8554 南日本銀 2020-09-30 16:10:00
経営強化計画の開示について [pdf]

                                                               2020 年9月 30 日
各 位
                                         会 社    名    株式会社 南日本銀行
                                         代表者名        取 締 役 頭 取 齋藤 眞一
                                         (コード番号 8554 福証 )
                                         問 合 せ 先 総合企画部 経営企画グループ
                                         電話番号       (099)226-1117(直通)



                           経営強化計画の開示について


 株式会社 南日本銀行(頭取 齋藤 眞一)は、「金融機能の強化のための特別措置に関する法
律」に基づき、経営強化計画(計画期間:2020 年4月1日から 2023 年3月 31 日)を策定いたし
ましたので、開示いたします。


                                     記


1. 開示資料
  (1) 経営強化計画(本文)
  (2) 経営強化計画(ダイジェスト版)



※ 経営強化計画(本文、ダイジェスト版)の内容につきましては、当行ホームページの「IR情
  報」に掲載しておりますので、ご参照下さい。
      掲載場所 https://nangin.jp/ir/management_plan/post_12.html
                                                                      以   上
経営強化計画(ダイジェスト版)
(金融機能の強化のための特別措置に関する法律第12条)




         2020年6月
                      目 次

1.前経営強化計画の実績についての総括             ・・・1

2.経営課題に向けた対応と今回計画のポイント          ・・・3

3.経営の改善の目標を達成するための方策(経営の改善目標)   ・・・4
 (1)事業者向け資金繰り支援                 ・・・5
 (2)消費者向け資金繰り支援                 ・・・7
 (3)信用コスト急増抑制                   ・・・8

4.責任ある経営体制の構築                   ・・・9

5.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化          ・・・10
1.前経営強化計画の実績についての総括(1)
(1)収益性を示す指標(コア業務純益)                                                                    (単位:百万円)

                                                                     2020/3月期                         [未達成理由]
                                2018/3期       2019/3期
                    計画始期                                                                              ・貸出金利回の低下による資金利益の減少。
                                 実績            実績          計画       実績        計画比            始期比      ・新勘定系システム関連費用増加による経費の増加。

  コア業務純益             3,651        2,927         2,332      3,662    2,057     △1,605         △1,594
  ※ コア業務純益=業務純益+一般貸倒引当金-国債等債券関係損益


 ◆なんぎんKPI (コア業務純益)                                                                         (単位:百万円)

                                                                     2020/3月期                         [未達成理由]
                                2018/3期       2019/3期
                    計画始期                                                                              ・重点先貸出残高は増加したものの、重点先貸出
                                 実績            実績          計画       実績        計画比            始期比       金利回りが低下したことにより、計画未達となった。
  重点先事業者の貸出金
                     7,701        7,615         7,500      7,848    7,459       △389           △242
  利息




(2)業務の効率性を示す指標(業務粗利益経費率)                                                            (単位:百万円、%)


                                   2018/3期      2019/3期                  2020/3月期                     [未達成理由]
                      計画始期                                                                            ・機械化関連費用を除く経費は減少したものの、資金
                                     実績           実績
                                                            計画      実績         計画比           始期比       利益や役務取引等利益などが計画を下回り、業務
                                                                                                       粗利益も減少したことから、業務粗利益経費率は計
  機械化関連費用を除く経費          8,366         8,408        8,423    8,389    8,035      △354           △331
                                                                                                       画未達となった。
  業務粗利益                14,506       12,965        12,776   14,571   12,520     △2,051        △1,986

  業務粗利益経費率              57.67         64.85        65.93    57.57    64.17          6.60       6.50
  ※ 業務粗利益経費率=機械化関連費用を除く経費÷業務粗利益               ※ 機械化関連費用は、減価償却費、機械賃借料等を計上

 ◆なんぎんKPI(OHR)                                                                      (単位:百万円、%)


                                   2018/3期      2019/3期                  2020/3月期                     [未達成理由]
                      計画始期                                                                            ・機械化関連費用を除く経費は減少したものの、貸出
                                     実績           実績
                                                            計画      実績         計画比           始期比       金利回りの低下を主因とした重点先事業者の貸出
                                                                                                       金利息の減少により業務粗利益経費率は計画未
  機械化関連費用を除く経費          8,366         8,384        8.407    8,389    8,015      △374           △351
                                                                                                       達となった。
  なんぎんKPI(コア業務純益)       7,701         7,615        7,500    7,848    7,459      △389           △242

  業務粗利益経費率             108.64       110.09        112.09   106.90   107.44          0.54      △1.20
  ※ 業務粗利益経費率=機械化関連費用を除く経費÷業務粗利益               ※ 機械化関連費用は、減価償却費、機械賃借料等を計上




                                                                                                                                  1
1.前経営強化計画の実績についての総括(2)
(3)中小規模事業者等向け信用供与の残高・比率                                                    (単位:億円、%)

                                                         2020/3月期                      [達成理由]
                          2018/3期   2019/3期
                 計画始期                                                                  ・当行が持続可能なビジネスモデルとして掲げている
                           実績        実績
                                              計画       実績       計画比          始期比        WIN-WINネット業務を中心とした本業支援や経営改善
                                                                                        支援など、付加価値の高いサービス提供や事業性評価に
  中小規模事業者等向け                                                                            基づく貸出への取組みにより、中小規模事業者等向けの
                  3,260     3,317     3,383   3,350    3,491        141         231
  貸出残高                                                                                  貸出残高は計画期間を通じて目標値を達成したことから、
  総資産残高           7,791     7,941     7,989   7,994    7,865    △129             74     総資産に対する比率についても目標を達成。

  総資産に対する比率       41.84     41.77     42.34   41.90    44.39        2.49       2.55




(4)なんぎんKPI重点先事業者(中小規模事業者等向け貸出残高)の計画・実績                                     (単位:億円、%)

                          2018/3期   2019/3期              2020/3月期
                 計画始期                                                                  [達成理由]
                           実績        実績                                                ・「事業性評価を必要とし地元鹿児島県の商流や雇用に
                                              計画       実績       計画比          始期比
                                                                                        貢献のある先」と定義する重点先の増強、及びWIN-
  重点先事業者                                                                                WINネット業務の実践からの波及により、重点先事業者
  (中小規模事業者等向け)    2,971     3,037     3,128   3,192    3,219         27         248     等向けの貸出残高は計画を達成したことから総資産
  貸出残高                                                                                  に対する比率についても、目標を達成。
  総資産残高           7,791     7,941     7,989   7,994    7,865    △129             74

  総資産に対する比率       38.13     38.24     39.15   39.93    40.92        0.99       2.79




(5)経営改善支援等の取組み                                                             (単位:先、%)

                          2018/3期   2019/3期              2020/3月期
                 計画始期                                                                  [未達成理由]
                            実績        実績                                               ・中小規模事業者の経営改善支援に取り組んだものの、創
                                              計画       実績       計画比          始期比
                                                                                        業や新事業、事業再生、担保・保証に依存しない融資取
  経営改善支援等取組先数       373       166       214     245      228        △17       △145      組みなどの一部において、計画未達がなったことにより、総体
                                                                                       の件数および比率については計画未達となった。
  取引先総数           9,905    10,083    10,672   10,025   10,688       663         783     [第四次経営強化計画より、役務提供後1年間スプレッド
                                                                                        (率)が下がらなかった場合のみ、1年後に計画実績として
  比 率            ※ 3.76      1.64      2.00     2.44     2.13   △0.31         △1.63
                                                                                        計上]

  ※第四次経営強化計画と同定義にて算定した場合、計画始期の比率は1.53%となります。




                                                                                                                       2
2. 経営課題に向けた対応と今回計画のポイント
[地域における課題]
  新型コロナウイルス感染症による地元経済への影響が広がり、ほぼ全ての業種の事業者や個人に影響が及んでいる状況にある。


[当行のこれまでの総括と課題]
  2011年度からの第二次経営強化計画において、事業者の販路開拓支援(WIN-WINネット業務)でビジネスマッチングを超える付加
価値提供を意図して着手し、地域の金融包摂を担っていることから高止まりがちな信用コストをカバーした上での、着実な利益剰余金蓄積を
当行は目指してきた。

   2013年度から注力した事業再生型WIN-WINネット業務(顧客価値提供より債務者への売上付与によるランクダウン防止に注力した
    WIN-WINネット業務)と従来取組んできた事業再生支援が奏功。
    信用コスト : 10年間で3分の1程度に圧縮

   マーケットインビジネスモデル特有の複雑な事務工程や管理が必要となるWIN-WINネット業務について、面としての行員の対応能力改
    善が、10年前に想定していた期待水準に及ばなかった。
    → 顧客価値提供が不足 → 重点先事業者の貸出金利息:計画未達
    → 結果として、WIN-WINネット業務より簡単な消費者ローン利息収入への依存(全体貸出金利息の4分の1を占めるに至った一方、
       少なくはない残高がもとで支払保証料負担も大きくなる)

   公的資金注入から 10年を経過しながらも、利益剰余金の積上げ状況は計画に一歩及ばず。

<上記課題を踏まえ、本計画で目指すもの>


新型コロナウイルス感染症の影響により一段
                        日本一の金融包摂を担保できるに足る新た   修正長計において、公的資金完済後も安定
と厳しい状況にある事業者及び個人のお客
                        な資本増強策も検討しながら、公的資金の   的な収益を確保できる、持続可能なビジネス
さまにしっかりと寄り添い、地域経済の回復・
                        本計画期間内での早期完済を確保する     モデルの確立を目指す
活性化を図る




                                                                     3
3.   経営の改善の目標を達成するための方策


 コア業務純益の改善額(収益性を示す指標)
                                                                        (単位:百万円)


                  2020/3末実績     2021/3末      2022/3末      2023/3末
                                                                        始期比
                    (始期)          計画           計画           計画

コア業務純益                  2,057        2,105        2,193        2,445          388

※ コア業務純益=業務純益+一般貸倒引当金繰入額-国債等債券関係損益




 業務粗利益経費率の改善幅(効率性を示す指標)
                                                                       (単位:百万円、%)


                  2020/3末実績     2021/3末      2022/3末      2023/3末
                                                                        始期比
                    (始期)          計画           計画           計画

機械化関連費用を除く経費            8,035        8,098        7,973        7,865        △170

業務粗利益                  12,520       12,227       12,170       12,283        △237

業務粗利益経費率                64.17        66.21        65.50        64.02        △0.15

※ 業務粗利益経費率=機械化関連費用を除く経費÷業務粗利益
※ 機械化関連費用は、減価償却費、機械賃借料等を計上




                                                                                    4
3.    経営の改善の目標を達成するための方策
(1)事業者向け資金繰り支援
   事業者のお客さまの約定弁済負担を軽減し、ポストコロナに向けて本業の立て直しを支援する
      少なくとも当面1年間は、約定弁済にかかわる資金繰りの不安から解放されて、ポストコロナに向けて事業運営に注力できると
      いう顧客価値を提供




                < 重点先向けの貸出のうち、1年以内に約定弁済がある貸出残高の比率を低減する >
               <事業特性を理解したうえでの返済見直し(短コロ、返済額軽減)などの対応も積極的に行う>

       計画始期時点で重点先残高においても8割弱に及んでいる「前年度末時点で1年以内に約定弁済がある貸出残高比率」
       (下表)が、当該年度末までに減少したポイント数を「どれだけ約定弁済が止められたか」を評価するためにモニタリングする



 [2020年3月末の約定弁済がある貸出残高の比率] (単位:億円、%)


                           2020/3末実績


     重点先貸出残高                      3,833

     うち1年以内に約定弁済がある残高             3,006

     比率                           78.42




                                                                   5
3.   経営の改善の目標を達成するための方策
◎新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小事業者のお客さまに対する支援対応
  新型コロナウイルス感染症の影響拡大を受け、厳しい状況が続く中小事業者のお客さまに対し迅速な融資対応を
 行うため、以下の体制整備に取組んでおります。


      ① 新規融資の支店長権限の拡大
      ② 条件変更の支店長権限の拡大
      ③ お客さま対応に関する統一的な対応方針を明確化し、経営陣から営業店へ直接伝
        達・指示
      ④ 受付審査の状況把握を行い、案件進捗・滞留案件の状況により本部サポートチームを
        営業店へ派遣
      ⑤ お客さまから具体的に条件変更の申込みがない段階でも、当行から能動的に元金据置
        を提案・実施
      ⑥ 条件変更の相談に際し、通常であれば相応の時間を要すバンクミーティングを開催せず、
        電話連絡等で速やかに調整・対応を実施
      ⑦ 条件変更中・事業再生中の事業者のお客さまについて、従前からの事業性評価を元に
        事業継続は可能と判断し、新規融資を実施
      ⑧ 収支予測資料等がない場合も柔軟に対応
      ⑨ 個人のお客さま向けカードローンの返済額軽減(貸越残高による毎月返済の設定金
        額を縮小)を追加(従業者のお客さま)
      ⑩ 条件変更手数料の免除




                                                       6
3. 経営の改善の目標を達成するための方策
(2)消費者向け資金繰り支援
  “消費者個人のお客さまの約定弁済負担を軽減”することで、ポストコロナに向けて家計の立て直しを支援する

   【住宅ローン】
     事業性貸出同様に積極的に相談を受け付け、お客さまの事情に応じて柔軟に条件変更対応


   【消費者ローン】
     毎月の弁済額を原則半減化するなどの条件変更によって対応




                           条件変更対応            【プロパー】
            【保証会社保証】       が困難な場合      消費者ローンの条件変更や新規実行を
                                          保証会社保証無しで対応




           保証委託残高の減少
           (役務費用削減)                        信用コスト管理



                                             【上限管理】
                                    月次での消費者ローン専用の信用リスク報告を開始




                                                              7
3. 経営の改善の目標を達成するための方策
(3)信用コスト急増抑制
  事業再生途中の事業者のお客さまへの売上付与により、“計画期間中の信用コスト急増を抑止”する

    新型コロナウイルス感染症による地元経済への影響が広がり、ほぼ全ての業種の事業者に影響が及んでいる状況にある

    コロナ禍による景気悪化に加えて、積極的に約定弁済を止めたり、緩和したりするため、債務者ごとのエクスポージャーは従来
     より減りにくくなる

    間近に迫った弁済期日に向けて、多額の信用コストが突発的に発生するなどにより、弁済原資である利益剰余金を本計画
     期間中に減少させることも回避しなければならない




             新型コロナウイルス感染症の影響により一段と厳しい状況にある事業者


                ↑       ↑       ↑        ↑      ↑


      <事業性評価の深掘りを前提としたWIN-WINネット業務による売上付与を増強>
     地域金融機関としてファイナンスとオペレーション(本業)両面での支援を行うことが責務


                            信用コスト急増を抑止



                                                                 8
4. 責任ある経営体制の構築
  責任ある経営体制の強化
(1)監査又は監督体制の強化
   社外取締役2名体制によるコーポレートガバナンス機能発揮
   経営に対する監視・検証機能の強化(会計監査人・内部監査部門との連携、各種会議への出席)
(2)リスク管理
   統合リスク管理
    • 長期経営計画等の経営方針に即したリスクテイクに基づく資本配賦運営
   信用リスク
    • 大口先管理の強化、格付精緻化を活用した貸出金ポートフォリオの良質化への取組み
    • 収益管理システム活用による信用コスト意識の徹底(QTシートの活用)
   市場リスク
    • 厳格な有価証券運用、相場環境変化へのアクションプランに基づく早期対応
(3)法令遵守
    • コンプライアンス重視の企業風土の醸成、反社会的勢力の排除
    • 「経営理念」「RM行動指針」「当行と地域との関わり方に関する指針(8カ条)」に照らした議論へ活性化
(4)経営に対する評価の客観性の確保
    • 外部有識者で構成される「経営評価委員会」からの助言・提言の経営への活用
(5)情報開示の充実
    • 迅速かつ正確な四半期開示の提供
    • 地域経済活性化への取組み(WIN-WINネット業務等)の開示の充実
   財務内容の健全性及び業務の健全かつ適切な運営の確保のための方策
   経営計画の適切な運営管理に向けた活動
   「経営計画推進委員会」及び各種会議等による施策の進捗管理や実効性向上へ向けた議論の活発化
   (特にWIN-WINネット業務は、顧客本位の業務運営、及び新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい状況にある事業者及び個
   人のお客さまの支援による地域経済の回復・活性化に向けた実効性・進捗状況を協議・管理する)



                                                                   9
5. 中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化
中小規模事業者等向け貸出残高、比率
                                                                                                (単位:億円、%)


                                 2020/3末         2021/3末        2022/3末           2023/3末
                                                                                                  始期比
                                実績(始期)             計画             計画                計画


中小規模事業者等向け貸出残高                       3,491            3,554           3,584             3,621           130

総資産                                  7,865            8,049           8,090             8,132           267

総資産に対する比率                            44.39            44.15           44.30             44.53         0.14




 経営改善の取組み
                                                                               (単位:先、%)

                 2020/3末          2021/3末        2022/3末        2023/3末
                                                                                 始期比
                 実績(始期)             計画             計画             計画

創業・新事業                     43               75             76             77            34

経営相談                       85               72             72             73           △12

事業再生                       40               44             45             46             6

事業承継                       14               11             11             11            △3

担保・保証                      95               80             82             83           △12

合 計                    277              282            286            290               13

取引先総数                10,688           10,728         10,768         10,808             120

比 率                    2.59             2.62           2.65           2.68             0.09




                                                                                                              10
経   営    強    化    計     画
(金融機能の強化のための特別措置に関する法律第12条)




         2020年6月
                        目 次
1.前経営強化計画の実績についての総括                      ・・・・・・   1
(1)経営環境                                  ・・・・・・   1
(2)資産負債の状況                               ・・・・・・   1
(3)損益の状況                                 ・・・・・・   2
(4)経営強化計画の終期において達成されるべき「経営改善目標」に対する実績    ・・・・・・   2
(5)地域経済の活性化への貢献の状況を示す指標に対する実績            ・・・・・・   6
2.経営強化計画の実施期間                            ・・・・・・   9
3.経営強化計画の終期において達成されるべき経営の改善目標            ・・・・・・   9
(1)収益性を示す指標(コア業務純益)                      ・・・・・・   9
(2)業務の効率性を示す指標(OHR)                      ・・・・・・   10
4.当行の現状と課題                               ・・・・・・   10
(1)地域における現状と課題                           ・・・・・・   10
(2)経営環境に関する課題と本計画が目指すもの                  ・・・・・・   10
5.経営の改善の目標を達成するための方策                     ・・・・・・   12
(1)事業者向け資金繰り支援                           ・・・・・・   13
(2)消費者向け資金繰り支援                           ・・・・・・   14
(3)信用コスト急増抑制                             ・・・・・・   14
6.従前の経営体制の見直しその他の責任ある経営体制の確立に関する事項       ・・・・・・   15
(1)業務執行に対する監査又は監督の体制の強化のための方策            ・・・・・・   15
(2)リスク管理体制の強化のための方策                      ・・・・・・   16
(3)法令遵守の体制強化のための方策                       ・・・・・・   17
(4)経営に対する評価の客観性の確保のための方策                 ・・・・・・   18
(5)情報開示の充実のための方策                         ・・・・・・   18
7.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化、その他の主として業務を行って
  いる地域(鹿児島県)における経済の活性化に資する方策             ・・・・・・   19
(1)主として業務を行っている地域(鹿児島県)における経済の活性化および、
   中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化に資するための方針         ・・・・・・   19
(2)主として業務を行っている地域(鹿児島県)における経済活性化に資する方策   ・・・・・・   19
(3)中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化のための方策            ・・・・・・   23
8.剰余金の処分の方針                              ・・・・・・   26
(1)配当、役員に対する報酬及び賞与についての方針                ・・・・・・   26
9.財務内容の健全性及び業務の健全かつ適切な運営の確保のための方策        ・・・・・・   27
(1)経営計画の適切な運営管理に向けた活動                    ・・・・・・   27
(2)経営の透明性確保                              ・・・・・・   27
(3)内部監査態勢の強化                             ・・・・・・   27
(4)各種のリスク管理の状況および今後の方針等                  ・・・・・・   28
10.協定銀行が現に保有する取得株式等にかかる事項                ・・・・・・   29
11.機能強化のための計画の前提条件                       ・・・・・・   30
1.前経営強化計画の実績についての総括
(1)経営環境
     前経営強化計画策定時におきましては、国内経済における雇用・所得環境の改善などに支えられ景気は
 堅調な回復を続けると思われましたが、為替相場次第では企業収益・景気全体の腰折れリスクが一気に浮
 上する可能性もあり、不安定な動きが懸念されたことから、計画期間内の株価については、19,000円程度
 の水準で横ばい推移することを想定しておりました。また、金利につきましては、マイナス金利政策のも
 と、日銀による国債買い入れオペが継続するとの見方などから、政策誘導金利及び市場金利につきまして
 も横ばいを予想しておりました。
     2020年初めからの新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて金融市場は大きく変動しましたが、計画期
 間内においては、持続的な経済成長の実現を目指した政府の経済対策などにより国内景気は回復基調が続
 き、株価は概ね横ばいで推移しました。一方政策誘導金利や市場金利は想定程度の水準での推移となりま
 した。


[各種指標(図表1)]
                  ‘17/3 末              ‘18/3 末                        ‘19/3 末                             ‘20/3 末
      指 標
                   実績         前提         実績       計画比        前提           実績       計画比         前提           実績        計画比
無担コール翌日物    (%)   △0.060     △0.060     △0.068    △0.008     △0.060       △0.060          0    △0.060      △0.070     △0.010

TIBOR3 ヶ月   (%)     0.057      0.050     0.069      0.019     0.050        0.069       0.019     0.050       0.069      0.019

新発10年国債利回   (%)     0.067      0.050     0.043    △0.007      0.050       △0.082   △0.132        0.050       0.031    △0.019

ドル/円レート     (円)    112.19     110.00     106.24    △3.76     110.00       110.99       0.99    110.00       108.83     △1.17

日経平均株価      (円)    18,909     19,000     21,454     2,454    19,000       21,205       2,205   19,000       18,917      △83



(2)資産負債の状況
     主要勘定のうち、2020年3月末の貸出金は、地元鹿児島県の中小企業向けの貸出等を中心に、2017年3
 月末比32億59百万円の増加となりました。
     預金についても個人や法人の要求払預金を中心に、2017年3月末比97億4百万円の増加となり、有価証
 券につきましては、国債等の減少により、2017年3月末比135億4百万円の減少となりました。


[資産・負債の推移(図表2)](単体)                                                                                        (単位:百万円)
            ‘17/3期             ‘18/3期                  ‘19/3期                                  ‘20/3期

              実績            実績         前年比         実績        前年比             実績         ‘17/3比           計画          計画比
資産           779,140    794,195        15,055     798,985       4,790      786,571         7,431     799,492         △12,921
 うち貸出金       566,215    566,299            84     567,360       1,061      569,474         3,259     576,075         △6,601
 うち有価証券      91,721         85,586     △6,135     84,224      △1,362        78,217      △13,504          89,356      △11,139
負債           735,540    750,871        15,331     755,768       4,897      745,413         9,873     753,214         △7,801
 うち預金        724,934    742,285        17,351     748,002       5,717      734,638         9,704     744,502         △9,864
 うち社債・借用金     2,000              -     △2,000            -            -            -     △2,000               -            -
純資産          43,600         43,323      △277      43,216        △107        41,158       △2,442          46,278      △5,120




                                                  - 1-
(3)損益の状況(3期間累計)
 貸出金は計画期間内において増勢基調を維持したものの、同利回りは計画した水準を確保できなかった
ため、貸出金利息は計画期間内の3期間では計画比△15億74百万円となりました。一方、市場金利の低下
を受けて預金利息は減少し、計画比△3億49百万円となりました。有価証券利息配当金については計画を2
億84百万円下回りました。役務取引等利益は、金融商品販売手数料の減少などにより計画を2億41百万円
下回りました。
 経費については、2019年1月に勘定系システムの更改を実施したことにより関連費用等が増加したこと
から計画を1億2百万円上回りました。
 これらにより、コア業務純益の3期間累計実績は計画比△18億18百万円となりました。
 コア業務純益以下の損益においては、不良債権処理額が計画を12億50百万円下回ったことなどから、臨
時損益は、計画を16億30百万円上回ったものの、経常利益については、計画を17億8百万円下回り、当期
純利益ベースにおいては、20億94百万円下回りました。


[損益状況(3期間累計)
           (図表3)](単体)                                                     (単位:百万円)
                    ‘18/3期      ‘19/3期       ‘20/3期      3期間        3期間
                                                                               計画比
                     実績          実績           実績         累計実績       累計計画
 業務粗利益                12,965      12,776       12,520     38,261     40,858    △2,597
  (コア業務粗利益)         (12,951)    (12,556)     (12,235)    (37,742)   (39,458)   △1,716
  資金利益                13,684      13,343       13,049     40,076     41,578    △1,502
      うち貸出金利息         12,908      12,510       12,154     37,572     39,146    △1,574
      うち預金利息              481          344         248     1,073      1,422     △349
      うち有価証券利息配当金      1,201       1,114        1,077      3,392      3,676     △284
  役務取引等利益              △754        △790         △817      △2,361     △2,120     △241
  その他業務利益                 35           223         288       546      1,400     △854
      (うち国債等関係損益)      (14)        (219)        (284)      (517)     (1,400)    △883
 経費                   10,023      10,224       10,178     30,425     30,323       102
      うち人件費            5,506       5,609        5,448     16,563     16,581      △18
      うち物件費            3,830       3,964        4,101     11,895     11,814          81
 一般貸倒引当金繰入額               857      △41             121       937        300       637
 業務純益                  2,084       2,593        2,220      6,897     10,234    △3,337
 (コア業務純益)            (2,927)     (2,332)      (2,057)     (7,316)    (9,134)   △1,818
 臨時損益                     168    △1,115       △1,040      △1,987     △3,617     1,630
      うち不良債権処理額           125      1,011           914     2,050      3,300    △1,250
      うち株式関係損益            477      △15          △85          377        900     △523
 経常利益                  2,252       1,477        1,180      4,909      6,617    △1,708
 特別損益                  △34             △4       △197       △235       △210       △25
 税引前当期純利益              2,218       1,473           982     4,673      6,407    △1,734
 法人税等合計                1,387           594         328     2,309      1,950       359
 当期純利益                    830          878         653     2,361      4,455    △2,094


(4)経営強化計画の終期において達成されるべき「経営改善目標」に対する実績
①コア業務純益(収益性を示す指標)
      県内での金利競争が激しくなる中、WIN-WINネット業務や消費者ローンの取組みにより、2020年3月
  期において、貸出金利回りの低下幅は前年度実績比で鈍化したものの、貸出金利回りは計画に対し0.109
  ポイント下回っており、貸出金利息は計画を8億91百万円下回りました。預金においては、公金を中心
  とした預金量の減少に加え、利回りが計画を0.025ポイント下回ったことから、預金利息は計画を1億81

                                - 2-
百万円下回りました。また、有価証券利息配当金は計画を3億67百万円下回り、資金利益全体では計画
を10億72百万円下回りました。役務取引等利益については、金融商品販売手数料が減少したことなどか
ら、計画を4億67百万円下回りました。
 経費においては、経費削減へ向けた諸施策に取組んだものの、新勘定系システム関連の償却負担増加
などにより計画を69百万円上回りました。
 この結果、業務純益は計画を21億41百万円下回り、国債等関係損益を除いた2020年3月期のコア業務
純益は20億57百万円となり計画を16億5百万円下回りました。


[なんぎんKPI(コア業務純益)]
 当行は、コア業務純益を構成する収益のうち長期経営計画をベースに計画する「重点先事業者向け貸
出から得られる貸出金利息」を当行が目指すべき収益と位置づけ、顧客価値の提供に裏付けられた収益
性を示す当行独自の「なんぎんKPI(コア業務純益)
                        」として、フォローアップしてまいりました。
2020年3月期は、なんぎんKPI(コア業務純益)は、計画を3億89百万円下回る74億59百万円となり
ました。
 2018年9月期より従来のなんぎんKPIと併せて、地公体向け分を除外したなんぎんKPIの計画を
本計画期間中に追加設定し、下記実績と始期比を併記するとともに、地公体向け分を除外した計数によ
る管理運用を行ってまいりました。


[コア業務純益の改善額(図表4)]                                                          (単位:百万円)
         計画               ‘18/3                    ‘19/3                   ‘20/3
         始期       計画       実績       計画比    計画       実績      計画比    計画       実績      計画比

コア業務純益   3,651    2,770     2,927    157   2,703    2,332   △371   3,662    2,057   △1,605


         計画始期からの改善額
         計画       実績      計画比

コア業務純益     11    △1,594   △1,605
※コア業務純益=業務純益+一般貸倒引当金繰入額-国債等債券関係損益

[なんぎんKPI(コア業務純益)(図表5)]                                                     (単位:百万円)
         計画               ‘18/3                    ‘19/3                   ‘20/3
         始期       計画       実績       計画比    計画       実績      計画比    計画       実績      計画比

重点先事業者
         7,701    7,753     7,615   △138   7,802    7,500   △302   7,848    7,459    △389
の貸出金利息
重点先事業者
の貸出金利息   7,568     ―        7,502   ―      7,678    7,403   △275   7,728    7,379    △349
(地公体除)


         計画始期からの改善額
         計画       実績      計画比
重点先事業者
          147     △242     △389
の貸出金利息
重点先事業者
の貸出金利息    160     △189     △349
(地公体除)


                                    - 3-
※「重点先事業者」は、長期経営計画で「事業性評価を必要とし地元鹿児島県の商流や雇用に貢献のある先」
 と定義する事業者のこと(一般先事業者を除く事業者)。
※「一般先事業者」は、貸出金が「実質消費性ローン(不動産賃貸業者、太陽光売電事業者向けの貸出金)」
 のみの事業者のこと。
※「重点先事業者の貸出金利息」=「重点先事業者貸出残高」×「計画(実績)利回」


[参考:損益状況の計画対比(図表6)](単体)
                                                                            (単位:百万円)
                   ‘18/3期                   ‘19/3期                 ‘20/3期
                               計画比                      計画比                    計画比
                    実績                       実績                     実績
業務粗利益                12,965      △175         12,776     △371        12,520     △2,051
 (コア業務粗利益)          (12,951)     (111)       (12,556)   (△291)      (12,235)   (△1,536)
 資金利益                13,684       △26         13,343     △404        13,049     △1,072
     うち貸出金利息         12,908      △118         12,510     △565        12,154       △891
     うち預金利息              481      △32             344    △136            248      △181
      貸出金利回(%)        2.298     △0.008         2.222    △0.066        2.161     △0.109
      預金利回(%)         0.065     △0.005         0.046    △0.019        0.033     △0.025
      預貸金粗利鞘(%)       2.233     △0.003         2.176    △0.047        2.128     △0.084
     うち有価証券利息配当金      1,201           61       1,114          22      1,077       △367
 役務取引等利益              △754            116      △790        110        △817        △467
 その他業務利益                 35      △265             223     △77            288      △512
     (うち国債等関係損益)       (14)     (△286)         (219)     (△81)        (284)     (△516)
経費                   10,023       △47         10,224          80     10,178          69
     うち人件費            5,506       △48          5,609          63      5,448        △33
     うち物件費            3,830       △52          3,964          0       4,101         133
一般貸倒引当金繰入額               857          757       △41      △141            121         21
業務純益                  2,084      △886          2,593     △310         2,220     △2,141
 (コア業務純益)           (2,927)      (157)        (2,332)   (△371)      (2,057)    (△1,605)
臨時損益                     168     1,407        △1,115          74    △1,040          149
     うち不良債権処理額           125     △975          1,011      △89            914      △186
     うち株式関係損益            477          177       △15      △315          △85        △385
経常利益                  2,252           521      1,477     △237         1,180     △1,992
特別損益                   △34            36          △4          66      △197        △127
税引前当期純利益              2,218           557      1,473     △171            982    △2,120
法人税等合計                1,387           879         594         95         328      △615
当期純利益                    830          322         878    △266            653    △1,506


②業務粗利益経費率(業務の効率性を示す指標)
  2020年3月期における機械化関連費用を除く経費は、計画を3億54百万円下回る80億35百万円となり
 ました。また、業務粗利益については、貸出金利息及び有価証券利息配当金の減少等により、資金利益
 が計画を10億72百万円下回ったことから、計画を20億51百万円下回る125億20百万円となりました。
  その結果、業務粗利益経費率は、計画を6.60ポイント上回る64.17%となりました。




                               - 4-
[業務粗利益経費率の改善幅(図表7)]                                                                      (単位:百万円、%)
              計画                   ‘18/3                       ‘19/3                      ‘20/3
              始期        計画         実績       計画比       計画       実績       計画比     計画        実績       計画比
    経費
               8,366    8,516       8,408      △108   8,517     8,423    △94    8,389      8,035    △354
(機械化関連費用除く)

  業務粗利益       14,506    13,140     12,965      △175   13,147   12,776   △371    14,571    12,520   △2,051
 業務粗利益経費率      57.67    64.81       64.85   △0.04     64.78     65.93    1.15   57.57      64.17     6.60


                 計画始期からの改善幅
               計画         実績         計画比
    経費
                   23      △331        △354
 (機械化関連除く)
  業務粗利益            65    △1,986      △2,051
 業務粗利益経費率      △0.10        6.50        6.60
※業務粗利益経費率 =(経費-機械化関連費用)/ 業務粗利益
※機械化関連費用は、減価償却費、機械賃借料等を計上


[なんぎんKPI(OHR)の計画・実績]
  業務の効率性を示す指標としては、
                 「重点先事業者の貸出金利息」を分母とし、機械化関連費用を除
 く経費を分子として業務粗利益経費率(OHR)を算定します。これに基づき算出される指標を当行独
 自の「なんぎんKPI(OHR)
               」として、フォローアップしてまいりました。
  2020年3月期は、機械化関連費用を除く経費は計画を3億74百万円下回ったものの、重点先事業者の
 貸出金利息も計画を3億89百万円下回る74億59百万円となりました。
  その結果、なんぎんKPI(OHR)は、計画を0.54ポイント上回る107.44%となりました。

[なんぎんKPI(OHR)の計画・実績(図表8)                                                                 (単位:百万円、%)
              計画                   ‘18/3                       ‘19/3                      ‘20/3
              始期        計画         実績       計画比       計画       実績       計画比     計画        実績       計画比
    経費
              8,366      8,516      8,384      △132    8,517    8,407   △110    8,389      8,015   △374
(機械化関連費用除く)
 なんぎんKPI
              7,701      7,753      7,615      △138    7,802    7,500   △302    7,848      7,459   △389
 (コア業務純益)
 業務粗利益経費率     108.64    109.84     110.09      0.25   109.16   112.09    2.93   106.90    107.44    0.54


               計画始期からの改善幅
              計画        実績         計画比
    経費
                  23    △351       △374
 (機械化関連除く)
 なんぎんKPI
                 147    △242       △389
 (コア業務純益)
 業務粗利益経費率     △1.74     △1.20       0.54
※分母は「重点先事業者の貸出金利息」(なんぎんKPI(コア業務純益))とする。
 ・重点先事業者の貸出金利息=「重点先事業者貸出残高」×「計画(実績)利回」
※分子は「機械化関連費用を除く経費」とするが、
 ・SBK新システム移行関連費用(増員に伴う人件費、コンサル料等)
 ・顧客本位の業務運営に資する費用(リテール部門におけるWEB化費用等)については、経費実績から除
  くものとする。
                                            - 5-
(5)地域経済の活性化への貢献の状況を示す指標に対する実績
 ①中小企業又は地元事業者に対する信用供与の残高の総資産に占める割合
    中小規模事業者等に対する信用供与の実績については、創業新事業や担保不動産に過度に依存しない
  融資取組みに努めた結果、中小企業者向け貸出残高は、計画期間を通じて目標値を達成しており、地域
  における金融の円滑化に積極的に取組んだ結果であると評価しています。
    中小企業又は地元事業者に対する信用供与の残高の総資産に占める割合についても、計画を2.49ポイ
  ント上回る44.39%となりました。
    今後も引き続き、地域経済の活性化への貢献を果たすべく、円滑な信用供与にかかる各種施策に対し
  て積極的に取組んでまいります。


  [なんぎんKPI(中小規模事業者等向け貸出残高)の計画・実績]
   長期経営計画における重点先事業者の貸出残高のうち中小規模事業者等向けの貸出をなんぎんKP
  Iとしてフォローアップしてまいりました。
   2020年3月期は、お客さまの事業性の把握及び理解に基づく貸出を中心に、地元へ積極的に融資を行
  い、重点先事業者(中小規模事業者等向け)貸出残高は、計画を27億円上回る3,219億円(計画始期比
  248億円増加)となりました。
   総資産に対する比率についても、計画を0.99ポイント上回る40.92%となりました。


 [中小規模事業者等に対する信用供与の実績(図表9)]                                             (単位:億円、%)
                  計画        ‘18/3 末             ‘19/3 末                ‘20/3 末
                  始期       計画      実績          計画      実績      計画       実績       計画比
 中小規模事業者等向け貸出残高   3,260    3,289       3,317   3,319   3,383   3,350     3,491    141
      総 資 産       7,791    7,893       7,941   7,939   7,989   7,994     7,865   △129
    総資産に対する比率     41.84    41.67       41.77   41.81   42.34   41.90     44.39    2.49


                    計画始期からの純増額
                  計画       実績      計画比
 中小規模事業者等向け貸出残高      90      231         141
      総 資 産         203       74       △129
    総資産に対する比率       0.06    2.55        2.49
(注)中小規模事業者等向け貸出とは、銀行法施行規則第19条の2第1項第3号ハに規定する別表一における中小企業等
   から個人事業主以外の個人を除いた先に対する貸出で、かつ次の貸出を除外しております。
   政府出資主要法人向け貸出及び特殊法人向け貸出、土地開発公社向け貸出等、大企業が保有するSPC向け貸出、
   当行関連会社向け貸出、その他金融機能強化法の趣旨に反するような貸出




                                - 6-
 [なんぎんKPI(中小規模事業者等向け貸出残高)の計画・実績(図表10)]
                     計画       ‘18/3 末             ‘19/3 末                ‘20/3 末
                     始期      計画      実績          計画      実績      計画       実績       計画比
        重点先事業者
                     2,971   3,044       3,037   3,118   3,128   3,192     3,219     27
  (中小規模事業者等向け)貸出残高

      総 資 産          7,791   7,893       7,941   7,939   7,989   7,994     7,865   △129
    総資産に対する比率        38.13   38.57       38.24   39.28   39.15   39.93     40.92    0.99


                      計画始期からの純増額
                     計画      実績      計画比
        重点先事業者
                      221      248          27
  (中小規模事業者等向け)貸出残高

      総 資 産           203       74       △129
    総資産に対する比率         1.8     2.79        0.99
(注)「重点先事業者(中小規模事業者等向け)貸出残高」は、長期経営計画で定義する「重点先事業者」に対する
  貸出のうち中小規模事業者向けの貸出残高(保証会社保証付ローンを除く)のこと。


 ②経営改善支援等取組先企業の数の取引先の企業の総数に占める割合
   前計画より役務提供後1年間貸出スプレッド(率)が下がらなかった場合のみ、1年後に計画実績と
  して計上しています。なお、スプレッドの維持に実績もあり、最も効果的なWIN-WINネット業務につい
  ては、経営相談の取組先数には計上しておりません。
   2020年3月期における経営改善支援等取組先企業の数については、中小規模事業者の経営改善支援に
  取組んだ結果、スプレッド判定前の対応実績は計画を上回ったものの、スプレッド判定後の件数・割合
  は計画を達成することができませんでした。
   具体的には、「創業・新事業支援」においては、専担の審査役を配置し、県・市の創業支援制度の活
  用や信用保証協会および㈱日本政策金融公庫等の政府系金融機関との連携強化による協調融資等を行
  いました。
   「経営相談」については、当行取引先のお客さまの商品・サービスを個別にマッチングする有料のビ
  ジネスマッチングサービスや、各種商談会への誘致による販路拡大支援、かごしま産業支援センターや
  鹿児島大学の技術移転機関である㈱鹿児島TLO等との産・学・官ネットワークを活用した「技術相談
  会」の実施等を行っております。
   「事業再生」については、中小企業再生支援協議会との連携等による経営改善支援を行い、過剰債務
  の状態にあるもののキャッシュフローを確保でき、事業再生可能と判断したお取引先には、DESやD
  DS等の資本性借入金を活用するなどの踏み込んだ金融支援も行いました。
   「事業承継」については、お取引先の事業承継ニーズに対して、商工会議所・中小企業基盤整備機構
  等、外部機関との連携を図りながらアドバイスを行っており、今後も相談業務にあたる行員の能力向上
  に取組み対応してまいります。
   「担保・保証に過度に依存しない融資等」については、行員の目利き力を向上させるために、事業性
  評価の研修や勉強会を都度実施するなど、事業性評価に融資審査の主眼を置き、全行的に取組んでおり
  ます。
   また、地元基幹産業かつ成長分野でもある「農業」など、業種別での支援の専担部署として、2020
  年1月から融資部内にビジネスサポートグループを設置しており、本グループ及びWIN-WINネット業務
  を中心に事業者のお客さまの経営の安定 成長に資する支援機能強化及び事業者のお客さまが有する課
                    ・
  題解決に資するコンサルティング機能の充実を図ってまいります。
                                  - 7-
[経営改善の取組み(図表11)]                                                                                  (単位:先)
                 計画                  ‘17/9 期                       ‘18/3 期                    ‘18/9 期
                 始期             計画             実績             計画             実績           計画          実績

 創業・新事業               91              44              40            47            43           53          57
 経   営   相   談        117             28              42            28            29           33          45
 事   業   再   生        51              26              38            27            65           32          43
 事   業   承   継         2               3               6             3             3            5           7
 担 保 ・ 保 証            112             56              45            56            26           61          54

 合           計        373            157             171           161            166         184         206

 取 引 先 総 数        9,905          9,925            10,025       9,945         10,083        9,965        10,132
 比           率   3.76%          1.58%             1.70%       1.61%          1.64%        1.84%         2.03%
※前経営強化計画と同定義にて算出した場合、2017/3期の実績の比率は1.53%となります。
                      ‘19/3 期                       ‘19/9 期                             ‘20/3 期
                 計画             実績             計画             実績         計画              実績          計画比
 創業・新事業                59            66              65            66             71           60         △11
 経   営   相   談         36            37              41            41             44           58           14
 事   業   再   生         37            74              42            49             47           37         △10
 事   業   承   継          5             5               7            14              7           9             2
 担 保 ・ 保 証             66            32              71            73             76           64         △12

 合           計        203            214            226            243         245           228          △17

 取 引 先 総 数        9,985         10,672            10,005      10,725         10,025       10,688           663
 比           率   2.03%          2.00%             2.25%       2.26%          2.44%        2.13%      △0.31%


 役務提供後1年間貸出スプレッド(率)が下がらなかった場合のみ、1年後に計画実績として計上した
ものが図表11ですが、役務提供後1年間貸出スプレッド(率)が下がってしまった経営改善支援等取組先も
含めて実績として計上したものが、図表12(対応実績として表記)となります。この実績計上方法であれ
ば、前計画期間中のすべての期において、計画を上回る結果となっており、WIN-WINネット業務を除く経営
改善の取組みが役務提供後1年間貸出スプレッドを維持するまでの顧客価値提供に及ばなかったと総括し
ました。


[ご参考:経営改善の対応実績(スプレッド判定前)(図表12)]                                                                     (単位:先)
                 計画                  ‘17/9 期                       ‘18/3 期                    ‘18/9 期
                 始期             計画          対応実績              計画         対応実績             計画         対応実績

 創業・新事業               91              44              80            47            86           53          86
 経   営   相   談        117             28              64            28            58           33          67
 事   業   再   生        51              26              52            27            103          32          58
 事   業   承   継         2               3              13             3             7            5          25
 担 保 ・ 保 証            112             56              88            56            52           61         125

 合           計        373            157             297           161            306         184         361

 取 引 先 総 数        9,905          9,925            10,025       9,945         10,083        9,965        10,132
 比           率   3.76%          1.58%             2.96%       1.61%          3.03%        1.84%         3.56%

                                           - 8-
                          ‘19/3 期                          ‘19/9 期                        ‘20/3 期
                    計画             対応実績               計画            対応実績       計画         対応実績        計画比

 創業・新事業                    59               84              65          50           71         43      △28
 経   営   相   談             36               77              41          68           44         85          41
 事   業   再   生             37               44              42          56           47         40       △7
 事   業   承   継              5               21               7             9         7          14            7
 担 保 ・ 保 証                 66              108              71          63           76         95          19

 合           計            203              334             226          246       245           277         32

 取 引 先 総 数               9,985           10,672          10,005      10,725     10,025      10,688       663
 比           率        2.03%              3.12%           2.25%       2.29%      2.44%       2.59%      0.15%


2.経営強化計画の実施期間
 本経営強化計画の実施期間は2020年4月(計画の始期)より2023年3月(計画の終期)までとします。


3.経営強化計画の終期において達成されるべき経営の改善の目標
 当行では前計画において、企業風土改革に取組まなければならない根深い問題の影響を認識し、顧客本
位の業務運営に適した企業風土改革の実現を目指してまいりました。
 当行では本計画期間中においても、顧客本位の業務運営に向けたベストプラクティスならびに地域経済
活性化を引き続き進めていくとともに、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている事業者・個人のお
客さまにしっかりと寄り添い、地域経済の回復・活性化に寄与してまいります。


 本経営強化計画における経営改善の目標を以下のとおりとして取組んでまいります。


(1)収益性を示す指標
 [コア業務純益の改善額(図表13)]                                                                             (単位:百万円)
             ‘20/3期        ‘20/9期         ‘21/3期         ‘21/9期      ‘22/3期    ‘22/9期     ‘23/3期
                                                                                                      改善額
             実績(始期)          計画             計画             計画         計画        計画         計画

  コア業務純益         2,057           1,071        2,105         1,101      2,193     1,150      2,445       388

 ※コア業務純益=業務純益+一般貸倒引当金繰入額-国債等債券関係損益


 本計画におけるコア業務純益については、長期経営計画で計画する貸出金の残高をベースとして、事業性評
価を必要とする事業者のお客さまに対する貸出に注力し、金融仲介機能の発揮に資する取組みを実践するとと
もに、顧客本位の業務運営に徹し顧客満足を向上させ、短期的収益に依存しない計画としております。




                                                  - 9-
(2)業務の効率性を示す指標
[業務粗利益経費率の改善幅(図表14)]                                                        (単位:百万円、%)
            ‘20/3期     ‘20/9期    ‘21/3期     ‘21/9期    ‘22/3期     ‘22/9期    ‘23/3期
                                                                                      改善幅
            実績(始期)      計画        計画          計画       計画         計画        計画

 経費(機械化
              8,035      4,103     8,098      4,039     7,973      3,987     7,865     △170
 関連費用を除く)


 業務粗利益        12,520     6,190     12,227     6,146     12,170     6,128     12,283    △237


 業務粗利益
              64.17      66.27     66.21      65.70     65.50      65.07     64.02    △0.15
 経費率

 ※業務粗利益経費率 =(経費-機械化関連費用)/ 業務粗利益
 ※機械化関連費用は、減価償却費、機械賃借料等を計上


4.当行の現状と課題
(1)地域における現状と課題
 当行が営業基盤とする地元鹿児島県の経済は、2016年の熊本地震の影響から回復し、2018年度の明治維
新150周年関連や大河ドラマ「西郷どん」放映による効果もあり、観光業及び農林水産業などを中心に、
その反動減や日韓関係悪化によるインバウンドの落ち込みが直近ではみられたものの、底堅く推移してい
ました。
 また、観光関連の交流人口拡大の影響は、消費のみならず、鹿児島市内における大型再開発事業などの
設備投資を後押しするとともに、東京五輪・パラリンピック直後に開催予定のかごしま国体・かごしま大
会の大型イベントを今年度に控え、鹿児島経済の回復基調は続く見通しとされていました。
 しかしながら、新型コロナウイルス感染症による外出自粛や休業要請等により、観光関連はもとより、
畜産業を中心とした一次産業のほか、ほぼ全ての業種の事業活動に影響が及んでいる状況にあり、鹿児島
県として予定していた大型イベントの経済効果の機会も危ぶまれる中、資金繰り支援や販路開拓などの事
業者支援とともに、事業者同様少なからず苦境に陥っている消費者個人への新たな支援を展開していく必
要があると考えております。


(2)経営環境に関する課題と本計画が目指すもの
 2011年度からの第二次経営強化計画において、事業者の販路開拓支援(WIN-WINネット業務)でビジネ
スマッチングを超える付加価値提供を意図して着手し、地域の金融包摂を担っていることから高止まりが
ちな信用コストをカバーした上での、着実な利益剰余金蓄積を当行は目指してきました。
 信用コストのカバーについては2013年度から注力した事業再生型WIN-WINネット業務と既往の事業再生
支援が奏功して、10年間で3分の1程度に信用コストを圧縮することができました。しかしながら、マーケ
ットインビジネスモデル特有の複雑な事務工程や管理が必要となるWIN-WINネット業務について、面とし
ての行員の対応能力改善が、10年前に想定していた期待水準に及ばなかったことは真摯に受けとめるべき
と考えております。
 WIN-WINネット業務を本業と位置づけ、その稼働時間をいたずらに奪いかねない消費者ローンや預かり
資産の業績評価上の配点を引き下げたり、WIN-WINネット業務対応能力改善に必須となる事業性評価能力
向上を要件とせず、貸出残高の積み上げだけが可能となる不動産賃貸専業事業者や太陽光売電専業事業者
(一般先事業者と呼ぶ)向け融資も抑制したり、PDCAを回し続けましたが、自らの現有能力で対応できる
簡単な業務や事務には熱心に取組むものの、WIN-WINネット業務のような難易度の高い業務に踏み込んで
いけない傾向を完全に払拭するには至りませんでした。
                                      - 10-
  WIN-WINネット業務に着手する前、2009年度からの第一次経営強化計画で謳った非対面での保証付消費
 者ローンによる個人先の金融包摂が、結果としてWIN-WINネット業務や事業性評価に基づく融資へ取組む
 動機を希薄化させ、あわせてミナミネット支店(インターネット支店)でローン業務がほぼ完結し、相応
 の収益も上がる仕組みも相俟って、消費者ローン利息の貸出金利息収入が当行全体の貸出金利息の4分の1
 を占めるに至りました。しかし、下表15のように正真正銘の金融包摂であったことから、消費者ローンの
 実質的な信用コストである支払保証料(コア業務純益内の役務取引等費用に計上)は、コア業務純益を圧
 迫するレベルにまで増加し、2018年度に見直しされた早期警戒制度で投信解約益を除くコア業務純益が持
 続可能性のKPIとされるに及んだことから、高額の支払保証料水準での保証付消費者ローン推進を抑制
 せざるをえなくなりました。


[個人向けローン(住宅ローン除く)のお客さま別申込時年収分布(図表15)]




  残高や収益が上がっていればWIN-WINネット業務対応努力を行わなくても構わないといった悪しき組織
 風土を懸念し、お客さまと直接的・間接的に接点を持つ全ての行員の規範となる「RM(リレーションシ
 ップマネージャー)行動指針」を前計画中に制定し、経営理念同様に組織に浸透と顧客本位の業務運営に
 適した企業風土改革の実現を目指してまいりました。これまで、地元での金融包摂を担い、厳しいマーケ
 ットと長年向き合ってきた過程において、WIN-WINネット業務を含めた金融仲介機能発揮の難しさを経営
 や本部も認識しており、当行の存続に必要な収益水準を確保するための現場に対する規律付けさえも弱い
 という実態が認識され、通常懸念される収益至上主義による現場に対する厳しい規律付けの悪影響とは別
 問題であることを前計画期間中に気づくに至りました。
  今期修正し着手する長期経営計画(2020年度~2029年度、以下修正長計)におきましては、こうした反
 省を踏まえ、与えられたマーケットとしっかり向き合い、一般的な地域銀行ではなく、日本一の金融包摂
 地域金融機関として割り切り、新型コロナウイルス感染症の影響により一段と厳しい状況にある事業者及


                       - 11-
び個人のお客さまにしっかりと寄り添い、地域経済の回復・活性化に向けて、出直していく方針といたし
ます。
 また、本計画最終年度には、金融機能強化法に基づく公的資金注入から 14年を迎え、本計画は実質的
に最終の経営強化計画であると認識しています。一方で10年を経過しながらも、不本意な進捗にとどまっ
たことの責任を踏まえて、日本一の金融包摂を担保できるに足る新たな資本増強策も検討しながら、公的
資金の本計画期間内での早期完済を確保し、あわせて修正長計において、公的資金完済後も安定的な収益
を確保できる、持続可能なビジネスモデルの確立を目指してまいります。


5.経営の改善の目標を達成するための方策
 第一波の新型コロナウイルス感染者数が都市部ほどは深刻ではなかったにもかかわらず、当行の事業者
のお客さまの国内外に張り巡らされたサプライチェーンにおいて、商流の甚大な毀損が一部で発生したこ
とにより、2020年2月以降、事業者のお客さまの資金繰りが危機的な状況となることも増え、地域住民の
お客さまの雇用環境も大幅に悪化しております。
 毀損した商流の復旧に際し、WIN-WINネット業務による契約先事業者のお客さまへの売上付与の役割は
大きいものの、契約先事業者のお客さまの商品 サービスに対して恒常的に存在してきた需要そのものが、
                     ・
新型コロナウイルス感染症拡大防止のための移動に関する広義での制限によって、喪失されているような
ケースも多く、商流の新型コロナウイルス感染症拡大以前への復旧は困難となっております。もちろん前
述の通り、面でWIN-WINネット業務に対応できる態勢に及んでいなかったことも課題となります。
 本計画期間中は、WIN-WINネット業務を対応可能な陣容で運営し、全力で毀損した商流を復旧努力する
こととあわせて、金融機能強化法の趣旨にもある地域経済活性化支援として緊急の資金繰り支援にも対応
していかざるを得ないと考えております。
 円滑化対応以降、条件変更などを利用して、資金繰りに苦しんでいるお客さまへの支援を行ってきまし
た。金融検査マニュアル制定後は、事業性融資で主流であった短期の期日一括弁済融資(以下短コロ)は、
個人向けローンのような約定弁済付の長期の証書貸付に変わり、多くの中小規模事業者の資金調達には元
本弁済はいっさい据え置かれることなく、月単位で多額の約定での元本弁済負担が、条件変更後において
も残っていました。
 さらに、約定弁済付の長期の証書貸付への偏重は、自動的に落ちていく貸出残高によって、貸出金利息
収入を圧迫し、それをカバーするための「打ち返し・折り返し融資」という資金繰り支援名目ながら、そ
れを必ずしも必要としないお客さまにまで提案・推進するという非効率な行動を惹起してきました。
 金融検査マニュアルも廃止された今、約定弁済付の長期の証貸の約定弁済については、条件変更はもち
ろんのことながら、据置期間の長い制度融資推進や当座貸越を活用した短コロへの切り替え等、手法を問
わずに約定弁済を一時的にでも止めることに拘る資金繰り支援が、現下のコロナ禍において意義ある取組
みであり、お客さまのみならず、利益剰余金を本計画期間中に積み上げる必要がある当行にとっても、効
率的に貸出残高を維持する方策として、有効であると考えました。
 一方で、これまで蓄積してきた利益剰余金を不測の損失で減少させることを回避しなければならないと
認識しております。当行では有価証券運用のポートフォリオは小規模となっており、極端な損失が発生す
るような状況にはありませんが、コロナ禍でも逃げることの許されない金融包摂から、貸出のポートフォ
リオの信用コストの急増には、これまで以上に細心の注意を払う必要があります。消費者個人のお客さま
については、信用コスト増加抑制の有効な手立てはありませんが、事業者のお客さまについては、事業再
生途中のお客さまへのWIN-WINネット業務による売上付与が有効であることが実証されており、事業性評
価の対象を広げて、信用コストの抑制を継続してまいります。



                       - 12-
   そこで本計画では以下のような方策のアジェンダ構成といたします。


 (1)事業者のお客さまの約定弁済負担を軽減し、ポストコロナに向けて本業の立て直しを支援する(事
     業者向け資金繰り支援)。
 (2)“消費者個人のお客さまの約定弁済負担を軽減”することで、ポストコロナに向けて家計の立て
     直しを支援する(消費者向け資金繰り支援)。
 (3)事業再生途中の事業者のお客さまへの売上付与により、“計画期間中の信用コスト急増を抑止”
     する(信用コスト急増抑制)。


(1)事業者向け資金繰り支援
   修正長期経営計画の重点先向け貸出残高とその利回りの計画にしたがって、本計画期間中も質の高い
 融資を増強してまいりますが、本計画期間中は重点先向けの貸出のうち、1年以内に約定弁済がある貸
 出残高の比率を低減するように努めます。少なくとも当面1年間は、約定弁済にかかわる資金繰りの不
 安から解放されて、ポストコロナに向けて事業運営に注力できるという顧客価値を提供していきます。
   ただし、重点先事業者の中には、据置を希望されない事業者も見込まれることから、計画始期時点で
 重点先残高においても8割弱に及んでいる「前年度末時点で1年以内に約定弁済がある貸出残高比率」
 (図表17)が、当該年度末までに減少したポイント数をモニタリングすることとします。
   なお、「重点先事業者」とは、前経営強化計画で定義したとおり、事業内容を十分に理解しなくても
 (=事業性評価を行わなくても)可能な貸出しか見込まれず、かつWIN-WINネット業務による経営支援
 も困難な事業者を除く全事業者となります。


 [本計画期間中の重点先貸出平均残高と重点先貸出金利回り(図表16)]                                              (単位:億円、%)
                  ‘20/3期           ‘21/3期            ‘22/3期        ‘23/3期
                                                                                    始期比
                  実績(始期)                計画            計画            計画
    重点先貸出
                      3,744                  3,850         3,908         3,973            229
    平均残高
   重点先貸出金
                      1.925                  1.870         1.839         1.889       △0.036
     利回り
 ※顧客価値提供のコントロールが難しいため、重点先事業者を「不動産賃貸または太陽光売電事業者ま
   たは地方公共団体を除く全事業者」と定義を変更いたします。


 [2020年3月末の約定弁済がある貸出残高の比率(図表17)]
                    (単位:億円、%)

                      ‘20/3 期

     重点先貸出
                                3,833
       残高

  うち 1 年以内に約定弁済
                                3,006
     がある残高

       比率                       78.42




                                        - 13-
(2)消費者向け資金繰り支援
  消費者向け資金繰り支援については、修正長期経営計画の住宅ローンならびに消費者ローン残高計画
 にしたがって、本計画期間中も管理してまいります。
  住宅ローンについては、事業性貸出同様に積極的に相談を受け付け、お客さまの事情に応じて柔軟に
 条件変更対応いたします。消費者ローンについては、毎月の弁済額を原則半減化するなどの条件変更に
 よって対応してまいります。
  消費者ローンの条件変更については、保証会社も容認する姿勢ではありますが、その際の審査があり、
 お客さまのご希望に沿えないことも懸念されます。その場合には、保証会社保証を付さないいわゆるプ
 ロパーに切り替えた上での条件変更で対応していく予定です。
  さらに、本計画以降の消費者ローン新規実行については原則プロパーで対応することといたします。
 消費者ローンの条件変更や新規実行を保証会社保証無しで対応することになりますが、こうした対応に
 よって将来的に見込まれる信用コストの上限を修正長期経営計画では定めて、この上限を超過して増え
 ることのないように、月次での消費者ローン専用の信用リスク報告を開始いたします。
  また、信用コストの上限設定により、これまでのような事業性貸出金利息減少を補完する目的として
 の消費者ローン残高増加志向は抑制されることに加え、消費者ローンの条件変更や新規実行のプロパー
 化によって、高止まっていた支払保証料も減少することとなり、その結果、役務取引等費用の削減が図
 られ、法定KPIであるコア業務純益を下支えする効果も期待しています。


 [本計画期間中の住宅ローン残高と消費者ローン残高(図表18)]                                           (単位:億円、%)

               ‘20/3期         ‘21/3期         ‘22/3期         ‘23/3期
                                                                             始期比
               実績(始期)          計画             計画             計画

 住宅ローン残高           1,430            1,425          1,421          1,417            △13


 消費者ローン残高               324            283            280            272           △52

   保証付残高の
                   100%             79%            69%            63%               ―
   構成比率

 ※住宅ローン残高は定型アパートローンを含んでおります。


(3)信用コスト急増抑制
  新型コロナウイルス感染症拡大による景気悪化に加えて、積極的に約定弁済を止めたり、緩和したり
 するため、債務者ごとのエクスポージャーは従来より減りにくくなります。そうした状態において、資
 本を活用して地域経済の底抜けを防ぐことが、金融機能強化法の公的資金注入行の完済するまでの責務
 であると当行は認識しています。他方、間近に迫った弁済期日に向けて、多額の信用コストが突発的に
 発生するなどにより、弁済原資である利益剰余金を減少させることも回避しなければならないと認識し
 ております。
  事業性貸出については、ランクアップこそ難しくても、ランクダウンによる信用コスト増加を免れる
 ような支援が可能となるWIN-WINネット業務の契約先となっているお客さまのほか、他行がメインバン
 クとなり、コロナ禍においてもメインバンクが明確な支援意思を持っているようなお客さまや一般先事
 業者のお客さまのように商流も少なくコロナ禍での業況悪化による経営破綻を免れる可能性の高いお
 客さまなども存在します。



                               - 14-
  図表19は、引当されていない未保全額(=破綻時の見込損失額)の正常先を除いた全先・グループ数
 分布になりますが、コロナ禍においても経営破綻を免れる可能性の高いお取引先を除けば、1先で5億
 円を超えるような見込損失額は想定しにくいポートフォリオになっております。
  事業性評価の深掘りを前提としたWIN-WINネット業務による売上付与を増強しながら、メインバンク
 との事業再生連携を進め、信用コスト急増による利益剰余金毀損を回避してまいります。


 [破綻時の見込損失額分布(図表19)]




6.従前の経営体制の見直しその他の責任ある経営体制の確立に関する事項
(1)業務執行に対する監査又は監督の体制の強化のための方策
 取締役の役割と責任をより明確にするために、取締役人数の削減、任期の変更、役員報酬制度の見直し
などにより、迅速な業務執行と責任の明確化を図っております。2012年6月には、更なる経営の透明性の
確保および、監査機能の強化によるコーポレートガバナンスの有効機能を目的として社外取締役を導入し、
現在は独立役員4名体制(うち社外取締役2名)となっております。
 監査役については、当行では企業経営に対する監視・検証の機能として監査役会を設置しており、会計
監査人や内部監査部門(業務監査部)との連携を密にするとともに、監査役が重要な諸会議へ出席するな
ど監査役機能の強化を図り、現在は、社外監査役3名を含む4名体制となっております。
 社外役員の監督と助言による有効な機能発揮の例として、2020年3月の配当予想の修正(減配)発表の
議論に際し、中長期的な企業価値の向上や株主の利益保護のために客観的な立場からの社外役員の積極的
な発言も行われました。
 今後も引き続き、責任ある経営体制の確立に向けて、より迅速な業務遂行及び経営体制の強化に努めて
まいります。




                       - 15-
(2)リスク管理体制の強化のための方策
 当行は、自己資本の範囲内で適切にリスクテイクすることで、地域経済活性化に貢献するとともに、適
正な収益向上による経営の健全性確保を図るため、統合リスク管理の実践に努めてまいります。


①統合リスク管理体制の強化のための方策
  当行ではこれまで、収益管理・統合リスク管理を関連付けてリスク・コスト・リターンの適正化を図
 るなど、統合リスク管理の高度化を進めてまいりました。
  具体的には、限りある自己資本の効率的な運用を目的として資本配賦運営を実施しており、部門別に
 リスク資本を配賦し、資本の使用状況について確認しております。加えて、資本配賦によるリスク対比
 リターン評価をRAROC(リスク調整後資本収益率)等の指標を用いて部門別に実施し、ALM委員
 会へ報告しております。
  さらには、様々なシナリオによるストレス・テストの結果を踏まえた統合リスク量との比較・対照に
 より、自己資本の十分性についても確認しております。
  今後については、本計画で目指す重点先事業者の先数 残高の増加を加味した資本配賦運営を実施し、
                          ・
 経営方針に沿ったリスクテイクや適正な収益確保の状況をモニタリングする態勢を整備してまいりま
 す。


②信用リスク管理体制の強化のための方策
 イ.大口先管理の強化
   全行員の融資への取組みスタンスや与信リスク管理能力の強化については、「融資の基本姿勢(ク
  レジットポリシー)」及び「信用リスク管理基準」を基本原則として定めており、各種行内研修にお
  いても周知を図っております。
   大口与信先については、貸出合同審議会や融資取組方針検討会等において個社別のモニタリングを
  実施し、本部営業店一体となったリスク管理強化に努めております。また、月次で貸出金ポートフォ
  リオの状況を確認し、リスク分散に努めているほか、与信集中リスク是正に向けた対応強化策として、
  与信限度額の位置づけや目的について明文化し、限度額設定に係るルールを制定しております。
   具体的には、与信管理を厳正に行うため、一定の金額(クレジット・ライン)を具体的に設定し、
  クレジット・ラインを超える大口与信先に対しては、融資取組方針検討会に付議の上、取組方針や与
  信限度額の見直しを行うことにより、与信集中リスクの縮小に努めております。
   なお、与信限度額を超過する融資申込みに対して、限度額増額の提案があった場合の手続きを明確化
  するため、融資取組方針検討会規程を改定するなど、大口先管理の枠組みの見直しを随時に行っており
  ます。今後も大口先のモニタリング強化を図り、与信集中リスクの抑制に努めてまいります。


 ロ.債務者の実態把握
   事業者のお客さまの実態を的確に把握したうえでの信用格付を行うことが、今後も重要になってい
  くものと認識しております。そのためには、お取引先に関心を持ち、「お取引先を深く知る」ことに
  よって、定量・定性情報の蓄積のみならず、さらに深度ある実態把握を行うことが不可欠であること
  から、2015年7月より、事業者のお客さまの事業内容や成長可能性などを適切に評価するツールとし
  て「事業性評価シート」を制定し、信用格付、案件審査時の提出を義務付けております。
   今後、金融検査マニュアル廃止の主旨に鑑み、定量評価が中心となりがちな格付判定を、定性評価
  や事業性評価のウェイトを高めた格付判定になるよう意識付けを行い、足下や将来の情報等を収集し
  企業の将来見通しをより勘案した債務者の実態把握に努めてまいります。


                      - 16-
 ハ.収益管理システム活用による信用コスト意識の徹底
   収益管理における実効性向上を企図して、財務会計ベースであるプライシングガイドラインと管理
  会計上の収益を一体管理する「顧客別総合採算検討表(2013年9月制定)」により、採算性の改善が
  必要な先についてその改善策を個社毎に営業店に策定させるなど、営業現場に信用コストを意識させ
  る施策に取組んでおります。
   また、案件審査時には顧客別総合採算検討表およびQTシート(※)を活用し、採算を意識した金
  利設定となっているか確認しており、営業店の意識向上を図っております。
   今後についても、総合採算ベースの収益管理の精緻化・高度化を図ってまいります。


  ※QTシートとは、地元の金融包摂を担いながらも、他行と融資取引のあるお客さまの約定金利の漫
   然とした低下の影響で、渉外担当者が主観的に考える「金融包摂にふさわしい最優遇金利水準」が
   低下し続けることを発見したことから、満足なスプレッドを確保できるに足る顧客価値提供と相関
   した貸出となっているか否かを見極める項目を網羅し、「貸出の“質”」のチェック機能を備えた
   新規実行貸出の質評価ツールです。


③市場リスク管理体制の強化のための方策
  市場リスク管理に関する基本的事項については、「市場リスク管理基準」及び「市場リスク管理細則」
 に基づき管理を行っております。
  具体的には、日次ベースでポジション枠、損失限度枠等の状況について「市場リスク管理表」を用い
 て、市場営業部の部内ミドルに加えて、リスク統括部署である総合企画部リスク統括グループで確認・
 検証しています。加えて、損失限度額等のアラームポイント抵触に際しては、速やかにリスク統括部署
 を経由のうえ担当役員に報告するなど相互牽制態勢の強化を図るとともに、市場リスク全般に関する現
 況説明を四半期開催のALM委員会において行っております。
  有価証券に係る市場リスク量については、VaR法による日時管理に加えて、この手法の限界を補完
 する観点から、急激な市場環境の変化を想定したストレス・テストを実施し、当行の経営体力および期
 間損益に与える影響を定期的に測定・分析しています。
  今後も市場部門へのリスク資本配賦額及び期間損益や含み損益等を考慮し、リスク限度枠および損失
 限度枠を設定するとともに、リスク資本使用率のモニタリング等により、当行の経営体力の範囲内での
 リスクテイクを遵守します。また、利益確定やアクションプラン等に基づく早期ロスカットの励行等、
 相場環境の変化に伴う価格変動リスクや金利上昇リスクの抑制措置を適切に講じ、当行経営体力に即し
 た市場リスク管理体制の維持・強化に努めてまいります。


(3)法令遵守の体制強化のための方策
 当行では、法令等遵守態勢の強化を経営上の重要課題として取組んでおり、頭取以下、取締役、監査
役、各部部長により構成される「コンプライアンス委員会」にて、法令等遵守態勢の適切性・実効性及
び反社会的勢力の排除に向けた取組み状況の検証を実施しております。
 各部店にはコンプライアンスに関する責任者(本部においては次席者、営業店は支店長)を配置し、
担当者によるモニタリングや啓発活動を実施するとともに、法令等やトラブル事例などをテーマに勉強
会を毎月全店にて実施し、コンプライアンス重視の企業風土の醸成に努めています。
 更に、2020 年6月には、コンプライアンス態勢の更なる強化を企図し、コンプライアンス統括室をコ
ンプライアンス統括部へ格上げしました。
 「コンプライアンス委員会」の今後の運営においては、法令等遵守態勢におけるミニマム・スタンダ


                      - 17-
ードとして求められるような事項の議論から、組織として目指すべき姿や存立基盤である地域とのある
べき関係を明確にした「経営理念」
               「RM 行動指針」
                       「当行と地域との関わり方に関する指針(8 カ条)
                                              」
に照らした議論へ活性化させることにより、企業風土の更なる改善に反映させてまいります。
 また、反社会的勢力への対応についても、経営陣及び担当部署による一元的な管理態勢の下、同勢力
との取引の未然防止・適切な中間管理・取引解消の態勢整備に努めるとともに、今後も引き続き、関係
各部、内部監査部門及び監査役との連携によるモニタリングを実施し、法令等遵守態勢の更なる強化を
図ってまいります。


(4)経営に対する評価の客観性の確保のための方策
 経営に対する評価の客観性を確保するために、2009年6月に外部の有識者で構成される「経営評価委員
会」を設置しました。
 これまで半期毎に計22回開催しており、当行の経営状況、経営強化計画の進捗状況、地元のお客さまへ
の支援状況などについて、必ずしも株主の視点ではない利用者(当行のお客さま)としての視点に立った
外部評価委員からの「評価・助言」をもとに、経営戦略の反映に活用しております。
 今後も、半期毎に継続開催し、経営に対する評価の客観性確保に努めてまいります。


(5)情報開示の充実のための方策
①四半期情報開示の充実
  お客さま、株主をはじめとする投資家、地域社会等から正しい理解と信頼を得るため、迅速かつ正確
 な四半期情報開示の提供に努めています。
  開示手段としては、取引所への適時開示のほか、プレスリリース、ホームページへの掲載を行ってお
 り、迅速かつ可能な限り広範にわたるステークホルダーへの開示に取組んでおります。
  今後もグループ会社を含めた開示体制の更なる充実を図り、迅速かつ質の高い情報開示に取組んでま
 いります。


②会社情報の適時開示
  当行では、迅速な会社情報の開示を行うため、大口不良債権の発生、不祥事件の発生等、本部・営業
 店からの各種情報については、総合企画部が一元管理する態勢としております。
  総合企画部では、各種情報が適時開示情報に該当するかを検討し、原則として、取締役会等での承認
 のもとに適時適切に開示しております。
  今後も、銀行法、金融商品取引法その他の法令及び証券取引所の定める適時開示規則に基づき求めら
 れる情報に加え、リスク情報や部門別損益情報などの情報開示に努め、経営の透明性を高めてまいりま
 す。


③主として業務を行っている地域への貢献に関する情報開示の充実
  当行は、地域経済への貢献を企図して取組んでいるWIN-WINネット業務の状況や、創業支援、企業再
 生支援、経営相談等の取組みについて、これまでプレスリリース、ディスクロージャー誌等への掲載の
 ほか、親睦会・講演会等にて情報提供を行っており、今後も「金融仲介機能のベンチマーク」
                                          、地域へ
 の貢献に関する情報について積極的に開示していく方針です。また、文化・スポーツ活動への支援や、
 ボランティア活動、防犯協力等のCSR活動についても、これまで以上に地域への貢献を意識して活動
 してまいります。



                       - 18-
7.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化、その他の主として業務を行っている地域(鹿児島県)に
  おける経済の活性化に資する方策
(1)主として業務を行っている地域(鹿児島県)における経済の活性化および、中小規模の事業者に対す
  る信用供与の円滑化に資するための方針
<基本方針>
  当行の営業基盤の中心は、中小・零細企業をはじめとする地元事業者であります。
  この地域経済にとって、なくてはならない事業者に対して、必要な時に速やかに資金提供を行う一方で、
業況が厳しい事業者に対しては、規模や保証の有無に関係なく速やかに再生支援を行うことが、地元の金
融包摂を担う地域金融機関である当行の最も重要な役割であると認識しております。現在、新型コロナウ
イルス感染症による地域経済への影響は拡大しており、当行は地域金融機関として、事業者へのファイナ
ンスとオペレーション(本業)両面での支援を行うことが責務であると考えており、影響を受けたお客さ
まへの資金繰り支援においても、返済見直しを含めた対応を積極的に行ってまいります。
  当行では、第一次から第四次までの経営強化計画において、地元鹿児島県の地域経済活性化への貢献を
果たすため、「中小規模事業者に対する信用供与」ならびに「経営改善への取組み」に全力を挙げて取組
んでまいりました。
  また、第二次経営強化計画より開始した「WIN-WINネット業務」においては、優先的に支援すべき4業
種を中心に本業支援に取組むとともに、第三次計画からはその中でも業況が厳しい事業者のお客さまに対
する「事業再生型WIN-WINネット業務」にも注力しております。
  本経営強化計画においては、WIN-WINネット業務の本来の目的である「事業再生型WIN-WINネット業務」
を中心に据え、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、事業継続意欲を失いつつあるお客さまを安定した
売上により励まし続けることによって地域経済活性化に資する取組みとしていく方針とします。


(2)主として業務を行っている地域(鹿児島県)における経済活性化に資する方策
 ①経営改善取組先企業の数の、取引先企業の総数に占める割合(計数目標)
   当行は、地域に密着した金融機関として、これまで多くの中小企業の相談を受けてきた実績や外部
  専門機関のノウハウを活用し、以下のように新型コロナウイルス感染症の影響を受けている事業者の
  お客さまの支援を行ってまいります。同時に、販路支援や経営改善支援を通じた雇用維持の確保に寄
  与するとともに、地元で働く個人のお客さま向けローンによる資金対応やリスケ対応など、様々なニ
  ーズを踏まえた支援にも取組んでまいります。
   鹿児島県・鹿児島市の制度融資などの活用や、政府系金融機関(㈱日本政策金融公庫)との連携によ
  る協調融資など、創業または新事業への資金需要に対し、積極的に支援してまいります。
   かごしま産業支援センター、経営支援アドバイザー(公認会計士、税理士、中小企業診断士等の有資
  格者)、政府系金融機関との連携強化に努めており、今後もお客さまの様々なニーズへ対応してまいり
  ます。
   事業者のお客さまの事業再生にあたっては、外部関係機関(再生支援協議会・REVIC・産業支援
  センター・よろず支援拠点等)との連携を行い、対象取引先のお客さまの精緻な実態調査に基づく抜本
  的な経営改善計画を策定するとともに、金融支援や本業支援等に積極的に取組んでまいります。




                        - 19-
 これに伴い、取引先総数に占める経営改善支援取組先数の割合の数値計画を以下の通りとします。
[経営改善の取組(図表20)]                                                               (単位:先、%)

              ‘20/3     ‘20/9     ‘21/3     ‘21/9     ‘22/3     ‘22/9     ‘23/3
                                                                                    始期比
              実績        計画        計画        計画        計画        計画        計画

 創 業 ・新 事 業       43        74        75        75        76        76        77      34

 経 営 相 談          85        71        72        72        72        73        73     △12

 事 業 再 生          40        44        44        45        45        46        46          6

 事 業 承 継          14        11        11        11        11        11        11      △3

 担保・保 証           95        80        80        81        82        82        83     △12

 合       計       277       280       282       284       286       288       290      13

 取引先総 数        10,688    10,708    10,728    10,748    10,768    10,788    10,808     120

 比       率      2.59      2.61      2.62      2.64      2.65      2.66      2.68     0.09
 ※本計画において取組む「WIN-WINネット業務」による経営相談先数(経営改善先に対する本業支援実績を
  除く)は、第四次経営強化計画と同様計上しておりません。
 ※本表に計上する「経営改善取組み先」は、以下のとおりです。

 1.創業・新事業
 (1)各種補助金・助成金の申請支援件数(申請完了件数)
 (2)融資取組み件数(融資実行件数)
   ※ただし、不動産賃貸、太陽光、ビジネスHAE等を除く。資金使途が創業・新事業といえるもの。
 (3)政府系金融機関(日本政策金融公庫)と協調して投融資を行った件数(投融資実行件数)
 2.経営相談
 (1)ビジネスマッチングサービス成約件数(同サービス契約後の成約件数)
   ※ただし、売り手事業者が非取引先で、買い手事業者の経営改善に資するものに限る。
 (2)技術相談会等(IT相談会等も含む)の参加企業のうち具体的な支援に取組んだ先数(大学との研究
   等を取次いだ件数、研究等にかかる契約、技術開発・導入のための契約締結、相談会実施等の件数)
 (3)産業支援センター(よろず支援拠点・プロフェッショナル人材戦略拠点)等の外部関係機関との連携
    による企業支援件数(特許申請件数、研究・技術支援等にかかる契約締結等の件数)
 3.事業再生
 (1)外部関係機関(再生支援協議会・REVIC・産業支援センター・よろず支援拠点)等との連携によ
    る支援先数
 (2)経営改善支援先等のランクアップ先数
 (3)経営改善支援先等に対する本業支援実績(件数)
 (4)債務超過企業等に対する金融支援(DDS・DES・債権放棄等)
 4.事業承継
 (1)融資取組みなど当行関与による事業承継・M&A支援先数
 (2)当行が提携する外部専門家等(専門機関・公認会計士・税理士・弁護士・経営コンサルタント等)と
    連携し、事業承継・M&Aの案件発掘及び問題解決等を行った先数
 (3)外部専門機関または自行にて事業承継・M&Aの取組みを成立させた先数
 5.担保・保証
 (1)当行における担保・保証に過度に依存しない融資(アグリネット資金“南風育ち”・TKCローン・
    ふるさと活性化資金等)(融資実行件数)
 (2)ABL(動産担保・債権担保等)の取組み件数(融資等実行件数)


 なお、本計画においては、第四次経営強化計画に引き続き、経営改善の取組みにかかる業績上の評価
について、WIN-WINネット業務で提供する売上付与と同様の顧客価値を求める目的から、役務提供時の
先数はプロセス指標として扱い、役務提供完了から1年間貸出スプレッド(率)が下がらなかったこと
をもって翌年度に件数を計上する成果指標として上記の計画と併せて、フォローアップしていく運営と
いたします。



                                   - 20-
[経営改善の取組(図表21)]                                                                            (単位:先、%)

               ‘20/3       ‘20/9       ‘21/3       ‘21/9       ‘22/3       ‘22/9       ‘23/3
                                                                                                 始期比
               実績          計画          計画          計画          計画          計画          計画

  創 業 ・新 事 業       60          25          21          61          63          64          66          6

  経 営 相 談          58          34          42          59          61          62          64          6

  事 業 再 生          37          47          36          37          37          37          37          0

  事 業 承 継              9           4           7           9           9           9       10          1

  担保・保 証           64          31          47          65          67          68          70          6

  合       計       228         141         153         231         237         240         247      19

  取引先総 数        10,688      10,708      10,728      10,748      10,768      10,788      10,808     120

  比       率      2.13        1.31        1.42        2.14        2.20        2.22        2.28     0.15
 ※本計画において取組む「WIN-WINネット業務」による経営相談先数(経営改善先に対する本業支援実績を
  除く)は、第四次経営強化計画と同様計上しておりません。
 ※本表に計上する「経営改善取組み先」は、以下のとおりです。

 1.創業・新事業
 (1)各種補助金・助成金の申請支援件数(申請完了件数)
 (2)融資取組み件数(融資実行件数)
    ※ただし、不動産賃貸、太陽光、ビジネスHAE等を除く。資金使途が創業・新事業といえるもの。
 (3)政府系金融機関(日本政策金融公庫)と協調して投融資を行った件数(投融資実行件数)
 2.経営相談
 (1)ビジネスマッチングサービス成約件数(同サービス契約後の成約件数)
    ※ただし、売り手事業者が非取引先で、買い手事業者の経営改善に資するものに限る。
 (2)技術相談会等(IT相談会等も含む)の参加企業のうち具体的な支援に取組んだ先数(大学との研究
   等を取次いだ件数、研究等にかかる契約、技術開発・導入のための契約締結、相談会実施等の件数)
 (3)産業支援センター(よろず支援拠点・プロフェッショナル人材戦略拠点)等の外部関係機関との連携
    による企業支援件数(特許申請件数、研究・技術支援等にかかる契約締結等の件数)
 3.事業再生
 (1)外部関係機関(再生支援協議会・REVIC・産業支援センター・よろず支援拠点)等との連携によ
    る支援先数
 (2)経営改善支援先等のランクアップ先数
 (3)経営改善支援先等に対する本業支援実績(件数)
 (4)債務超過企業等に対する金融支援(DDS・DES・債権放棄等)
 4.事業承継
 (1)融資取組みなど当行関与による事業承継・M&A支援先数
 (2)当行が提携する外部専門家等(専門機関・公認会計士・税理士・弁護士・経営コンサルタント等)と
    連携し、事業承継・M&Aの案件発掘及び問題解決等を行った先数
 (3)外部専門機関または自行にて事業承継・M&Aの取組みを成立させた先数
 5.担保・保証
 (1)当行における担保・保証に過度に依存しない融資(アグリネット資金“南風育ち”・TKCローン・
    ふるさと活性化資金等)(融資実行件数)
 (2)ABL(動産担保・債権担保等)の取組み件数(融資等実行件数)


②地域における経済活性化に資する方策
 イ.新販路開拓支援活動(WIN-WINネット業務)による地域経済活性化に資する取組みの方策
   当行では、第二次経営強化計画より新販路開拓支援としてWIN-WINネット業務に取組んでおり、第
  三次経営強化計画からは、真に経営改善が必要な事業者のお客さまへの本業支援として「事業再生型
  WIN-WINネット業務」にも取組んでまいりました。なかでも、第四次経営強化計画より取組んでいる
  「事業再生型WIN-WINネット業務」の商品・サービス別ヒアリングシート(以下「商サ」シート)作
  成先のお客さまについては、「商サ」シート作成時点と比較して、ランクアップ2先・維持18先・ラ

                                        - 21-
ンクダウン3先となり、業況の厳しい事業者のお客さまの20先(86.9%)で第四次経営強化計画期間
中のランクダウンを免れました。
 本計画においては、第四次経営強化計画に続き「事業再生型WIN-WINネット業務」を本業支援の中
心に据え、顧客本位の業務運営に資する業務フローの改定や業績評価の見直しなどによって、質の高
い業務としてまいります。
※商品・サービス別ヒアリングシート先=事業再生型WIN-WINネット業務契約先のうち、「商品・サ
 ービスに関する事業性の問題点」を深掘りし、販路開拓対象商品・サービスの瑕疵をきちんと踏ま
 えた上での、販売見込先への真摯な説明や交渉をサポートする機能を備えた販売用カタログを作成
 し、販路支援を行う契約先


ロ.「本業が苦しい先」及び「創業・新事業先」に対する支援
 当行は、人口減少が今後も続くとともに、新型コロナウイルス感染症の影響を多くの事業者が受け
ている状況において、本業が苦しい事業者のお客さま(当行債務者区分上では下位要注意先以下破綻
懸念先以上のお客さまを想定)への支援および営業基盤が脆弱な創業・新事業先への支援が、地域経
済を支えていくうえで不可欠であると認識しております。
 これらのお客さまに対する支援の効果が現れるまでには時間を要するため、複数の支援を継続して
実施していくことが重要であることから、本部・営業店が一体となって支援できるように情報系シス
テム(BANK-R)の活用によって情報の共有化を図り、支援内容の進捗履歴を管理する態勢とし
ております。
 これによって様々な事例を蓄積し、経営課題の内容や支援内容について分類・体系化するなど、成
功パターンの蓄積と活用を目指してまいります。


ハ.創業又は新事業の開拓に対する支援に係る機能の強化のための方策
 創業・新事業への融資取組みについては、専担の審査役を配置しており、県・市の創業支援制度の
活用や、信用保証協会および政府系金融機関との連携強化による協調融資等を実施しています。また、
認定支援機関として各種補助金の申請を支援する態勢を整備し、創業時や創業間もない事業者の円滑
な資金調達を支援しています。
 新事業に関するサポートとしては、中小企業センターや鹿児島大学の技術移転機関である㈱鹿児島
TLO等との産・学・官ネットワークを活用した「技術相談会」を実施しております。今後も、新事
業進出に関する情報提供や経営相談の充実を図り、潜在的な企業の新事業進出ニーズ(事業転換・多
角化)を顕在化させ、新事業進出支援を行ってまいります。


ニ.経営に関する相談その他の取引先の企業に対する支援に係る機能の強化のための方策
 事業者のお