8416 高知銀行 2021-09-28 16:30:00
「経営強化計画」の公表について [pdf]

                                                            2021 年 9 月 28 日
各   位
                                             会社名    株 式 会 社   高 知 銀 行
                                             代表者名   取締役頭取      海治 勝彦
                                               (コード番号:8416    東証第一部)
                                             問合せ先 執行役員経営統括部長 寺川       智文
                                                     (電話番号 088-822-9311)


                          「経営強化計画」の公表について


 当行は、
    「金融機能の強化のための特別措置に関する法律」に基づき、
                               「経営強化計画」を策定いたしま
したのでお知らせいたします。
 今後は、新たな「経営強化計画」に基づき、地域の中小企業の皆さま等への安定的かつ円滑な資金供給
や、経営課題の解決に向けたサポート体制等を強化させ、地域の持続的な発展に貢献してまいる所存です。


                                        記
1.計画期間
    2021 年 4 月 1 日から 2024 年 3 月 31 日の 3 年間
2.計画内容
    概要につきましては、別紙 1 の経営強化計画ダイジェスト版を、詳細につきましては別紙 2 の経営
    強化計画をご参照ください。
                                                                     以 上
                            「別紙1」




経営強化計画(ダイジェスト版)
金融機能の強化のための特別措置に関する法律第12条




       2021年6月
目次
1.前経営強化計画の数値目標の達成状況       ・・・・・・1
2.経営戦略                    ・・・・・・2
3.経営の改善の目標とその達成のための方策     ・・・・・・4
(1)コア業務純益の改善額
(2)業務粗利益経費率の改善幅
(3)営業戦略
(4)経営基盤戦略
4.中小規模事業者等に対する信用供与の円滑化 ・・・・・・9
(1)基本方針
(2)課題への取り組み
(3)信用供与の円滑化のための方策
(4)地域経済の活性化に資する方策
5.責任ある経営体制の確立             ・・・・・11
(1)業務執行に対する監査又は監督の体制の強化
(2)リスク管理の態勢の強化
(3)法令遵守の態勢の強化
(4)経営に対する評価の客観性の確保
(5)情報開示の充実
6.剰余金の処分の方針               ・・・・・13
(1)配当に対する方針
(2)役員に対する報酬および賞与についての方針
(3)財源確保の方策
1.前経営強化計画の数値目標の達成状況
コア業務純益の改善額                                                     (単位:百万円)         中小規模事業者等に対する信用供与の実績 (単位:億円、%)
           計画                  2021/3期                計画始期からの改善額                              計画                2021/3期                  計画始期からの純増額
           始期                                                                                 始期
                      計画        実績        計画比         計画       実績      計画比                             計画        実績       計画比           計画         実績         計画比

コア業務純益     2,418      2,423      2,632        209          5     214      209   中小規模事業者
                                                                                               3,956    4,003     4,565       562            47        609      562
                                                                                等向け貸出残高

                                                                                総資産           11,038   11,012    12,338      1,326       △26       1,300       1,326
貸出金平残は計画を460億円上回りましたが、前計画策定時の想定以上に                                              総資産に対する
低金利環境が続いたこと等により貸出金利回りが計画を下回ったことな                                                比率
                                                                                               35.84    36.35     37.00       0.65       0.51          1.16     0.65
どから、資金利益は計画を下回りました。また、役務取引等利益は金融
商品の販売が計画を下回ったことなどにより計画を1億83百万円下回りま                                              成長分野向けのほか、中小規模事業者等の資金需要にきめ細やかに取り組
したが、経費は計画を9億5百万円下回りました。これらの結果、コア業                                               むとともに、新型コロナウイルスへの対応に積極的に取り組んだことなど
務純益は計画を2億9百万円上回る実績となりました。                                                       から、中小規模事業者等向け貸出残高は計画始期を609億円、計画を562億
                                                                                円それぞれ上回りました。総資産に対する比率は、預金残高の増加や利益
                                                                                の積上げ等により総資産が計画を上回ったものの、始期を1.16ポイント、
                                                                                計画を0.65ポイントそれぞれ上回りました。


業務粗利益経費率の改善幅                                                           (単位:百万円、%)        経営改善支援等の取り組み                                             (単位:先、%)

                   計画                  2021/3期                  計画始期からの改善額                                                            2021/3期(下半期)
                                                                                                                  計画
                   始期         計画         実績         計画比        計画       実績      計画比                               始期
                                                                                                                                計画                実績          計画比
経費
(機械化関連費用除く)
                   10,336     10,522      9,737      △785        186    △599     △785    経営改善支援取組先数                   422             452          535             83

                                                                                         取引総数                       8,916            9,036        9,098            62
業務粗利益              14,158     15,024     13,019     △2,005       866   △1,139   △2,005
                                                                                         比率                           4.73            5.00         5.88        0.88
業務粗利益経費率            73.00      70.03      74.79       4.76     △2.97     1.79     4.76


機械化関連費用を除く経費は計画を7億85百万円下回り、始期比で5億99百万円削減                                                 外部機関等とも連携することでコンサルティング機能の強化を
できましたが、資金利益や役務取引等利益の不足等によって業務粗利益は計画を20                                                   図り、ビジネスマッチング等に積極的に取り組み、各期とも計
億5百万円下回ったことから、業務粗利益経費率は計画を4.76ポイント上回り計画未                                                 画を上回る実績で推移しました。2021年3月期下半期において
達成となりました。                                                                                も、経営改善支援取組先数は計画を83先、比率を0.88%上回る
                                                                                         実績となりました。

                                                                                                                                                               1
2.経営戦略
  経営戦略の策定にあたり、地域と当行を取り巻く環境と課題を整理したうえで、当行の経営理念
 や経営目標、さらにはSDGsとの融合を図りました。




 地   ・全国に先駆けた人口減少                         熱意
 域   ・相対的に低い労働生産性など
 の                                         高知銀行は、限りない熱意をもって、地域の発展と暮らしの向上に貢献します。
                                         経
 価                                       営 調和
 値                                       理 高知銀行は、調和のとれた経営をもって、お客さまの信頼に応えます。
                                         念
                                           誠実
                                           高知銀行は、創意と誠実をもって、お客さまに奉仕します。
                       SDGsとの融合により
                         事業基盤である           お客さまにとって   役に立ち信頼される銀行
                        地域の課題を解決         経
                                         営 株主にとって     健全で企業価値の高い銀行
                                         目 地域社会にとって

                               ×
                       SDGsが   こうぎん の                 使命を果たし発展に貢献する銀行
                                         標
                      目指す世界     目指す姿       職員にとって     働きがいがあり夢と希望を実現できる銀行
                                    時間
                                                                                  2
2.経営戦略
  本計画では、当行が目指す姿として「地域の価値向上に貢献する金融インフラ」を掲げ、達成に
 向けて3つの「基本方針」と5つの「基本戦略」を設定いたしました。




                                                3
3.経営の改善の目標とその達成のための方策
 当行は、金融機能の強化のための特別措置に関する法律第12条第1項の規定に基づき、2021年4月よ
り2024年3月まで経営強化計画を実施いたします。本経営強化計画における経営の改善の目標を下記のと
おりとし、その達成に向けて全力で取り組んでまいります。


(1)コア業務純益の改善額                                                                                                    中期経営計画の基本戦略と具体的施策の概念図
                                                                                                                                        第5期経営強化計画の
                                                                                   (単位:百万円)                                             期間中に取り組む施策
        2021/3期     2021/9期    2022/3期     2022/9期    2023/3期     2023/9期    2024/3期      2021/3期                                  地域のニーズへの対応および発掘
          実績          計画         計画          計画         計画          計画         計画         比改善幅

                                                                                                                     本業サポートの強化     現場力のさらなる向上
コア
          2,632       1,148      2,137       1,196      2,390       1,341      2,664             32
業務純益
                                                                                                                 営                 後方支援体制の強化
                                                                                                                 業
*コア業務純益(業務純益+一般貸倒引当金繰入額-国債等債券関係損益)                                                                               戦
                                                                                                                 略                 地域の皆さまとのリレーションの深化


                                                                                                                     暮らしサポートの強化    "face to face" 営業態勢のさらなる向上


(2)業務粗利益経費率の改善幅                                                                                              中
                                                                                                                                   非対面取引の拡充
                                                                                                             期
                                                                                    (単位:百万円、%)
                                                                                                             経                     営業力強化に向けた事務省力化および
                                                                                                             営                     リソースの最適配置
              2021/3期      2021/9期    2022/3期     2022/9期    2023/3期     2023/9期       2024/3期    2021/3期
                                                                                                             計       デジタル化等を活用した
                実績           計画         計画          計画         計画          計画            計画       比改善幅
                                                                                                             画         業務の改革および
                                                                                                             の           組織最適化
                                                                                                                                   地域ごとのニーズや展望を踏まえた
経費(機械化関                                                                                                      基
                   9,737      4,934       9,904      4,950       9,837      4,910        9,753        △16    本                     店舗網の再構築
連費用を除く)
                                                                                                             戦
                                                                                                             略
                                                                                                                 経
業務粗利益             13,019      6,982      13,941      6,930      13,898      7,008      13,927         908        営
                                                                                                                                   人財の育成および適正配置
                                                                                                                 基
                                                                                                                      人財力の最大発揮
                                                                                                                 盤
業務粗利益                                                                                                            戦
                   74.79      70.67       71.04      71.43       70.78      70.07        70.02        4.77                         多様な人財の活用と働き方改革への対応
経費率                                                                                                              略

*業務粗利益経費率((経費-機械化関連費用)/業務粗利益)
*機械化関連費用は、基幹系システム・事務用機器等の減価償却費、機械賃借料、機械保守費等を計上しております。                                                                              「こうぎんらしさ」が際立つ企業価値の共有


                                                                                                                      経営基盤の強化      グループガバナンスの強化


                                                                                                                                   財務基盤の強化


                                                                                                                                                            4
3.経営の改善の目標とその達成のための方策
(3)営業戦略
①本業サポートの強化     ➢ 地域やお取引先のニーズを的確に捉え、精細な分析に基づき最適なソリューション
                 を提供することで、地域の活性化に貢献してまいります。
               ➢ 本部と営業店の緊密な連携によって、より専門性の高い提案や機動性のある活動な
                 ど、きめ細かな対応につなげてまいります。




       ※「インターバル活動」とは、営業店と本部が連携し『情報分析→施策立案→活動→効果測定』の一連の
       プロセスを数カ月でまわしていくもので、地域で必要とされるニーズを的確に捉え対応していく活動の
       実効性向上を目指した施策です。                                   5
3.経営の改善の目標とその達成のための方策
(3)営業戦略
②暮らしサポートの強化   ➢ マーケット分析の高度化により質の高いリレーションを実現し、お取引内容やライ
                フステージなどに応じたコンサルティング活動を推進いたします。
              ➢ サービスチャネルを拡充し、金融サービスへのアクセス改善を進めることで、あら
                ゆるお客さまのニーズにお応えしてまいります。




                                                        6
3.経営の改善の目標とその達成のための方策
(4)経営基盤戦略
①デジタル化等を活用した業務の改革および組織最適化
➢ デジタルの活用により、利便性の高いサービスの提供や、
  抜本的な業務効率化を進めてまいります。
➢ 一部の営業店事務を本部に集約し、より一層お客さまと向
  き合う時間を創出いたします。
➢ デジタル化と、一部の営業店事務の本部集約によって得ら
  れる相乗効果により、さらなる営業力強化と生産性向上を
  進めてまいります。
➢ 地域ごとのニーズや展望を踏まえ、店舗網や店舗機能を再
  構築し、お客さまへのサービスと当行の生産性向上につな
  げてまいります。




                               7
3.経営の改善の目標とその達成のための方策
(4)経営基盤戦略
②人財力の最大発揮                        (職員個人のスキル)

➢ 預金/貸付の分業にとらわれない、マルチスキルを有した
  人財の育成に取り組みます。
➢ 多様な属性を持つ人財が活躍できるよう、さらなる環境の
  整備を進めます。
➢ 上述により、「①デジタル化等を活用した業務の改革およ
  び組織最適化」との相乗効果を図ります。



③経営基盤の強化
➢ 各施策の実効性を高めるため、「こうぎんらしさ=ベス
  ト・リージョナル・コラボレーション・バンク」を掲げる
  とともに、地域に開かれた職員像を共有してまいります。
➢ グループ会社との連携をこれまで以上に強化し、お客さま
  のニーズに応じて幅広く金融関連サービスが提供できる総
  合金融サービス業を目指します。
➢ 公的資金の2024年の返済期限を見据え、本計画の各施策を
  通じて、収益力の向上と資産の良質化を図ります。さらに、
  他社との業務提携等によるサービス拡充によって、お客さ
  まの利便性向上と密度の高い取引を実現し、経営基盤ひい
  ては財務基盤の強化に努めてまいります。




                                              8
4.中小規模事業者等に対する信用供与の円滑化
(1)基本方針
  当行は、地域の雇用を支え多様な技術等の担い手として地域にとって重要な存在である中小・零細企業等の健全な発展に
 向け、深度ある対話を重ねて将来の展望を共有し、当行の金融を含むあらゆるソリューションを提供してきめ細やかな本業
 サポートに努めることを重点方針とし、地域の金融インフラとして「持続的な地域貢献」を果たしてまいります。


(2)課題への取り組み
  地域経済は、少子高齢化の進展をはじめとした中長期的な課題に加え、ポストコロナという急速かつ不可逆的な価値観の
 変化が生じており、こうした変化への対応をサポートするため、以下の3つの取り組みを重点課題として位置づけ、組織全
 体として継続的に推進することで地域経済の活性化につなげ、サステナブル社会の実現に貢献してまいります。

                                                ・お取引先に対する伴走型の本業サポート
                           3つの重点課題              ・地域の面的再生への積極的な参画
                                                ・地域やお取引先に対する積極的な情報発信


(3)信用供与の円滑化のための方策
  当行は、地域の皆さまと“face to face”で向き合い、事業性評価を重視した信用供与や経営支援を行っていくとともに、
 お客さまのライフステージに応じたソリューション提案力の強化を図り、さらなる営業力の強化や業務効率化につながる
 本計画の諸施策を遂行して、計画期間中の中小規模事業者等向け貸出残高増加目標の達成を目指してまいります。

              中小規模事業者等に対する信用供与の数値目標                              (単位:億円、%)                信用供与のための方策
              2021/3期   2021/9期   2022/3期   2022/9期   2023/3期   2023/9期   2024/3期   ■本業サポートの強化
                実績        計画        計画        計画        計画        計画        計画       地域のニーズへの対応および発掘
                                                                                     現場力のさらなる向上
 中小規模事業者                                                                             後方支援体制の強化
                4,565     4,567     4,570     4,572     4,575     4,577     4,580
 等向け貸出残高                                                                             ABLなどの信用供与手法のさらなる活用
 始期(2021/3)                                                                         ■人財の育成
                   -          2         5         7       10        12        15     営業店と連携した伴走型支援によるOJTの実施
 からの増加額
                                                                                     実務研修の実施や外部資格取得の推奨
 総資産末残         12,338    12,059    11,991    11,822    11,769    11,782    11,774   ■信用供与の実施状況の検証
                                                                                     軒先顧客管理システムによる本部と営業店の連携強化
 総資産に対する                                                                             経営陣による貸出残高や取組状況等のモニタリング
                37.00     37.87     38.11     38.67     38.87     38.84     38.89
 比率
                                                                                                            9
4.中小規模事業者等に対する信用供与の円滑化
(4)地域経済の活性化に資する方策
  経営改善支援等に積極的に取り組んだ結果、事業存続による雇用維持、事業拡大や創業による雇用創出、ビジネスマッチ
 ングによる売上高増加等を継続的に達成できているものと認識しております。引き続き、地域経済の活性化につなげていく
 よう積極的に取り組んでまいります。

                         経営改善支援等の数値目標                                       (単位:先、%)                   経営改善支援等の方策
               2021/3期   2021/9期   2022/3期   2022/9期    2023/3期        2023/9期       2024/3期
                 始期        計画        計画        計画         計画             計画            計画
                                                                                               ■創業・新事業の開拓に対する支援
                                                                                                コンサルティング機能の発揮
 創業・新事業            35        35        35        37          38            39            40     高等教育機関との連携
                                                                                                こうぎん地域協働ファンドなどの活用
 経営相談             271       271       273       273         276           278           281    ■経営に関する相談その他のお取引先企業に対する支援
                                                                                                経営改善計画策定支援
 事業再生              27        27        30        32          32            35            37     外部専門家との連携
                                                                                                ビジネスマッチング機能の強化
 事業承継              23        24        24        25          27            30            33     情報提供機能の活用
                                                                                               ■早期の事業再生
 担保・保証            179       180       183       185         187           190           193     ランクアップへの取り組み
                                                                                                中小企業再生支援協議会等外部機関との連携
 合計               535       537       545       552         560           572           584
                                                                                               ■事業の承継に対する支援
 取引総数           9,098     9,100     9,105     9,115      9,120          9,125         9,130     ビジネスサポートこうち等外部機関との連携
                                                                                               ■担保又は保証に過度に依存しない融資の促進等
 比率              5.88      5.90      5.99      6.06         6.14         6.27          6.40     ABL等の信用供与手法の活用

      一般社団法人   ビジネスサポートこうち                             高知銀行

        《構成》 弁護士・税理士・
                                                                                               外部機関等との連携強化を図り、金融機関連携プラット
         司法書士・社会保険労務士
                                                                                 ご             フォーム「Kochi Big Advance」を活用するなど、中小
事
業                                    案情                            営
                                                                                 相             企業・小規模事業者が抱える事業承継等の経営課題に関
承                                    件報        本
                                                                                 談             する相談受け入れ態勢を拡充しております。
      外部機関等
                                     連交                                                 お
継                                    携換                            業                    客
等          税理士、司法書士等                  ・        部                                        さ
                                                        連
支                                                       携          店                    ま
援              M&A業者等
                                                                             サ
                                                                            ごー
         高知県事業承継・引継ぎ支援セ                                                     提ビ
         ンター等の公的支援機関                                                        供ス

                                                                                                                             10
5.責任ある経営体制の確立
(1)業務執行に対する監査又は監督の体制の強化
  2021年6月の株主総会以降の役員構成は、取締役8名(1名減少)のうち社外取締役は3名(増減なし)、監査役は4名のう
 ち社外監査役は3名となっております。社外役員6名はすべて金融商品取引所の定めに基づく独立役員であり、経営の透明性
 の確保とガバナンス強化に努めております。

                          コーポレート・ガバナンス体制図

                                   株主総会

                          選任/解任                   選任/解任          選任/解任



                     取締役会                            監査役会
                                   報告     監視/検証
                                                          連携

                            経営会議
           各種委員会等                                              会計監査人
        ◆ コンプライアンス委員会
        ◆ リスク管理委員会                            連携
                                    監査部




                    営業店     本部
                                   監査
                                           地域金融機関としての社会的責
                    連結子会社                 任と公共的使命を十分認識し、経
                                          営の透明性を向上させるとともに、
                                          コンプライアンスやリスク管理を
                                          徹底してコーポレート・ガバナン
                                          スの強化に努めてまいります。


                                                                         11
5.責任ある経営体制の確立
(2)リスク管理の態勢の強化
 「統合的リスク」「信用リスク」「市場リスク」「流動性リスク」「オペレーショナルリスク」の適切なリスク管理と、
「営業戦略」「有価証券運用」「統合的リスク管理」「財務計画」による有機的な連携を強化し、経営の健全性と収益の向
上を図ってまいります。




(3)法令遵守の態勢の強化
 取締役会の下に、コンプライアンス統括部担当取締役を委員長としたコンプライアンス委員会を設置し、同委員会を四半
期毎および随時開催しており、引き続きコンプライアンス・プログラムの策定や実効性の検証等、法令等遵守態勢の強化に
取り組んでまいります。


(4)経営に対する評価の客観性の確保
 前頁(1)に記載いたしましたとおり、社外役員6名はすべて金融商品取引所の定めに基づく独立役員として届け出をして
おり、経営に対する評価の客観性・中立性を確保しております。また、社外の有識者等第三者で構成する「経営評価委員
会」において、当行の経営方針や経営戦略等について客観的な立場で評価および助言をいただいております。


(5)情報開示の充実
 お客さまや株主、地域社会の皆さまへと適時・適切な情報開示を行うための手続等につきましては、規程を制定し、厳正
に取り扱っております。
 今後も地域貢献活動などを通じた地域活性化の取り組みについての開示内容を充実させ、迅速で分かりやすい情報発信に
努めてまいります。
                                                      12
6.剰余金の処分の方針
(1)配当に対する方針
  地域金融機関としての公共的・社会的使命を果たすため、安定的な経営基盤の確保と健全な財務体質への強化を図るとと
 もに、配当につきましては、フローの利益とストックの内部留保に応じ、弾力的に配分する方針としております。



(2)役員に対する報酬および賞与についての方針
  今後におきましても、役員賞与の不支給、取締役報酬カットを継続してまいります。



(3)財源確保の方策
  経営強化計画を着実に履行し、収益力の強化と資産の健全化を推し進め、安定した収益を確保することによって内部留保
 の蓄積を図っており、2021年3月期の利益剰余金は244億円となっております。本計画においても内部留保の蓄積に取り組む
 とともに、2024年の公的資金150億円の返済期限を見据えた対応についても検討を進めてまいります。



          当期純利益、利益剰余金の計画                                            (単位:億円)
                       2019/3期   2020/3期   2021/3期   2022/3期   2023/3期   2024/3期
                         実績        実績        実績        計画        計画        計画

          当期純利益             9        12         7        10        12        13

          利益剰余金           230       239       244       250       258       267

            利益準備金           9        10        11        12        13        14

            その他利益剰余金      220       228       232       237       244       253




                                                                                   13
熱意   高知銀行は、限りない熱意をもって、地域の発展と暮らしの向上に貢献します。


調和   高知銀行は、調和のとれた経営をもって、お客さまの信頼に応えます。


誠実   高知銀行は、創意と誠実をもって、お客さまに奉仕します。
                                「別紙2」




  経 営 強 化 計 画
(金融機能の強化のための特別措置に関する法律第 12 条)




         2021 年 6 月
                 目   次

Ⅰ.前経営強化計画の実績に関する総括・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
 1.経営環境・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
 2.資産負債の状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
 3.損益の状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
 4.経営強化計画の終期において達成されるべき経営の改善の目標・・・・・・・ 4
 5.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化その他の主として業務を
   行っている地域における経済の活性化に資するための方針・・・・・・・・・ 5
Ⅱ.経営強化計画の実施期間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
Ⅲ.経営強化計画の終期において達成されるべき経営の改善の目標・・・・・・・・ 7
 1.収益性を示す指標・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
 2.業務の効率性を示す指標・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
Ⅳ.経営の改善の目標を達成するための方策・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
 1.前経営強化計画の経営戦略について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
 2.経営戦略・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
Ⅴ.従前の経営体制の見直しその他の責任ある経営体制の確立に関する事項・・・・24
 1.業務執行に対する監査又は監督の体制の強化のための方策・・・・・・・・・24
 2.リスク管理の態勢の強化のための方策・・・・・・・・・・・・・・・・・・25
 3.法令遵守の態勢の強化のための方策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28
 4.経営に対する評価の客観性の確保のための方策・・・・・・・・・・・・・・29
 5.情報開示の充実のための方策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30
Ⅵ.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化その他の主として業務を
  行っている地域における経済の活性化に資する方策・・・・・・・・・・・・・31
 1.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化その他の主として業務を
   行っている地域における経済の活性化に資するための方針・・・・・・・・・31
 2.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化のための方策・・・・・・・・・32
 3.その他の主として業務を行っている地域における経済の活性化に
   資する方策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36
Ⅶ.剰余金の処分の方針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44
 1.配当に対する方針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44
 2.役員に対する報酬および賞与についての方針・・・・・・・・・・・・・・・44
 3.財源確保の方策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44
Ⅷ.財務内容の健全性および業務の健全かつ適切な運営の確保のための方策・・・・45
 1.経営強化計画の運営管理・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45
 2.内部監査態勢の強化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45
 3.各種のリスク管理の状況および今後の方針等 ・・・・・・・・・・・・・・45
Ⅸ.協定銀行が現に保有する取得株式等にかかる事項・・・・・・・・・・・・・・48
Ⅹ.経営強化のための計画の前提条件・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49
Ⅰ.前経営強化計画の実績に関する総括
1.経営環境
  当行は、金融機能の強化のための特別措置に関する法律に基づき、2018 年 4 月か
 ら 2021 年 3 月までの 3 年間を計画期間とした「経営強化計画」(第 4 期)
                                           (以下「前
 計画」 を策定し、
      )       国からの資本参加 150 億円による財務基盤の強化を背景として、
 中小規模事業者等に対する信用供与の円滑化や地域経済の活性化に資する取り組
 みを行うとともに、当行の経営課題である「収益力の強化」と「資産の健全化」に
 取り組んでまいりました。
  前計画期間におけるわが国の経済は、全体として緩やかな回復基調にあったもの
 の、新型コロナウイルス感染症の拡大以後は設備投資や雇用環境などで弱い動きと
 なり、総じて厳しい状況となりました。
  当行の主要営業基盤である高知県の経済は、個人消費などで緩やかな持ち直しの
 動きがみられましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により設備投資や製造業
 の生産は弱めの動きが継続しており、全体としては弱い動きとなりました。
  当行は、地域に密着した営業活動を展開し、成長分野に向けた融資の推進や、新
 型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者の資金繰り支援など、中小規模事業
 者等を中心とした事業資金の需要に積極的にお応えして貸出金の増強に努めた結
 果、貸出金残高は計画を上回ることができました。一方、前計画策定時の想定以上
 に低金利環境が続いたことなどから貸出金利回りは計画を下回りました。また、経
 費は全行を挙げて削減に取り組んだことで計画以上の削減につながりました。その
 結果、コア業務純益は計画を達成しましたが、業務粗利益経費率は計画未達成とな
 りました。
  経営改善支援等に向けた取り組みにつきましては、コンサルティング機能を発揮
 して本部と営業店が一体となり取り組んだ結果、計画を達成いたしました。また、
 利益剰余金につきましては、計画は下回ったものの、これまでに 244 億円の積上げ
 ができております。

〔各種指標(表 1)
         〕                                                                                   (単位:%、円)
               2018/3 期            2019/3 期                     2020/3 期                     2021/3 期
                 実績        前提        実績       計画比       前提        実績       計画比       前提        実績       計画比

無担保コール翌日物        △0.068   △0.060    △0.050     0.010   △0.050    △0.085    △0.035   △0.040    △0.039     0.001

TIBOR3 ヶ月         0.069    0.069     0.069     0.000    0.069     0.069     0.000    0.120     0.069    △0.051

新発 10 年国債利回り      0.041    0.050    △0.095    △0.145    0.080     0.005    △0.075    0.200     0.120    △0.080

ドル/円レート          106.24   113.00     110.84   △2.16    113.00     107.53   △5.47    110.00     110.70     0.70

日経平均株価           21,454   23,500     21,205   △2,295   24,000     18,917   △5,083   24,500     29,178    4,678



2.資産負債の状況
(1)預金
   預金(譲渡性預金含む)は、取引のメイン化に向けた法人預金の獲得や、個人向
 け各種定期預金商品の獲得推進などの取り組みによって、 2021 年 3 月期の預金残高



                                                1
      は計画始期を 995 億円、平残は計画を 1,054 億円それぞれ上回りました。

  (2)貸出金
     貸出金は、地域に密着した営業活動を展開し、成長分野向けの「こうぎん・ビビ
   ッド・ファンド」や個人事業者向けの「こうぎんビジネス応援団」等の活用、新型
   コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者への資金繰り支援など、中小規模事業
   者等を中心とした事業資金の需要に積極的にお応えしたことなどから、2021 年 3
   月期の貸出金残高は計画始期を 550 億円、平残は計画を 460 億円それぞれ上回りま
   した。

  (3)有価証券
     有価証券は、 適切なリスク管理のもとで安定的な収益を確保することを重視する
   とともに、株式や投資信託による運用を強化し、金利上昇リスクに備えデュレーシ
   ョンの長期化や円貨債券への再投資を抑制する等、収益性とリスクのバランスの取
   れたポートフォリオの構築を進めたことなどから、     2021 年 3 月期の有価証券残高は
   計画始期を 67 億円、平残は計画を 100 億円それぞれ下回りました。

〔資産・負債の状況(平均残高)(表 2)
                   〕                                                                  (単位:億円)
                2018/3 期     2019/3 期               2020/3 期                   2021/3 期

                 実績        実績       前年比           実績       前年比       実績       前年比     計画        計画比
 資産              10,720    10,763        43       10,797        34   12,005   1,208   10,839    1,166
       うち貸出金      6,713     6,776        63        6,933       157    7,300    367     6,839     460
       うち有価証券     3,105     3,058       △47        3,012       △46    3,004    △8      3,105    △100
 負債              10,086    10,120        34       10,150        30   11,342   1,192   10,169    1,172
       うち預金       9,194     9,396       202        9,528       132   10,420    892     9,365    1,054
       うち借用金        785      621    △164            517    △104        839     322        700    139
 純資産                633      643         10         646          3     663       17       670    △6


  3.損益の状況
    地域に密着した営業活動を展開し、中小規模事業者等を中心とした事業資金の需
   要に積極的にお応えした結果、貸出金残高は計画を上回ったものの、計画策定時の
   想定以上に低金利環境が続いたことなどから、      資金利益は計画最終年度である 2021
   年 3 月期において計画を 8 億 89 百万円下回りました。また、役務取引等利益につ
   きましては、  お客さま本位の業務運営に関する取組方針に基づき金融商品のご提案
   に努めましたが、  相場の不透明感や新型コロナウイルス感染症の拡大による提案機
   会の減少などにより、計画を 1 億 83 百万円下回りました。その他業務利益は、時
   価が著しく下落した保有有価証券の減損処理等により、計画を 9 億 32 百万円下回
   りました。これらの結果、業務粗利益は計画を 20 億 5 百万円下回りました。
    経費につきましては、物件費は冗費圧縮に努めたほか、設備投資時期の変更など
   により計画を 3 億 37 百万円、人件費は人員の新陳代謝等により計画を 5 億 43 百万


                                              2
円それぞれ下回ったことなどから、全体では計画を 9 億 5 百万円下回りました。こ
れらにより、業務純益は計画を 16 億 48 百万円下回りましたが、コア業務純益は計
画を 2 億 9 百万円上回りました。

〔損益の状況(単体ベース)(表 3)
                 〕                                                      (単位:百万円)
                    2018/3 期   2019/3 期   2020/3 期                2021/3 期
                                                              2020/3
                     実績         実績         実績        実績                  計画          計画比
                                                               期比
 業務粗利益               14,158     13,824     13,732    13,019     △713     15,024      △2,005
  資金利益               14,302     13,508     13,558    13,414     △144     14,303       △889
  役務取引等利益               384        139        399      377       △22          561     △184
  その他業務利益             △528         176      △225     △772       △547          160     △932
  (うち国債等債券損益)         △271         558         45    △879       △924          430    △1,309
 経費                  12,011     11,743     11,452    11,266     △186     12,171       △905
  うち人件費               6,481      6,279      6,166    5,984      △182         6,527    △543
  うち物件費               4,713      4,674      4,510    4,393      △117         4,731    △338
 業務純益(一般貸倒引当金繰入前)     2,146      2,080      2,280    1,753      △527         2,853   △1,100
 一般貸倒引当金繰入額               -        150        198      598        400           50      548
 業務純益                 2,146      1,930      2,082    1,154      △928         2,803   △1,649
 コア業務純益               2,418      1,521      2,235    2,632        397        2,423      209
 臨時損益                   548      △210         241      237        △4         △410       647
  うち不良債権処理額             146        913         78    1,491      1,413         450     1,041
  うち株式等関係損益             148        512        148    1,523      1,375           -     1,523
 経常利益                 2,695      1,719      2,324    1,391      △933         2,392   △1,001
 特別損益                 △234       △245       △157       189        346         △20       209
 税引前当期純利益             2,461      1,474      2,166    1,581      △585         2,372    △791
 法人税、住民税および事業税          570        702        731    1,085        354         722       363
 法人税等調整額                241      △128         176    △295       △471            -     △295
 当期純利益                1,648        900      1,258      792      △466         1,650    △858
 実質与信費用               △208         999        218    1,994      1,776         465     1,529


  また、一部大口先の信用悪化や、経営改善支援を強化することを目的に貸倒引当
金の見積り方法を変更して積み増ししたこと等により、実質与信費用が計画を 15
億 29 百万円上回ったことなどから、経常利益は 10 億 1 百万円、当期純利益は 8 億
58 百万円それぞれ計画を下回りました。




                                  3
 〔利回りの推移(表 4)
            〕                                                  (単位:%)
             決算期                計画               実績             計画比
            2019/3 期               1.568          1.524            △0.044
   貸出金利回    2020/3 期               1.560          1.452            △0.108
            2021/3 期               1.565          1.367            △0.198
            2019/3 期               0.064          0.049            △0.015
    預金利回    2020/3 期               0.055          0.042            △0.013
            2021/3 期               0.047          0.035            △0.012


4.経営強化計画の終期において達成されるべき経営の改善の目標
(1)コア業務純益(収益性を示す指標)
   地域に密着した営業活動を展開し、中小規模事業者等を中心とした事業資金の需
 要に積極的にお応えしたことなどから、貸出金平残は 7,300 億円となり計画を 460
 億円上回ったものの、計画策定時の想定以上に低金利環境が続いたこと等から、貸
 出金利回りが計画を 0.198 ポイント下回ったことなどにより貸出金利息は計画を 7
 億 24 百万円下回りました。
   預金利息は、預金平残(譲渡性預金含む)が計画を 1,054 億円上回る 1 兆 420 億
 円となりましたが、預金利回りが計画を 0.012 ポイント下回ったことなどから、計
 画を 70 百万円下回りました。
   また、有価証券平残は計画を 100 億円下回ったことに加えて、利回りも計画を
 0.051 ポイント下回ったことから、 有価証券利息配当金は計画を 2 億 82 百万円下回
 りました。これらの結果、資金利益は計画を 8 億 89 百万円下回りました。
   役務取引等利益は、   相場の不透明感や新型コロナウイルス感染症の拡大による提
 案機会の減少などにより、金融商品販売額が計画を下回ったことなどから、計画を
 1 億 83 百万円下回りました。
   経費につきましては、物件費は冗費圧縮に努めたほか、設備投資時期の変更など
 により計画を 3 億 37 百万円、人件費は人員の新陳代謝等により計画を 5 億 43 百万
 円それぞれ下回ったことなどから、全体では計画を 9 億 5 百万円下回りました。
   これらの結果、コア業務純益は計画を 2 億 9 百万円上回りました。

 〔コア業務純益の改善額(表 5)〕                                              (単位:百万円)
           計画                  2019/3 期                       2020/3 期
           始期          計画        実績        計画比        計画        実績       計画比
  コア業務純益    2,418      1,957     1,521     △436       1,940     2,235       295


                    2021/3 期                計画始期からの改善額
           計画          実績       計画比        計画   実績  計画比

  コア業務純益    2,423      2,632       209        5        214        209

  *コア業務純益(業務純益+一般貸倒引当金繰入額-国債等債券関係損益)



                                   4
(2)業務粗利益経費率(業務の効率性を示す指標)
   分母にあたる業務粗利益は、資金利益が計画を 8 億 89 百万円、役務取引等利益
 が計画を 1 億 83 百万円、その他業務利益が計画を 9 億 32 百万円それぞれ下回った
 ことから、計画を 20 億 5 百万円下回りました。
   分子にあたる経費(機械化関連費用を除く)は、人件費が計画を 5 億 43 百万円
 下回ったことなどにより、計画を 7 億 85 百万円下回りました。
   この結果、計画終期における業務粗利益経費率は 74.79%となり、計画、始期を
 いずれも上回り計画未達成となりました。

 〔業務粗利益経費率の改善幅(表 6)〕                                            (単位:百万円、%)
                計画                  2019/3 期                    2020/3 期
                始期         計画         実績       計画比      計画        実績       計画比
  経費
                10,336     10,517    10,114    △403    10,562     9,961     △601
  (機械化関連費用除く)

 業務粗利益          14,158     14,773    13,824    △949    14,798    13,732    △1,066

 業務粗利益経費率        73.00      71.19     73.16     1.97    71.37     72.53      1.16


                         2021/3 期                計画始期からの改善額
                計画         実績        計画比       計画       実績       計画比
  経費
                10,522      9,737     △785       186    △599      △785
  (機械化関連費用除く)

 業務粗利益          15,024     13,019   △2,005       866   △1,139    △2,005

 業務粗利益経費率        70.03      74.79      4.76    △2.97     1.79      4.76

  *業務粗利益経費率((経費-機械化関連費用)/業務粗利益)
  *機械化関連費用は、基幹系システム・事務用機器等の減価償却費、機械賃借料、機械保守
   費等を計上しております。

5.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化その他の主として業務を行っている
  地域における経済の活性化に資するための方針
(1)中小規模事業者等に対する信用供与の実績
   地域密着型営業を基本とした各施策に基づき、医療・福祉分野をはじめとする成
 長分野、 ならびに中小規模事業者等の資金需要や各種相談にきめ細かく対応するな
 どリレーションの強化に取り組んだ結果、計画終期の同残高は 4,565 億円となり、
 始期を 609 億円、計画を 562 億円それぞれ上回りました。
   総資産に対する比率につきましては、分母にあたる総資産が預金残高の増加およ
 び利益の積み上げなどによって計画を 1,326 億円上回りましたが、分子にあたる中
 小規模事業者等向け貸出残高も計画を 562 億円上回ったことから 37.00%となり、
 始期を 1.16 ポイント、計画を 0.65 ポイントそれぞれ上回りました。




                                      5
〔中小規模事業者等に対する信用供与の実績(表 7)〕                                                                 (単位:億円、%)
                      計画                           2019/3 期                                 2020/3 期
                      始期              計画               実績        計画比            計画              実績        計画比
 中小規模事業者等向け
                        3,956          3,968            4,045           77      3,985            4,258      273
 貸出残高

 総資産                  11,038          10,952           10,852     △100         10,980           11,125      145

 総資産に対する比率              35.84          36.23            37.28      1.05         36.29            38.27     1.98


                                 2021/3 期                            計画始期からの純増額
                      計画              実績               計画比        計画            実績              計画比
 中小規模事業者等向け
                        4,003          4,565             562            47           609          562
 貸出残高

 総資産                  11,012          12,338            1,326      △26          1,300           1,326

 総資産に対する比率              36.35          37.00            0.65       0.51             1.16         0.65



(2)経営改善支援等取組先企業の数のお取引先企業の総数に占める割合
   外部機関等とも連携することでコンサルティング機能の強化を図り、経営改善計
 画の策定支援や、ビジネスマッチング等に積極的に取り組んでまいりました。計画
 終期においては、 本項目に含まれない新型コロナウイルス感染症に係る経営相談や
 金融支援などに最優先で取り組んだことで、   経営相談のカテゴリーが計画を 36 先、
 事業再生のカテゴリーが計画を 10 先それぞれ下回りましたが、それ以外のカテゴ
 リーでは計画を上回りました。
   これらの結果、合計では計画を 83 先、取引先総数に占める割合では計画を 0.88
 ポイントそれぞれ上回りました。

〔経営改善支援等の取り組み(表 8)〕                                                                         (単位:先、%)
           計画       2019/3 期(下半期)                       2020/3 期(下半期)                 2021/3 期(下半期)
           始期      計画      実績           計画比             計画      実績       計画比          計画          実績      計画比

  創業・新事業      19      25         30            5          29       42          13          33        35     2
  経営相談      300     302         353        51            305     336           31      307         271    △36
  事業再生        35      35         18      △17              36       23        △13           37        27   △10
  事業承継        13      15         15            0          16       21          5           17        23     6
  担保・保証       55      56        275       219             57     299          242          58      179     121

  合計        422     433         691       258            443     721          278      452         535      83

  取引総数     8,916   8,956   8,788        △168           8,996    8,824    △172        9,036       9,098      62
  比率       4.73    4.83     7.86         3.03           4.92    8.17         3.25     5.00        5.88    0.88




                                                   6
Ⅱ.経営強化計画の実施期間
  当行は、金融機能の強化のための特別措置に関する法律第 12 条第 1 項の規定に
 基づき、2021 年 4 月より 2024 年 3 月までを計画期間とした経営強化計画を実施い
 たします。
  なお、今後計画に記載された事項につきまして重要な変化が生じた場合、または
 生じることが予想される場合には、遅滞なく金融庁に報告いたします。

Ⅲ.経営強化計画の終期において達成されるべき経営の改善の目標
1.収益性を示す指標
〔コア業務純益の改善額(表 9)
               〕                                                              (単位:百万円)
          2021/3 期   2021/9 期   2022/3 期   2022/9 期    2023/3 期   2023/9 期   2024/3 期   2021/3 期
            実績         計画         計画         計画          計画         計画         計画       比改善額

 コア業務純益     2,632      1,148      2,137        1,196     2,390      1,341      2,664         32

 *コア業務純益(業務純益+一般貸倒引当金繰入額-国債等債券関係損益)


  地域経済は、個人消費などで緩やかな持ち直しの動きもみられますが、新型コロ
 ナウイルス感染症の影響により設備投資や製造業の生産は弱めの動きが継続して
 おり、全体では弱い動きとなっております。また、マイナス金利政策の継続等によ
 り、貸出金利回りや市場金利が低位で推移するなど、収益水準を維持していくこと
 が厳しい環境が続くものと予想されます。
  このような経営環境を踏まえ、本経営強化計画(以下「本計画」         )のコア業務粗
 利益につきましては、分析力の精緻化と営業力の効率化を図り、地域で必要とされ
 るニーズを的確に捉えて対応していく現場力をさらに向上し、貸出金利息を中心と
 した資金利益の確保を図ってまいります。また、お客さま本位の業務運営に関する
 取組方針に基づいた金融商品の提案や、お取引先の財務の健全性を背景とした私募
 債の引受を積極的に推進するなど、役務取引等利益の増強につなげてまいります。
  一方で、デジタルを活用した利便性の高いサービスの提供や、システム更改によ
 る抜本的な業務効率化、地域のニーズや展望を踏まえた店舗施策の実施などにより
 経費増加を想定していることから、2022 年 3 月期、2023 年 3 月期のコア業務純益
 は始期を下回る計画としております。
  しかしながら、計画終期のコア業務純益は、実効性の高い営業態勢の構築や、ニ
 ーズを捉えた的確な金融サービスの提供による資金利益の確保と役務取引等利益
 の増強により、計画始期を上回る計画としております。




                                           7
2.業務の効率性を示す指標
〔業務粗利益経費率の改善幅(表 10)〕                                                         (単位:百万円、%)
           2021/3 期   2021/9 期   2022/3 期       2022/9 期   2023/3 期   2023/9 期   2024/3 期   2021/3 期
             実績         計画         計画             計画         計画         計画         計画       比改善額

 経費(機械化関
             9,737      4,934      9,904          4,950      9,837      4,910      9,753       △16
 連費用を除く)

 業務粗利益     13,019       6,982    13,941           6,930    13,898       7,008    13,927         908

 業務粗利益
             74.79      70.67      71.04          71.43      70.78      70.07      70.02       4.77
 経費率
 *業務粗利益経費率((経費-機械化関連費用)/業務粗利益)
 *機械化関連費用は、基幹系システム・事務用機器等の減価償却費、機械賃借料、機械保守費
  等を計上しております。


  計画終期の業務粗利益経費率につきましては、分母にあたる業務粗利益において、
 今後も低金利環境が継続するとの想定から資金利益は計画始期を 30 百万円下回る
 こととしておりますが、金融商品の販売や私募債の引受強化などにより役務取引等
 利益は計画始期を 2 億 16 百万円上回るとともに、その他業務利益(2021 年 3 月期
 の実績△7 億 72 百万円)を改善することなどによって、計画始期を 9 億 8 百万円上
 回る計画としております。
  分子にあたる機械化関連費用を除く経費につきましては、引き続き冗費削減に取
 り組むものの、デジタル化対応等に伴う関連経費などによる物件費増加等により、
 計画始期を 16 百万円上回る計画としております。
  これらの結果、計画終期における業務粗利益経費率は、計画始期を 4.77 ポイン
 ト改善する計画としております。

Ⅳ.経営の改善の目標を達成するための方策
1.前経営強化計画の経営戦略について
(1)財務基盤の一層の強化に向けた取り組み
 ①収益力の強化
   地域に密着した営業活動を展開し、成長分野に向けた融資の推進や、新型コロナ
 ウイルス感染症の影響を受けた事業者の資金繰り支援など、     中小規模事業者等を中
 心とした事業資金の需要に積極的にお応えしたことなどから、      貸出金平残は前年同
 期比 366 億 29 百万円増加いたしました。一方、低金利環境が続いたことなどによ
 り貸出金利回りが前年同期比 0.085 ポイント低下したことから、   貸出金利息は前年
 同期比 88 百万円減少いたしました。有価証券運用におきましては、株式や投資信
 託による運用を強化したものの、     金利上昇リスクに備えデュレーションの長期化や
 円貨債券への再投資を抑制したことなどから、有価証券利息配当金は前年同期比 1
 億 52 百万円減少いたしました。また、預金平残(譲渡性預金含む)は前年同期比
 891 億 81 百万円増加したものの、預金利回りが前年同期比 0.007 ポイント低下し
 たことから、預金利息は前年同期比 34 百万円減少いたしました。これらの結果、
 資金利益は前年同期比 1 億 44 百万円減少いたしました。



                                            8
       お客さま本位の業務運営に関する取組方針のもと、投資信託・生命保険など金融
      商品の積極的な販売に取り組みましたが、役務取引等利益は前年同期比 21 百万円
      減少いたしました。また、経費は、税金が前年同期比 1 億 13 百万円増加したもの
      の、全行を挙げて経費削減に努めたことなどから、物件費は前年同期比 1 億 17 百
      万円減少し、人件費も人員の新陳代謝等により前年同期比 1 億 82 百万円減少した
      ことから、全体では前年同期比 1 億 85 百万円減少いたしました。
       これらの結果、コア業務純益は前年同期比 3 億 97 百万円増加いたしました。な
      お、公的資金の返済原資となる利益剰余金につきましては 244 億円となり、今後、
      計画達成に向けてさらに積み上げを図ってまいります。

〔収益等に関する計数の推移(表 11)〕                                                                                                                        (単位:百万円)
               2010/3        2011/3     2012/3       2013/3      2014/3       2015/3       2016/3         2017/3         2018/3         2019/3         2020/3     2021/3
               期実績           期実績        期実績          期実績         期実績          期実績          期実績            期実績            期実績            期実績            期実績        期実績
 コア業務粗利益          16,006       15,681      15,791       15,071      14,840       14,916       14,730         13,989         14,430         13,265        13,687       13,898

   資金利益           15,300       15,500      15,440       14,789      14,398       14,273       14,124         13,764         14,302         13,508        13,558       13,414

   役務利益                72         153          304         301          477         676            727            453            384            139        399           377

 経費               12,768       12,346      12,339       11,926      11,861       11,803       12,262         12,140         12,011         11,743        11,452       11,266

   人件費             6,494        6,491       6,468        6,585       6,543        6,603        6,771          6,604          6,481          6,279         6,166        5,984

   物件費             5,642        5,246       5,229        4,782       4,740        4,555        4,702          4,734          4,713          4,674         4,510        4,393

 コア業務純益            3,237        3,334       3,451        3,144       2,979        3,112        2,467          1,849          2,418          1,521         2,235        2,632

 当期純利益             1,337        2,193       3,027        1,992       3,034        3,800        2,928          2,113          1,648              900       1,258          792

 貸出金平残           637,399      639,365     633,253      623,789     623,404      648,075      661,938        666,828        671,396        677,688       693,379      730,008

 貸出金利回(%)          2.405        2.241       2.120        2.034       1.947        1.829        1.743          1.647          1.588          1.524         1.452        1.367

 預金平残            853,468      868,328     866,900      879,106     888,255      900,784      917,628        908,983        919,485        939,683       952,890    1,042,072

 預金利回 (%)          0.334        0.241       0.162        0.150       0.133        0.140        0.125          0.106          0.082          0.049         0.042        0.035

 人員(期中平均)(名)          923         918          920         927          917         892            880            877            864            835        812           775




      ②資産の健全化
       2021 年 3 月期の金融再生法開示債権比率につきましては、分母にあたる総与信
      残高は、  成長分野向けならびにコロナ禍における事業者の資金繰り支援など積極的
      に融資を行ったことで貸出金は増加しており、     分子にあたる金融再生法開示債権は、
      お取引先とのリレーションに基づく深度ある事業性評価や経営改善支援を継続す
      るとともに、    部分直接償却等のオフバランス化も活用しながら不良債権の適切な処
      理に取り組んだものの、    前期比では同水準の 3.86%となりました。しかしながら、
      始期比では 0.25 ポイント低下しており、改善は進んでおります。

〔自己資本比率・不良債権比率等の推移(表 12)
                       〕                                                                                                               (単位:百万円、%)
             2010/3     2011/3        2012/3     2013/3       2014/3      2015/3          2016/3         2017/3         2018/3         2019/3         2020/3      2021/3
             期実績        期実績           期実績        期実績          期実績         期実績             期実績            期実績            期実績            期実績            期実績         期実績
 自己資本比率        10.50        10.72       11.03        10.15       10.20        10.21         10.21           9.78           9.65           9.60           9.25        9.43

 金融再生法開示債権    46,046        48,159      50,852       49,013      45,055       36,087       33,967         30,530         29,153         29,318         28,303      29,766

 不良債権比率         6.96          7.42        7.84         7.52        6.78         5.30         4.92           4.36           4.11           4.11           3.86        3.86




                                                                    9
③リスク管理・コンプライアンス
 リスク管理につきましては、これまでと同様に安定した経営基盤を維持するため
の重要な要素であるとの認識に基づき、当行の規模・特性を踏まえた管理態勢の強
化に努めております。新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、社会環境が急激か
つ不可逆的に変化する中において、特に、資産の大半を占める貸出金や有価証券な
どが包含する信用リスク、資産価値が経済動向などに応じてリアルタイムに変化す
る市場リスクの管理に細心の注意を払うとともに、態勢の高度化にも努めてまいり
ました。
 信用リスク管理につきましては、特定の業種や相手先に偏らない融資や事業性評
価に基づく融資への取り組みなど、お取引先の実態を十分に把握することを徹底し
てまいりました。また、重要与信先の管理や、業種別・格付別予想損失額の計測や
与信集中等についてのモニタリングを継続的に行っております。
 市場リスクにつきましては、アラームポイントを設定し、商品毎の保有限度額管
理のうえ、定期的にストレス・テストを実施するなど、リスク管理の充実を図って
おり、本計画におきましてもリスク管理の精緻化と高度化を進めてまいります。
 また、コンプライアンスは、全ての企業活動において最優先されるべきもので、
社会的な信頼の礎と位置づけ、管理態勢の強化に不断に取り組み、コンプライアン
ス態勢の充実を図ってまいります。

(2)前経営強化計画の取り組みを踏まえた今後の課題
   前計画において、当行の目指す姿を「地域の価値向上に貢献する金融インフラ」
 と掲げ、実現するための基本方針を「地域密着型金融の深化」               「高付加価値サービ
 スの提供」   「生産性の向上」と設定しました。そのうえで、2021 年 3 月期までの 3
 年間を、  「変革」を遂げる期間と位置づけ、営業戦略や経営基盤戦略に基づく各施
 策を実施してまいりました。
   営業戦略につきましては、     “face to face”でお客さまと向き合う活動を増強す
 るため業務改革(Business Process Reengineering、以下「BPR」)に取り組み、
 職員の事務負担軽減やお客さまの手続きにかかる時間の短縮化を進めたうえで、窓
 口係からマネーアドバイザーや渉外係への配置転換を行うとともに、店舗運営体制
 ならびに本部による支援体制を見直し営業活動に携わる人員構成比率を高めるこ
 となどによって営業活動の質と量を向上させ、収益の増強に努めてまいりました。
 さらに、付加価値提供のプラットフォームを構築したことで、事業性評価に関する
 対話から提案に至るまで一連の課題解決のためのノウハウなどについて、本部と営
 業店の共有・連携が強化され、最適なソリューション提供に向けた本業支援活動の
 充実化につながっております。また、個人取引強化については、お客さまのライフ
 ステージに応じた幅広いニーズに切れ目なく対応するため、本部組織やプラザ運営
 態勢の見直し、Web機能の強化、時節に合った各種キャンペーンの展開などを進
 めてまいりました。これらの結果、2021 年 3 月末における事業者取引先数は計画始
 期を 182 先(2%)上回る 9,098 先となり、   貸出金残高は計画始期を 550 億円 (7.9%)
 上回る 7,502 億円となるなどの成果が見られた一方で、貸出金利回りの低下により
 業務粗利益の柱である貸出金利息は計画始期を下回る水準となりました。


                          10
 経営基盤戦略につきましては、人材力を最大発揮するため、多様な属性の人材が
より一層活躍できるための環境整備として、ライフステージに応じて勤務時間や休
暇が柔軟に変更・取得できる制度の拡充や、定年退職者の再雇用の継続、執行役員
制度の導入などを実施してまいりました。また、機動的で多様な研修の実施や「エ
ルダー制度」の導入など、新入行員育成制度の改善による人材育成の強化を進めた
ほか、女性の活躍推進や子育て支援、健康経営等に積極的な企業として各種認定制
度に選定されるなど、働き方改革にも取り組んでまいりました。
 このほか、全行を挙げて物件費の削減運動に取り組むとともに、経費予算の厳正
な執行管理を行った結果、2021 年 3 月期における経費(機械化関連費用除く)は計
画始期を 5 億 99 百万円(5.7%)下回るなどの成果がみられました。また、「貸出
金の良質化」 につきましては、    不良債権の適切な処理や新たな不良債権の発生防止、
経営改善支援による債務者区分のランクアップ推進とランクダウン防止などに取
り組んだ結果、金融再生法開示債権比率は計画始期の 4.11%から 0.25 ポイント改
善するなどの成果がみられました。
 当行の主要営業基盤である高知県の経済は、足もとでは新型コロナウイルス感染
症の影響により弱い動きとなっているうえに、全国平均よりも速いペースで人口が
減少しており、中長期的にみれば経済規模の縮小が予想されるほか、一人当たりの
労働生産性が全国平均の 8 割程度に留まっている状況などから、将来的には地域資
源の利活用による付加価値や生産性の向上によって、生産年齢人口の減少を補うこ
となどが必要であると認識しております。
 これらを踏まえ、地域と当行それぞれにとっての重要課題を正しく認識し、今ま
で以上にお客さまの立場に立った商品やサービス、ソリューションなどの提供を通
じて地域経済の活性化や地域の価値向上に資する取り組みを推進することで、持続
可能な地域社会の構築に貢献していく必要があると認識しております。

2.経営戦略
(1)地域における現状と課題
   当行の主要営業基盤である高知県の経済活動別県内総生産を全国と比較すると、
 製造業の比率が低い一方、保健衛生・社会事業のほか、農林水産業や建設業などの
 比率が高い産業構造となっておりますが、総じて労働生産性が低く、さらに新型コ
 ロナウイルス感染症の拡大によって社会・経済活動や人々の価値観が大きく変化し
 ております。今後、全国に先駆けた総人口ならびに生産年齢人口の減少などにより
 縮小の圧力がかかる地域経済が活性化していくためには、ウィズコロナ・アフター
 コロナを見据えたこれまでにない方策を採り入れることや、地域の面的な価値向上
 を下支えする方策を推進してくことが必要であると認識しております。




                    11
(2)当行が目指す姿




 こうした認識のもと、地域と当行の未来に向けて、前計画で掲げた当行の目指す
姿「地域の価値向上に貢献する金融インフラ」を達成するため、本計画を“新創造
第Ⅱ期「進化」”と位置づけました。
 前計画「変革」で構築した経営基盤を土台として、地域の皆さまを起点とした協
働により地域の発展に貢献し、『ベスト・リージョナル・コラボレーション・バン
ク』として、地域の発展のために、地域とともに最も汗を流す銀行として、地域に
なくてはならない金融インフラとなることを目指してまいります。
 本計画では、目指す姿を実現するための基本方針は、 地域密着型金融の深化」 高
                         「          「
付加価値サービスの提供」「生産性の向上」との設定を変えず、それらの土台とな
る考え方として、経営理念や経営目標のほかにSDGsを加え、基本方針に基づく
戦略を進化させております。具体的には、営業戦略として「本業サポートの強化」
「暮らしサポートの強化」、経営基盤戦略として「デジタル化等を活用した業務の
改革および組織最適化」「人財力の最大発揮」「経営基盤の強化」を掲げました。
 お客さまや地域をはじめとする、さまざまなステークホルダーと協働することに
よってサステナブル社会の実現に貢献していくため役職員が一丸となり、全力で以
下の方策に取り組んでまいります。




                  12
             新型コロナウイルスの感染拡大
                                                                          SDGs
             SDGs、ESGへの関心の高まり
             人口減少(生産年齢人口減少・減少率の地域間格差)
             金利スプレッドの縮小
外部環境         顧客の世代交代(事業承継・相続)
 と課題
                                                               マテリアリティ     持
             デジタルネイティブ世代の成熟
             営業手法やツールの多様化(デジタライゼーションの台頭)                                   続
             地域金融機関を取り巻く経営環境の変化                                            可
             地方創生への取り組みの活発化                                                能
             南海トラフ巨大地震の発生リスクの高まり                                           な
             熱意: 高知銀行は、限りない熱意をもって、地域の発展と暮らしの向上に貢献します。                      開
    経営
             調和: 高知銀行は、調和のとれた経営を持って、お客さまの信頼に応えます。                          発
    理念
             誠実: 高知銀行は、創意と誠実をもって、お客さまに奉仕します。                               目
                                                                こうぎん
             お客さまにとって        役に立ち信頼される銀行                       SDGs宣言      標
    経営       株主にとって          健全で企業価値の高い銀行
    目標       地域社会にとって        使命を果たし発展に貢献する銀行
             職員にとって          働きがいがあり夢と希望を実現できる銀行




目指す姿                                地域の価値向上に貢献する金融インフラ
     基本
                  地域密着型金融の深化               高付加価値サービスの提供          生産性の向上
     方針

         営                     Ⅰ 本業サポートの強化
         業
新        戦
中        略                   Ⅱ 暮らしサポートの強化
期
経        経                        Ⅲ デジタル化等を活用した業務の改革および組織最適化
営        営
計        基
                                             Ⅳ 人財力の最大発揮
画        盤
         戦
         略                                   Ⅴ 経営基盤の強化




ドライバー                               ベスト・リージョナル・コラボレーション・バンク




(3) 営業戦略
 ①本業サポートの強化
  イ. 地域のニーズへの対応および発掘
    ブロック・エリア制の店舗体制のもと、「マーケット分析資料」やエリアごとの
   「営業戦略会議」などを導入・活用することにより、各営業エリアの特性に応じ
   た地域に密着した営業戦略に取り組んでまいりました。さらに、付加価値の高い
   サービスを提供することを目的に、独自の顧客セグメンテーションに基づくソリ
   ューションや融資等の提案を展開してまいりました。
    こうした新たな施策に基づく活動のなかで高まりが見られる、少子高齢化を背
   景とする後継者問題や経営の中核人財ニーズについては、自行完結型M&A体制
   で一般社団法人ビジネスサポートこうち(以下「BSK」などと連携することや、
                            )
   有料職業紹介業務にて対応してまいります。また、高知県の主要産業である農林
   水産業などの一次産業に対しては、農林水産支援室による事業持続化に向けたデ
   ジタル技術の導入などをサポートいたします。さらに、地域のすぐれた食材や技
   術等を人的な交流とともにつなぐ活動を通じて、地域内の面的な商流の構築や強
   化に結びつけ、地域内外の経済の連鎖的な循環に貢献してまいりたいと考えてい


                                             13
ます。
 このほか、ポストコロナ対応のサポートとして、ビジネスマッチングなどの販
路拡大サポートや、高知県の補助金やセミナー情報の展開などを、新たに導入し
た金融機関連携プラットフォーム「Kochi Big Advance」(以下「KBA」)を通じ
て行うほか、事業性評価に基づく当行独自の新たな融資商品導入についても取り
組んでまいります。
 前計画では、セグメントの設定が大枠であったため各種分析資料等が活用しづ
らく、クロス分析による絞り込みなどのターゲティングが行えなかったことで、
活動方針がやや抽象的となってしまうなどの課題が浮かび上がってきました。こ
の課題を克服し、地域で必要とされるニーズを的確に捉えるために、        本計画では、
セグメンテーションを精細化し、具体的な戦術に基づく実効性のある活動につな
げてまいります。
 さらに、こうした取り組みをベースに、発掘したニーズへ的確に対応していく
ため、BSKなどとの士業連携を一層強化するとともに、KBAの活用もこれま
で以上に進めてまいります。

ロ. 現場力のさらなる向上
  前計画においては、BPRによって生み出された時間を営業活動の質と量の向
上に充てる営業力の増強に取り組み、    BPRは対象業務の事務量 30%削減目標を
上回る 32%を達成し、営業力の増強につながる効果を一定程度得られました。
  しかしながら、エリア(高知市を除く高知県内地域)においては、エリアを形
成する店舗拠点間や本部間で物理的距離があるため、Web会議システムの活用
などで補うものの、情報共有やエリアを面的に捉えた営業展開といった面で課題
があることや、専門的な知識を要する案件における本部からのきめ細やかなサポ
ートなどにおいて課題を認識しておりました。
  これらの課題への対応策として、本計画では各エリアにビジネスアドバイザー
(以下「BA」 )を配置し、エリア内での情報と活動の非対称を解消して活動レベ
ルの向上を図るとともに、エリア一体感を醸成して連携を緊密化させてまいりま
す。個々の案件においても“face to face”のきめ細かな対応を行うことや小回
りを利かせることで、活動が一層迅速丁寧なものになってくると考えています。
  この施策でエリア構成店舗の面的な連携と機動性の向上を実現することによっ
て、より専門性が求められる案件に的確に対応するとともに、地域内の商流をつ
なぐサポートや、高知県産業振興計画に基づく産業育成、地域アクションプラン
実現に向けた連携強化を図り、 地域の活性化に貢献していきたいと考えています。

※BAとは、より営業現場に近い場所を活動拠点とし、高度な専門知識や営業力
 を発揮する本部職員です。営業店と連携することで、事業性評価に基づく課題
 解決型ソリューション活動の伴走支援や営業店職員へのOJT効果により、営
 業力強化が期待されます。




                     14
  ハ. 後方支援体制の強化
    前計画においては、お取引先の経営課題等を「企業のライフステージ」からと
  らえ、付加価値提供メニュー等の即時提案へとつなげていくための本部態勢「付
  加価値提供のプラットフォーム」を整備いたしました。加えて、事業課題解決策
  の提案活動における、対話、課題認識、立案、提案などの各プロセスにKPIを
  設定して、実効性の向上を図るとともに、取組みのインセンティブとして業績評
  価の対象とするなどの取り組みを行ってまいりました。
    しかしながら、多拠点組織に共通する本部と営業店の意思疎通、本部の企画力
  向上などの課題を認識しています。こうした課題認識のもと、企画力の向上に向
  け、前計画により開発した「本業支援管理システム」を活用し設定した「情報分
  析→施策立案→活動→効果測定」という一連の活動を数カ月でまわす「インター
  バル活動」を導入します。施策立案にあたっては、ライフステージや業種などの
  切り口と蓄積された定量的な実績データをもとに、 例えば、「どのような事業属性
  にどのようなサービスが有効であるか」 をクロス分析し、「顧客目線から求められ
  るソリューションはどのようなものか」といった観点で施策を立案します。それ
  らを対面あるいは非対面でどのようにアプローチすることが望ましいのか、具体
  的に本部が指導・連携することで成約率の向上を図っていきます。この効果はあ
  らかじめ定めたサイクルで検証し、 次の施策の実効性向上につなげてまいります。
    さらに、多拠点の有機的な連携を向上させる目的で、前項「ロ. 現場力のさらな
  る向上」に記載しましたBAを配置し、水平方向の連携ハブとするとともに、営
  業本部との垂直方向の指揮系統強化を図り、施策浸透力の改善につなげてまいり
  ます。

  ※本業支援管理システムとは、個社別にライフステージやソリューション提供の
   実績、財務情報などをデータベース化したシステムで、時系列のヒートマップ
   として使用するほか、任意の条件設定によるクロス分析に活用できる当行独自
   開発の支援システムです。

〔プロセスKPIの推移(表 13)〕                                                                  (単位:先)
                      2019年9月①        2020年3月②        2020年9月③        2021年3月④        2020年3月対比(④-②)

  プロセスKPI     KPI値    実績      達成率     実績      達成率     実績      達成率     実績      達成率      差分       増減率
事業性に関する対話    800先以上   1,402    175%   1,685    211%   3,698    462%   2,689    336%     1,004    160%
事業性評価+課題共有   700先以上    371     53%     353     50%     385     55%     637     91%       284     180%
課題解決策の立案     670先以上    336     50%     245     37%     213     32%     432     64%       187     176%
課題解決策の提案     670先以上    224     33%     181     27%     131     20%     368     55%       187     203%




                                        15
②暮らしサポートの強化
 イ. 地域の皆さまとのリレーションの深化
   前計画では、お取引内容やお客さまのニーズに関する情報収集と分析に基づく
 セグメンテーション別戦略のもと、魅力ある商品の開発や、将来のライフイベン
 トを見据えたコンサルティング、 「お客さま本位の業務運営に関する取組方針」に
 沿った商品・サービスの提案などに取り組んでまいりました。
   本計画においてもその方向性は維持してまいりますが、地域においては、少子
 高齢化の進行や新型コロナウイルス感染症拡大の影響などから、お客さまのライ
 フスタイルや価値観はより多様化しております。さらに、金融サービスを提供す
 る業態の垣根が低くなり、マイクロファイナンス等の新たなサービス提供が始ま
 るなど、 リテール向けの金融サービスは時々刻々と変化しております。そのため、
 こうした変化やその見通しを踏まえ、地域のお客さまの安心で豊かな暮らしをサ
 ポートする施策を展開してまいりたいと考えております。
   また、これまで以上にお客さまにとって有益な情報や商品・サービスを提供す
 るため、 セグメンテーション別戦略に基づくマーケット分析の高度化に取り組み、
 質の高いリレーションを築いてまいります。具体的には、お取引内容やライフス
 テージなどによってお客さまのニーズを想定し、その条件に合致するお客さまに
 対して、より一層の親近感を持っていただけるような広告やDM、SNS、アウ
 トバウンドコールなどを展開してまいります。加えて、お客さまの求めるサービ
 スをタイムリーに提案・提供することで、お客さまとの接点(タッチポイント)
 をより印象的なものとし、円滑なコミュニケーションへとつなげてまいります。
   さらに、パーソナルサポート部が主体となり、マーケティングや行内情報等の
 分析結果に基づく既存商品やサービスのさらなる改善を進めていくとともに、商
 品ラインナップの拡充にも努めてまいります。そのほか、お客さまのニーズに関
 する情報を収集・分析のうえプロファイリングし、ポートフォリオなどに応じて


                  16
提案を最適化するといった、情報技術の活用も推進してまいります。

ロ. “face to face”営業態勢のさらなる向上
  前項「イ. 地域の皆さまとのリレーションの深化」に記載いたしましたとおり、
お客さまの価値観は多様化が進み、個別にコンサルティングすることの重要性は
ますます高まっております。金融機関としての幅広い知見をもってお客さまに寄
り添いながら、ライフステージにおける課題について共に考え、お客さまの視点
に立ったアドバイスを行うことや、最適な商品・サービスを提案することが、地
域のお客さまが安心して豊かな暮らしを維持する環境構築につながっていくもの
と考えております。
  前計画においては“face to face”の営業体制を強化するため、営業店にリテ
ール専門の営業担当者としてマネーアドバイザー(以下「MA」      )を配置いたしま
した。MAはお客さまのライフステージに応じた付加価値の高い資産形成コンサ
ルティングや金融商品の提供といった活動に取り組んでおります。
  本計画ではMAの活動をより機動的なものとするため、MAの統率およびスキ
ルアップを担う金融商品専担者シニアMAを高知市内ブロックに配置します。シ
ニアMAはMAとの連携などにより、ソリューション提供までの深度ある対話と
いったプロセスを重視しながら、地域のお客さまのライフステージに応じたニー
ズを捉えるとともに、潜在的なニーズを掘り起こすコンサルティング活動を推進
いたします。さらに、単なる営業やコンサルティングに止まらず、お客さまとの
リレーションを図り、金融リテラシーの向上に貢献していくことを念頭に活動を
展開してまいります。今後は、高齢化が一層進むことが予想されており、高齢の
お客さまが抱える不安や悩みをしっかりお伺いし、資産管理、資産承継、資産運
用などについて適切なアドバイスを行うことが重要となると認識しております。
  また、地域の拠点「相続&暮らしのサポートプラザ」では、高齢化社会におけ
るお客さまの資産管理面などのさまざまな課題解決に向けて、高齢者を中心とし
た複数世代にわたるファイナンシャル・プランニングを強化して、遺産を相続さ
れる世代やその次のお孫さま世代までの、世代をつなぐサービス提供などを行う
ことにより、豊かな未来につながるライフプランをサポートしてまいります。

ハ. 非対面取引の拡充
  前項「イ. 地域の皆さまとのリレーションの深化」に記載したとおり、地域の皆
さまのライフスタイルは大きく変化しており、また、新たな金融サービスが普及
してきております。当行の営業時間帯に店舗へのご来店や営業担当が直接訪問す
るなどで対面でのお手続きをご利用いただくことが難しいお客さまに対しまして
も、当行の商品やサービスをご利用いただけるように、非対面チャネルの幅を拡
げるとともに、その利便性を向上していく必要があると認識しています。
  ミレニアル世代以降のデジタルネイティブなライフスタイルのお客さまへの対
応や、ポストコロナにおける不要不急の接触を避ける考え方を踏まえますと、W
ebチャネルをご利用いただくことが有効であり、チャネルまでの導線として新
たにSNS等を活用していくとともに、Webページやスマホアプリの機能を拡


                   17
充することで利便性を向上させ、時間帯を問わず便利にご利用いただけるよう体
制整備を進めてまいります。
 2020 年 11 月に導入いたしましたKBAは、事業者さまのビジネスマッチング
など対外的な業務ツールとしての機能以外にも、社内のコミュニケーションツー
ルとしてもご利用いただくことが可能であり、既に社内イントラネット代わりに
活用されている事業者さまもございます。当行と事業者さま、そこからその職員
の皆さまへと接点をつなぎ、さまざまなご案内や情報をお届けしたいと考えてお
ります。
 Webチャネルの利便性を活かし、いつでも、どこからでもアクセスしていた
だけるよう体制を整備して、すぐそこにある「こうぎん」として「地域のお客さ
まが安心して豊かに暮らせる社会づくり」に貢献してまいりたいと考えておりま
す。




③有価証券運用の強化
 市場金利は低位での推移を続けており、厳しい運用環境が継続しております。ま
た、預金等残高が着実に増加し余資が拡大するなか、有価証券運用は収益基盤の柱
の一つとして取り組みをしております。
 運用に対しては、目標予算、過年度の運用状況や、国内外の金融政策および経済
動向の今後の見通しを勘案し、有価証券運用方針を策定しております。
 有価証券ポートフォリオについては、当行の経営体力を踏まえ、リスクアセット
と収益性のバランス、リスク分散を意識し、総合収益の向上を目標とする方針とし
ています。
 また、今期のリスクアペタイトとして、「許容するリスク」にリスクリターンを
勘案した債券投資の多様化、「抑制するリスク」に金利リスクや流動性リスクなど
を掲げています。


                   18
 こうした方針のもと、適正なリスク管理を行いつつ、安定的な収益の確保に向け
た運用に取り組んでまいります。

④適切な経営資源の配賦
 2021 年 3 月期の物件費は 43 億 93 百万円となり、公的資金受入前の 2009 年 3 月
期における物件費 57 億 82 百万円と比較すると 13 億 89 百万円削減しております。
全行的な物件費削減運動の実施などにより消耗品費・給水光熱費・通信交通費等が
計画を下回りました。これに加え、ポストコロナ対応として、Web会議の活用を
一層強化したことや、会社説明会をはじめイベントなどを休止したこと、さらに、
人事異動を最小限としたことなどから、広告宣伝費・交際接待費・旅費等も計画を
下回り、全体では計画を 3 億 38 百万円下回りました。
 本計画においては、デジタル等を活用した顧客利便性の向上や、抜本的な業務効
率化の施策として必要となるシステム関連投資は行いながら、         BPR推進委員会に
よる各種の経営効率化施策を併行し、物件費の厳正な管理に努めてまいります。

〔物件費の推移見込み (表 14)〕                                                   (単位:百万円)
          2019/3期   2020/3期           2021/3期          2022/3期   2023/3期   2024/3期
            実績        実績      計画       実績       計画比      計画        計画        計画

 物件費       4,674     4,510    4,731    4,393    △338     4,636     4,613     4,522

 (うち機械化
           1,629     1,491    1,649    1,528    △121     1,640     1,570     1,510
 関連費用)
 機械化関連費
           3,045     3,019    3,082    2,865    △217     2,996     3,043     3,012
 用除く物件費
*機械化関連費用は、基幹系システム、事務用機器等の減価償却費、機械賃借料、機械保守料等を
 計上しております。


(4)経営基盤戦略
 ①デジタル化等を活用した業務の改革および組織最適化
  イ. 営業力強化に向けた事務省力化およびリソースの最適配置
     前計画において、    “face to face”でお客さまと向き合う活動の量と質の増強を
   目指し、対象事務の事務量 30%削減という目標を掲げ、BPRの推進専担者を配
   置して取り組み、事務量約 32%を削減しました。計画最終年度は新型コロナウイ
   ルス感染症の感染防止対策もあり、営業担当者の訪問活動時間は伸びが鈍ったも
   のの、営業店の総人員数が減少するなか、渉外・MAの人員数は約 10%増加させ
   ることができました。
     前計画におけるBPR施策は既存業務個々の効率化を図るものが中心でしたが、
   本計画では、デジタル化の推進や営業店事務の本部集中化等による抜本的な効率
   化などに施策を進化させてまいります。
     デジタルの活用例としましては、営業担当者へタブレット端末を配付し、営業
   活動に関係する各種業務のペーパレス化を進めるほか、RPA(Robotic Process
   Automation)の活用による本部内業務のBPRにも取り組みます。
     また、次項(ロ.地域ごとのニーズや展望を踏まえた店舗網の再構築)に記載し


                                      19
ました店舗網を機能面で再配置し、より一層お客さまと向き合う時間を創出する
ために、店舗における共通事務である融資実行オペレーションを本部集中いたし
ます。前計画で取り組んだ、融資契約書の自動出力と、契約証書を証書管理セン
ターで保管する業務との一連の流れを整備し、相乗効果を高めたいと考えており
ます。
 このほか、2021 年 4 月には経営統括部内にDX(デジタルトランスフォーメー
ション)戦略室を設置しており、デジタルを活用した利便性や付加価値の高いサ
ービスの提供、データの利活用によるお客さまニーズの分析、システム更改によ
る抜本的な業務効率化のほか、職員のITリテラシーの強化・向上など、組織横
断的な視点における検討と迅速な導入に向け取り組んでまいります。




ロ. 地域ごとのニーズや展望を踏まえた店舗網の再構築
  前計画において、特に高知市内店舗網について、画一的なフルバンキング店舗
網から一部の店舗を機能特化型店舗へ変更するなど、      検討を進めてまいりました。
営業エリアの市場性、来店されるお客さまのお手続き内容、隣接する店舗との事
業お取引先の地域的な入り組み状況など、さまざま情報を収集のうえ検討と試行
を進め、プラットフォーム型店舗を導入するに至りました。
  プラットフォーム型店舗では、地域の特性に合わせ隣接する複数店舗をフルバ
ンキング店舗と個人特化型店舗に機能変更し、渉外行員をフルバンキング店舗集
約のうえ双方の地域を一体でカバーします。さらに個人特化型店舗にはMAを配
置するなどにより個人のお客さま向けの金融資産形成に係る相談業務を強化して
おります。この店舗体制により、お客さまへのサービス向上を図るとともに、集
約した渉外はOJTの機会が増加し、 渉外担当の活動範囲の重複が無くなるなど、
副次的な効果も得ることができました。  2021 年 6 月末時点では 2 つのユニットを
導入しておりますが、今後 5 ユニット程度を追加するべく、スピード感をもって
対応してまいります。
  さらに、ポストコロナやデジタル化の流れを統合的に捉えた当行独自の次世代
型店舗の導入を計画しております。同店舗では、遠隔コミュニケーションツール


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を活用し、専門性の高い相談業務に迅速に対応することや、セルフ処理端末によ
るスピーディーで職員との接触機会を低減するお手続きを実現するなど、お客さ
まの新しいニーズにお応えしてまいります。
 引き続き、営業エリアをはじめとした各種情報収集と分析手法の改善を進めて、
地域ごとのニーズや展望を踏まえた店舗網の機能改善を進め、お客さまの利便性
と当行の生産性向上に努めてまいります。




②人財力の最大発揮
イ. 人財の育成および適正配置
  従前より、当行職員の人員構成は営業の中心を担う中間年齢層が薄いことを課
 題と捉え、若手行員を中心として早期育成を図っていくことで、営業力の強化に
 つなげていく必要があると認識しております。
  前計画ではマンツーマン制度の発展系として、エルダー制度を導入いたしまし
 た。これは指導者(エルダー)が実務の指導係と職場生活上の相談役とを担い、
 本部はエルダーをサポートするという態勢をとり、エルダーと被指導職員双方の
 成長促進を目的としております。このほか自主参加型休日セミナー「こうぎんカ
 レッジ」の拡充や、eラーニングコンテンツの拡充、アドバイザー系外部資格の
 取得推奨などを継続し、人材育成に励んでまいりました。
  本計画では、前述(①デジタル化等を活用した業務の改革および組織最適化)
 の業務効率化、店頭改革、店舗施策、業務集中化施策等との相乗効果を図るべく、
 営業店職員が預金業務・貸付業務どちらかへ偏重することなく、対応できる業務
 の幅をこれまでより拡大し、本部と連携することのできる人財の育成を目指しま
 す。そのために、若手および役席者を対象とした「マルチスキルアップ研修」、新
 任役席者向けの実務研修などを推進します。さらに、従来のジョブローテーショ
 ンや特定業務の研修も継続し、職員のスキルと職場特性に応じ適正に配置するよ


                 21
う努めてまいります。
 加えて、本計画では研修指名者以外の参加を促進することや、職場以外からの
参加を可能とするWeb上の学習コンテンツを拡充することを通じて、自己啓発
機会の増加を図ってまいります。
 人財の確保の観点からは、専門スキルを有する人財の中途採用(顧問契約など
雇用関係にないものを含みます) UIターン採用、
                、         一定の条件で退職時の職位を
維持して復職できる「キャリアリターン制度」などの採用施策や、ワークライフ
バランスを考慮した制度の拡充など、  これまで実施してきた施策を継続、強化し、
適正人財の確保にも努めてまいります。
 また、Ⅳ.2.(3)「営業戦略」に記載いたしましたとおり、金融商品や本業支
援のソリューション、個人ローンなどの分野で本部職員を営業現場やコールセン
ターに専担者として配置し、営業店と一体となってお取引先へのアプローチや提
案・交渉を行っていくことで、コンサルティングの機会と質を高める取り組みを
進めてまいります。

ロ. 多様な人財の活用と働き方改革への対応
  当行は「人財は重要な経営資源であり、育成していくべき財産である」との考
えのもと、仕事と家庭、子育てを支援するための取り組みを継続して行っており
ます。2017 年 6 月には、次世代育成支援対策推進法に基づき、子育て支援に関す
る職場環境の整備などについて高度な水準の取り組みを行っている企業として認
定される「プラチナくるみん」や、同年 9 月には、女性の活躍推進に関する状況
等が優良な企業として認定される「えるぼし」を取得しております。
  また、職員等がいきいきと働き、男女を問わず持てる能力を最大発揮できる職
場環境を整えるために、育児・介護休業法に係る休暇等の要件において法以上の
対応をするなどの取り組みを行ってきたほか、    有給休暇取得義務化日数について、
従来の年間 6 日(連続有給休暇 5 日、リフレッシュ休暇 1 日)に対し、2021 年 4
月からは、リフレッシュ休暇を 1 日追加し、7 日に変更しております。
  さらに、 従前より 65 歳超の再雇用者が勤務をしておりましたが、 高年齢者雇用
安定法の改正に伴いさらなる就業の機会を確保するため、2021 年 4 月に 70 歳ま
での継続雇用を明文化いたしました。経験・知識が豊富な層の活躍とノウハウ承
継を念頭に、営業現場または営業店支援の業務を中心として、ベテラン層の有効
活用に努めてまいります。
  本計画においても、職員等の健康保持・増進に関する取り組みを充実させ、継
続して健康経営優良法人の認定を目指すとともに、ワークライフバランス推進委
員会を通じて職員等の声も反映しながら、職場環境のさらなる向上を目指した取
り組みを進めてまいります。




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③経営基盤の強化
イ. 「こうぎんらしさ」が際立つ企業価値の共有
  Ⅳ.2.(3)「営業戦略」に記載いたしました施策を実効性があるものとして、
 地域とともに発展していくことを目指す当行に相応しい取組スタンスで推進して
 いくためには、経営理念の本質的な意義をすべての職員が十分理解し共有する必
 要があると考えております。こうした考え方のもと、これまでも経営理念の浸透
 を図ってまいりましたが、本計画では経営理念の大きなビジョンと日々の活動と
 を結び付けるキーワードとして「こうぎんらしさ = ベスト・リージョナル・コ
 ラボレーション・バンク」を掲げ、経営理念に基づく「こうぎんらしい」活動を
 展開してまいります。
  具体的には、経営陣や研修等による情報発信において、上述の方針を念頭に実
 施してまいります。また「こうぎんSDGs宣言」との関連付けにも留意し、地
 域に開かれた職員像を共有します。 経営理念の浸透度については従業員満足度(E
 S)アンケートを通じて検証を行い、営業戦略等が当行らしく展開されるよう、
 かつ実効性が高まるよう、推進してまいります。




ロ. グループガバナンスの強化
  当行は、こうぎんグループ各社と連携することにより、お客さまのニーズに応
じて幅広く金融関連サービスを提供するよう努めております。      具体的には、
                                       「高知
カード」がクレジットカード業等を、     「オーシャンリース」がリース業を、「こう
ぎん地域協働ファンド」がベンチャー企業の育成支援等を推進しています。本計
画では、お客さまに提供する金融関連サービスの質の向上を図るとともに、リス
ク管理手法をはじめとした経営管理態勢の強化に取り組んでまいります。
  さらに、2021 年 4 月に設置した事業開発委員会において、グループ間のシナジ
ー発揮につながるような総合金融サービスの編成について議論します。また、規