8416 高知銀行 2021-09-28 16:30:00
2021年3月期における「経営強化計画」の履行状況について [pdf]

                                             2021 年 9 月 28 日
各   位
                              会社名    株 式 会 社   高 知 銀 行
                              代表者名   取締役頭取      海治 勝彦
                                (コード番号:8416    東証第一部)
                              問合せ先 執行役員経営統括部長 寺川       智文
                                      (電話番号 088-822-9311)


         2021 年 3 月期における「経営強化計画」の履行状況について


 当行は、
    「金融機能の強化のための特別措置に関する法律」に基づき、2021 年 3 月期における経営強化計
画の履行状況報告書をとりまとめましたのでお知らせいたします。
 資料につきましては、別紙「経営強化計画の履行状況報告書」をご覧ください。


                                                      以 上
別紙




     経営強化計画の履行状況報告書




          2021 年 6 月
                     目 次

Ⅰ.2021 年 3 月期決算の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
 1.経営環境 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
 2.決算の概要(2021 年 3 月期:単体) ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
Ⅱ.経営の改善に係る数値目標の実績 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
 1.コア業務純益 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
 2.業務粗利益経費率 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
Ⅲ.経営の改善の目標を達成するための方策の進捗状況 ・・・・・・・・・・ 5
 1.営業戦略・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・ 5
  (1)BPR効果の最大化と営業基盤の強化・・・・・・・・・・・・・・・ 5
  (2)事業性評価に基づく融資の増強・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
  (3)個人取引の強化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
  (4)顧客接点の拡大と店舗間連携の強化・・・・・・・・・・・・・・・・12
  (5)有価証券運用の強化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
  (6)適切な経営資源の配賦・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
 2.経営基盤戦略 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
  (1)人材力の最大発揮・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
  (2)経営基盤の強化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
Ⅳ.従前の経営体制の見直しその他の責任ある経営体制の確立に関する
  事項の進捗状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17
 1.業務執行に対する監査又は監督の体制の強化のための方策 ・・・・・・17
 2.リスク管理の態勢の強化のための方策 ・・・・・・・・・・・・・・・18
 3.法令遵守の態勢の強化のための方策 ・・・・・・・・・・・・・・・・20
 4.経営に対する評価の客観性の確保のための方策 ・・・・・・・・・・・21
 5.情報開示の充実のための方策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
Ⅴ.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化その他の主として業務を
  行っている地域における経済の活性化に資する方策の進捗状況 ・・・・・22
 1.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化その他の主として
    業務を行っている地域における経済の活性化に資するための方針 ・・・22
 2.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化のための方策の
    進捗状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
 3.その他の主として業務を行っている地域における経済の活性化に
    資する方策の進捗状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26
Ⅵ.剰余金の処分の方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33
 1.配当に対する方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33
 2.役員に対する報酬および賞与についての方針 ・・・・・・・・・・・・34
Ⅶ.財務内容の健全性および業務の健全かつ適切な運営の確保のための
  方策の進捗状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
 1.経営強化計画の運営管理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
 2.内部監査態勢の強化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35
 3.各種のリスク管理の状況および今後の方針等 ・・・・・・・・・・・・35
Ⅰ.2021 年 3 月期決算の概要
1.経営環境
  2021 年 3 月期におけるわが国の経済は、輸出や生産に持ち直しの動きがみられた
 ものの、  新型コロナウイルス感染症の影響により、  設備投資や雇用環境は弱い動きが
 継続しており、    個人消費は持ち直しの動きに足踏みがみられるなど、総じて厳しい状
 況となりました。
  当行の主要営業基盤である高知県の経済は、個人消費は緩やかな持ち直しの動き
 がみられましたが、    新型コロナウイルス感染症の影響により、設備投資や製造業の生
 産は弱めの動きが継続し、全体としては弱い動きとなりました。

2.決算の概要(2021 年 3 月期:単体)
 (1)資産・負債の状況
    2021 年 3 月期末の貸出金残高は、地域に密着した営業活動を展開し、中小規模事
  業者等を中心とした事業資金の需要にも積極的にお応えいたしました結果、2020 年
  3 月期比 355 億円増加して 7,502 億円となりました。なお、貸出金残高は、部分直
  接償却 38 億円を控除後の金額です。預金等残高は、2020 年 3 月期比 749 億円増加
  して 1 兆 503 億円となりました。
    純資産は、利益剰余金や有価証券評価差額金が増加したことなどから、2020 年 3
  月期比 54 億円増加して 702 億円となりました。

 〔
 「資産・負債の状況(単体ベース)(表 1)
                 」   〕                                      (単位:億円)
                           2021/3 期              2020/3 期     2020/9 期
                実績         2020/3 期比 2020/9 期比     実績           実績
   資産            12,338        1,213       96        11,125       12,242
    うち貸出金         7,502             355    88        7,146        7,413
    うち有価証券        3,076             79     81        2,997        2,994
   負債            11,635        1,158       69        10,477       11,566
    うち預金等        10,503             749   △2         9,753        10,506
    うち借用金            985            375    59          609          925
   純資産               702            54     26          647          676


(2)損益の状況
   損益の前年同期比の状況は、以下のとおりとなりました。
   業務粗利益は、資金利益が 1 億 44 百万円、役務取引等利益が 22 百万円、その他
 業務利益が 5 億 47 百万円それぞれ減少したことから、7 億 13 百万円減少して 130
 億 19 百万円となりました。
   経費は、人件費が 1 億 82 百万円、物件費が 1 億 17 百万円それぞれ減少したこと
 などから、1 億 86 百万円減少して 112 億 66 百万円となりました。
   以上により、業務純益(一般貸倒引当金繰入前)は 5 億 27 百万円減少して 17 億
 53 百万円となりましたが、銀行の本来業務の利益を表す、国債等債券関係損益を除
                                1
いたコア業務純益は 3 億 97 百万円増加して 26 億 32 百万円となりました。
 臨時損益は、    一部大口取引先の信用悪化などで不良債権処理額が増加しましたが、
株式等関係損益が同程度増加したことなどから、4 百万円減少して 2 億 37 百万円の
利益となりました。
 これらの結果、経常利益は 9 億 33 百万円減少して 13 億 91 百万円となり、固定資
産売却等による特別損益や法人税等を計上後の当期純利益は 4 億 66 百万円減少し
て 7 億 92 百万円となりました。
 なお、実質与信費用は、上記の理由から不良債権処理額が 14 億 13 百万円増加し
たことなどから、17 億 76 百万円増加して 19 億 94 百万円となりました。


〔 損益の状況(単体ベース)(表 2)
 「           」    〕               (単位:百万円) (※ 参 考)
                          2021/3 期        2020/3 期    2020/9 期
                       実績     2020/3 期比     実績          実績
  業務粗利益                13,019     △713       13,732       7,133
       資金利益            13,414     △144       13,558       6,824
       役務取引等利益            377     △22          399          96
       その他業務利益          △772      △547       △225          212
       (うち国債等債券関係損益)    △879      △924          45          89
  経費                   11,266     △186       11,452       5,695
       うち人件費            5,984     △182       6,166        3,036
       うち物件費            4,393     △117       4,510        2,203
  業務純益(一般貸倒引当金繰入前)      1,753     △527       2,280        1,438
  一般貸倒引当金繰入額              598      400         198         146
  業務純益                  1,154     △928       2,082        1,291
  コア業務純益                2,632      397       2,235        1,349
  コア業務純益(除く投資信託解約損益)    2,328      320       2,008        1,119
  臨時損益                    237      △4          241          11
       うち償却債権取立益             96     38          58          48
       うち不良債権処理額        1,491     1,413         78         990
       うち株式等関係損益        1,523     1,375        148         929
  経常利益                  1,391     △933       2,324        1,303
  特別損益                    189      346       △157          185
  税引前当期純利益              1,581     △585       2,166        1,488
  法人税、住民税及び事業税          1,085      354         731         610
  法人税等調整額               △295      △471         176        △240
  当期純利益                   792     △466       1,258        1,117
  実質与信費用                1,994     1,776        218        1,088


(3)自己資本比率の状況
   自己資本比率(国内基準)は、2020 年 3 月期比 0.18 ポイント上昇して 9.43%と
 なりました。

                         2
 (4)不良債権の状況
    本部と営業店が一体となり、お取引先の経営改善支援を通じたランクアップと、
  ランクダウンの防止に取り組んでおりますが、大口先の破綻や新型コロナウイルス
  の影響で業績が悪化した先が増加したことなどにより、金融再生法開示債権額は、
  2020 年 3 月期比 14 億円増加して 297 億円となりました。一方で、総与信額も増加
  したことから、金融再生法開示債権比率は、2020 年 3 月期と同水準の 3.86%となり
  ました。

〔
「金融再生法開示債権の状況(単体ベース)」(表 3)〕                                 (単位:億
円、%)
                                  2021/3 期            2020/3 期   2020/9 期
                        実績        2020/3 期比 2020/9 期比   実績         実績
  破産更生債権及びこれらに準ずる債権          46        △3        △3         50         50
  危険債権                    230           10      △12        220        242
  要管理債権                      20          7         5        12         14
  合計(A)                   297           14       △9        283        307
  正常債権                  7,398          355        98     7,042      7,299
  総与信(B)                7,696          370        89     7,325      7,607
  金融再生法開示債権比率(A)/(B)     3.86          0.00   △0.17       3.86       4.03


Ⅱ.経営の改善に係る数値目標の実績
1.コア業務純益
   地域に密着した営業活動を展開し、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事
 業者の資金繰り支援や成長分野に向けた融資の推進など、中小規模事業者等を中心
 とした事業資金の需要等に積極的にお応えした結果、貸出金平残は計画を 460 億 65
 百万円(前年同期比 366 億 29 百万円増加)上回りました。一方、市場金利の低下が
 続いたことなどにより、    貸出金利回りが計画を 0.198 ポイント    (前年同期比 0.085 ポ
 イント低下)下回ったことから、貸出金利息収入は計画を 7 億 24 百万円(前年同期
 比 88 百万円減少)下回りました。
   預金平残  (譲渡性預金含む)  は計画を 1,054 億 97 百万円(前年同期比 891 億 81 百
 万円増加)上回ったものの、預金利回りが計画を 0.012 ポイント(前年同期比 0.007
 ポイント低下)下回ったことから、預金利息は計画を 70 百万円(前年同期比 34 百
 万円減少)下回りました。これらの結果、資金利益は計画を 8 億 89 百万円(前年同
 期比 1 億 44 百万円減少)下回りました。
   お客さま本位の業務運営に関する取組方針のもと、新型コロナウイルスの感染予
 防対策を講じたうえで、投資信託・生命保険など金融商品の販売に取り組みました
 が、役務取引等利益は計画を 1 億 83 百万円(前年同期比 22 百万円減少)下回りま
 した。また、経費は、人員の新陳代謝等により人件費が計画を 5 億 43 百万円(前年
 同期比 1 億 82 百万円減少)、設備投資の時期の変更などから、物件費が計画を 3 億
 37 百万円(前年同期比 1 億 17 百万円減少) 、税金が計画を 23 百万円(前年同期比 1
                              3
 億 13 百万円増加)それぞれ下回ったことから、計画を 9 億 5 百万円(前年同期比 1
 億 85 百万円減少)下回りました。これらの結果、コア業務純益は計画を 2 億 9 百万
 円(前年同期比 3 億 97 百万円増加)上回りました。

〔コア業務純益の改善額(表 4)
               〕                                                          (単位:百万円)
              計画       2019/3     2020/3       2020/9               2021/3 期
              始期        実績         実績           実績       計画       実績      計画比        始期比
   コア業務純益     2,418      1,521     2,235        1,349    2,423    2,632        209      214
*コア業務純益(業務純益+一般貸倒引当金繰入額-国債等債券関係損益)


2.業務粗利益経費率
   新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者の資金繰り支援への積極的な取
 り組みや成長分野に向けた融資の推進等に努めた結果、貸出金平残は計画を上回り
 ましたが、市場金利の低下が続いたことなどにより貸出金利回りが計画を下回った
 ことなどから、資金利益は計画を 8 億 89 百万円(前年同期比 1 億 44 百万円減少)
 下回りました。また、新型コロナウイルスの感染拡大により、投資信託・生命保険な
 どの金融商品の対面販売活動を一定期間自粛したことなどから、役務取引等利益は
 計画を 1 億 83 百万円(前年同期比 22 百万円減少)下回り、その他業務利益は計画
 を 9 億 32 百万円(前年同期比 5 億 47 百万円減少)下回ったことから、業務粗利益
 は計画を 20 億 5 百万円(前年同期比 7 億 13 百万円減少)下回りました。また、人
 員の新陳代謝等により人件費が計画を 5 億 43 百万円(前年同期比 1 億 82 百万円減
 少) 経費削減運動の継続実施などから機械化関連費用を除く物件費が計画を 2 億 17
    、
 百万円(前年同期比 1 億 55 百万円減少)    、税金が計画を 23 百万円(前年同期比 1 億
 13 百万円増加)  、いずれも下回り、機械化関連費用を除く経費は計画を 7 億 85 百万
 円(前年同期比 2 億 23 百万円減少)下回りました。
   これらの結果、業務粗利益経費率は 74.79%となり、計画を 4.76 ポイント、始期
 を 1.79 ポイントそれぞれ上回り、計画達成には至りませんでした。

〔業務粗利益経費率の改善幅(表 5)〕                                                 (単位:百万円、%)
            計画        2019/3     2020/3       2020/9              2021/3期
            始期         実績         実績           実績       計画       実績     計画比          始期比
  経費(機械化関
            10,336    10,114      9,961        4,943    10,522    9,737    △785       △599
  連費用除く)
  業務粗利益     14,158    13,824     13,732        7,133    15,024   13,019   △2,005     △1,139
  業務粗利益
            73.00      73.16      72.53        69.30    70.03     74.79     4.76       1.79
  経費率
*業務粗利益経費率((経費-機械化関連費用)/業務粗利益)
*機械化関連費用は、基幹系システム・事務用機器等の減価償却費、機械賃借料、機械保守費等を
 計上しています。




                                          4
Ⅲ.経営の改善の目標を達成するための方策の進捗状況
1.営業戦略
 (1)BPR効果の最大化と営業基盤の強化
   ①営業人員の増強
     お客さまのニーズを把握して最適なソリューションを提案するためには、              “face
   to face”でお客さまと向き合う活動の増強が必要となるため、本計画では、業務
   改革(Business Process Reengineering、以下「BPR」)に取り組んでまいりま
   した。BPRにより事務負担を軽減させるとともに、生み出される時間と力を営業
   活動の質と量の向上に充当することや、              営業活動に携わる人員構成比率を向上させ、
   トップライン収益の増強につなげてまいりました。
     具体的な施策として、2018 年 9 月から一部の店舗で店舗機能特化に向けた試行
   を開始し、2019 年 7 月から取り組んだ「渉外の拠点集約」を 2020 年 9 月より本格
   化させ、   プラットフォーム型の店舗運営体制           (高知市内の2店舗)を開始しており、
   今後も拡大させてまいります。さらに、2019 年 10 月には事務量に合わせた営業店
   窓口数の適正化により、        日次の事務量に応じて窓口係と渉外係を機動的に担うマネ
   ーアドバイザーへの配置転換、          および窓口係から渉外係への配置転換を実施してお
   り、営業店人員に対する営業活動に携わる人員構成比率は、配置転換の施策実施前
   の 2019 年 4 月比 5.4 ポイント上昇して 28%となっております。
     また、2020 年 4 月からは営業店において、これまでの窓口係(預金係)を「お客
   さまサービス課」     、渉外係と貸付係を「営業課」とする「営業店二課制」を導入し
   ております。営業人員の増強とともに、内務担当者がお客さまと向き合う時間を増
   やすことで、これまで以上にきめ細かいサービスの提供に努めてまいります。

  ②業務効率化の推進
    業務効率化においては、個別業務の効率化策を評価し、銀行全体の生産性を向上
  させるため、 「リスクベース・アプローチ」の観点で、効率化と許容できるリスク
  のバランスをとることが重要であると考えております。
    この考え方に基づき、    組織横断的なBPRをマネジメントする専任者を、  2017 年
  9 月に本部へ配置し、BPR推進委員会などで各部署と連携して個別業務の詳細な
  プロセスならびに期待される改善効果などの検討を重ね、2018 年 6 月には、50 項
  目超のBPR施策を立案し、対象施策の事務量を 30%削減させる目標を設定いた
  しました。
    例えば、来店客数やお客さまのお手続き内容に応じて効率的な対応が行えるよう
  行内ルールを見直すことで、手続きにかかる時間の短縮化に取り組んでおります。
  また、 普通預金に関する事務要領の一部見直しによるお客さまの手続き負担の軽減
  や、行内の文書発送ルール変更に伴う事務省力化などの施策を実施いたしました。
    この結果、2021 年 3 月末までに目標としていたBPR対象事務量 30%削減を超
  える 32%削減を達成いたしました。さらに行内制度を通じて提案された業務効率
  化につながる提案の件数は、     当初BPR施策を立案した時点と比べて 2 倍程度に増
                           5
 加しており、 行内にBPR意識が醸成されてきたことの表れであると考えておりま
 す。
  これらと並行して、     内務担当者の事務量の削減を目的とした営業店事務の本部集
 中化も推進しており、2018 年 2 月に運用を開始した相続事務の本部集中化につい
 ては、一定の準備期間を経て、2019 年 10 月に集中化する業務を拡大しました。こ
 のほか、2020 年 11 月より債権証書保管および管理業務の抜本的な効率化策として
 債権証書の集中管理センターを新設いたしました。今後は、各営業店で行っている
 融資実行事務の本部集中化やRPA(Robotic Process Automation)を導入するな
 ど、営業店および本部事務量のさらなる削減や、モバイルPC等を活用したお客さ
 まのお手続き簡素化を進めてまいります。
  引き続き、BPRを推進して銀行全体の生産性を向上させ、お客さまと向き合う
 営業時間の拡充につなげてまいります。

 ③IT化促進とFinTech活用の基盤拡充
  本計画においては、業務の効率化や効果的な営業活動の実践などを目的として顧
 客情報管理の高度化を進めるとともに、お客さまの利便性向上を図るために非対面
 チャネルを拡充するなど、IT化を推進してまいりました。
  また、行内の業務についてもシステムを活用して様々なプロセスを抜本的に効率
 化することが必要なことから、関係者が組織横断的に連携し関係情報を収集すると
 ともに、検討を進めてまいりました。
  お客さまの利便性向上を図るために、2019 年 3 月にリリースいたしましたスマ
 ートフォンアプリには、口座開設や住所変更の申込みのほか、口座の入出金明細の
 照会・通知などの機能があり、今後もアプリの機能拡充など、非対面チャネルの強
 化に注力してまいります。
  個人ローンにおいては、お客さまの多様なニーズにお応えするため、お申込から
 お借入までをWeb完結できる商品の取扱いを 2020 年 3 月から開始し、対応ロー
 ン商品を順次追加導入しております。また、お客さまの利便性向上を目的にWeb
 フォームの見直し(申込画面の改修)を進めており、今後も顧客目線に立ったユー
 ザーインターフェースの改良に注力してまいります。
  また、キャッシュレスサービスの拡大においては、IVR認証の導入による本人
 認証機能の強化やモニタリング態勢の整備など、   安全性を重視し取り組んでおりま
 す。
  今後も、ウィズコロナ・アフターコロナを踏まえた新たな金融サービスの提供に
 向けて取り組んでまいります。

(2)事業性評価に基づく融資の増強
  ①付加価値提供のプラットフォーム構築
   お取引先との事業に関する対話を通じて課題等を共有し、その解決に向けた最適
  なソリューションを提供するとともに、本サポート活動の実効性を向上することを
  目的に、付加価値提供のプラットフォームを構築しております。
                        6
  プラットフォームでは、事業性評価に関する一連の活動や収集した情報、および
課題解決のためのノウハウなどを本部と営業店が共有し、                 営業店と本部内の各セク
ションが切れ目なく連携することを目指しており、              2018 年度下期には、取引先の創
業期から再生期までのライフステージ別に当行がご提案できるソリューションと、
本部のサポート態勢の「見える化」を図りました。事業性対話の件数は期を追うご
とに増加してきており、     ソリューション提供ツールの一つとして活用しております。
  このほか、様々なお取引先の課題に的確にお応えすることを目的に、ソリューシ
ョンの追加や見直しを適宜行っており、           2020 年上期には、   人手不足や後継者問題等
を支援するため業務提携している公益財団法人産業雇用安定センターとの連携を
強化いたしました。また、ビジネスマッチングや福利厚生、士業相談など、多彩な
サービスを通じて事業者が抱える様々な経営課題の解決をサポートする「Kochi
Big Advance」の取扱いを 2020 年 11 月より開始いたしました。2021 年 4 月には、
少子高齢化の進展や人口の減少、        県外への人材流出に伴う労働力不足や後継者不在
等に加え、新型コロナウイルス感染症の影響から雇用情勢も大きく変化する中、こ
うした人材にかかる経営課題の解決をサポートするため、                 有料職業紹介事業の許認
可を取得し、人材紹介事業の取扱いを開始しました。なお、当行は 2021 年 3 月 31
日付にて、内閣府の「令和 2 年度先導的人材マッチング事業」において間接補助事
業者として採択されております。        今後、  地域企業の人材ニーズを調査および分析し、
職業紹介事業者等と連携するなどしてハイレベルな経営人材等のマッチングを行
ってまいります。
  お取引先の事業性を理解したうえで、このプラットフォームを活用して、生産性
の向上に貢献するソリューションを提供するなど、              課題解決に向けてご支援するこ
とは、当行とお取引いただくうえでの付加価値につながるものと考えております。
この考え方のもと、     事業性評価を重視した融資などの最適なソリューション提供を
推進し、地域経済の活性化に貢献していくとともに、こうした活動によって創造さ
れる経済循環を当行の収益機会につなげてまいります。

②顧客セグメンテーション別戦略の構築
 本計画では、  当行をメインとしてご利用していただけるお取引先の維持と増加を
目的に、  お取引先ごとの取引密度など当行独自の多面的な分析によるセグメンテー
ションを行ったうえで、セグメントごとにニーズを想定して営業戦略を策定・推進
してまいりました。
 2020 年度下期は前期に引き続き、事業に関する対話を通じてお取引先の抱える
課題を収集・共有し、ニーズを想定したうえで、これらに基づく戦略を立案し、最
適なソリューションを提供することを念頭に活動してまいりました。また、ソリュ
ーションメニューの提供による効果  (売上増加等によるお取先側の価値向上や当行
の役務収益等への貢献)を検証するツールとして「本業支援管理システム」を構築
しております。このシステムにより、お取引先に実施したコンサルティングやソリ
ューション活動の推移ならびに効果を、  時系列でヒートマップ化して確認すること
ができるようになったことから、的確なターゲットの選定等に活用し、より最適な
                        7
 ソリューションメニューを提供するなど、本業支援活動をこれまで以上に活性化さ
 せてまいります。
  さらに、前項に記載いたしました「付加価値提供のプラットフォーム構築」と関
 連付け、セグメントごとの戦略に沿ってプラットフォームを活用し、個社に対する
 施策を推進することによって、当行とお取引いただく付加価値の一層の向上を図っ
 てまいります。

〔新規事業先成約推移(表 6)〕                                   (単位:先、億円)
         2018 年度   2018 年度    2019 年度   2019 年度   2020 年度   2020 年度
          上期        下期         上期        下期        上期        下期
  成約件数       388       377        408       434       734       452

  成約金額       120         99       119       127       173       193


 ③独自ベンチマークと業績評価基準の設定
  お取引先との事業に関する対話に基づく情報収集から事業性への理解を深め、      経
 営課題を共有して実効性の高いソリューションを提供する態勢を確立するために
 は、課題解決型のソリューション営業に対する行員の意識醸成が重要であると認識
 しております。そうした意識の醸成過程においては、営業店や行員の課題解決に向
 けた有効な活動プロセスを業績評価に適切に反映し、   評価制度を充実させる必要が
 あると考えております。
  2018 年度下期には、お取引先の課題解決に至るまでの活動情報と、当該お取引先
 の経営指標や当行との取引密度の変化などについて、   時系列でモニタリングする態
 勢を構築いたしました。また、本モニタリング項目から行内の独自ベンチマークと
 して、お取引先との事業性評価に関する対話や事務手続きなど、ソリューション提
 供のプロセスに関する目標、   ならびに課題を共有したお取引先へのソリューション
 提供の効果を検証する指標として、   お取引先の経営指標の改善率等の目標を設定し
 ております。
  また、一連のソリューション提供活動の実効性を向上させるため、本部の分野別
 担当者や企業支援担当者から営業店に対してアドバイスやフォロー、   帯同訪問等を
 実施する態勢の整備や、   営業店のソリューションリーダーや若手渉外行員を主な対
 象とした研修等の実施による人材育成にも取り組んでおります。   さらに、2020 年度
 上期から営業店の表彰制度において、   より多くのお取引先との対話につながってい
 くよう評価基準の見直しを行うとともに、   新型コロナウイルス感染症に係る支援や
 取り組みを評価する特別項目も追加しております。
  今後も、  独自ベンチマークのモニタリング結果をもとにした施策のブラッシュア
 ップを行うとともに、人事評価などの見直しの検討をさらに進めてまいります。

(3)個人取引の強化
   個人取引の強化につなげるための顧客セグメーション別戦略につきましては、
                                     「ス

                                  8
キームの図解」および「データ分析による課題認識から対応施策」を営業店に明示
し、基盤拡充の重要性を認識した営業活動を展開しております。
  その一環として 2019 年 4 月より、お客さまのライフステージに応じた幅広いニ
ーズに切れ目なく対応するために、ローン業務部門と投資信託や生命保険等を扱う
金融商品部門を統合してパーソナルサポート部を設置いたしました。      さらに 2019 年
10 月より、お客さま本位の営業を担うマネーアドバイザーを一部店舗に配置し、お
客さまのライフステージに応じて、資産運用からローンまで最適な商品を提供する
など、これまで以上に取引の拡大とさらなるCS向上に努めております。
  また、2020 年 7 月より、資産形成応援キャンペーン「こうぎんで レッツ・ビギ
ン!」をスタートし、本部と営業店が一体となって資産形成層を中心に積立投資信
託、iDeCo(個人型確定拠出年金)のご提案を行うとともに、法人お取引先の
従業員さま向けに、セカンドライフの資産形成のポイントやiDeCoに関する商
品説明会を実施いたしました。その結果、2020 年度下期の積立投資信託の獲得件数
は前年同期を 244 件上回る 670 件、iDeCoの獲得件数は前年同期を 99 件上回る
355 件となり、いずれも累計契約件数は順調に増加してきております。
  引き続き、各種キャンペーンや企画を実施するなど、給与や年金の振込指定口座
獲得を軸とした家計取引のメイン化を推進していくほか、ライフステージに応じた
サービスや商品を提供するなど、より一層お客さまの立場に立ったコンサルティン
グ営業に取り組んでまいります。

 ①住宅ローンの強化
  住宅ローンの取り組みについては、       人口減少や金融機関同士の競争が激しくなる
 などの厳しい環境が続いておりますが、       家計取引のメイン化やライフステージに応
 じた金融資産の運用、    教育資金のご融資といった複合取引の拡大につながる生涯取
 引の柱であることから、積極的に推進しております。
  具体的な推進策として、     行員の営業力強化を目的とした勉強会を定期的に開催し
 ているほか、  チャネル拡充を目的としたローンセンターによる不動産業者等への営
 業活動、休日も営業を行うローンセンターやプラザと営業店の連携した営業推進な
 どを実施しております。    2020 年度下期における住宅ローンの獲得額は、分譲マンシ
 ョンの供給戸数の一時的な減少などにより前年同期を下回ったものの、       同残高は前
 年同期比 6 億 30 百万円増加しております。
  引き続き、ローンセンター等と営業店が緊密に連携して、住宅ローンの増強に取
 り組んでまいります。

〔住宅ローン獲得(実行)額の推移(表 7)
                    〕                                           (単位:件、百万円)
         2018 年度    2018 年度    2019 年度    2019 年度    2020 年度    2020 年度    前年
          上期         下期         上期         下期         上期         下期        同期比

 件   数       301        297        276        310        253        258     △52

 金   額      5,749      5,758      4,635      5,153      4,125      4,352    △801

                                     9
 ②消費者ローンの強化
  消費者ローンは、お客さまの様々なニーズにお応えするため、また当行にとって
 も利回りの確保に貢献する重要な商品であると捉えて、       お客さまの保護と利便性を
 念頭に置いたうえで積極的に取り組んでおります。
  2020 年度下期は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている子育て世代を
 サポートする教育ローンや、   コロナ禍対策への一つの課題解決につながるリフォー
 ムローン、   給与振込契約企業の従業員向けフリーローンキャンペーンを実施したほ
 か、Webを入口とした商品の推進などを行ってまいりましたが、新型コロナウイ
 ルスの感染拡大による営業活動の一部自粛の影響などから、2021 年 3 月末の消費
 者ローン残高は、   前年同期比で証書貸付が 3 億 76 百万円減少、当座貸越が 17 億 56
 百万円減少したことによって 245 億 2 百万円となりました。
  引き続き、お客さまの利便性向上につながる非対面チャネルの拡充を図るため、
 Ⅲ.1.(1).③「IT化促進とFinTech活用の基盤拡充」に記載いたしました
 とおり、  新たなWeb対応ローン商品の導入やWeb上の導線を考慮したホームペ
 ージ改善、ならびにお客さまの保護に関する取り組みを進めてまいります。

〔個人ローン残高の推移(表 8)
               〕                                              (単位:百万円)
            2018 年度   2018 年度   2019 年度   2019 年度   2020 年度   2020 年度   前年
             上期        下期        上期        下期        上期        下期       同期比

 個人ローン      111,697   113,510   114,088   115,058   113,468   113,556   △1,502

   住宅ローン     84,815    86,459    87,104    88,423    88,477    89,054      631

   消費者ローン    26,882    27,051    26,983    26,635    24,991    24,502   △2,133



 ③個人預金
   地域経済の活性化につながる円滑な資金供給を行うための安定的な資金を確保
 するうえで個人預金の重要性は高く、      金利を上乗せして受け入れする定期預金とし
 て年金受給者向け定期預金や、退職者専用定期預金、相続専用定期預金、ならびに
 インターネット支店限定の特別金利の定期預金や、投資信託・外貨定期預金の販売
 と組み合わせた定期預金など様々な商品をご提供することによって増強を図って
 おります。
   個人預金残高においては、2020 年度上期に販売した「こうぎん花・花スマイル定
 期」をはじめ、各種定期預金商品の販売が好調であったことなどから、前年同期比
 325 億円増加して 6,701 億円となりました。
   今後も引き続き、  工夫を凝らしたキャンペーン定期預金の企画などを行いながら、
 個人預金の増強を推進してまいります。




                                 10
〔個人預金残高の推移(表 9)
              〕                                                             (単位:億円)
            2018 年    2018 年      2019 年     2019 年      2020 年       2020 年
                                                                                    前年
              度         度           度          度           度            度
                                                                                    同期比
             上期        下期          上期         下期          上期           下期

   預金残高      6,397      6,374       6,368      6,376       6,548       6,701         325
*預金残高は、平均残高を記載しております。


 ④預り資産
  投資信託や生命保険をはじめとする金融商品は、        預金金利が低水準で推移してい
 ることや、NISAなどの投資優遇制度を背景に、お客さまのニーズが高まってお
 ります。また、当行にとっても利回りの低下から貸出金利息収入が減少傾向にある
 中、役務収益の増加につながる重要な施策の一つとなっております。
  上期に引き続き 2020 年度下期においても、新型コロナウイルスの感染防止対策
 としてお客さま向けセミナーの開催や対面による提案機会が減少したことから、         行
 員教育に軸足を置き、      マーケットの状況や取扱商品の内容を周知するためWebを
 活用した勉強会等を開催しました。
  また、多様化するお客さまのニーズにお応えすることを目的に、商品ラインナッ
 プの拡充を行っており、2020 年 10 月に限定追加型 1 商品、追加型 1 商品の投資信
 託、および 2020 年 12 月に定額一時払終身保険 1 商品の生命保険の取扱いを開始し
 ております。
  さらに、お客さまの資産形成の後押しや、当行の基盤拡充を目的とした資産形成
 応援キャンペーン「こうぎんで レッツ・ビギン!」を 2020 年 7 月から 12 月まで
 実施し、積立投信やiDeCo     (個人型確定拠出年金)  などの推進を強化したほか、
 お客さまに分かりやすく意向に合った商品を適切に選択していただくための補助
 ツールとして「こうぎんマネープランガイド」を作成いたしました。
  今後も、セグメント別商品のラインナップ拡充やインターネット投資信託のプロ
 モーションをさらに強化するなど、新たな顧客層の開拓を推進してまいります。

〔金融商品販売額の推移(表 10)
                〕                                                       (単位:億円)
          2018 年度    2018 年度     2019 年度     2019 年度     2020 年度      2020 年度        前年
           上期         下期          上期          下期          上期            下期          同期比

   投資信託         25          35          27         42          30              60          18

   生命保険         23          18          16         13             9            13          0


〔金融商品残高の推移(表 11)
               〕                                                            (単位:億円)
          2018 年度    2018 年度     2019 年度     2019 年度     2020 年度      2020 年度        前年
           上期         下期          上期          下期          上期            下期           同期比

   投資信託       340        312         304           250         283          290            40

   生命保険       395        413         430           443         453          466            23

                                   11
*生命保険は、販売累計額を計上しております。
(4)顧客接点の拡大と店舗間連携の強化
  ①営業区域の特性に応じた店舗機能への特化
   本計画において、営業エリアの特性に関するデータの活用を高度化して、地域の
  特性に応じた店舗機能への特化を進めております。
   具体的な施策として、マーケット分析資料等を活用して店舗ごとにお客さまの取
  引状況などから特性を分析し、 その店舗に求められるお客さまのニーズを把握した
  うえで、店舗統合や機能集約、リテール業務への機能特化、ならびに昼休業などの
  施策を実施してまいりました。2021 年 3 月には、当行では 4 カ所目となるブラン
  チ・イン・ブランチ方式による店舗統合を実施し、また一部ブロック内店舗におい
  ては、渉外の集約および個人特化型店舗へ移行することで機能集約を実現させまし
  た。
   特に機能集約については、隣接するブロック内店舗の営業区域を一つのプラット
  フォームとして捉え、「フルバンキング型店舗」と「個人特化型店舗」として店舗
  間が連携し、役割分担の明確化による効果的な人材配置を行うことで、これまで以
  上にお客さまに接する時間の増加を図り、     機動的で幅広いサービスの提供を目的と
  した「プラットフォーム型店舗体制」を導入しております。2020 年 9 月には「久万
  川橋支店と東久万支店間」、2021 年 4 月には「南支店と竹島支店間」にて実施して
  おり、今後も拡大させてまいります。
   引き続き、店舗の事務量に合わせた人員配置の変更やBPR施策の推進により生
  み出される経営資源の「選択と集中」を行い、地域の特性に応じた、より質の高い
  サービスの提供に努めてまいります。

 ②組織連携の最適化
  本計画では、地域に密着した「ブロック・エリア制」をより一層浸透させるとと
 もに、組織連携の実効性向上を図るため、営業力強化を目的とした「営業本部組織
 の見直し」による営業店支援体制の強化や、      「ブロック統括店長の権限拡大」によ
 るブロック全体の運営効率の向上、営業店の職務分担を見直す「最適な人員配置」
 の施策などを進めてまいりました。
  2019 年 4 月には営業本部を 4 部体制から 3 部体制に再編し、法人・個人それぞ
 れのお客さまに対する金融面でのサポート体制や営業店の支援体制を強化いたし
 ました。具体的には、地域連携ビジネスサポート部に、融資統括部から事業性評価
 部門を編入したことで、    知見のある分野別担当者が営業店に対してこれまで以上に
 ソリューションに関するアドバイスやフォローを行うことが可能となり、加えて、
 営業店のソリューション営業マインドの向上を図るためソリューションリーダー
 を各営業店に配置し、マネジメント体制の整備も行いました。また、同部内に「農
 林水産支援室」を設置したことで、営業店がヒアリングを行った内容を精査し、案
 件を組み立てる体制が整い、    業種特性に応じたサポートの実効性向上につながって
 おります。さらに、営業企画部内に設置した「営業チャネル戦略室」では、新型コ
 ロナウイルスの感染拡大によってニーズが高まっている非対面業務およびフィン
                     12
 テック関連業務等の強化に取り組んでおります。また、ローン業務部門と金融商品
 部門を集約して設置した「パーソナルサポート部」では、個人のお客さまのライフ
 ステージに応じた幅広いニーズに適切に対応していくため、     新たなローンや金融商
 品の導入、および各種セミナーの開催による情報提供を行っております。加えて、
 2020 年 10 月より顧客利便性の向上と機能強化を図るため、プラザ運営の見直しも
 行いました。具体的には、主にローンや金融商品等の資産運用の相談などを業務と
 していた「帯屋町プラザ」を「のこす・ふやす・つなぐのお手伝い」をコンセプト
 とした「相続&暮らしのサポートプラザ」としてリニューアルオープンし、相続事
 務手続きに限らず、相続や事業承継に関する相談に対応する体制を整えました。さ
 らに、  「久万川橋プラザ」を「つかう・ふやす・そなえるのお手伝い」をコンセプト
 として営業時間を拡大するとともに、     両プラザと営業店の連携を緊密にすることで、
 顧客接点の強化につなげております。
   2021 年 4 月には、当行グループ全体の事業開発などを目的とした「事業開発委
 員会」を設置したほか、各種デジタル技術やデータの利活用による業務変革と、お
 客さまのニーズに即した質の高いサービスの提供を目的とした「DX(デジタルト
 ランスフォーメーション)戦略室」を設置いたしました。
   計画達成に向けて、速やかに業務執行を行うとともに、Ⅳ.1.「業務執行に対す
 る監査又は監督の体制の強化のための方策」     に記載いたしましたとおり取締役会の
 監督機能を強化させ、ガバナンスの向上を図ってまいります。

(5)有価証券運用の強化
   コロナ・ショック後の有価証券市場は、経済正常化への期待などから株式は堅調
 に推移し、また各国の緩和的な金融政策は変わらず、金利も概ね低位での推移が継
 続しました。こうしたなか、期初に定めた有価証券運用方針に、          「許容するリスク」
 として「価格変動リスク」「米ドルの為替リスク」「抑制するリスク」として「金利
                  、            、
 リスク」「流動性リスク」「商品性リスク」を掲げて、弾力的かつ安定的に収益を確
        、         、
 保することを目的として運用に取り組みました。
   2021 年 3 月期の有価証券残高は前年同期比 79 億円増加し 3,076 億円となりまし
 た。また、有価証券評価損益は、前年同期比 73 億円増加し、88 億円の評価益となり
 ました。
   新型コロナウイルスの収束が見通せない状況は続きますが、有価証券運用方針に
 おけるリスクアペタイトに則った運用により、収益性とリスクのバランスの取れた
 ポートフォリオの構築と安定的な収益確保に努めてまいります。

(6)適切な経営資源の配賦
   本計画では、BPRによる各種の業務効率化施策を推進しながら、顧客サービス
 向上のために必要なシステムや店舗等への投資をコントロールしていくとともに、
 物件費の管理態勢を高度化して、適切な管理を実施してまいりました。
   2021 年 3 月期の物件費は、設備投資時期の最適化による減価償却費の減少や、全
 行的な経費削減運動の継続実施に加え、新型コロナウイルスの感染拡大による営業
                       13
 活動の自粛などから、計画を 3 億 38 百万円下回りました。
  今後も、BPRによる業務効率化ならびに物件費の一層の削減を図るとともに、
 計画に沿った顧客サービス向上のために必要な投資を確実に実行して、適切な経営
 資源の配賦に努めてまいります。

〔物件費の計画・実績(表 12)
               〕                                                      (単位:百万円)
                 2018/3 期     2019/3 期     2020/3 期                  2021/3 期
                   実績           実績           実績       計画               実績       計画比
  物件費                 4,713        4,674      4,510     4,731           4,393    △338

  (うち機械化関連費用)         1,675        1,629      1,491     1,649           1,528    △121
  機械化関連費用除く
                      3,037        3,045      3,019     3,082           2,865    △217
  物件費
 *機械化関連費用は、基幹系システム、事務用機器等の減価償却費、機械賃借料、機械保守料等を計
  上しております。


2.経営基盤戦略
 (1)人材力の最大発揮
   ①人材の活用
    当行は、人員構成において営業の中心を担う中間年齢層が薄いことを課題として
   捉えており、定期採用や行内公募による支店長の登用、嘱託の公募による職員への
   登用などによる人員構成の適正化に取り組むとともに、     各種研修の開催と資格取得
   を支援するなど行員のスキルアップによる営業力の維持・増強に努めております。
    多様な属性の人材がより一層活躍できるよう、    専門スキルを有する人材の中途採
   用、UIターン採用の強化、出産・育児や介護などのライフステージに応じて、勤
   務時間や休暇が柔軟に変更 取得できる制度の拡充、
                   ・           中途退職者の復職制度の活用、
   ならびに新たに渉外やマネーアドバイザーを担当する行員を対象とした研修制度
   を拡充するなど、環境整備を進めております。加えて、当行で培った経験や知識、
   能力を引き続き発揮できるよう、    定年退職者の再雇用についても継続しております。
    また、2019 年 4 月には執行役員制度を導入しており、業務執行に優れた人材を
   執行役員に登用することによって、一層の人材育成を図るとともに、行員のモチベ
   ーション向上につなげております。さらに、2020 年度下期には、  より独立性と責任
   を高めた上席執行役員制度を設け、    経営方針に沿った戦略を迅速かつ機動的に遂行
   する態勢を強化しております。

〔定年退職者の再雇用状況(表 13)
                 〕                             (単位:人、%)
           2018 年度        2019 年度          2020 年度    2021 年度
                実績            実績            実績         計画
  退職者                26            24            27             29
  再雇用者               16            14            17             16
  雇用率            61.5           58.3           62.9        55.1

                                    14
〔嘱託の応募・採用状況(表 14)
                〕           (単位:人、%)
          2018 年度       2019 年度        2020 年度
            実績           実績             実績
 応募者             17           16             16

 採用者                5             7              6

 採用率          29.4          43.7           37.5


 ②人材の育成
  前項に記載いたしましたとおり、当行職員の人員構成は営業の中心を担う中間年
 齢層が薄いことを課題と捉えており、若手職員を中心として早期育成を図ることで、
 営業力の強化につなげていく必要があるとの考え方のもと、外部講師による実践的
 な集合研修やWebによる機動的な研修の実施、自主参加型休日セミナー「こうぎ
 んカレッジ」やeラーニングコンテンツの拡充、ならびに外部資格の取得推奨など
 を継続しております。
  また、人材の育成をより強化していくために、これまで取り組んできた施策や研
 修に加えて、組織として理想的な人材ポートフォリオとスキルセットを明確化し、
 行員ごとのスキルに照準を合わせた最適な研修などを実施できるよう外部の知見
 も採り入れつつ施策化も進めております。
  さらに、新たに渉外やマネーアドバイザーを担当する行員を対象とした研修制度
 の拡充による営業人員の育成や、執行役員制度を通した経営幹部の人材育成にも取
 り組んでおります。
  新入行員の育成においては、今までのマンツーマン指導を発展させた「エルダー
 制度」を導入しており、エルダー(先輩等)が実務の指導を担うとともに、職場生
 活上の相談役も担う体制を整えております。
  引き続き、新入行員をはじめとした若手職員の成長支援、および職員の業務知識
 習得や業務遂行能力の向上に努めるとともに、マインドセットにも取り組んでまい
 ります。

 ③働き方改革の推進
  当行は、人材は重要な経営資源であるとの考え方のもと、仕事と家庭、子育てを
 支援するための取り組みを継続しており、次世代育成支援対策推進法に基づき、子
 育て支援に関する職場環境の整備などについて、   高度な水準の取り組みを行ってい
 る企業として認定される「プラチナくるみん」や、女性の活躍推進に関する状況等
 が優良な企業として認定される「えるぼし」を取得しております。   また、 2018 年 10
 月には、四国経済連合会および四国少子化対策会議が主催する「女性活躍推進、仕
 事と育児の両立支援に向けたシンポジウム」において、女性の活躍や子育て支援に
 積極的に取り組んでいる企業として、「平成 30 年度 女性活躍・子育て支援リーデ
 ィング企業表彰」の最優秀賞を受賞しております。さらに、2021 年 3 月には、女性

                                  15
 取締役が在籍する条件のもと、女性活躍推進に優れた「中長期の成長力」のある企
 業として、   経済産業省および東京証券取引所が実施する令和 2 年度 「なでしこ銘柄」
 に選定されました。これは、前々年度の「準なでしこ銘柄」      、前年度の「なでしこ
 銘柄」に引き続き 3 期連続の選定となります。今後も、多様な人材の経験や価値観
 を尊重し、互いの能力を最大限に発揮できる職場環境の整備に努め、ダイバーシテ
 ィの推進に積極的に取り組んでまいります。
   当行は、職員およびその家族の健康は地域社会の発展につながるとともに、当行
 の成長にも欠かせない要素であるとの考え方のもと、     健康経営をより一層推進して
 いくため、身体の健康の保持・増進、こころの健康の保持・増進、いきいきと働け
 る職場環境の整備を主な取組内容とした     「健康経営宣言」を制定しております。 2019
 年 9 月には、新たな制度として、職員が、がん、脳卒中、糖尿病など継続して治療
 が必要となる疾病等を抱えた場合に、離職することなく適切な治療を受けながら、
 いきいきと就労を続けることができる「治療と仕事の両立支援」を行うための環境
 整備を実施し、職員がこころと身体の健康について、いつでも相談できる「こうぎ
 んヘルスサポート体制」を制定いたしました。
   2021 年 1 月には、従業員の健康増進のために、スポーツの実施や健康管理に向
 けて積極的な取り組みを行っている企業を認定する、     「スポーツエールカンパニー
 2021」にスポーツ庁から認定されました。これは、前年度に引き続き 2 度目の認定
 となります。
   2021 年 3 月には、健康に関する取り組みについての外部評価制度である、経済
 産業省および日本健康会議が実施する健康経営優良法人認定制度において、      「健康
 経営優良法人 2021(大規模法人部門)  」に認定されました。これは、一昨年、昨年
 に引き続き 3 度目の認定となります。
   今後も、職員およびその家族の健康を一層増進するため、医療機関等と連携して
 職員をサポートするとともに、研修などを通して意識啓発を行ってまいります。

(2)経営基盤の強化
  ①こうぎんブランドのさらなる浸透
   Ⅲ.1「営業戦略」に記載いたしました各営業戦略等を推進していくためには、職
  員が経営理念、  経営目標を十分に認識したうえで、10 年後のあるべき姿や、個別施
  策を実施することの意義を共有する必要があると考えております。
   部店長や管理役席を対象としたマネジメント研修を適宜実施するとともに、    2018
  年 6 月の「健康経営宣言」により『こうぎんヘルスサポート体制』を構築し、職員
  の健康を第一とした経営を行っています。また、従業員満足度を測定するアンケー
  トを継続実施し、時系列で比較分析を行い、従業員満足度の向上につながる施策の
  実施に向けた取り組みを進めてまいります。

 ②グループガバナンスの強化
  高知銀行グループとして、お客さまに提供する金融関連サービスの質の向上と、
 リスク管理手法をはじめとした経営管理態勢を強化するためには、クレジットカー
                      16
  ド業を行う「高知カード」や、リース業を行う「オーシャンリース」     、ベンチャー
  企業の育成支援などを行う「こうぎん地域協働ファンド」などとの連携を一層緊密
  化する必要があると考えております。
   本計画ではグループ相乗効果の発揮を目的として、     銀行本体とグループ会社の実
  務担当者による意見交換会を適宜開催しております。     そのなかで検討した具体的な
  連携策を行内研修等で周知しており、     リース案件の取次ぎをはじめとしたお取引先
  の業務効率化に資するサービスのご提案、     ならびにキャッシュレス対応に関する施
  策などの実施につながりました。
   2021 年 4 月には、当行および連結子会社が地域や事業者との「共通価値の創造」
  につながる高品質な商品・サービスの提供を実現するため、これまでの業務の枠組
  みを超える事業および業務連携等をグループ横断的な連携をもって開発する     「事業
  開発委員会」を設置しております。そのほか、経営陣による情報交換も定期的に実
  施するなど、    引き続き連携強化を図り、総合金融サービスを進化させてまいります。

  ③財務基盤の強化
   Ⅲ.1「営業戦略」やⅣ.2「リスク管理の態勢の強化のための方策」などの各施策
  に役職員が一丸となって取り組むことによって、   収益力の向上と資産の良質化を両
  輪とした財務基盤の強化を図っております。
   また、公的資金につきましては 2024 年の返済期限を見据えた対応についての検
  討を進めてまいります。

Ⅳ.従前の経営体制の見直しその他の責任ある経営体制の確立に関する事項の進捗状
  況
1.業務執行に対する監査又は監督の体制の強化のための方策
  当行には、    地域金融機関として金融仲介機能を発揮し、  地域経済の発展に貢献して
 いくことが求められるとともに、お客さま・株主・地域社会・職員等のステークホル
 ダーとの適切な協働に努め、相互の価値向上を図るという重要な責務があります。
  こうした責務を踏まえ、    透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行う企業統治力を
 一層高め、   持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するために、   その基本的
 な考え方や運営方針を「コーポレート・ガバナンスに関する基本方針」として 2018
 年 11 月に制定しました。また、同月に取締役会の任意の諮問機関として「指名報酬
 委員会」を設置し、経営陣の指名・報酬に関する手続きの公正性・透明性・客観性を
 強化いたしました。さらに、2019 年 4 月より、業務執行機能を強化するとともに、
 取締役会の監督機能の一層の強化を図ることなどを目的として、      「執行役員制度」を
 導入いたしました。
  2021 年 6 月の株主総会後の役員構成は、取締役 8 名のうち社外取締役は 3 名、監
 査役 4 名のうち社外監査役は 3 名で、社外役員 6 名はすべて金融商品取引所の定め
 に基づく独立役員として届け出ております。取締役会および監査役会は、      「コーポレ
 ート・ガバナンスに関する基本方針」に基づき、取締役の業務執行の監督・監査を行
 っております。    また、取締役会は、法定の決議事項に加えて重要な業務執行について
                      17
も報告を受け、協議や決議を行っております。さらに、経営強化計画の計数・施策進
捗状況も定例的にモニタリングし、適宜、業務所管部に対して指示を行っておりま
す。
 このほか、経営に対する評価の客観性を確保するため、     社外の有識者等第三者 3 名
で構成する「経営評価委員会」を 2010 年 9 月に設置して半年ごとに開催しており、
外部目線による様々な角度からの提言を受けております。

2.リスク管理の態勢の強化のための方策
 (1)統合的リスク管理態勢強化のための方策
    統合的リスク管理につきましては、 「リスク管理方針」を上位規程とし、「統合的
  リスク管理規程」 ならびに「統合的リスク管理実施要領」を定めて管理しており、毎
  期初に定める「統合的リスク管理プログラム」に基づいて、リスク統括部署である
  経営統括部が運営・管理を行い、毎月開催されるリスク管理委員会で検証しており
  ます。
    銀行全体のリスク量を自己資本の一定範囲内に収め、経営の健全性を確保するこ
  とを目的として、単体コア資本から留保資本として自己資本比率 4%を維持する資
  本額を控除した額を資本配賦の上限としたうえで、リスクカテゴリー別に資本配賦
  を実施しており、リスク資本の使用状況については月次で計測してリスク管理委員
  会で検証しております。また、2019 年度より国内基準行向けにも正式導入された銀
  行勘定の金利リスクIRRBBにつきましては、⊿EVEならびに⊿NIIを国内
  基準行のシナリオに基づき計測のうえモニタリングするとともにリスク管理に活用
  しております。
    統合的ストレス・テストについては、半期ごとに関係部と連携のうえシナリオを
  設定して実施しております。2020 年度下期のシナリオは、新型コロナウイルス感染
  症の感染拡大により東京都がロックダウンに近い状況になることとし、東京支店に
  おいて特に影響が大きいと予想される業種に該当する融資先の信用格付がランクダ
  ウンすること等を想定して、当行の期間損益や自己資本に与える影響などを考察し
  ました。テストの内容は、リスク管理委員会に報告のうえ、アクションプランの検
  討なども行っております。このほか、同時期に収益シミュレーションも実施してお
  り、総合予算や資本配賦などに活用しております。

(2)信用リスク管理態勢強化のための方策
  ①信用リスク管理態勢
   信用リスク管理の態勢および組織等については、   「信用リスク管理規程」を制定
  するとともに、貸出業務の具体的方針や基本的な考え方として「貸出の基本理念」
  を定め、経営の健全性確保に向けて取り組んでおります。また、審査・与信管理・
  問題債権管理・企業支援の 4 部門それぞれの役割を明確にしております。
   信用リスクの状況は、格付別・主要信用リスク量変動先・店別地域別業種別・大
  口上位 100 先・与信ガイドライン設定先等を月次でモニタリングし、リスク管理委
  員会において与信ポートフォリオの状況について検証を行っております。   また、貸
                     18
 出先の業種別管理につきましては、経済状況の変化、業界動向、信用状況が悪化し
 た際の経営への影響度合い等を踏まえ、  重点管理業種先の選定業種や管理方法につ
 いて見直しを行うなどのモニタリングを実施しております。
  さらに、信用リスクに関するストレス・テストは半期ごとに、与信管理部、経営
 統括部、市場金融部の関係 3 部が連携し、統合的リスクのストレスシナリオに基づ
 く信用リスク部門のストレス・テストを実施して、  その状況をリスク管理委員会へ
 報告しております。シナリオにつきましても、関係 3 部の連携のもと、不測の事態
 に備えた多面的な検討に加えて、  新型コロナウイルス感染症による影響も勘案した
 厳しいケースを想定することで、経営体力への影響を明確に把握していくように、
 一層の充実を図ってまいります。
  なお、新型コロナウイルス感染症による影響につきましては、  感染症の影響が出
 る前後の債務者区分の遷移や取引先の業種別売上・利益の増減など、  その変化の状
 況を定期的にモニタリングする取り組みを開始しております。

 ②貸出金の良質化
  資産の健全化は重要な経営課題であると認識しており、    引き続き不良債権の適切
 な処理や新たな不良債権の発生防止、    お取引先の経営改善支援など貸出金の良質化
 に取り組んでおり、2021 年 3 月期には経営理念も踏まえ、将来を見越した信用リ
 スクへの対応と経営改善支援強化のため、    計画要注意先に対する貸倒引当金の見積
 もり方法を変更し、貸倒引当金を積み増ししております。
  ランクアップを推進し、  ランクダウンを防止するため、  本部と営業店が連携を図
 りながらお取引先のモニタリングを定期的に行い、    経営改善計画の進捗状況を常に
 把握して、経営改善や事業再生に向けた指導や支援を行う活動を継続してまいりま
 す。
  また、Ⅴ.3「その他の主として業務を行っている地域における経済の活性化に資
 する方策の進捗状況」 に記載いたしましたとおり、   中小企業再生支援協議会等の外
 部機関や外部専門家等のノウハウなどをより一層活用していくことで、    早期の改善
 や再生につなげてまいります。

 ③大口信用供与限度額管理
  当行では、大口信用供与規制等の見直しに伴い、同一の者(同一のグループ)に
 対して、貸出と有価証券の信用供与額を合算し管理しております。
  具体的な管理につきましては、「信用リスク管理プログラム」を定めて、信用リ
 スク主管部である与信管理部が市場金融部と連携のうえ、貸出と有価証券の信用供
 与額を合算して、自己資本に対する限度額を管理する態勢を構築しております。ま
 た、リスク統括部署である経営統括部はその管理状況を検証して、与信管理部が四
 半期ごとにリスク管理委員会へ報告して管理する態勢としております。

(3)市場リスク管理態勢強化のための方策
   「市場リスク管理規程」や「市場リスク管理実施要領」を定め、リスク管理の適切
                    19
 性を確保するとともに、市場動向や将来の見通しなどを踏まえ、市場リスク管理の
 施策である「市場リスク管理プログラム」を毎期更改する態勢としております。
  組織面においては、市場金融部を運用部門である市場運用室と、リスク管理部門
 である市場事務室に分離し、 相互牽制機能を確保するとともに、リスク統括部署(経
 営統括部)やリスク管理委員会において、リスクの見積りなど管理の適切性につい
 て検証する態勢としております。
  また、市場リスクが経営に与える将来の影響を計るため、定期的にストレス・テ
 ストを実施しております。より一層金利リスク管理の実効性を向上させるために、
 1%、2%のパラレルな金利上昇といった画一的なシナリオだけではなく、金利カー
 ブの形状が変化した場合を想定するなど、多様なストレス事象を分析することによ
 りアクションプランの策定にも取り組んでおります。
  損失限度額の管理につきましては、有価証券ポートフォリオの評価損益の増減に
 も着目しております。例えば、評価損益が減少方向に向かった場合、基準時点から
 の評価損益の減少額を勘案して管理することで、市場の変化を踏まえてポジション
 を削減するなど、機動的に対応できる態勢を構築しております。また、各種リスク
 の変動要因が価格に与える影響につきましては、複数の分析ツールを活用すること
 などにより、多角的な分析を実施しております。

3.法令遵守の態勢の強化のための方策
  信用秩序の維持、顧客保護、健全かつ適切な業務運営を行っていくうえで、コンプ
 ライアンスは最も重要であるとの認識のもと、厳正な管理態勢を維持するとともに
 適時・適切な管理手法の見直しを実施していくことにより、コンプライアンス態勢の
 充実および強化に取り組んでおります。
  職員のコンプライアンス意識を醸成し、倫理・法令・行内規程等を遵守するための
 基本指針および具体的行動指針として、「コンプライアンス・マニュアル」を制定し
 ております。また、全行的な法令等遵守態勢の実効性を高めることを目的に、取締役
 会のもとに、コンプライアンス統括部担当取締役を委員長としたコンプライアンス
 委員会を設置し、各業務部門にはコンプライアンス責任者と担当者を配置しており
 ます。
  また、職員等からの法令違反等の早期発見・未然防止に資する内部通報制度「企業
 倫理ホットライン」の設置や、「反社会的勢力への対応に係る基本方針」のもと、全
 行を挙げて関係遮断に向けた取り組みを推進する態勢を整備しております。さらに、
 各部店のコンプライアンスに関する研修の実施状況や法令等の遵守状況等について、
 監査部による監査やコンプライアンス統括部による臨店モニタリングなども実施し
 て、法令等遵守態勢の維持向上に努めております。
  このほか、マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策への取り組みとして、
 経営陣の主導的な関与のもと、リスクを適時・適切に特定・評価し、リスクに見合っ
 た低減措置を講ずるリスクベース・アプローチの手法を用いて、実効的な管理態勢を
 構築しております。具体的には、リスク低減措置の実効性を確保するためにITシス
 テムを活用し、営業店におけるフィルタリング実施のほか、本部においては、当行の
                   20
 全顧客のリスク格付けによるモニタリングやスクリーニングを実施しております。
 引き続き、マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策の高度化に向け組織全体
 で取り組んでまいります。

4.経営に対する評価の客観性の確保のための方策
  当行は、経営に対する評価のさらなる客観性・中立性を確保していくため、社外役
 員を選任しており、2021 年 6 月の株主総会以降の役員構成は、取締役 8 名のうち社
 外取締役は 3 名、   監査役 4 名のうち社外監査役は 3 名となり、   社外役員 6 名はすべて
 金融商品取引所の定めに基づく独立役員として届け出をし、            経営監視機能の十分な確
 保に努めております。
  こうした体制に加え、経営に対する評価の客観性を確保するために、2010 年度に
 新設した社外の有識者等第三者 3 名で構成する「経営評価委員会」において、当行の
 経営方針や経営戦略等について客観的な立場で評価および助言をいただいておりま
 す。2021 年 3 月には第 22 回の経営評価委員会を開催し、2020 年 9 月期決算の概要、
 および 2021 年 3 月期第 3 四半期(2020 年 12 月)決算短信に基づく決算状況の説明
 や経営強化計画の履行状況についての意見交換を行いました。            意見交換では、  高齢者
 等に対する有益な情報発信や、       県出身学生の県内定着に向けた取り組みなどについて
 の提言を受けております。

5.情報開示の充実のための方策
 (1)情報開示の充実
    決算情報の開示については、金融商品取引所で求められている 45 日以内の開示
  を励行しており、同時にホームページにも掲載しております。また、毎期、本決算
  公表後には、お取引先企業や地域の皆さまに決算の概要や地域社会への貢献に向け
  た取り組み、中期経営計画などについてご説明する会社説明会を開催しておりまし
  たが、 2020 年度は新型コロナウイルス感染症の影響等を考慮して開催を中止いたし
  ました。
    今後も、様々な情報を適時にリリースしてホームページにも掲載するなど、迅速
  かつ正確な情報開示態勢を維持してまいります。

 (2)主として業務を行っている地域への貢献に関する情報開示の充実
    当行は、中小規模事業者等への円滑な資金供給や経営改善支援など、お取引先の
  本業支援についての取組内容のほか、地域高等教育機関との連携による地域貢献に
  向けた活動や、新商品・サービスに関する情報、新型コロナウイルス感染症の影響
  に伴う相談体制や融資対応について、ディスクロージャー誌やホームページなどに
  掲載するなど積極的に開示しております。
    「地域密着型金融の取り組み状況」については、具体的な取組事例や「金融仲介
  機能のベンチマーク」に係る情報などを、毎年、ディスクロージャー誌に掲載して
  開示しております。
    今後も、より分かりやすい情報開示の充実に努めてまいります。
                         21
Ⅴ.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化その他の主として業務を行っている
    地域における経済の活性化に資する方策の進捗状況
1.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化その他の主として業務を行っている
    地域における経済の活性化に資するための方針
 (1)地域密着型金融の推進
    当行は、お取引先の資金ニーズや様々なご相談に迅速・的確にお応えして、地域
  密着型金融をより一層強力に推進し、深化させていくことが必要であると認識して
  おります。そのため、 「お取引先に対するコンサルティング機能の発揮」「地域の面
  的再生への積極的な参画」 「地域やお取引先に対する積極的な情報発信」の 3 つの取
  り組みを重点課題として位置づけ、中長期的な視点に立って組織全体として継続的
  に推進し、地域経済の活性化につなげてまいります。

〔3つの重点課題〕
 ①取引先に対するコンサルティング機能の発揮
  当行は地域に密着した業務展開によって築いてきた、 お取引先との親密な信頼関
 係を維持・強化し、経営の目標や課題を共有いたします。
  Ⅲ.1「営業戦略」などの施策に基づき、外部専門家や外部機関と協働して、お取
 引先のライフステージや事業の持続可能性等を適切かつ慎重に見極めたうえで、 最
 適なソリューションを提供し、お取引先の主体的な実行をサポートいたします。ま
 た、ソリューションの実行後においても協働して進捗管理を進めていくことで、お
 取引先の成長・発展・改善に向けて取り組んでまいります。

 ②地域の面的再生への積極的な参画
  コンサルティング機能の発揮や目利き能力の向上に向けた人材の育成に努め、包
 括協定連絡会、協議会・地方版総合戦略会議等の地公体との情報収集および意見交
 換などを重ねることにより、地域の面的再生において積極的な役割を果たしてまい
 ります。

 ③地域やお取引先に対する積極的な情報発信
  地公体や取引先への訪問等で情報収集した地域の課題やニーズのほかに、当行の
 地域密着型金融に対する取り組み状況や成果においても、積極的に分かりやすい形
 で情報発信し、地域やお取引先からの信頼向上に努めてまいります。

2.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化のための方策の進捗状況
 (1)中小規模の事業者に対する信用供与の実施体制の整備のための方策
   ①中小規模事業者等に対する融資推進活動
    イ.成長分野への取り組み、新規事業先の開拓、既存お取引先の深耕
      Ⅲ.1「営業戦略」に記載いたしましたとおり、本部と営業店が連携して推進し
    ていくことにより、安定した営業基盤の構築を図ってまいります。


                    22
ロ.地域における信用供与
  当行は地域金融機関として、中小規模事業者等への信用供与の円滑化が最大の
役割であると認識しており、事業性評価を重視した融資に取り組む態勢強化を図
っております。当行の主たる事業基盤である高知県内向け事業融資における 2021
年 3 月末の信用リスク量(UL)は約 33 億円となりました。
  当行はⅣ.2.(2).②「貸出金の良質化」に記載いたしましたとおり、お取引先の
経営改善支援など貸出金の良質化に取り組むとともに、信用リスクに対する資本
配賦の範囲内で中小規模事業者等を中心に、成長・発展・改善に向けた適切なリ
スクテイクを行う方針です。
  2020 年 4 月には、新型コロナウイルス感染症をはじめとした災害等により被害
を受けた事業者への円滑な金融仲介機能とコンサルティング機能を発揮すること
を目的として、株式会社日本政策投資銀行と「災害対策業務協力協定」を締結い
たしました。
  事業者への新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、引き続き資金繰りの迅
速な支援を継続するとともに、今後の経営改善等に向けて事業者と十分に対話を
行い、外部機関とも連携しながら事業者の経営改善、事業再生、事業転換支援な
ど、ウィズコロナ・アフターコロナを見据えた様々なサポートにも積極的に取り
組んで、お客さまの本業の支援に注力してまいります。

②中小規模の事業者に対する信用供与の実施状況を検証するための体制
イ.「軒先顧客管理システム」による進捗管理と活用の高度化
  「軒先顧客管理システム」には、お客さまの属性や各種取引状況の照会機能の
ほか、「訪問計画と実施」や「指示・改善」などのメニューがあり、営業店の訪問
計画や交渉記録等を本部がリアルタイムで共有できることから、お客さまのニー
ズ情報等を、本部と営業店が一体となって管理するとともに、PDCAに基づい
た効果的な活動のための管理ツールとして活用しております。
  中小規模事業者に対する経営改善支援と信用供与の活性化には、お取引先との
接点となる営業店と、様々な知見を集約している本部がリアルタイムで情報共有
を行うことが有効であると考えており、地域連携ビジネスサポート部には分野別
や経営支援の担当者を配置し「軒先顧客管理システム」等を活用して、営業店の
活動状況をモニタリングするとともにサポートに努めております。また、同シス
テムと併せてシステム化している 「事業性評価シート」 「経営課題共有シート」
                          や
などのツールを活用し、営業店と本部が連携してお取引先の経営課題の解決に向
け効果的なソリューション提案を展開しております。
  今後も、情報共有機能等を高度化させ、お取引先へのソリューション活動の実
効性を高めるとともに、営業店の業務効率化を図るため、各システムの機能強化
に取り組んでまいります。

ロ.経営陣による検証
  中小規模事業者等向けの信用供与に関しては、取締役会において定期的に残高・
                   23
  先数等の計数、および業務所管部の各種推進策の取組状況について検証しており
  ます。経営陣からの各種推進策に関する実効性向上へ向けた助言・指示等につい
  ては、取締役会事務局の経営統括部が一元管理し、その進捗状況についても取締
  役会に報告しております。

(2)担保又は保証に過度に依存しない融資の促進その他の中小規模の事業者の需要に
   対応した信用供与の条件又は方法の充実のための方策
   担保又は保証に過度に依存しない融資促進の一環として、          ABLや私募債等の取
  り組みを進めております。
   ABLについては、     太陽光発電事業において当行独自の売電シミュレーション等
  で事業性評価を重視して、売電債権・動産等を担保とする取扱いを推進しており、
  エネルギー関連事業としては、太陽光発電のほか、小水力や木質バイオマスなど、
  環境に配慮した再生可能エネルギー事業を中心に取り組んでおります。さらに、お
  取引先の財務の健全性を背景とした信用供与手法として、          私募債の引受を積極的に
  行っております。
   また、2019 年 6 月には、地域の一次産業の活性化や育成に貢献していくことを目
  的として、「こうぎん農林水産応援投融資」の取扱いを開始し、2020 年度下期の融
  資実績(極度枠含む)は 13 先 1 億円、2021 年 3 月末の融資残高は 56 先 5 億円とな
  りました。引き続き、中長期的な目線で成長性や持続性などを評価して、コンサル
  ティング機能を発揮することにより、一次産業をはじめ、六次産業化等への事業の
  成長を後押ししてまいります。
   このほか、これらの施策のさらなる促進を目的とした人材育成の一環として、動
  産評価アドバイザー等の資格取得を推奨しており、          行員のスキルアップを図ること
  で事業性評価に基づく多用な融資手法の実践につなげてまいります。今後も、担保
  や保証に過度に依存しない融資手法の活用促進に向け、          関係機関などとの連携を図
  りながら取り組んでまいります。

(3)中小規模事業者等向け信用供与円滑化計画を適切かつ円滑に実施するための方策
    当行は、地域密着型営業を基本とした各施策に基づき、医療・福祉分野をはじめ
  とする成長分野、      ならびに中小規模事業者等のお取引先の資金需要や各種相談にき
  め細かく対応するなど、リレーションの強化を図ってまいりました。
    高知県の経済環境や高知県産業振興計画の取組み等を踏まえ、        「医療・福祉分野」
  「農林水産業・食品加工分野」      「防災・環境関連分野」を成長分野と位置づけてお
  り、地域連携ビジネスサポート部には分野別担当者を配置するとともに、高知県内
  の各エリアには農業経営アドバイザー等の資格を取得した行員を配置して、               本部と
  営業店が一体となって成長分野の活性化に貢献する活動に取り組んでおります。               こ
  の結果、   2020 年度下期の「医療・福祉分野」向け融資実績は 110 件 36 億円となり、
  2021 年 3 月末の融資残高は前年同期比で 129 件 18 億円増加し、895 件 486 億円と
  なりました。また、同「農林水産業・食品加工分野」向け融資実績は 174 件 38 億
  円となり、2021 年 3 月末の融資残高は前年同期比で 119 件 44 億円増加し、1,280
                         24
件 254 億円となりました。さらに、同「防災・環境関連分野」向け融資実績は 65 件
55 億円となり、  2021 年 3 月末の融資残高は前年同期比で 3 件増加するも 35 億円減
少し、1,097 件 762 億円となりました。
  これらの結果、2021 年 3 月末の中小規模事業者等向け貸出残高は計画を 562 億
円上回り 4,565 億円となりました。また、総資産に対する比率は計画を 0.65 ポイ
ント上回り 37%となりました。
  今後も、担保や保証に過度に依存しない融資や、事業性評価を重視した融資の取
り組みを推進するとともに、行員のソリューション提案スキルの向上、関係機関と
の連携を一層強化し、中小規模事業者等向けの円滑な資金供給を行うことで、地域
経済の活性化と生産性の向上に貢献してまいります。

〔成長分野に対する貸出金実行実績および残高(表 15)
                          〕                                         (単位:件、百万円)
                          2020 年度下期 実行                           2021 年 3 月末 残高
 成長分野
                        件 数                      金 額           件 数                    金 額
 医療・福祉分野                          110              3,630                895             48,650

 農林水産業・食品加工分野                     174              3,894            1,280               25,487

 防災・環境関連分野                        65               5,563            1,097               76,231

 合計                               349              13,088           3,272              150,369


〔中小規模事業者等に対する信用供与の計画・進捗状況(表 16)
                              〕                                         (単位:億円、%)
              2018/3                                             2021/3 期
                        2019/3          2020/3
              期実績
                        期実績             期実績         計画         実績        計画比           始期比
              (始期)
 中小規模事業者等
                3,956     4,045           4,258        4,003    4,565          562          609
 向け貸出残高
 始期(2018/3)
               -             89              302         47      609           562          609
 からの増加額

 総資産末残         11,038    10,852          11,125     11,012     12,338         1,326     1,300

 総 資産に 対する
                35.84     37.28           38.27        36.35    37.00         0.65          1.16
 比率
*中小規模事業者等向け貸出とは、銀行法施行規則第 19 条の 2 第 1 項第 3 号ハに規定する別表
 第一における中小企業等から個人事業者以外の個人を除いた先に対する貸出で、        かつ次の貸出
 を除外しています。
 (政府出資主要法人向け貸出および特殊法人向け貸出、土地開発公社向け貸出等、大企業が保有す
  る SPC 向け貸出、当行関連会社向け貸出、その他金融機能強化法の趣旨に反するような貸出)




                                        25
 (参考)〔中小企業等向け残高、貸出比率(表 17)
                         〕                                   (単位:億円、%)
             2018/3                                   2021/3 期
                       2019/3    2020/3
             期実績
                       期実績       期実績       計画       実績       計画比         始期比
             (始期)
  中小企業等向け
               5,232     5,347     5,559   5,302     5,877        575      645
  貸出残高
  総資産末残       11,038    10,852    11,125   11,012   12,338       1,326    1,300
  総資産に対する
               47.40     49.27     49.97   48.15     47.63    △0.52       0.23
  比率
 *中小企業等向け貸出とは、銀行法施行規則第 19 条の 2 第 1 項第 3 号ハに規定する別表第一に
  おける中小企業等に対する貸出


3.その他の主として業務を行っている地域における経済の活性化に資する方策の進
  捗状況
 ○経営改善支援取組先企業の数のお取引先企業の総数に占める割合
   経営改善支援等に向けた取り組みについては、  営業店と地域連携ビジネスサポー
  ト部が連携して取り組み、2020 年度下期は以下のような成果があがりました。

  ・創業・新事業開拓支援の実績は、成長分野として取り組んでいる太陽光発電関連
   事業や医療介護関連事業向けの 10 先をはじめ、飲食業で 6 先となったことなど
   から、全体では計画を 2 先上回る 35 先となりました。
  ・経営相談支援の実績は、   営業サポート情報システムによるビジネスマッチングや
   各種商談会支援等が 126 先、セミナーの開催等による情報発信が 10 先、経営改
   善計画策定支援等が 28 先などとなりましたが、本項目には含まれない新型コロ
   ナウイルス感染症に係る経営相談や金融支援などに最優先で取り組んだことに
   より全体では計画を 36 先下回る 271 先となりました。
  ・事業再生支援の実績は、経営改善支援取組先等のランクアップが 16 先、経営改
   善支援センター等の活用が 1 先、中小企業再生支援協議会の活用が 10 先となり
   ましたが、全体では計画を 10 先下回る 27 先となりました。
  ・事業承継支援の実績は、公的専門機関等への取り次ぎ案件が 21 先、事業承継等
   に係る融資への取り組みが 2 先となったことから、全体では計画を 6 先上回る
   23 先となりました。
  ・担保や保証に依存しない融資の実績は、シンジケートローン 1 先、ABL手法等
   を活用した実績が 11 先、私募債が 16 先、事業性評価融資が 139 先となるなど、
   全体では計画を 121 先上回る 179 先となりました。

   これらの結果、  取組先数の合計は計画を 83 先上回り 535 先となりました。また、
  取引総数に占める割合も計画を 0.88 ポイント上回り 5.88%となりました。
   当行は、第 1 期経営強化計画を策定以降、上記のような経営改善支援等に積極的
  に取り組んでおり、お取引先を中心とした事業存続による雇用維持のほか、経営改
  善支援による事業拡大や創業による雇用創出、     ビジネスマッチング成約先の売上高
  増加等につながっているものと認識しております。引き続き、地域経済の活性化に
                                 26
 つながる様々な活動に積極的に取り組んでまいります。

〔経営改善支援等の取り組み(表 18)〕                                                         (単位:先、%)
          2018/3                                                      2021/3 期
                 2018/9 2019/3     2019/9 2020/3 2020/9
          期実績
                 期実績 期実績           期実績 期実績 期実績               計画      実績      計画比 始期比
          (始期)
 創業・新事業       19     39      30       39       42      32      33      35        2     16
 経営相談        300    374     353      356      336     222     307     271     △36     △29
 事業再生         35     24      18       19       23      15      37      27     △10     △8
 事業承継         13     20      15       15       21      37      17      23        6     10
 担保・保証        55    157     275      297      299     143      58     179     121     124
 合計          422    614     691      726      721     449     452     535        83   113
 取引総数      8,916   8,838   8,788    8,771    8,824   8,998   9,036   9,098       62   182
 比率    4.73 6.94 7.86 8.27 8.17 4.98 5.00 5.88 0.88 1.15
*「取引総数」とは、企業および消費者ローン・住宅ローンのみの先を除く個人事業者の融資残
 高のある先で、政府出資主要法人、特殊法人、地方公社、大企業が保有する各種債権または動
 産・不動産の流動化スキームに係るSPC、および当行の関連会社を含んでおります。


(1)創業又は新事業の開拓に対する支援に係る機能の強化のための方策
  ①コンサルティング機能の発揮
   当行では、 創業や新事業に関連するセミナーや勉強会を高知県産業振興センター
  やよろず支援拠点、   高知県中小企業団体中央会等と連携して継続的に開催しており
  ましたが、2020 年度下期も上期同様、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点か
  らこれらの開催は見送られました。当行が提供および取次ぎ可能な販路拡大・技術
  支援など本業支援に関する各種支援メニューの紹介、   ならびに認定支援機関として
  関わる「ものづくり補助金」などの各種補助金や助成金に関する情報提供、申請支
  援、外部の支援機関への取り次ぎなどにつきましては、本部と営業店が連携して引
  き続き行っております。
   さらに、創業・新事業に関する課題に対する助言やサポート等を的確に行ってい
  くために、「付加価値提供のプラットフォーム」を活用するとともに、外部機関と
  の連携や研修などを通じて常に新しい知見を蓄積し、   所管部および営業店の人材育
  成を図っていくことで、コンサルティング機能をより一層強化してまいります。

 ②高等教育機関との連携を活用した支援
  地域経済の活性化と産業振興への貢献を目的に、高知県内すべての国公立大学・
 高専と連携協力協定を締結しており、高知県内高等教育機関の専門分野を活かした
 支援を実施しております。
  高知工業高等専門学校との連携事例では、2006 年より学校側の保有する研究シ
 ーズを高知県内事業者に紹介し、共同研究や事業化への発展につなげていくことを
 目的に「高知高専・高知銀行連携シーズ発表会」を毎年開催しております。2020 年
 度は、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ開催中止といたしましたが、同ウ

                                        27
イルスの感染状況を考慮のうえ、来年度以降の開催を検討してまいります。
 このほか、産学連携の仲介役として、製造方法や新商品開発など事業者の皆さま
が必要とする技術と各高等教育機関が保有する技術のマッチングによる共同研究
機会を創出するため、お取引先に対して高等教育機関との帯同訪問などを実施して
おります。

③こうぎん地域協働ファンドなどを活用した支援
  2016 年 4 月に、  創業や新規事業展開、ベンチャー企業の育成支援、    ならびに中長
期的に成長が見込め地域経済活性化や産業振興に資する事業者の成長支援を目的
とした「こうぎん地域協働ファンド」を、株式会社地域経済活性化支援機構の子会
社であるREVICキャピタル株式会社および当行の連結子会社であるオーシャ
ンリース株式会社と総額 3 億円で設立し、2017 年 12 月には当行からの追加出資に
より、総額を 6 億円に増額しました。また、2019 年 7 月には、オーシャンリース株
式会社がREVICキャピタル株式会社の出資持分を譲り受けるとともに、               存続期
間を 2026 年 3 月 31 日まで延長しました。さらに、2021 年 4 月には、事業者の皆
さまの成長支援に、より一層関与していくことを目的に「こうぎん地域協働ファン
ド 2 号」をオーシャンリース株式会社と共同で総額 3 億円にて設立いたしました。
運営面では、2021 年 3 月時点で同ファンドの運営主体であるオーシャンリース株
式会社に、当行よりファンド運営に係る専任者を 3 名派遣し、新たな投資先の選定
や投資先の成長支援などに取り組んでおります。        投資実績につきましては、      2020 年
度下期 1 件、同期までの累計実績 10 件となっております。
  また、産学連携による地域振興に資する事業の支援を目的として、2014 年 10 月
に取扱いを開始いたしました「こうぎん産学連携ファンド」は、高知県内高等教育
機関や高知県産学官民連携センター(ココプラ)と連携を図りながら取り組んでお
り、2020 年度下期までの累計実績は 10 件 62 百万円となりました。さらに、2016
年 1 月に、地域商標・地域産業資源の活用事業者や、高知県が制定した地域アクシ
ョンプラン認定事業者などの支援を目的に取扱いを開始しました            「こうぎん地域ブ
ランド応援融資」の 2020 年度下期実績は、5 件 28 百万円となりました。
  このほか、     前述いたしましたコンサルティング機能の発揮などの取り組みの推進
により、2020 年度下期における創業・新事業に対する融資実績は、         創業 31 先 13 億
65 百万円、新事業 4 先 80 百万円となりました。
  これらに加えて、2016 年 4 月よりオーシャンリース株式会社が「FAAVO高
知」のエリアオーナーとなり、クラウドファンディング事業に取り組んでおりまし
たが、   2020 年 8 月に「FAAVO高知」の運営元である株式会社CAMPFIRE
と当行がパートナー契約を締結したことにより、        提携型ビジネスマッチング業務と
してクラウドファンディング事業に取り組んでおります。
  今後も、外部専門機関と緊密に連携し、様々な資金調達手法を活用しながら、創
業および新事業を含む事業者の成長支援に取り組んでまいります。

(2)経営に関する相談その他のお取引先の企業(個人事業者を含む、以下同じ)に対す
                        28
 る支援に係わる機能の強化のための方策
①経営改善計画策定支援および外部専門家との連携
 お取引先とのリレーションに基づく深度のある事業性評価によって、      課題の解決
や窮境原因の除去につながる具体的な解決方法を検討するなど、     実態に即した実現
可能性の高い経営改善計画の策定支援に取り組んでおります。また、予測不能な環
境変化への対応など、経営改善計画に修正が必要となった場合には、修正計画の策
定支援も行っております。さらに、計画策定支援に際してお取引先の同意が得られ
る場合は、中小企業再生支援協議会や経営改善支援センター等の外部専門機関、税
理士、中小企業診断士等とも連携を図りながら取り組んでおります。
 2020 年度下期は、経営改善支援取組先のうち要計画策定先 9 先、要計画修正先 5
先のお取引先に対して計画の策定に取り組み、新規計画の策定支援は 8 先、修正計
画の策定支援は 2 先の合計 10 先の計画策定支援を実施しました。このうち、中小
企業再生支援協議会との連携による計画策定支援は 5 先となりました。
 加えて、経営改善計画を未策定、未修正のお取引先についても、策定等に向けた
支援に継続して取り組んでおります。さらに、株式会社地域経済活性化支援機構か
ら「特定専門家派遣」契約に基づいて専門家の派遣を受けることで、経営改善や事
業再生支援活動の実効性向上を図っており、特定専門家派遣による支援・助言の実
績は、累計で 7 回(4 先)となっております。
 また、当行が設立段階から深く関わり、2018 年 3 月に高知県内士業専門家等で
設立された「一般社団法人ビジネスサポートこうち」と 2018 年 4 月に「業務連携・
協力に関する覚書」を締結しております。同法人との連携活動としてセミナーや相
談会等を開催しており、2020 年度下期には相談会へ 14 先の事業者をご案内いたし
ました。さらに、事業承継を含む経営改善支援活動として、中小企業再生支援協議
会への再生支援に関する申込みなどのサポートも行っております。

②ビジネスマッチング機能の強化
 第二地方銀行協会加盟行が主催する「地方創生『食の魅力』発見商談会」や、高
知県、高知県地産外商公社、四国銀行、JAバンク高知、農林中央金庫などとの共
催による商談会への出展支援を行っております。なお、2020 年度の「地方創生『食
の魅力』発見商談会」は非対面式のWeb商談会へと形式を変更して 2020 年 8 月
より開催されており、お取引先 28 先の出展支援を行いました。さらに、新型コロ
ナウイルス感染症の影響を勘案して中止としておりました、   商工組合中央金庫との
共催による「高知まるごと商談会」をWeb形式に変更して 2020 年 11 月に開催
し、お取引先 15 先の出展支援を行いました。
 今後も高知県の主要産業である一次産業に着目し、   高知県産業振興計画の戦略の
柱である「地産外商」の推進につながる取り組みとして、食の商談会等による販路
開拓などの支援活動を継続してまいります。
 また、取引先より収集した事業ニーズの行内マッチングサイトとして機能する
「営業サポート情報」の効果的な活用により、2020 年度下期には、110 先 148 件の
ビジネスマッチングを成約しております。  引き続き、
                         「営業サポート情報」 「Kochi
                                      や
                    29
 Big Advance」などを活用し、実効性の高いビジネスマッチングに取り組んでまい
 ります。

 ③情報提供機能の活用
  経営改善支援活動をサポートするツールとして、  財務診断分析資料をお取引先に
 提供しており、財務分析の側面から導出される課題や解決策の共有を図るなど、本
 部と営業店が連携して情報提供に取り組んでおります。2020 年度下期において財
 務診断分析資料を提供したお取引先は 33 先となりました。
  また、前述の「一般社団法人ビジネスサポートこうち」などと連携して、事業承
 継や各種制度対応などに関するセミナーを実施しているほか、  同法人を構成してい
 る税理士や弁護士等との連携による個別相談会を本店で毎月開催しております。
  今後も本部と営業店が連携し、お取引先に対する的確なコンサルティングやソリ
 ューション、ならびに有益な情報提供に努めてまいります。

〔財務診断分析資料配布先数(表 19)〕                                       (単位:先)
                                                  2020 年度        2020 年度
                   2018 年度        2019 年度
                                                    上期             下期
 財務診断分析資料配布先数               97              86             30             33


(3)早期の事業再生に資する方策
  ①ランクアップへの取り組み
   経営改善支援取組先は、債務者区分が要注意先以下の債務者とし、毎年 3 月末日
  および 9 月末日を基準日として取組先の見直しを実施しております。
   2020 年度下期は、経営改善支援取組先として 126 先を選定し、営業店との帯同
  訪問や、  「軒先顧客管理システム」を活用したモニタリング指導を行うなど、本部
  と営業店が一体となって以下の支援方法に基づいた経営改善支援活動に取り組ん
  だことから、6 先において債務者区分がランクアップしました。

〔ランクアップの実績(表 20)
               〕                                    (単位:先、%)
                                                 2020 年度        2020 年度
                2018 年度          2019 年度
                                                   上期             下期
 ランクアップ先数              12              11              5              6

 経営改善支援取組先数          141              133            132            126

 ランクアップ率             8.5              8.2            3.7            4.7




〔経営改善計画策定先数(表 21)
                〕                                      (単位:先)
                                 30
                                    2020 年度   2020 年度
                2018 年度   2019 年度
                                      上期        下期
 経営改善支援取組先のうち
                     33        35         8        14
 経営改善計画策定支援先
 経営改善計画策定完了先数        25        25         3        10

 経営改善計画策定未了先数         8        10         5         4


②中小企業再生支援協議会等との連携強化
  経営改善支援の取り組みについては、 実現可能性の高い抜本的な経営改善計画の
策定支援、ならびに計画の完遂に向けた活動の支援に積極的に取り組んでおり、そ
の計画策定にあたっては外部機関と連携して多角的な検討を行うことで、  経営改善
の実現可能性の向上に努めております。
  当行のお取引先は中小企業が主体であることから、 特に中小企業再生支援協議会
との連携強化を図るとともに、 事業再生支援能力向上のために中小企業基盤整備機
構等が主催する事業再生に関するセミナーへ行員を参加させるなど、  支援機能の強
化に努めております。なお、2020 年度下期の中小企業再生支援協議会への持込は
10 件となりました。
  引き続き、中小企業再生支援協議会と連携のうえ、お取引先の経営改善支援の強
化に努めてまいります。

〔中小企業再生支援協議会持込先数(表 22)
                     〕                    (単位:先)
                                    2020 年度   2020 年度
                2018 年度   2019 年度
                                      上期        下期
 中小企業再生支援協議会
                     13        12         3        10
 持込先数


(4)事業の承継に対する支援に係る機能の強化のための方策
   高知県の経営者平均年齢は 60 歳を超え、全国平均との乖離もますます広がって
 おり、経営者の交代(事業承継)が進んでいない状況にあると考えられます。
   こうした状況下、当行では「高知県事業引継ぎ支援センター」や「高知県事業承
 継ネットワーク事務局」等公的支援機関との連携による事業承継支援に取り組んで
 おります。また、前述の「一般社団法人ビジネスサポートこうち」との連携事業と
 して、2018 年 5 月より法務・税務に対応した事業承継支援などを目的とした個別相
 談会を開催し、お取引先等の事業承継に関する課題に対する具体的な処方箋を提供
 しています。2020 年度下期は、同法人との共催による個別相談会 14 件をはじめ、
 合計 23 件の事業承継支援を実施いたしました。
   事業承継における事業者の課題は、法務・税務等多岐にわたることから、今後も
 外部専門機関と緊密に連携し、課題解決に向けたサポートに努めてまいります。

(5)金融の円滑化を図るための取り組み
 ①金融円滑化体制の整備状況
                          31
 2009 年 12 月の中小企業金融円滑化法の施行を受けて、2010 年 1 月に「金融円滑
化基本方針」を制定、公表するとともに、     「金融円滑化管理規程」を制定し、金融
円滑化に係る管理態勢を整備しております。
 また、2013 年 12 月に公表された「経営者保証に関するガイドライン」の趣旨を
踏まえた態勢を整備して、金融の円滑化を図っております。

②金融円滑化措置の状況
 中小企業金融円滑化法の趣旨に鑑み、 中小規模事業者等のお取引先や住宅資金借
入をご利用中のお取引先等から、貸付条件変更等のお申込みがあった場合には、当
該お取引先の実態を把握して、そのライフステージや事業の持続可能性を見極めて
真摯な対応を行っております。同法は 2013 年 3 月 31 日に終了しましたが、同法終
了後もこれまでと取組方針が変わらないことを全役職員に周知徹底しております。
 また、新型コロナウイルスの感染拡大により影響を受けたお取引先に対しても同
法の趣旨に鑑み、より一層のコンサルティング機能を発揮し、迅速、適切かつ柔軟
な対応に引き続き積極的に取り組んでまいります。

(6)地域貢献への取り組み
  ①地方公共団体との連携による地域経済活性化支援
   2012 年 1 月に高知県と当行は、
                     「業務連携・