8416 高知銀行 2021-03-03 16:30:00
2020年9月期における「経営強化計画」の履行状況について [pdf]

                                               2021 年 3 月 3 日
各 位
                              会社名    株 式 会 社    高 知 銀 行
                              代表者名   取締役頭取      森 下 勝 彦
                                (コード番号:8416     東証第一部)
                              問合せ先 経営統括部長      寺 川 智 文
                                      (電話番号 088-822-9311)


         2020 年 9 月期における「経営強化計画」の履行状況について


 当行は、
    「金融機能の強化のための特別措置に関する法律」に基づき、2020 年 9 月期における経営強化計
画の履行状況報告書をとりまとめましたのでお知らせいたします。
 資料につきましては、別紙「経営強化計画の履行状況報告書」をご覧ください。
                                                       以 上
別紙




     経営強化計画の履行状況報告書




          2020 年 12 月
                     目 次

Ⅰ.2020 年 9 月期決算の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
 1.経営環境 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
 2.決算の概要(2020 年 9 月期:単体) ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
Ⅱ.経営の改善に係る数値目標の実績 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
 1.コア業務純益 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
 2.業務粗利益経費率 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
Ⅲ.経営の改善の目標を達成するための方策の進捗状況 ・・・・・・・・・・ 5
 1.営業戦略・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・ 5
  (1)BPR効果の最大化と営業基盤の強化・・・・・・・・・・・・・・・ 5
  (2)事業性評価に基づく融資の増強・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
  (3)個人取引の強化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
  (4)顧客接点の拡大と店舗間連携の強化・・・・・・・・・・・・・・・・11
  (5)有価証券運用の強化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
  (6)適切な経営資源の配賦・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
 2.経営基盤戦略 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
  (1)人材力の最大発揮・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
  (2)経営基盤の強化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
Ⅳ.従前の経営体制の見直しその他の責任ある経営体制の確立に関する
  事項の進捗状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17
 1.業務執行に対する監査又は監督の体制の強化のための方策 ・・・・・・17
 2.リスク管理の態勢の強化のための方策 ・・・・・・・・・・・・・・・17
 3.法令遵守の態勢の強化のための方策 ・・・・・・・・・・・・・・・・20
 4.経営に対する評価の客観性の確保のための方策 ・・・・・・・・・・・20
 5.情報開示の充実のための方策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
Ⅴ.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化その他の主として業務を
  行っている地域における経済の活性化に資する方策の進捗状況 ・・・・・21
 1.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化その他の主として
    業務を行っている地域における経済の活性化に資するための方針 ・・・21
 2.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化のための方策の
    進捗状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
 3.その他の主として業務を行っている地域における経済の活性化に
    資する方策の進捗状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25
Ⅵ.剰余金の処分の方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33
 1.配当に対する方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33
 2.役員に対する報酬および賞与についての方針 ・・・・・・・・・・・・33
Ⅶ.財務内容の健全性および業務の健全かつ適切な運営の確保のための
  方策の進捗状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
 1.経営強化計画の運営管理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
 2.内部監査態勢の強化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
 3.各種のリスク管理の状況および今後の方針等 ・・・・・・・・・・・・35
Ⅰ.2020 年 9 月期決算の概要
1.経営環境
  2020 年 9 月期におけるわが国の経済は、輸出や生産に持ち直しの動きがみられた
 ものの、新型コロナウイルス感染症の影響により、設備投資や雇用環境は弱い動き
 が継続するなど、総じて厳しい状況となりました。
  当行の主要営業基盤である高知県の経済は、個人消費は緩やかな持ち直しの動き
 がみられましたが、設備投資や製造業の生産は弱めの動きが続くなど、全体として
 は弱い動きとなりました。


2.決算の概要(2020 年 9 月期:単体)
 (1)資産・負債の状況
    2020 年 9 月期末の貸出金残高は、地域に密着した営業活動を展開し、中小規模
  事業者等を中心とした事業資金の需要にも積極的にお応えいたしました結果、           2019
  年 9 月期比 404 億円増加して 7,413 億円となりました。なお、貸出金残高は、部分
  直接償却 27 億円を控除後の金額です。預金等残高は、2019 年 9 月期比 1,054 億円
  増加して 1 兆 506 億円となりました。
    純資産は、    利益剰余金が増加しましたが、    有価証券評価差額金が減少したことな
  どから、2019 年 9 月期比 30 億円減少して 676 億円となりました。

 〔「資産・負債の状況(単体ベース)(表 1)
                  」   〕                                        (単位:億円)
                             2020/9 期              2019/9 期     2020/3 期
                実績           2019/9 期比 2020/3 期比     実績           実績
  資産             12,242          1,457     1,117      10,785       11,125
    うち貸出金            7,413         404      267        7,009        7,146
    うち有価証券           2,994        △65       △2         3,060        2,997
  負債             11,566          1,487     1,088      10,078       10,477
    うち預金等        10,506          1,054      752        9,451        9,753
    うち借用金             925          455      316          470          609
  純資産                 676         △30         28         706          647


 (2)損益の状況
    損益の前年同期比の状況は、以下のとおりとなりました。
    業務粗利益は、資金利益が 10 百万円増加したものの、役務取引等利益が 13 百万
  円、その他業務利益が 40 百万円それぞれ減少したことから、43 百万円減少して 71
  億 33 百万円となりました。
    経費は、 人件費が 58 百万円、 物件費が 8 百万円それぞれ減少したことなどから、
  10 百万円減少して 56 億 95 百万円となりました。
  以上により、業務純益(一般貸倒引当金繰入前)は 33 百万円減少して 14 億 38
 百万円となりました。また、国債等債券関係損益を除いたコア業務純益は 2 億 63
                                   1
百万円増加して 13 億 49 百万円となりました。
  臨時損益は、経営改善支援目的などで不良債権処理額が増加したことなどから、
4 億 17 百万円減少して 11 百万円の利益となりました。
  これらの結果、経常利益は 4 億 22 百万円減少して 13 億 3 百万円となり、固定資
産売却等による特別損益や法人税等を計上後の当期純利益は 73 百万円減少して 11
億 17 百万円となりました。
  なお、実質与信費用は、上記の理由から不良債権処理額が 10 億 97 百万円増加し
たことなどから、10 億 52 百万円増加して 10 億 88 百万円となりました。


〔 損益の状況(単体ベース)(表 2)
 「            」    〕                (単位:百万円) (※ 参 考)
                           2020/9 期        2019/9 期   2020/3 期
                      実績       2019/9 期比     実績         実績
 業務粗利益                 7,133       △43        7,176      13,732
      資金利益             6,824         10       6,814      13,558
      役務取引等利益              96      △13          109        399
      その他業務利益           212        △40          252       △225
      (うち国債等債券関係損益)        89     △296          385          45
 経費                    5,695       △10        5,705      11,452
      うち人件費            3,036       △58        3,094       6,166
      うち物件費            2,203        △8        2,211       4,510
 業務純益(一般貸倒引当金繰入前)      1,438       △33        1,471       2,280
 一般貸倒引当金繰入額             146        △28          174        198
 業務純益                  1,291        △6        1,297       2,082
 コア業務純益                1,349        263       1,086       2,235
 コア業務純益(除く投資信託解約損益)    1,119        171         948       2,008
 臨時損益                      11     △417          428        241
      うち償却債権取立益            48        18          30          58
      うち不良債権処理額         990       1,097       △107           78
      うち株式等関係損益         929         660         269        148
 経常利益                  1,303      △422        1,725       2,324
 特別損益                   185         202        △17        △157
 税引前当期純利益              1,488      △219        1,707       2,166
 法人税、住民税及び事業税           610         167         443        731
 法人税等調整額               △240       △314           74        176
 当期純利益                 1,117       △73        1,190       1,258
 実質与信費用                1,088      1,052          36        218


(3)自己資本比率の状況
   自己資本比率(国内基準)は、2019 年 9 月期と同水準の 9.58%となりました。



                           2
(4)不良債権の状況
   本部と営業店が一体となり、お取引先の経営改善支援を通じたランクアップと、
 ランクダウンの防止に取り組んでおりますが、          大口先の破綻や新型コロナウイルス
 の影響で業績が悪化した先が増加したことなどにより、金融再生法開示債権額は、
 2019 年 9 月期比 19 億円増加して 307 億円となり、金融再生法開示債権比率は、2019
 年 9 月期比 0.02 ポイント上昇して 4.03%となりました。

〔「金融再生法開示債権の状況(単体ベース) (表 3)〕
                     」                                   (単位 億円、
                                                            :   %)
                                    2020/9 期        2019/9 期   2020/3 期
                      実績        2019/9 期比 2020/3 期比   実績         実績
 破産更生債権及びこれらに準ずる債権         50            △2      0        52         50
 危険債権                   242               19    22       223        220
 要管理債権                     14              2     1        11         12
 合計(A)                  307               19    24       287        283
 正常債権                 7,299              428   257     6,871      7,042
 総与信(B)               7,607              448   281     7,158      7,325
 金融再生法開示債権比率(A)/(B)    4.03             0.02   0.17     4.01       3.86


Ⅱ.経営の改善に係る数値目標の実績
1.コア業務純益
  地域に密着した営業活動を展開し、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事
 業者の資金繰り支援や成長分野に向けた融資の推進など、中小規模事業者等を中心
 とした事業資金の需要等に積極的にお応えした結果、      貸出金平残は計画を 422 億 18
 百万円(前年同期比 384 億 42 百万円増加)上回りました。一方、市場金利の低下
 に加えて金融機関同士の競争激化により、     貸出金利回りが計画を 0.178 ポイント(前
 年同期比 0.077 ポイント低下)下回ったことから、貸出金利息収入は計画を 3 億 16
 百万円(前年同期比は同水準)下回りました。
  預金平残(譲渡性預金含む)は計画を 1,017 億 27 百万円(前年同期比 801 億 82
 百万円増加)上回ったものの、預金利回りが計画を 0.008 ポイント(前年同期比
 0.004 ポイント低下)下回ったことから、預金利息は計画を 19 百万円(前年同期比
 5 百万円減少)下回りました。これらの結果、資金利益は計画を 4 億 20 百万円(前
 年同期比 9 百万円増加)下回りました。
   お客さま本位の業務運営に関する取組方針のもと、新型コロナウイルスの感染予
 防対策を講じたうえで、投資信託・生命保険など金融商品の販売に取り組みました
 が、役務取引等利益は計画を 1 億 24 百万円(前年同期比 12 百万円減少)下回りま
 した。また、経費は、人員の新陳代謝等により人件費が計画を 2 億 52 百万円(前
 年同期比 58 百万円減少)、設備投資の時期の変更などから、物件費が計画を 1 億 48
 百万円(前年同期比 8 百万円減少)、税金が計画を 13 百万円(前年同期比 57 百万
 円増加)それぞれ下回ったことから、計画を 4 億 13 百万円(前年同期比 10 百万円
                                3
 減少)下回りました。これらの結果、コア業務純益は計画を 1 億 27 百万円(前年
 同期比 2 億 63 百万円増加)上回りました。

〔コア業務純益の改善額(表 4)
               〕                                                      (単位:百万円)
            計画       2019/9    2020/3                2020/9 期                 2021/3
            始期        実績        実績          計画      実績      計画比       始期比     期計画

  コア業務純益     2,418     1,086    2,235       1,222   1,349       127     280    2,423

*コア業務純益(業務純益+一般貸倒引当金繰入額-国債等債券関係損益)
*2020 年 9 月期の始期比については、2020 年 9 月期の実績を 2 倍して比較しています。


2.業務粗利益経費率
  新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者の資金繰り支援への積極的な
 取り組みや成長分野に向けた融資の推進等に努めた結果、貸出金平残は計画を上回
 りましたが、市場金利の低下に加え金融機関同士の競争激化により貸出金利回りが
 計画を下回ったことなどから、資金利益は計画を 4 億 20 百万円(前年同期比 9 百
 万円増加)下回りました。    また、新型コロナウイルスの感染拡大により、  投資信託・
 生命保険などの金融商品の対面販売活動を一定期間自粛したことなどから、役務取
 引等利益は計画を 1 億 24 百万円(前年同期比 12 百万円減少)下回り、その他業務
 利益は計画を 1 億 47 百万円(前年同期比 40 百万円減少)上回ったことから、業務
 粗利益は計画を 3 億 98 百万円(前年同期比 43 百万円減少)下回りました。また、
 人員の新陳代謝等により人件費が計画を 2 億 52 百万円 (前年同期比 58 百万円減少)、
 経費削減運動の継続実施などから機械化関連費用を除く物件費が計画を 91 百万円
 (前年同期比 38 百万円減少)税金が計画を 13 百万円
                 、            (前年同期比 57 百万円増加)、
 いずれも下回り、機械化関連費用を除く経費は計画を 3 億 57 百万円(前年同期比
 40 百万円減少)下回りました。
   これらの結果、業務粗利益経費率は 69.30%となり、計画を 1.08 ポイント、始期
 を 3.70 ポイントそれぞれ下回りました。

〔業務粗利益経費率の改善幅(表 5)〕                                               (単位:百万円、%)
            計画       2019/9    2020/3                2020/9期                  2021/3
            始期        実績        実績          計画      実績    計画比         始期比     期計画
 経費(機械化関連
            10,336    4,984     9,961       5,300   4,943   △357      △450    10,522
 費用除く)
 業務粗利益      14,158    7,176    13,732       7,531   7,133   △398        108   15,024
 業務粗利益
             73.00    69.44     72.53       70.38   69.30   △1.08     △3.70    70.03
 経費率
*業務粗利益経費率(    (経費-機械化関連費用)/業務粗利益)
*機械化関連費用は、基幹系システム・事務用機器等の減価償却費、機械賃借料、機械保守費等
 を計上しています。
*2020 年 9 月期の始期比については、2020 年 9 月期の実績を 2 倍して比較しています。




                                        4
Ⅲ.経営の改善の目標を達成するための方策の進捗状況
1.営業戦略
 (1)BPR効果の最大化と営業基盤の強化
   ①営業人員の増強
     お客さまのニーズを把握して最適なソリューションを提案するためには、                 “face
   to face”でお客さまと向き合う活動の増強が必要となるため、本計画では、業務
   改革  (Business Process Reengineering、以下「BPR」 に取り組んでおります。
                                              )
   BPRにより事務負担を軽減させるとともに、生み出される時間と力を営業活動
   の質と量の向上に充当することや、営業活動に携わる人員構成比率を向上させ、
   トップライン収益の増強につなげていきたいと考えております。
   具体的な施策として、2018 年 9 月から一部の店舗で店舗機能特化に向けた試行
  を開始し、2019 年 7 月から取り組んだ「渉外の拠点集約」を 2020 年 9 月より本
  格化させ、プラットフォーム型の店舗運営体制(高知市内の2店舗)を開始して
  おり、順次拡大してまいります。さらに、2019 年 10 月には事務量に合わせた営
  業店窓口数の適正化により、日次の事務量に応じて窓口係と渉外係を機動的に担
  うマネーアドバイザーへの配置転換、および窓口係から渉外係への配置転換を実
  施しており、営業店人員に対する営業活動に携わる人員構成比率は、マネーアド
  バイザー導入前の 2019 年 4 月比 6.6 ポイント上昇して 29.1%となっております。
   また、2020 年 4 月からは営業店において、これまでの窓口係(預金係)を「お
  客さまサービス課」、渉外係と貸付係を「営業課」とする「営業店二課制」を導入
  しております。営業人員の増強とともに、内務担当者がお客さまと向き合う時間
  を増やすことで、これまで以上にきめ細かいサービスの提供に努めてまいります。


  ②業務効率化の推進
   業務効率化においては、個別業務の効率化策を評価し、銀行全体の生産性を向
  上させるため、
        「リスクベース・アプローチ」の観点で、効率化と許容できるリス
  クのバランスをとることが重要であると考えております。
   この考え方に基づき、組織横断的なBPRをマネジメントする専任者を、2017
  年 9 月に本部へ配置し、BPR推進委員会などで各部署と連携して個別業務の詳
  細なプロセスならびに期待される改善効果などの検討を重ね、2018 年 6 月には、
  50 項目超のBPR施策を立案し、   対象施策の事務量を 30%削減させる目標を設定
  いたしました。
    例えば、来店客数やお客さまのお手続き内容に応じて効率的な対応が行えるよ
  う行内ルールを見直すことで、手続きにかかる時間の短縮化に取り組んでおりま
  す。また、特定のローン切替時における必要書類の見直しによるお客さまの手続
  き負担の軽減や、文書の一時保管ルールの変更に伴う文書破棄事務のさらなる省
  力化などの施策を実施いたしました。
    この結果、2020 年 9 月末までに 50 項目の見直しを実施し、目標としていたB
  PR対象の事務量 30%削減を達成いたしました。
                             5
  さらに、これらと並行して、内務担当者の事務量の削減を目的とした営業店事
 務の本部集中化も推進しており、2018 年 2 月に運用を開始した相続事務の本部集
 中化については、一定の準備期間を経て、2019 年 10 月に集中化する業務を拡大
 しました。このほか、債権証書保管および管理業務の抜本的な効率化策として債
 権証書の集中管理センターを新たに設置し、2020 年 11 月より稼働させておりま
 す。
  引き続き、BPRを推進して銀行全体の生産性を向上させ、お客さまと向き合
 う営業時間の拡充につなげてまいります。


 ③IT化促進とFinTech活用の基盤拡充
  本計画においては、業務の効率化や効果的な営業活動の実践などを目的として
 顧客情報管理の高度化を進めるとともに、お客さまの利便性向上を図るために非
 対面チャネルを拡充するなど、IT化を推進しております。
  また、行内の業務についてもシステムを活用して様々なプロセスを抜本的に効
 率化することが必要であると考えており、関係者が組織横断的に連携し関係情報
 を収集するとともに、検討を進めております。
  お客さまの利便性向上を図るために、2019 年 3 月にリリースいたしましたスマ
 ートフォンアプリには、口座開設や住所変更の申込みのほか、口座の入出金明細
 の照会・通知などの機能があり、今後もアプリの機能拡充など、非対面チャネル
 の強化に注力してまいります。
  個人ローンにおいては、お客さまの多様なニーズにお応えするため、お申込か
 らお借入までをWeb完結できる商品の取扱いを 2020 年 3 月から開始し、対応ロ
 ーン商品を順次追加導入しております。
  また、キャッシュレスサービスの拡大においては、本人認証機能を強化するな
 ど安全性を重視し、取り組んでおります。
  今後も、ウィズコロナ・アフターコロナを踏まえた新たな金融サービスの提供
 に向けて取り組んでまいります。


(2)事業性評価に基づく融資の増強
  ①付加価値提供のプラットフォーム構築
   お取引先との事業に関する対話を通じて課題等を共有し、その解決に向けた最
  適なソリューションを提供するとともに、本サポート活動の実効性を向上するこ
  とを目的に、付加価値提供のプラットフォームを構築しております。
   プラットフォームでは、事業性評価に関する一連の活動や収集した情報、およ
  び課題解決のためのノウハウなどを本部と営業店が共有し、営業店と本部内の各
  セクションが切れ目なく連携することを目指しており、2018 年度下期には、取引
  先の創業期から再生期までのライフステージ別に当行がご提案できるソリューシ
  ョンと、本部のサポート態勢の「見える化」を図りました。事業性対話の件数は
 期を追うごとに増加してきており、ソリューション提供ツールの一つとして活用
                    6
 しています。
  このほか、様々なお取引先の課題に的確にお応えすることを目的に、ソリュー
 ションの追加や見直しを適宜行っており、2020 年上期には、人手不足や後継者問
 題等を支援するため業務提携している公益財団法人産業雇用安定センターとの連
 携を強化いたしました。また、ビジネスマッチングや福利厚生、士業相談など、
 多彩なサービスを通じて事業者が抱える様々な経営課題の解決をサポートする
 「Kochi Big Advance」の取扱いを 2020 年 11 月より開始いた
 しました。
  お取引先の事業性を理解したうえで、このプラットフォームを活用して、生産
 性の向上に貢献するソリューションを提供するなど、課題解決に向けてご支援す
 ることは、当行とお取引いただくうえでの付加価値につながるものと考えており
 ます。この考え方のもと、事業性評価を重視した融資などの最適なソリューショ
 ン提供を推進し、地域経済の活性化に貢献していくとともに、こうした活動によ
 って創造される経済循環を当行の収益機会につなげてまいります。

 ②顧客セグメンテーション別戦略の構築
  本計画では、当行をメインとしてご利用していただけるお取引先の維持と増加
 を目的に、お取引先ごとの取引密度など当行独自の多面的な分析によるセグメン
 テーションを行ったうえで、セグメントごとにニーズを想定して営業戦略を策
 定・推進しております。
  2020 年度上期も前期に引き続き、事業者の抱える課題やニーズを収集したうえ
 で、これらに基づく戦略を立案し、最適なソリューションを提供することを念頭
 に活動してまいりました。また、ソリューションメニュー提供による効果(売上
 増加等によるお取先側のメリットや当行の役務収益への貢献)を検証するツール
 として「本業支援管理システム」を構築いたしました。このシステムにより、お
 取引先に実施したコンサルティングやソリューション活動の推移ならびに効果を
 確認することができるようになったことから、今後は的確なターゲットの選定等
 に活用し、より最適なソリューションメニューを提供するなど、本業支援活動を
 これまで以上に活性化させてまいります。
  さらに、前項に記載いたしました「付加価値提供のプラットフォーム構築」と
 関連付け、セグメントごとの戦略に沿ってプラットフォームを活用し、個社に対
 する施策を推進することによって、当行とお取引いただく付加価値の一層の向上
 を図ってまいります。

〔新規事業先成約推移(表 6)〕                                             (単位:先、億円)
        2017 年度   2017 年度   2018 年度   2018 年度    2019 年度   2019 年度   2020 年度
         上期        下期        上期        下期         上期        下期        上期
 成約件数       466       468       388       377        408       434       734
 成約金額       133       167       120         99       119       127       173
                                  7
 ③独自ベンチマークと業績評価基準の設定
  お取引先との事業に関する対話に基づく情報収集から事業性の理解を深め、経
 営課題を共有して実効性の高いソリューションを提供する態勢を確立するために
 は、課題解決型のソリューション営業に対する行員の意識醸成が重要であると認
 識しております。そうした意識の醸成過程においては、営業店や行員の課題解決
 に向けた有効な活動プロセスを業績評価に適切に反映し、評価制度の充実を図る
 必要があると考えております。
  2018 年度下期には、お取引先の課題解決に至るまでの活動情報と、当該お取引
 先の経営指標や当行との取引密度の変化などについて、時系列でモニタリングす
 る態勢を構築いたしました。また、本モニタリング項目から行内の独自ベンチマ
 ークとして、お取引先との事業性評価に関する対話や事務手続きなど、ソリュー
 ション提供のプロセスに関する目標、ならびに課題を共有したお取引先へのソリ
 ューション提供の効果を検証する指標として、お取引先の経営指標の改善率等の
 目標を設定しております。
  また、一連のソリューション提供活動の実効性を向上させるため、本部の分野
 別担当者等から営業店に対してアドバイスやフォローを実施する態勢の整備や、
 営業店のソリューションリーダーや若手渉外行員を主な対象とした研修等の実施
 による人材育成にも取り組んでおります。さらに、2020 年度上期から営業店の表
 彰制度において、より多くのお取引先との対話につながっていくよう評価基準の
 見直しを行うとともに、新型コロナウイルス感染症に係る支援や取り組みを評価
 する特別項目も追加しております。
  今後も、独自ベンチマークのモニタリング結果をもとにした施策のブラッシュ
 アップを行うとともに、人事評価などの見直しの検討をさらに進めてまいります。


(3)個人取引の強化
   本計画では、個人のお客さまをライフステージなどによりグループ化し、提供す
 るサービスや商品を「見える化」することで基盤拡充を図っていく「個人顧客セグ
 メンテーション別戦略」に基づく営業活動を展開しております。
 その一貫として 2019 年 4 月より、お客さまのライフステージに応じた幅広いニ
ーズに切れ目なく対応するために、     ローン業務部門と投資信託や生命保険等を扱う
金融商品部門を統合してパーソナルサポート部を設置いたしました。さらに、2019
年 10 月よりお客さま本位の営業を担うマネーアドバイザーを一部店舗に配置し、
お客さまのライフステージに応じて、     資産運用からローンまで最適な商品を提供す
るなど、より一層の取引の拡大とさらなるCS向上に努めております。
 また、2020 年 7 月より、資産形成応援キャンペーン「こうぎんで レッツ・ビ
ギン!」  をスタートし、  本部と営業店が一体となって資産形成層を中心に積立投資
信託、iDeCo(個人型確定拠出年金)のご提案を行うとともに、法人お取引先
の従業員さま向けに、    セカンドライフの資産形成のポイントやiDeCoに関する
商品説明会を実施いたしました。その結果、2020 年度上期の積立投資信託の獲得
                   8
件数は前年同期を 188 件上回る 517 件、iDeCoの獲得件数は前年同期を 39 件
上回る 297 件となり、いずれも累計契約件数は順調に増加してきております。
 引き続き、   ライフステージなどによる個人顧客セグメンテーション別戦略を進め、
給与振込や年金振込などの指定口座獲得を軸とした家計取引のメイン化の推進、   ラ
イフステージに応じたサービスや商品の提供に取り組むなど、   お客さまの様々なニ
ーズにお応えしてまいります。


 ①住宅ローンの強化
  住宅ローンの取り組みについては、人口減少や金融機関同士の競争が激しくな
 るなどの厳しい環境が続いておりますが、家計取引のメイン化やライフステージ
 に応じた金融資産の運用、教育資金のご融資といった複合取引の拡大につながる
 生涯取引の柱であることから、積極的に推進しております。
  具体的な推進策として、行員の営業力強化を目的とした勉強会を定期的に開催
 しているほか、チャネル拡充を目的としたローンセンターによる不動産業者等へ
 の営業活動、休日も営業を行うローンセンターやプラザと営業店の連携した営業
 推進などを実施しております。2020 年度上期における住宅ローンの獲得額は、分
 譲マンションの供給戸数の一時的な減少などにより前年同期を下回ったものの、
 同残高は前年同期比 13 億 73 百万円増加しております。
  引き続き、ローンセンター等と営業店が緊密に連携して、住宅ローンの増強に
 取り組んでまいります。

〔住宅ローン獲得(実行)額の推移(表 7)
                    〕                                           (単位:件、百万円)
         2017 年度    2018 年度    2018 年度    2019 年度    2019 年度    2020 年度    前年
          下期         上期         下期         上期         下期         上期        同期比

 件   数       295        301        297        276        310        253     △23

 金   額      5,041      5,749      5,758      4,635      5,153      4,125    △510



 ②消費者ローンの強化
  消費者ローンは、お客さまの様々なニーズにお応えするため、また当行にとっ
 ても利回りの確保に貢献する重要な商品であると捉えて、お客さまの保護と利便
 性を念頭に置いたうえで積極的に取り組んでおります。
  2020 年度上期は、行内研修や研修フォローアップ活動を行うとともに、新型コ
 ロナウイルス感染症の影響を受けている子育て世代をサポートする教育ローンを
 始めとした時節に応じた様々なキャンペーン、ならびにWebを入口とした商品
 の推進などを行ってまいりましたが、新型コロナウイルスの感染拡大による営業
 活動の一部自粛の影響などから、2020 年 9 月末の消費者ローン残高は、前年同期
 比で証書貸付が1億 32 百万円減少、当座貸越が 18 億 59 百万円減少したことによ
 って 249 億 91 百万円となりました。

                                      9
  引き続き、お客さまの利便性向上につながる非対面チャネルの拡充を図るため、
 Ⅲ.1.(1).③「IT化促進とFinTech活用の基盤拡充」に記載いたしました
 とおり、新たなWeb対応ローン商品の導入やWeb上の導線を考慮したホーム
 ページ改善、ならびにお客さまの保護に関する取り組みを進めてまいります。

〔個人ローン残高の推移(表 8)〕                                             (単位:百万円)
           2017 年度   2018 年度   2018 年度   2019 年度   2019 年度   2020 年度   前年
            下期        上期        下期        上期        下期        上期       同期比

 個人ローン     110,136   111,697   113,510   114,088   115,058   113,468    △620

  住宅ローン     83,356    84,815    86,459    87,104    88,423    88,477    1,373

  消費者ローン    26,779    26,882    27,051    26,983    26,635    24,991   △1,992



 ③個人預金
  地域経済の活性化につながる円滑な資金供給を行うための安定的な資金を確保
 するうえで個人預金の重要性は高く、金利を上乗せして受け入れする定期預金と
 して年金受給者向け定期預金や、退職者専用定期預金、相続専用定期預金、なら
 びにインターネット支店限定の特別金利の定期預金や、投資信託・外貨定期預金
 の販売と組み合わせた定期預金など様々な商品をご提供することによって増強を
 図っております。
  市場金利の低下などにより個人定期預金へのニーズには落ち着きがみられてお
 りましたが、2020 年度上期においては、   お取引内容に応じて金利を上乗せする「こ
 うぎん花・花スマイル定期」の販売が好調であったことなどから、個人預金残高
 は前年同期比 180 億円増加して 6,548 億円となりました。引き続き、工夫を凝ら
 したキャンペーン定期預金の企画などを行いながら、個人預金の増強を推進して
 まいります。

〔個人預金残高の推移(表 9)
              〕                                                  (単位:億円)
           2017 年度   2018 年度   2018 年度   2019 年度   2019 年度   2020 年度   前年
            下期         上期        下期       上期        下期        上期       同期比

   預金残高      6,434     6,397     6,374     6,368     6,376     6,548      180
*預金残高は、平均残高を記載しております。


 ④預り資産
  投資信託や生命保険をはじめとする金融商品は、預金金利が低水準で推移して
 いることや、NISAなどの投資優遇制度を背景に、お客さまのニーズが高まっ
 ております。また、当行にとっても利回りの低下から貸出金利息収入が減少傾向
 にある中、役務収益の増加につながる重要な施策の一つとなっております。
  2020 年度上期においては、新型コロナウイルスの感染防止対策としてお客さま
                                 10
 向けセミナーの開催や対面による提案機会が減少したことから、行員教育に軸足
 を置き、マーケットの状況や取扱商品の内容を周知するためWebを活用した勉
 強会等を開催しました。
  また、多様化するお客さまのニーズにお応えすることを目的に、商品ラインナ
 ップの拡充を行っており、2020 年 4 月に限定追加型 1 商品、2020 年 7 月に限定追
 加型 1 商品・追加型 1 商品の投資信託、および 2020 年 5 月に変額個人年金保険 2
 商品の生命保険の取扱いを開始しております。
  さらに、2020 年 7 月から資産形成応援キャンペーンとして実施している、積立
 投信やiDeCo(個人型確定拠出年金)を対象とした「こうぎんで レッツ・
 ビギン!」や、2020 年 7 月から 9 月末まで実施しました国民年金基金キャンペー
 ンなど、お客さまの資産形成を後押しすることを目的に、積立投信やiDeCo
 などの推進を強化しております。
  今後も、セグメント別商品のラインナップの拡充やインターネット投資信託の
 プロモーションをさらに強化するなど、新たな顧客層の開拓を推進してまいりま
 す。

〔金融商品販売額の推移(表 10)〕                                                  (単位:億円)
         2017 年度    2018 年度    2018 年度    2019 年度    2019 年度    2020 年度    前年
          下期         上期         下期         上期         下期         上期        同期比

  投資信託         50         25         35         27         42         30         3

  生命保険         21         23         18         16         13         9      △7


〔金融商品残高の推移(表 11)
               〕                                                    (単位:億円)
         2017 年度    2018 年度    2018 年度    2019 年度    2019 年度    2020 年度    前年
          下期         上期         下期         上期         下期         上期        同期比

  投資信託       373        340        312        304        250        283     △21

  生命保険       372        395        413        430        443        453         23

*生命保険は、販売累計額を計上しております。


(4)顧客接点の拡大と店舗間連携の強化
  ①営業区域の特性に応じた店舗機能への特化
   本計画において、営業エリアの特性に関するデータの活用を高度化して、地域
  の特性に応じた店舗機能への特化を進めております。
   具体的な施策として、マーケット分析資料等を活用して店舗ごとにお客さまの
  取引状況などから特性を分析し、その店舗に求められるお客さまのニーズを把握
  したうえで、店舗統合や機能集約、リテール業務への機能特化、ならびに昼休業
  などの施策を実施してまいりました。ブランチ・イン・ブランチ方式による店舗
 統合は 3 店舗となり、また一部ブロック内店舗では渉外の集約および個人特化型

                                  11
店舗へ移行することで機能集約を実現させたほか、「昼休業」については 2020 年
6 月までに 28 店舗での実施となりました。
  店舗間が連携し、役割分担の明確化による効果的な人材配置によって顧客接点
の拡大を図り、これまで以上に機動的で幅広いサービスを提供していくことを目
的に、 「ブロック・エリア制」の進化型としてブロック店舗構成に「プラットフォ
ーム型店舗体制」を追加しました。今後もこれらの施策を進めていくとともに、
店舗の事務量に合わせた人員配置の変更やBPR施策の推進により生み出される
経営資源の再配置を行い、地域の特性に応じて、より質の高いサービスの提供に
努めてまいります。


②組織連携の最適化
 本計画では、地域に密着した「ブロック・エリア制」をより一層浸透させると
ともに、組織連携の実効性向上を図ることを目指しており、営業力強化を目的と
した、 「営業本部組織の見直し」による営業店支援体制の強化や「ブロック統括店
長の権限拡大」によるブロック全体の運営効率の向上、営業店の職務分担を見直
す「最適な人員配置」の施策などを進めております。
 2019 年 4 月には営業本部を 4 部体制から 3 部体制に再編し、法人・個人それぞ
れのお客さまに対する金融面でのサポート体制や営業店の支援体制を強化してお
ります。具体的には、地域連携ビジネスサポート部に、融資統括部から事業性評
価部門を編入したことで、知見のある分野別担当者が営業店に対してこれまで以
上にソリューションに関するアドバイスやフォローを行うことが可能となり、加
えて、営業店のソリューション営業マインドの向上を図るためソリューションリ
ーダーを各営業店に配置し、マネジメント体制の整備も行いました。また、同部
内に「農林水産支援室」を設置したことで、営業店がヒアリングを行った内容を
精査し、案件を組み立てる体制が整い、業種特性に応じたサポートの実効性向上
につながっております。さらに、営業企画部内に設置した「営業チャネル戦略室」
では、新型コロナウイルスの感染拡大によってニーズが高まっている非対面業務
およびフィンテック関連業務等の強化に取り組んでおります。また、ローン業務
部門と金融商品部門を集約して設置した「パーソナルサポート部」では、個人の
お客さまのライフステージに応じた幅広いニーズに適切に対応していくため、新
たなローンや金融商品の導入、および各種セミナーの開催による情報提供を行っ
ております。加えて、2020 年 10 月より顧客利便性の向上と機能強化を図るため、
プラザ運営の見直しを行いました。具体的には、主にローンや金融商品等の資産
運用の相談などを業務としていた「帯屋町プラザ」を「のこす・ふやす・つなぐ
のお手伝い」をコンセプトとした「相続&暮らしのサポートプラザ」としてリニ
ューアルオープンし、相続事務手続きに限らず、相続や事業承継に関する相談に
対応する体制を整えております。      さらに、
                        「久万川橋プラザ」 「つかう・ふやす・
                                 を
そなえるのお手伝い」をコンセプトとして営業時間を拡大するとともに、両プラ
ザと営業店の連携を緊密にすることで、顧客接点の強化につなげております。
                    12
  計画達成に向けて、速やかに業務執行を行うとともに、Ⅳ.1.「業務執行に対す
 る監査又は監督の体制の強化のための方策」に記載いたしましたとおり取締役会
 の監督機能を強化させ、ガバナンスの向上を図ってまいります。


(5)有価証券運用の強化
   2020 年 9 月期の有価証券残高は前年同期比 65 億円減少して 2,994 億円となり、
 有価証券評価損益は新型コロナウイルスの感染拡大による金融市場の混乱の影響
 を受けたこともあり、前年同期比 54 億円減少し、43 億円の評価益となりました。
   新型コロナウイルス感染症発生後の国内景気は、       感染拡大等への警戒感から個人
 消費や企業活動において抑制的な状態が続いており、        回復ペースは緩やかなものに
とどまっています。こうしたなか、市場金利は低位での推移が続いており、利回り
の高い債券の償還を迎える状況のもと、再投資の対象となる債券は少なく、厳しい
運用環境が続いております。
 新型コロナウイルスの影響がいつまで続くか、現時点では不透明な状況ではあり
ますが、有価証券運用方針におけるリスクアペタイトに則った運用により、収益性
とリスクのバランスの取れたポートフォリオを構築し、安定的な収益確保に努めて
まいります。


(6)適切な経営資源の配賦
 本計画では、    BPRによる各種の業務効率化施策を推進しながら、顧客サービス
向上のために必要なシステムや店舗等への投資をコントロールしていくとともに、
物件費の管理態勢を高度化して、適切な管理を実施することとしております。
 2020 年 9 月期の物件費は、設備投資時期の最適化による減価償却費の減少や、
全行的な経費削減運動の継続実施に加え、    新型コロナウイルスの感染拡大による営
業活動の自粛などから、計画を 1 億 48 百万円下回りました。
 今後も、BPRによる業務効率化ならびに物件費の一層の削減を図るとともに、
計画に沿った顧客サービス向上のために必要な投資を確実に実行して、    適切な経営
資源の配賦に努めてまいります。

〔物件費の計画・実績(表 12)
               〕                                                   (単位:百万円)
               2018/3    2019/3        2020/3           2020/9 期          2021/3
               期実績       期実績           期実績      計画        実績       計画比    期計画

 物件費             4,713    4,674         4,510   2,351     2,203    △148    4,731
 (うち機械化関連費用)     1,675    1,629         1,491    808        751     △57    1,649
 機械化関連費用除く
                 3,037    3,045         3,019   1,543     1,452     △91    3,082
 物件費
*機械化関連費用は、基幹系システム、事務用機器等の減価償却費、機械賃借料、機械保守料等を
 計上しております。



                                  13
2.経営基盤戦略
(1)人材力の最大発揮
  ①人材の活用
   当行は、人員構成において営業の中心を担う中間年齢層が薄いことを課題とし
  て捉えており、定期採用や行内公募による支店長の登用、嘱託の公募による職員
  への登用などによる人員構成の適正化に取り組むとともに、各種研修の開催と資
  格取得を支援するなど行員のスキルアップによる営業力の維持・増強に努めてお
  ります。
   多様な属性の人材がより一層活躍できるよう、専門スキルを有する人材の中途
  採用、UIターン採用の強化、出産・育児などのライフステージに応じて勤務時
 間を柔軟に変更できる制度の拡充、中途退職者の復職制度の活用、ならびに新た
 に渉外やマネーアドバイザーを担当する行員を対象とした研修制度を拡充するな
 ど、環境整備を進めております。また、当行で培った経験や知識、能力を引き続
 き発揮できるよう、定年退職者の再雇用についても継続しております。
  さらに、2019 年 4 月には執行役員制度を導入しており、業務執行に優れた人材
 を執行役員に登用することによって、一層の人材育成を図るとともに、行員のモ
 チベーション向上につなげ、経営方針に沿った戦略を迅速かつ機動的に遂行する
 態勢を強化しております。

〔定年退職者の再雇用状況(表 13)
                 〕                                                                   (単位:人、%)

        2017 年度    2018 年度          2019 年度                      2020 年度                 2021 年度
         実績            実績               実績                  計画           上期実績             計画

 退職者          24              26                  24               29               17         29
 再雇用者         20              16                  14               16               12         18
 雇用率        83.3            61.5             58.3                55.1             70.5       62.0


〔嘱託の応募・採用状況(表 14)〕                                          (単位:人、%)
              2017 年度         2018 年度             2019 年度          2020 年度
                  実績               実績                  実績               実績
 応募者                   26               17                  16               11

 採用者                    9               5                   7                4

 採用率               34.6             29.4                43.7             36.3



 ②人材の育成
  前項に記載いたしましたとおり、当行職員の人員構成は営業の中心を担う中間
 年齢層が薄いことを課題と捉えており、若手職員を中心として早期育成を図るこ
 とで、営業力の強化につなげていく必要があるとの考え方のもと、外部講師によ
 る実践的な集合研修とWebによる機動的な研修の実施、自主参加型休日セミナ
                                             14
ー「こうぎんカレッジ」の拡充やeラーニングコンテンツの拡充、ならびに外部
資格の取得推奨などを継続してまいりました。
 本計画では、人材の育成をより強化していくために、これまで取り組んできた
施策や研修に加えて、組織として理想的な人材ポートフォリオとスキルセットを
明確化し、行員ごとのスキルに照準を合わせた最適な研修などを実施できるよう
外部の知見も採り入れつつ施策化を進めております。
 さらに、新たに渉外やマネーアドバイザーを担当する行員を対象とした研修制
度の拡充による営業人員の育成や、執行役員制度を通した経営幹部の人材育成に
も取り組んでおります。
 また、新入行員の育成においては、今までのマンツーマン指導を発展させた「エ
ルダー制度」を導入しており、エルダー(先輩等)が実務の指導を担うとともに、
職場生活上の相談役も担う体制を整えております。
 引き続き、新入行員をはじめとした若手職員の成長支援、および職員の業務知
識習得や業務遂行能力の向上に努めるとともに、マインドセットにも取り組んで
まいります。

③働き方改革の推進
 当行は、人材は重要な経営資源であるとの考え方のもと、仕事と家庭、子育て
を支援するための取り組みを継続しており、次世代育成支援対策推進法に基づき、
子育て支援に関する職場環境の整備などについて、高度な水準の取り組みを行っ
ている企業として認定される「プラチナくるみん」や、女性の活躍推進に関する
状況等が優良な企業として認定される「えるぼし」を取得しております。また、
2018 年 10 月には、四国経済連合会および四国少子化対策会議が主催する「女性
活躍推進、仕事と育児の両立支援に向けたシンポジウム」において、女性の活躍
や子育て支援に積極的に取り組んでいる企業として、    「平成 30 年度 女性活躍・子
育て支援リーディング企業表彰」の最優秀賞を受賞しております。さらに、2020
年 3 月には、女性取締役が在籍する条件のもと、女性活躍推進に優れた「中長期
の成長力」のある企業として、経済産業省および東京証券取引所が実施する令和
元年度「なでしこ銘柄」に選定されました。これは、前年度の「準なでしこ銘柄」
に引き続き 2 期連続の選定となります。今後も、多様な人材の経験や価値観を尊
重し、互いの能力を最大限に発揮できる職場環境の整備に努め、ダイバーシティ
の推進に積極的に取り組んでまいります。
 当行は、職員およびその家族の健康は地域社会の発展につながるとともに、当
行の成長にも欠かせない要素であるとの考え方のもと、健康経営をより一層推進
していくため、身体の健康の保持・増進、こころの健康の保持・増進、いきいき
と働ける職場環境の整備を主な取組内容とした「健康経営宣言」を制定しており
ます。2019 年 9 月には、新たな制度として、職員が、がん、脳卒中、糖尿病など
継続して治療が必要となる疾病等を抱えた場合に、離職することなく適切な治療
を受けながら、いきいきと就労を続けることができる「治療と仕事の両立支援」
                    15
 を行うための環境整備を実施し、職員がこころと身体の健康について、いつでも
 相談できる「こうぎんヘルスサポート体制」を制定いたしました。
  2019 年 12 月には、従業員の健康増進のために、スポーツの実施や健康管理に
 向けて積極的な取り組みを行っている企業を認定する、令和元年度「スポーツエ
 ールカンパニー」にスポーツ庁から認定されました。
  2020 年 3 月には、健康に関する取り組みについての外部評価制度である、経済
 産業省および日本健康会議が実施する健康経営優良法人認定制度において、       「健康
 経営優良法人 2020  (大規模法人部門)ホワイト 500」に認定されました。これは、
 昨年に引き続き 2 度目の認定となります。
  今後も、職員およびその家族の健康を一層増進するため、医療機関等と連携し
 て職員をサポートするとともに、研修などを通して意識啓発を行ってまいります。


(2)経営基盤の強化
  ①こうぎんブランドのさらなる浸透
   Ⅲ.1「営業戦略」に記載いたしました各営業戦略等を推進していくためには、
  職員が経営理念、経営目標を十分に認識したうえで、10 年後のあるべき姿や、個
  別施策を実施することの意義を共有する必要があると考えております。
   2018 年度に引き続き、2019 年度も経営理念の浸透度および従業員満足度を測る
  ための職員向けアンケートを実施しました。さらに、部店長や管理役席を対象と
 したマネジメント研修を適宜実施するとともに、2018 年 6 月の「健康経営宣言」
 により『こうぎんヘルスサポート体制』を構築し、職員の健康を第一とした経営
 を行っています。今後も、従業員満足度の向上につながる施策の実施に向けた取
 り組みを進めてまいります。


 ②グループガバナンスの強化
  高知銀行グループとして、お客さまに提供する金融関連サービスの質の向上と、
 リスク管理手法をはじめとした経営管理態勢を強化するためには、クレジットカ
 ード業を行う「高知カード」や、リース業を行う「オーシャンリース」、ベンチャ
 ー企業の育成支援などを行う「こうぎん地域協働ファンド」などとの連携を一層
 緊密化する必要があると考えております。
  グループ相乗効果の発揮を目的とした銀行本体とグループ会社の実務担当者に
 よる意見交換会を適宜開催しており、検討された具体的な連携策についての行内
 研修を実施し、リース案件の取次ぎをはじめとしたお取引先の業務効率化につな
 がるサービスのご提案、ならびにキャッシュレス対応に関する施策などを行って
 まいりました。
  また、経営陣による情報交換も定期的に実施するなど、引き続き連携強化を図
 ってまいります。



                     16
 ③財務基盤の強化
  Ⅲ.1「営業戦略」やⅣ.2「リスク管理の態勢の強化のための方策」などの各施
 策に役職員が一丸となって取り組むことによって、収益力の向上と資産の良質化
 を両輪とした財務基盤の強化を図っております。
  また、 公的資金につきましては 2024 年の返済期限を見据えた対応についての検
 討を進めてまいります。


Ⅳ.従前の経営体制の見直しその他の責任ある経営体制の確立に関する事項の進捗状
 況
1.業務執行に対する監査又は監督の体制の強化のための方策
   当行には、地域金融機関として金融仲介機能を発揮し、地域経済の発展に貢献し
 ていくことが求められるとともに、お客さま・株主・地域社会・職員等のステーク
 ホルダーとの適切な協働に努め、相互の価値向上を図るという重要な責務がありま
 す。
   こうした責務を踏まえ、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行う企業統治力
 を一層高め、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するために、その基
 本的な考え方や運営方針を「コーポレート・ガバナンスに関する基本方針」として
 2018 年 11 月に制定しました。また、同月に取締役会の任意の諮問機関として「指
 名報酬委員会」を設置し、経営陣の指名・報酬に関する手続きの公正性・透明性・
 客観性を強化いたしました。さらに、2019 年 4 月より、業務執行機能を強化すると
 ともに、取締役会の監督機能の一層の強化を図ることなどを目的として、       「執行役
 員制度」を導入いたしました。
  2020 年 6 月の株主総会後の役員構成は、取締役 9 名のうち社外取締役は 3 名、監
 査役 4 名のうち社外監査役は 3 名で、社外役員 6 名はすべて金融商品取引所の定め
 に基づく独立役員として届け出ております。取締役会および監査役会は、       「コーポ
 レート・ガバナンスに関する基本方針」に基づき、取締役の業務執行の監督・監査
 を行っております。また、取締役会は、法定の決議事項に加えて重要な業務執行に
 ついても報告を受け、    協議や決議を行っております。  さらに、経営強化計画の計数・
 施策進捗状況も定例的にモニタリングし、適宜、業務所管部に対して指示を行って
 おります。
  このほか、経営に対する評価の客観性を確保するため、社外の有識者等第三者 3
 名で構成する「経営評価委員会」を 2010 年 9 月に設置して半年ごとに開催してお
 り、外部目線による様々な角度からの提言を受けております。


2.リスク管理の態勢の強化のための方策
 (1)統合的リスク管理態勢強化のための方策
    統合的リスク管理につきましては、
                   「リスク管理方針」を上位規程とし、
                                   「統合的
  リスク管理規程」ならびに「統合的リスク管理実施要領」を定めて管理しており、
 毎期初に定める「統合的リスク管理プログラム」に基づいて、リスク統括部署であ
                      17
る経営統括部が運営・管理を行い、毎月開催されるリスク管理委員会で検証してお
ります。
 銀行全体のリスク量を自己資本の一定範囲内に収め、  経営の健全性を確保するこ
とを目的として、単体コア資本から留保資本として自己資本比率 4%を維持する資
本額を控除した額を資本配賦の上限としたうえで、  リスクカテゴリー別に資本配賦
を実施しており、リスク資本の使用状況については月次で計測してリスク管理委員
会で検証しております。また、2019 年度より国内基準行向けにも正式導入された
銀行勘定の金利リスクIRRBBにつきましては、  ⊿EVEならびに⊿NIIを国
内基準行のシナリオに基づき計測のうえモニタリングするとともにリスク管理に
活用しております。
 統合的ストレス・テストについては、半期ごとに関係部と連携のうえシナリオを
設定して実施しております。2020 年度上期はシナリオを、新型コロナウイルス感
染症の影響が大きいと考えられる業種を選定し、  その業種に該当する融資先の信用
格付がランクダウンすること等を想定した内容として、  当行の期間損益や自己資本
に与える影響などを考察しました。テストの内容は、リスク管理委員会に報告のう
え、アクションプランの検討なども行っております。このほか、同時期に収益シミ
ュレーションも実施しており、総合予算や資本配賦などに活用しております。


(2)信用リスク管理態勢強化のための方策
 ①信用リスク管理態勢
  信用リスク管理の態勢および組織等については、  「信用リスク管理規程」を制定
 するとともに、  貸出業務の具体的方針や基本的な考え方として「貸出の基本理念」
 を定め、経営の健全性確保に向けて取り組んでおります。また、審査・与信管理・
 問題債権管理・企業支援の 4 部門それぞれの役割を明確にしております。
  信用リスクの状況は、格付別・主要信用リスク量変動先・店別地域別業種別・
 大口上位 100 先・与信ガイドライン設定先等を月次でモニタリングし、リスク管
 理委員会において与信ポートフォリオの状況について検証を行っております。ま
 た、貸出先の業種別管理につきましては、経済構造の変化、業界状況、信用状況
 が悪化した際の経営への影響度合い等を踏まえ、重点管理業種先の選定業種や管
 理方法について見直しを行うなどのモニタリングを実施しております。
  さらに、信用リスクに関するストレス・テストは半期ごとに、与信管理部、経
 営統括部、市場金融部の関係 3 部が連携し、統合的リスクのストレスシナリオに
 基づく信用リスク部門のストレス・テストを実施して、その状況をリスク管理委
 員会へ報告しております。シナリオにつきましても、関係 3 部の連携のもと、不
 測の事態に備えた多面的な検討に加えて、新型コロナウイルス感染症による影響
 も勘案した厳しいケースを想定することで、経営体力への影響を明確に把握して
 いくように、一層の充実を図ってまいります。



                   18
 ②貸出金の良質化
  資産の健全化は重要な経営課題であると認識しており、引き続き不良債権の適
 切な処理や新たな不良債権の発生防止、お取引先の経営改善支援など貸出金の良
 質化に取り組んでまいります。
  ランクアップを推進し、ランクダウンを防止するため、本部と営業店が連携を
 図りながらお取引先のモニタリングを定期的に行い、経営改善計画の進捗状況を
 常に把握して、経営改善や事業再生に向けた指導や支援を行う活動を継続してま
 いります。
  また、Ⅴ.3「その他の主として業務を行っている地域における経済の活性化に
 資する方策の進捗状況」に記載いたしましたとおり、中小企業再生支援協議会等
 の外部機関や外部専門家等のノウハウなどをより一層活用していくことで、早期
 の改善や再生につなげてまいります。


 ③大口信用供与限度額管理
  当行では、大口信用供与規制等の見直しに伴い、同一の者(同一のグループ)
 に対して、貸出と有価証券の信用供与額を合算し管理しております。
  具体的な管理につきましては、「信用リスク管理プログラム」を定めて、信用リ
 スク主管部である与信管理部が市場金融部と連携のうえ、貸出と有価証券の信用
 供与額を合算して、自己資本に対する限度額を管理する態勢を構築しております。
 また、リスク統括部署である経営統括部はその管理状況を検証して、与信管理部
 が四半期ごとにリスク管理委員会へ報告して管理する態勢としております。


(3)市場リスク管理態勢強化のための方策
   「市場リスク管理規程」や「市場リスク管理実施要領」を定め、リスク管理の適
 切性を確保するとともに、市場動向や将来の見通しなどを踏まえ、市場リスク管理
 の施策である「市場リスク管理プログラム」を毎期更改する態勢としております。
 組織面においては、市場金融部を運用部門である市場運用室と、リスク管理部門で
 ある市場事務室に分離し、相互牽制機能を確保するとともに、リスク統括部署(経
営統括部)やリスク管理委員会において、リスクの見積りなど管理の適切性につい
て検証する態勢としております。
  また、市場リスクが経営に与える将来の影響を計るため、定期的にストレス・テ
ストを実施しております。より一層金利リスク管理の実効性を向上させるために、
1%、2%のパラレルな金利上昇といった画一的なシナリオだけではなく、金利カー
ブの形状が変化した場合を想定するなど、 多様なストレス事象を分析することによ
りアクションプランの策定にも取り組んでおります。
  損失限度額の管理につきましては、有価証券ポートフォリオの評価損益の増減
にも着目しております。例えば、評価損益が減少方向に向かった場合、基準時点
からの評価損益の減少額を勘案して管理することで、市場の変化を踏まえてポジ
ションを削減するなど、機動的に対応できる態勢を構築しております。また、各
                  19
 種リスクの変動要因が価格に与える影響につきましては、複数の分析ツールを活
 用することなどにより、多角的な分析を実施しております。


3.法令遵守の態勢の強化のための方策
  信用秩序の維持、顧客保護、健全かつ適切な業務運営を行っていくうえで、コン
 プライアンスは最も重要であるとの認識のもと、厳正な管理態勢を維持するととも
 に適時・適切な管理手法の見直しを実施していくことにより、コンプライアンス態
 勢の充実および強化に取り組んでおります。
  職員のコンプライアンス意識を醸成し、倫理・法令・行内規程等を遵守するため
 の基本指針および具体的行動指針として、「コンプライアンス・マニュアル」を制
 定しております。また、全行的な法令等遵守態勢の実効性を高めることを目的に、
 取締役会のもとに、コンプライアンス統括部担当取締役を委員長としたコンプライ
 アンス委員会を設置し、各業務部門にはコンプライアンス責任者と担当者を配置し
 ております。
  また、職員等からの法令違反等の早期発見・未然防止に資する内部通報制度「企
 業倫理ホットライン」の設置や、
               「反社会的勢力への対応に係る基本方針」のもと、
 全行を挙げて関係遮断に向けた取り組みを推進する態勢を整備しております。さら
 に、各部店のコンプライアンスに関する研修の実施状況や法令等の遵守状況等につ
 いて、監査部による監査やコンプライアンス統括部による臨店モニタリングなども
 実施して、法令等遵守態勢の維持向上に努めております。
  このほか、マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策への取り組みとして、
 経営陣の主体的かつ積極的な関与のもと、リスクを適時・適切に特定・評価し、リ
 スクに見合った低減措置を講ずるリスクベース・アプローチの手法を用いて、実効
 的な管理態勢の構築に努めております。加えて、リスク低減措置の実効性を確保す
 るためにITシステムを活用しており、営業店ではフィルタリングを実施し、本部
 においては、当行の全顧客のリスク格付けによるモニタリング・スクリーニングを
 実施しております。引き続き、マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策の
 高度化に向け組織全体で取り組んでまいります。


4.経営に対する評価の客観性の確保のための方策
  当行は、経営に対する評価のさらなる客観性・中立性を確保していくため、社外
 役員を選任しており、2020 年 6 月の株主総会以降の役員構成は、取締役 9 名のうち
 社外取締役は 3 名、監査役 4 名のうち社外監査役は 3 名となり、社外役員 6 名はす
 べて金融商品取引所の定めに基づく独立役員として届け出をし、経営監視機能の十
 分な確保に努めております。
  こうした体制に加え、経営に対する評価の客観性を確保するために、2010 年度に
 新設した社外の有識者等第三者 3 名で構成する「経営評価委員会」において、当行
 の経営方針や経営戦略等について客観的な立場で評価および助言をいただいており
 ます。2020 年 9 月には、第 21 回の経営評価委員会を開催し、2020 年 3 月期決算の
                        20
概要、および 2021 年 3 月期第 1 四半期(2020 年 6 月)決算短信に基づく決算状況
の説明や経営強化計画の履行状況についての意見交換を行いました。意見交換では、
コロナ禍における営業戦略や、高齢化社会への対応などについての提言を受けてお
ります。


5.情報開示の充実のための方策
 (1)情報開示の充実
    決算情報の開示については、金融商品取引所で求められている 45 日以内の開示
  を励行しており、同時にホームページにも掲載しております。また、毎期、本決
  算公表後には、お取引先企業や地域の皆さまに決算の概要や地域社会への貢献に
 向けた取り組み、中期経営計画などについてご説明する会社説明会を開催してお
 りましたが、2020 年度は新型コロナウイルス感染症の影響等を考慮して開催を中
 止いたしました。
  今後も、様々な情報を適時にリリースしてホームページにも掲載するなど、迅
 速かつ正確な情報開示態勢を維持してまいります。

(2)主として業務を行っている地域への貢献に関する情報開示の充実
   当行は、中小規模事業者等への円滑な資金供給や経営改善支援など、お取引先
 の本業支援についての取組内容のほか、地域高等教育機関との連携による地域貢
 献に向けた活動や、新商品・サービスに関する情報等をディスクロージャー誌や
 ホームページなどに掲載して積極的に開示しております。
  「地域密着型金融の取り組み状況」については、具体的な取組事例や「金融仲
 介機能のベンチマーク」に係る情報などを、毎年、ディスクロージャー誌に掲載
 して開示しております。
  今後も、より分かりやすい情報開示の充実に努めてまいります。


Ⅴ.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化その他の主として業務を行っている
 地域における経済の活性化に資する方策の進捗状況
1. 中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化その他の主として業務を行っている
  地域における経済の活性化に資するための方針
 (1)地域密着型金融の推進
    当行は、お取引先の資金ニーズや様々なご相談に迅速・的確にお応えして、地域
  密着型金融をより一層強力に推進し、 深化させていくことが必要であると認識して
  おります。そのため、「お取引先に対するコンサルティング機能の発揮」「地域の面
  的再生への積極的な参画」 「地域やお取引先に対する積極的な情報発信」の 3 つの
  取り組みを重点課題として位置づけ、 中長期的な視点に立って組織全体として継続
  的に推進し、地域経済の活性化につなげてまいります。



                       21
〔3つの重点課題〕
 ①取引先に対するコンサルティング機能の発揮
  当行は地域に密着した業務展開によって築いてきた、お取引先との親密な信頼
 関係を維持・強化し、経営の目標や課題を共有いたします。
  Ⅲ.1「営業戦略」などの施策に基づき、外部専門家や外部機関と協働して、お
 取引先のライフステージや事業の持続可能性等を適切かつ慎重に見極めたうえで、
 最適なソリューションを提供し、 お取引先の主体的な実行をサポートいたします。
 また、ソリューションの実行後においても協働して進捗管理を進めていくことで、
 お取引先の成長・発展・改善に向けて取り組んでまいります。


 ②地域の面的再生への積極的な参画
  コンサルティング機能の発揮や目利き能力の向上に向けた人材の育成に努め、
 包括協定連絡会、協議会・地方版総合戦略会議等の地公体との情報収集および意
 見交換などを重ねることにより、地域の面的再生において積極的な役割を果たし
 てまいります。

 ③地域やお取引先に対する積極的な情報発信
  地公体や取引先への訪問等で情報収集した地域の課題やニーズのほかに、当行
 の地域密着型金融に対する取組状況や成果においても、積極的に分かりやすい形
 で情報発信し、地域やお取引先からの信頼向上に努めてまいります。


2.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化のための方策の進捗状況
 (1)中小規模の事業者に対する信用供与の実施体制の整備のための方策
   ①中小規模事業者等に対する融資推進活動
    イ.成長分野への取り組み、新規事業先の開拓、既存お取引先の深耕
      Ⅲ.1「営業戦略」に記載いたしましたとおり、本部と営業店が連携して推進し
    ていくことにより、安定した営業基盤の構築を図ってまいります。


  ロ.地域における信用供与
    当行は地域金融機関として、中小規模事業者等への信用供与の円滑化が最大
  の役割であると認識しており、     事業性評価を重視した融資に取り組む態勢強化を
  図っております。当行の主たる事業基盤である高知県内向け事業融資における
  2020 年 9 月末の信用リスク量(UL)は約 34 億円となりました。
    当行はⅣ.2.(2).②「貸出金の良質化」に記載いたしましたとおり、お取引先
  の経営改善支援など貸出金の良質化に取り組むとともに、       信用リスクに対する資
  本配賦の範囲内で中小規模事業者等を中心に、成長・発展・改善に向けた適切な
  リスクテイクを行う方針です。
    2020 年 4 月には、新型コロナウイルス感染症をはじめとした災害等により被
  害を受けた事業者への円滑な金融仲介機能とコンサルティング機能を発揮する
                     22
 ことを目的として、株式会社日本政策投資銀行と「災害対策業務協力協定」を締
 結いたしました。
  事業者への新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、引き続き資金繰りの迅
 速な支援を継続するとともに、ウィズコロナ・アフターコロナを見据えた様々な
 サポートにも積極的に取り組んで、お客さまの本業の支援に注力してまいります。


 ②中小規模の事業者に対する信用供与の実施状況を検証するための体制
 イ.「軒先顧客管理システム」による進捗管理と活用の高度化
   「軒先顧客管理システム」には、お客さまの属性や各種取引状況の照会機能の
 ほか、 「訪問計画と実施」や「指示・改善」などのメニューがあり、営業店の訪
 問計画や交渉記録等を本部がリアルタイムで共有できることから、お客さまのニ
 ーズ情報等を、本部と営業店が一体となって管理するとともに、PDCAに基づ
 いた効果的な活動のための管理ツールとして活用しております。
  中小規模事業者に対する経営改善支援と信用供与の活性化には、お取引先と
 の接点となる営業店と、様々な知見を集約している本部がリアルタイムで情報共
 有を行うことが有効であると考えており、地域連携ビジネスサポート部には分野
 別や経営支援の担当者を設定し「軒先顧客管理システム」等を活用して、営業店
 の活動状況をモニタリングするとともにサポートに努めております。また、同シ
 ステムと併せてシステム化している「事業性評価シート」や「経営課題共有シー
 ト」などのツールを活用し、営業店と本部が連携してお取引先の経営課題の解決
 に向け効果的なソリューション提案を展開しております。
  今後も、情報共有機能等を高度化させ、お取引先へのソリューション活動の
 実効性を高めるとともに、営業店の業務効率化を図るため、各システムの機能強
 化に取り組んでまいります。


 ロ.経営陣による検証
   中小規模事業者等向けの信用供与に関しては、取締役会において定期的に残
 高・先数等の計数、および業務所管部の各種推進策の取組状況について検証して
 おります。経営陣からの各種推進策に関する実効性向上へ向けた助言・指示等に
 ついては、取締役会事務局の経営統括部が一元管理し、その進捗状況についても
 取締役会に報告しております。


(2)担保又は保証に過度に依存しない融資の促進その他の中小規模の事業者の需要
   に対応した信用供与の条件又は方法の充実のための方策
   担保又は保証に過度に依存しない融資促進の一環として、ABLや私募債等の
  取組みを進めております。
   ABLについては、太陽光発電事業において当行独自の売電シミュレーション
  等で事業性評価を重視して、売電債権・動産等を担保とする取扱いを推進してお
り、エネルギー関連事業としては、太陽光発電のほか、小水力・木質バイオマス
                  23
など、環境に配慮した再生可能エネルギー事業を中心に取り組んでおります。さ
らに、お取引先の財務の健全性を背景とした信用供与手法として、私募債の引受
を積極的に行っております。
 また、2019 年 6 月には、地域の一次産業の活性化や育成に貢献していくことを
目的として、 「こうぎん農林水産応援投融資」の取扱いを開始し、2020 年度上期の
融資実績(極度枠含む)は 16 先 2 億円、2020 年 9 月末の融資残高は 43 先 5 億円
となりました。引き続き、中長期的な目線で成長性や持続性などを評価して、コ
ンサルティング機能を発揮することにより、一次産業をはじめ、六次産業化等へ
の事業の成長を後押ししてまいります。
 このほか、これらの施策のさらなる促進を目的とした人材育成の一環として、
動産評価アドバイザー等の資格取得を推奨しており、行員のスキルアップを図る
ことで事業性評価に基づく多用な融資手法の実践につなげてまいります。今後も、
担保や保証に過度に依存しない融資手法の活用促進に向け、関係機関などとの連
携を図りながら取り組んでまいります。

(3)中小規模事業者等向け信用供与円滑化計画を適切かつ円滑に実施するための方
   策
   当行は、地域密着型営業を基本とした各施策に基づき、医療・福祉分野をはじ
  めとする成長分野、ならびに中小規模事業者等のお取引先の資金需要や各種相談
にきめ細かく対応するなど、リレーションの強化を図ってまいりました。
 高知県の経済環境や高知県産業振興計画の取組み等を踏まえ、          「医療・福祉分野」
「農林水産業・食品加工分野」     「防災・環境関連分野」を成長分野と位置づけてお
り、地域連携ビジネスサポート部には分野別担当者を配置するとともに、高知県
内の各エリアには農業経営アドバイザー等の資格を取得した行員を配置して、本
部と営業店が一体となって成長分野の活性化に貢献する活動に取り組んでおりま
す。この結果、2020 年度上期の「医療・福祉分野」向け融資実績は 190 件 77 億円
となり、2020 年 9 月末の融資残高は前年同期比で 133 件 37 億円増加し、 件 494
                                           867
億円となりました。また、同「農林水産業・食品加工分野」向け融資実績は 278
件 82 億円となり、   2020 年 9 月末の融資残高は前年同期比で 151 件 52 億円増加し、
1,254 件 251 億円となりました。さらに、同「防災・環境関連分野」向け融資実績
は 101 件 74 億円となり、   2020 年 9 月末の融資残高は前年同期比で 58 件 16 億円増
加し、1,121 件 783 億円となりました。
  これらの結果、2020 年 9 月末の中小規模事業者等向け貸出残高は計画を 509 億
円上回り 4,502 億円となりました。また、総資産に対する比率は計画を 0.45 ポイ
ント上回り 36.77%となりました。
  今後も、担保や保証に過度に依存しない融資や、事業性評価を重視した融資の
取り組みを推進するとともに、行員のソリューション提案スキルの向上、関係機
関との連携を一層強化し、          中小規模事業者等向けの円滑な資金供給を行うことで、
地域経済の活性化と生産性の向上に貢献してまいります。
                         24
 〔成長分野に対する貸出金実行実績および残高(表 15)
                           〕                                         (単位:件、百万円)
                                 2020 年度上期 実行                   2020 年 9 月末 残高
  成長分野
                                 件 数            金 額             件 数              金 額
  医療・福祉分野                           190               7,702           867             49,477

  農林水産業・食品加工分野                      278               8,254          1,254            25,152

  防災・環境関連分野                         101               7,455          1,121            78,314

  合計                                569              23,411          3,242           152,943


 〔中小規模事業者等に対する信用供与の計画・進捗状況(表 16)
                               〕                                          (単位:億円、%)
               2018/3                                    2020/9 期
                        2019/9   2020/3                                               2021/3
               期実績
                        期実績      期実績        計画         実績       計画比       始期比         期計画
               (始期)
  中小規模事業者
                3,956    4,128    4,258     3,993       4,502     509          546     4,003
  等向け貸出残高
  始期(2018/3)
                 -         172      302         37        546     509          546        47
  からの増加額

  総資産末残        11,038   10,785   11,125    10,993      12,242   1,249        1,204    11,012

  総資産に対す
                35.84    38.27    38.27     36.32       36.77    0.45         0.93     36.35
  る比率
 *中小規模事業者等向け貸出とは、銀行法施行規則第 19 条の 2 第 1 項第 3 号ハに規定する別表
  第一における中小企業等から個人事業者以外の個人を除いた先に対する貸出で、かつ次の貸
  出を除外しています。
  (政府出資主要法人向け貸出および特殊法人向け貸出、土地開発公社向け貸出等、大企業が保有
   する SPC 向け貸出、当行関連会社向け貸出、その他金融機能強化法の趣旨に反するような貸出)


 (参考)〔中小企業等向け残高、貸出比率(表 17)〕                                               (単位:億円、%)
               2018/3                                     2020/9 期
                        2019/3    2020/3                                              2021/3
               期実績
                        期実績       期実績       計画          実績      計画比       始期比         期計画
               (始期)
  中小企業等向
                5,232    5,347     5,559    5,288       5,782       494        550     5,302
  け貸出残高
  総資産末残        11,038   10,852    11,125   10,993      12,242   1,249        1,204    11,012
  総資産に対す
                47.40    49.27     49.97    48.10       47.23   △0.87        △0.17     48.15
  る比率
 *中小企業等向け貸出とは、銀行法施行規則第 19 条の 2 第 1 項第 3 号ハに規定する別表第一に
  おける中小企業等に対する貸出


3.その他の主として業務を行っている地域における経済の活性化に資する方策の進
  捗状況
 ○経営改善支援取組先企業の数のお取引先企業の総数に占める割合
   経営改善支援等に向けた取り組みについては、営業店と地域連携ビジネスサポ
  ート部が連携して取り組み、2020 年度上期は以下のような成果があがりました。


  ・創業・新事業開拓支援の実績は、成長分野として取り組んでいる太陽光発電関
                                           25
     連事業や医療介護関連事業向けの 12 先をはじめ、製造業や飲食業で 7 先となっ
  たことなどから、全体では計画を 1 先上回る 32 先となりました。
 ・経営相談支援の実績は、   営業サポート情報システムによるビジネスマッチング・
  商談会支援等が 110 先、セミナーの開催等による情報発信が 16 先、経営改善計
  画策定支援等が 11 先などとなりましたが、   本項目には含まれない新型コロナウ
  イルス感染症に係る経営相談や金融支援などに最優先で取り組んだことにより
  全体では計画を 83 先下回る 222 先となりました。
 ・事業再生支援の実績は、経営改善支援取組先等のランクアップが 10 先、経営改
  善支援センター等の活用が 2 先、中小企業再生支援協議会の活用が 3 先となり
  ましたが、全体では計画を 22 先下回る 15 先となりました。
 ・事業承継支援の実績は、公的専門機関等への取り次ぎ案件が 37 先となり、計画
  を 21 先上回りました。
 ・担保や保証に依存しない融資の実績は、シンジケートローン 1 先、ABL手法
  等を活用した実績が 11 先、私募債が 21 先、事業性評価融資が 94 先となるなど、
  全体では計画を 86 先上回る 143 先となりました。

  これらの結果、 取組先数の合計は計画を 3 先上回り 449 先となりました。また、
 取引総数に占める割合も計画を 0.03 ポイント上回り 4.98%となりました。
  当行は、第 1 期経営強化計画を策定以降、上記のような経営改善支援等に積極
 的に取り組んでおり、お取引先を中心とした事業存続による雇用維持のほか、経
 営改善支援による事業拡大や創業による雇用創出、ビジネスマッチング成約先の
 売上高増加等につながっているものと認識しております。引き続き、地域経済の
 活性化につながる様々な活動に積極的に取り組んでまいります。

〔経営改善支援等の取り組み(表 18)
                  〕                                                          (単位:先、%)
         2018/3                                                  2020/9 期
                2018/9 2019/3     2019/9 2020/3                                 2021/3
         期実績
                期実績 期実績           期実績 期実績               計画      実績      計画比 始期比 期計画
         (始期)
創業・新事業       19     39      30       39           42      31      32         1    13     33
経営相談        300     374     353      356          336     305     222    △83     △78     307
事業再生         35     24      18       19           23      37      15     △22     △20     37
事業承継         13     20      15       15           21      16      37        21    24     17
担保・保証        55     157     275      297          299     57      143       86    88     58
合計          422     614     691      726          721     446     449        3    27     452
取引総数      8,916   8,838   8,788    8,771        8,824   9,016   8,998    △18      82   9,036
比率     4.73 6.94 7.86 8.27 8.17 4.95 4.98 0.03 0.25 5.00
*「取引総数」とは、企業および消費者ローン・住宅ローンのみの先を除く個人事業者の融資
 残高のある先で、政府出資主要法人、特殊法人、地方公社、大企業が保有する各種債権また
 は動産・不動産の流動化スキームに係るSPC、および当行の関連会社を含んでおります。



                                           26
(1)創業又は新事業の開拓に対する支援に係る機能の強化のための方策
 ①コンサルティング機能の発揮
  当行では、創業や新事業に関連するセミナーや勉強会を高知県産業振興センタ
 ーやよろず支援拠点、高知県中小企業団体中央会等と連携して継続的に開催して
 おります。2020 年度上期は、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から開催
 が見送られましたが、そのほかにも当行が提供および取次ぎ可能な、販路拡大・
 技術支援など本業支援に関する各種支援メニューの紹介、ならびに認定支援機関
 として関わる「ものづくり補助金」や「創業補助金」など各種補助金、助成金に
 関する情報提供や申請支援、外部の支援機関への取り次ぎなどは、本部と営業店
 が連携して引き続き行っております。
  さらに、創業・新事業に関する課題に対する助言やサポート等を的確に行って
 いくために、Ⅲ.1.(2).①「付加価値提供のプラットフォーム」を活用するととも
 に、外部機関との連携や研修などを通じて常に新しい知見を蓄積し、所管部およ
 び営業店の人材育成を図っていくことで、コンサルティング機能をより一層強化
 してまいります。

 ②高等教育機関との連携を活用した支援
  地域経済の活性化と産業振興への貢献を目的に、高知県内すべての国公立大
 学・高専と連携協力協定を締結しており、高知県内高等教育機関の専門分野を活
 かした支援を実施しております。
  高知工業高等専門学校との連携事例では、2006 年より学校側の保有する研究シ
 ーズを高知県内事業者に紹介し、共同研究や事業化への発展につなげていくこと
 を目的に「高知高専・高知銀行連携シーズ発表会」  を毎年開催しております。2020
 年度は、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ開催中止といたしましたが、
 同ウイルスの感染状況を考慮のうえ、来年度以降の開催を検討してまいります。
  このほか、産学連携の仲介役として、製造方法や新商品開発など事業者の皆さ
 まが必要とする技術と各高等教育機関が保有する技術のマッチングによる共同研
 究機会を創出するため、お取引先に対して高等教育機関との帯同訪問などを実施
 しております。


 ③こうぎん地域協働ファンドなどを活用した支援
  2016 年 4 月に、創業や新規事業展開、ベンチャー企業の育成支援、ならびに中
 長期的に成長が見込め地域経済活性化や産業振興に資する事業者の成長支援を目
 的とした「こうぎん地域協働ファンド」を、株式会社地域経済活性化支援機構の
 子会社であるREVICキャピタル株式会社および当行の連結子会社であるオー
 シャンリース株式会社と総額 3 億円で設立し、2017 年 12 月には当行からの追加
 出資により、総額を 6 億円に増額しました。また、2019 年 7 月には、オーシャン
 リース株式会社がREVICキャピタル株式会社の出資持分を譲り受けるととも
 に、存続期間を 2026 年 3 月 31 日まで延長しました。運営面では、2020 年 9 月時
                       27
 点で同ファンドの運営主体であるオーシャンリース株式会社に、当行よりファン
 ド運営に係る専任者を 3 名派遣し、新たな投資先の選定や投資先の成長支援など
 に取り組んでおります。投資実績につきましては、2020 年度上期 2 件、同期まで
 の累計実績 9 件となりました。
   また、産学連携による地域振興に資する事業の支援を目的として、2014 年 10
 月に取扱いを開始いたしました「こうぎん産学連携ファンド」は、高知県内高等
 教育機関や高知県産学官民連携センター(ココプラ)と連携を図りながら取り組
 んでおり、    2020 年度上期までの累計実績は 10 件 62 百万円となりました。さらに、
 2016 年 1 月に、地域商標・地域産業資源の活用や、高知県が制定した地域アクシ
 ョンプラン認定事業などの支援を目的に取扱いを開始しました「こうぎん地域ブ
 ランド応援融資」の 2020 年度上期実績は、10 件 1 億 53 百万円となりました。
   このほか、前項に記載いたしましたコンサルティング機能の発揮などの取り組
 みの推進により、2020 年度上期における創業・新事業に対する融資実績は、創業
 29 先 10 億 58 百万円、新事業 3 先 3 億 81 百万円となりました。
   これらに加えて、2016 年 4 月よりオーシャンリース株式会社が「FAAVO高
 知」のエリアオーナーとなり、クラウドファンディング事業に取り組んでおりま
 したが、2020 年 8 月に「FAAVO高知」の運営元である株式会社CAMPFI
 REと当行がパートナー契約を締結したことにより、提携型ビジネスマッチング
 業務としてクラウドファンディング事業に取り組んでいます。
  今後も、外部専門機関と緊密に連携し、様々な資金調達手法を活用しながら、
 創業および新事業を含む事業者の成長支援に取り組んでまいります。


(2)経営に関する相談その他のお取引先の企業(個人事業者を含む、以下同じ)に対す
   る支援に係わる機能の強化のための方策
  ①経営改善計画策定支援および外部専門家との連携
    お取引先とのリレーションに基づく深度のある事業性評価によって、課題の解
  決や窮境原因の除去につながる具体的な解決方法を検討するなど、実態に即した
  実現可能性の高い経営改善計画の策定支援に取り組んでおります。また、予測不
 能な環境変化への対応など、経営改善計画に修正が必要となった場合には、修正
 計画の策定支援も行っております。さらに、計画策定支援に際してお取引先の同
 意が得られる場合は、中小企業再生支援協議会、経営改善支援センター等の外部
 専門機関、   税理士、中小企業診断士等とも連携を図りながら取り組んでおります。
   2020 年度上期は、経営改善支援取組先のうち要計画策定先 5 先、要計画修正先
 3 先のお取引先に対して計画の策定に取り組み、新規計画の策定支援は 2 先、修
 正計画の策定支援は 1 先の合計 3 先の計画策定支援を実施しました。このうち、
 中小企業再生支援協議会との連携による計画策定支援は 1 先となりました。
   加えて、経営改善計画を未策定、未修正のお取引先についても、策定等に向け
 た支援に継続して取り組んでおります。さらに、株式会社地域経済活性化支援機
 構から「特定専門家派遣」契約に基づいて専門家の派遣を受けることで、経営改
                       28
善や事業再生支援活動の実効性向上を図っており、特定専門家派遣による支援・
助言の実績は、累計で 7 回(4 先)となっております。
 また、当行が設立段階から深く関わり、2018 年 3 月に高知県内士業専門家等で
設立された「一般社団法人ビジネスサポートこうち」 2018 年 4 月に
                            と       「業務連携・
協力に関する覚書」を締結しております。同法人との連携活動としてセミナーや
相談会等を開催しており、2020 年度上期には相談会へ 9 先の事業者をご案内いた
しました。さらに、事業承継を含む経営改善支援活動として、中小企業再生支援
協議会への再生支援に関する申込みなどのサポートも行っております。


②ビジネスマッチング機能の強化
  第二地方銀行協会加盟行が主催する「地方創生『食の魅力』発見商談会」や、
高知県、高知県地産外商公社、四国銀行、JAバンク高知、農林中央金庫などと
の共催による商談会への出展支援を行っております。なお、2020 年度の「地方創
生『食の魅力』発見商談会」は非対面式のWeb商談会へと形式を変更して 8 月
から 10 月までの間開催され、お取引先 28 先の出展支援を行いました。さらに、
新型コロナウイルス感染症の影響を勘案して中止としておりました、商工組合中
央金庫との共催による「高知まるごと商談会」をWeb形式に変更して 2020 年
11 月に開催し、お取引先 15 先の出展支援を行いました。
  今後も高知県の主要産業である一次産業に着目し、高知県産業振興計画の戦略
の柱である「地産外商」の推進につながる取り組みとして、食の商談会等による
販路開拓などの支援活動を継続してまいります。
 また、取引先より収集した事業ニーズの行内マッチングサイトとして機能する
「営業サポート情報」の効果的な活用により、2020 年度上期には、103 先 120 件
のビジネスマッチングを成約しており、引き続きソリューション提案ツールの一
つとして活用してまいります。


③情報提供機能の活用
 経営改善支援活動をサポートするツールとして、財務診断分析資料をお取引先
に提供しており、財務分析の側面から導出される課題や解決策の共有を図るなど、
本部と営業店が連携して情報提供に取り組んでおります。2020 年度上期において
財務診断分析資料を提供したお取引先は 30 先となりました。
 また、前述の「一般社団法人ビジネスサポートこうち」などと連携して、事業
承継や各種制度対応などに関するセミナーを実施しているほか、同法人を構成し
ている税理士や弁護士等との連携による個別相談会を本店で毎月開催しておりま
す。
 今後も、本部と営業店が連携してお取引先に対して的確なコンサルティングや
ソリューション、ならびに有益な情報提供に努めてまいります。



                    29
〔財務診断分析資料配布先数(表 19)〕                                            (単位:先)
                                                                 2020 年度
                  2017 年度        2018 年度          2019 年度
                                                                   上期
 財務診断分析資料配布先数              83               97             86             30


(3)早期の事業再生に資する方策
  ①ランクアップへの取り組み
   経営改善支援取組先は、債務者区分が要注意先以下の債務者とし、毎年 3 月末
  日および 9 月末日を基準日として取組先の見直しを実施しております。
   2020 年度上期は、経営改善支援取組先として 132 先を選定し、営業店との帯同
 訪問や、
    「軒先顧客管理システム」を活用したモニタリング指導を行うなど、本部
 と営業店が一体となって以下の支援方法に基づいた経営改善支援活動に取り組ん
 だことから、5 先において債務者区分がランクアップしました。

〔ランクアップの実績(表 20)
               〕                                     (単位:先、%)
                                                                2020 年度
                2017 年度     2018 年度              2019 年度
                                                                  上期
 ランクアップ先数             12               12              11             5

 経営改善支援取組先数          154              141             133           132

 ランクアップ率             7.8              8.5             8.2           3.7


〔経営改善計画策定先数(表 21)〕                                          (単位:先)
                                                                2020 年度
                2017 年度         2018 年度          2019 年度
                                                                  上期
 経営改善支援取組先のうち
                      14               33             35              8
 経営改善計画策定支援先
 経営改善計画策定完了先数          8               25             25              3

 経営改善計画策定未了先数          6                8             10              5


 ②中小企業再生支援協議会等との連携強化
  経営改善支援の取り組みについては、実現可能性の高い抜本的な経営改善計画
 の策定支援、  ならびに計画の完遂に向けた活動の支援に積極的に取り組んでおり、
 その計画策定にあたっては外部機関と連携して多角的な検討を行うことで、経営
 改善の実現可能性の向上に努めております。
  当行のお取引先は中小企業が主体であることから、特に中小企業再生支援協議
 会との連携強化を図るとともに、事業再生支援能力向上のために中小企業基盤整
 備機構等が主催する事業再生に関するセミナーへ行員を参加させるなど、支援機
 能の強化に努めております。なお、2020 年度上期の中小企業再生支援協議会への
 持込は 3 件となりました。
  引き続き、中小企業再生支援協議会と連携のうえ、お取引先の経営改善支援の

                                 30
 強化に努めてまいります。

〔中小企業再生支援協議会持込先数(表 22)
                     〕                        (単位:先)
                                               2020 年度
               2017 年度   2018 年度    2019 年度
                                                 上期
 中小企業再生支援協議会
                     5         13        12          3
 持込先数


(4)事業の承継に対する支援に係る機能の強化のための方策
   高知県の経営者平均年齢は 60 歳を超え、全国平均との乖離もますます広がって
 おり、経営者の交代(事業承継)が進んでいない状況にあると考えられます。
 こうした状況下、当行では「高知県事業引継ぎ支援センター」や「高知県事業承
継ネットワーク事務局」    等公的支援機関との連携による事業承継支援に取り組んで
います。また、前述の「一般社団法人ビジネスサポートこうち」との連携事業とし
て、2018 年 5 月より法務・税務に対応した事業承継支援などを目的とした個別相
談会を開催し、    お取引先等の事業承継に関する課題に対する具体的な処方箋を提供
しています。2020 年度上期は、同法人との共催による個別相談会 5 件をはじめ、
合計 37 件の事業承継支援を実施いたしました。
 事業承継における事業者の課題は、法務・税務等多岐にわたることから、今後も
外部専門機関と緊密に連携し、課題解決に向けたサポートに努めてまいります。


(5)金融の円滑化を図るための取り組み
  ①金融円滑化体制の整備状況
   2009 年 12 月の中小企業金融円滑化法の施行を受けて、2010 年 1 月に「金融円
  滑化基本方針」を制定、公表するとともに、    「金融円滑化管理規程」を制定し、金
  融円滑化に係る管理態勢を整備しております。
   また、2013 年 12 月に公表された「経営者保証に関するガイドライン」の趣旨
  を踏まえた態勢を整備して、金融の円滑化を図っております。


 ②金融円滑化措置の状況
  中小企業金融円滑化法の趣旨に鑑み、中小規模事業者等のお取引先や住宅資金
 借入をご利用中のお取引先等から、貸付条件変更等のお申込みがあった場合には、
 当該お取引先の実態を把握して、そのライフステージや事業の持続可能性を見極
 めて真摯な対応を行っております。同法は 2013 年 3 月 31 日に終了しましたが、
 同法終了後もこれまでと取組方針が変わらないことを全役職員に周知徹底してお
 ります。
  また、新型コロナウイルスの感染拡大により影響を受けたお取引先に対しても
 同法の趣旨に鑑み、より一層のコンサルティング機能を発揮し、迅速、適切かつ
 柔軟な対応に引き続き積極的に取り組んでまいります。

                          31
(6)地域貢献への取り組み
 ①地方公共団体との連携による地域経済活性化支援
  2012 年 1 月に高知県と当行は、「業務連携・協力に関する包括協定」を締結し
 て様々な連携活動を行っており、    「高知県産業振興計画」における地域アクション
 プランにも積極的に関与しております。2020 年度に設定された地域アクションプ
 ランにおける事業は県内 7 地域に合計 217 事業あり、各事業を後押しするため、
 地域連携ビジネスサポート部の担当者と各エリア統括店の営業店長(地域連携ビ
 ジネスサポート部兼務)がエリア単位で連携し、高知県が各地域に配置している
 地域産業振興監等との意見交換会を開催するなど、関係者との情報共有やリレー
 ション強化を図っております。
   高知県下の地方公共団体との連携については、高知県内の 10 市町と「地域再
 生・活性化支援に関する連携・協力協定」を締結しております。協定を締結した
 10 市町とはそれぞれ協議会を開催するなど、各地域の地方創生に向けた様々な取
 り組みを支援しております。
   また、地方創生に向けた取り組みをより一層強化していくため、 2015 年 2 月「地
 方創生サポートデスク」を設置し、地方公共団体の地方版総合戦略の推進につい
 て、 本部と営業店が連携 協力して当行が持つ情報やノウハウ等を提供するなど、
              ・
 地域経済活性化のサポートに向けた取り組みを行っております。さらに、高知市
 をはじめとした 14 市町村から地方版総合戦略推進委員を委嘱され、 活動しており
 ます。


 ②高知工業高等専門学校との共催による「こども金融・科学教室」の開催
  地域のこどもたちへの金融知識の普及と併せ、科学に親しみながら学ぶことを
 目的とした「こども金融・科学教室」を、2008 年より高知工業高等専門学校と共
 同で開催しております。2020 年度は、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ
 開催中止といたしましたが、同ウイルスの感染状況を考慮のうえ、開催を検討し
 てまいります。引き続き、学校では体験できない授業を保護者と一緒に学びなが
 ら親しんでもらえるよう工夫し、地域の未来を築くこどもたちの健全な育成と金
 融リテラシーの向上に向けて取り組んでまいります。


 ③高知大学との連携による「こどもサッカー教室」の開催
  地域のこどもたちを対象に、競技の普及やジュニアの育成を通じて地域のスポ
 ーツ振興に貢献していくことを目的とした「こどもサッカー教室」を、2010 年よ
 り高知大学と共同で開催しております。2020 年度は、新型コロナウイルス感染症
 の影響を踏まえ開催中止といたしましたが、 同ウイルスの感染状況を考慮のうえ、
 開催を検討してまいります。引き続き、高知県のスポーツ振興に貢献することを
 目的に取り組んでまいります。



                     32
Ⅵ.剰余金の処分の方針
1.配当に対する方針
  2020 年 3 月期は、普通株式は 1 株当たり中間配当 10 円、期末配当 15 円、優先株
 式は発行要項の定めに従い 1 株当たり中間配当 9 円 88 銭、  期末配当 14 円 83 銭の配
 当を行いました。
  2020 年 9 月期の利益剰余金は 250 億円となり、今後、計画達成に向けてさらに積
 上げを図るべく取り組んでまいります。

〔当期純利益、利益剰余金の推移・計画(表 23)〕                                              (単位:億円)
             2010/3   2011/3   2012/3    2013/3    2014/3   2015/3   2016/3   2017/3
             期実績      期実績      期実績       期実績       期実績      期実績      期実績      期実績
 当期純利益           13       21       30        19        30       38       29       21
 利益剰余金           53       73       97        112      137      171      196      212
  利益準備金           1        2        3         4         5        6        7        8
  その他利益剰余金       51       71       94        108      132      164      189      204
             2018/3   2019/3   2020/3    2020/9    2021/3   2022/3   2023/3   2024/3
             期実績      期実績      期実績       期実績       期計画      期計画      期計画      期計画
 当期純利益           16        9       12        11        16       15       15       15
 利益剰余金          224      230      239        250      257      267      277      287
  利益準備金           8        9       1