8554 南日本銀 2021-03-03 16:20:00
2020年9月期における経営強化計画の履行状況について [pdf]

                                                              2021 年3月3日
各 位
                                       会 社    名    株式会社 南日本銀行
                                       代表者名        取 締 役 頭 取 齋藤 眞一
                                       (コード番号 8554 福証 )
                                      問 合 せ 先 総合企画部 経営企画グループ
                                       電話番号       (099)226-1117(直通)



                2020 年9月期における経営強化計画の履行状況について


 株式会社 南日本銀行(頭取 齋藤 眞一)は、「金融機能の強化のための特別措置に関する法律」
に基づき、2020 年9月期における経営強化計画の履行状況をとりまとめましたのでお知らせいたし
ます。


進捗のポイント
1. コア業務純益
    資金利益が計画を上回ったことや人件費 物件費の削減により経費が計画を下回ったこと等か
                      ・
  ら、コア業務純益は計画を上回りました。<計画達成>


2. 業務粗利益経費率
    業務粗利益は国債等債券損益の減少等により計画を下回ったものの、経費(機械化関連費用を
  除く)が計画を下回ったこと等から、業務粗利益経費率は計画を下回りました。<計画達成>


3. 中小規模事業者等向け信用供与の残高・比率
      新型コロナウイルス関連融資への取組みに注力した結果、貸出残高は計画を上回りました。
  <計画達成>
    なお、資金繰り支援のための資金(現預金)を確保したこと等から総資産が増加したため、総
  資産に対する比率は計画を下回りました。<計画未達>


4. 経営改善支援先割合
      新型コロナウイルス感染症拡大の影響で厳しい状況にある事業者に対して経営改善支援等に
  積極的に取組んだことから、経営改善支援先割合は計画を上回りました。<計画達成>


※進捗状況の詳細につきましては、当行ホームページの「IR情報」の「経営強化計画」に掲載して
 おります「経営強化計画の履行状況報告書」
                    (2020 年9月)のP4、P5及びP12 からP18 をご
 覧ください。 https://nangin.jp/ir/management_plan/post_12.html )
       (


                                                                  以   上
経営強化計画の履行状況報告書




     2020年12月
                    < 目 次 >

1. 2020年9月期決算の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   1
(1)経営環境・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・     1
(2)決算の概要(単体ベース)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・     1
  ①資産・負債の状況
  ②損益の状況
2. 経営改善にかかる数値目標の実績・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・     4
(1)収益性を示す指標(コア業務純益)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・     4
(2)業務の効率性を示す指標(業務粗利益経費率)・・・・・・・・・・・・・・・・・・     4
3.経営の改善の目標を達成するための方策の進捗状況・・・・・・・・・・・・・・・・      6
(1)事業者向け資金繰り支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・     6
(2)消費者向け資金繰り支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・     7
(3)信用コスト急増抑制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・     7
4.従前の経営体制の見直しその他の責任ある経営体制の確立に関する事項の進捗状況・・      8
(1)業務執行に対する監査又は監督の体制の強化のための方策・・・・・・・・・・・・・     8
(2)リスク管理体制の強化のための方策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・     8
  ①統合リスク管理体制の強化のための方策
  ②信用リスク管理体制の強化のための方策
  ③市場リスク管理体制の強化のための方策
(3)法令遵守の体制の強化のための方策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・     10
(4)経営に対する評価の客観性の確保のための方策・・・・・・・・・・・・・・・・・・     10
(5)情報開示の充実のための方策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・     10
  ①四半期情報開示の充実
  ②会社情報の適時開示
  ③主として業務を行っている地域への貢献に関する情報開示の充実
5.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化、その他の主として業務を行っている地域(鹿
  児島県)における経済の活性化に資する方策の進捗状況・・・・・・・・・・・・・・      12
(1)主として業務を行っている地域(鹿児島県)における経済の活性化および、中小規模の事
  業者に対する信用供与の円滑化に資するための方針     ・・・・・・・・・・・・・・   12
(2)主として業務を行っている地域(鹿児島県)における経済活性化に資する方策・・・・     12
  ①経営改善取組先企業の数の、取引先企業の総数に占める割合
  ②地域における経済活性化に資する方策
(3)中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化のための方策・・・・・・・・・・・・・・・   17
  ①中小規模事業者等向け信用供与円滑化計画
  ②中小規模の事業者に対する信用供与の実施体制の整備のための方策
  ③担保・保証に過度に依存しない融資の促進、その他の中小規模の事業者のお客さまの需
   要に対応した信用供与の条件または方法の充実のための方策
  ④中小規模の事業者等向け信用供与円滑化計画を適切かつ円滑に実施するための方策
6.剰余金の処分の方針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・      21
(1)配当、役員に対する報酬及び賞与についての方針・・・・・・・・・・・・・・・・・     21
7.財務内容の健全性および業務の健全かつ適切な運営の確保のための方策の進捗状況・ ・     22
(1)経営強化計画の適切な運営管理に向けた活動・・・・・・・・・・・・・・・・・・・     22
(2)経営の透明性確保・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・     22
(3)内部監査態勢の強化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・     22
  ①内部監査部門の態勢整備
  ②監査役・監査法人との連携
  ③経営計画運営管理の適切性および有効性の検証
(4)各種のリスク管理の状況および今後の方針等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・     23
  ①流動性リスク管理
  ②オペレーショナル・リスク管理
1.2020年9月期決算の概要
(1)経営環境
  当期におけるわが国経済は、消費税率引上げや自然災害の影響を背景として、消費や住宅投資など
 の内需が下落したものの、雇用や所得環境の改善がみられるなど回復基調にありました。しかしなが
 ら、2020 年初頭から新型コロナウイルス感染症の拡大による影響を受け、先行きの不透明感が強まっ
 ているものと考えられます。
  一方、地域経済におきましても、底堅く推移してきた観光や増加傾向の公共投資などもあり、全体
 としては緩やかな回復を続けてきたものの、3 月終盤から新型コロナウイルス感染症拡大の影響によ
 り、個人消費が弱まり観光関連が低下するなど急速に弱まりつつあります。
  このような環境のもと、当行は、
                「WIN-WINネット業務(新販路開拓コンサルティング)
                                           」を「本業」
 と位置付け、
      「真の顧客本位の業務運営」を目指し、
                       「地元鹿児島県を中心とした地域経済活性化への
 貢献」を果たしていくために、
              「経営強化計画」に掲げた各種施策に取組んでまいりました。


(2)決算の概要(単体ベース)
 ①資産・負債の状況
    主要勘定のうち、2020年9月末の貸出金は、中小企業貸出等の増加により、前年比208億78百万
  円増加し、5,840億33百万円となりました。有価証券は地方債等の増加により、前年比33億42百万
  円増加の844億12百万円となりました。
    預金は、法人預金や個人預金が増加したことなどから、前年比371億59百万円増加の7,805億30百
  万円となりました。
    純資産は、「その他有価証券評価差額金」の減少を主因に前年比14億86百万円減少し、421億80
  百万円となりました。


  [資産・負債の推移(図表1)](単体)                                        (単位:百万円)
               '20年9月末                           '20年3月末     '19年9月末
                  実績        '20年3月末比 '19年9月末比      実績          実績
   資産             863,771      77,200   65,032     786,571     798,739
    うち貸出金         584,033      14,559   20,878     569,474     563,155
    うち有価証券        84,412        6,195    3,342      78,217      81,070
   負債             821,590      76,177   66,518     745,413     755,072
    うち預金          780,530      45,892   37,159     734,638     743,371
    うち社債・借用金      30,000       30,000   30,000          -           -
   純資産            42,180        1,022   △1,486      41,158      43,666




                               - 1-
②損益の状況
 資金利益は、貸出金利息等の減少等により前年比38百万円減少し、64億94百万円となりました。
 業務粗利益は、資金利益や国債等債券損益の減少等により前年比1億85百万円減少し、61億80百万円
となりました。
 経費は、物件費などの減少により前年比3億4百万円減少し、49億24百万円となりました。
 以上により、業務純益は、前年比1億20百万円増加し、12億56百万円となりました。
 また、臨時損益は、前年比22百万円増加し25百万円となりました。
 この結果、経常利益は、前年比1億43百万円増加し、12億82百万円となりました。また、中間純利益
については、前年比1億77百万円増加し、10億56百万円となりました。


 [損益状況の推移(図表2)] (単体)                                    (単位:百万円)
                  '20年9月期                  '20年3月期      '19年9月期
                     実績       '19年9月期比        実績           実績
  業務粗利益                6,180       △185       12,520         6,365
  [コア業務粗利益]           [6,162]       [68]     [12,235]       [6,094]
    資金利益               6,494        △38       13,049         6,532
    役務取引等利益            △332         117        △817          △449
    その他業務利益               19       △262          288           281
    (うち国債等債券損益)         (17)      (△254)        (284)        (271)
  経費                   4,924       △304       10,178         5,228
    (うち人件費)          (2,718)      (△47)       (5,448)      (2,765)
    (うち物件費)          (1,867)      (△261)      (4,101)      (2,128)
  一般貸倒引当金繰入額              -          -           121            -
  業務純益                 1,256        120        2,220         1,136
  [コア業務純益]           [1,238]       [373]      [2,057]         [865]
  臨時損益                    25         22      △1,040              3
    (うち不良債権処理額)          (7)      (△16)        (914)           (23)
    (うち株式関係損益)        (△15)        (△2)        (△85)         (△13)
  経常利益                 1,282        143        1,180         1,139
  特別損益                    22         65        △197           △43
  税引前当期純利益             1,304        208          982         1,096
  法人税、住民税及び事業税            80       △128          195           208
  法人税等調整額                166        158          132             8
  中間純利益                1,056        177          653           879




                          - 2-
 2020年9月末の金融再生法開示債権は、前年比1億円減少し、316億75百万円となり、金融再生法開
示債権比率についても、前年比0.22ポイント低下し5.37%となりました。
 金融再生法開示債権のうち82.03%にあたる259億85百万円について担保・保証や貸倒引当金で保全
を行っております。また、部分直接償却を実施した場合の開示債権比率は4.84%となります。


 [金融再生法開示債権比率の状況(図表3)](単体)                                  (単位:百万円、%)
                '20年9月末                                 '20年3月末     '19年9月末
                    実績         '20年3月末比 '19年9月末比          実績          実績
 金融再生法開示債権          31,675         △785        △100       32,460      31,775
 総与信                589,057       14,728       21,105     574,329     567,952
 金融再生法開示債権比率            5.37      △0.28        △0.22        5.65        5.59


  2020年9月末の自己資本比率は、前年比0.14ポイント上昇し、8.58%となりました。


 [自己資本比率の状況(図表4)](単体)                                               (単位:%)
             '20年9月末                                    '20年3月末     '19年9月末
               実績         '20年3月末比         '19年9月末比       実績          実績

 自己資本比率          8.58             0.37          0.14        8.21         8.44




                                  - 3-
2.経営改善にかかる数値目標の実績
(1)収益性を示す指標(コア業務純益)
 ①コア業務純益
   2020年9月期の貸出金の平均残高は、中小企業向け融資の残高が増加したことなどから、計画を
  58億96百万円上回る5,755億44百万円となりました。また、当行が取引先への顧客価値提供に関する
  重要指標と位置付けている貸出金利回りは計画を0.014ポイント下回る2.085%となりました。その
  結果、貸出金利息は、計画を23百万円上回りました(詳細については下記イに記載しております)
                                              。
  預金の平均残高は計画を133億8百万円上回ったものの、利回りが計画を0.001ポイント下回ったこと
  などから、預金利息は計画を1百万円下回りました。有価証券利息配当金については、計画を8百万
  円下回りました。そうしたことから資金利益全体では計画を22百万円上回りました。
  役務取引等利益は、役務費用が計画を65百万円下回ったことなどから計画を24百万円上回りました。
   また、営業経費においては、人件費が計画を47百万円下回り、物件費も計画を64百万円下回った
  ことなどから営業経費全体で計画を1億20百万円下回りました。
   これらにより、コア業務純益は、計画を1億67百万円上回る12億38百万円となりました。


[コア業務純益の計画・実績(図表5)]                                               (単位:百万円)
        '20/3期                  '20/9期                  '21/3期   '22/3期   '23/3期
        実績(始期)     計画      実績           計画比     始期比      計画       計画       計画

 コア業務
           2,057   1,071   1,238          167     419    2,105    2,193    2,445
  純益
 ※コア業務純益=業務純益+一般貸倒引当金繰入額-国債等債券関係損益
 ※始期比においては計画の水準が通期ベースであるため、2020/9期実績(半期)を2倍したものと比較



  イ. 貸出金利息について(管理会計システムより算出)
     貸出金利息については、アパートローンや消費者ローンなどの個人向け貸出金の利息は計画
    を43百万円下回りましたが、事業性貸出金の利息が計画を73百万円上回ったことなどから、貸
    出金全体では計画を23百万円上回りました。


(2)業務の効率性を示す指標(業務粗利益経費率)
 ①業務粗利益経費率
   2020年9月期における機械化関連費用を除く経費は、計画を93百万円下回る40億10百万円となり
  ました。一方、業務粗利益については資金利益が計画を22百万円上回り、役務収支も計画を24百万
  円上回ったものの、国債等債券損益が計画を58百万円下回ったことなどから計画を10百万円下回る
  61億80百万円となりました。
   その結果、業務粗利益経費率は、計画を1.39ポイント下回る64.88%となりました。
   今後も引き続き、中小企業等向け貸出の増強等によって資金利益の拡大を図ることで、業務粗利
  益経費率の低減に努めてまいります。
   併せて、計画期間内の経費削減に向けた主な取組みとしては、金融仲介機能の発揮に支障が生じ
  ないように「事業者ファイナンス及びオペレーション(本業)両面での支援への注力」や「リテー



                                 - 4-
 ル部門の顧客本位の業務運営に向けた態勢構築」のために経営資源を再配分するなかで、店舗のエ
 リア化やブランチインブランチ化など店舗運営体制の見直しや、物件費の低減など、業務効率化に
 よる生産性向上を図りながら、経費節減に取組んでまいります。


[業務粗利益経費率の計画・実績(図表6)]                                               (単位:百万円、%)
               '20/3 期              '20/9期                 '21/3期   '22/3期   '23/3期
               実績(始期)     計画      実績      計画比      始期比      計画       計画       計画
     経費
                  8,035   4,103   4,010      △93    △15     8,098    7,973    7,865
 (機械化関連費用除く)


   業務粗利益         12,520   6,190   6,180      △10   △160    12,227   12,170   12,283

 業務粗利益経費率         64.17   66.27   64.88   △1.39     0.71    66.21    65.50    64.02
 ※業務粗利益経費率=(経費-機械化関連費用)/業務粗利益
 ※機械化関連費用は、減価償却費、機械賃借料等を計上
 ※始期比においては計画の水準が通期ベースであるため、2020/9期実績(半期)を2倍したものと比較




                                  - 5-
3.経営の改善の目標を達成するための方策の進捗状況
 (1)事業者向け資金繰り支援
   修正長期経営計画の重点先事業者のお客さま向け貸出残高とその利回りの計画にしたがって、本
  計画期間中も質の高い融資の増強に努めております。本計画期間中は重点先向けの貸出のうち、1
  年以内に約定弁済がある貸出残高の比率を低減するように努めており、少なくとも当面1年間は、
  約定弁済にかかわる資金繰りの不安から解放されて、ポストコロナに向けて事業運営に注力できる
  という顧客価値を提供していく方針です。
   2020年度においては新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、重点先事業者のお客さまの全先訪
  問による業況把握を行い、資金繰り支援及び本業支援に取組みました。その結果、政府の資金繰り
  支援もあり、新型コロナウイルス関連融資を中心として、重点先貸出の平均残高は計画始期に比べ
  173億円増加し、利回りは0.039ポイント低下しました。
   また、新たな資金調達時には「返済期間の据置」を提案し、既存の返済分に関しましては、短コ
  ロや条件変更を積極的に提案・取組みするなど、返済軽減による支援を行ってまいりました。その
  結果、重点貸出残高うち1年以内に約定弁済がある残高は、計画始期54億円増加しましたが、比率に
  ついては2.18ポイント低下しました。



 [本計画期間中の重点先貸出平均残高と重点先貸出金利回り(図表7)]                                                  (単位:億円、%)
               ‘20/3 期                ‘20/9 期                   ‘21/3期     ‘22/3期      ‘23/3期
            実績(始期)               実績              始期比             計画         計画          計画
   重点先貸出
                   3,744          3,917                 173        3,850      3,908       3,973
   平均残高
  重点先貸出金
                   1.925          1.886              △0.039        1.870      1.839       1.889
    利回り




  [2020年9月末の約定弁済がある貸出残高の比率(図表8)]
                                      (単位:億円、%)

                 ‘20/3 期               ‘20/9 期

                実績(始期)            実績                 始期比

  重点先貸出残高                3,833        4,014             181

 うち 1 年以内に約定
                         3,006        3,060                54
  弁済がある残高

     比率                  78.42        76.24           △2.18




                                              - 6-
 (2)消費者向け資金繰り支援
   住宅ローンについては、事業性貸出同様に積極的に相談を受け付け、お客さまの事情に応じて柔
  軟に条件変更に対応しました。消費者ローンについては、ローンご利用のお客さまにDM・コール
  等を活用し、幅広く「返済額軽減を含めた家計支援」の案内をした後、営業店からアプローチする
  ことで、丁寧なヒアリングからリレーションを深めることを優先したきめ細かい対応により、返済
  額軽減の条件変更に対応しました。
   消費者ローンの条件変更については、特段の理由等以外で保証会社が対応できない案件について、
  9月よりプロパー対応を開始しました。
   結果、2020年度9月期の条件変更対応については、住宅ローンは55件・6億40百万円、消費者ロー
  ンは1,531件・22億58百万円(うちプロパー対応56件・1億16百万円)となりました。
   なお、消費者ローンのプロパー対応については、将来的に見込まれる信用コストの上限を定めて
  おり、この上限を超過して増えることのないように、月次での消費者ローン専用の信用リスク報告
  を開始しています。


 [本計画期間中の住宅ローン残高と消費者ローン残高(図表9)]                                 (単位:億円、%)

                ‘20/3期         ‘20/9期         ‘21/3期      ‘22/3期      ‘23/3期

                実績(始期)     (実績)      始期比       計画          計画          計画

 住宅ローン残高           1,430     1,403      △27      1,425       1,421       1,417


 消費者ローン残高           324        306      △18         283         280         272


   保証付残高の構成比率      100%     99.68%   △0.32%       79%         69%         63%


  ※住宅ローン残高には定型アパートローンを含んでおります。


(3)信用コスト急増抑制
   新型コロナウイルス感染症拡大による景気悪化に加えて、積極的に約定弁済を止めたり、緩和し
  たりするため、債務者ごとのエクスポージャーは従来より減りにくくなります。そうした状態にお
  いて、資本を活用して地域経済の底抜けを防ぐことが、金融機能強化法の公的資金注入行の完済す
  るまでの責務であると当行は認識しています。他方、間近に迫った弁済期日に向けて、多額の信用
  コストが突発的に発生するなどにより、弁済原資である利益剰余金を減少させることも回避しなけ
  ればならないと認識しております。
   2020年度においては、「飲食業」「宿泊業」「卸・小売業」などの幅広い業種について新型コロ
  ナウイルス感染拡大の影響が見られましたが、政府の施策等などにより、倒産等は目立って増加し
  ておらず、信用コストは27百万円の戻入となりました。今後も、事業性評価の深掘りを前提とした
  WIN-WINネット業務による売上付与や各種経営改善支援に取組みながら、メインバンクとの事業再生
  連携を進め、信用コスト急増による利益剰余金毀損を回避してまいります。




                              - 7-
4.従前の経営体制の見直しその他の責任ある経営体制の確立に関する事項の進捗状況
(1)業務執行に対する監査又は監督の体制の強化のための方策
  取締役の役割と責任をより明確にするために、取締役人数の削減、任期の変更、役員報酬制度の見
 直しなどにより、迅速な業務執行と責任の明確化を図っております。2012年6月には、更なる経営の
 透明性の確保および、監査機能の強化によるコーポレートガバナンスの有効機能を目的として社外取
 締役を導入し、現在は独立役員4名体制(うち社外取締役2名)となっております。
  監査役については、当行では企業経営に対する監視・検証の機能として監査役会を設置しており、
 会計監査人や内部監査部門(業務監査部)との連携を密にするとともに、監査役が重要な諸会議へ出
 席するなど監査役機能の強化を図り、現在は、社外監査役3名を含む4名体制となっております。
  社外役員については、経営会議や取締役会などの各種会議に出席し、客観的な立場から積極的な発
 言を行い、監督と助言による有効な機能発揮に努めています。
  今後も引き続き、責任ある経営体制の確立に向けて、より迅速な業務遂行及び経営体制の強化に努
 めてまいります。


(2)リスク管理体制の強化のための方策
 ①統合リスク管理体制の強化のための方策
   当行ではこれまで、収益管理・統合リスク管理を関連付けてリスク・コスト・リターンの適正化
  を図るなど、統合リスク管理の高度化を進めてまいりました。
   具体的には、限りある自己資本の効率的な運用を目的として資本配賦運営を実施しており、部門
  別にリスク資本を配賦し、資本の使用状況について確認しております。加えて、資本配賦によるリ
  スク対比リターン評価をRAROC(リスク調整後資本収益率)等の指標を用いて部門別に実施し、
  ALM委員会へ報告しております。
   さらには、様々なシナリオによるストレス・テストの結果を踏まえた統合リスク量との比較・対
  照により、自己資本の十分性についても確認しております。
   今後についても、経営方針に沿ったリスクテイクや適正な収益確保の状況をモニタリングする態
  勢を整備してまいります。


 ②信用リスク管理体制の強化のための方策
  イ.大口先管理の強化
    全行員の融資への取組みスタンスや与信リスク管理能力の強化については、「融資の基本姿勢
   (クレジットポリシー)」及び「信用リスク管理基準」を基本原則として定めており、各種行内
   研修においても周知を図っております。
    大口与信先については、貸出合同審議会や融資取組方針検討会等において個社別のモニタリン
   グを実施し、本部営業店一体となったリスク管理強化に努めております。また、月次で貸出金ポ
   ートフォリオの状況を確認し、リスク分散に努めているほか、与信集中リスク是正に向けた対応
   強化策として、与信限度額の位置づけや目的について明文化し、限度額設定に係るルールを制定
   しております。
    具体的には、与信管理を厳正に行うため、一定の金額(クレジット・ライン)を具体的に設定
   し、クレジット・ラインを超える大口与信先に対しては、融資取組方針検討会に付議の上、取組
   方針や与信限度額の見直しを行うことにより、与信集中リスクの縮小に努めております。

                        - 8-
  なお、与信限度額を超過する融資申込みに対して、限度額増額の提案があった場合の手続きを明
 確化するため、融資取組方針検討会規程を改定するなど、大口先管理の枠組みの見直しを随時行っ
 ております。今後も大口先のモニタリング強化を図り、与信集中リスクの抑制に努めてまいります。


 ロ.債務者の実態把握
  事業者のお客さまの実態を的確に把握したうえでの信用格付を行うことが、今後も重要になっ
 ていくものと認識しております。そのためには、お取引先に関心を持ち、「お取引先を深く知る」
 ことによって、定量・定性情報の蓄積のみならず、さらに深度ある実態把握を行うことが不可欠
 であることから、2015年7月より、事業者のお客さまの事業内容や成長可能性などを適切に評価
 するツールとして「事業性評価シート」を制定し、信用格付、案件審査時の提出を義務付けてお
 ります。
  今後、金融検査マニュアル廃止の主旨に鑑み、定量評価が中心となりがちな格付判定を、定性
 評価や事業性評価のウェイトを高めた格付判定になるよう意識付けを行い、足下や将来の情報等
 を収集し企業の将来見通しをより勘案した債務者の実態把握に努めてまいります。


 ハ.収益管理システム活用による信用コスト意識の徹底
  収益管理における実効性向上を企図して、財務会計ベースであるプライシングガイドラインと
 管理会計上の収益を一体管理する「顧客別総合採算検討表(2013年9月制定)」により、採算性
 の改善が必要な先についてその改善策を個社毎に営業店に策定させるなど、営業現場に信用コス
 トを意識させる施策に取組んでおります。
  また、案件審査時には顧客別総合採算検討表およびQTシート(※)を活用し、採算を意識し
 た金利設定となっているか確認しており、営業店の意識向上を図っております。その結果、2020
 年9月期のフロー事業性融資金利の低下幅が縮小するなど、一定の効果もみられています。
  今後についても、総合採算ベースの収益管理の精緻化・高度化を図ってまいります。


 ※QTシートとは、地元の金融包摂を担いながらも、他行と融資取引のあるお客さまの約定金利
  の漫然とした低下の影響で、渉外担当者が主観的に考える「金融包摂にふさわしい最優遇金利
  水準」が低下し続けることを発見したことから、満足なスプレッドを確保できるに足る顧客価
  値提供と相関した貸出となっているか否かを見極める項目を網羅し、「貸出の“質”」のチェ
  ック機能を備えた新規実行貸出の質評価ツールです。


③市場リスク管理体制の強化のための方策
 市場リスク管理に関する基本的事項については、「市場リスク管理基準」及び「市場リスク管理
 細則」に基づき管理を行っております。
 具体的には、日次ベースでポジション枠、損失限度枠等の状況について「市場リスク管理表」を
 用いて、市場営業部の部内ミドルに加えて、リスク統括部署である総合企画部リスク統括グループ
 で確認・検証しています。加えて、損失限度額等のアラームポイント抵触に際しては、速やかにリ
 スク統括部署を経由のうえ担当役員に報告するなど相互牽制態勢の強化を図るとともに、市場リス
 ク全般に関する現況説明を四半期開催のALM委員会において行っております。
 有価証券に係る市場リスク量については、VaR法による日時管理に加えて、この手法の限界を

                      - 9-
  補完する観点から、急激な市場環境の変化を想定したストレス・テストを実施し、当行の経営体力
  および期間損益に与える影響を定期的に測定・分析しています。
   今後も市場部門へのリスク資本配賦額及び期間損益や含み損益等を考慮し、リスク限度枠および
  損失限度枠を設定するとともに、リスク資本使用率のモニタリング等により、当行の経営体力の範
  囲内でのリスクテイクを遵守し、一部運用の外部委託(オーダーメード投信の投資)も活用いたし
  ます。また、利益確定やアクションプラン等に基づく早期ロスカットの励行等、相場環境の変化に
  伴う価格変動リスクや金利上昇リスクの抑制措置を適切に講じ、当行経営体力に即した市場リスク
  管理体制の維持・強化に努めてまいります。


(3)法令遵守の体制の強化のための方策
  当行では、法令等遵守態勢の強化を経営上の重要課題として取組んでおり、頭取以下、取締役、監
 査役、各部部長により構成される「コンプライアンス委員会」にて、法令等遵守態勢の適切性・実効
 性及び反社会的勢力の排除に向けた取組み状況の検証を実施しております。
  各部店にはコンプライアンスに関する責任者(本部においては次席者、営業店は支店長)を配置し、
 担当者によるモニタリングや啓発活動を実施するとともに、法令等やトラブル事例などをテーマに勉
 強会を毎月全店にて実施し、コンプライアンス重視の企業風土の醸成に努めています。
  更に、2020 年6月には、コンプライアンス態勢の更なる強化を企図し、コンプライアンス統括室を
 コンプライアンス統括部へ格上げしました。
  「コンプライアンス委員会」の今後の運営においては、法令等遵守態勢におけるミニマム・スタン
 ダードとして求められるような事項の議論から、組織として目指すべき姿や存立基盤である地域との
 あるべき関係を明確にした「経営理念」
                  「RM行動指針」
                         「当行と地域との関わり方に関する指針(8
 カ条)
   」に照らした議論へ活性化させることにより、企業風土の更なる改善に反映させてまいります。
  また、反社会的勢力への対応についても、経営陣及び担当部署による一元的な管理態勢の下、同勢
 力との取引の未然防止・適切な中間管理・取引解消の態勢整備に努めるとともに、今後も引き続き、
 関係各部、内部監査部門及び監査役との連携によるモニタリングを実施し、法令等遵守態勢の更なる
 強化を図ってまいります。


(4)経営に対する評価の客観性の確保のための方策
  経営に対する評価の客観性を確保するために、2009年6月に外部の有識者で構成される「経営評価
 委員会」を設置しました。
  これまで半期毎に計22回開催しており、当行の経営状況、経営強化計画の進捗状況、地元のお客さ
 まへの支援状況などについて、必ずしも株主の視点ではない利用者(当行のお客さま)としての視点
 に立った外部評価委員からの「評価・助言」をもとに、経営戦略の反映に活用しております。
  今後も、半期毎に継続開催し、経営に対する評価の客観性確保に努めてまいります。


(5)情報開示の充実のための方策
 ①四半期情報開示の充実
   お客さま、株主をはじめとする投資家、地域社会等から正しい理解と信頼を得るため、迅速かつ
  正確な四半期情報開示の提供に努めています。
   開示手段としては、取引所への適時開示のほか、プレスリリース、ホームページへの掲載を行っ

                        - 10-
 ており、迅速かつ可能な限り広範にわたるステークホルダーへの開示に取組んでおります。
  今後もグループ会社を含めた開示体制の更なる充実を図り、迅速かつ質の高い情報開示に取組ん
 でまいります。


②会社情報の適時開示
  当行では、迅速な会社情報の開示を行うため、大口不良債権の発生、不祥事件の発生等、本部・
 営業店からの各種情報については、総合企画部が一元管理する態勢としております。
  総合企画部では、各種情報が適時開示情報に該当するかを検討し、原則として、取締役会等での
 承認のもとに適時適切に開示しております。
  今後も、銀行法、金融商品取引法その他の法令及び証券取引所の定める適時開示規則に基づき求
 められる情報に加え、リスク情報や部門別損益情報などの情報開示に努め、経営の透明性を高めて
 まいります。


③主として業務を行っている地域への貢献に関する情報開示の充実
  当行は、地域経済への貢献を企図して取組んでいるWIN-WINネット業務の状況や、創業支援、企業
 再生支援、経営相談等の取組みについて、これまでプレスリリース、ディスクロージャー誌等への
 掲載のほか、親睦会・講演会等にて情報提供を行っており、今後も積極的に開示していく方針です。
 また、文化・スポーツ活動への支援や、ボランティア活動、防犯協力等のCSR活動についても、
 これまで以上に地域への貢献を意識して活動してまいります。
  具体的な取組みとしては、新型コロナウイルス感染症の被害を受けたお客さまの復興に向けた「地
 産品購買支援活動」
         “きばっど鹿児島プロジェクト”に参加し、鹿児島県内の特産品、飲食店、宿泊
 施設等の情報を集約するポータルサイトを通じて、プラットフォーム参加者や本事業に賛同するお
 取引先に購買支援を行っております。
  また、
    「令和2年7月熊本県南豪雨災害」の復興支援策の一環として、2020年8月より「人吉応援
 定期預金(がんばるばい)
            」を発売し、2020年11月に総預金額の0.01%相当額を人吉市の復興支援金
 として寄付しました。
  さらに、コロナ禍で人員過剰、働き手確保に悩む中小企業間の流動人材のマッチングを促進する
 ため、2020年11月に公益財団法人「産業雇用安定センター」と連携協定を締結しました。
  こうした活動状況は、引き続きディスクロージャー誌等で開示していくなど、今後も開示内容の
 充実を図るとともに、情報開示を通じた利用者の評価を各業務に適切に反映させてまいります。




                       - 11-
5.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化、その他の主として業務を行っている地域(鹿児島県)
  における経済の活性化に資する方策の進捗状況
(1)主として業務を行っている地域(鹿児島県)における経済の活性化および、中小規模の事業者に対
  する信用供与の円滑化に資するための方針
      本経営強化計画においては、WIN-WINネット業務の本来の目的である「事業再生型WIN-WINネット
  業務」を中心に据え、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、事業継続意欲を失いつつあるお客さ
  まを安定した売上により励まし続けることによって地域経済活性化に資する取組みとしていく方針
  としています。


(2)主として業務を行っている地域(鹿児島県)における経済活性化に資する方策
 ①経営改善取組先企業の数の、取引先企業の総数に占める割合
 [経営改善の取組(図表10)]                                                             (単位:先、%)

               ‘20/3                  ‘20/9                 ‘21/3        ‘22/3        ‘23/3
               実績           計画        実績          計画比       計画           計画           計画

  創 業 ・新 事 業       43            74       110       36          75           76           77
  経 営 相 談          85            71       122       51          72           72           73
  事 業 再 生          40            44        85       41          44           45           46
  事 業 承 継          14            11        10       △1          11           11           11
  担保・保 証           95            80        28      △52          80           82           83

  合       計        277        280         355       75          282          286          290

  取引先総 数        10,688      10,708     10,812       104      10,728       10,768       10,808
  比       率       2.59       2.61        3.28      0.67        2.62         2.65         2.68




 [経営改善の取組(スプレッド判定後)(図表11)]                                                   (単位:先、%)
               ‘20/3                  ‘20/9                 ‘21/3        ‘22/3        ‘23/3
               実績           計画        実績          計画比       計画           計画           計画

  創 業 ・新 事 業           60        25        38       13              21           63       66
  経 営 相 談              58        34        41           7           42           61       64
  事 業 再 生              37        47        45       △2              36           37       37
  事 業 承 継              9         4            3     △1              7            9        10
  担保・保 証               64        31        32           1           47           67       70

  合       計        228        141         159       18          153          237          247

  取引先総 数        10,688      10,708     10,812       104      10,728       10,768       10,808
  比       率       2.13        1.31       1.47      0.16        1.42         2.20         2.28


   ※本計画において取組む「WIN-WINネット業務」による経営相談先数(経営改善先に対する本業支援実
    績を除く)は、第四次経営強化計画と同様計上しておりません。
   ※本表(図表10・図表11)に計上する「経営改善取組み先」は、以下のとおりです。




                                        - 12-
1.創業・新事業
(1)各種補助金・助成金の申請支援件数(申請完了件数)
(2)融資取組み件数(融資実行件数)
  ※ただし、 不動産賃貸、太陽光、ビジネスHAE等を除く。資金使途が創業・新事業といえるもの。
(3)政府系金融機関(日本政策金融公庫)と協調して投融資を行った件数(投融資実行件数)
2.経営相談
(1)ビジネスマッチングサービス成約件数(同サービス契約後の成約件数)
  ※ただし、売り手事業者が非取引先で、買い手事業者の経営改善に資するものに限る。
(2)技術相談会等(IT相談会等も含む)の参加企業のうち具体的な支援に取組んだ先数(大学との
   研究等を取次いだ件数、研究等にかかる契約、技術開発・導入のための契約締結、相談会実施等の
   件数)
(3)産業支援センター(よろず支援拠点・プロフェッショナル人材戦略拠点)等の外部関係機関との
   連携による企業支援件数(特許申請件数、研究・技術支援等にかかる契約締結等の件数)
3.事業再生
(1)外部関係機関(再生支援協議会・REVIC・産業支援センター・よろず支援拠点)等との連携
   による支援先数
(2)経営改善支援先等のランクアップ先数
(3)経営改善支援先等に対する本業支援実績(件数)
(4)債務超過企業等に対する金融支援(DDS・DES・債権放棄等)
4.事業承継
(1)融資取組みなど当行関与による事業承継・M&A支援先数
(2)当行が提携する外部専門家等(専門機関・公認会計士・税理士・弁護士・経営コンサルタント等)
   と連携し、事業承継・M&Aの案件発掘及び問題解決等を行った先数
(3)外部専門機関または自行にて事業承継・M&Aの取組みを成立させた先数
5.担保・保証
(1)当行における担保・保証に過度に依存しない融資(アグリネット資金“南風育ち”・TKCロー
   ン・ふるさと活性化資金等)(融資実行件数)
(2)ABL(動産担保・債権担保等)の取組み件数(融資等実行件数)

 2020 年9月期における経営改善支援等取組み先数は、計画を 75 件上回る 355 件の実績となりま
した。また、経営改善支援等取組み先企業の取引先総数に占める割合についても、計画を 0.67 ポイ
ント上回る 3.28%となりました。
 創業・新事業支援については、鹿児島県・鹿児島市の創業支援制度の活用を中心に取組み、計画
を 36 件上回る 110 件の実績となりました。経営相談については、ビジネスマッチングなどの取組み
により、計画を 51 件上回る 122 件の実績となりました。事業再生については、経営改善支援先等の
ランクアップなどにより、計画を 41 件上回る 85 件の実績となりました。事業承継については、事
業譲渡を行うための資金供給や事業売却の支援等を行ったものの、
                             計画を 1 件下回る 10 件の実績と
なりました。担保・不動産に依存しない融資については、ふるさと活性化資金およびABL等に取
組んだものの、計画を 52 件下回る 28 件の実績となりました。
 今後も引き続きコンサルティング能力の向上に努め、中小規模事業者の経営改善支援に取組んで
まいります。
 なお、本計画においては、第四次経営強化計画に引き続き、経営改善の取組みにかかる業績上の評
価について、WIN-WINネット業務で提供する売上付与と同様の顧客価値を求める目的から、役務提供
時の先数はプロセス指標として扱い、役務提供完了から1年間貸出スプレッド(率)が下がらなかっ
たことをもって翌年度に件数を計上する成果指標として上記の計画と併せて、フォローアップしてい
ます。
 前年度計上した取組み先に対し、スプレッドの維持に資する顧客価値の提供に努めた結果、2020
年9月期における経営改善支援等取組み先数は、計画を18件上回る159件の実績となりました。また、


                       - 13-
 経営改善支援等取組み先企業の取引先総数に占める割合については、計画を0.16ポイント上回る
 1.47%となりました。
  経営改善取組み後の不断のモニタリングを通じた深度ある対話により、顧客満足を向上させるこ
 とが重要であり、こうした地道な活動を行員一人ひとりに浸透・定着させるため、人事評価などに
 も反映させております。


②地域における経済活性化に資する方策
 イ.新販路開拓支援活動(WIN-WINネット業務)による地域経済活性化に資する取組みの方策
   当行は、第二次経営強化計画以降、当行独自のリレバンモデルとして「WIN-WINネット業務(新
  販路開拓コンサルティング)(以下「同業務」)」に取組んでおります。
   第三次経営強化計画からは、
               「事業再生型WIN-WINネット業務」に注力してまいりました。「事
  業再生型WIN-WINネット業務」の商品・サービス別ヒアリングシート(以下「商サ」シート)作成
  先のお客さまについては、「商サ」シート作成時点と比較して、ランクアップ3先・維持16先・ラ
  ンクダウン2先となり、業況の厳しい事業者のお客さまの19先(90.4%)でランクダウンを免れま
  した。
   引き続き「事業再生型WIN-WINネット業務」を本業支援の中心に据え、顧客本位の業務運営に資
  する業務フローの改定や業績評価の見直しなどによって、質の高い業務としてまいります。
   また、2020年7月には機構改正を実施し、営業統括部内に「WIN-WINネット業務グループ」を設
  置しました。「売上付与」によって顧客満足を提供する同業務の役割を明確にして、その他の顧
  客価値提供に煩わされることなく同業務の推進・管理に専念し、業務の見直しを図っております。
   一方、同業務に取組むうえで必要な行員のスキル向上については、各種研修時における説明会
  を実施しております。また、自主勉強会「RM統一勉強会」を定期的に開催しており、業界特性
  や事業性評価(経営課題も含む)等の理解に努めております。
   こうした取組みの結果、2020年9月末で1,000先と業務委託契約を締結しており、売上高改善実
  績累計は74億91百万円(売上改善した契約先数は785先)となっております。また、2020年9月期
  においては、売り手が重点先事業者となるビジネスマッチング契約を89先と締結し、販路開拓支
  援に努めております。
   足下においては、コロナ禍の影響を受け、対面での商談が制限されたことにより、新規コンサ
  ル件数が減少しておりますが、コロナ禍により毀損した商流の回復に向け、新たな販路開拓支援
  を実施してまいります。


  ※商品・サービス別ヒアリングシート先=事業再生型WIN-WINネット業務契約先のうち、「商品・
   サービスに関する事業性の問題点」を深掘りし、販路開拓対象商品・サービスの瑕疵をきちん
   と踏まえた上での、販売見込先への真摯な説明や交渉をサポートする機能を備えた販売用カタ
   ログを作成し、販路支援を行う契約先




                       - 14-
[WIN-WINネット業務の実績推移(表12)]                                         (単位:先、百万円)
             項 目       '17/9      '18/3      '18/9   '19/3   '19/9   '20/3   '20/9
           契約先合計       1,639       1,612     1,254   1,239   1,097   1,089   1,089
契約        業務委託契約締結先    1,639       1,612     1,254   1,239   1,033   1,005   1,000
      ビジネスマッチング契約先         -             -      -       -       64      84      89
          売上高改善実績累計    5,091       5,595     6,166   6,651   7,050   7,382   7,595
          業務委託契約締結先    5,091       5,595     6,166   6,651   6,974   7,291   7,491
      ビジネスマッチング契約先         -             -      -       -       76      91     104
成約
      売上改善した契約先数累計         621       672       717     747     776     790     803
          業務委託契約締結先        621       672       717     747     768     778     785
       ビジネスマッチング契約先        -             -      -       -        8      12      18
 ※ビジネスマッチング契約先については、売り手が重点先事業者となる先。


  (イ)WIN-WINネット業務を活かした地方創生への取組みについて
      地方創生には、地元中小企業が強くなり、安定した雇用が創出されることによる定住人口の
     増加に加え、地域資源を活用した観光分野の情報発信による交流人口の増加が必要であると考
     えております。そのためには、本業として取組んでいるWIN-WINネット業務を活用した地域事業
     者の安定的なトップラインの拡大を図るとともに、域外への情報発信にも積極的に取組んでま
     いります。
      また、商談会参加も難しい鹿児島県の取引先のお客さまの商品サンプルを保管して、積極的
     に首都圏の販売見込先等に紹介できるように、東京支店に業務用冷蔵庫を常設しております。
      当期の県外への売上高改善実績(鹿児島県内のWIN-WINネット業務契約先の鹿児島県外店舗で
     の売上高改善実績)は、30件の35百万円となりました。


  (ロ)豊和銀行及び宮崎太陽銀行との販路開拓支援分野における業務提携
      2018 年5月、3 行が地盤とする九州南東部(鹿児島、大分、宮崎県)の面的地域経済活性化
     への貢献を目的として、 行による)お取引先事業者の販路開拓支援分野における業務提携」
               「(3
     を締結いたしました。
      これまで、3 行による販路開拓に関するシステムの共同開発会議を行い、同分野でのビジネ
     スモデルの難易度に相応しい「業務フロー・ノウハウの共有」
                                、「システムの共同利用」 「県
                                            及び
     境を越えた新販路情報の共有」を有効且つ効率的に機能させるためのシステムの要件定義など
     の協議・準備を進めてまいりました。当システムについては、
                                「商品・サービス」の詳細や「販
     売実績事例」を登録することで、データを活用し顧客のニーズに沿った販路開拓支援が可能と
     なります。2020 年度中に上記対応を踏まえたシステム更改を予定しております。
      今後も、
         「自力では売上が増加しない商品・サービスを抱えて悩む各行のお取引先事業者の売
     上改善に寄与する」という本提携趣旨の具現化に向け、協議・準備を引き続き進めてまいりま
     す。




                                 - 15-
ロ.「本業が苦しい先」及び「創業・新事業先」に対する支援
 当行は、人口減少が今後も続くとともに、新型コロナウイルス感染症の影響を多くの事業者が
受けている状況において、本業が苦しい事業者のお客さま(当行債務者区分上では下位要注意先
以下破綻懸念先以上のお客さまを想定)への支援および営業基盤が脆弱な創業・新事業先への支
援が、地域経済を支えていくうえで不可欠であると認識しております。
 これらのお客さまに対する支援の効果が現れるまでには時間を要するため、複数の支援を継続
して実施していくことが重要であることから、本部・営業店が一体となって支援できるように情
報系システム(BANK-R)の活用によって情報の共有化を図り、支援内容の進捗履歴を管理
する態勢としております。
 これによって様々な事例を蓄積し、経営課題の内容や支援内容について分類・体系化するなど、
成功パターンの蓄積と活用を目指してまいります。


ハ.創業又は新事業の開拓に対する支援に係る機能の強化のための方策
 創業・新事業への融資取組みについては、専担の審査役を配置しており、県・市の創業支援制
度の活用や、信用保証協会および政府系金融機関との連携強化による協調融資等を行い、2020年
9月期は小規模事業者を中心に79件の取組み実績となりました。創業時や創業間もない事業者に
対する円滑な資金調達を支援することで、スムーズな事業展開をサポートしています。
 また、新事業に関するサポートとして、よろず支援拠点及びかごしま産業支援センターとの連
携により鹿児島県等の各種支援制度等に関する情報提供や鹿児島大学の技術移転機関である㈱鹿
児島TLO等との産・学・官ネットワークを活用した「技術相談会」を実施し、新商品・新技術
開発・生産合理化・コスト削減・特許取得等を検討しているお取引先企業の課題解決を図り技術
向上、ノウハウの取得等について支援活動を行っております。
 今後も、新事業進出に関する情報提供や経営相談の充実を図り、潜在的な企業の新事業進出ニ
ーズ(事業転換・多角化)を顕在化させ、新事業進出支援を行ってまいります。


ニ.経営に関する相談その他の取引先の企業に対する支援に係る機能の強化のための方策
 事業者のお客さまに対する経営相談及び支援機能強化の観点から、経営改善が見込める当行メ
インのお客さまを中心に、融資部経営支援室と営業店が連携し経営改善アドバイスや提案等を行
うなどの経営改善支援活動に取組んでおります。
 事業者のお客さまの抱える課題等の実態を把握したうえで、「計画策定」・「再生策実施」・
「モニタリング」の三位一体となった再生支援に努めており、相談の内容によっては法務・税務
等専門知識が必要となることから、弁護士等専門家へ紹介するなどの対応を行っております。
 今後も事業者のお客さまの販路拡大やオペレーション改善支援に積極的に取組むことで、事業
運営改善に取組んでまいります。


ホ.早期の事業再生に資する方策
 事業再生については、外部機関(再生支援協議会・REVIC・経営改善支援センター・保証
協会・よろず支援拠点等)との連携を通じ、経営改善支援先に対して、金融支援や本業支援等に
積極的に取組んでいます。2020 年度9月期における外部機関との連携による再生支援につきまし
ては、経営改善計画策定支援や新型コロナウイルス感染症特例リスケジュール計画策定支援など

                    - 16-
   を実施しました。
    今後とも、当行は地域経済の活性化や当行事業基盤の強化を図る観点より、事業者のお客さま
   の事業力(稼ぐ力)の強化や経営課題の解決に貢献すべく、その取組みに注力してまいります。


  へ.事業の承継に対する支援に係る機能の強化のための方策
    事業者のお客さまの多種多様な事業承継の相談に的確に対応するため、税理士法人やM&A支
   援会社との連携を強化し、また、行員の事業承継相談に対する対応力の向上を図るため、営業店
   向け事業継承に関する勉強会を継続的に実施しております。
    今後も、お客さまの事業・資産承継の課題解決に向けて有効なソリューションを提案し、事業
   承継に向けた支援に努めてまいります。


  ト.担保不動産に過度に依存しない融資の強化のための方策
    動産担保融資(ABL)については、畜産業、製造業等を中心に活用しており、一方、太陽光
   発電事業に対するものは近時減少傾向にあります。また、継続的なモニタリングの実施、SPC
   への融資対応、債権や在庫処分の案件も手掛けるなど、事業の実態把握の高度化も図られている
   と考えております。
    なお、2020年9月末現在で動産評価アドバイザーは5名となっており、今後も適切に対応して
   まいります。


(3)中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化のための方策
 ①中小規模事業者等向け信用供与円滑化計画
   中小規模事業者に対する貸出金残高は、長期経営計画で計画する貸出金の先数・残高をベースと
  して、雇用や商流などを有し、事業性評価を必要とする重点先事業者に対する貸出に注力すること
  から、計画期間内において130億円増加させる計画としております。


[中小規模事業者等に対する貸出残高、総資産に対する比率(図表13)]                                  (単位:億円、%)

            ‘20/3              ‘20/9              ‘21/3     ‘22/3      ‘23/3
            実績        計画       実績        計画比      計画        計画         計画

 中小規模事業者等
              3,491    3,523     3,696      173     3,554     3,584      3,621
 向け貸出残高

 総資産残高        7,865    8,005     8,637      632     8,049     8,090      8,132

 総資産に対する
              44.39    44.00     42.79    △1.21     44.15     44.30      44.53
 比率
(注)中小規模事業者等向け貸出とは、銀行法施行規則第19条の2第1項第3号ハに規定する別表一における中小企業等から個人
   事業主以外の個人を除いた先に対する貸出で、かつ次の貸出を除外しております。
   政府出資主要法人向け貸出及び特殊法人向け貸出、土地開発公社向け貸出等、大企業が保有するSPC向け貸出、
   当行関連会社向け貸出、その他金融機能強化法の趣旨に反するような貸出

  2020年度においては新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、事業者のお客さまの全先訪問を実施
 し、業況把握に努め、資金繰り、本業・経営改善を行いました。また、政府の資金繰り支援もあり新
 型コロナウイルス関連融資への取組みに注力したことから、中小事業者向け貸出残高は計画を173億円



                                 - 17-
上回る3,696億円となりました。一方、総資産が計画始期を632億円上回ったことなどから総資産に対
する比率は計画を1.21ポイント下回る42.79%となりました。
 今後も、コロナ禍において、地域経済の活性化への貢献を果たすべく、お客さまの資金繰り支援を積極
的に行っていく方針です。


②中小規模の事業者に対する信用供与の実施体制の整備のための方策
 イ. 地域における主要業種への支援
      当行取引先事業者のお客さまの主要な業種としては、「サービス業」「卸・小売業」「建設業」
     「不動産業」の4つの業種が太宗を占めています。これは概ね地域経済の業種ポートフォリオと
     重なっておりますが、農業やサービス業の中の医療・福祉業のように競合他行が積極的に金融包
     摂することから、当行との取引が少ない業種もあります。
      融資部内に、専門性を要する事業者への積極的な支援を目的に、ビジネスサポートグループを
     新設しました。各専門分野「農業」「医療・介護」の担当者をそれぞれ配置することで、特定業
     種への円滑な資金供給に向けて、本支店での目利き力を高め、支援体制の強化を図ってまいりま
     す。また、地元基幹産業かつ成長分野でもある「農林水産」や厳しい環境下にある「医療・福祉」
     については、特に当行が事業支援すべき分野であり、鹿児島県においても経済波及効果が大きい
     ことから、人員を4名体制に拡充しました。今後、業界動向のデータ分析及び蓄積を行い、各種
     団体や専門家、政府系金融機関との連携体制を構築することで、地域経済の活性化に更に寄与し
     てまいります。


 [当行取引先事業者のお客さまの業種ポートフォリオ(始期との比較)(図表14)]
                                                                      (単位:億円、%)

             ‘20/3(始期)            ‘20/9                         始期比
     業 種
             先数        残高      先数           残高      先数        増減率     残高        増減率
製造業              554     247      564        262         10     1.8        15     6.1
建設業            1,966     363   1,991         404         25     1.3        41    11.3
卸・小売業          1,440     558   1,463         607         23     1.6        49     8.8
不動産業           1,955   1,157   2,007        1,190        52     2.7        33     2.9
医療・福祉業           495     311      522        321         27     5.5        10     3.2
農林鉱水産業           686      88      652         86    ▲ 34      ▲ 5.0     ▲ 2     ▲ 2.3
全体           10,397    3,858   10,568       4,059    171        1.6     201       5.2

 ロ. 事業性評価に基づく融資への対応
      地域の中小規模の事業者に対する信用供与については、事業性評価に融資審査の主眼をおいて、
     全行的に取組んでおります。今後も若手行員を中心とした目利き力強化研修の実施や「農業」「医
     療・介護」分野等における専担部署である「ビジネスサポートグループ」の活用、外部専門機関
     との協調による事業者のお客さまへの経営支援の実施などにより、行員の現場での対話力と提案
     力の強化を図り、業種特性の理解を深めることにより、事業性評価に基づく融資対応に努めてま
     いります。
      また、2020年度においては、新型コロナウイルス感染拡大による売上減少がお客さまの資金繰
     りに与える影響の実態把握を行うためのツールとして「企業財務・資金繰り判定シート」を作成

                                    - 18-
 し、営業店との経営改善策等の協議に活用しております。
  新型コロナウイルス感染症による地域経済への影響は拡大しており、当行は地域金融機関とし
 て、事業者へのファイナンスとオペレーション(本業)両面での支援を行うことが責務であると
 考えており、影響を受けた事業者のお客さまへの資金繰り支援においても、事業特性を理解した
 うえでの返済見直し(短コロ、返済額軽減)などの対応を積極的に行ってまいります。


ハ. 新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小規模の事業者のお客さまに対する支援対応
   新型コロナウイルス感染症の影響拡大を受け、厳しい状況が続く中小規模事業者のお客さまに
  対し迅速な融資対応を行うため、体制整備に取組んでおります。


[主な対応状況(図表15)]

  ① 新規融資の支店長権限の拡大
  ② 条件変更の支店長権限の拡大
  ③ お客さま対応に関する統一的な対応方針を明確化し、経営陣から営業店へ
     直接伝達・指示
  ④ 受付審査の状況把握を行い、案件進捗・滞留案件の状況により本部サポー
     トチームを営業店へ派遣
  ⑤ お客さまから具体的に条件変更の申込みがない段階でも、当行から能動的
     に元金据置を提案・実施
  ⑥ 条件変更の相談に際し、通常であれば相応の時間を要すバンクミーティン
     グを開催せず、電話連絡等で速やかに調整・対応を実施
  ⑦ 条件変更中・事業再生中の事業者のお客さまについて、従前からの事業性
     評価を元に事業継続は可能と判断し、新規融資を実施
  ⑧ 収支予測資料等がない場合も柔軟に対応
  ⑨ 個人のお客さま向けカードローンの返済額軽減(貸越残高による毎月返済
     の設定金額を縮小)を追加(従業者のお客さま)
  ⑩ 条件変更手数料の免除




③担保・保証に過度に依存しない融資の促進、その他の中小規模の事業者のお客さまの需要に対応し
た信用供与の条件または方法の充実のための方策
 担保保証に過度に依存しない融資の促進については、商流の把握や動産評価を行うことにより事
業性評価に繋がるABLの活用を図っております。
 具体的には、繁殖牛や肥育牛などを担保とした畜産業者向け、鰹節やサツマイモを担保とした卸
売業者向けなど、鹿児島県産品を取扱う事業者に対して、円滑な資金供給の一手法として活用して
おります。特に、農業関連については、所有不動産が農地中心となることから、金融機関として担
保を取得しづらいケースがありますが、ABL等を活用することで、担保・保証に過度に依存しな
い資金供給が可能となっております。
 また、診療報酬を担保とした医療機関向けの取組みも行っております。債権や在庫などの動産を

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担保とすることで、商流情報の取得による事業者のお客さまの業況把握や財務内容の悪化に対する
早期対応が可能となるなど、取組みの効果は大きいものと考えております。
 なお、経営者保証ガイドラインの積極的な活用に資するため、従来保証の要否判断に使用してい
た経営者保証確認フロー表兼判定シートを廃止し、より簡便に代替手法等を検討することができる
よう、経営者保証チェックシートの見直しを行っているほか、事業承継時に焦点を当てた特則対応
のチェックシートも2020年2月に制定し活用を図っており、2020年度9月期の事業承継時における
経営者保証の二重徴求はありませんでした。
 今後も、ABLや経営者保証ガイドラインの取組み事例の蓄積により、担保・保証に過度に依存
しない融資を促進し、中小規模事業者の多様な資金ニーズに応えてまいります。


④中小規模の事業者等向け信用供与円滑化計画を適切かつ円滑に実施するための方策
 中小規模事業者等向け貸出を着実に増加させるため、創業・新事業に取組む事業者のお客さまに
対する支援をはじめ、WIN-WINネット業務への取組みによって発生する増加運転資金等の需要にも適
切に対応してまいります。




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6.剰余金の処分の方針
(1)配当、役員に対する報酬及び賞与についての方針
  当行ではこれまでも、役員数の削減による報酬総額の減少に努めるなど、利益の社外流出を抑制し
 てまいりました。
  さらに役員退職慰労金制度の廃止と役員持株会への一定額の拠出を柱とする役員報酬制度の見直し
 も行っております。
  普通株式の配当につきましては、公的資金の返済期限を4年後に控え、その返済の道筋をつけると
 ともに、経営体質の強化を図るために必要な内部留保の確保及び充実の観点から、2020 年6月には減
 配(年間 50 円を 25 円へ)を実施しました。
  今後も財務体質の強化を図るとともに、国の資本参加を踏まえ、内部留保の蓄積を図る観点から、
 引き続き利益の社外流出を抑制することといたします。
  本計画において掲げる施策を着実に実行することにより、2024 年3月末において利益剰余金を 196
 億円まで積み上げる計画としております。
  また、本計画期間中での公的資金返済に向けた出口戦略を明確にするため、新たな資本調達につい
 ても検討を開始しております。


 [当期純利益、利益剰余金の計画(図表 16)]                                                           (単位:億円)

         ‘20/3                ‘20/9                 ‘21/3       22/3       ‘23/3       ‘24/3

          実績                                        計画          計画         計画           計画
                     計画       実績          計画比


 当期純利益           6        4        10           6           5          4           6           6


 利益剰余金       129      130         136           6       131          151        174        196




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7.財務内容の健全性および業務の健全かつ適切な運営の確保のための方策の進捗状況
(1)経営強化計画の適切な運営管理に向けた活動
  経営強化計画の着実な履行を確保するため、総合企画部を中心として、取締役、各部・室長で構成
 する「経営計画推進委員会(原則毎月1回開催)」において、経営強化計画の施策の進捗管理や実効
 性を高めるための方策を協議・決定し、計画実行に向けて取組んでまいります。
  特にWIN-WINネット業務については、本計画において顧客本位の業務運営、及び新型コロナウイルス
 感染症の影響により厳しい状況にある事業者及び個人のお客さまの支援による地域経済の回復・活性
 化に向けて、その実効性を高めるとともに、進捗状況については各種会議等での周知・協議に加え、
 営業店にも積極的に有用な情報を開示するなどによって、適切な業務運営に向けた一体感を醸成して
 まいります。


(2)経営の透明性確保
  株主、お客さま及び地域社会の皆さまに、より当行の経営に対する理解を深めていただくために、
 引き続き、適時適切な情報開示を行うことで経営の透明性を確保してまいります。


(3)内部監査態勢の強化
 ①内部監査部門の態勢整備
   各種リスク管理態勢を十分検証できる専門性や必要な知識を修得すべく、外部研修への参加や金
  融内部監査士の資格取得を進めるなど人材育成を行っております。
   また、
     「不備事項分析システム」を活用した不備の根本原因追究等によるリスクベース監査の実践
  と、
   各種施策の課題に対して機動的な監査に努めるなど、
                          第3線監査態勢の強化を図っております。
   営業店監査については、月次リスクアセスメントを継続する等、不祥事未然防止に向けた牽制態
  勢の強化を図ってまいります。


 ②監査役・監査法人との連携
   監査役との連携については、監査結果及び内部監査の品質評価を報告するとともに、監査の実効
  性向上に向けた意見交換などを行っています。今後も、監査役との協力体制を更に深め、監査機能
  の発揮に努めてまいります。
   監査法人との連携については、定期的に実施する自己査定検討会をはじめ、財務報告に係る内部
  統制の有効性について意見交換を行っています。
   今後も、監査役及び監査法人との連携の充実により、内部監査の品質向上と効率化に取組んでま
  いります。


 ③経営計画運営管理の適切性および有効性の検証
   経営強化計画の運営管理の適切性および有効性の確保を目的として、本部各部の各種施策に対す
  る取組みを検証する等、
            ビジネスモデルや経営計画に即した経営に資する監査を実践していきます。
   尚、検証結果については、取締役会等に随時報告することで経営管理(ガバナンス)態勢強化を
  図るとともに、改善事項のフォローアップを行ってまいります。




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(4)各種のリスク管理の状況および今後の方針等
 ① 流動性リスク管理
  流動性リスクを「運用と調達の期間のミスマッチや予期せぬ資金の流出により、必要な資金確保が
 困難になる、または通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより損失を被る
 リスク(資金繰りリスク)
            、および市場の混乱等により市場において取引が出来ないことや、通常より
 も著しく不利な価格での取引を余儀なくされることにより損失を被るリスク(市場流動性リスク)
                                            」と
 定義し、流動性リスク管理基準に基づき管理しております。
  また、流動性リスク管理にあたっては、資金繰り状況を日次で経営陣へ報告するなど予兆管理を徹
 底しているほか、定量・定性両面を考慮した資金繰りの逼迫度区分に分類するとともに、地域社会へ
 の適切な金融仲介機能を発揮するための準備資金としての、第一線準備量(現金や預け金などの流動
 性準備高)を潤沢に確保するなど、万全の資金繰り対策を講じてまいります。


 ② オペレーショナル・リスク管理
  当行では、オペレーショナル・リスクを「業務の過程、役職員の活動若しくはシステムが不適切で
 あること又は外生的な事象により損失を被るリスク」と定義し、具体的には事務リスク、システムリ
 スク、法務リスク、イベントリスク及びレピュテーショナルリスクを、リスク管理基準(オペレーシ
 ョナル・リスク管理編)に基づき管理しております。
  これらのうち、法務リスクについては、4.(3)に記載のとおりです。事務リスクについては、事務
 ミスの発生した原因や傾向分析を行うことで改善策を講じるとともに、これを事務指導・研修にも活
 用することで、本部・営業店一体となった事務ミスの削減と行員のレベルアップを図っております。
 臨店指導においては、営業店の実態面が反映されるように評価方法を変更し、役席の関与度、リスク
 の認識の低い営業店は個別指導を実施しております。一方、顕在化していない事象についても、四半
 期毎に開催されるリスク管理委員会を通じてリスクの洗出しを実施することで、未然の防止に努めて
 おります。
  システムリスクについては、外部ウイルス等の脅威に対し、共同センター(SBK)を利用する加
 盟行全体でのリスク強化を図るべく、共同センター版CSIRTを立ち上げ、毎月定期に最新のセキ
 ュリティインシデント情報の交換と、修正パッチ情報の適用状況などを共有する態勢を整備し運用し
 ております。2020年9月には、ドメインサービス提供事業者の脆弱性を突いたドメイン名ハイジャッ
 ク攻撃対策として監視ツールを導入し、意図しない当行ホームページ等のドメイン名変更を速やかに
 検知できる態勢を整備しております。
  また、イベントリスクについては、各種BCPマニュアルの見直しや訓練を適宜実施しております。
  加えて、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大や豪雨災害による営業店の被災に伴い、営業時間
 の短縮やスプリット勤務体制等の構築のほか、お客さま及び行員の命と健康を守る体制整備などに取
 組みました。これまでの平時においての業務運営では気付けなかったことも多くあり、今後のBCP
 対策に活かしてまいります。
  オペレーショナル・リスクについては、リスクが広範に亘るほか、定量化が難しいカテゴリーであ
 るものの、引き続き、規模特性に応じたオペレーショナル・リスク管理態勢の構築を図ってまいりま
 す。
                                            以 上



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