8416 高知銀行 2020-09-30 16:30:00
2020年3月期における「経営強化計画」の履行状況について [pdf]

                                             2020 年 9 月 30 日
各 位
                              会社名    株 式 会 社   高 知 銀 行
                              代表者名   取締役頭取     森下      勝彦
                                (コード番号:8416    東証第一部)
                              問合せ先 経営統括部長      寺 川 智 文
                                      (電話番号 088-822-9311)


         2020 年 3 月期における「経営強化計画」の履行状況について


 当行は、
    「金融機能の強化のための特別措置に関する法律」に基づき、2020 年 3 月期における経営強化計
画の履行状況報告書をとりまとめましたのでお知らせいたします。
 資料につきましては、別紙「経営強化計画の履行状況報告書」をご覧ください。
                                                      以 上
別紙




     経営強化計画の履行状況報告書




          2020 年 6 月
                     目 次

Ⅰ.2020 年 3 月期決算の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
 1.経営環境 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
 2.決算の概要(2020 年 3 月期:単体) ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
Ⅱ.経営の改善に係る数値目標の実績 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
 1.コア業務純益 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
 2.業務粗利益経費率 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
Ⅲ.経営の改善の目標を達成するための方策の進捗状況 ・・・・・・・・・・ 5
 1.営業戦略・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・ 5
  (1)BPR効果の最大化と営業基盤の強化・・・・・・・・・・・・・・・ 5
  (2)事業性評価に基づく融資の増強・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
  (3)個人取引の強化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
  (4)顧客接点の拡大と店舗間連携の強化・・・・・・・・・・・・・・・・11
  (5)有価証券運用の強化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
  (6)適切な経営資源の配賦・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
 2.経営基盤戦略 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
  (1)人材力の最大発揮・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
  (2)経営基盤の強化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
Ⅳ.従前の経営体制の見直しその他の責任ある経営体制の確立に関する
  事項の進捗状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
 1.業務執行に対する監査又は監督の体制の強化のための方策 ・・・・・・16
 2.リスク管理の態勢の強化のための方策 ・・・・・・・・・・・・・・・17
 3.法令遵守の態勢の強化のための方策 ・・・・・・・・・・・・・・・・19
 4.経営に対する評価の客観性の確保のための方策 ・・・・・・・・・・・20
 5.情報開示の充実のための方策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
Ⅴ.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化その他の主として業務を
  行っている地域における経済の活性化に資する方策の進捗状況 ・・・・・21
 1.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化その他の主として
    業務を行っている地域における経済の活性化に資するための方針 ・・・21
 2.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化のための方策の
    進捗状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
 3.その他の主として業務を行っている地域における経済の活性化に
    資する方策の進捗状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25
Ⅵ.剰余金の処分の方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33
 1.配当に対する方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33
 2.役員に対する報酬および賞与についての方針 ・・・・・・・・・・・・33
Ⅶ.財務内容の健全性および業務の健全かつ適切な運営の確保のための
  方策の進捗状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
 1.経営強化計画の運営管理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
 2.内部監査態勢の強化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
 3.各種のリスク管理の状況および今後の方針等 ・・・・・・・・・・・・35
Ⅰ.2020 年 3 月期決算の概要
1.経営環境
  2020 年 3 月期におけるわが国の経済は、設備投資は緩やかな増加傾向にあり、雇
 用・所得環境の改善を背景に個人消費は持ち直すなど、全体としても緩やかな回復
 傾向にあったものの、足下では新型コロナウイルス感染症の拡大により、個人消費
 は弱い動きとなっているほか、生産や輸出、企業収益は大幅に下押しされる状況と
 なりました。
  当行の主要営業基盤である高知県の経済は、公共投資は増加しており、雇用・所
 得環境の改善も継続し、全体では緩やかに回復していましたが、年度末にかけて新
 型コロナウイルス感染症の影響から、弱めの動きとなりました。


2.決算の概要(2020 年 3 月期:単体)
 (1)資産・負債の状況
    2020 年 3 月期末の貸出金残高は、地域に密着した営業活動を展開し、中小規模
  事業者等を中心とした事業資金の需要にも積極的にお応えいたしました結果、          2019
  年 3 月期比 162 億円増加して 7,146 億円となりました。なお、貸出金残高は、部分
  直接償却 25 億円を控除後の金額です。預金等残高は、2019 年 3 月期比 246 億円増
  加して 9,753 億円となりました。
    純資産は、    利益剰余金が増加しましたが、    有価証券評価差額金が減少したことな
 どから、2019 年 3 月期比 39 億円減少して 647 億円となりました。

 〔「資産・負債の状況(単体ベース)(表 1)
                  」   〕                                        (単位:億円)
                             2020/3 期              2019/3 期     2019/9 期
                実績           2019/3 期比 2019/9 期比     実績           実績
  資産             11,125            273      340       10,852       10,785
    うち貸出金            7,146         162      137        6,984        7,009
    うち有価証券           2,997        △45       △62        3,042        3,060
  負債             10,477            313      398       10,164       10,078
    うち預金等            9,753         246      302        9,507        9,451
    うち借用金             609              54   139          555          470
  純資産                 647         △39       △58          687          706


 (2)損益の状況
    損益の前年同期比の状況は、以下のとおりとなりました。
    業務粗利益は、資金利益が 50 百万円、役務取引等利益が 2 億 60 百万円それぞれ
  増加したものの、その他業務純益が 4 億 1 百万円減少して 137 億 32 百万円となり
  ました。
    経費は、人件費が 1 億 13 百万円、物件費が 1 億 64 百万円それぞれ減少したこと
 などから 2 億 91 百万円減少して 114 億 52 百万円となりました。
                                   1
 以上により、業務純益(一般貸倒引当金繰入前)は 2 億円増加して 22 億 80 百万
円となりました。また、国債等債券関係損益を除いたコア業務純益は 7 億 14 百万
円増加して 22 億 35 百万円となりました。
  臨時損益は、 お取引先の経営改善支援などにより不良債権処理額が減少したこと
などから、4 億 51 百万円増加して 2 億 41 百万円の利益となりました。
  これらの結果、経常利益は 6 億 5 百万円増加して 23 億 24 百万円となり、減損処
理による特別損益や法人税等を計上後の当期純利益は 3 億 58 百万円増加して 12 億
58 百万円となりました。
  なお、実質与信費用は、上記の理由から不良債権処理費が 8 億 35 百万円減少し
たことなどから、7 億 81 百万円減少して 2 億 18 百万円となりました。


〔 損益の状況(単体ベース)(表 2)
 「            」    〕               (単位:百万円) (※ 参 考)
                      2020/3 期             2019/3 期   2019/9 期
                       実績      2019/3 期比     実績         実績
 業務粗利益                 13,732      △92       13,824       7,176
      資金利益             13,558        50      13,508       6,814
      役務取引等利益             399       260         139        109
      その他業務利益           △225      △401          176        252
      (うち国債等債券関係損益)        45     △513          558        385
 経費                    11,452     △291       11,743       5,705
      うち人件費             6,166     △113        6,279       3,094
      うち物件費             4,510     △164        4,674       2,211
業務純益(一般貸倒引当金繰入前)        2,280       200       2,080       1,471
 一般貸倒引当金繰入額               198        48         150        174
 業務純益                   2,082       152       1,930       1,297
 コア業務純益                 2,235       714       1,521       1,086
 コア業務純益(除く投資信託解約損益)     2,008       506       1,502        948
 臨時損益                     241       451       △210         428
      うち償却債権取立益            58       △5           63          30
      うち不良債権処理額           78      △835          913       △107
      うち株式等関係損益           148     △364          512        269
 経常利益                   2,324       605       1,719       1,725
 特別損益                   △157         88       △245        △17
 税引前当期純利益               2,166       692       1,474       1,707
 法人税、住民税及び事業税             731        29         702        443
 法人税等調整額                  176       304       △128           74
 当期純利益                  1,258       358         900       1,190
 実質与信費用                   218     △781          999          36




                          2
(3)自己資本比率の状況
  自己資本比率(国内基準)は、2019 年 3 月期比 0.35 ポイント低下して 9.25%と
 なりました。


(4)不良債権の状況
   本部と営業店が一体となり、お取引先の経営改善支援を通じたランクアップと、
 ランクダウンの防止に取り組んだことなどから、金融再生法開示債権額は、2019
 年 3 月期比 10 億円減少して 283 億円となり、金融再生法開示債権比率は、2019 年
 3 月期比 0.25 ポイント低下して 3.86%となりました。

〔「金融再生法開示債権の状況(単体ベース) (表 3)〕
                     」                                   (単位 億円、
                                                            :   %)
                                    2020/3 期        2019/3 期   2019/9 期
                      実績        2019/3 期比 2019/9 期比   実績         実績
 破産更生債権及びこれらに準ずる債権         50            △1      △2       51         52
 危険債権                   220              △7      △3      227        223
 要管理債権                     12            △1        1      14         11
 合計(A)                  283             △10      △4      293        287
 正常債権                 7,042              209     171   6,833      6,871
 総与信(B)               7,325              199     167   7,126      7,158
 金融再生法開示債権比率(A)/(B)    3.86           △0.25    △0.15    4.11       4.01


Ⅱ.経営の改善に係る数値目標の実績
1.コア業務純益
   地域に密着した営業活動を展開し、成長分野に向けた融資の推進など、中小規模
 事業者等を中心とした事業資金の需要等に積極的にお応えした結果、貸出金平残は
 計画を 125 億 83 百万円(前年同期比 156 億 91 百万円増加)上回りました。一方、
 市場金利の低下に加えて金融機関同士の競争激化により、貸出金利回りが計画を
 0.108 ポイント(前年同期比 0.072 ポイント低下)下回ったことから、貸出金利息
 収入は計画を 5 億 55 百万円(前年同期比 2 億 62 百万円減少)下回りました。
   預金平残(譲渡性預金含む)は計画を 223 億 15 百万円(前年同期比 132 億 6 百
 万円増加) 上回ったものの、 預金利回りが計画を 0.013 ポイント(前年同期比 0.007
 ポイント低下)下回ったことから、預金利息は計画を 1 億 11 百万円(前年同期比
 61 百万円減少) 下回りました。これらの結果、資金利益は計画を 4 億 45 百万円 (前
 年同期比 50 百万円増加)下回りました。
   お客さま本位の業務運営に関する取組方針のもと、投資信託・生命保険など金融
 商品の積極的な販売に取り組みましたが、役務取引等利益は計画を 64 百万円(前
 年同期比 2 億 60 百万円増加)下回りました。また、経費は、人員の新陳代謝等に
 より人件費が計画を 3 億 71 百万円(前年同期比 1 億 13 百万円減少)、設備投資の
 時期の変更などから、物件費が計画を 2 億 94 百万円(前年同期比 1 億 64 百万円減

                                3
 少)、税金が計画を 1 億 40 百万円(前年同期比 14 百万円減少)、それぞれ下回った
 ことから、計画を 8 億 5 百万円(前年同期比 2 億 91 百万円減少)下回りました。
 これらの結果、コア業務純益は計画を 2 億 95 百万円(前年同期比 7 億 14 百万円増
 加)上回りました。

〔コア業務純益の改善額(表 4)
               〕                                                        (単位:百万円)
            計画       2019/3    2019/9                  2020/3 期                 2021/3
            始期        実績        実績          計画       実績       計画比       始期比     期計画

  コア業務純益     2,418     1,521    1,086        1,940    2,235       295    △183    2,423

*コア業務純益(業務純益+一般貸倒引当金繰入額-国債等債券関係損益)


2.業務粗利益経費率
  成長分野に向けた融資の推進等に努めた結果、貸出金平残は計画を上回りました
 が、市場金利の低下に加え金融機関同士の競争激化により貸出金利回りが計画を下
 回ったことなどから、  資金利益は計画を 4 億 45 百万円(前年同期比 50 百万円増加)
 下回りました。また、投資信託・生命保険などの金融商品の積極的な提案活動によ
 り販売強化に取り組みましたが、役務取引等利益は計画を 64 百万円(前年同期比 2
 億 60 百万円増加)下回り、その他業務利益は計画を 5 億 55 百万円(前年同期比 4
 億 1 百万円減少)下回ったことから、業務粗利益は計画を 10 億 65 百万円(前年同
 期比 92 百万円減少)下回りました。また、人員の新陳代謝等により人件費が計画
 を 3 億 71 百万円(前年同期比 1 億 13 百万円減少)、経費削減運動の継続実施など
 から機械化関連費用を除く物件費が計画を 90 百万円      (前年同期比 26 百万円減少)、
 税金が計画を 1 億 40 百万円(前年同期比 14 百万円減少)  、いずれも下回り、機械
 化関連費用を除く経費は計画を 6 億 1 百万円(前年同期比 1 億 53 百万円減少)下
 回りました。
  これらの結果、業務粗利益経費率は 72.53%となり、始期を 0.47 ポイント下回っ
 たものの、計画を 1.16 ポイント上回りました。

〔業務粗利益経費率の改善幅(表 5)〕                                                 (単位:百万円、%)
            計画       2019/3    2019/9                 2020/3期                   2021/3
            始期        実績        実績          計画       実績    計画比          始期比     期計画
 経費(機械化関連
            10,336   10,114     4,984       10,562    9,961    △601     △375    10,522
 費用除く)
 業務粗利益      14,158   13,824     7,176       14,798   13,732   △1,065    △426    15,024
 業務粗利益
             73.00    73.16     69.44        71.37    72.53     1.16    △0.47    70.03
 経費率
*業務粗利益経費率((経費-機械化関連費用)/業務粗利益)
*機械化関連費用は、基幹系システム・事務用機器等の減価償却費、機械賃借料、機械保守費等
 を計上しています。




                                        4
Ⅲ.経営の改善の目標を達成するための方策の進捗状況
1.営業戦略
 (1)BPR効果の最大化と営業基盤の強化
   ①営業人員の増強
    お客さまのニーズを把握して最適なソリューションを提案するためには、
   “face to face”でお客さまと向き合う活動の増強が必要となるため、本計画で
   は、業務改革(Business Process Reengineering、以下「BPR」)に取り組んで
   おります。BPRにより事務負担を軽減させるとともに、生み出される時間と力
   を営業活動の質と量の向上に充当することや、営業活動に携わる人員構成比率を
   向上させ、トップライン収益の増強につなげていきたいと考えております。
    具体的な施策として、2018 年 9 月から新体制の試行を開始し、2019 年 7 月か
  ら一部の店舗で店舗機能特化に向けた「渉外の拠点集約」を開始しました。さら
  に、2019 年 10 月には事務量に合わせた営業店窓口数の適正化により、日次の事
  務量に応じて窓口係と渉外係を機動的に担うマネーアドバイザーへの配置転換、
  および窓口係から渉外係への配置転換を実施しており、       営業人員は 2019 年 4 月比
  37 名増員することができました。
    さらに、 2020 年 4 月からは営業店において、これまでの窓口係(預金係) 「お を
  客さまサービス課」     、渉外係と貸付係を「営業課」とする「営業店二課制」を導入
  しました。営業人員の増強とともに、内務担当者がお客さまと向き合う時間を増
  やすことで、これまで以上にきめ細かいサービスの提供につなげられるよう「営
  業店二課制」の整備を進めてまいります。


  ②業務効率化の推進
   業務効率化においては、個別業務の効率化策を評価し、銀行全体の生産性を向
  上する「リスクベース・アプローチ」の観点で、効率化と許容できるリスクのバ
  ランスをとることが重要であると考えております。
   この考え方に基づき、組織横断的なBPRをマネジメントする専任者を、2017
  年 9 月に本部に配置し、BPR推進委員会などで各部署と連携して個別業務の詳
  細なプロセスならびに期待される改善効果などの検討を重ね、2018 年 6 月には、
  50 項目超のBPR施策を立案し、   対象施策の事務量を 30%削減させる目標を設定
  しました。2020 年 3 月末までに 49 施策の見直しを実施し、BPR対象の事務量
  は約 28%削減しており、計画を前倒しで進めております。
    例えば、来店客数やお客さまのお手続き内容に応じて効率的な対応が行えるよ
  う行内ルールを見直すことで、手続きにかかる時間の短縮化に取り組んでおりま
  す。また、ローン仮審査申込書のワンライティング化によるお客さまの手続き負
  担の軽減や、文書の一時保管ルールの変更に伴う文書破棄事務の省力化などの施
  策を実施いたしました。
    さらに、これらと並行して、内務担当者の事務量の削減を目的とした営業店事
  務の本部集中化も推進しており、2018 年 2 月に運用を開始した相続事務の本部集
                           5
 中化については、一定の準備期間を経て、2019 年 10 月に集中化する業務を拡大
 しました。このほか、債権証書保管の本部集中化などに向けた準備も進めており
 ます。
  引き続き、BPRを推進して銀行全体の生産性を向上させ、お客さまと向き合
 う営業時間の拡充につなげてまいります。


 ③IT化促進とFinTech活用の基盤拡充
  本計画においては、業務の効率化や効果的な営業活動の実践などを目的として
 顧客情報管理の高度化を進めるとともに、お客さまの利便性向上を図るために非
 対面チャネルを拡充するなど、IT化を推進しております。
  また、行内の業務についてもシステムを活用して様々なプロセスを抜本的に効
 率化することが必要であると考えており、関係者が組織横断的に連携し関係情報
 を収集するとともに、検討を進めております。
  お客さまの利便性向上を図るために、2019 年 3 月にリリースいたしましたスマ
 ートフォンアプリには、口座開設や住所変更の申込みのほか、口座の入出金明細
 の照会などの機能があり、今後もアプリの機能拡充など、非対面チャネルの強化
 に注力してまいります。
  個人ローンにおいては、お客さまの多様なニーズにお応えするため、お申込か
 らお借入までをWeb完結できる商品の取扱いを 2020 年 3 月から開始し、対応ロ
 ーン商品を順次追加導入しております。今後は商品性を活かせるよう、ホームペ
 ージを使いやすくするための改修など、お客さま目線に立った接点の強化にも取
 り組んでまいります。
  このほか、2019 年 10 月から開始されましたキャッシュレス消費者還元事業の
 取り組みについても、J-CoinPayやJ-Debitを活用したキャッシ
 ュレスサービスにより引き続き注力してまいります。
  お客さまのさらなる利便性向上を目指し、オープンAPIの活用を検討してお
 り、今後は、更新系APIを活用した資金移動をはじめとする、新たな金融サー
 ビスの提供に向けて情報収集ならびに導入の検討を進めてまいります。


(2)事業性評価に基づく融資の増強
  ①付加価値提供のプラットフォーム構築
   お取引先との事業に関する対話を通じて課題等を共有し、その解決に向けた最
  適なソリューションを提供するとともに、本サポート活動の実効性を向上するこ
  とを目的に、付加価値提供のプラットフォームを構築しております。
   プラットフォームでは、事業性評価に関する一連の活動や収集した情報、およ
  び課題解決のためのノウハウなどを本部と営業店が共有し、営業店と本部内の各
  セクションが切れ目なく連携することを目指しており、2018 年度下期には、取引
  先の創業期から再生期までのライフステージ別に当行がご提案できるソリューシ
 ョンと、本部のサポート態勢の「見える化」を図りました。事業性対話の件数は
                    6
 期を追うごとに増加してきており、ソリューション提供ツールの一つとして活用
 されています。
  このほか、様々なお取引先の課題に的確にお応えすることを目的に、新たなソ
 リューションを適宜追加しており、2019 年度下期には、不動産紹介ニーズや工業
 系商品開発の試作受注ニーズ等に関する紹介業務の取扱い開始、および自行での
 M&A業務の態勢を整備いたしました。
  お取引先の事業性を理解したうえで、このプラットフォームを活用して、生産
 性の向上に貢献するソリューションを提供するなど、課題解決に向けてご支援す
 ることは、当行とお取引いただくうえでの付加価値につながるものと考えており
 ます。この考え方のもと、事業性評価を重視した融資などの最適なソリューショ
 ン提供を推進し、地域経済の活性化に貢献していくとともに、こうした活動によ
 って創造される経済循環を当行の収益機会につなげてまいります。


 ②顧客セグメンテーション別戦略の構築
  本計画では、当行をメインとしてご利用していただけるお取引先の維持と増加
 を目的に、お取引先ごとの取引密度など当行独自の多面的な分析によるセグメン
 テーションを行ったうえで、セグメントごとにニーズを想定して営業戦略を策
 定・推進してまいります。
  2019 年度下期は上期に引き続き、事業者の抱える課題やニーズを収集したうえ
 で、これらに基づく戦略を立案してソリューション活動を展開し、さらに個別の
 お取引先の事業性評価を照らし合わせることなどによって、最適なソリューショ
 ン提供を念頭に活動してまいりました。
  2020 年度上期はソリューションメニュー提供による効果(売上増加等によるお
 取先側のメリットや当行の役務収益への貢献)を検証し、より最適なソリューシ
 ョンメニュー提供、的確なターゲットの選定等に役立ててまいります。
  また、前項に記載いたしました「付加価値提供のプラットフォーム構築」と関
 連付け、セグメントごとの戦略に沿って、プラットフォームを活用し、個社に対
 する施策を推進することによって、当行とお取引いただく付加価値の一層の向上
 を図ってまいります。

〔新規事業先成約推移(表 6)〕                                    (単位:先、億円)
        2017 年度   2017 年度   2018 年度   2018 年度    2019 年度   2019 年度
         上期        下期        上期        下期         上期        下期
 成約件数       466       468       388       377        408       434
 成約金額       133       167       120         99       119       127




                                  7
 ③独自ベンチマークと業績評価基準の設定
  お取引先との事業に関する対話に基づく情報収集から事業性の理解を深め、経
 営課題を共有して実効性の高いソリューションを提供する態勢を確立するために
 は、課題解決型のソリューション営業に対する行員の意識醸成が重要であると認
 識しております。そうした意識の醸成過程においては、営業店や行員の課題解決
 に向けた有効な活動プロセスを業績評価に適切に反映し、評価制度の充実を図る
 必要があると考えております。
  2018 年度下期には、お取引先の課題解決に至るまでの活動情報と、当該お取引
 先の経営指標や当行との取引密度の変化などについて、時系列でモニタリングす
 る態勢を構築いたしました。また、本モニタリング項目から行内の独自ベンチマ
 ークとして、お取引先との事業性評価に関する対話や事務手続きなど、ソリュー
 ション提供のプロセスに関する目標、ならびに当行が課題を共有したお取引先へ
 のソリューション提供の効果を検証する指標として、お取引先の経営指標の改善
 率等の目標を設定いたしました。
  また、一連のソリューション提供活動の実効性を向上させるため、本部の分野
 別担当者等から営業店に対してアドバイスやフォローを実施する態勢の整備や、
 営業店のソリューションリーダーや若手渉外行員を主な対象とした研修等の実施
 による人材育成にも取り組んでおります。さらに、2020 年度上期から 2020 年度
 下期にかけての営業店の表彰規程においては、より多くのお取引先との対話につ
 ながっていくよう評価基準の見直しを行うとともに、新型コロナウイルス感染症
 に係る支援や取り組みを評価する特別項目も追加しております。
  今後も、独自ベンチマークのモニタリング結果をもとにした施策のブラッシュ
 アップを行うとともに、人事評価などの見直しの検討をさらに進めてまいります。


(3)個人取引の強化
   本計画では、個人のお客さまをライフステージなどによりグループ化して、提供
 するサービスや商品を「見える化」するなど、Ⅲ.1.(2).②「顧客セグメンテーシ
 ョン別戦略の構築」 に記載いたしました事業先に対するセグメンテーション別戦略
と連携させながら、    プラットフォームを構築してお客さまごとのニーズに応じた営
業活動を展開してまいります。
 2019 年 4 月より、お客さまのライフステージに応じた幅広いニーズに切れ目な
く対応するために、    ローン業務部門と投資信託や生命保険等を扱う金融商品部門を
統合してパーソナルサポート部を設置いたしました。また、2019 年 10 月よりお客
さま本位の営業を担うマネーアドバイザーを一部店舗に配置し、      お客さまのライフ
ステージに応じて、    資産運用からローンまで最適な商品を提供するなど、より一層
の取引の拡大とさらなるCS向上に努めております。
 2019 年 7 月より、【90 周年記念】新時代もあなたと!ビビッド資産形成キャン
              「
ペーン」   をスタートし、  本部と営業店が一体となって資産形成層を中心に積立投資
信託、iDeCo(個人型確定拠出年金)のご提案を行うとともに、法人お取引先
                    8
の従業員さま向けに、セカンドライフの資産形成のポイントやiDeCoについて
の商品説明会を実施いたしました。その結果 2019 年度下期の積立投資信託の獲得
件数は前年同期を 143 件上回る 426 件、iDeCo獲得件数は 256 件で前年同期に
対して 19 件下回りましたが、累計契約件数は順調に増加してきております。
 引き続き、  ライフステージなどによるセグメンテーション別戦略を進め、給与振
込や年金振込などの指定口座獲得を軸とした家計取引のメイン化の推進、         ライフス
テージに応じたサービスや商品の提供に取り組むなど、      お客さまの様々なニーズに
お応えしてまいります。


 ①住宅ローンの強化
  住宅ローンの取り組みについては、人口減少や金融機関同士の競争が激しくな
 るなどの厳しい環境が続いておりますが、家計取引のメイン化やライフステージ
 に応じた金融資産の運用、教育資金のご融資といった複合取引の拡大につながる
 生涯取引の柱であることから、積極的に推進しております。
  具体的な推進策として、行員の営業力強化を目的とした勉強会を定期的に開催
 しているほか、チャネル拡充を目的としたローンセンターによる不動産業者等へ
 の営業活動、休日も営業を行うローンセンターやプラザと営業店の連携した営業
 推進などを実施しております。2019 年度下期における住宅ローンの獲得額は、分
 譲マンションの供給戸数の一時的な減少などにより前年同期比 6 億 5 百万円減少
 となりましたが、同残高は前年同期比 19 億 64 百万円増加しております。
  引き続き、ローンセンター等と営業店が緊密に連携して、住宅ローンの増強に
 取り組んでまいります。

〔住宅ローン獲得(実行)額の推移(表 7)
                    〕                                           (単位:件、百万円)
         2017 年度    2017 年度    2018 年度    2018 年度    2019 年度    2019 年度    前年
          上期         下期         上期         下期         上期         下期        同期比

 件   数       286        295        301        297        276        310         13

 金   額      5,111      5,041      5,749      5,758      4,635      5,153    △605



 ②消費者ローンの強化
  消費者ローンは、お客さまの様々なニーズにお応えするため、また当行にとっ
 ても利回りの確保に貢献する重要な商品であると捉えて、お客さまの保護と利便
 性を念頭に置いたうえで積極的に取り組んでおります。
  2019 年度下期は、ローンセンターが中心となった行内研修や研修フォローアッ
 プ活動を行うとともに、    当行の創業 90 周年記念事業や時節に応じた様々なキャン
 ペーン、ならびにWebを入口とした商品の推進などを行ってまいりました。そ
 の結果、2020 年 3 月末の消費者ローン残高は証書貸付については 5 億 96 百万円
 増加したものの、当座貸越が 10 億 12 百万円減少したことによって前年同期比 4

                                      9
 億 16 百万円の減少となりました。
  引き続き、   お客さまの利便性向上につながる非対面チャネルの拡充を図るため、
 Ⅲ.1.(1).③「IT化促進とFinTech活用の基盤拡充」に記載いたしました
 とおり、新たなWeb対応ローン商品の導入やWeb上の導線を考慮したホーム
 ページ改善、ならびにお客さまの保護に関する取り組みを進めてまいります。

〔個人ローン残高の推移(表 8)〕                                             (単位:百万円)
           2017 年度   2017 年度   2018 年度   2018 年度   2019 年度   2019 年度   前年
            上期        下期        上期        下期        上期        下期       同期比

 個人ローン     108,734   110,136   111,697   113,510   114,088   115,058    1,548

  住宅ローン     82,480    83,356    84,815    86,459    87,104    88,423    1,964

  消費者ローン    26,253    26,779    26,882    27,051    26,983    26,635    △416



 ③個人預金
  地域経済の活性化につながる円滑な資金供給を行うための安定的な資金を確保
 するうえで個人預金の重要性は高く、金利を上乗せして受け入れする定期預金と
 して年金受給者向け定期預金や、退職者専用定期預金、相続専用定期預金、なら
 びにインターネット支店限定の特別金利の定期預金や投資信託の販売と組み合わ
 せた定期預金など様々な商品をご提供することによって増強を図っております。
  2019 年度下期はお取引内容に応じて金利を上乗せする「【90 周年記念定期】ホ
 ップ・ステップ・ジャンプ」の販売を開始いたしました。
  市場金利の低下などにより定期預金に対するニーズは落ち着きがみられますが、
 工夫を凝らしたキャンペーン定期預金の企画などを行いながら、個人預金の増強
 を推進してまいります。

〔個人預金残高の推移(表 9)
              〕                                                  (単位:億円)
           2017 年度   2017 年度   2018 年度   2018 年度   2019 年度   2019 年度   前年
            上期         下期        上期       下期        上期        下期       同期比

   預金残高      6,447     6,434     6,397     6,374     6,368     6,376         2
*預金残高は、平均残高を記載しております。


 ④預り資産
  投資信託や生命保険をはじめとする金融商品は、預金金利が低水準で推移して
 いることや、NISAなどの投資優遇制度を背景に、お客さまのニーズが高まっ
 ております。また、当行にとっても利回りの低下から貸出金利息収入が減少傾向
 にある中、役務収益の増加につながる重要な施策の一つとなっております。
  2019 年度下期においても、お客さま本位の業務運営に関する取組方針に則った
 運営により、本部担当者と連携した帯同訪問の実施、定期的なお客さま向け金融

                                 10
 資産運用セミナーや創業 90 周年記念事業にあわせた同セミナーの開催などを行
 ってまいりました。また、多様化するお客さまのニーズにお応えすることを目的
 に、商品ラインナップの拡充を行っており、2019 年 10 月に限定追加型 1 商品、
 2020 年 2 月に限定追加型 1 商品・追加型 1 商品の投資信託、および 2020 年 2 月
 に変額個人年金保険 1 商品の生命保険の取扱いを開始しております。      さらに、   2019
 年 7 月から 12 月末まで実施しました「  【90 周年記念】新時代もあなたと!ビビッ
 ド資産形成キャンペーン」や 2020 年 1 月から 6 月末まで実施しました「給与振込
 &資産形成応援キャンペーン」など、お客さまの将来に向けた資産形成を後押し
 することを目的に、積立投信やiDeCo(個人型確定拠出年金)の推進を強化
 しております。
  今後も、セグメント別商品のラインナップの拡充やインターネット投資信託の
 プロモーションをさらに強化するなど、新たな顧客層の開拓を推進してまいりま
 す。

〔金融商品販売額の推移(表 10)〕                                                   (単位:億円)
          2017 年度    2017 年度    2018 年度    2018 年度    2019 年度    2019 年度    前年
           上期         下期         上期         下期         上期         下期        同期比

  投資信託          48         50         25         35         27         42         7

  生命保険          21         21         23         18         16         13     △5


〔金融商品残高の推移(表 11)
               〕                                                     (単位:億円)
          2017 年度    2017 年度    2018 年度    2018 年度    2019 年度    2019 年度    前年
           上期         下期         上期         下期         上期         下期        同期比

  投資信託        394        373        340        312        304        250     △62

  生命保険        350        372        395        413        430        443         30

*生命保険は、販売累計額を計上しております。


(4)顧客接点の拡大と店舗間連携の強化
 ①営業区域の特性に応じた店舗機能への特化
  本計画において、営業エリアの特性に関するデータの活用を高度化して、地域
 の特性に応じた店舗機能への特化を進めております。
  具体的な施策として、マーケット分析資料等を活用して店舗ごとにお客さまの
 取引状況などから特性を分析し、その店舗に求められるお客さまのニーズを把握
 するとともに、
       「生産性」「効率性」  「成長性」の観点による評価を重ねることによ
 り、店舗統合や機能集約、リテール業務への機能特化、ならびに昼休業などの施
 策を実施してまいりました。2020 年 6 月までに、 店舗にて
                            28   「昼休業」を開始し、
 一部ブロック内店舗で「渉外の拠点集約」の導入したほか、ブランチ・イン・ブ
 ランチ方式による店舗統合を 2 店舗実施しており、今後もこれらの施策を進めて
 まいります。
                                   11
  引き続き、店舗の事務量に合わせた人員配置の変更やBPR施策の推進により
 生み出される経営資源の再配置を行うとともに、地域の特性に応じ、より質の高
 いサービスの提供に努めてまいります。


 ②組織連携の最適化
  本計画では、地域に密着した「ブロック・エリア制」をより一層浸透させると
 ともに、組織連携の実効性向上を図ることを目指しており、営業力強化を目的と
 した、
   「営業本部組織の見直し」による営業店支援体制の強化や「ブロック統括店
 長の権限拡大」によるブロック全体の運営効率の向上、営業店の職務分担を見直
 す「最適な人員配置」の施策などを進めております。
  2019 年 4 月には営業本部を 4 部体制から 3 部体制に再編し、法人・個人それぞ
 れのお客さまに対する金融面でのサポート体制や営業店の支援体制を強化してお
 ります。具体的には、地域連携ビジネスサポート部に、融資統括部から事業性評
 価部門を編入したことで、知見のある分野別担当者が営業店に対してこれまで以
 上にソリューションに関するアドバイスやフォローを行うことが可能となり、加
 えて、営業店のソリューション営業マインドの向上を図るためソリューションリ
 ーダーを各営業店に配置し、マネジメント体制の整備も行いました。また、同部
 内に「農林水産支援室」を設置したことで、営業店がヒアリングを行った内容を
 精査し、案件を組み立てる体制が整ったことで、業種特性に応じたサポートの実
 効性向上につながっております。さらに、営業企画部内に設置した「営業チャネ
 ル戦略室」では、非対面業務およびフィンテック関連業務等の強化を進めており
 ます。加えて、ローン業務部門と金融商品部門を集約して設置した「パーソナル
 サポート部」では、個人のお客さまのライフステージに応じた幅広いニーズに適
 切に応対していくため、新たなローンや金融商品の導入、および各種セミナーの
 開催による情報提供を行っております。
  計画達成に向けて、速やかに業務執行を行うとともに、Ⅳ.1.「業務執行に対す
 る監査又は監督の体制の強化のための方策」に記載いたしましたとおり取締役会
 の監督機能を強化させ、ガバナンスの向上を図ってまいります。


(5)有価証券運用の強化
   市場金利は低位での推移が継続する一方で、       利回りの高い債券は償還を迎えてお
 り、再投資の対象となる債券は少なく、厳しい運用環境が続いております。こうし
 たなか、期初に定めた有価証券運用方針に、       「取るリスク」として「国内株式リス
 クや投資信託の価格変動リスク」を、     「制御するリスク」として「円金利リスク」
 を、 「排除するリスク」として「投資信託運用における流動性リスク」を掲げて、
 長期安定的に収益を確保することを目的として運用に取り組みました。
   2020 年 3 月期の有価証券残高は前年比 45 億円減少し 2,997 億円となりました。
 有価証券評価損益は、2020 年 2 月頃から始まった新型コロナウイルス感染症の感
染拡大による金融市場の混乱を受けて大きく減少し、前年は 83 億円の評価益でし
                       12
 たが、69 億円減少して 14 億円の評価益となりました。
  新型コロナウイルス感染症は、リーマンショックを超える大きな影響を金融市
 場に与えています。収束の見通しも不透明で神経質な相場が続くと予想されますが、
 市場の変化を時機と捉え、柔軟にポートフォリオを構築することにより、安定的な
 利息配当金収入の確保に努めてまいります。


(6)適切な経営資源の配賦
   本計画では、BPRによる各種の業務効率化施策を推進しながら、顧客サービス
 向上のために必要なシステムや店舗等への投資をコントロールしていくとともに、
 物件費の管理態勢を高度化して、適切な管理を実施することとしております。
  2020 年 3 月期は、各種業務委託費用の見直しや設備投資時期の最適化による減
 価償却費の削減、    ならびに全行的な経費削減運動を継続して実施したことなどから、
 物件費は計画を 2 億 94 百万円下回りました。
  今後も、BPRによる業務効率化ならびに物件費の一層の削減を図るとともに、
 計画に沿った顧客サービス向上のために必要な投資を確実に実行して、    適切な経営
 資源の配賦に努めてまいります。

 〔物件費の計画・実績(表 12)
                〕                                          (単位:百万円)
                2018/3 期   2019/3 期           2020/3 期          2021/3 期
                  実績         実績       計画        実績       計画比      計画

  物件費              4,713      4,674   4,804     4,510    △294      4,731

  (うち機械化関連費用)      1,675      1,629   1,695     1,491    △204      1,649
  機械化関連費用除く
                   3,037      3,045   3,109     3,019     △90      3,082
  物件費
 *機械化関連費用は、基幹系システム、事務用機器等の減価償却費、機械賃借料、機械保守料等を
  計上しております。


2.経営基盤戦略
 (1)人材力の最大発揮
  ①人材の活用
   当行は、人員構成において営業の中心を担う中間年齢層が薄いことを課題とし
  て捉えており、定期採用や行内公募による支店長の登用、嘱託の公募による職員
  への登用などによる人員構成の適正化に取り組むとともに、各種研修の開催と資
  格取得を支援するなど行員のスキルアップによる営業力の維持・増強に努めてお
  ります。
   多様な属性の人材がより一層活躍できるよう、専門スキルを有する人材の中途
  採用、UIターン採用の強化、出産・育児などのライフステージに応じて勤務時
  間を柔軟に変更できる制度の拡充、中途退職者の復職制度の活用、ならびに新た
  に渉外やマネーアドバイザーを担当する行員を対象とした研修制度を拡充するな

                                13
 ど、環境整備を進めております。また、当行で培った経験や知識、能力を引き続
 き発揮できるよう、定年退職者の再雇用についても継続しております。
  さらに、2019 年 4 月には執行役員制度を導入しており、業務執行に優れた人材
 を執行役員に登用することによって、一層の人材育成を図るとともに、行員のモ
 チベーション向上につなげ、経営方針に沿った戦略を迅速かつ機動的に遂行する
 態勢を強化いたしました。

〔定年退職者の再雇用状況(表 13)
                 〕                               (単位:人、%)
          2017 年度       2018 年度            2019 年度       2020 年度
           実績            実績                 実績            計画
 退職者            24            26                 24            29

 再雇用者           20            16                 14            16

 雇用率          83.3          61.5               58.3          55.1


〔嘱託の応募・採用状況(表 14)〕            (単位:人、%)
          2017 年度       2018 年度            2019 年度
           実績            実績                 実績
 応募者            26            17                 16

 採用者                9             5                  7

 採用率          34.6          29.4               43.7


 ②人材の育成
  前項に記載いたしましたとおり、当行職員の人員構成は営業の中心を担う中間
 年齢層が薄いことを課題と捉えており、若手職員を中心として早期育成を図るこ
 とで、営業力の強化につなげていく必要があるとの考え方のもと、外部講師によ
 る実践的な集合研修とWebによる機動的な研修の実施、自主参加型休日セミナ
 ー「こうぎんカレッジ」の拡充やeラーニングコンテンツの拡充、ならびに外部
 資格の取得推奨などを継続してまいりました。
  本計画では、人材の育成をより強化していくために、これまで取り組んできた
 施策や研修に加えて、組織として理想的な人材ポートフォリオとスキルセットを
 明確化し、行員ごとのスキルに照準を合わせた最適な研修などを実施できるよう
 外部の知見も採り入れつつ施策化を進めております。
  また、新たに渉外やマネーアドバイザーを担当する行員を対象とした研修制度
 を拡充するなど営業人員の育成や、執行役員制度を通した経営幹部の人材育成に
 も取り組んでおります。
  今後は、マインドセットを醸成することを目的とした研修の実施や、若手職員
 の成長支援、職員の業務知識修得や業務遂行能力の向上に努めてまいります。ま
 た、新入行員の育成においては、今までのマンツーマン指導を発展させた「エル

                                      14
ダー制度」を導入し、エルダー(先輩等)が実務の指導を担うとともに、職場生
活上の相談役も担う体制としており、新入行員およびエルダーやOJT管理者の
人材育成にも取り組んでまいります。


③働き方改革の推進
 当行は、人材は重要な経営資源であるとの考え方のもと、仕事と家庭、子育て
を支援するための取り組みを継続しており、次世代育成支援対策推進法に基づき、
子育て支援に関する職場環境の整備などについて、高度な水準の取り組みを行っ
ている企業として認定される「プラチナくるみん」や、女性の活躍推進に関する
状況等が優良な企業として認定される「えるぼし」を取得しております。また、
2018 年 10 月には、四国経済連合会および四国少子化対策会議が主催する「女性
活躍推進、仕事と育児の両立支援に向けたシンポジウム」において、女性の活躍
や子育て支援に積極的に取り組んでいる企業として、    「平成 30 年度 女性活躍・子
育て支援リーディング企業表彰」の最優秀賞を受賞しております。さらに、2020
年 3 月には、女性取締役が在籍する条件のもと、女性活躍推進が優れた「中長期
の成長力」のある企業として、経済産業省および東京証券取引所が実施する令和
元年度「なでしこ銘柄」に選定されました。これは、前年度の「準なでしこ銘柄」
に引き続き 2 期連続の選定となります。今後も、多様な人材の経験や価値観を尊
重し、互いの能力を最大限に発揮できる職場環境の整備に努め、ダイバーシティ
の推進に積極的に取り組んでまいります。
 当行は、職員およびその家族の健康は地域社会の発展につながるとともに、当
行の成長にも欠かせない要素であるとの考え方のもと、健康経営をより一層推進
していくため、身体の健康の保持・増進、こころの健康の保持・増進、いきいき
と働ける職場環境の整備を主な取組内容とした「健康経営宣言」を制定しており
ます。2019 年 9 月には、新たな制度として、職員が、がん、脳卒中、糖尿病など
継続して治療が必要となる疾病等を抱えた場合に、離職することなく適切な治療
を受けながら、いきいきと就労を続けることができる「治療と仕事の両立支援」
を行うための環境整備を実施し、職員がこころと身体の健康について、いつでも
相談できる「こうぎんヘルスサポート体制」を制定いたしました。
 2019 年 12 月には、従業員の健康増進のために、スポーツの実施や健康管理に
向けて積極的な取り組みを行っている企業を認定する、令和元年度「スポーツエ
ールカンパニー」にスポーツ庁から認定されました。
 2020 年 3 月には、健康に関する取り組みについての外部評価制度である、経済
産業省および日本健康会議が実施する健康経営優良法人認定制度において、       「健康
経営優良法人 2020  (大規模法人部門)ホワイト 500」に認定されました。これは、
昨年に引き続き 2 度目の認定となります。
 今後も、職員およびその家族の健康を一層増進するため、医療機関等と連携し
て職員をサポートするとともに、     研修などを通して意識啓発を行ってまいります。


                    15
(2)経営基盤の強化
 ①こうぎんブランドのさらなる浸透
  Ⅲ.1「営業戦略」に記載いたしました各営業戦略等を推進していくためには、
 職員が経営理念、経営目標を十分に認識したうえで、10 年後のあるべき姿や、個
 別施策を実施することの意義を共有する必要があると考えております。
  2018 年度に引き続き、  2019 年度も経営理念の浸透度および従業員満足度を測る
 ための職員向けアンケートを実施しました。さらに、2019 年 10 月には、全部店
 長を対象として、従業員満足度を向上させるための要素のひとつとなる評価フィ
 ードバックなどを含めたマネジメント研修を実施しております。
  また、2018 年 6 月の「健康経営宣言」により、  『こうぎんヘルスサポート体制』
 を構築し、職員の健康を第一とした経営を行っています。今後も、従業員満足度
 の向上につながる施策の実施に向けた取り組みを進めてまいります。


 ②グループガバナンスの強化
  高知銀行グループとして、お客さまに提供する金融関連サービスの質の向上と、
 リスク管理手法をはじめとした経営管理態勢を強化するためには、クレジットカ
 ード業を行う「高知カード」や、リース業を行う「オーシャンリース」、ベンチャ
 ー企業の育成支援などを行う「こうぎん地域協働ファンド」などとの連携を一層
 緊密化する必要があると考えております。
  グループ相乗効果の発揮を目的とした銀行本体とグループ会社の実務担当者に
 よる意見交換会を適宜開催しており、検討された具体的な連携策についての行内
 研修を 2018 年度下期に実施し、2019 年度にはお取引先の課題解決策のひとつと
 なるリース案件の取次ぎ、お取引先の業務効率化につながるサービスのご提案、
 ならびにキャッシュレス対応に関する施策などを進めてまいりました。
  また、経営陣による情報交換も定期的に実施するなど、引き続き連携強化を図
 ってまいります。


 ③財務基盤の強化
  Ⅲ.1「営業戦略」やⅣ.2「リスク管理の態勢の強化のための方策」などの各施
 策に役職員が一丸となって取り組むことによって、収益力の向上と資産の良質化
 を両輪とした財務基盤の強化を図っております。
  また、 公的資金につきましては 2024 年の返済期限を見据えた対応についての検
 討を進めてまいります。


Ⅳ.従前の経営体制の見直しその他の責任ある経営体制の確立に関する事項の進捗状
 況
1.業務執行に対する監査又は監督の体制の強化のための方策
   当行には、地域金融機関として金融仲介機能を発揮し、地域経済の発展に貢献し
 ていくことが求められるとともに、お客さま・株主・地域社会・職員等のステーク
                     16
 ホルダーとの適切な協働に努め、相互の価値向上を図るという重要な責務がありま
 す。
   こうした責務を踏まえ、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行う企業統治力
 を一層高め、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するために、その基
 本的な考え方や運営方針を「コーポレート・ガバナンスに関する基本方針」として
 2018 年 11 月に制定しました。また、同月に取締役会の任意の諮問機関として「指
 名報酬委員会」を設置し、経営陣の指名・報酬に関する手続きの公正性・透明性・
 客観性を強化いたしました。さらに、2019 年 4 月より、業務執行機能を強化すると
 ともに、取締役会の監督機能の一層の強化を図ることなどを目的として、     「執行役
 員制度」を導入いたしました。
  2020 年 6 月の株主総会後の役員構成は、取締役 9 名のうち社外取締役は 3 名、監
 査役 4 名のうち社外監査役は 3 名で、社外役員 6 名はすべて金融商品取引所の定め
 に基づく独立役員として届け出ております。取締役会および監査役会は、       「コーポ
 レート・ガバナンスに関する基本方針」に基づき、取締役の業務執行の監督・監査
 を行っております。また、取締役会は、法定の決議事項に加えて重要な業務執行に
 ついても報告を受け、    協議や決議を行っております。  さらに、経営強化計画の計数・
 施策進捗状況も定例的にモニタリングし、適宜、業務所管部に対して指示を行って
 おります。
  このほか、経営に対する評価の客観性を確保するため、社外の有識者等第三者 3
 名で構成する「経営評価委員会」を 2010 年 9 月に設置して半年ごとに開催してお
 り、外部目線による様々な角度からの提言を受けております。


2.リスク管理の態勢の強化のための方策
 (1)統合的リスク管理態勢強化のための方策
    統合的リスク管理につきましては、
                   「リスク管理方針」を上位規程とし、
                                   「統合的
  リスク管理規程」ならびに「統合的リスク管理実施要領」を定めて管理しており、
  毎期初に定める「統合的リスク管理プログラム」に基づいて、リスク統括部署であ
  る経営統括部が運営・管理を行い、毎月開催されるリスク管理委員会で検証してお
 ります。
  銀行全体のリスク量を自己資本の一定範囲内に収め、  経営の健全性を確保するこ
 とを目的として、単体コア資本から留保資本として自己資本比率 4%を維持する資
 本額を控除した額を資本配賦の上限としたうえで、  リスクカテゴリー別に資本配賦
 を実施しており、リスク資本の使用状況については月次で計測してリスク管理委員
 会で検証しております。また、2019 年度より国内基準行向けにも正式導入された
 銀行勘定の金利リスク、IRRBBにつきましては、⊿EVEならびに⊿NIIを
 国内基準行のシナリオに基づき計測のうえモニタリングするとともにリスク管理
 に活用しております。
  統合的ストレス・テストについては、半期ごとに関係部と連携のうえシナリオを
 設定して実施しております。2019 年度下期は、シナリオを新型コロナウイルス感
                      17
染症の影響で融資先の信用格付がランクダウンすること等を想定した内容として、
当行の期間損益や自己資本に与える影響などを考察しました。テストの内容は、リ
スク管理委員会に報告のうえ、アクションプランの検討などを行いました。このほ
か、同時期に収益シミュレーションも実施しており、総合予算や資本配賦などに活
用しております。


(2)信用リスク管理態勢強化のための方策
  ①信用リスク管理態勢
   信用リスク管理の態勢および組織等については、「信用リスク管理規程」を制定
  するとともに、貸出業務の具体的方針や基本的な考え方として「貸出の基本理念」
 を定め、経営の健全性確保に向けて取り組んでおります。また、審査・与信管理・
 問題債権管理・企業支援の 4 部門それぞれの役割を明確にしております。
  信用リスクの状況は、格付別・主要信用リスク量変動先・店別地域別業種別・
 大口上位 100 先・与信ガイドライン設定先等を月次でモニタリングし、リスク管
 理委員会において与信ポートフォリオの状況について検証を行っております。ま
 た、貸出先の業種別管理につきましては、経済構造の変化、業界状況、信用状況
 が悪化した際の経営への影響度合い等を踏まえ、重点管理業種先の選定業種や管
 理方法について見直しを行うなどのモニタリングを実施しております。
  さらに、信用リスクに関するストレス・テストは半期ごとに、与信管理部、経
 営統括部、市場金融部の関係 3 部が連携し、統合的リスクのストレスシナリオに
 基づく信用リスク部門のストレス・テストを実施して、その状況をリスク管理委
 員会へ報告しております。シナリオにつきましても、関係 3 部の連携のもと、不
 測の事態に備えて、多面的な検討を加えた厳しいケースを想定することで、経営
 体力への影響を明確に把握していくように、一層の充実を図ってまいります。


 ②貸出金の良質化
  資産の健全化は重要な経営課題であると認識しており、引き続き不良債権の適
 切な処理や新たな不良債権の発生防止、お取引先の経営改善支援など貸出金の良
 質化に取り組んでまいります。
  ランクアップを推進し、ランクダウンを防止するため、本部と営業店が連携を
 図りながらお取引先のモニタリングを定期的に行い、経営改善計画の進捗状況を
 常に把握して、経営改善や事業再生に向けた指導や支援を行う活動を継続してま
 いります。
  また、Ⅴ.3「その他の主として業務を行っている地域における経済の活性化に
 資する方策の進捗状況」に記載いたしましたとおり、中小企業再生支援協議会等
 の外部機関や外部専門家等のノウハウなどをより一層活用していくことで、早期
 の改善や再生につなげてまいります。



                   18
 ③大口信用供与限度額管理
  当行では、大口信用供与規制等の見直しに伴い、同一の者(同一のグループ)
 に対して、貸出と有価証券の信用供与額を合算し管理しております。
  具体的な管理につきましては、「信用リスク管理プログラム」を定めて、信用リ
 スク主管部である与信管理部が市場金融部と連携のうえ、貸出と有価証券の信用
 供与額を合算して、自己資本に対する限度額を管理する態勢を構築しております。
 また、リスク統括部署である経営統括部はその管理状況を検証して、与信管理部
 が四半期ごとにリスク管理委員会へ報告して管理する態勢としております。


(3)市場リスク管理態勢強化のための方策
  「市場リスク管理規程」や「市場リスク管理実施要領」を定め、リスク管理の
 適切性を確保するとともに、市場動向や将来の見通しなどを踏まえ、市場リスク
 管理の施策である「市場リスク管理プログラム」を毎期更改する態勢としており
 ます。組織面においては、市場金融部を運用部門である市場運用室と、リスク管
 理部門である市場事務室に分離し、相互牽制機能を確保するとともに、リスク統
 括部署(経営統括部)やリスク管理委員会において、リスクの見積りなど管理の
 適切性について検証する態勢としております。
  また、市場リスクが経営に与える将来の影響を計るため、定期的にストレス・
 テストを実施しております。より一層金利リスク管理の実効性を向上させるため
 に、1%、2%のパラレルな金利上昇といった画一的なシナリオだけではなく、金
 利カーブの形状が変化した場合を想定するなど、多様なストレス事象を分析する
 ことによりアクションプランの策定にも取り組んでおります。
  損失限度額の管理につきましては、有価証券ポートフォリオの評価損益の増減
 にも着目しております。例えば、評価損益が減少方向に向かった場合、基準時点
 からの評価損益の減少額を勘案して管理することで、市場の変化を踏まえてポジ
 ションを削減するなど、機動的に対応できる態勢を構築しております。また、各
 種リスクの変動要因が価格に与える影響につきましては、複数の分析ツールを活
 用することなどにより、多角的な分析を実施しております。


3.法令遵守の態勢の強化のための方策
  信用秩序の維持、顧客保護、健全かつ適切な業務運営を行っていくうえで、コン
 プライアンスは最も重要であるとの認識のもと、厳正な管理態勢を維持するととも
 に適時・適切な管理手法の見直しを実施していくことにより、コンプライアンス態
 勢の充実および強化に取り組んでおります。
  職員のコンプライアンス意識を醸成し、倫理・法令・行内規程等を遵守するため
 の基本指針および具体的行動指針として、「コンプライアンス・マニュアル」を制
 定しております。また、全行的な法令等遵守態勢の実効性を高めることを目的に、
 取締役会のもとに、コンプライアンス統括部担当取締役を委員長としたコンプライ
アンス委員会を設置し、各業務部門にはコンプライアンス責任者と担当者を配置し
                   19
 ております。
  また、職員等からの法令違反等の早期発見・未然防止に資する内部通報制度「企
 業倫理ホットライン」の設置や、「反社会的勢力への対応に係る基本方針」のもと、
 全行を挙げて関係遮断に向けた取り組みを推進する態勢を整備しております。さら
 に、各部店のコンプライアンスに関する研修の実施状況や法令等の遵守状況等につ
 いて、監査部による監査やコンプライアンス統括部による臨店モニタリングなども
 実施して、法令等遵守態勢の維持向上に努めております。
  このほか、マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策への取り組みとして、
 経営陣の主体的かつ積極的な関与のもと、リスクを適時・適切に特定・評価し、リ
 スクに見合った低減措置を講ずるリスクベース・アプローチの手法を用いて、実効
 的な管理態勢の構築に努めております。加えて、リスク低減措置の実効性を確保す
 るためにITシステムを活用しており、営業店ではフィルタリングを実施し、本部
 においては、当行の全顧客のリスク格付けによるモニタリング・スクリーニングを
 実施しております。引き続き、マネロン・テロ資金供与対策の高度化に向け組織全
 体で取り組んでまいります。

4.経営に対する評価の客観性の確保のための方策
  当行は、経営に対する評価のさらなる客観性・中立性を確保していくため、社外
 役員を選任しており、2020 年 6 月の株主総会以降の役員構成は、取締役 9 名のうち
 社外取締役は 3 名、監査役 4 名のうち社外監査役は 3 名となり、社外役員 6 名はす
 べて金融商品取引所の定めに基づく独立役員として届け出をし、経営監視機能の十
 分な確保に努めております。
  こうした体制に加え、経営に対する評価の客観性を確保するために、2010 年度に
 新設した社外の有識者等第三者 3 名で構成する「経営評価委員会」において、当行
 の経営方針や経営戦略等について客観的な立場で評価および助言をいただいており
 ます。2020 年 3 月には、第 20 回の経営評価委員会を開催し、2019 年 9 月期決算の
 概要、および 2020 年 3 月期第 3 四半期(2019 年 12 月)決算短信に基づく決算状況
 の説明や経営強化計画の履行状況についての意見交換を行いました。            意見交換では、
 第 4 期経営強化計画において構築している営業戦略や、一次産業に着目した支援へ
 の取組姿勢について評価を得るとともに、今後の新型コロナウイルス感染症による
 影響などについての提言を受けております。


5.情報開示の充実のための方策
 (1)情報開示の充実
    決算情報の開示については、金融商品取引所で求められている 45 日以内の開示
  を励行しており、同時にホームページにも掲載しております。また、本決算公表
  後に会社説明会を毎期開催しており、決算の概要や地域社会への貢献に向けた取
  り組み、中期経営計画などについて説明しております。2019 年度は前年度と同様
 に高知県内 9 カ所で開催し、参加いただいたお取引先は前年度より 97 名増加して
                        20
 842 名となりました。また、当行の創業 90 周年を記念して、創立以来の歩み等に
 ついても紹介いたしました。
  今後も、様々な情報を適時にリリースしてホームページにも掲載するなど、迅
 速かつ正確な情報開示態勢を維持してまいります。


(2)主として業務を行っている地域への貢献に関する情報開示の充実
   当行は、中小規模事業者等への円滑な資金供給や経営改善支援など、お取引先
 の本業支援についての取組内容のほか、地域高等教育機関との連携による地域貢
 献に向けた活動や、新商品・サービスに関する情報等をディスクロージャー誌や
 ホームページなどに掲載して積極的に開示しております。
  「地域密着型金融の取り組み状況」については、具体的な取組事例や「金融仲
 介機能のベンチマーク」に係る情報などを、毎年、ディスクロージャー誌に掲載
 して開示しております。また、2019 年度に開催した会社説明会では、
                                  「CSR活動
 への取り組み」として、当行の「地域活性化への取り組み」  「地域貢献への取り組
 み」
  「働きがいのある職場づくりへの取り組み」について説明を行うとともに、  「E
 SGへの取り組み」のひとつとして、ESGに配慮した融資等への取り組みなど
 を説明いたしました。
  今後も、より分かりやすい情報開示の充実に努めてまいります。


Ⅴ. 中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化その他の主として業務を行っている
  地域における経済の活性化に資する方策の進捗状況
1. 中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化その他の主として業務を行っている
  地域における経済の活性化に資するための方針
 (1)地域密着型金融の推進
    当行は、お取引先の資金ニーズや様々なご相談に迅速・的確にお応えして、地域
  密着型金融をより一層強力に推進し、 深化させていくことが必要であると認識して
  おります。そのため、「お取引先に対するコンサルティング機能の発揮」「地域の面
  的再生への積極的な参画」 「地域やお取引先に対する積極的な情報発信」の 3 つの
 取り組みを重点課題として位置づけ、中長期的な視点に立って組織全体として継続
 的に推進し、地域経済の活性化につなげてまいります。


〔3つの重点課題〕
 ①取引先に対するコンサルティング機能の発揮
  当行は地域に密着した業務展開によって築いてきた、お取引先との親密な信頼
 関係を維持・強化し、経営の目標や課題を共有いたします。
  Ⅲ.1「営業戦略」などの施策に基づき、外部専門家や外部機関と協働して、お
 取引先のライフステージや事業の持続可能性等を適切かつ慎重に見極めたうえで、
 最適なソリューションを提供し、 お取引先の主体的な実行をサポートいたします。
 また、ソリューションの実行後においても協働して進捗管理を進めていくことで、
                    21
 お取引先の成長・発展・改善に向けて取り組んでまいります。


 ②地域の面的再生への積極的な参画
  コンサルティング機能の発揮や目利き能力の向上に向けた人材の育成に努め、
 包括協定連絡会、協議会・地方版総合戦略会議等の地公体との情報収集および意
 見交換などを重ねることにより、地域の面的再生において積極的な役割を果たし
 てまいります。


 ③地域やお取引先に対する積極的な情報発信
  地公体や取引先への訪問等で情報収集した地域の課題やニーズのほかに、当行
 の地域密着型金融に対する取り組み状況や成果においても、積極的に分かりやす
 い形で情報発信し、地域やお取引先からの信頼向上に努めてまいります。


2.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化のための方策の進捗状況
 (1)中小規模の事業者に対する信用供与の実施体制の整備のための方策
   ①中小規模事業者等に対する融資推進活動
    イ.成長分野への取り組み、新規事業先の開拓、既存お取引先の深耕
      Ⅲ.1「営業戦略」に記載いたしましたとおり、本部と営業店が連携して推進し
    ていくことにより、安定した営業基盤の構築を図ってまいります。


  ロ.地域における信用供与
    当行は地域金融機関として、中小規模事業者等への信用供与の円滑化が最大
  の役割であると認識しており、    事業性評価を重視した融資に取り組む態勢強化を
  図っております。当行の主たる事業基盤である高知県内向け事業融資における
  2020 年 3 月末の信用リスク量(UL)は約 40 億円となりました。
    当行はⅣ.2.(2).②「貸出金の良質化」に記載いたしましたとおり、お取引先
  の経営改善支援など貸出金の良質化に取り組むとともに、       信用リスクに対する資
  本配賦の範囲内で中小規模事業者等を中心に、成長・発展・改善に向けた適切な
  リスクテイクを行う方針です。
   なお、新型コロナウイルス感染症の事業者への影響を踏まえ、資金繰りの迅速
  な支援に努めるとともに、同感染症収束後の回復に向けた様々なサポートにも積
  極的に取り組んでまいります。


 ②中小規模の事業者に対する信用供与の実施状況を検証するための体制
 イ.「軒先顧客管理システム」による進捗管理と活用の高度化
   「軒先顧客管理システム」には、お客さまの属性や各種取引状況の照会機能の
 ほか、 「訪問計画と実施」や「指示・改善」などのメニューがあり、営業店の訪
 問計画や交渉記録等を本部がリアルタイムで共有できることから、 お客さまのニ
  ーズ情報等を、本部と営業店が一体となって管理するとともに、PDCAに基づ
                     22
 いた効果的な活動のための管理ツールとして活用しております。
  中小規模事業者に対する経営改善支援と信用供与の活性化には、お取引先と
 の接点となる営業店と、様々な知見を集約している本部がリアルタイムで情報共
 有を行うことが有効であると考えており、地域連携ビジネスサポート部には地区
 別や分野別の担当者を設定し「軒先顧客管理システム」等を活用して、営業店の
 活動状況をモニタリングするとともに支援に努めております。また、同システム
 と併せてシステム化している「事業性評価シート」や「経営課題共有シート」な
 どのツールを活用し、営業店と本部が連携してお取引先の経営課題の解決に向け
 効果的なソリューション提案を展開しております。
  今後も、情報共有機能等を高度化させ、お取引先へのソリューション活動の
 実効性を高めるとともに、営業店の業務効率化を図るため、各システムの機能強
 化に取り組んでまいります。


 ロ.経営陣による検証
   中小規模事業者等向けの信用供与に関しては、取締役会において定期的に残
 高・先数等の計数、および業務所管部の各種推進策の取組状況について検証して
 おります。経営陣からの各種推進策に関する実効性向上へ向けた助言・指示等に
 ついては、取締役会事務局の経営統括部が一元管理し、その進捗状況についても
 取締役会に報告しております。


(2)担保又は保証に過度に依存しない融資の促進その他の中小規模の事業者の需要
   に対応した信用供与の条件又は方法の充実のための方策
   担保又は保証に過度に依存しない融資促進の一環として、ABLや私募債の取
 り組みを進めております。
   ABLについては、太陽光発電事業において当行独自の売電シミュレーション
 などで事業性評価を重視して、売電債権等を担保とする取扱いを推進しており、エ
 ネルギー関連事業としては、太陽光発電のほか、小水力・小型風力・バイオマスな
 ど環境に配慮した再生可能エネルギー事業を中心に取り組んでおります。さらに、
お取引先の財務の健全性を背景とした信用供与手法として、         私募債の引受を積極的
に行っております。
 また、2019 年 6 月には、地域の一次産業の活性化や育成に貢献していくことを
目的として、 「こうぎん農林水産応援投融資」の取扱いを開始し、2019 年度下期の
融資実績(極度枠含む)は 20 件 3 億円、2020 年 3 月末の融資残高は 42 件 5 億円
となりました。引き続き、中長期的な目線で成長性や持続性などを評価して、コン
サルティング機能を発揮することにより、一次産業をはじめ、六次産業化等への事
業の成長を後押ししてまいります。
 このほか、これらの施策のさらなる促進を目的とした人材育成の一環として、
動産評価アドバイザー等の資格取得を推奨しており、         行員のスキルアップを図るこ
とで事業性評価に基づく多用な融資手法の実践につなげてまいります。今後も、担
                       23
保や保証に過度に依存しない融資手法の活用促進に向け、関係機関などとの連携を
図りながら取り組んでまいります。


(3)中小規模事業者等向け信用供与円滑化計画を適切かつ円滑に実施するための方
   策
   当行は、地域密着型営業を基本とした各施策に基づき、医療・福祉分野をはじめ
 とする成長分野、 ならびに中小規模事業者等のお取引先の資金需要や各種相談にき
 め細かく対応するなど、リレーションの強化を図ってまいりました。
   高知県の経済環境や高知県産業振興計画の取り組み等を踏まえ、「医療・福祉分
 野」「農林水産業・食品加工分野」「防災・環境関連分野」を成長分野と位置づけて
おり、地域連携ビジネスサポート部には分野別担当者を配置するとともに、高知県
内の各エリアには農業経営アドバイザー等の資格を取得した行員を配置して、                    本部
と営業店が一体となって成長分野の活性化に貢献する活動に取り組んでおります。
この結果、    2019 年度下期の   「医療・福祉分野」 向け融資実績は 98 件 52 億円となり、
2020 年 3 月末の融資残高は前年同月対比で 43 件 19 億円増加し、     766 件 468 億円と
なりました。また、同「農林水産業・食品加工分野」向け融資実績は 199 件 50 億
円となり、2020 年 3 月末の融資残高は前年同月対比で 82 件 20 億円増加し、1,161
件 210 億円となりました。さらに、同「防災・環境関連分野」向け融資実績は 134
件 107 億円となり、   2020 年 3 月末の融資残高は前年同月対比で 72 件 60 億円増加し、
1,094 件 798 億円となりました。

〔成長分野に対する貸出金実行実績および残高(表 15)
                          〕                     (単位:件、百万円)
                     2019 年度下期 実行             2020 年 3 月末 残高
 成長分野
                    件 数             金 額       件 数       金 額
 医療・福祉分野                  98          5,258      766      46,835

 農林水産業・食品加工分野           199           5,002    1,161      21,057

 防災・環境関連分野              134          10,735    1,094      79,815

 合計                     431          20,995    3,021     147,707




                               24
 〔中小規模事業者等に対する信用供与の計画・進捗状況(表 16)
                               〕                                       (単位:億円、%)
               2018/3                                 2020/3 期
                        2019/3   2019/9                                        2021/3
               期実績
                        期実績      期実績       計画       実績       計画比       始期比     期計画
               (始期)
  中小規模事業者
                3,956    4,045    4,128    3,985     4,258     273       302    4,003
  等向け貸出残高
  始期(2018/3)
                 -         89      172         29     302      273       302       47
  からの増加額

  総資産末残        11,038   10,852   10,785   10,980    11,125     145        87   11,012

  総資産に対す
                35.84    37.28    38.27    36.29     38.27    1.98      2.43    36.35
  る比率
 *中小規模事業者等向け貸出とは、銀行法施行規則第 19 条の 2 第 1 項第 3 号ハに規定する別表
  第一における中小企業等から個人事業者以外の個人を除いた先に対する貸出で、かつ次の貸
  出を除外しています。
  (政府出資主要法人向け貸出および特殊法人向け貸出、土地開発公社向け貸出等、大企業が保有
   する SPC 向け貸出、当行関連会社向け貸出、その他金融機能強化法の趣旨に反するような貸出)


 (参考)〔中小企業等向け残高、貸出比率(表 17)〕                                            (単位:億円、%)
               2018/3                                  2020/3 期
                        2019/3   2019/9                                        2021/3
               期実績
                        期実績      期実績       計画        実績      計画比       始期比     期計画
               (始期)
  中小企業等向
                5,232    5,347    5,438    5,276     5,559       283     327    5,302
  け貸出残高
  総資産末残        11,038   10,852   10,785   10,980    11,125       145      87   11,012
  総資産に対す
                47.40    49.27    50.42    48.05     49.97    1.92      2.57    48.15
  る比率
 *中小企業等向け貸出とは、銀行法施行規則第 19 条の 2 第 1 項第 3 号ハに規定する別表第一に
  おける中小企業等に対する貸出


3.その他の主として業務を行っている地域における経済の活性化に資する方策の進
  捗状況
 ○経営改善支援取組先企業の数のお取引先企業の総数に占める割合
   経営改善支援等に向けた取り組みについては、営業店と地域連携ビジネスサポ
  ート部が連携して取り組み、2019 年度下期は以下のような成果があがりました。


  ・創業・新事業開拓支援の実績は、成長分野として取り組んでいる太陽光発電関
   連事業や医療介護関連事業への 16 先をはじめ、農林漁業等の一次産業向けが 5
   先となったことなどから全体では計画を 13 先上回る 42 先となりました。
  ・経営相談支援の実績は、営業サポート情報システムによるビジネスマッチン
   グ・商談会支援等が 121 先、セミナーの開催等による情報発信が 80 先、経営
   改善計画策定支援等が 35 先となるなど、全体では計画を 31 先上回る 336 先と
   なりました。
  ・事業再生支援の実績は、経営改善支援取組先等のランクアップが 13 先、経営
   改善支援センター等の活用が 3 先、中小企業再生支援協議会の活用が 6 先、第
   二会社方式による債権放棄の実施が 1 先となりましたが、全体では計画を 13
                                          25
     先下回る 23 先となりました。
 ・事業承継支援の実績は、公的専門機関等への取り次ぎ案件が 21 先となり、全
  体では計画を 5 先上回る 21 先となりました。
 ・担保や保証に依存しない融資の実績は、シンジケートローン 2 先、ABL手法
  等を活用した実績が 31 先、私募債が 43 先、事業性評価融資が 205 先となるな
  ど、全体では計画を 242 先上回る 299 先となりました。


  これらの結果、取組先数の合計は 721 先となり計画を 278 先上回りました。ま
 た、取引総数に占める割合も計画を 3.25 ポイント上回り 8.17%となりました。
  当行は、第 1 期経営強化計画を策定以降、上記のような経営改善支援等に積極
 的に取り組んでまいりました。お取引先を中心とした事業存続による雇用維持の
 ほか、経営改善支援による事業拡大や創業による雇用創出、ビジネスマッチング
 成約先の売上高増加等につながっているものと認識しております。引き続き、地
 域経済の活性化につながる様々な活動に積極的に取り組んでまいります。

〔経営改善支援等の取り組み(表 18)
                  〕                                                   (単位:先、%)
         2018/3                                      2020/3 期
                2018/9    2019/3   2019/9                                    2021/3
         期実績
                期実績       期実績      期実績      計画      実績      計画比       始期比    期計画
         (始期)
創業・新事業       19     39        30       39     29      42        13      23       33
経営相談        300     374      353      356     305     336       31      36      307
事業再生         35     24        18       19     36      23     △13       △12       37
事業承継         13     20        15       15     16      21         5       8       17
担保・保証        55     157      275      297     57      299       242    244       58
合計          422     614      691      726     443     721       278    299      452
取引総数      8,916   8,838    8,788    8,771   8,996   8,824   △172       △92    9,036
比率      4.73 6.94 7.86 8.27 4.92 8.17 3.25 3.44 5.00
*「取引総数」とは、企業および消費者ローン・住宅ローンのみの先を除く個人事業者の融資
 残高のある先で、政府出資主要法人、特殊法人、地方公社、大企業が保有する各種債権また
 は動産・不動産の流動化スキームに係るSPC、および当行の関連会社を含んでおります。


(1)創業又は新事業の開拓に対する支援に係る機能の強化のための方策
  ①コンサルティング機能の発揮
   当行では、創業や新事業に関連するセミナーや勉強会を高知県産業振興センタ
  ーやよろず支援拠点、高知県中小企業団体中央会等と連携して継続的に開催して
  おります。また、お取引先に対して当行が提供および取次ぎ可能な、販路拡大・
  技術支援など本業支援に関する各種支援メニューの紹介、ならびに認定支援機関
  として関わる「ものづくり補助金」や「創業補助金」など各種補助金、助成金に
  関する情報提供や、外部の支援機関への取り次ぎなどを、本部と営業店が連携し
  て行っております。
     さらに、創業・新事業に関する課題に対する助言やサポート等を的確に行って
                                      26
いくために、Ⅲ.1.(2).①「付加価値提供のプラットフォーム」を活用するととも
に、外部機関との連携や研修などを通じて常に新しい知見を蓄積し、所管部およ
び営業店の人材育成を図っていくことで、コンサルティング機能を一層強化して
まいります。


②高等教育機関との連携を活用した支援
 地域経済の活性化と産業振興への貢献を目的に、短期大学を除く高知県内すべ
ての国公立大学・高専と連携協力協定を締結しており、高知県内高等教育機関の
専門分野を活かした支援を実施しております。
 高知工業高等専門学校との連携事例では、2006 年より学校側の保有する研究
シーズを高知県内事業者に紹介し、共同研究や事業化への発展につなげていくこ
とを目的に「高知高専・高知銀行連携シーズ発表会」を毎年開催しております。
2019 年度は、
        「農業分野」をテーマとして 11 月に開催し、農業従事者から電子機
器関連企業など幅広く、24 業者 28 名の方にご参加いただきました。また、その
後に開催しました個別技術相談では 5 事業者の方からの相談に対応いたしました。
  このほか、産学連携の仲介役として、製造方法や新商品開発など事業者の皆さ
まが必要とする技術と各高等教育機関が保有する技術のマッチングによる共同研
究機会を創出するため、お取引先に対して高等教育機関との帯同訪問などを実施
しております。


③こうぎん地域協働ファンドなどを活用した支援
 2016 年 4 月に、創業や新規事業展開、ベンチャー企業の育成支援、ならびに中
長期的に成長が見込め地域経済活性化や産業振興に資する事業者の成長支援を目
的とした「こうぎん地域協働ファンド」を、株式会社地域経済活性化支援機構の
子会社であるREVICキャピタル株式会社および当行の連結子会社であるオー
シャンリース株式会社と総額 3 億円で設立し、2017 年 12 月には当行からの追加
出資により、総額を 6 億円に増額しました。また、2019 年 7 月には、オーシャン
リース株式会社がREVICキャピタル株式会社の出資持分を譲り受けるととも
に、存続期間を 2026 年 3 月 31 日まで延長しました。運営面では、2020 年 4 月時
点で同ファンドの運営主体であるオーシャンリース株式会社に、当行よりファン
ド運営に係る専任者を 3 名派遣し、新たな投資先の選定や投資先の成長支援など
に取り組んでいます。投資実績につきましては、2019 年度下期 2 件、同期までの
累計実績 7 件となりました。
  また、産学連携による地域振興に資する事業の支援を目的として、2014 年 10
月に取扱いを開始いたしました「こうぎん産学連携ファンド」は、高知県内高等
教育機関や高知県産学官民連携センター(ココプラ)と連携を図りながら取り組
んでおり、    2019 年度下期までの累計実績は 10 件 62 百万円となりました。さらに、
2016 年 1 月に、地域商標・地域産業資源の活用や、高知県が制定した地域アクシ
ョンプラン認定事業などの支援を目的に取扱いを開始しました「こうぎん地域ブ
                      27
ランド応援融資」の 2019 年度下期の実績は、30 件 5 億 46 百万円となりました。
  このほか、前項に記載いたしましたコンサルティング機能の発揮などの取り組
みの推進により、2019 年度下期における創業・新事業に対する融資実績は、創業
40 先 8 億 93 百万円、新事業 2 先 1 億 36 百万円となりました。
  これらに加えて、2016 年 4 月より当行の連結子会社であるオーシャンリース
株式会社が「FAAVO高知」のエリアオーナーとなり、クラウドファンディン
グ事業に取り組んでおります。2019 年度下期は 1 案件の起案支援を行い、2020 年
4 月にプロジェクト成立となっております。
  今後も、外部専門機関と緊密に連携し、様々な資金調達手法を活用しながら、
創業および新事業を含む事業者の成長支援に取り組んでまいります。


(2)経営に関する相談その他のお取引先の企業(個人事業者を含む、以下同じ)に対
   する支援に係わる機能の強化のための方策
  ①経営改善計画策定支援および外部専門家との連携
   お取引先とのリレーションに基づく深度のある事業性評価によって、課題の解
  決や窮境原因の除去につながる具体的な解決方法を検討するなど、実態に即した
  実現可能性の高い経営改善計画の策定支援に取り組んでおります。また、予測不
  能な環境変化への対応など、経営改善計画に修正が必要となった場合には、修正
  計画の策定支援も行っております。さらに、計画策定支援に際してお取引先の同
意が得られる場合は、中小企業再生支援協議会、経営改善支援センター等の外部
専門機関、   税理士、中小企業診断士等とも連携を図りながら取り組んでおります。
  2019 年度下期は、経営改善支援取組先のうち要計画策定先 5 先、要計画修正先
16 先のお取引先に対して計画の策定に取り組み、新規計画の策定支援は 2 先、修
正計画の策定支援は 9 先、合計 11 先の計画策定支援を実施しました。このうち、
中小企業再生支援協議会との連携による計画策定支援は 3 先、経営改善支援セン
ターとの連携による計画策定支援は 1 先となりました。
  経営改善計画を未策定、未修正のお取引先についても、策定等に向けた支援に
継続して取り組んでおります。また、株式会社地域経済活性化支援機構から「特
定専門家派遣」契約に基づいて専門家の派遣を受けることで、経営改善や事業再
生支援活動の実効性向上を図っております。特定専門家派遣による支援・助言の
実績は、累計で 7 回(4 先)となっております。
 また、 当行が設立段階から深く関わり 2018 年 3 月に高知県内士業専門家等で設
立された「一般社団法人ビジネスサポートこうち」と 2018 年 4 月に「業務連携・
協力に関する覚書」を締結し、セミナーや相談会等の様々な連携活動を行ってお
り、2019 年度下期には 6 先の事業者をご案内いたしました。同法人と連携した事
業承継も含む経営改善支援活動として、中小企業再生支援協議会への再生支援申
込などの取り組みを行っております。



                     28
 ②ビジネスマッチング機能の強化
  第二地方銀行協会加盟行が主催する「地方創生『食の魅力』発見商談会」や、
 高知県、高知県地産外商公社、四国銀行、JAバンク高知、農林中央金庫などと
 の共催による商談会への出展支援を行っております。また、2020 年 1 月には、薩
 長土肥包括連携協定を結ぶ 5 行庫での共催により「薩長土肥連携首都圏バイヤー
 商談会 2020」を開催し、お取引先企業 12 社の出展支援を行いました。
  今後も高知県の主要産業である一次産業に着目し、高知県産業振興計画の「地
 産地消・地産外商の推進」の戦略に沿った取り組みとして、食の商談会等の販路
 開拓を中心に支援活動を継続してまいります。
  また、取引先より収集した事業ニーズの行内マッチングサイトとして機能する
 「営業サポート情報」の効果的な活用により、2019 年度下期には 110 先 134 件の
 ビジネスマッチングを成約しており、引き続きソリューション提案ツールの一つ
 として活用してまいります。


 ③情報提供機能の活用
  経営改善支援活動をサポートするツールとして、財務診断分析資料をお取引先
 に提供しており、財務分析の側面から導出される課題や解決策の共有を図るなど、
 本部と営業店が連携して情報提供に取り組んでおります。2019 年度下期において
 財務診断分析資料を提供したお取引先は 41 先となりました。
  また、前述の「一般社団法人ビジネスサポートこうち」などと連携して、事業
 承継や各種制度対応などに関するセミナーを実施しているほか、同法人を構成し
 ている税理士や弁護士等との連携による個別相談会を本店で毎月開催しておりま
 す。
  今後も、本部と営業店が連携してお取引先に対して的確なコンサルティングや
 ソリューション、ならびに有益な情報提供に努めてまいります。

〔財務診断分析資料配布先数(表 19)〕                            (単位:先)
                                      2019 年度   2019 年度
                 2017 年度    2018 年度
                                        上期        下期
 財務診断分析資料配布先数          83        97        45        41


(3)早期の事業再生に資する方策
  ①ランクアップへの取り組み
   経営改善支援取組先は、債務者区分が要注意先以下の債務者とし、毎年 3 月末
  日および 9 月末日を基準日として取組先の見直しを実施しております。
   2019 年度下期は、経営改善支援取組先として 133 先を選定し、営業店との帯同
 訪問や、
    「軒先顧客管理システム」を活用したモニタリング指導を行うなど、本部
 と営業店が一体となって以下の支援方法に基づいた経営改善支援活動に取り組ん
 だことから、5 先において債務者区分がランクアップしました。

                            29
〔ランクアップの実績(表 20)
               〕                           (単位:先、%)
                                       2019 年度     2019 年度
               2017 年度     2018 年度
                                         上期          下期
ランクアップ先数              12          12         6           5

経営改善支援取組先数           154         141        131        133

ランクアップ率              7.8         8.5        4.5        3.7


〔経営改善計画策定先数(表 21)〕                                (単位:先)
                                       2019 年度     2019 年度
               2017 年度     2018 年度
                                         上期          下期
経営改善支援取組先のうち
                      14          33        24          21
経営改善計画策定支援先
経営改善計画策定完了先数           8          25        14          11

経営改善計画策定未了先数           6           8        10          10


②中小企業再生支援協議会等との連携強化
 経営改善支援の取り組みについては、実現可能性の高い抜本的な経営改善計画
を策定支援、ならびに計画の完遂に向けた活動の支援に積極的に取り組んでおり、
その計画策定にあたっては外部機関と連携して多角的な検討を行うことで、経営
改善の実現可能性の向上に努めております。
 当行のお取引先は中小企業が主体であることから、特に中小企業再生支援協議
会との連携強化を図るとともに、事業再生支援能力の向上のために中小企業基盤
整備機構等が主催する事業再生に関するセミナーへ行員を参加させるなど、支援
機能の強化に努めております。なお、2019 年度下期の中小企業再生支援協議会へ
の持込は 6 件となりました。
 引き続き、中小企業再生支援協議会と連携のうえ、お取引先の経営改善支援の
強化に努めてまいります。

〔中小企業再生支援協議会持込先数(表 22)
                     〕                            (単位:先)
                                       2019 年度     2019 年度
               2017 年度     2018 年度
                                         上期          下期
 中小企業再生支援協議会
                       5          13         6           6
 持込先数


(4)事業の承継に対する支援に係る機能の強化のための方策
   高知県の経営者平均年齢は 60 歳を超え、全国平均と比較しても高い水準となっ
 ており、経営者の交代(事業承継)が進んでいない状況であると考えられます。
   こうした状況下、当行では「高知県事業引継ぎ支援センター」「高知県事業承継
                                 、
 ネットワーク事務局」 等の公的支援機関との連携により事業承継支援に取り組んで
います。また、前述の「一般社団法人ビジネスサポートこうち」との連携事業とし
                            30
て、2018 年 5 月より法務・税務に対応した事業承継支援などを目的とした個別相
談会を開催し、お取引先等の事業承継に関する課題に対する具体的な処方箋を提供
しています。2019 年度下期の事業承継支援件数につきましては、同社団法人との
共催による個別相談会 5 件をはじめとし、合計 21 件となりました。
 事業承継では、法務・税務面に課題を抱えているケースも多く、今後も外部専門
機関と緊密に連携し、  中小企業等の事業課題解決に向けたサポートに努めてまいり
ます。


(5)金融の円滑化を図るための取り組み
  ①金融円滑化体制の整備状況
 2009 年 12 月の中小企業金融円滑化法の施行を受けて、2010 年 1 月に「金融円
滑化基本方針」を制定、公表するとともに、    「金融円滑化管理規程」を制定し、金
融円滑化に係る管理態勢を整備しております。
 また、2013 年 12 月に公表された「経営者保証に関するガイドライン」の趣旨
を踏まえた態勢を整備して、金融の円滑化を図っております。

②金融円滑化措置の状況
 中小企業金融円滑化法の趣旨に鑑み、中小規模事業者等のお取引先や住宅資金
借入をご利用中のお取引先等から、貸付条件変更等のお申込みがあった場合には、
当該お取引先の実態を把握して、そのライフステージや事業の持続可能性を見極
めて真摯な対応を行っております。同法は 2013 年 3 月 31 日に終了しましたが、
同法終了後もこれまでと取組方針が変わらないことを全役職員に周知徹底してお
ります。
 また、新型コロナウイルス感染症の拡大により影響を受けたお取引先に対して
も同法の趣旨に鑑み、より一層のコンサルティング機能を発揮し、迅速、適切か
つ柔軟な対応に取り組んでまいります。


(6)地域貢献への取り組み
①地方公共団体との連携による地域経済活性化支援
 2012 年 1 月に高知県と当行は、「業務連携・協力に関する包括協定」を締結し
て様々な連携活動を行っており、    「高知県産業振興計画」における地域アクション
プランにも積極的に関与しております。2019 年度に設定された地域アクションプ
ランにおける事業は県内 7 地域に合計 237 事業あり、各事業を後押しするため、
地域連携ビジネスサポート部の担当者と各エリア統括店の営業店長(地域連携ビ
ジネスサポート部兼務)がエリア単位で連携し、高知県が各地域に配置している
地域産業振興監等との意見交換会を開催するなど、関係者との情報共有やリレー
ション強化を図っております。
 高知県下の地方公共団体との連携については、高知県内の 10 市町と「地域再
生・活性化支援に関する連携・協力協定」を締結しております。協定を締結した
                     31
10 市町とはそれぞれ協議会を開催するなど、各地域の地方創生に向けた様々な取
り組みを支援しております。
 また、地方創生に向けた取り組みをより一層強化していくため、  2015 年 2 月「地
方創生サポートデスク」を設置し、地方公共団体の地方版総合戦略の推進につい
て、本部と営業店が連携 協力して当行が持つ情報やノウハウ等を提供するなど、
             ・
地域経済活性化のサポートに向けた取り組みを行っております。さらに、高知市
をはじめとした 14 市町村から地方版総合戦略推進委員を委嘱され、 活動しており
ます。


②高知工業高等専門学校との共催による「こども金融・科学教室」の開催
 地域のこどもたちへの金融知識の普及と併せ、科学に親しみながら学ぶことを
目的とした「こども金融・科学教室」を、高知工業高等専門学校と共同で 2008 年
より毎年開催しております。
 2019 年 8 月には、「お金とくらし」  「リニアモーターカーのしくみを学ぼう!」
と題して、高知市にある図書館を主体とした複合施設オーテピアにて開催し、児
童 54 名、保護者 36 名の合計 90 名に参加いただきました。また、同日には当行の
創業 90 周年記念事業として、同施設にある高知みらい科学館との共催により、プ
ラネタリウムの特別上映を実施しました。
 新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、2020 年 2 月に四万十町にて開催を予
定していた「こども金融・科学教室」は中止といたしましたが、学校では体験で
きない授業を保護者と一緒に学びながら親しんでもらえるよう工夫して取り組ん
でおり、今後も、地域の未来を築くこどもたちの健全な育成と金融リテラシーの
向上に向けて継続的に開催してまいります。


③高知大学との連携による「こどもサッカー教室」の開催
 地域のこどもたちを対象に、競技の普及やジュニアの育成を通じて地域のスポ
ーツ振興に貢献していくことを目的とした「こどもサッカー教室」を、高知大学
と共同で 2010 年より毎年開催しております。2019 年度は 10 月に野市教室、11
月に黒潮教室、12 月に春野教室の合計 3 教室を開催し、多数の児童に参加してい
ただきました。また、春野教室では一般社団法人高知県サッカー協会等との共催
にて「第 6 回こうぎんカップU-10 ジュニアサッカー大会」を開催しました。
 今後も高知県のスポーツ振興に貢献することを目的に、継続して取り組んでま
いります。


④創業 90 周年記念事業の実施
 2019 年度は、当行創業 90 周年記念事業の一環として、地域の皆さまへの感謝
をお伝えするとともに、一次産業を起点とした地域の活性化や賑わい創出を目的
として、  高知県内各地で一次産品の生産、  加工を行っているお取引先と協力して、
地元の逸品をご紹介する地域イベント「こうぎん地域まるごとフェスタ」を 2019
                    32
  年 12 月に 2 日間に亘り開催しました。同イベントでは、75 事業者・団体にご参
  加いただき、飲食コーナーや物品販売ブースの出店に加えて、地元高等学校など
  によるステージパフォーマンス、移動水族館やワークショップなど、こどもから
  大人まで楽しめる催しを開催し、約 2 万人の来場をいただきました。
    また、2020 年 2 月には、メディアで活躍されている辛坊治郎氏を招き、「創業
  90 周年記念講演会」を開催いたしました。
     今後も、地域への貢献や活性化につながる活動に取り組んでまいります。


Ⅵ.剰余金の処分の方針
1.配当に対する方針
  2020 年 3 月期は、普通株式は 1 株当たり中間配当 10 円、期末配当 15 円、優先株
 式は発行要項の定めに従い 1 株当たり中間配当 9 円 88 銭、  期末配当 14 円 83 銭の配
 当を行いました。
  2020 年 3 月期の利益剰余金は 239 億円となり、今後、計画達成に向けてさらに積
 上げを図るべく取り組んでまいります。

〔当期純利益、利益剰余金の推移・計画(表 23)〕                                              (単位:億円)
             2010/3   2011/3   2012/3    2013/3    2014/3   2015/3   2016/3   2017/3
             期実績      期実績      期実績       期実績       期実績      期実績      期実績      期実績
 当期純利益           13       21       30        19        30       38       29       21
 利益剰余金           53       73       97        112      137      171      196      212
  利益準備金           1        2        3         4         5        6        7        8
  その他利益剰余金       51       71       94        108      132      164      189      204
             2018/3   2019/3   2019/9    2020/3    2021/3   2022/3   2023/3   2024/3
             期実績      期実績      期実績       期実績       期計画      期計画      期計画      期計画
 当期純利益           16        9       11        12        16       15       15       15
 利益剰余金          224      230      240        239      257      267      277      287
  利益準備金           8        9       10        10        11       12       13       14
  その他利益剰余金      215      220      230        228      246      255      264      273


2.役員に対する報酬および賞与についての方針
  社内取締役の報酬は基本報酬と業績連動型株式報酬で構成しており、社外取締役
 および監査役は独立性を明確にするため基本報酬のみとしております。
  2017 年度に業績連動型株式報酬制度を導入して以降、  ストックオプションによる
 新規の新株予約権付与は行わないこととしております。同制度は、当行の業績およ
 び株式価値と取締役の報酬との連動性をより明確にするもので、取締役が中長期的
 な業績向上と企業価値の増大に貢献する意識を高めることを目的としております。
  また、経営陣の指名・報酬に関する手続きの公正性・透明性・客観性を強化する
 ため、2018 年 11 月に取締役会の任意の諮問機関として「指名報酬委員会」を設置
 しました。委員構成は社内取締役 1 名、社外取締役 3 名、社外監査役 3 名の 7 名で、
                                        33
 委員長は社外取締役が務めております。
  当行はこれまでも、報酬総額の削減による利益の社外流出を抑制してまいりまし
 たが、今後も取締役に対する報酬カットを継続していくとともに、執行役員を含め
 た役員の賞与も不支給といたします。


Ⅶ.財務内容の健全性および業務の健全かつ適切な運営の確保のための方策の進捗状
  況
1.経営強化計画の運営管理
  経営強化計画に基づく各種施策について