8473 SBI 2021-11-12 13:25:00
預金保険機構からの質問に対する回答について [pdf]

                                               2021 年 11 月 12 日
各   位
                     本店所在地   東 京 都 港 区六 本 木一 丁 目 6 番 1号
                     会  社  名 S B I ホ ー ル デ ィ ン グ ス 株 式 会 社
                     ( コ ー ド 番 号 8 4 7 3       東 証 第 一 部 )
                     代  表  者 代表取締役社長 北             尾   吉   孝
                     問い合せ先   責 任 者 役 職 名 執         行   役   員
                                               勝   地   英   之
                     電 話 番 号 0 3 - 6 2 2 9 - 0 1 0 0 ( 代 表 )

                     会   社       名 SBI地銀ホールディングス株式会社



            預金保険機構からの質問に対する回答について

 SBI ホールディングス株式会社(以下「SBIHD」といいます。)及び SBIHD の完全子会社である
SBI 地銀ホールディングス株式会社(以下「公開買付者」といい、SBIHD と 併 せ て「 SBIHD ら 」
と い い ま す 。 は、公開買付者が実施している株式会社新生銀行(以下「新生銀行」といいます。
           )                                     )
                              )に関して、2021 年 11 月5日
の普通株式に対する公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。
に預金保険機構が公表した、
            「ご質問書」における3つの質問について以下のとおり回答いたします。
なお、以下の回答に記載の用語につきましては、原則として公開買付者が 2021 年9月 10 日付で提
出した公開買付届出書(その後に提出した訂正届出書による訂正を含みます。以下「本公開買付届出
書」といいます。)の定義するところによります。


 SBIHD グループは、経営理念の一つとして「金融イノベーター」であることを掲げ、従来の金融
のあり方に変革を与え、インターネットの持つ爆発的な価格破壊力を利用し、より顧客便益性を高め
る金融サービスを提供することを目指しております。下記にてご説明申し上げますとおり、新生銀行
においては、強みのあるプロダクト・サービスを複数抱えているものの、十分な収益化が実現できて
おらず、この点が市場での評価にも表れているものと考えております。本公開買付けを通じて SBIHD
が新生銀行を連結子会社化することで、新生銀行が SBIHD グループの銀行事業を率いる中核会社と
なり、SBIHD グループが有するインターネットを活用したノウハウや経験を十分活用いただき、事
業シナジーを発揮して伝統的な銀行モデルから脱却し、ひいては約 3,500 億円の公的資金返済につな
げていただくよう新生銀行の企業価値向上を図ることが本公開買付けの最大の目的です。あわせて、
多様な事業を営む SBIHD グループ各社と連携しながらシナジー効果を発揮し、SBIHD グループ自
体の企業価値向上にも資することが可能であると考えております。なお、これまでもご説明致してお
りますように、新生銀行の独立性及び少数株主の方との利益相反性に関しましては、遺漏無きを期す
前提でございます。


<預金保険機構からの質問>
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1.   2021 年9月 28 日付の対質問回答報告書別紙 37 ページ<公開買付者の回答>④において、
     「SBIHD グループの資本業務提携先を含めた提携先の地域金融機関との連携やその他の地域金
     融機関との連携については、
                 (中略)地域金融機関との協業を進めることにより、より深く各地域
     の事業支援や地域経済の活性化にご活躍いただけるものと確信しております。」とあるが、
     SBIHD らの資本業務提携先の地域金融機関と新生銀行の協業により両者にどのようなシナジー
     効果があるのか、特に新生銀行の企業価値向上の観点からどのような貢献が見込まれるのかお示
     しいただきたい。


<公開買付者の回答>
      SBIHD グループと新生銀行は事業ポートフォリオの補完性が高く、ノンバンク機能に強みを
     有する新生銀行が商品及びサービスの提供者として SBIHD グループが各地域金融機関と構成す
     るプラットフォーム・ネットワークに加わり、ノンバンクサービスのニーズはあるが自行にその
     機能を有していない地域金融機関と協業することで、主として法人業務を中心に、双方に新たな
     収益獲得の機会をもたらし、新生銀行の企業価値向上に資すると考えています。新生銀行におい
     ても約9割の地方銀行との取引実績があるとのことではありますが、社会的使命の一つとして地
             地方創生を推進する地方創生パートナーズをリードする SBIHD グループは、
     方創生に取り組み、
     資本業務提携先に限らず幅広い地域金融機関とのネットワークを有する唯一無二の存在であり、
     新生銀行の企業価値向上の観点からは、かかる SBIHD グループの地域金融機関へのネットワー
     クを活用してビジネスにつなげることで、新生銀行の収益機会を拡大することにつながることに
     なると考えております。
      以下に、いくつかの分野で具体的に例示します。
     ① ストラクチャードファイナンスの強化
      本公開買付届出書及び公開買付者が 2021 年9月 28 日付で提出した対質問回答報告書別紙に
     記載のとおり、SBIHD らは、新生銀行においては、不動産、太陽光、バイオマス、海底送電線、
     風力発電、上場インフラ法人、地熱発電、船舶、ヘルスケアといった多様な資産を対象とするス
     トラクチャードファイナンスを展開できる強みを有しているものと理解しており、また、新生銀
     行は、中期経営計画においては、単独でのストラクチャードファイナンスの組成のみならず、地
     域金融機関などと共同してシニアローンを提供するなど、地域金融機関とのパートナーシップを
     注力分野の一つとしています。一方で、当該セグメント利益は 2018 年度の 120 億円から 2020
     年度は 45 億円と大きく減少している状況です。新生銀行によると、プロジェクトファイナンス
     や不動産ノンリコースファイナンスは、現在は大手の地方銀行が主たる顧客であるとのことです
     が、新生銀行のノウハウ・実績を踏まえると、顧客属性を大手の地方銀行に限定することなく、
     顧客自身のリスク判断と丁寧な説明を前提としたうえで、更に幅広い地域金融機関に商品提供を
     行うことができ、これにより新生銀行にとっても提供できるファイナンスのキャパシティが増大
     し、収益機会も増えるものと考えております。SBIHD グループの資本業務提携先をはじめとす
     る地域金融機関においては、収益力強化のためかかるシンジケートローン(各種アセットクラス
     へのファイナンスにおけるシニアローンや、買収ファイナンスにおける LBO ローンなど)への
     参加ニーズは強く、また、例えば新生銀行にとって中核事業の一つである不動産ファイナンスに
     おいても、地域金融機関の顧客が関与している地方の優良不動産へ新生銀行のファイナンス機能
     を提供することで、新生銀行の新たな収益機会に繋がり得ると考えております。このように、

                            2
SBIHD グループが新生銀行のプロダクトと資本業務提携先をはじめとする地域金融機関をつな
ぐことで、双方に収益機会が創出されるものと考えております。


② プリンシパルトランザクションにおける連携
 新生銀行グループのプリンシパルトランザクションズ事業は、中堅・中小企業を対象にプライ
ベートエクイティ業務、事業承継業務などを行っておりますが、そのセグメント利益は 2018 年
度の 53 億円から 2020 年度の 34 億円へと減少傾向です。SBIHD グループにおいても、SBI イ
ンベストメント株式会社をはじめとして様々なアセットマネジメント事業を展開しております
ので、投資機会の連携やノウハウの共有等を通じて相互に生産性を向上させることが期待できる
とともに、SBIHD グループの資本業務提携先をはじめとする地域金融機関の顧客企業に対する
支援策の一つとして、例えば、新生銀行が地域金融機関の顧客企業のために組成するシンジケー
トローンへの地域金融機関の参加といった形で、新生銀行が有する商品・サービス及び資金力が
活用できれば、新生銀行にとっては新たな投資案件となるとともに、地域金融機関にとっては顧
客企業の活性化・成長支援につながるという意味で、双方にとって新たな収益機会を生むものと
考えております。新生銀行は、良好なリスクリターンが見込める投資機会は限定的であると述べ
られておりますが、SBIHD グループは、投資先の発掘力、フルハンズオン型支援体制の構築ノ
ウハウを有しております。例えば、SBI インベストメント株式会社における 2021 年3月期の
ディールソーシング実績はソーシング 2,350 社、デューディリジェンス 415 社、投資実行 78 社、
2021 年 9 月末までの投資実行累計 1,023 社と幅広くソーシング(事業会社と共同で設立したコー
ポレートベンチャーキャピタルファンドを含む)を行っており、成長分野への投資ノウハウや投
資先の企業の事業ステージに応じた戦略立案、役員派遣、内部管理体制の構築、海外進出支援等
のフルハンズオン形式による積極的な支援を行っておりますので、SBIHD らとの協業を通じて、
新生銀行が有しない SBIHD グループ内の独自の支援体制を活用することが可能となり、企業価
値向上につながるものと考えております。


③ リース事業の強化
 新生銀行の連結子会社である昭和リース株式会社は、大手総合リース会社との競合が比較的少
ない中堅・中小企業を中心に営業活動を展開し、各メーカー・商社など幅広いサプライヤーと密
接な関係を構築していることから相応の競争力がある会社と理解しておりますが、営業資産残高
は、2019 年度末に 5,655 億円であるのに対し、2020 年度末には 5,546 億円と減少傾向となって
います。当然のことながら優越的地位の濫用とならないようにすると共に、公正な条件とするこ
とを前提に、SBIHD グループの資本業務提携先をはじめとする地域金融機関の取引先へ導入機
会を積極的に提供することで、地域金融機関にとっては顧客企業の活性化・成長支援につながる
ものと考えております。また、SBIHD グループでは航空機や船舶等のオペレーティングリース
商品を組成し富裕層向けに提供しており、当該商品を新生銀行グループの顧客にも提供すること
で、新生銀行では取扱商品が拡大し顧客利便性が向上するとともに営業基盤の拡大となり、企業
価値向上につながるものと考えております。


④ 事業承継に係るビジネスでの連携
 SBIHD グループでは後継者問題を抱える日本国内の中小企業への投資を目的とした事業承継

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     ファンドを設立しております。本ファンドの出資先及び事業承継問題を抱える地域金融機関の顧
     客企業に対して、新生銀行が融資や M&A 仲介等のサービスを提供することによって事業承継問
     題を抱える企業の今後の事業継続と業容拡大を支援することを考えております。これによって新
     生銀行と地域金融機関の双方のビジネスの拡大が図ることができるものと期待しております。


      このように、SBIHD グループの資本業務提携先をはじめとする地域金融機関と新生銀行の協
     業により新生銀行の企業価値向上に貢献し得ると考えておりますが、SBIHD らにおいてはこれ
     までの実績としても、SBIHD グループが出資している各地域金融機関において、SBIHD グルー
     プからの出資後、以下の通り業績の改善を実現しております(2020 年 3 月期以前に資本業務提
     携を行った先)
           。


      <コア業務純益>(注)
                (単位: 億円)


                                                                                                     36.0




                                                                                             25.2
                                                                                     22.7
                                               20.7
                                                                              18.5



                                     10.8
                        8.9
                              6.7                            7.0      7.4


                0.8



       (3.9)


               島根銀行                 福島銀行                            筑邦銀行                    清水銀行

         提携日:2019/9/6         提携日:2019/11/11                     提携日:2020/1/17       提携日:2020/2/18


                                    2019年3月期          2020年3月期     2021年3月期


      (注)コア業務純益=実質業務純益 – 国債等債券損益


      なお、SBIHD グループは地域金融機関との「連合構想」を推進しております。また、地方創
     生を推進するための活動主体として地方創生パートナーズを設立しており、新生銀行も株主とし
     て参画いただいております。新生銀行に地域金融機関への出資をご検討いただくことは、現時点
     では想定しておりませんが、地方創生に資する場合、かつ新生銀行の収益力改善と企業価値向上
     に資すると考えられる場合で、特に自己資本比率等の財務健全性に支障がなく、新生銀行の少数
     株主にとって不利益をもたらさないと新生銀行の取締役会において判断される場合には、その時
     点で相手先となる地域金融機関の意向を踏まえて、地域金融機関への出資も一案と考えられます。


<預金保険機構からの質問>
2.   新生銀行が SBIHD グループに入ることによって SBIHD グループに生じる企業価値の向上につ
     いてどのように考えているかお示しいただきたい。また、その企業価値の向上について新生銀行

                                                 4
 の少数株主も利益を享受するために、SBIHD グループ内での新生銀行の位置づけについて今後
 のグループ内での資本関係を含めてどのようにお考えかお示しいただきたい。


<公開買付者の回答>
   SBIHD グループは、SBIHD 傘下に金融サービス事業、アセットマネジメント事業、バイオ・
 ヘルスケア&メディカルインフォマティクス事業にわたる多種多様な事業を抱え、2021 年度上
 半期においては全ての事業セグメントにおける売上高が過去最高を更新するなど、急成長を続け
 る企業体です。一方で、新生銀行は、SBIHD グループが有しておらず事業補完が期待できるノ
 ンバンク事業に強みを持ち、フルバンキングで幅広いプロダクトを有するため、新生銀行には
 SBIHD グループの中核銀行として、多様な事業を営む SBIHD グループ各社と連携しながら各
  機能を提供いただき、シナジー効果を通じて SBIHD グループの企業価値の向上につながること
  を想定しております。
   すなわち、本公開買付けによる新生銀行株式の追加取得により、新生銀行が連結子会社として
 SBIHD グループに入ることで、新生銀行グループと SBIHD グループの経営資源の有機的結合
  が実現され、協業による相互の事業分野の補完、クロスセルによる顧客基盤の拡大と収益力の強
  化等を通じて、両グループのシナジー効果を強力に働かせることが可能となります。SBIHD グ
  ループは、三井住友信託銀行との合弁会社(双方 50%出資)のインターネット専業銀行である住
 信 SBI ネット銀行株式会社を有しておりますが、同行は 2021 年 10 月 8 日に上場申請を行って
 おり、上場が承認された場合には上場に伴う SBIHD 持分比率の低下が見込まれ、また、自主性・
  独立性を高めた事業運営を実施することになります。インターネット専業銀行である住信 SBI
  ネット銀行と実店舗を持つ新生銀行とは事業形態や商品のアプローチ、商品性に違いがあり、新
  生銀行のグループへの参加は SBIHD グループにとって全く新しい成長ステージに入っていくこ
 とを意味します。
   なお、公開買付届出書に記載の通り、本公開買付けが成功した場合には現在 SBIHD が保有す
 る新生銀行株式の全持分を公開買付者に移管する予定です。その結果、公開買付者が SBIHD グ
 ループにおける新生銀行の全株式を保有することとなります。


 ① SBI 証券との銀証連携を通じた企業価値向上
 (i)リテール分野での連携(同時口座開設、預金連携、金融商品仲介など)
   SBI 証券は、株式、   FX
              投信、 など様々な金融商品を取り扱っており、オンライン証券として、
 個人株式委託売買代金シェア、預り資産残高、営業利益いずれも競合他社比トップ(2021 年度
 上半期実績)となっているとともに、銀行との同時口座開設や預金連携を行っている実績・ノウ
 ハウを有しております。新生銀行のリテール口座において、かかる SBI 証券との間で、口座の同
  時開設や預金連携等が実現することで、新生銀行顧客における利便性が向上するとともに、SBI
  証券の顧客からの新生銀行への送客も実現でき、近年減少傾向である新生銀行のリテール口座数
  増加につながると考えております。また、新生銀行においては、窓口で投信を販売しており、投
  資信託の預り資産残高は 2018 年度の 3,184 億円から 2020 年度の 2,563 億円へと減少傾向であ
  るところ、SBI 証券との金融商品仲介業にかかる提携によって、販売できる商品等が増え、新生
 銀行の顧客に対して幅広い提案を行うことができるようになり、収益強化につながると考えてお
 ります。さらに、新生銀行子会社が組成した仕組債や投資信託等を SBIHD グループのリテール

                            5
顧客へ販売することを通じて収益強化に貢献できると考えております。新生銀行は、リテール口
座の増加のみでは必ずしも利益水準の増加に繋がらないと述べておりますが、上記のように SBI
証券と新生銀行との銀証連携は、顧客利便性を大きく高めつつ相互送客によりリテール顧客の増
加を図ることで、収益の質と量を同時に高め、両社の企業価値向上につながるものと考えており
ます。


(ii)法人カバレッジの強化
 SBI 証券においては事業法人顧客との関係を強化しており、既に高い引受関与率を誇る IPO
(新規公開)に加えて、PO(公募・売出)や債券引受などにも注力するとともに、M&A アドバ
イザリー部門を強化し、多角的な提案を行う体制を構築しています。一方、新生銀行の法人営業
においては業務粗利益が 2018 年度の 168 億円から 2020 年度には 149 億円に減少するなど、収
益が低下傾向となっております。SBI 証券の事業法人顧客に対して新生銀行の銀行サービスを提
供することで、銀証連携した事業法人に対する包括的なカバレッジ体制が実現し、両社の収益及
び企業価値向上につながるものと考えております。


② SBIHD グループのノウハウを活用した新生銀行事業の強化
(i)消費者金融(小口ファイナンス)分野での連携
 SBIHD グループは、SBI 証券において 25 歳以下の顧客を対象に国内現物株式の手数料の実
質無料化を行っているほか、投資初心者や若年層をターゲットにしたスマートフォンでの取引に
特化した株式会社 SBI ネオモバイル証券を設立し、 FX トレード株式会社における FX 取引、
                         SBI
SBI VC トレード株式会社における暗号資産取引などのサービスを手掛けています。一方、新生
           「レイク ALSA」
銀行グループにおいては、         、
                     「カードローンエル」等の無担保ローンや個品割賦、
信用保証や家賃保証、クレジットカードやプリペイドカード等の事業を行っております。これら
の SBIHD グループのネット証券やスマホ証券分野と新生銀行の小口ファイナンス分野とにおい
ては、いずれも顧客層が若く、顧客ニーズに応じた商品の相互供給・送客(クロスセル)を行う
ことにより若年層の顧客にも収益基盤を拡大する収益機会があると考えております。また、かか
る若年顧客層は、将来的なライフイベントでの収益機会を生み、長期的な収益力の向上に寄与す
ると理解しております。
 また、SBI 証券は、資産形成を目指す顧客層の決済の便宜に資するものとして、2021 年6月
からクレジットカードで投資信託を積立購入することが可能なサービスを提供しており、約半年
間で数万件の送客を実現しております。このようなクレジットカードを利用した投資信託の積立
購入については、クレジットカードを日常的な決済のために利用する顧客層のみならず、資産形
成を目指す層にアプローチできるという点で新生銀行の既存顧客層とは重複が少ないと考えら
れ、また、株式会社アプラスが最も多く発行しているクレジットカードが T ポイントプログラム
との提携カードであり、SBI 証券が同プログラムを導入しているという親和性も考え合わせると、
株式会社アプラスにおけるクレジットカード顧客及びその利用の拡大に資すると考えておりま
す。
 さらに、資金ニーズのある新規顧客の獲得費用及び与信費用の低減が課題となる中で、精度の
高い与信判断やマーケティング等を実現するためにはビッグデータを保有することも重要であ
ると考えており、クロスセルを通じて両社のデータが蓄積されることで、新生銀行グループにお

                         6
いても与信判断やマーケティングの精度が高まり、コストの削減に寄与すると理解しております。
 このように、銀証連携によるシナジー効果は様々な観点で考えられ、両社の収益及び企業価値
向上につながるものと考えております。


(ii)SBI アセットマネジメント・グループ、SBI リクイディティ・マーケットでの資金運用に
   よる年間収益の改善
 新生銀行の有価証券の運用は満期保有債券(国債)を含めた国債、社債、外債を中心とし株式
保有が非常に少ない、極めてオーソドックスな運用ポートフォリオと推察しております。その一
方で、運用利回りは 2021 年 3 月期において 0.58%と大きく低下している状況であり、今後の債
券の償還スケジュールを加味すると更なる利回りの低下が予想されます。新生銀行における現状
の銀行勘定金利リスク管理(IRRBB: 4.4%)や規制資本比率(11.3%)なども勘案すると、利回
り改善の余地は大きいと考えられ、SBIHD グループの資産運用会社である SBI アセットマネジ
メント・グループ株式会社の知見も活用して、新生銀行の有価証券ポートフォリオの入れ替え等
を行うことで、十分な自己資本水準及び資産運用の安全性を堅持しつつ、運用収益の向上が可能
であるものと考えております。
 また、SBIHD の子会社でグループ為替事業を統括する SBI リクイディティ・マーケット株式
会社は、欧米・国内の主要金融機関 31 社のカウンターパーティを有しており、SBI 証券、SBI
FX トレード株式会社等のリテール顧客向け FX のほか、グループ内の実需(外貨調達、オプショ
ン・デリバティブを用いた運用、ヘッジ等)やファンド、国内外金融機関(地域金融機関等を含
む)などからの多様な為替フローを取り扱っており、年間外国為替総取引金額(2020 年度)で
10 兆ドルを超えるまでになっていることから、その豊富な取引流動性をもとに、価格競争力の
あるスプレッドでの為替取引機会を提供することで、新生銀行及び新生銀行を通じて為替取引を
行う取引先の外国為替取引コストの抑制が可能となることなどが考えられます。


(iii)SBIHD グループの有する住宅ローン関連のノウハウ提供による、リテールビジネスの再
   強化
 新生銀行においてもリテール顧客向けに住宅ローンを提供しておりますが、過去長期にわたり
その残高はほぼ横ばいとなっております。一方、SBIHD グループにおける住宅ローン取り扱い
残高は着実に伸長しております。SBIHD グループは住宅ローンプロダクトに関する深い知見と
ノウハウを有しており、これらの知見・ノウハウを新生銀行のリテール事業にも活用することで、
かつて高い顧客満足度を誇った新生銀行のリテール事業を再強化し、収益の柱とすることが可能
であるものと考えております。


(iv)株式担保ローンの開発・提供
 利益相反管理及び取引条件の公正性を前提として、株券等を担保に貸し出しを行う株券担保
ローンでの協業や、新生銀行と株式会社 NTT ドコモが行っているドコモユーザーに対する貸付
に関するサービスと同様のサービスを SBIHD グループの顧客に対して開発提供すること等を通
じて、相応のクロスセル効果、シナジー効果を発揮できると考えております。


(v)共同店舗運営による金融商品仲介での収益貢献

                       7
 SBIHD グループにおいては、資本業務提携先を含む地域金融機関と SBI マネープラザを共同
店舗として運営(14 行 22 店舗)しており、その預り残高や収益は飛躍的に拡大しております。
かかる実績のある取り組みを新生銀行(22 支店・3 出張所)と行うことで、金融商品仲介を通じ
た新たな収益機会を新生銀行にも生み出し得るものと考えております。
 上記のようなシナジー創出が双方に見込まれる各種施策の推進により、現時点においては
SBIHD グループに入ることで新生銀行に下記のような収益拡大及び企業価値向上が見込まれる
ものと初期的に考えております。


 <業務粗利益>(単位: 億円)




                                                                        2,875
                                                        2,676   2,623
                                     2,460      2,464
        2,306   2,319        2,340




         2022/3期              2023/3期            2024/3期         2025/3期
                            新生銀行計画           SBIHD計画(シナジー含む)
                        (2021年10月21日発表)




 <実質業務純益>(単位: 億円)




                                                                        1,255
                                                        1,071   1,013
                                     871         861
        733     740          731




          2022/3期              2023/3期           2024/3期         2025/3期
                             新生銀行計画          SBIHD計画(シナジー含む)
                        (2021年10月21日発表)




 <親会社株主に帰属する当期純利益>(単位: 億円)




                                         8
                                                                                       710
                                                                    580      548
               388     391                   421         425
                                     322



                2022/3期               2023/3期              2024/3期          2025/3期
                                 新生銀行計画                SBIHD計画(シナジー含む)
                             (2021年10月21日発表)




       また、以下の通り工藤社長就任日である 2015 年 6 月以来、新生銀行(旧日本長期信用銀行
 1952 年設立)の時価総額は約半分となっている一方で、SBIHD(1999 年設立)の時価総額は約
 1.8 倍まで成長しております。SBIHD らとしては、公開買付者と新生銀行との最大の違いは経営
 思想、経営戦略及びその実行力の差であると考えており、市場からもこの点が評価されてきたと
 自負しております。


       <新生銀行と SBIHD の時価総額の推移>


300%                                       新生銀行        SBI Holdings                            時価総額
                                                                                               (億円)

                                                                                                6,865
200%                                                                                            181%




100%
                                                                                                  3,101
                                                                                                  49%
 0%
 2015/06/17    2016/09/14           2017/12/13         2019/03/13         2020/06/10         2021/09/09


         :2015/6/17 時点の時価総額を 100%として指数化して表示
       (注)


       <ご参考:住信 SBI ネット銀行、SBI 貯蓄銀行の業績推移>


       住信 SBI ネット銀行




                                                   9
 SBI 貯蓄銀行




 一方、本公開買付け後においても上場企業として存続する新生銀行の少数株主の皆様への配慮、
特に、上記のような取り組みを通じて新生銀行としての企業価値向上も実現され、少数株主の皆
様へもシナジー効果の果実が正当に分配されることは当然であるものと考えております。
 SBIHD らといたしましては、新生銀行の機関銀行化や同行の少数株主利益の毀損といった事
態は、決して発生してはならないものと認識しており、そのような疑念を生じさせるような所作
に及ぶことは全く想定しておりませんが、そうした事態が万一にも発生することのないようにす
るために徹底した利益相反管理を行うという観点から、下記のような体制を採ることを想定して
います。すなわち、新生銀行と SBIHD グループとの間の重要な取引の決定に際しては、当該取
引が新生銀行の少数株主にとって不利益をもたらさないかについて過半数の独立社外取締役を
含む独立性を保った新生銀行の取締役会において慎重に審議・検討を行うとともに、アームズ・
レングス・ルールを原則とし、市場規律に基づき取引条件を適切に決定し、また SBIHD グルー
プの社内取締役又は従業員及び、それらの経歴を有する者など SBIHD グループと関係の深い役
員は SBIHD グループと新生銀行との間の取引について新生銀行内の意思決定に関与しないなど、
SBIHD グループとの十分な利益相反管理体制を敷くことで対応することを想定している他、本
公開買付けにより新生銀行が SBIHD の連結子会社となった場合には、SBIHD グループと新生

                      10
     銀行との取引に関しては、新生銀行において独立した委員からなる特別委員会を設け、同委員会
     において事前の審査及び事後のモニタリングを行うことで利益相反管理体制に遺漏無きを期す
     こととしたいと考えております。SBIHD グループ内においても利益相反管理体制は徹底してお
     りますが、新生銀行グループとの間の取引について厳格な手続きを採ることは、新生銀行にとっ
     ての利益拡大ひいては少数株主の利益拡大に資することはあってもこれを減殺するものではな
     いと考えております。
      このように、新生銀行には SBIHD グループにおける中核企業の一つとなっていただき、シナ
     ジー効果により SBIHD グループとして利益を享受するのみならず、新生銀行の企業価値も向上
     するとともに、その利益は少数株主の皆様にも正当に分配されることをお約束いたします。


<預金保険機構からの質問>
3.   新生銀行の取締役会の構成については、少数株主を含めた株主全体の利益を代表するものになる
     かが極めて重要であるほか、金融機関としての安定性の観点からも極めて重要であると考えられ
     る。この点、SBIHD らは、3人の取締役候補を推薦した上で、独立社外取締役を取締役会の過
     半とするとしているが、独立社外取締役を真に独立したものとするための選定方法や、社内登用
     の可能性を含め、SBIHD らが支配株主となった場合の新生銀行の取締役会の構成にかかる見解
     をお示しいただきたい。


<公開買付者の回答>
      本公開買付届出書に記載のとおり、守秘性の観点から、本公開買付けの公表・開始前には新生
     銀行の社外取締役候補者となりうる人物との十分な接触を行っていないため、現時点においては
     独立社外取締役の具体的候補者名を挙げることはできませんが、ガバナンス体制強化の観点から
     独立社外取締役が取締役総数の過半数となる体制といたします。
      また、独立社外取締役が SBIHD グループから真に独立した人物で構成されることを担保すべ
     く、独立社外取締役が過半数を占める任意の指名報酬委員会等において、取締役候補者を推薦す
     る体制を採用いたします。
      なお、SBIHD らは、本公開買付けが成功した場合は、新生銀行の企業価値向上を可能とする
     新たな役員体制を構築するため、臨時株主総会の招集を請求し、新生銀行の役員選任議案を諮る
     予定です。同株主総会において取締役候補者として推薦する業務執行取締役 3 名については本公
     開買付届出書記載のとおりですが、独立社外取締役の候補者については、SBIHD らの独自の裁
     量で選定するのではなく、本公開買付け成立後速やかに、新生銀行と SBIHD らとで独立社外取
     締役選定委員会を組成した上で透明かつ客観的なプロセスを経て選定することを新生銀行に提
     案する予定です。同委員会は、SBIHD ら及び新生銀行の現任取締役から独立し、十分な識見を
     有し、公正・中立と客観的に評価される人物を法曹界から招き委員長とし、SBIHD ら及び新生
     銀行がそれぞれ 1 名ずつ推薦する委員によって構成することを想定しております。かかる委員会
     において、東京証券取引所の「コーポレートガバナンス・コード」及び経済産業省の「グループ・
     ガバナンス・システムに関する実務指針」を尊重しつつ独立社外取締役の候補者を選定すること
     により、当該臨時株主総会における独立社外取締役選定の公正性・中立性を担保することを考え
     ております。



                          11
   また、新生銀行の持続的成長と企業価値の最大化、また新生銀行の円滑な事業継続の観点から、
  新生銀行のステークホルダーの意向も踏まえながら、独立社外取締役の過半数を維持しつつ、
  SBIHD らが既に提案しております業務執行取締役(社内取締役)に加え新生銀行の業務執行者
  からも若干名の業務執行取締役の選任を行うことは十分ありうるものと考えております。


 なお、SBIHD らとしましては、2021 年 11 月 25 日に予定されている新生銀行の臨時株主総会にお
いて、新生銀行が提案する「新株予約権の無償割当ての件」が新生銀行の株主の皆様によって可決さ
れ、買収防衛策が発動された場合には、本公開買付けを撤回いたします。またその場合、SBIHD ら
が現在保有している株式に関してはマーケットの状況を踏まえ、完全売却を含む様々な選択肢を検討
してまいります。SBIHD らは明確にシナジーを示し十分なプレミアムを含む公開買付価格を提示し
た戦略的投資家です。SBIHD らにおいては、本買収防衛策はかかる公開買付者による資本市場にお
ける正当な取引を、経営者の保身目的で否定することを企図したものであると引き続き考えておりま
す。本公開買付けが成功した場合は、臨時株主総会において新生銀行の企業価値向上を可能とする新
たな役員体制を構築し、SBIHD グループと新生銀行グループの間の事業上の提携関係の構築・強化
を含む具体的な企業価値向上策に関する検討を新生銀行と開始し、利益相反防止体制を前提に新生銀
行に十分検討をいただいた上で、順次実行する予定です。
 なお、本公開買付届出書に記載の通り、SBIHD らが本公開買付けにおける買付予定数の上限を
SBIHD らが既に保有する持分と合わせて 48%となる株式数にした理由は、新生銀行における早期の
経営改善が急務である中、銀行持株会社認可を取得する場合には一定の時間が必要であるため、経営
刷新を早急に図ることが難しくなると判断したためです。このため、本公開買付けが成功した場合に
は、SBIHD らとしてはまずは新生銀行の企業価値向上に向けた努力に注力いたしますが、新たな役
員体制の下で新生銀行の企業価値向上への道筋がついた段階で、当局の理解が得られれば、必要な銀
行持株会社認可を取得した上で、一般株主の利益に十分配慮した形で、過半数以上の株式を取得する
ことを検討する考えです。


                                                   以   上


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本プレスリリースに関するお問い合わせ先:
SBI ホールディングス株式会社 コーポレート・コミュニケーション部 03-6229-0126




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