行のお取引先事業者の売上改
 善に寄与する」という本提携趣旨の具現化に向け、協議・準備を引き続き進めてまいります。


②顧客本位の業務運営に向けた踏み込み
 WIN-WINネット業務が契約先から個々のニーズへ対応した業務委託契約を受けているマーケットイ
ン型業務であるという原点に立ち返り、質の高い「顧客本位の業務運営」を実現して、より実効性あ
る取組みとしていくため、ビジネスモデルの修正・精緻化に取組んでおります。
 具体的には、同業務は当行独自のリレバンモデルとして取組んできましたが、当行が初めて取組むマーケ
ットイン型業務という難易度の高さに加えて、行内において同業務に関する拡大解釈や類似業務との混同も
みられたことから、手間のかからない類似業務に注力することで「顧客本位の業務運営」に逆行することのな
いように、同業務及び類似業務の定義を明確化しました。これによって、当行の営業推進にかかる企業風土
の改善を図ることも企図しております。


③具体的な取組み
  本計画において中心施策として取組む「事業再生型WIN-WINネット業務」の実効性を高めるために、
 下記のような具体的な取組みを実施しております。
 イ.地域経済活性化支援認定店制度
  WIN-WINネット業務は契約先との業務委託契約により受託しているコンサルティング業務である
 ことに鑑みて、当行の同業務への取組みが不芳な場合は、当行の同業務の実績が低迷するだけでな
 く、それぞれの契約先ニーズに応じて業務委託を行った契約先に対してベストプラクティスのコン
 サルティングとなっていないことになり、顧客本位の業務運営が損なわれることが懸念されます。
  その対応策として、特に「事業再生型WIN-WINネット業務」への取組みが良好な店舗を「地域経済
 活性化支援認定店」として開示する一方で、取組みが不芳な店舗は対応能力が著しく不足する店舗
 として認定せず、行内の業績評価上のペナルティにとどまらず、適切なパブリックプレッシャーの
 もとに、対応能力改善インセンティブを付す制度を導入いたしました。2018年3月末は、「事業再
 生型WIN-WINネット業務」の対応能力が著しく不足する店舗である「非認定店」を2ヶ店選定し、遂
 行能力の改善に向けたサポートを実施致しました。その結果、2018年9月末基準以降、「事業再生
 型WIN-WINネット業務」の定着が図られており、全店が「認定店」となっております。
  地域経済活性化認定店制度については、全店が認定店となっている状態が継続していることを踏
 まえ、2020年上期より運用を一旦休止することとしております。



                        - 9-
 ロ.事業性評価プロセスの改定と商品サービス別ヒアリングシートの作成
   事業再生型WIN-WINネット業務を遂行するためには、高い事業性評価能力が不可欠であるために、
  鳥の目の事業性評価ともいえる「取引先事業者の事業性を大局的にとらえる事業性評価」だけでは
  なく、虫の目の事業性評価である「商品サービスに関する事業性の問題点」を深掘りできる商品サ
  ービス別ヒアリングシートを導入しました。これは同時に商品サービスの販売用カタログとしても
  活用し、これを全店に展開することで当該案件の推進を全店で支援できる態勢を整備しております。
   また、これまでのWIN-WINネット業務への取組みにおいて判明した改善すべき案件取扱事務(案件
  承認手続き、案件交渉経過の記述、入金エビデンス確認)を厳格化しています。
   加えて、顧客満足に繋がる継続的な売上付与を実現するために、膨らみすぎた契約先数の適正化
  も進め、2019年9月末までに、実質的に未稼働と判断される契約先509先に対し、合意解約404先、
  業務停止48先、売上高改善24先の計476先の対応を行ったことなどにより、2017年9月末に1,639先
  あった契約先数は1,033先となりました。


(3)業績評価方法の見直し
 ①ビジネスモデル修正に対応する業績評価の改定
  イ.現行業績評価制度の課題と今後の方針
   本計画では、これまで曖昧であった各種定義の明確化、これに基づき中長期的収益を上げられる
  適正なポートフォリオの構築を目指すとともに、WIN-WINネット業務についても質の高い顧客本位を
  実現する業務としてビジネスモデルを修正しました。
   しかしながら、これまでの業績評価制度は短期的な実績向上に偏重した評価方法となっており、
  長期経営計画やモデル修正後のWIN-WINネット業務運営で求められる評価方法との齟齬が生じてい
  る部分もみられたため、2017年9月にこれに沿った適正な見直し・変更を行いました。
   具体的には、業績評価制度全体について、最上位規程である「業績評価規程」を新たに制定し、
  これまでの業績評価4部門(「収益」「基盤」「業容」「WIN-WINネット業務」)における各担当部
  署の責任及び計画の策定根拠に関する事項を明文化するとともに、業務計画策定から業績表彰店舗
  の決定までを取締役会で協議・決定することでガバナンスの効く態勢としました。
   これにより、これまでの短期的な財務会計上の計数を単純に手分けして追わせるような形式を見
  直し、顧客本位の業務運営や事業性評価をより重視するなど、営業現場が中長期的視点から経営方
  針に即した行動が取れることを目指してまいります。
   また、当行独自の“なんぎんKPI(中小規模事業者等向け貸出残高=重点先事業者残高)”についても、
  不適切な実績の混在を防止するため、2017年度下期の業績評価より、重点先事業者の先数や残高の増加
  内容を十分に精査したうえで評価を実施しております。2019年度上期は、質の高い貸出推進の重要性を踏
  まえて、安易な残高拡大を抑止するような管理指標を導入いたしました。
   なお、毎期実施している業務管理表彰(旧名称)についても、2018年度より、名称を「業務品質表彰」に
  改め、業績評価表彰とは別の観点から、RM行動指針(RM行動指針については2018年6月履行状況報告
  書ご参照)に基づく営業店における業務運営の品質向上を評価することとしております。


(4)適正な収益確保に向けた取組み
 ①中小企業・事業者向け貸出
  「中小企業・事業者向け貸出」にかかる戦略については、地域経済活性化に対する貢献度合いを勘

                          - 10-
 案した分別管理ルールに基づき、地域の雇用や商流に関わりながらも厳しい経営環境におかれた事業
 者に対して、事業性評価を重視した貸出を行っていくことを基本方針として取組んでおります。
  具体的には、不動産賃貸専業や太陽光売電専業などに対する貸出については実質消費性貸出として
 分別管理し、その他の事業性評価を要する事業者向け貸出にこれまで以上に注力し、特に厳しい経営
 環境におかれた事業者に対しては、事業性評価を重視した中小口での貸出を積極的に行うほか、事業
 再生型WIN-WINネット業務を活用した本業支援を全行挙げて取組んでおります。
  また、当行は貸出先数の増加を伴う形での「中小企業・事業者向け貸出」の増加に努めております
 が、重点先事業者が他行からの肩代わりや対話機会を持つことなく約定完済によって自然に減少して
 いくことも懸念されます。これらに対応するため、貸出金残高の減少先やリレーションが希薄になっ
 ている先を「アラーム先」として認識し、対話の頻度及び濃度を高めていく活動を展開してまいりま
 した。その結果、事業所貸出先数については、前期比増加に転じました。
  併せて、WIN-WINネット業務により事業性評価を定着させることで「中小企業・事業者向け貸出」増
 加へと繋げていく方針です。


  イ.地域シェアの向上と事業所貸出先数の増加
   当行の鹿児島県内における預貸金シェア及び事業所貸出先数の推移を見ますと、2019年3月末現
  在、預金シェアは6.7%(2018年3月末比±0ポイント)、貸出金シェアは10.1%(2018年3月末比
  △0.2ポイント)となっております。
   2019年9月末現在において、事業所貸出先数は7,936先となっております。今後も取引先事業者の
  支援に加えて、地域経済発展に繋がる成長産業向け貸出にも注力することで資金需要の創出に努め
  てまいります。
   また、WIN-WINネット業務及び経営支援活動による資金需要創出に努め、重点先事業者を中心とし
  た取引先数の増加や地域シェアの拡大を図ってまいります。


[鹿児島県内預貸金シェアの推移(表10)]                                                                  (単位:%、億円)
            '13/3末       '14/3末         '15/3末           '16/3末        '17/3末         '18/3末      '19/3末
             実績           実績              実績              実績               実績          実績          実績
当行貸出金シェア        11.1          11.2             11.1          11.0           10.6         10.3        10.1
県内貸出残高        40,897       42,104           43,880          45,634         46,973      48,381      49,652
当行預金シェア           6.5            6.6           6.7            6.8            6.7          6.7         6.7
県内預金残高        86,278       88,085           89,745          90,612         93,466      95,189      96,612
                                                              (出所:金融マップ(金融ジャーナル))


[事業所貸出先数の推移(表11)]                                                                               (単位:先)
            '14/3末      '15/3末     '16/3末       '17/3末        '18/3末       '18/9末      '19/3末     '19/9末
             実績          実績            実績           実績         実績            実績         実績         実績
事業所貸出先数      7,580       7,786         8,154        8,172       8,267        8,261       7,882     7,936
うち鹿児島県内      6,624       6,860         7,185        7,209       7,309        7,285       6,939     7,038
うち鹿児島県外        956         926          969           963            958        976         943      898


                                            - 11-
 ロ.収益管理態勢強化による収益力向上への取組みについて
  2010年4月の収益管理システム導入後、高度化を図るシステム更改を実施しており、取引先別・
 事業別には及びませんが、属性別・部店別・業種別・格付別などの各セグメントでの収益の可視化
 が可能となりました。WIN-WINネット業務契約先と未契約先の利回り差や信用VaRのセグメント別
 での算出(地元・重点先事業者)など、本システム等の活用により、中長期的視野に立った収益力
 向上を図ってまいります。
  今後、鹿児島県全体でも、貸出金利息は、減少していく傾向が継続するものと想定されますが、
 上記の多面的かつ詳細な分析に基づく、小口分散・中小企業支援を中心としたビジネスモデルの構
 築を図ることで、地域金融機関としての役割を果たしてまいります。


②リテール戦略の再構築
 「顧客本位の業務運営方針」に基づき、取引の利便性を期待することが多い勤労層には非対面チャ
ネルによる資産形成サービス等の拡充を図ってまいります。
 これらの実効性を高めるために、2019年6月、営業推進部門におけるさらなる“お客さま本位の業
務運営”かつ効率的業務運営とフィンテック等の新たな業務への適切な対応を企図し、「リテール戦
略部」を新設いたしました。
 その一方で、高齢者層については、非対面チャネル誘導などはむしろ逆効果であり、少子高齢化や
大都市圏への人口流出が続く中、これまで以上にライフプランやエピソード等希薄化したコミュニテ
ィの繋がりを復元しうる各種情報を適切な情報管理の下に活用した上で、当行とのリレーションの強
化を図っていくことが重要であると考えております。2019年度においても、「高齢者取引熟知率向上
運動」を継続的に展開しており、着実に熟知率も高まってきております。ここでいう熟知率とは、70
歳以上の高齢者で一定の預金残高以上の先のうち、不測の事態に連絡が可能な家族・親族を本人に確
認し、把握している先の割合をいいます。


 イ.高齢化進展への対応
  鹿児島県内の人口動態では、将来、人口が大きく減少することが予想されますが、高齢者層は一
 定割合を維持することから、適切なリレーションを維持していれば、個人預金の吸収に大きな変化
 はないものと考えております。
  しかしながら、高齢化が進む中で「地縁・血縁」といった地域コミュニティの希薄化と若年層の
 人口流失等を要因に独居高齢者の増加も予想され、預金調達基盤の脆弱化が危惧されます。こうし
 た中、当行では高齢者の生活背景を含めて熟知する活動を展開しており、地域・家族との接点にな
 ることでより強固な調達基盤の構築を図っております。


 ロ.若年層顧客への対応
  若年顧客層は高齢者層とは異なり、非対面や利便性を重視する傾向があることから、非対面チャ
 ネルの強化・充実を図っております。具体的には、スマホで銀行窓口と同様のサービスを提供すべ
 く、2017年5月に「なんぎんスマホアプリ」、2018年3月には、スマホで住宅ローンの申込みを勤
 労層で来店が難しいお客様が「いつでも」「どこでも」アプローチできるチャネルを開設しました。
  また、2019年11月にはスマホにてWeb口座振替等の各種手続き受付サービスを開始し、キャッ
 シュレスに対応した「一体型カード」の申込みチャネル開設についても準備中であります。今後も、

                      - 12-
  ICTを活用し、お客様のニーズを的確に捉え、相応のサービスが展開できるように検討してまい
  ります。


  ハ.預り資産
   2017年8月に策定しました『「お客様本位の業務運営」に関する基本方針』の定着に向け、お客
  様のニーズや利益に真に適う取組みをより一層実践していくため、金融商品の販売知識やコンサル
  ティング能力を一定以上有した行職員を「資産運用アドバイザー」として認定・育成する「金融商
  品行内認定制度」を新設いたしました。
   また、株式会社SBI証券との金融商品仲介業務提携により、インターネットを介し幅広い商品
  ラインナップの中から自由に選択できる環境を構築したことで、様々な商品の提供が可能となりま
  した。今後も非対面チャネルの拡大に取組み、お客様の利便性向上に資するサービス提供とお客様
  本位の業務運営の更なる定着化を図っていきたいと考えております。
   こうした取組みの結果、2019年8月に公表された「顧客本位の業務運営の取組成果の公表状況」
  の運用損益別顧客比率において、主要行・地域銀行113行のうち、全国で6番目に運用損益率0%以上
  の顧客割合が高い銀行となりました。


  ニ.個人預金
   個人預金の残高は、2019年9月末現在5,325億円となり、前年比約22億円の増加となりました。定
  期性預金については、高利回り商品などによる過度な獲得を実施していないことなどから、前期比
  104億円の減少となりましたが、流動性預金については、年金振込や給与振込の獲得に注力したこと
  などにより、134億円増加しました。
   今後もお客様のニーズにマッチし、喜ばれる商品をタイムリーに提供することで安定した預金調
  達基盤の構築に努めてまいります。


[個人預金残高実績(表12)](国内)                                               (単位:百万円)
             '16/3期     '17/3期       '18/3期      '18/9期     '19/3期     '19/9期
              実績         実績            実績         実績         実績         実績
 個人預金残高       508,164    517,082       529,294    529,547    528,625    532,562
    内流動性残高    139,656    150,305       162,578    166,953    174,761    180,382
    内定期性残高    368,507    366,777       366,715    362,595    353,864    352,180


  ホ.ライフサイクル別のニーズへの対応
   ➢ 就職時
    将来的に当行口座を給与振込口座として利用いただけることを目的とした「新生活応援キャン
   ペーン」を実施するなど、若年層を中心に生涯取引口座となりうる給与振込口座の獲得に注力し
   ております。また、顧客本位に基づく業務運営のもとに、中長期的な資産形成に資する商品の提
   供として、iDeCoや積立型投資信託の加入を進めております。
   ➢ 住宅取得時
    住宅ローンセンターは休日も営業するなど、お客様のニーズに対しタイムリーに対応しており



                                   - 13-
   ますが、2019年9月末の住宅ローン残高は、アパート関連貸出の減少を主要因として、前年比36
   億円の減少となりました。現在、お客様との接点拡大及び利便性の向上を図るべく「スマホde住
   宅ローン」の取扱い(ダイレクトチャネルの拡充)を行っており、住宅取得資金ニーズの発掘に
   努めております。
   ➢ 消費財・サービス購入時、子育て時
    ミナミネット支店において、フリーダイヤル・FAX・インターネットの受付チャネルでの消
   費者ローンの24時間受付を行っており、受付件数も堅調に推移しております。
    今後においては、受付から貸出まで完全非対面での対応が可能となるシステムを構築するなど、
   お客様の利便性が向上するサービスの提供を目指しております。
   ➢ 退職後の老後生活再設計時
    退職時は、退職金の運用や住宅ローンの返済や保険の見直しなど、老後生活の再設計を行う
   機会となることから、各種資産運用のアドバイスを行うことで取引拡大に努めております。


(5)適切な経営資源配分に向けた取組み
 ①人材の適正配置
  当行はこれまでに、WIN-WINネット業務に注力できる態勢を整備するため、営業現場のサポートに資
 する本部機構改革や人事異動を実施してまいりました。
  2017年7月、これまで同業務における役割に応じて配置していた部署を統合して、「WIN-WINネット
 業務部」を新設し、更に営業推進部門についてさらなる“顧客本位の業務運営”を図るため、2019年
 6月にサービスの対象顧客ごとに「事業者向け営業推進部門」と「個人等向け営業推進部門」の2部
 門制とする営業本部を設置しWIN-WINネット業務部と営業推進部門を統合・再編しました。事業者向け
 はWIN-WINネット業務部、個人等向けはリテール戦略部が担当し、両部門それぞれが専門性を高めると
 ともに、協働して営業推進上有効な企画及び施策を打ち出していくことにより、営業店の業績向上を
 目指していく態勢としています。
  また、新勘定系システムへの移行のために一時的に増加した本部人員の一部を営業店に再配置して
 おりますが、採用環境が厳しいこともあり2019年4月は39名の新規採用に留まっているため、営業店
 人員を大幅に増やすには至っていません。次年度以降も計画的な採用を続け適正人員の確保に努める
 とともに、顧客本位の業務運営に向けた人材育成を行ってまいります。


   [従業員数の推移(表13)]                                                          (単位:人)
              '14/3   '15/3   '16/3   '17/3      '18/3   '18/9   '19/3   '19/9
                                                                                 前年比
              実績      実績      実績       実績        実績      実績      実績      実績
   期末従業員数       892     896     892        907     916     943     911     931   △12
    行員          619     621     631        645     658     688     660     684   △4
    嘱託・パート      273     275     261        262     258     255     251     247   △8




                                   - 14-
 [従業員数の内訳(表14)]                                                              (単位:人)

              '14/3   '15/3   '16/3    '17/3    '18/3    '18/9    '19/3    '19/9
                                                                                    前年比
              実績      実績      実績       実績       実績       実績       実績        実績
   期末行員数        619     621      631      645      658      688      660      684    △4
  (うち本部)        124     127      123      128      151      148      140      135    △13
  (うち営業店)       495     494      508      517      507      540      520      549      9
 従業者(行員+臨時)     892     896      892      907      916      943      911      931    △12
  (うち本部)        230     237      229      242      267      268      260      256    △12
  (うち営業店)       662     659      663      665      649      675      651      675      0


イ.「女性」の活躍促進
 当行では、女性の働きやすい環境構築や育児を行う職員の仕事と家庭の両立サポートに努め、育
児休暇の積極的取得を進めたこと等により、2019年9月末時点で10名の女性行員が育児休暇を取得
中であり、今後も増加する見込みです。
 また、女性の能力を積極的に経営に反映できる職場環境の整備にも努めており、女性活躍推進法
を踏まえ掲げた「能力開発の促進により2020年3月までに役席者の女性割合を35%まで引き上げる」
目標については、2019年9月末時点で37.2%となりました。現在は管理職を増やす段階にあり、今
年度は支店長を2名任命しました。積極的に活躍の場を広げ、融資・渉外・本部専門職などの経験を
積むことにより将来の管理職への登用に繋げてまいります。


ロ.従業者の多能化
 内勤行員の渉外担当者への係替えによる多能化は、10年以上前より実施済みであり、採用段階で
説明しており、不本意な係替えによるES低下のようなことは生じないようになっております。
 また、渉外行員や内務行員においては、WIN-WINネット業務を中心とした事業者へのコンサルティ
ング業務や基盤取引拡大・資産運用相談を中心としたリテール部門など役割の明確化を図り、全員
営業態勢に努めております。


ハ.人材育成について
 当行の職員の年齢構成において、入行5年以内の若年行員やパート行員の割合が増加しており、
各業務分野に関する基本業務や専門知識の習得に向けた研修カリキュラムを整備するなど、教育体
制の充実を図っております。
 また、本計画における「WIN-WINネット業務」及び「RM(リレーションシップ・マネージャー)
行動指針」について、全行員が認識する必要があると考えており、各階層別研修における必須のカ
リキュラムとして取り入れ、業務の内容や成功事例の共有化を図っております。


ニ.人件費について
 給与支給額は計画をやや上回りましたが、退職給付費用および社会保険料等は計画を下回ったこ
と、および業務効率化と各人の平均残業時間を可視化したことにより時間外手当を抑制できたこと
から、人件費については計画を下回りました。

                                  - 15-
  [人件費の計画・実績(表15)]                                                                   (単位:百万円)
                     '15/3    '16/3   '17/3    '18/3      '18/9   '19/3              '19/9
                     実績       実績      実績        実績        実績      実績         計画      実績      計画比
  人    件      費      5,491    5,466   5,433     5,506     2,821    5,609     2,788   2,765     △23
      給与             3,188    3,292   3,289     3,377     1,755    3,472     1,693   1,711      18
      賞与               767      711     705       706       362      719       360     364       4
      退職給付費用           313      246     240       211        95      190       111      88     △23
      その他            1,221    1,217   1,199     1,211       608    1,227       624     601     △23
  ※退職給付費用には勤務費用、利息費用、期待運用収益を合算したものを記載しております。


 ホ.物件費について
  SBK新勘定系システム更改関連投資やサブシステム等の機械化関連投資に加え、お客様の利便
 性向上に向けた投資として、店舗内外の計画的な補修や看板改修、福岡支店の移転リニューアル等
 を実施しました。
  一方で、消耗品費・給水光熱費(LED照明化)・警備料等、金融仲介機能の発揮に支障のない
 範囲で、全ての費目について必要性や費用対効果を検討し継続した見直しを行っておりますが、新
 システム移行関連費用の増加などにより、2019年9月期の物件費は計画を1億48百万円上回りました。
  従来から、支出の妥当性・必要性の検証強化等に取組んでおり、また、サブシステムの必要可否
 の再検証、店舗外ATMや土地建物賃借料の見直しなどにも取組んでおりますが、当行の購買によ
 る地元事業者(地域の商流)の底支えという役割にも十分配慮しながら、今後も継続的な経費(広
 告費、消耗品費等)の見直し、適正化を図ってまいります。
  また、業務効率化による生産部門への人員の適正な配置及びCS向上を企図し、2019年5月にBPRに
 関するプロジェクトチームを組成いたしました。具体的取組みとして、現行業務(本部・営業店)
 について、頻度・濃度・必要性・収益効果等を踏まえた弾力化・簡素化・集中化・システム化など
 の見直し可能性のある業務の抽出を実施しました。今後、優先順位の高いものから具体的な対応案
 の策定と実行を行ってまいります。


[物件費の計画・実績(表16)]                                                                     (単位:百万円)
           '16/3期    '17/3期    '18/3期     '18/9期        '19/3期             '19/9期            '20/3期

            実績         実績        実績           実績         実績       計画        実績       計画比      計画

 物件費         3,744    3,761       3,830       1,832     3,964     1,980     2,128     148     3,969


 へ.事務管理態勢の効率化
 ➢ 事務センターの機能促進による営業店事務の本部集中化
   当行では、事務管理態勢の抜本的改革を掲げ、全員営業態勢確立に向けて「営業店事務の本部
  集中化」と「各種事務規程の簡素化」に取組んでまいりました。
   具体的には、営業店事務の削減・効率化およびリスク軽減、本部集中化を踏まえた事務統括部
  (各グループ)の役割・機能の明確化を企図し、事務統括部内の各グループの再編を行いました。
   また、営業店事務の本部集中化の取組みとして、福岡支店を先行店として融資事務(実行)の


                                              - 16-
  完全集中化に向けた取組みを2019年7月から開始したほか、ATM機ジャーナルの本部集中管理
  や不渡手形オペレーション、マイナンバー(個人番号)の登録・管理などを実施しております。
   引き続き、事務規程・事務フローの見直し・整備を実施し、営業店・本部集中部署のさらなる
  リスク軽減と効率化の促進を図ってまいります。


 ➢ 事務量の削減(行員処理から顧客処理へのシフト)
   営業店の事務量削減のため出納事務の機械化(オープン出納機、現金バス等)とATM多機能
  化(通帳繰越、硬貨入出金)に取組んでおります。出納事務の機械化については、事務量の多い
  店舗へ段階的に導入を進めた結果、2019年9月末現在で、オープン出納機は32ヶ店、現金バスは
  44ヶ店の設置となりました。また、ATMの多機能化については、順次機能搭載を進め、硬貨入
  出金機能の必要な店舗には全て導入し、通帳繰越機能については全店に導入しました。
   事務の削減としては、相続事務の簡素化及びATM関連業務の軽減を実施するとともに、事務
  リスクの高低を考慮し、営業店事務の効率化を図っております。
   今後もオペレーショナル・リスクの適切な管理と、営業店事務の削減・効率化を両立させてい
  く方針であります。


②人事評価
 WIN-WINネット業務によってお客様に売上を付与することは困難で手間のかかる業務であることか
ら、この業務に行員のインセンティブを振り向けるように、業績重視の評価から将来的な実績向上に
繋がるプロセスを評価するように人事考課のあり方について抜本的な見直しを行っております。
 そのために、2018年4月に新たな人事考課制度規程を策定し、行員の個人評価上設定する目標につ
いても、新たに「業務別RM設定目標(達成度)」によってプロセスを評価するものへ変更しました。
 具体的には、RM行動指針に則り、営業店行員が担当する各業務別に目標を設定し、この項目に限
定した選択制としております。また各目標は、これまでのように単純な実績数値を目標とするのでは
なく、顧客本位の業務運営に基づく実績の計上に至るプロセスを目標化したものであり、その評価及
び達成難易度も高いものとなっております。
 今後も、RM行動指針に則った人材の育成のため、本部各部が連携して目標設定の妥当性を確認す
ると共に、評価者に対する教育を徹底するなど厳格な運用に努めてまいります。


③店舗戦略
 お客様の利便性向上及び店舗ネットワークの最適化や店舗運営の効率化を目的として、老朽化して
いる店舗などのリニューアルや店舗の移転・統合ならびに運営体制の変更を行っており、2020年には、
安房支店(2月)と玉名支店(4月)を店舗内店舗形態での移転統合を実施するほか、宮崎支店(3
月)の移転を予定しています。
 今後も、WIN-WINネット業務を中心とした店舗の役割を明確にした上で、リテール戦略の非対面チャ
ネル化と併せ、より顧客本位となる店舗戦略を進めてまいります。
 ATM戦略については、既存ATMの利用状況や配置状況も総合的に検討した上で、スクラップア
ンドビルドを行っております。また、各地域における主要拠点を中心に営業時間・土日祝日営業の拡
大も行っており、コンビニATMとの提携と併せて、今後もお客様の利便性の向上に努めていく方針
であります。

                       - 17-
(6)積極的な信用リスクテイクと資産の健全化の両立に向けた取組み
 ①信用リスクテイク
  当行は金融機能強化法の趣旨を踏まえて、公的資金を活用した抜本的な事業再生支援や地元中小企
 業への積極的な信用リスクテイクに努めており、地域経済の活性化に取組んだ結果、支援対象企業の
 従業員は11,746人となり、地元鹿児島県の雇用拡大・維持に対し、相応の貢献を果たしているものと
 考えております。当行全体の事業性融資の信用リスク(UL)は72億円、このうち地元鹿児島県では
 62億円のULとなっており、相応にリスクテイク(地元取引先で資本を使用)しています。これを公
 的資金150億円含む自己資本でカバーしており、公的資金の有効活用に繋がっているものと認識してお
 ります。
  また、公的資金注入以降の債権放棄等累計額は当行全体で172億円、このうち地元鹿児島県では債権
 放棄等累計額は140億円、うち再生支援目的は51億円となっております。


 ②事業再生・経営改善支援への取組み
  イ.経営相談
   取引先の再生支援の取組みとして、融資部経営支援室が経営相談対象先に対し、定期的に訪問す
  る中で、経営改善支援を実施しております。具体的には、個社別の課題(売上拡大、経費削減、オ
  ペレーション改善等)を把握した上で経営指導等を行っております。
   また、自然災害などで被害を受けられた取引先に対して、本部営業店一体となって十分な対応及
  びサポートに努めてまいります。


  ロ.事業再生
   事業再生については、外部関係機関との連携(2019年度上期6先)、経営改善支援先等に対する
  本業支援(事業再生型WIN-WINネット業務契約先の2019年度上期の売上改善実績106先約2億円、うち
  15先については、上期中に初めて売上改善実績を計上)、債務超過企業等に対する金融支援(DD
  S・DES・債権放棄等)(2019年度上期実績1先75百万円)や事業再生アドバイザーの助言等に
  積極的に取組んでおります。また、計画策定先に対する資金繰り支援等も併せて行っております。


  ハ.事業再生ファンドの活用
   2013年度発足の「九州地域活性化ファンド」やその他の事業再生ファンドを活用して、積極的に
  抜本的な事業再生支援や転廃業支援に取組んでおります。特に「九州地域活性化ファンド」は、近
  隣の豊和銀行、宮崎太陽銀行とあおぞら銀行グループにおいて業務提携を行い、様々な手法・知見
  を共有し事業再生支援に取組んでおります。
   その結果、2019年9月までのファンド活用実績は累計38件となりました。実質的な債権放棄によ
  る取引先の抜本的な再生支援や個人の再生を目的としたものであり、当行は債権譲渡後も定期的に
  モニタリングを行い、リファイナンスの可能性や保証人の再生の進捗状況等について適宜確認を行
  っております。


  ニ.個社別管理スケジュールによる計画的な債権管理の徹底
   各種支援活動を検討・実施しても事業再生が困難と判断せざるを得ない取引先については、経営
  支援室債権管理グループが専担し、営業店と連携のもと取引先との面接を行い、個社毎に債務整理

                         - 18-
や廃業に向けた協議等を実施の上、対応方針を定めております。
また、債権管理に関する重要な事項については、管理債権等の管理状況の分析に加え、雇用や商
流などの地元経済への影響も十分考慮の上、管理・回収等の具体策を協議しております。
これらで協議・検討して決定した方針を具体的にスケジュール化し、進捗状況を管理することに
よりPDCAを実践することで、計画的な不良債権の削減に努めております。




                   - 19-
4.従前の経営体制の見直しその他の責任ある経営体制の確立に関する事項の進捗状況
(1)業務執行に対する監査又は監督の体制の強化のための方策
   経営の透明性の確保及び監督機能の強化によるコーポレートガバナンスの有効機能を目的とし
  て、2012年6月より社外取締役を導入し、現在は、社外取締役を2名、監査役については社外監査
  役3名を含む4名体制としております。
   また、さらなるガバナンスの強化を図るため、2018年5月より独立役員を2名増員し、4名体制
  としております。今後も責任ある経営体制の確立に向けて、より迅速な業務遂行が行われる体制を
  構築してまいります。


(2)リスク管理の体制強化のための方策
 ①統合リスク管理に関する事項
  当行における統合リスク管理においては、部門別(営業部門・市場部門・ALM部門)にリスク資
 本を配賦した上で、経営体力の範囲内においてリスクテイクを行い、資本配賦状況をモニタリングす
 るとともに、限られた資源を効率的に活用することで収益性の向上を図ってまいりました。
  しかしながら、金融機能強化法の趣旨を踏まえ、特に信用リスクにおいては、「地域経済活性化」
 に主眼を置いた資本配賦・リスク管理が重要であると考えることから、「地元」=「鹿児島県」と明
 確に定義した上で、UL(非期待損失)を「地元」と「地元以外」に切り分け、どの程度地元にリス
 クテイクしているのかを明確に管理する態勢をとっています。今後についても、地域金融機関として
 地元経済活性化のための必要な資本を適切に配賦し、有効に活用してまいります。


 ②信用リスク管理に関する事項
  イ.信用リスク管理態勢について
   全行員の融資への取組みスタンスや与信リスク管理能力の強化については、「融資の基本姿勢(ク
  レジットポリシー)」及び「信用リスク管理基準」を基本原則として定めており、各種行内研修に
  おいても周知を図っております。
   また、大口与信先については、貸出合同審議会や融資取組方針検討会等において個社別のモニタ
  リングを実施し、本部営業店一体となったリスク管理強化に努めているほか、月次で貸出金ポート
  フォリオの状況を確認し、リスクの分散に努めております。与信集中リスク是正に向けた対応強化
  策として、与信限度額の位置づけや目的について明文化し、限度額設定に係るルールを制定してお
  ります。具体的には、与信管理を厳正に行うため、一定の金額(クレジット・ライン)を具体的に
  設定し、クレジット・ラインを超える大口与信先に対しては、融資取組方針検討会に付議の上、取
  組方針や与信限度額の見直しを行うことにより、与信集中リスクの縮小に努めております。
   なお、与信限度額を超過する融資申込みに対して、限度額増額の提案があった場合の手続きを明
  確化するため、融資取組方針検討会規程を改定いたしました。


  ロ.貸出金ポートフォリオの良質化及び債務者の実態把握
   当行においては、「その他要注意先」からのデフォルトが大宗を占めていたこともあり、2012年
  4月から信用格付において「その他要注意先」を「8格A」「8格B」の2つに区分し、要注意先
  の信用リスクを細かく分析するとともに、この信用リスク度合いに応じて、決裁権限、モニタリン
  グ方法等にメリハリを付けた施策に取組んでおります。

                       - 20-
  具体的には、これまでは「その他要注意先」の一定金額部分までは支店長決裁としていましたが、
 2012年8月からは「8格B」先については全て本部決裁として融資取組みの厳格化を図っておりま
 す。
  加えて、この区分により収益管理上も「その他要注意先」の「8格A」と「8格B」は信用コス
 トに明確な差があり、「8格B」先に対する与信においては、経営改善によるランクアップや総合
 的な取引を向上させるためのインセンティブとなっており、これらの取組みに対しPDCAサイク
 ルを徹底することで貸出金ポートフォリオの良質化が図られてきているものと考えております。
  これらを踏まえて信用格付の重要性が増しており、リレーションの強化による取引先の実態把握
 が重要と考えております。そのためには、取引先に関心を持ち、「取引先を深く知る」ことで、定
 性情報の蓄積を行い、深度ある実態把握に基づく信用格付を実施することが重要であり、これを強
 化することを目的に、2015年7月から、借り手企業の事業内容や成長可能性などを適切に評価する
 ツールとして、「事業性評価シート」を制定し、信用格付、案件審査時の提出を義務付けておりま
 す。また、2017年10月からは、商品サービスの深掘りを行うことにより事業性を評価するツールと
 して「事業性評価シートver.2.1」を制定し、これまで722先の取引先について作成し、企業の事業
 性を更に深堀りすることで、販路開拓支援や経営改善支援などに活用しております。
  また、これまでの格付判定は定量評価が中心であったものを、2019年度上期より、事業性評価シ
 ートver.2.1を活用して、定性評価での格付判定のウェイトを高めていくこととしています。具体的
 には、これまでに作成した事業性評価シートver.2.1を取引先との対話ツールとして積極的に活用し、
 「自社と商品・サービスの実態を十分掴んでいるか」、「現在のライフステージの位置と償還能力
 との妥当性」、「事業の将来性の見通しとその妥当性」などを格付判定に加味することとしました。
 今後も事業性評価シートver.2.1のアップデートを図ってまいります。


 ハ.収益管理システム活用による信用コスト意識の徹底
  収益管理における実効性向上を企図して、財務会計ベースであるプライシングガイドラインと管
 理会計上の収益を一体管理する「顧客別総合採算検討表」を2013年9月に制定しております。採算
 性の改善が必要な先について融資部でリストを作成し改善策を個社毎に営業店に策定させるなど、
 信用コストを意識させる施策に取組んでおります。
  今後も総合採算ベースの収益管理の精緻化・高度化を図ってまいります。


③市場リスク管理に関する事項
 市場リスクは、市場変動による保有有価証券の時価額下落により、地域金融機関が本来担うべき地
域中小企業・個人向け貸出に振り向ける信用リスク配賦余力を低下させ、経営と地域に重大な影響を
与える危険性を内包するリスクであると認識しており、今後も経営の関与を強めるとともに、市場リ
スク管理態勢の強化に努めてまいります。


 イ.日常の管理体制等について
  有価証券の日々の市場リスク管理をポジション残高、評価損益、実現損益等で行うため、日次作
 成の市場リスク管理表を作成し、リスク統括部署及び監査部門への報告を行っております。また、
 アラームポイントに抵触したものは、速やかにリスク統括部署経由で担当役員に報告する体制とす
 るなど、牽制機能強化に努めております。その他、リスク量の計測を日次で行い、リスク量が当行

                       - 21-
  の定める限度額を超過した場合には、速やかに経営陣に報告するとともに、その内容を精査し、状
  況に応じてリスク量を限度額内に収める措置をとる体制としております。2016年4月から市場環境
  急変時の対応を迅速に行うためアクションプランを制定し3度適用、2017年4月からは投信が内包
  するリスクの把握・分析やモニタリング手法の強化を図るなど、市場リスク管理態勢のさらなる高
  度化を図っております。また、2019年4月からは、ファンドの金利リスク量計測への対応も行って
  おります。


  ロ.損失限度額について
    損失限度額は、収益計画にリスク量等を考慮した金額に設定しておりますが、銀行を取り巻く
   経営環境が厳しさを増す中で、有価証券運用におけるリスク管理を強化する流れを受けて、2018
   年度下期より同年度の年間業務純益計画の範囲内としています。この限度枠管理の運用を厳格に
   行うため、日次モニタリングに加えて、原則四半期毎に開催されるALM委員会において、ポジ
   ション枠、リスク限度枠、損失限度枠の順守状況等を報告するとともに、限度額を超過した場合、
   もしくは超過の危険性が高まった場合には適切なリスク抑制措置を講じる態勢としています。


  ハ.有価証券運用における基本的スタンスについて
    有価証券運用は流動性と安全性を重視した保守的運用を基本スタンスとしており、収益性の低
   い長期国債やリスクの高い外債への投資を抑制し、価格変動リスクの高い株式や投資信託、リー
   ト等についても徒にポジションを積み増すことなく機動的売買をメインとするなど、市場リスク
   の抑制に努めております。今後も、統合リスク管理において付与されたリスク資本配賦額の範囲
   内で、当行の経営方針やリスク管理能力に適合した健全な有価証券運用に努めてまいります。


(3)法令遵守の体制の強化のための方策
   法令等遵守態勢の確立を経営の最重要課題のひとつと位置づけ、年度毎に策定する「コンプライ
  アンス プログラム」
     ・      を当行が取組むべき重点施策として、コンプライアンスの徹底に努めており、
  コンプライアンスの統括部署である総合企画部コンプライアンス統括室が全体をモニタリングす
  る態勢としております。
   具体的には、頭取が委員長を務めるコンプライアンス委員会を毎月開催し、コンプライアンス統
  括室を事務局としてコンプライアンス向上への取組みについて取り纏め、報告を行っております。
   また、新入行員研修から支店長研修に至るまで、各階層別研修にコンプライアンスに関する講座
  を設定し、コンプライアンス統括室や関係各部講師による研修だけではなく、役員が講師を務める
  など経営陣自ら率先して法令等遵守態勢の強化に取組んでおります。
   その他、コンプライアンスに関する喫緊の課題や改正ルールなどを全店統一勉強会のテーマとし
  て選定し、毎月開催されるRM統一勉強会(全行職員が参加)の中で勉強を行っています。
   各部店には、コンプライアンスの責任者であるコンプライアンス担当者を配置し、毎月のコンプ
  ライアンス勉強会実施時に行動規範・関係法令等に関する行職員の理解度チェック、日常業務にお
  ける法令・規程等の遵守状況や不祥事未然防止の観点からの動態チェック等を実施しております。
  その実施状況に関してコンプライアンス統括室が「コンプライアンス・モニタリング実施報告書」
  により各部店の遵守状況を点検し、併せて臨店指導も実施しております。
   今後も、内部監査部門及び本部関係各部、監査役と連携し、法令等遵守態勢の強化を図ります。

                      - 22-
(4)経営に対する評価の客観性の確保のための方策
   経営に対する評価の客観性を確保するために、大学教授、企業経営者にて構成する「経営評価委
  員会」を2009年6月に設置し、これまで計21回(年2回)開催しています。同委員会では、当行の
  経営全般に関する活発な討議がなされており、主な討議内容としては、決算状況や経営強化計画の
  実現に向けた具体的施策に関する事項に加え、営業チャネル(店舗やATM戦略、地方創生への関
  与等)や人事施策などについて討議がなされたほか、地域の現状・課題を踏まえ「WIN-WINネット業
  務」への取組みの状況等についての議論も行っております。今後も、同委員会が、当行の経営戦略
  及び方針に対する客観的な評価・助言を行うことで、経営に対する評価の客観性確保と牽制機能の
  強化に繋げてまいります。


(5)情報開示の充実のための方策
 ①四半期情報開示の充実
  決算情報等は、証券取引所への適時開示のほか、プレスリリース、ホームページへの掲載等により
 適時適切な開示を行っております。決算内容等については、決算説明資料の冒頭部分にダイジェスト
 版を付すなど、より分かりやすい開示に努めております。また、ディスクロージャー誌やミニディス
 クロージャー誌を半期毎に作成し、取引先等にも決算情報をより分かりやすく提供できるようにして
 おり、WIN-WINネット業務をはじめとした地域経済活性化への取組み状況についても開示しております。
  今後もグループ会社を含めた開示体制のさらなる充実を図り、迅速かつ質の高い情報開示に取組ん
 でまいります。


 ②主として業務を行っている地域への貢献に関する情報開示の充実
  当行は地域に根ざした銀行として、様々な地域貢献活動に対して積極的に取組んでおります。
  南九州地域の農業・食材を中心とした産業振興により、地域経済の活性化に寄与するため、販路開
 拓及び事業展開支援に向けた各種商談会への出展支援を行っております。
  また、当行主催の「なんぎんビジネスセミナー(接遇・マナー研修)(32社116名参加)を2019年4
                                」
 月にも開催しており、ご参加いただいた取引先の従業員の方々から好評をいただいております。
  文化活動の支援としては、地元新聞社主催美術展の海外派遣美術留学生への支援や地元交響楽団へ
 の支援等を行ったほか、ボランティア活動としては、
                        「天文館周辺の清掃活動」や「鹿児島マラソン」
 へのボランティア参加など、地域の活動に役職員が多数参加しております。
  こうした活動状況は、ディスクロージャー誌等で開示しており、今後も引き続き、開示内容の充実
 を図るとともに、情報開示を通じた利用者の評価を各業務に適切に反映させてまいります。


 ③株主への取組み(IR含む)
  当行株式への投資魅力を高め、より多くの方に中長期的に当行株式を保有していただくことを目的
 として2011年3月より「株主優遇定期預金」の取扱いを開始しております。また、従来から作成して
 いるミニディスクロージャー誌を活用した株主募集ツールにより、当行への理解をより深めていただ
 くように努めております。
  今後も引き続き、本部・営業店のお客様会等の充実やCSR活動の活発化、清掃活動等の地域行事
 への積極的な参加などにより、お客様・地域社会との密着度合いを高めてまいります。



                        - 23-
5.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化、その他の主として業務を行っている地域における経
  済の活性化に資する方策の進捗状況
(1)主として業務を行っている地域における経済活性化に資する方策
 ①経営改善取組先企業の数の取引先企業の総数に占める割合


   [経営改善の取組み(表17)]                                                (単位:先、%)

                     '17/3期       '18/3期       '19/3期             '19/9期
                     実績(始期)       実績           実績        計画       実績       計画比
   ①経営支援等取組先数            373          166         214      226       243      17
       創業・新事業             91              43        66      65        66       1
        経営相談             117              29        37      41        41       0
        事業再生              51              65        74      42        49       7
        事業承継                  2           3         5         7       14       7
       担保・保証             112              26        32      71        73       2
     ②取引先総数            9,905       10,083       10,672   10,005   10,725     720
       ①/②             3.76%        1.64%        2.00%   2.25%    2.26%    0.01%

  ※本計画では、経営改善支援の取組みが実質的なものとなるよう定義や評価の見直し、これに伴う計上
   方法の変更を行ったことから、計画の計数が計画始期より減少しております。そのため、本計画より
   変更する計上方法で算出した場合、計画始期(2017/3実績)の比率は1.53%となります。
  ※本計画より役務提供後1年間貸出スプレッド(率)が下がらなかった場合のみ、1年後に計画実績と
   して計上します。2017年度の実績については、実際の件数の1/2で計上しています。
  ※本計画において取組む「WIN-WINネット業務」による経営相談先数(経営改善先に対する本業支援実
   績を除く)は、第三次経営強化計画と同様計上しておりません。
  ※本表に計上する「経営改善取組先」は、以下のとおりです。
    1.創業・新事業
    (1)各種補助金・助成金の申請支援件数(申請完了件数)
    (2)融資取組み件数(融資実行件数)
       ※不動産賃貸、太陽光、ビジネスローン“HAE”等を除く。資金使途が創業・新事業のもの。
    (3)政府系金融機関(日本政策金融公庫)と協調して投融資を行った件数(投融資実行件数)
    2.経営相談
    (1)ビジネスマッチングサービス成約件数(同サービス契約後の成約件数)
       ※ただし、売り手事業者が非取引先で、買い手事業者の経営改善に資するものに限る。
    (2)技術相談会等(IT相談会等も含む)の参加企業のうち具体的な支援に取組んだ先数(大学と
        の研究等を取次いだ件数、研究等にかかる契約、技術開発・導入のための契約締結等の件数)
    (3)産業支援センター(よろず支援拠点・プロフェッショナル人材戦略拠点)等の外部関係機関と
        の連携による企業支援件数(特許申請件数、研究・技術支援等にかかる契約締結等の件数)
    3.事業再生
    (1)外部関係機関(再生支援協議会・REVIC・産業支援センター・よろず支援拠点)等との連
        携による支援先数
    (2)経営改善支援先等のランクアップ先数
    (3)経営改善支援先等に対する本業支援実績(件数)
    (4)債務超過企業等に対する金融支援(DDS・DES・債権放棄等)
    4.事業承継
    (1)融資取組みなど当行関与による事業承継・M&A支援先数
    (2)当行が提携する外部専門家等(専門機関・公認会計士・税理士・弁護士・経営コンサルタント
        等)と連携し、事業承継・M&Aの案件発掘及び問題解決等を行った先数


                                  - 24-
   (3)外部専門機関または自行にて事業承継・M&Aの取組みを成立させた先数
   5.担保・保証
   (1)当行における担保・保証に過度に依存しない融資(アグリネット資金“南風育ち”・ビジネス
      ローン“いっき”・TKCローン・ふるさと活性化資金)(融資実行件数)
   (2)ABL(動産担保・債権担保等)の取組み件数(融資等実行件数)


 2017年度の経営改善取組先数については、前記の定義に基づき、実際の取組先数の1/2を計上してお
りますが、2018年度以降においては、前年度計上した取組先数のうち、役務提供後1年間貸出スプレ
ッドが下がらなかった先数を計上しております。
 前年度計上した取組先に対し、スプレッドの維持に資する顧客価値の提供に努めた結果、2019年9
月期における経営改善支援等取組先数は、計画を17件上回る243件の実績となり、経営改善支援等取組
先企業の取引先総数に占める割合についても、計画を0.01ポイント上回る2.26%となりました。
 創業・新事業支援については、創業・新事業の融資を中心に計画を1件上回る66件の実績となりま
した。経営相談については、ビジネスマッチングなどにより、計画通りの41件の実績となりました。
事業再生については、経営改善支援先等のランクアップなどにより、計画を7件上回る49件の実績と
なりました。事業承継については、事業譲渡を行うための資金供給や事業売却の支援等を行い、計画
を7件上回る14件の実績となりました。担保・保証に依存しない融資については、ふるさと活性化資
金及びABL等に取組み計画を2件上回る73件の実績となりました。なお、スプレッドの維持に実績
もあり、最も効果的なWIN-WINネット業務については、経営相談の取組先数には計上しておりません。
 経営改善取組後の不断のモニタリングを通じた深度ある対話により、顧客満足を向上させることが
重要であり、こうした地道な活動を行員一人ひとりに浸透・定着させるため、人事評価などにも反映
させております。


②地域における経済活性化に資する方策
 イ.新販路開拓コンサルティング(WIN-WINネット業務)による地域経済活性化に資する取組み方策
  当行は、これまでも地元金融機関と連携した商談会や相談会等を活用した様々な販路開拓支援を
 行ってまいりました。しかしながら、今までの取組みが十分でなかったという反省のもと、第二次
 経営強化計画より「WIN-WINネット業務」への取組みを中心施策に掲げ、事業内容(商流やオペレー
 ション)の詳細にまで踏み込むことで、取引先企業の事業運営改善に責任を持った支援活動を行っ
 てまいりました。本計画においては、「事業再生型WIN-WINネット業務」を中心として、鳥の目の事
 業性評価ともいえる「取引先事業者の事業性を大局的にとらえる」だけではなく、虫の目の事業性
 評価である「商品サービスに関する事業性の問題点」を深掘りできる商品サービス別ヒアリングシ
 ートを導入し、これを全店にて展開することで地域経済活性化に取組んでおります。
  2019年9月末の契約締結先1,033先に対する売上高支援累計実績は768先の69億74百万円(売上金
 入金ベース)を計上しています。なお、第四次経営強化計画から導入した「商品サービス別ヒアリ
 ングシート」の作成先23先に対し、売上高改善累計実績は382件の5億12百万円を計上しています。
  今後も契約先の新販路開拓支援活動を行うことで、当行取引先の経営改善に努めてまいります。


ロ.創業又は新事業の開拓に対する支援に係る機能の強化
  創業・新事業への融資取組みとして、県・市の創業支援制度の活用や信用保証協会及び㈱日本政
 策金融公庫等の政府系金融機関との連携強化による協調融資等による支援を行いました。また、


                        - 25-
 「2017年度補正(ものづくり・商業・サービス経営力向上支援)補助金」から「2019年度補正(も
 のづくり・商業・サービス生産性向上促進)補助金」における認定支援機関としての役割も積極的
 に果たし、よろず支援拠点等と連携し、補助金の申請の支援も行いました。創業時や創業間もない
 事業者においては、資金調達環境は厳しい状況にありますが、円滑な資金調達や補助金申請等を支
 援することで、スムーズな事業展開が可能となります。
  また、新事業にかかるサポートとして、鹿児島県の補助金制度である「地域資源活用・農商工等
 連携新事業創出支援事業」の申請支援を行っているほか、かごしま産業支援センターや鹿児島大学
 の技術移転機関である㈱鹿児島TLO等との産・学・官ネットワークを活用した「技術相談会」を
 実施しております。「技術相談会」の具体的内容は、新商品・新技術開発・各種補助金のアドバイ
 ス・コスト削減・特許取得等を検討している企業を対象に、㈱鹿児島TLOと連携して、問題解決
 に向けて個社毎に相談内容を聞き取り、取引先企業への経営支援を行っております。本計画期間に
 おいては、19社の相談対応を実施しました。
  具体的成果として、㈱鹿児島TLOとの連携による「補助金申請に係る事業計画書作成支援」「提
 携先との契約書策定支援」「新商品の事業化に向けた営業支援」などが挙げられます。
  今後も創業・新事業に関わるサポートを積極的に行い、それに伴う資金ニーズにもタイムリーに
 対応してまいります。


ハ.経営に関する相談その他の取引先の企業に対する支援に係る機能の強化
  取引先企業に対する経営相談及び支援機能強化の観点から、経営改善が見込める当行メインの取
 引先を中心に、営業店からの情報を基に本部にて支援先を選定しています。当該支援先の選定につ
 いては、営業店が経営者の考え方や現在の業況等について十分なヒアリングを行ったうえで、本部
 において当行の支援活動に対する理解が得られること、ならびに事業再生の可能性等の抽出基準に
 則り選定しています。活動内容としては、取引先企業の抱える課題等の実態を把握したうえで、本
 部・営業店が連携し、経営に関する相談・アドバイス等を可能な限り内製化して実施しております。
 相談の内容によっては、法務・税務等資格や専門知識が必要となることから、弁護士・税理士・公
 認会計士等の専門家や経営コンサルタントを紹介するなどの対応を行っております。
  また、WIN-WINネット業務とは別途、当行取引先の商品・サービスを個別にマッチングする「ビジ
 ネスマッチングサービス」や各種商談会への誘致による販路拡大支援にも取組んでおります。2019
 年1月には、地元金融機関で構成される「鹿児島アグリ&フード金融協議会」の構成員として商談
 会を開催しており、新商品開発に繋がるニーズ収集や国内外に向けた販売ルートの開拓、首都圏バ
 イヤーとのネットワーク構築が図られております。


ニ.早期の事業再生に資する方策
  当行からの経営改善支援活動を積極的に受入れ、かつ事業再生が可能と判断したメインの取引先
 を主に選定し、積極的に事業再生支援活動を実施しています。
  メインとなる活動は、中小企業再生支援協議会等の外部機関との連携による事業再生であり、過
 剰債務の状態にあるもののキャッシュフローを確保でき、事業再生可能と判断した取引先には、債
 権放棄やDES・DDS等の資本性借入金を活用するなどの踏み込んだ金融支援も行っております。
  人材派遣については、財務改善の支援サポートが必要と判断される場合など、人材の選定を行っ
 たうえで実施しております。

                      - 26-
  また、2017年度より、要注意の低位先以下の事業者について、営業店と融資部が連携したモニタ
 リングと経営課題等の把握を行うため、経営改善取組方針検討会を実施しております。具体的には、
 ファイナンス支援を中心として、本業支援(廃業支援を含む)、経営課題解決支援の観点を取り入
 れ、営業店と本部の取組方針を明確にし、実効性のある支援活動に繋げております。
  2019年9月期においても、経営改善支援先等のランクアップ・本業支援を中心に事業再生に向け
 た取組みを実施しました。融資部経営支援室、WIN-WINネット業務部と営業店の連携による取引先へ
 の経営改善及び売上支援の取組みにより、企業の財務内容が改善するなど、地域経済活性化に寄与
 しているものと考えております。
  支援案件について継続的に中小企業再生支援協議会等の外部機関と協議するなど、経営改善計画
 書策定先に対する資金繰り支援等を行っており、今後もさらなる支援活動を強化してまいります。
  公的資金の受入により十分な自己資本を確保し、地域の事業者に対して円滑な資金供給を実施し
 ております。加えて、地域経済は依然として厳しい状況にあり、不良債権比率も高い水準に留まる
 中、破綻懸念先の引当率について、貸倒実績率に関わらず下限を設けるフロアルールやDCF法の
 導入により保守的な引当を実施することも可能となりました。十分な引当の実施により、地域経済
 に過度な負担をかけることがないよう、円滑な資金供給及び早期の事業再生を進めながら、今後も
 引き続き地域経済を支えてまいります。


ホ.事業承継及び事業譲渡に対する強化のための方策
  過去実施した「事業承継に関するアンケート調査」の結果を踏まえ、取引先の事業承継のニーズ
 に対しては、商工会議所・中小企業基盤整備機構等、外部機関との連携を図りながらアドバイスを
 行っております。
  また、今後、事業性評価に重点を置くことで、取引先の事業承継のニーズをより多く把握できる
 ことが見込まれることから、積極的に外部機関や専門家との連携強化を図るとともに行内向けに事
 業承継に関する研修を行うなど、相談業務にあたる行員の能力向上に取組んでまいります。


へ.担保・保証に過度に依存しない融資
  地域の中小規模の事業者に対して、事業性評価に融資審査の主眼をおいて、全行的に取組んでお
 ります。また、行職員の目利き力のレベルを上げるために、事業性評価の研修や勉強会を都度実施
 しております。今後も事業性評価に積極的に取組むことで、中小規模の事業者に対する円滑な資金
 供給を行ってまいります。
  さらに、事業性評価に繋がるABLについても、繁殖牛や肥育牛などを担保とした畜産業者向け、
 鰹節や加工野菜を担保とした卸売業者向けなど、鹿児島県産品を取扱う事業者に対して、円滑な資
 金供給の一手法として活用しております。特に、農業関連については、所有不動産が農地中心とな
 ることから、金融機関として担保を取得しづらいケースがありますが、ABL等を活用することで、
 担保・保証に過度に依存しない資金供給が可能となっております。また、診療報酬を担保とした医
 療機関向けの取組みも行っております。債権や在庫などの動産を担保とすることで、商流情報の取
 得による取引先の業況把握や財務内容の悪化に対する早期対応が可能となるなど、取組みの効果は
 大きいものと考えております。
  なお、経営者保証ガイドラインの積極的な活用に資するため、従来保証の要否判断に使用してい
 た経営者保証確認フロー表兼判定シートを廃止し、より簡便に代替手法等を検討することができる

                      - 27-
  ように、経営者保証チェックシートを制定しました。
   当行の場合、スプレッド維持に資する顧客価値提供による効果が認められず、利回りは低下傾向
  にありますが、今後もABLや経営者保証ガイドラインの取組み事例の蓄積により、担保・保証に
  過度に依存しない融資を行ってまいります。


(2)中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化のための方策
 ①中小規模事業者に対する信用供与の残高の総資産に占める割合およびなんぎんKPI
  イ. 中小規模事業者に対する信用供与の残高の総資産に占める割合


  [中小規模事業者等に対する信用供与の計画・実績(表18)]                                  (単位:億円、%)
                  '17/3 期   '18/3 期   '19/3 期              '19/9 期                '20/3 期
                   実績(始期)    実績         実績       計画      実績      計画比      始期比      計画
    中小規模事業者
                    3,260     3,317      3,383   3,334   3,403       69    143      3,350
    等向け貸出残高

    総 資 産           7,791     7,941      7,989   7,959   7,987       28    196      7,994
    総資産に対する
                    41.84     41.77      42.34   41.90   42.61    0.71     0.77     41.90
    比率
  (注)中小規模事業者等向け貸出とは、銀行法施行規則第19条の2第1項第3号ハに規定する別表一における中小企業等
    から個人事業主以外の個人を除いた先に対する貸出で、かつ次の貸出を除外しております。
    政府出資主要法人向け貸出及び特殊法人向け貸出、土地開発公社向け貸出等、大企業が保有するSPC向け貸出、
    当行関連会社向け貸出、その他金融機能強化法の趣旨に反するような貸出


   中小規模事業者等に対する貸出金残高は、個人貸家業や太陽光設備向けの貸出が落ち着きつつあ
  る中、お客様の事業性の把握及び理解に基づく貸出を中心に、地元へ積極的に融資を行ったことな
  どから、計画を69億円上回る3,403億円となりました。
   総資産に対する比率については、中小規模事業者等向け貸出残高は計画を上回ったものの、総資
  産も計画を上回ったことから、計画を0.71ポイント上回る42.61%となりました。


  ロ. なんぎんKPI(中小規模事業者等向け貸出残高)


  [なんぎんKPI(中小規模事業者等向け貸出残高)の計画・実績(表19)]
                                                                          (単位:億円、%)
                  '17/3 期   '18/3 期   '19/3 期              '19/9 期                '20/3 期
                  実績(始期)     実績         実績       計画      実績      計画比      始期比      計画
   重点先事業者(中小規模事
                    2,971     3,037      3,128   3,155   3,110    △45      139      3,192
   業者等向け)貸出残高

   総 資 産            7,791     7,941      7,989   7,959   7,987       28    196      7,994
   総資産に対する
                    38.13     38.24      39.15   39.65   38.94   △0.71     0.81     39.93
   比率
  (注)「重点先事業者(中小規模事業者等向け)貸出残高」は、長期経営計画で定義する「重点先事業者」に対する
     貸出のうち中小規模事業者向けの貸出残高(保証会社保証付ローンを除く)のこと。




                                      - 28-
  長期経営計画における重点先事業者の貸出残高のうち中小規模事業者等向けの貸出をなんぎんK
 PIとしてフォローアップしてまいります。
  2019年9月期は、お客様の事業性の把握及び理解に基づく貸出を中心に、地元へ積極的に融資を
 行ったものの、重点先事業者(中小規模事業者等向け)貸出残高は、計画を45億円下回る3,110億円
 (計画始期比139億円増加)となりました。
  総資産に対する比率については、重点先事業者(中小規模事業者等向け)貸出残高が計画を下回
 り、総資産も計画を上回ったことから、計画を0.71ポイント下回る38.94%となりました。
  一方で、一般先事業者(不動産賃貸・太陽光売電事業者向け貸出のみの先)は計画始期比112億円
 減少するなど、事業性評価を必要とする事業者に対して適切な資金供給がなされているものと考え
 ております。


②中小規模の事業者に対する信用供与の実施体制の整備のための方策
 中小規模事業者等に対する信用供与の実施状況については、原則四半期毎に開催される「ALM委
員会」においてその履行状況をモニタリングしております。
 また、営業店長の決裁権限について見直しを実施した結果、小口融資について迅速な審査態勢とな
ったことに加え、季節資金など継続的に行われる融資についても、本部と営業店が協議の上、正式稟
議前に事前承認を行うことでスピーディな対応ができる態勢とするなど、資金ニーズにタイムリーに
対応しております。
 今後も経営相談や販路開拓支援、担保・保証に過度に依存しない資金供給を行うなどにより、地域
経済活性化に取組んでまいります。


 イ. 地域における主要業種への支援
  当行取引先事業者の主要な業種としては、「サービス業」「卸・小売業」「建設業」「不動産業」
 の4つの業種が大宗を占めており、今後もこれらの業種に対して、WIN-WINネット業務を中心とした
 各種経営支援に取組んでまいります。
  「医療・介護」や「農業」においては、融資部内に担当審査役を各1名ずつ配置するとともに、
 WIN-WINネット業務部内にも担当者を各1名ずつ配置しており、同分野への円滑な資金供給に向けて、
 本支店での審査能力を高め、目利き力の向上を図っております。


 ロ. 事業性評価に基づく融資への対応
  当行では、事業性評価に基づく貸出の対象先について「WIN-WINネット業務契約先のうち過去に売
 上改善実績がある先」と定義しております。
  今後については、その増加に努めるとともに、上記定義の貸出以外においても事業性評価を重視
 した貸出を拡充できる態勢を整備していく必要があると認識しております。
  今後も若手行員を中心とした目利き力強化研修の実施、外部専門機関との協調による取引先事業
 者への経営支援の実施などにより、行員の現場での対話力と提案力の強化を図り、適切なファイナ
 ンス支援から経営改善支援にまで広げてまいります。




                         - 29-
③担保・保証に過度に依存しない融資の促進、その他の中小規模の事業者の需要に対応した信用供与
 の条件または方法の充実のための方策
 担保・保証に過度に依存しない融資の促進にあたっては、中小規模事業者のおかれた経営環境や商
流情報等を正確に把握することが必要であり、WIN-WINネット業務等を通じた目利きやコンサルティン
グ能力の向上、前記の動産担保融資(ABL)等融資手法についての行内研修を行うことで人材の育
成に努めております。
 今後も、事業性評価に基づき資金供給を行うことで成長性の有無にかかわらず、幅広い重点先事業
者を支援してまいります。


④中小規模事業者等向け信用供与円滑化計画を適切かつ円滑に実施するための方策
 中小規模事業者等向け貸出の増加策として、事業性評価を意識した融資の取組みを中心に、創業・
新事業の開拓に取組む事業者に対する支援に加え、
                      「WIN-WINネット業務」への取組みによって発生す
る増加運転資金や設備投資等の新たな資金需要にも適切に対応しております。また、ABL等の担保・
保証に過度に依存しない融資への取組みを行うなど、信用供与に努めております。


 イ.事業性評価シートver.2