8416 高知銀行 2019-03-01 17:20:00
平成30年9月期における「経営強化計画」の履行状況について [pdf]

                                           平成 31 年 3 月 1 日
各 位
                              会社名 株 式 会 社      高 知 銀 行
                              代表者名   取締役頭取 森下        勝彦
                               (コード番号:8416 東証第一部)
                              問合せ先 経営統括部長 吉 村        卓浩
                                     (電話番号 088-822-9311)


       平成 30 年 9 月期における「経営強化計画」の履行状況について


当行は、
   「金融機能の強化のための特別措置に関する法律」に基づき、平成 30 年 9 月期における経営強
化計画の履行状況報告書をとりまとめましたのでお知らせいたします。
資料につきましては、別紙「経営強化計画の履行状況報告書」をご覧ください。
                                                    以 上
別紙




     経営強化計画の履行状況報告書




          2018 年 12 月
                       目 次
Ⅰ.2018 年 9 月期決算の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
 1.経営環境 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
 2.決算の概要(2018 年 9 月期:単体) ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
Ⅱ.経営の改善に係る数値目標の実績 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
 1.コア業務純益 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
 2.業務粗利益経費率 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
Ⅲ.経営の改善の目標を達成するための方策の進捗状況 ・・・・・・・・・・ 5
 1.営業戦略・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・ 5
  (1)BPR効果の最大化と営業基盤の強化・・・・・・・・・・・・・・・ 5
  (2)事業性評価に基づく融資の増強・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
  (3)個人取引の強化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
  (4)顧客接点の拡大と店舗間連携の強化・・・・・・・・・・・・・・・・11
  (5)有価証券運用の強化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
  (6)適切な経営資源の配賦・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
 2.経営基盤戦略 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
  (1)人材力の最大発揮・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
  (2)経営基盤の強化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
Ⅳ.従前の経営体制の見直しその他の責任ある経営体制の確立に関する
  事項の進捗状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
 1.業務執行に対する監査又は監督の体制の強化のための方策 ・・・・・・15
 2.リスク管理の態勢の強化のための方策 ・・・・・・・・・・・・・・・16
 3.法令遵守の態勢の強化のための方策 ・・・・・・・・・・・・・・・・18
 4.経営に対する評価の客観性の確保のための方策 ・・・・・・・・・・・19
 5.情報開示の充実のための方策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
Ⅴ.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化その他の主として業務
  を行っている地域における経済の活性化に資する方策の進捗状況 ・・・・20
 1.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化その他の主として
    業務を行っている地域における経済の活性化に資するための方針 ・・・20
 2.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化のための方策の
    進捗状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
 3.その他の主として業務を行っている地域における経済の活性化に
    資する方策の進捗状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
Ⅵ.剰余金の処分の方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31
 1.配当に対する方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31
 2.役員に対する報酬および賞与についての方針 ・・・・・・・・・・・・31
Ⅶ.財務内容の健全性および業務の健全かつ適切な運営の確保のための
  方策の進捗状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32
 1.経営強化計画の運営管理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32
 2.内部監査態勢の強化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32
 3.各種のリスク管理の状況および今後の方針等 ・・・・・・・・・・・・33
Ⅰ.2018 年 9 月期決算の概要
1.経営環境
  2018 年 9 月期におけるわが国の経済は、企業収益は改善し、設備投資は増加して
 いるほか、雇用・所得環境の改善が続くなかで個人消費は持ち直しているなど、全
 体では緩やかに回復しました。
  当行の主要営業基盤である高知県の経済は、個人消費は一部に弱い動きがみられ
 たものの、全体では底堅さを増しつつあり、また、生産活動は業種によってバラツ
 キはあるものの徐々に持ち直しているほか、雇用・所得環境も改善しており、全体
 では緩やかに回復しつつあります。


2.決算の概要(2018 年 9 月期:単体)
 (1)資産・負債の状況
  2018 年 9 月期末の貸出金残高は、地域に密着した営業活動を展開し、中小規模
 事業者等を中心とした事業資金の需要にも積極的にお応えいたしました結果、         2017
 年 9 月期比 90 億円増加して 6,904 億円となりました。なお、貸出金残高は、部分
 直接償却 23 億円を控除後の金額です。預金等残高は、一般法人預金が増加したこ
 とから、2017 年 9 月期比 110 億円増加して 9,375 億円となりました。
  純資産は、  利益剰余金が増加しましたが、      有価証券評価差額金が減少したことな
 どから、2017 年 9 月期比 8 億円減少して 686 億円となりました。

  〔「資産・負債の状況(単体ベース)(表 1)
                   」       〕                                  (単位:億円)
                    2018/9 期                      2017/9 期     2018/3 期
                 実績         2017/9 期比 2018/3 期比     実績           実績
  資産              10,781         △69      △256       10,851       11,038
    うち貸出金         6,904             90    △46         6,814        6,951
    うち有価証券        3,166             34      21        3,131        3,144
  負債              10,094         △60      △251       10,155       10,346
    うち預金等         9,375             110   △132        9,264        9,507
    うち借用金             612       △163      △121          776          734
  純資産                 686           △8     △4           695          691


(2)損益の状況
   損益の前年同期比の状況は、以下のとおりとなりました。
   資金利益は、有価証券利息配当金の減少等により 3 億 3 百万円減少し、役務取引
 等利益は 1 億 17 百万円減少いたしました。一方、その他業務利益は 4 億 45 百万円
 増加し、業務粗利益は 24 百万円増加して 70 億円となりました。
  経費は、物件費が 64 百万円増加したものの、人件費が 94 百万円減少したことな
 どから 9 百万円減少して 59 億 38 百万円となりました。
  以上により、業務純益(一般貸倒引当金繰入前)は 34 百万円増加して 10 億 61
                                1
百万円となりました。また、国債等債券関係損益を除いたコア業務純益は 4 億 57
百万円減少して 7 億 44 百万円となりました。
 臨時損益は、貸倒引当金が前年同期の戻入から、繰入に転じたことなどから、4
億 91 百万円減少して 1 億 41 百万円の利益となりました。
 これらの結果、経常利益は 5 億 42 百万円減少して 11 億 18 百万円となり、固定
資産処分損等による特別損益や法人税等を計上後の当期純利益は 4 億 78 百万円減
少して 5 億 70 百万円となりました。
 なお、実質与信費用は、貸倒引当金戻入益が 3 億 50 百万円減少し、不良債権処
理費が 5 億 8 百万円増加したことなどから、9 億 40 百万円増加して 5 億 81 百万円
となりました。

 〔 損益の状況(単体ベース)(表 2)
  「            」    〕               (単位:百万円)       (※ 参 考)
                     2018/9 期          2017/9 期    2018/3 期
                      実績     2017/9 期比   実績          実績
  業務粗利益                 7,000       24     6,976      14,158
    資金利益                6,787     △303     7,091      14,302
    役務取引等利益                  41   △117      158          384
    その他業務利益                 171    445     △274        △528
    (うち国債等債券関係損益)           317    491     △174        △271
  経費                    5,938      △9      5,948      12,011
    うち人件費               3,174     △94      3,269       6,481
    うち物件費               2,325       64     2,261       4,713
  業務純益(一般貸倒引当金繰入前)      1,061       34     1,027       2,146
  一般貸倒引当金繰入額                 85     85        -           -
  業務純益                      976   △50      1,027       2,146
  コア業務純益                    744   △457     1,202       2,418
  臨時損益                      141   △491      633          548
    うち貸倒引当金戻入益               -    △350      350          256
    うち償却債権取立益                37      3       33          99
    うち不良債権処理額               533    508       25          146
    うち株式等関係損益               487    362      125          148
  経常利益                  1,118     △542     1,660       2,695
  特別損益                   △73       123     △197        △234
  税引前当期純利益              1,044     △419     1,463       2,461
  法人税、住民税及び事業税              559     99      459          570
  法人税等調整額                △85      △40       △44          241
  当期純利益                     570   △478     1,049       1,648
  実質与信費用                    581    940     △358        △208




                        2
(3)自己資本比率の状況
   自己資本比率(国内基準)は、2017 年 9 月期比 0.21 ポイント低下して 9.67%と
 なりました。


(4)不良債権の状況
   本部と営業店が一体となり、お取引先の経営改善支援を通じたランクアップと、
 ランクダウンの防止に取り組んでおりますが、    保守的な見積もりを実施したことな
 どから、金融再生法開示債権額は、2017 年 9 月期比 3 億円増加して 304 億円とな
 りました。一方、総与信が増加したことから、金融再生法開示債権比率は、2017
 年 9 月期比 0.01 ポイント低下して 4.32%となりました。

〔「金融再生法開示債権の状況(単体ベース)」(表 3)〕                                (単位:億円)
                       2018/9 期                       2017/9 期   2018/3 期
                       実績       2017/9 期比 2018/3 期比     実績         実績
  破産更生債権及びこれらに準ずる債権      48          △2          2          51         46
  危険債権                   242           9        11         233        230
  要管理債権                  13          △3        △0           16         14
  合計(A)                  304           3        13         300        291
  正常債権                 6,735          99      △57        6,636      6,793
  総与信(B)               7,040         103      △44        6,937      7,084
  金融再生法開示債権比率(A)/(B)    4.32       △0.01      0.21        4.33       4.11


Ⅱ.経営の改善に係る数値目標の実績
1.コア業務純益
  地域に密着した営業活動を展開し、成長分野に向けた融資の推進など、中小規模
 事業者等を中心とした事業資金の需要等に積極的にお応えいたしましたが、貸出金
 平残は計画を 18 億 21 百万円(前年同期比 28 億 65 百万円増加)下回りました。一
 方、市場金利の低下に加えて金融機関同士の競争激化により、貸出金利回りが計画
 を 0.033 ポイント(前年同期比 0.060 ポイント低下)下回ったことから、貸出金利
 息収入は計画を 1 億 26 百万円(前年同期比 1 億 81 百万円減少)下回りました。
  預金平残(譲渡性預金含む)は計画を 61 億 49 百万円(前年同期比 137 億 46 百
 万円増加)上回り、預金利回りが計画を 0.015 ポイント(前年同期比 0.034 ポイン
 ト低下)下回ったことから、預金利息は計画を 65 百万円(前年同期比 1 億 51 百万
 円減少)下回りました。これらの結果、資金利益は計画を 3 億 4 百万円(前年同期
 比 3 億 3 百万円減少)下回りました。
  お客さま本位の業務運営に関する取組方針のもと、投資信託・生命保険など金融
 商品の積極的な販売に取り組みましたが、役務取引等利益は計画を 1 億 13 百万円
 (前年同期比 1 億 17 百万円減少)下回りました。また、設備投資の時期の変更な
 どから、物件費が計画を 86 百万円(前年同期比 64 百万円増加)下回り、税金が計

                            3
 画を 22 百万円(前年同期比 21 百万円増加)下回り、人員の新陳代謝等により人件
 費が計画を 1 億 22 百万円(前年同期比 94 百万円減少)下回ったことから、経費全
 体では計画を 2 億 31 百万円(前年同期比 9 百万円減少)下回りました。これらの
 結果、コア業務純益は計画を 1 億 97 百万円(前年同期比 4 億 57 百万円減少)下回
 りました。

〔コア業務純益の改善額(表 4)
               〕                                                       (単位:百万円)
            計画                2018/9 期               2019/3    2019/9    2020/3      2021/3
            始期      計画      実績      計画比     始期比      期計画       期計画       期計画         期計画

 コア業務純益     2,418     941     744    △197    △930     1,957       983      1,940      2,423
*コア業務純益(業務純益+一般貸倒引当金繰入額-国債等債券関係損益)
*2018 年 9 月期の始期比については、2018 年 9 月期の実績を 2 倍して比較しています。


2.業務粗利益経費率
  成長分野に向けた融資の推進等に努めましたが、貸出金平残は計画を下回り、市
 場金利の低下に加え金融機関同士の競争激化により貸出金利回りが計画を下回っ
 たことなどから、資金利益は計画を 3 億 4 百万円(前年同期比 3 億 3 百万円減少)
 下回りました。また、投資信託・生命保険などの金融商品の積極的な提案活動によ
 り販売強化に取り組みましたが、役務取引等利益は計画を 1 億 13 百万円(前年同
 期比 1 億 17 百万円減少)下回り、その他業務利益は計画を 6 百万円(前年同期比 4
 億 45 百万円増加)上回ったものの、業務粗利益は計画を 4 億 11 百万円(前年同期
 比 24 百万円増加)下回りました。また、経費削減運動の継続実施などから機械化
 関連費用を除く物件費が計画を 44 百万円(前年同期比 46 百万円増加)  、税金が計
 画を 22 百万円(前年同期比 21 百万円増加)  、人員の新陳代謝等により人件費が計
 画を 1 億 22 百万円(前年同期比 94 百万円減少)いずれも下回り、機械化関連費用
 を除く経費は計画を 1 億 89 百万円(前年同期比 27 百万円減少)下回りました。
  これらの結果、業務粗利益経費率は 73.35%となり、計画を 1.52 ポイント、始期
 を 0.35 ポイントそれぞれ上回りました。

〔業務粗利益経費率の改善幅(表 5)〕                                                    (単位:百万円、%)

            計画                2018/9期               2019/3    2019/9    2020/3    2021/3
            始期      計画      実績      計画比     始期比     期計画       期計画       期計画       期計画
 経費(機械化関
           10,336   5,324   5,135   △189     △66    10,517     5,321    10,562     10,522
 連費用除く)
 業務粗利益     14,158   7,411   7,000   △411    △158    14,773     7,416    14,798     15,024
業務粗利益
             73.00 71.83 73.35 1.52 0.35 71.19 71.74 71.37 70.03
経費率
*業務粗利益経費率(      (経費-機械化関連費用)/業務粗利益)
*機械化関連費用は、基幹系システム・事務用機器等の減価償却費、機械賃借料、機械保守費
 等を計上しています。
*2018 年 9 月期の始期比については、2018 年 9 月期の実績を 2 倍して比較しています。

                                     4
Ⅲ.経営の改善の目標を達成するための方策の進捗状況
1.営業戦略
 (1)BPR効果の最大化と営業基盤の強化
 ①営業人員の増強
   お客さまのニーズを把握して最適なソリューションを提案するためには、  “face
 to face”でお客さまと向き合う活動の増強が必要となるため、これまでにも、営
 業店事務の簡素化や本部集中化を進めてまいりました。
   こうした改善に向けた検討を通じて、全体的な視点で抜本的に業務のあり方を
 見直すことにより、さらに大幅な改善が実施できる余地があると考え、本計画で
 は、業務改革(Business Process Reengineering、以下「BPR」)に取り組んで
 おります。
  BPRにより事務負担を軽減させ、生み出される時間と力を営業活動の質と量
 の向上に充当することによって、営業活動に携わる人員構成比率の向上を図って
 まいります。
  2018 年 9 月に、高知市内1店舗と高知県西部1店舗において、お客さまと向き
 合う活動を増強させることを目的とした、職務分担の見直しなどの試行を開始し
 ております。具体的には、渉外担当者の活動実態を分析し、在店業務の一部を内
 務担当者へシフトさせることによって、渉外担当者がお客さまと向き合いソリュ
 ーション提案などを行う時間を増加させることに取り組んでおります。職務分担
 の見直しを試行するにあたり、外部コンサルタントの知見も活用しながらモニタ
 リングを行い最適化に向けた調整を進めており、今後は最終的な全店展開に向け
 て試行店舗の拡大による成果検証を進めてまいります。
  また、内務担当者の事務量を削減させることを目的とした営業店事務の本部集
 中も推進しており、2018 年度上期には同年 2 月に運用を開始した相続事務の本部
 集中に関するQ&Aを拡充するなど、  既存の事務集中業務の最適化を進めました。
 引き続き、債権証書保管や経費支払事務の本部集中化に向けて準備を進めてまい
 ります。
  こうした施策の実施により、内務担当者につきましても、渉外担当者から引き
 継いだ在店事務などの処理余力を向上させるとともに、お客さまと向き合う活動
 も増強していくよう態勢整備を進めてまいります。


 ②業務効率化の推進
  業務効率化においては、
            「リスクベース・アプローチ」によって個別業務の効率
 化策を評価し、銀行全体の生産性を向上する観点で効率化とリスクのバランスを
 とることが重要であると考えております。
  この考え方に基づき、組織横断的なBPRをマネジメントする専任者を、2017
 年 9 月に本部に配置しました。また、2018 年 6 月には、BPR推進委員会などを
 通じて各部署と連携し、個別業務の具体的なプロセスならびに改善効果などを勘
 案した 50 以上のBPR施策を立案のうえ、施策対象の事務量 30%削減を目標に
                         5
設定しました。2018 年 9 月末において、お客さまの各種届出に関する事務など 9
施策を実施し事務量を約 5%削減いたしました。
 お客さまの各種届出に関する事務については、提出いただく書類や店頭におけ
る手続き回数などのプロセスを見直し、お客さまの負担軽減も図ることができま
した。このほか、2018 年 11 月までに、行内の報告事務におけるサイクルの見直
し、行内通達の書式共通化による文書容量の軽量化および発信ルールの見直し、
営業店が行う本部への各種報告期限等の見直しなどによる事務量の平準化などを
実施いたしました。
 引き続き、BPRを推進して銀行全体の生産性を向上させ、お客さまと向き合
う営業時間の拡充につなげてまいります。


③IT化促進とFinTech活用の基盤拡充
 本計画においては、業務効率化を目的とした顧客情報管理の高度化や、非対面
チャネルを拡充し、お客さまの利便性向上を図るためのIT化を推進しておりま
す。
 業務効率化につながるシステムの高度化施策として、お客さまからお預かりし
た物件の管理や、金融商品の約定等の事務手続き、ならびにマーケティング分析
を目的とした顧客情報管理等について検討を進めております。    2018 年 10 月には、
営業企画部門と事務システム部門それぞれからFIT2018 金融国際情報技術展
に参加するなど、情報収集を行っております。
 お客さまの利便性を向上するために、2018 年 2 月から取扱いを開始したイン
ターネット投信において、募集期間を限定した限定追加型商品を 10 月に追加す
るなど商品ラインナップの充実を図りました。また、個人ローンにおいては、ス
マートフォンからのアクセスに主眼を置いたWeb完結型商品の導入などにつ
いて、保証会社と連携しながら検討しております。さらに、これらのWeb完結
型取引の入り口となるホームページのデザインを変更し、利便性を一層向上させ
ることなども検討しております。
 FinTech活用については、口座開設や入出金明細の照会ができるオープ
ンAPIを活用したスマートフォンアプリの導入準備を、2019 年 3 月のサービ
ス開始に向け進めております。また、更新系API連携の基盤整備につきまして
は、キャッシュレス社会の進展を見据えた新たな電子決済サービス等の情報収集
を行うとともに、導入についても検討してまいります。




                     6
(2)事業性評価に基づく融資の増強
 ①付加価値提供のプラットフォーム構築
   本計画では、お取引先との対話から導かれた課題等の解決に向けた最適なソリ
 ューションを提供して、その実行をサポートする態勢を構築するために、当行内
 で一連の活動情報や課題解決ノウハウなどを共有するプラットフォームの構築を
 進めております。
  現在、プラットフォームの構築に向けて、お取引先の創業期から再生期までの
 ライフステージ別に当行のソリューションメニューを整理するとともに、新たな
 ソリューション導入を進めており、2018 年上期には、業務用設備の導入支援、経
 常的に発生する経費の削減支援、ならびに法人向け生命保険の取扱いなどを開始
 いたしました。また、お取引先への最適なソリューションを提供することを目的
 とした行内の情報共有をさらに強化するために、営業店と本部関連部署が継ぎ目
 なく連携する態勢の整備を進めてまいります。
  お取引先の事業性を理解したうえで、このプラットフォームを活用し、お取引
 先の生産性の向上に貢献するソリューションを提供するなど、課題解決をご支援
 することは、当行とお取引いただくうえでの付加価値につながるものと考えてお
 ります。この考え方のもと、事業性評価を重視した融資を含む最適なソリューシ
 ョン提供に取り組むことによって、地域経済の活性化に貢献していくとともに、
 こうした活動によって創造される経済循環を当行の収益機会につなげてまいりま
 す。


②顧客セグメンテーション別戦略の構築
 本計画では、当行を主要な取引銀行として利用していただくお取引先の維持と
増加を目的に、お取引先ごとの取引密度など当行独自の多面的な分析によるセグ
メンテーションを行ったうえで、セグメントごとにニーズを想定し、営業戦略を
策定・推進してまいります。
  現在、お取引先の取引密度を分析するためのツールを作成しており、あわせて
 お取引先の業種や事業エリアの地域特性、ならびにライフステージ等の項目でセ
 グメンテーションを行ったうえで、セグメント別の営業戦略を策定する準備を進
 めております。また、前項に記載いたしました「付加価値提供のプラットフォー
 ム構築」と連携した活用を行い、セグメントごとの戦略に沿って、プラットフォ
 ームによる個社に対する施策を推進することによって、当行とお取引いただく付
 加価値の一層の向上を図ってまいります。
  また、創業先や未取引先についても一つのセグメントとして捉え、高知県や外
 部専門機関、高等教育機関等との連携による各種セミナーや相談会の開催等によ
 り、創業および新たな事業展開をサポートする活動を通じて、新規取引先を開拓
 し顧客基盤の拡充につなげてまいります。



                   7
 〔新規事業先成約推移(表 6)〕                                              (単位:先、億円)
         2015 年度   2015 年度   2016 年度       2016 年度   2017 年度   2017 年度   2018 年度
          上期        下期        上期            下期        上期        下期        上期

  成約件数       354     1,118       729           743       466       468       388

  成約金額       120       173       122           123       133       167       120


③独自ベンチマークと業績評価基準の設定
  事業性の理解を深め実効性の高いソリューションを提供するためには、お取引
 先の課題解決に向け協働していくという行員の意識の醸成が重要であると認識し
 ております。そうした意識を醸成するためには、営業店や行員の課題解決に向け
 た有効な活動プロセスを業績評価に適切に反映する制度を充実させることが必要
 であると考えております。
  現在、前項の営業戦略などにより、お取引先の課題共有からソリューション提
 供、および実行支援といった課題解決に至るまでの活動情報と、当該お取引先の
 売上高や労働生産性などの経営指標の変化、さらに当行との取引密度の変化など
 について、時系列でモニタリングする態勢の構築に取り組んでおります。また、
 本モニタリング項目から当行の独自ベンチマークとして、当行が課題共有をした
 お取引先の経営指標の改善率等の設定などについて検討しております。
  お取引先の課題解決を支援する取り組みと経営指標の改善等のモニタリング態
 勢を構築するとともに、独自ベンチマークを設定して、その達成に必要となるお
 取引先の課題解決に向けた営業店や行員の活動プロセスを業績評価に一層反映さ
 せ、ソリューション活動の実効性向上に努めてまいります。


(3)個人取引の強化
   本計画では、個人のお客さまをライフステージなどによりグループ化し、ソリュ
ーションメニューを「見える化」するなど、Ⅲ.1.(2).②「顧客セグメンテーショ
ン別戦略の構築」  に記載いたしました事業先に対するセグメンテーション別戦略と
連携させながら、  プラットフォームを構築してお客さまごとのニーズに応じた営業
活動を効率的に展開してまいります。
 2018 年度上期よりライフステージなどによるセグメンテーションと、セグメン
トごとの金融サービスに対するニーズや差別化要因の分析を進めており、   今後はそ
の分析に基づいて金融商品やサービスの拡充を検討してまいります。
 各種データの分析機能を継続的に向上していくために、Ⅲ.1.(1).③「IT化促
進とFinTech活用の基盤拡充」に記載しております、顧客情報管理の高度化
に関する施策とあわせて、テクノロジーの進化とともに変化するニーズに適応する
マーケティング態勢の構築を検討してまいります。

①住宅ローンの強化
 住宅ローンは、家計取引のメイン化やライフステージに応じた金融資産の運用、
                                       8
教育資金のご融資といった関連取引の拡大につながる生涯取引の柱であり、重要
な個人向け商品として位置づけ積極的に推進しております。
 住宅ローンを取り巻く環境は、人口減少や金融機関同士の競合など厳しい状況
が続いておりますが、行員向け住宅ローン勉強会を定期的に開催するなどにより
営業力強化を図るとともに、ローンセンターによる不動産業者等に対する営業活
動を通じた案件紹介の窓口のさらなる拡充を図るなど、休日も営業を行うローン
センターやプラザが営業店と一体になって営業を推進してまいりました。その結
果 2018 年度上期における住宅ローンの獲得額は前年同期比 6 億 38 百万円増加し、
同残高は前年同月比 23 億 35 百万円増加いたしました。
 引き続き、ローンセンターやプラザと営業店が緊密に連携して、住宅ローンの
増強に取り組んでまいります。

〔住宅ローン獲得(実行)額の推移(表 7)〕                                               (単位:件、百万円)
          2016 年度       2016 年度       2017 年度       2017 年度        2018 年度
                                                                                  前年同期比
             上期           下期            上期            下期             上期
 件    数           302          327           286           295              301            15

 金    額       4,667         5,973          5,111        5,041          5,749           638


②消費者ローンの強化
 消費者ローンはお客さまの様々なニーズにお応えするため、また収益面におい
ても利回りの確保に貢献する重要な商品であると捉えて、お客さまの利便と保護
を念頭に置いたうえで積極的に取り組んでおります。
 2018 年上期は、ローンセンターやプラザが中心となった行内研修や、ローンセ
ンターによる電話セールス、時節に応じた様々なキャンペーンなどを行うととも
に、Webを入口とした仮審査の受付や、口座開設済みのお客さまは来店が不要
となる商品などの推進を行ってまいりました。その結果、2018 年 9 月末の消費者
ローン残高は前年同月比 6 億 28 百万円増加いたしました。
 引き続き、   お客さまの利便性向上につながる非対面チャネルの拡充を図るため、
Ⅲ.1.(1).③「IT化促進とFinTech活用の基盤拡充」に記載いたしました
とおり、新たなWeb対応ローン商品の導入やWeb上の導線を考慮したホーム
ページ改善などの検討を進めてまいります。

 〔個人ローン残高の推移(表 8)
                〕                                                      (単位:百万円)
                        2017/3 期     2017/9 期      2018/3 期      2018/9 期     前年同期比

     個人ローン                106,991      108,734       110,136       111,697         2,963

     住宅ローン                 81,307       82,480        83,356        84,815         2,335

     消費者ローン                25,684       26,253        26,779        26,882          628



                                       9
③個人預金
 地域経済の活性化につながる円滑な資金供給を行うための安定的な資金を確保
するうえで個人預金の重要性は高く、地域イベントと連携したキャンペーン定期
預金や、  当行で年金を受給されているお客さま向けに金利を上乗せした定期預金、
ならびにインターネット支店限定の特別金利の定期預金など、様々な商品の発売
およびキャンペーンの実施により増強を図っております。
 2018 年上期は、お取引内容に応じて金利を上乗せする期間限定の「こうぎんた
のしみ定期」の販売を開始いたしました。
 引き続き、工夫を凝らしたキャンペーン定期預金を企画するなど、個人預金の
増強を推進してまいります。

 〔個人預金残高の推移(表 9)〕                                                       (単位:億円)
                   2017/3 期        2017/9 期    2018/3 期      2018/9 期    前年同期比

    預金残高              6,439           6,447        6,434        6,397         △50

 *預金残高は、平均残高を記載しております。


④預り資産
 投資信託や生命保険をはじめとする金融商品は、預金金利が低水準で推移して
いることや、NISAなどの投資優遇制度を背景に、お客さまのニーズが高まっ
ております。また、利回りの低下から貸出金利息収入が減少傾向にある中、役務
収益の増加につながる重要な施策の一つとなっております。
 2018 年度上期においても、お客さま本意の業務運営に関する取組方針に則った
運営により、本部担当者と連携した帯同訪問の実施や、定期的なお客さま向け金
融資産運用セミナーの開催などを行ってまいりました。また、行員のスキルアッ
プを図るため、定期的に勉強会を開催しているほか、FP資格の取得を推奨して
おります。  さらに、多様化するお客さまのニーズにお応えすることを目的に、  2018
年 8 月には投資信託インターネット専用商品のうち 2 商品について、窓口での販
売を開始するとともに、2018 年 10 月には限定追加型投資信託商品のインターネ
ット受付を開始いたしました。また、2018 年 11 月には、新たに外貨建て個人年
金保険 1 商品の取扱いを開始しております。
 今後は、2018 年 2 月に取扱いを開始したインターネット投資信託のプロモーシ
ョンを強化するなど新たな顧客層の開拓も推進してまいります。

〔金融商品販売額の推移(表10)
               〕                                                          (単位:億円)
        2016 年度     2016 年度          2017 年度       2017 年度      2018 年度
                                                                              前年同期比
         上期            下期              上期           下期            上期
 投資信託         49              46              48           50            25         △23

 生命保険         35              34              21           21            23           2

                                       10
 〔金融商品残高の推移(表 11)〕                                   (単位:億円)

             2017/3 期   2017/9 期   2018/3 期   2018/9 期   前年同期比

    投資信託          418        394        373        340      △54

    生命保険          328        350        372        395       45

  *生命保険は、販売累計額を計上しております。


(4)顧客接点の拡大と店舗間連携の強化
①営業区域の特性に応じた店舗機能への特化
 本計画においては、営業エリアの特性に関するデータの活用を高度化し、地域
の特性に応じた店舗機能への特化を検討してまいります。
 具体的な施策として、マーケット分析資料等を活用し店舗ごとにお客さまの取
引状況など地域の特性を分析し、その店舗に求められるお客さまのニーズを把握
 するとともに、
       「生産性」「効率性」  「成長性」の 3 つ観点から店舗評価を行うこと
 で、リテールや事業融資機能への特化、ならびに営業時間の見直しなどの店舗施
 策を検討しております。2018 年度上期には 2017 年度下期のデータを利用して、
 同観点による店舗評価の試行を実施しており、今後は店舗の営業地域の特性やお
 客さまのニーズなどを折り重ねたうえで、その特性に応じた店舗機能への特化を
 進めてまいります。
  また、BPRの推進と並行し、機能特化型店舗の効率的な運営について外部コ
 ンサルタントの知見も採り入れて検討を進めてまいります。


②組織連携の最適化
 前計画において「ブロック・エリア制」を構築し、ブロック・エリアごとの特
性に応じた営業戦略の立案や効率的な活動、および人員の有効活用などの態勢強
化に取り組んでまいりました。
  本計画では、「ブロック・エリア制」をより一層浸透させ実効性の向上を図ると
 ともに、営業力強化を目的とした、「営業本部組織の見直し」による営業店支援体
 制の強化や「ブロック統括店長の権限拡大」によるブロック全体の運営効率の向
 上、営業店の職務分担の見直しをはじめとした「最適な人員配置」等の施策を進
 めてまいります。前述の施策などの推進態勢を強化するため、2019 年 4 月に執行
 役員制度を導入することを 2018 年 11 月に決定いたしました。
  計画達成に向けて、速やかに業務執行を行うとともに、Ⅳ.1.「業務執行に対
 する監査又は監督の体制の強化のための方策」に記載いたしましたとおり取締役
 会の監督機能を強化させ、組織連携の強化を図ってまいります。




                             11
(5)有価証券運用の強化
   マイナス金利政策の継続により、市場金利が低位で推移し、利回りの高い債券は償還
 を迎えるなど、厳しい運用環境が続いております。 こうした運用環境や当行の保有す
る有価証券ポートフォリオを勘案し、期初に定めた有価証券運用方針に「取るリス
ク」として「国内株式リスク」および「為替変動等の価格変動リスク」を、      「抑制
するリスク」として「円金利リスク」を、  「排除するリスク」として「投資信託運
用における流動性リスク」を掲げて運用に取り組みました。この結果、2018 年 9
月期の有価証券残高は前年同期を 34 億円上回る 3,166 億円となり、同期末の有価
証券評価益は 84 億円となりました。
 引き続き、有価証券運用方針に則り、収益性とリスクのバランスを考慮しつつ、
市場環境に応じた機動的な対応を行うことで、安定的な利息配当金収入の確保に努め
てまいります。


(6)適切な経営資源の配賦
   本計画では、BPR推進委員会による各種の業務効率化施策を推進しながら、計
 画に則り顧客サービス向上のために必要なシステムや店舗等の投資をコントロー
 ルしていくとともに、 物件費の管理態勢を高度化して適切な管理を実施することと
しております。
 2018 年 9 月期は、厳正な予算執行管理と適切な投資時期の判断による減価償却
費や計算委託料の削減、    ならびに全行的な経費削減に対する取組意識の向上による
消耗品費の削減などにより、物件費は計画を 86 百万円下回りました。また、機械
化関連費用についても、システム導入の繰越しなどにより計画を 42 百万円下回り
ました。
 今後も、BPRによる経営効率化施策を推進して経費削減を図るとともに、計画
に沿って、顧客サービス向上のための投資等を行うなど、適切な経営資源の配賦に
努めてまいります。

〔物件費の計画・実績(表 12)〕                                              (単位:百万円)

               2018/3            2018/9期            2019/3期   2020/3期   2021/3期
               期実績      計画           実績      計画比      計画        計画        計画

 物件費            4,713   2,412        2,325    △86     4,800     4,804     4,731

 (うち機械化関連費用)    1,675     846         803     △42     1,698     1,695     1,649
 機械化関連費用除く
                3,037   1,565        1,521    △44     3,101     3,109     3,082
 物件費
*機械化関連費用は、基幹系システム、事務用機器等の減価償却費、機械賃借料、機械保守料等を
 計上しております。




                                12
2.経営基盤戦略
 (1)人材力の最大発揮
  ①人材の活用
   前計画において、当行の人員構成は営業の中心を担う中間年齢層が薄いことを
  課題と捉え、定期採用や行内公募による支店長の登用、嘱託の公募による職員へ
  の登用などによる人員構成の適正化に取り組むとともに、各種研修の開催と資格
  取得を支援するなど行員のスキルアップによる営業力の維持・増強に努めてまい
  りました。
   多様な属性の人材がより一層活躍できるよう、専門スキルを有する人材の中途
  採用、UIターン採用の強化、出産・育児などのライフステージに応じて勤務時
  間を柔軟に変更できる制度のさらなる拡充、ならびに中途退職者の復職制度の活
  用などの環境整備を進めております。また、当行で培った経験や知識、能力を引
  続き発揮できるよう、定年退職者の再雇用についても継続してまいります。
   2018 年 11 月には、2019 年 4 月に執行役員制度を導入することを決定しており、
  業務執行に優れた人材を執行役員に登用する仕組みを制定することによって、一
  層の人材育成を図るとともに、行員のモチベーション向上につなげ、経営方針に
  沿った戦略を迅速かつ機動的に遂行する態勢の強化を図ります。

  〔定年退職者の再雇用状況(表 13)〕                                    (単位:名、%)

            2017 年度           2018 年度              2019 年度    2020 年度
               実績        上期実績           下期計画        計画         計画

   退職者              24         13             13         27         31

   再雇用者             20          8             12         21         24
   雇用率          83.3         61.5           92.3       77.7       77.4



  〔嘱託の応募・採用状況(表 14)
                  〕                           (単位:名、%)
            2015 年度      2016 年度        2017 年度    2018 年度
               実績         実績             実績        上期実績
   応募者              35         27             26         12

   採用者              12         10              9          3

   採用率          34.2         37.0           34.6       25.0



 ②人材の育成
   前項に記載いたしましたとおり、当行職員の人員構成は営業の中心を担う中間
  年齢層が薄いことを課題と捉えており、若手行員を中心として早期育成を図って
  いくことで、営業力の強化につなげていく必要があるとの考え方のもと、自主参
  加型休日セミナー「こうぎんカレッジ」の拡充や、eラーニングコンテンツの拡
                                   13
充、外部資格の取得推奨などを進めてまいりました。
 2018 年度上期より、人材の育成をより強化していくために、これまで取り組ん
できた施策や研修に加えて、組織として理想的な人材ポートフォリオとスキルセ
ットを明確化し、行員ごとのスキルセットに照らして育成するスキルに照準を合
わせたうえで、最適な研修などを実施できるよう関連部署と連携した企画を進め
ております。2018 年 8 月には融資統括部や外部講師と連携して、事業性評価の実
務研修を実施いたしました。また、これまで拡充してまいりましたスキル強化の
育成プログラムに合わせて、マインドセットを醸成することを目的とした研修の
実施、および若手職員の成長支援やメンタルフォローを目的としたメンター制度
の導入を進めております。
 このほか、業務執行に優れた人材を執行役員として登用することによって、経
営幹部の人材育成を図ってまいります。


③働き方改革の推進
 当行は、人材は重要な経営資源であるとの考え方のもと、仕事と家庭、子育て
を支援するための取り組みを継続して行っております。2017 年 6 月には次世代育
成支援対策推進法に基づき、子育て支援に関する職場環境の整備などについて、
高度な水準の取り組みを行っている企業として認定される「プラチナくるみん」
や、同年 9 月には女性の活躍推進に関する状況等が優良な企業として認定される
「えるぼし」を取得しております。さらに、2018 年 10 月には、四国経済連合会
および四国少子化対策会議が主催する「女性活躍推進、仕事と育児の両立支援に
向けたシンポジウム」において、女性の活躍や子育て支援に積極的に取り組んで
いる企業として、  「平成 30 年度 女性活躍・子育て支援リーディング企業表彰」の
最優秀賞を受賞いたしました。
 2018 年度上期には、職員およびその家族の健康が、地域社会の発展と当行の成
長に欠かせない要素であることから、健康経営をより一層推進していくため、身
体の健康の保持・増進、こころの健康の保持・増進、いきいきと働ける職場環境
の整備を主な取組内容とした「健康経営宣言」を新たに制定いたしました。
 引き続き、職員の健康保持・増進に関する取り組みを充実させ、健康経営優良
法人の認定を目指すとともに、ワークライフバランス推進委員会を中心とした職
場環境のさらなる向上を目指した取り組みを進めてまいります。


(2)経営基盤の強化
 ①こうぎんブランドのさらなる浸透
   Ⅲ.1「営業戦略」に記載いたしました各営業戦略等を推進していくためには、
職員が経営理念、経営目標を十分に認識したうえで、10 年後のあるべき姿を共有
し、個別施策を実施することの意義を共有する必要があると考えております。
 2018 年上期には、経営理念や 10 年後のあるべき姿への共感を醸成することを
目的とした職員向けアンケートを実施しており、結果をもとに内容を充実させて
                   14
 拡大実施するなど、引き続き、ブランド浸透に向けた施策等を検討してまいりま
 す。


 ②グループガバナンスの強化
  高知銀行グループとして、お客さまに提供する金融関連サービスの質の向上と、
 リスク管理手法をはじめとした経営管理態勢を強化するためには、クレジットカ
 ード業を行う「高知カード」や、リース業を行う「オーシャンリース」、ベンチャ
 ー企業の育成支援などを行う「こうぎん地域協働ファンド」などとの連携を一層
 緊密化する必要があると考えております。
  2018 年度上期より、銀行本体とグループ会社の実務者による意見交換会を実施
 しており、営業場面におけるグループ相乗効果の発揮などについて具体的な検討
 を進めております。また、経営陣による情報交換も定期的に実施するなど、引き
 続き連携強化を図ってまいります。


 ③財務基盤の強化
  Ⅲ.1「営業戦略」やⅣ.2「リスク管理の態勢の強化のための方策」などの各施
 策に役職員が一丸となって取り組むことによって、収益力の向上と資産の良質化
 を両輪とした財務基盤の強化を図っております。
  また、公的資金につきましては 2024 年の返済期限を見据えた対応についての検
 討を進めてまいります。


Ⅳ.従前の経営体制の見直しその他の責任ある経営体制の確立に関する事項の進捗状
 況
1.業務執行に対する監査又は監督の体制の強化のための方策
   当行には、地域金融機関として金融仲介機能を発揮し、地域経済の発展に貢献し
 ていくことが求められるとともに、お客さま・株主・地域社会・職員等のステーク
 ホルダーとの適切な協働に努め、相互の価値向上を図るという重要な責務がありま
 す。こうした責務を踏まえ、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行う企業統治
 を一層高め、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するために、その基
 本的な考え方や運営方針を「コーポレート・ガバナンスに関する基本方針」として
 2018 年 11 月に制定しました。
   また、同月に取締役会の任意の諮問機関として「指名報酬委員会」を設置し、経
 営陣の指名・報酬に関する手続きの公正性・透明性・客観性を強化いたしました。
   さらに同月、業務執行機能を強化するとともに、取締役会の監督機能の一層の強
 化を図ることなどを目的として、     「執行役員制度」を 2019 年 4 月に導入することを
 決定しております。
  役員構成は、取締役 9 名のうち社外取締役は 3 名、監査役 4 名のうち社外監査役
 は 3 名で、社外役員 6 名はすべて金融商品取引所の定めに基づく独立役員として届
 け出ております。
                       15
  取締役会および監査役会は、「コーポレート・ガバナンスに関する基本方針」に
 基づき、取締役の業務執行の監督・監査を行っております。
  また、取締役会は、法定の決議事項に加えて、重要な業務執行についても報告を
 受け、協議や決議を行っております。さらに、経営強化計画の計数・施策進捗状況
 も定例的にモニタリングし、適宜、業務所管部に対して指示を行っております。
  このほか、経営に対する評価の客観性を確保するため、社外の有識者等第三者 3
 名で構成する「経営評価委員会」を 2010 年 9 月に設置して半年ごとに開催してお
 り、外部目線による様々な角度からの提言を受けております。


2.リスク管理の態勢の強化のための方策
 (1)統合的リスク管理態勢強化のための方策
    統合的リスク管理につきましては、
                   「リスク管理方針」を上位規程とし、
                                   「統合的
 リスク管理規程」ならびに「統合的リスク管理実施要領」を定めて管理しており、
 毎期初に定める「統合的リスク管理プログラム」に基づいて、リスク統括部署であ
 る経営統括部が運営・管理を行い、毎月開催されるリスク管理委員会で検証してお
 ります。
  銀行全体のリスク量を自己資本の一定範囲内に収め、経営の健全性を確保するこ
 とを目的として、単体コア資本から留保資本(自己資本比率 4%を確保する資本額)
 を控除した額を資本配賦の上限としたうえで、 リスクカテゴリー別に資本配賦を実
 施しております。リスク資本の使用状況については月次で計測し、リスク管理委員
 会で検証しております。
  市場リスクにつきましては、2017 年度上期より有価証券と預貸金に分けて資本
 配賦を行い、リスク量を計測するように変更いたしました。リスクを計測する対象
 を分割することで、よりシンプルな計測や適切なバックテストが行えることとなり、
 管理強化につながっているものと認識しております。
  また、新たに導入される銀行勘定の金利リスク(IRRBB)につきましても、
 国内基準行のシナリオに基づく計測を開始しております。
  統合的ストレス・テストについては、半期ごとに関係部と連携のうえシナリオを
 設定して実施しております。2018 年度上期は、大口取引先に信用不安が発生した
 シナリオで、当行の期間損益や自己資本に与える影響等について考察のうえ、リス
 ク管理委員会に報告して、アクションプランの検討などを行いました。
  また、収益シミュレーションにつきましても、ストレス・テストと同時期に実施
 し、総合予算や資本配賦などに活用しております。


(2)信用リスク管理態勢強化のための方策
 ①信用リスク管理態勢
  信用リスク管理の態勢および組織等については、「信用リスク管理規程」を制定
 するとともに、貸出業務の具体的方針や基本的な考え方として「貸出の基本理念」
 を定め、経営の健全性確保に向けて取り組んでおります。また、審査・与信管理・
                    16
 問題債権管理・企業支援の 4 部門それぞれの役割を明確にしております。
  信用リスクの状況は、格付別・主要信用リスク量変動先・店別地域別業種別・
 大口上位 100 先・与信ガイドライン設定先等を月次でモニタリングし、リスク管
 理委員会において与信ポートフォリオの状況について検証を行っております。ま
 た、貸出先の業種別管理につきましては、経済構造の変化、業界状況、信用状況
 が悪化した際の当行経営への影響度合い等を踏まえ、重点管理業種先の選定業種
 や管理方法について見直しを行うなどのモニタリングを実施しております。
  さらに、信用リスクに関するストレス・テストは半期ごとに、与信管理部、経
 営統括部、市場金融部の関係 3 部が連携し、統合的リスクのストレスシナリオに
 基づく信用リスク部門のストレス・テストを実施して、その状況をリスク管理委
 員会へ報告しております。シナリオにつきましても、関係 3 部の連携のもと、不
 測の事態に備えて、多面的な検討を加えた厳しいケースを想定することで、経営
 体力への影響を明確に把握していくように、シナリオの充実を図ってまいります。


②貸出金の良質化
 資産の健全化は重要な経営課題であると認識しており、引き続き不良債権の適
切な処理や新たな不良債権の発生防止、お取引先の経営改善支援など貸出金の良
 質化に取り組んでまいります。
  従前より実施している、本部と営業店が連携を図りながらお取引先のモニタリ
 ングを定期的に行い、経営改善計画の進捗状況を常に把握し、経営改善や事業再
 生に向けた指導や支援を行う活動を継続することで、ランクアップの推進やラン
 クダウンの防止に取り組んでまいります。
  また、Ⅴ.3「その他の主として業務を行っている地域における経済の活性化に
 資する方策の進捗状況」に記載いたしましたとおり、中小企業再生支援協議会等
 の外部機関や外部専門家等のノウハウなどをより一層活用していくことで、早期
 の改善や再生につなげてまいります。


③大口信用供与限度額管理
 当行では、大口信用供与規制等の見直しに伴い、同一の者(同一のグループ)
に対して、貸出と有価証券の信用供与額を合算し管理しております。
  具体的な管理につきましては、
               「信用リスク管理プログラム」を定め、信用リス
 ク主管部である与信管理部が市場金融部と連携のうえ、貸出と有価証券の信用供
 与額を合算し、自己資本に対する限度額を管理する態勢を構築しております。ま
 た、リスク統括部署である経営統括部はその管理状況を検証し、与信管理部が四
 半期ごとにリスク管理委員会へ報告して管理していく態勢としております。


(3)市場リスク管理態勢強化のための方策
   「市場リスク管理規程」や「市場リスク管理実施要領」を定め、リスク管理の適
 切性を確保するとともに、市場動向や将来の見通しなどを踏まえ、市場リスク管理
                   17
 の施策である「市場リスク管理プログラム」を毎期更改する態勢としております。
  組織面においては、市場金融部を運用部門である市場運用室と、リスク管理部門
 である市場事務室に分離し、相互牽制機能を確保するとともに、リスク統括部署(経
 営統括部)やリスク管理委員会において、リスクの見積りなど管理の適切性につい
 て検証する態勢としております。
  また、市場リスクが経営に与える将来の影響を計るため、定期的にストレス・
 テストを実施しております。1%、2%のパラレルな金利上昇といった画一的なシナ
 リオだけではなく、例えば、金利カーブの形状が変化した場合を想定するなど、当
 行ポートフォリオの弱点を洗い出すようなストレス事象を把握し分析することに
 より、金利リスク管理の実効性を向上させてまいります。さらに、金利リスクを意
 識したアクションプランの策定にも取り組んでおります。
  損失限度額の管理につきましては、有価証券ポートフォリオの評価損益の増減
 にも着目しております。例えば、評価損益が減少方向に向かった場合、基準時点か
 らの評価損益の減少額を勘案して管理することで、市場の変化を踏まえてポジショ
 ンを削減するなど、機動的に対応できる態勢を構築しております。また、各種リス
 クの変動要因が価格に与える影響につきましては、複数の分析ツールを活用するこ
 となどにより、多角的な分析を実施しております。


3.法令遵守の態勢の強化のための方策
  信用秩序の維持、顧客保護、健全かつ適切な業務運営を行っていくうえで、コン
 プライアンスは最も重要であるとの認識のもと、厳正な管理態勢を維持するととも
 に適時・適切な管理手法の見直しを実施していくことにより、コンプライアンス態
 勢の充実および強化に取り組んでおります。
  職員のコンプライアンス意識を醸成し、倫理・法令・行内規程等を遵守するた
 めの基本指針および具体的行動指針として、「コンプライアンス・マニュアル」を
 制定しております。また、全行的な法令等遵守態勢の実効性を高めることを目的に、
 取締役会の下に、コンプライアンス統括部担当取締役を委員長としたコンプライア
 ンス委員会を設置し、各業務部門にはコンプライアンス責任者と担当者を配置して
 おります。
  さらに、職員等からの法令違反等の早期発見・未然防止に資する内部通報制度
 「企業倫理ホットライン」の設置や、「反社会的勢力への対応に係る基本方針」の
 下、全行を挙げて関係遮断に向けた取り組みを推進する態勢を整備しております。
  また、マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策への取り組みとして、経
 営陣の主体的かつ積極的な関与の下、リスクを適時・適切に特定・評価し、リスク
 に見合った低減措置を講ずる「リスクベース・アプローチ」の手法を用いて、実効
 的な管理態勢の構築に努めており、フィルタリングやモニタリングを行うシステム
 の導入準備も進行中です。組織全体としてマネロン・テロ資金供与対策の高度化に
 向けた取り組みを進めてまいります。
  なお、各部店のコンプライアンスに関する研修の実施状況や法令等の遵守状況
                  18
 等について、監査部による監査やコンプライアンス統括部による臨店モニタリング
 なども実施して法令遵守態勢の維持向上に努めております。


4.経営に対する評価の客観性の確保のための方策
  当行は、経営に対する評価のさらなる客観性・中立性を確保していくため、社外
 役員を選任しており、2018 年 6 月の株主総会以降の役員構成は、取締役 9 名のう
 ち社外取締役は 3 名、監査役 4 名のうち社外監査役は 3 名となり、社外役員 6 名は
 すべて金融商品取引所の定めに基づく独立役員として届け出をしており、      経営監視
 機能の十分な確保に努めております。
  こうした体制に加え、経営に対する評価の客観性を確保するために、2010 年度
 に新設した社外の有識者等第三者 3 名で構成する「経営評価委員会」において、当
 行の経営方針や経営戦略等について客観的な立場で評価および助言をいただいて
 おります。2018 年 9 月には、第 17 回の経営評価委員会を開催し、2018 年 3 月期決
 算の概要、および 2019 年 3 月期第 1 四半期(2018 年 6 月)決算短信に基づく決算
 状況の説明や、 3 期の経営強化計画の履行状況ならびに第 4 期経営強化計画の内
          第
 容について説明や意見交換を行いました。       高齢者の金融資産の運用に関するコンサ
 ルティング活動や、    事業承継のサポート等の拡充についての提言を受けております。


5.情報開示の充実のための方策
 (1)情報開示の充実
    決算情報の開示については、金融商品取引所で求められている 45 日以内の開示
 を励行しており、同時にホームページにも掲載しております。また、本決算公表
 後の会社説明会を毎期開催しており、決算の概要や地域社会への貢献に向けた取
 り組み、中期経営計画などについて説明をしております。2018 年度は前年度と同
 様に高知県内 9 カ所で開催し、お取引先 745 名(前年度 784 名)に参加いただき
 ました。
  今後も、様々な情報を適時にプレスリリースしてホームページにも掲載するなど、
 迅速かつ正確な情報開示態勢を維持してまいります。


(2)主として業務を行っている地域への貢献に関する情報開示の充実
  当行は、中小規模事業者等への円滑な資金供給や経営改善支援など、お取引先の
 本業支援についての取組内容のほか、地域高等教育機関との連携による地域貢献に
 向けた活動や、新商品・サービスに関する情報等をホームページやディスクロージ
 ャー誌などに掲載して積極的に開示しております。
  特に、「地域密着型金融の取り組み状況」については、具体的な取組事例や「金
 融仲介機能のベンチマーク」    に係る情報などを掲載したレポートを毎年ホームペー
 ジで開示しており、2017 年度の「地域密着型金融の取り組み状況」については、
 2018 年 7 月に掲載いたしました。また、2018 年度に開催した会社説明会では、
                                           「C
 SR活動への取り組み」として、当行の「地域活性化への取り組み」       「地域貢献活
                       19
 動への取り組み」「働きがいのある職場づくりへの取り組み」について、説明をい
 たしました。
  今後も、より分かりやすい情報開示の充実に努めてまいります。


Ⅴ.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化その他の主として業務を行っている
 地域における経済の活性化に資する方策の進捗状況
1.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化その他の主として業務を行っている
 地域における経済の活性化に資するための方針
(1)地域密着型金融の推進
   当行は、お取引先の資金ニーズやさまざまなご相談等に迅速 的確にお応えして、
                              ・
 地域密着型金融をより一層強力に推進し、 深化させていくことが必要であると認識
 しております。そのためには、 「お取引先に対するコンサルティング機能の発揮」
 「地域の面的再生への積極的な参画」 「地域やお取引先に対する積極的な情報発信」
 の 3 つの取り組みを重点課題として位置づけ、中長期的な視点に立って組織全体と
 して継続的に推進し、地域経済の活性化につなげてまいります。


〔3つの重点課題〕
 ①お取引先に対するコンサルティング機能の発揮
  当行は地域に密着した業務展開によって築いてきた、お取引先との親密な信頼
 関係を維持・強化し、経営の目標や課題を共有いたします。
  Ⅲ.1「営業戦略」などの施策に基づき、外部専門家や外部機関と協働して、お
 取引先のライフステージや事業の持続可能性等を適切かつ慎重に見極めたうえで、
 最適なソリューションを提供し、お取引先の主体的な実行をサポートいたします。
 また、ソリューションの実行後においても協働して進捗管理を進めていくことで、
 お取引先の成長・発展・改善に向けて取り組んでまいります。


 ②地域の面的再生への積極的な参画
  コンサルティング機能の発揮や目利き能力の向上に向けた人材の育成に努め、
 さまざまな地域情報を収集・集積しながら、地方公共団体等とも連携して地域の
 面的再生において積極的な役割を果たしてまいります。


 ③地域やお取引先に対する積極的な情報発信
  当行の地域密着型金融に対する取り組み状況や成果は、積極的に分かりやすい
 形で情報発信し、地域やお取引先からの信頼の向上に努めてまいります。




                   20
2.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化のための方策の進捗状況
 (1)中小規模の事業者に対する信用供与の実施体制の整備のための方策
  ①中小規模事業者等に対する融資推進活動
  イ.成長分野への取り組み、新規事業先の開拓、既存お取引先の深耕
    Ⅲ.1「営業戦略」に記載いたしましたとおり、本部と営業店が連携して推進し
  ていくことにより、安定した営業基盤の構築を図ってまいります。


  ロ.地域における信用供与
    当行は地域金融機関として、中小規模事業者等への信用供与の円滑化が最大
  の役割であると認識しており、    事業性評価を重視した融資に取り組む態勢強化を
  図っております。当行の主たる事業基盤である高知県内向け事業融資における
  2018 年 9 月末の信用リスク量(UL)は約 35 億円となりました。
   当行はⅣ.2.(2).②「貸出金の良質化」に記載いたしましたとおり、お取引先
  の経営改善支援など貸出金の良質化に取り組むとともに、   信用リスクに対する資
  本配賦の範囲内で中小規模事業者等を中心に、成長・発展・改善に向けた適切な
  リスクテイクを行う方針です。


 ②中小規模の事業者に対する信用供与の実施状況を検証するための体制
  イ.「軒先顧客管理システム」による進捗管理と活用の高度化
    「軒先顧客管理システム」には、お客さまの属性や各種取引状況の照会機能
  のほか、 「訪問計画と実績」や「指示・改善」などのメニューがあり、営業店の
  訪問計画や交渉記録等を本部がリアルタイムで共有できることから、営業活動を
  通じて収集したお客さまのニーズ情報等を、本部と営業店が一体となって管理す
  るとともに、PDCAに基づいた効果的な活動のための管理ツールとして活用し
  ております。
   情報の共有機能をより深化させることは、営業店の効率的・効果的な活動支
  援および中小規模事業者等に対する円滑な経営改善支援等につながることから、
  収集した顧客のニーズに対してタイムリーなソリューションの提案を行えるよ
  うに、「営業モニタリングシート」等の各種ツールの機能強化に取り組んでおり
  ます。


  ロ.経営陣による検証
    中小規模事業者等向けの信用供与に関しては、取締役会において定期的に残
  高・先数等の計数、 および業務所管部の各種推進策の取組状況について検証して
  おります。 経営陣からの各種推進策に関する実効性向上へ向けた助言・指示等に
  ついては、取締役会事務局の経営統括部が一元管理し、その進捗状況についても
  取締役会に報告しております。



                    21
(2)担保又は保証に過度に依存しない融資の促進その他の中小規模の事業者の需要
   に対応した信用供与の条件又は方法の充実のための方策
   担保又は保証に過度に依存しない融資の促進の一環として、ABLや私募債の取
り組みを進めております。
 ABLについては、太陽光発電事業において当行独自の売電シミュレーションな
どで事業性評価を重視し、売掛債権等を動産担保とする取扱いを推進しており、今
後は太陽光発電の低圧案件・太陽光中古案件・小水力・小型風力・バイオマスなど
の発電事業にも取り組んでまいります。また、お取引先の財務の健全性を背景とし
た信用供与手法として、私募債の引受を積極的に行っております。
 さらに、中小規模の事業者の需要に幅広く対応することを目的に、財務の健全性
に限らず、お取引先の事業性をより一層重視した信用供与手法の検討を進めており
ます。
 併せて、これらの施策のさらなる促進を目的とした人材育成として、動産評価ア
ドバイザー等の資格取得を推奨しており、行員のスキルアップを図ることで事業性
評価に基づく多用な融資手法の実践につなげてまいります。
 今後も担保や保証に過度に依存しない融資手法の活用促進に向け、関係機関など
との連携を図りながら取り組んでまいります。


(3)中小規模事業者等向け信用供与円滑化計画を適切かつ円滑に実施するための方
   策
   当行は、地域密着型営業を基本とした各施策に基づき、医療・福祉分野をはじめ
とする成長分野に対する一層のリレーションの強化などによって、中小規模事業者
等のお取引先の資金需要や各種相談にきめ細かく対応してまいりました。
 高知県の経済環境や高知県産業振興計画の取り組み等を踏まえ、「医療・福祉分
野」
 「農林水産業・食品加工分野」「防災・環境関連分野」を成長分野と位置づけて
おり、地域連携ビジネスサポート部には分野別担当者を配置するとともに、高知県
内の各エリアには農業経営アドバイザー等の資格を取得した行員を配置して、         本部
と支店が一体となって成長分野の活性化に貢献する活動に取り組んでおります。
  これらの取り組みにより、2018 年 9 月末の中小規模事業者等向け貸出残高は
3,960 億円となり、計画を 2 億円上回りました。また、総資産に対する比率は 36.73%
となり、計画を 0.53 ポイント上回りました。
 今後は、地域経済の生産性向上に資する取り組みでもある、多様な経営課題に応
じたソリューションを提供することを目的とした   「付加価値提供のプラットフォー
ム」などの活用により、担保や保証に過度に依存しない融資や、事業性評価を重視
した融資への取り組みをより一層進めてまいります。また、事業性評価や事業課題
に対応するソリューション提供に必要な専門知識の習得を強化するとともに、関係
機関との連携も行ってまいります。
 引き続き、本部と営業店が連携を図りながら、こうした活動を通じて中小規模事
業者等向けの融資を推進してまいります。
                      22
〔中小規模事業者等に対する信用供与の計画・進捗状況(表 15)
                              〕                                               (単位:億円、%)
              2018/3                2018/9 期                2019/3   2019/9    2020/3   2021/3
              期実績
                        計画        実績       計画比      始期比     期計画      期計画       期計画      期計画
              (始期)
 中小規模事業者
               3,956    3,958     3,960         2      4     3,968    3,975     3,985    4,003
 等向け貸出残高
 始期(2018/3)
                 ―           2         4        2      4        12       19        29       47
 からの増加額
 総資産末残        11,038   10,933    10,781    △152     △257    10,952   10,962    10,980   11,012
 総資産に対する
               35.84    36.20     36.73     0.53     0.89    36.23    36.26     36.29    36.35
 比率
 *中小規模事業者等向け貸出とは、銀行法施行規則第 19 条の 2 第 1 項第 3 号ハに規定する別表
  第一における中小企業等から個人事業者以外の個人を除いた先に対する貸出で、かつ次の貸
  出を除外しています。
  政府出資主要法人向け貸出および特殊法人向け貸出、土地開発公社向け貸出等、大企業が保
  有する SPC 向け貸出、当行関連会社向け貸出、その他金融機能強化法の趣旨に反するような
  貸出

(参考)〔中小企業等向け残高、貸出比率(表 16)
                        〕                                                     (単位:億円、%)
              2018/3                2018/9期                 2019/3   2019/9    2020/3   2021/3
              期実績
                        計画        実績       計画比      始期比     期計画      期計画       期計画      期計画
              (始期)
 中小企業等向け
               5,232    5,236     5,237         1      5     5,251    5,262     5,276    5,302
 貸出残高
 総資産末残        11,038   10,933    10,781    △152     △257    10,952   10,962    10,980   11,012
 総資産に対する
               47.40    47.90     48.57     0.67     1.17    47.95    48.00     48.05    48.15
 比率
 *中小企業等向け貸出とは、銀行法施行規則第 19 条の 2 第 1 項第 3 号ハに規定する別表第一に
  おける中小企業等に対する貸出

3.その他の主として業務を行っている地域における経済の活性化に資する方策の進
  捗状況
 ○経営改善支援取組先企業の数のお取引先企業の総数に占める割合
  経営改善支援等に向けた取り組みについては、営業店と地域連携ビジネスサポー
 ト部が連携して取り組み、2018 年度上期は以下のような成果があがりました。


  ・創業・新事業開拓支援の実績は、成長分野として取り組んでいる太陽光発電関
   連事業において前年同期比 10 先増加して 16 先となるなど、全体では計画を 16
   先上回り 39 先となりました。
  ・経営相談支援の実績は、営業サポート情報システムによるビジネスマッチン
   グ・商談会支援等が 116 先、セミナーの開催等による情報発信が 105 先、経営
   改善計画策定支援等が 40 先あったことなどから、全体では計画を 74 先上回り
   374 先となりました。
  ・事業再生支援の実績は、経営改善支援取組先等のランクアップが 14 先、経営
   改善支援センター等の活用が 4 先、中小企業再生支援協議会の活用が 6 先とな
   り、全体では計画を 11 先下回り 24 先となりました。
  ・事業承継支援の実績は、公的専門機関への取り次ぎ案件が 17 先、事業承継に

                                           23
  係る融資が 3 先あったことから、全体では計画を 6 先上回り 20 先となりまし
  た。
 ・担保や保証に依存しない融資の実績は、 ABL手法等を活用した実績が 17 先、
  私募債が 9 先、事業性評価融資が 129 先、農業者の支援が 1 先となったことな
  どから、全体では計画を 102 先上回り 157 先となりました。


 これらの結果、取組先数の合計は 614 先となり計画を 187 先上回りました。また、
取引総数に占める割合も計画を 2.16 ポイント上回り 6.94%となりました。
 なお、第 1 期経営強化計画を策定以降、当行が経営改善支援等に積極的に取り組
んだ結果、事業存続による雇用維持のほか、経営改善支援による事業拡大や創業に
よる雇用創出、  ビジネスマッチング成約先の売上高増加等につながっているものと
認識しております。  今後も地域経済の活性化につながる様々な活動に積極的に取り
組んでまいります。

〔経営改善支援等の取り組み(表 17)〕                           (単位:先、%)
        2018/3     2018/9 期       2019/3 2019/9 2020/3 2021/3
        期実績
        (始期) 計画   実績    計画比 始期比 期計画 期計画 期計画 期計画
 創業・新事業     19 23    39     16 20     25     27     29     33
 経営相談        300    300     374          74    74    302     302     305     307
 事業再生        35      35      24     △11       △11     35      36      36      37
 事業承継        13      14      20           6     7     15      15      16      17
 担保・保証       55      55     157         102   102     56      56      57      58
 合計          422    427     614         187   192    433     436     443     452
 取引総数      8,916   8,936   8,838    △98       △78   8,956   8,976   8,996   9,036
 比率      4.73 4.78 6.94 2.16 2.21 4.83 4.86 4.92 5.00
*「取引総数」とは、企業および消費者ローン・住宅ローンのみの先を除く個人事業者の融資残高
 のある先で、政府出資主要法人、特殊法人、地方公社、大企業が保有する各種債権または動産・
 不動産の流動化スキームに係るSPC、および当行の関連会社を含んでおります。

(1)創業又は新事業の開拓に対する支援に係る機能の強化のための方策
 ①コンサルティング機能の発揮
  当行では、創業や新事業の開拓に関する補助金制度などのセミナーを、県産業
 振興センターやよろず支援拠点、高知県中小企業団体中央会等と連携して継続的
 に開催するとともに、当行が提供又は取次ぎできる外商・技術支援などの各種支
 援メニューの紹介、さらに認定支援機関が関わる「ものづくり補助金」や「創業
 補助金」、高知県の補助金などの公募に関する情報を行内で共有し、本部と営業店
 が連携してお客さまへの提案を行っております。
  さらに、創業・新事業の開拓などに関する課題に対する助言やサポート等を的
 確に行っていくために、Ⅲ.1.(2).①「付加価値提供のプラットフォーム」を活
 用するとともに、知識の向上やノウハウを蓄積しつつ、外部専門機関と連携して
                                   24
研修などを実施し、所管部および営業店の人材育成を図っていくことで、取り組
みを一層強化してまいります。


②高等教育機関との連携を活用した支援
 地域経済の活性化と産業の振興に貢献していくことを目的に、短期大学を除く
県内の国公立大学・高専すべてと連携協力協定を締結しており、県内高等教育機
関の専門分野を活かした支援を進めております。
 高知工業高等専門学校との連携事例では、2006 年より学校側の保有する研究シ
ーズを県内事業者に紹介し、共同研究や事業化への発展につなげていく「高知高
専・高知銀行連携シーズ発表会」を毎年開催しており、2018 年度も 12 月に開催
し、地元企業など 26 社から 33 名に参加いただきました。ご参加いただいた事業
者の皆さまより熱心な質問や個別相談が行われ、技術相談の場としてご満足いた
だいております。
 このほか、商品開発などお客さまが必要とする技術と各教育機関が保有する技
術のマッチング機能などを強化することにより、産学連携の仲介役として取り組
んでまいります。


③こうぎん地域協働ファンドなどを活用した支援
 当行は 2016 年 4 月に、創業や新事業の開拓、ベンチャー企業の育成支援、なら
びに中長期的に成長が見込め地域経済活性化や産業振興に資する事業者の成長支
援を目的とした「こうぎん地域協働ファンド」を、株式会社地域経済活性化支援
機構の子会社であるREVICキャピタル株式会社および当行の連結子会社であ
るオーシャンリース株式会社と総額 3 億円で設立し、2017 年 11 月には当行から
の追加出資により、総額を 6 億円に増額しました。また、同ファンドの運営主体
であるオーシャンリース株式会社に、当行よりファンド運営に係る専任者を 3 名
派遣し、新たな投資先の選定や投資先の成長支援などに取り組んでおります。      2018
年度上期の投資実績はございませんが、設立以降の投資累計は 5 件となっており
ます。
 また、産学連携による地域振興に資する事業の支援を目的として、2014 年 10
月に取扱いを開始いたしました「こうぎん産学連携ファンド」は、高知県内高等
教育機関や高知県産学官民連携センター(ココプラ)と連携を図りながら取り組
んでおり、2018 年上期までの累計実績は 8 件 55 百万円となっております。
 さらに、2016 年 1 月から、地域商標・地域産業資源の活用や、高知県が制定し
た地域アクションプラン認定事業などの支援を目的とする「こうぎん地域ブラン
ド応援融資」の取扱いを開始しており、2018 年度上期の融資実績は、26 件 4 億
57 百万円となりました。
  このほか、2016 年 4 月より当行の連結子会社であるオーシャンリース株式会社
が「FAAVO高知」のエリアオーナーとなり、クラウドファンディング事業に
取り組んでいます。2018 年度上期は 1 案件が募集目標金額を達成しました。
                    25
  前項に記載いたしましたコンサルティング機能の発揮などの取り組みを推進し
 たことにより、2018 年度上期における創業・新事業に対する融資実績は創業 30
 先 10 億 78 百万円、新事業 8 先 4 億 23 百万円、起業に関連する補助金の申請支援
 1 先となりました。
   今後も、様々な手法を活用しながら、創業および新事業を含む事業者の成長支
 援に取り組んでまいります。


(2)経営に関する相談その他のお取引先の企業(個人事業者を含む、以下同じ)に対す
 る支援に係わる機能の強化のための方策
 ①経営改善計画策定支援および外部専門家との連携
  お取引先とのリレーションに基づく深度のある事業性評価によって、課題の解
 決や窮境原因の除去につながる具体的な解決方法を検討するなど、実態に即した
 実現可能性の高い経営改善計画の策定支援に取り組んでおります。また、予測不
 能な環境変化への対応など、経営改善計画に修正が必要となった場合には、修正
 計画の策定支援も行っております。計画策定支援に際し、お取引先の同意が得ら
 れる場合は、中小企業再生支援協議会、経営改善支援センター等の外部専門機関、
 税理士、中小企業診断士等とも連携を図りながら取り組んでおります。
  2018 度上期は、経営改善支援取組先のうち要計画策定先 3 先、要計画修正先 16
 先のお取引先に対して計画の策定に取り組み、新規計画の策定支援は 1 先、修正
 計画の策定支援は 14 先、合計 15 先の計画策定支援を実施しました。そのうち、
 中小企業再生支援協議会との連携による計画策定支援は 1 先、経営改善支援セン
 ターとの連携による計画策定支援は 3 先となりました。
  経営改善計画を未策定、未修正のお取引先についても、策定等に向けた支援に
 継続して取り組んでおります。また、2015 年 4 月に株式会社地域経済活性化支援
 機構と「特定専門家派遣」に関する契約を締結し、同機構から専門家の派遣を受
 けることで、経営改善や事業再生支援活動の実効性向上を図っております。2018
 年度上期において、お取引先の事業再生等に係る特定専門家派遣による支援・助
 言の実績はありませんでしたが、同契約締結以降の累計は 3 先(6 回)となりま
 した。
  また、2018 年 3 月に高知県下の中小企業等の経営健全化に資する目的で、税理
 士や弁護士などで設立された「一般社団法人ビジネスサポートこうち」には、当
 行もその設立趣旨に賛同し立ち上げから深く関与させていただいており、同法人
 と連携して、中小企業再生支援協議会への事業承継も含めた再生支援申込を行う
 などの取り組みを行っております。




                       26
②ビジネスマッチング機能の強化
 第二地方銀行協会加盟行が主催する「地方創生『食の魅力』発見商談会 2018」
や高知県、高知県地産外商公社、四国銀行、JAバンク高知、幡多信用金庫との
 共催による商談会への出展支援を行っております。2018 年 6 月に開催された「地
 方創生『食の魅力』発見商談会 2018」ではお取引先企業 18 社の出展支援を行っ
 ており、多数の商談が継続交渉されております。また、当行主催による個別商談
 会「首都圏バイヤー商談会 2019」の開催を 2019 年 1 月に予定しております。
  また、
    「営業サポート情報」 の効果的な活用により、       2018 年度上期には 98 先 114
 件のビジネスマッチングを成約しており、引き続きソリューション提案ツールの
 一つとして活用してまいります。
  このほか、お取引先企業の様々なニーズや課題解決にお応えしていくために、
 外部機関との提携を進めており、2018 年 9 月末現在の業務提携先は 28 社となり
 ました。


③情報提供機能の活用
 経営改善支援活動をサポートするツールとして、財務診断分析資料をお取引先
に提供しており、財務分析の側面から導出される課題や解決策の共有を図るなど、
 本部と営業店が連携して情報提供に取り組んでおります。  2018 年度上期における、
 財務診断分析資料を提供したお取引先は 55 先となりました。
  また、
    「一般社団法人ビジネスサポートこうち」などと連携して、事業承継や各
 種制度対応などに関するセミナーを実施しているほか、同法人を構成している税
 理士や弁護士等との連携による個別相談会を毎月本店で開催しております。
  今後も、本部と営業店が連携してお取引先に対して的確なコンサルティングや
 ソリューション、ならびに有益な情報提供に努めてまいります。

 〔財務診断分析資料配布先数(表 18)〕              (単位:先)
                                       2018 年度
                  2016 年度    2017 年度
                                         上期
 財務診断分析資料配布先数         111         83        55



(3)早期の事業再生に資する方策
 ①ランクアップへの取り組み
   経営改善支援取組先は、債務者区分が要注意先以下の債務者とし、毎年 3 月末
  日および 9 月末日を基準日として取組先の見直しを実施しております。
   2018 年度上期は、141 先を経営改善支援取組先として選定して、営業店との帯
 同訪問や、
     「軒先顧客管理システム」を活用したモニタリング指導を行うなど、本
 部と営業店が一体となって下記の支援方法に基づいた経営改善支援活動に取り組
 んだことから、8 先において債務者区分がランクアップしました。


                            27
〔ランクアップの実績(表19)
              〕                                (単位:先、%)
                                                       2018年度
                2015年度       2016年度       2017年度
                                                         上期
 ランクアップ先数            17            28           12              8

 経営改善支援取組先数         205            201         154          141

 ランクアップ率            8.3           13.9         7.8          5.6

〔経営改善計画策定先数(表20)
               〕                                       (単位:先)
                                                       2018年度
                2015年度       2016年度       2017年度
                                                         上期
 経営改善支援取組先のうち
                     12            19           14           19
 経営改善計画策定支援先

 経営改善計画策定完了先数            8         16              8         15

 経営改善計画策定未了先数            4            3            6            4


 ②中小企業再生支援協議会等との連携強化
  経営改善支援の取り組みについては、実現可能性の高い抜本的な経営改善計画
 を策定し、計画の完遂に向けた活動の積極的な支援に取り組んでおり、その計画
 策定にあたっては外部機関と連携して多角的な検討を行うことで、経営改善の実
 現可能性向上に努めております。
  当行のお取引先は中小企業が主体であることから、特に中小企業再生支援協議
 会との連携強化を図るとともに、さらなる事業再生支援能力の向上のために中小
 企業基盤整備機構等が主催する事業再生に関するセミナーへ行員を参加させるな
 ど、支援機能の強化に努めております。なお、2018 年度上期の中小企業再生支援
 協議会への持込は 6 件の実績となりました。
  引き続き、中小企業再生支援協議会と連携を強化のうえ、お取引先の経営改善
 支援に努めてまいります。

〔中小企業再生支援協議会持込先数(表21)
                    〕                                       (単位:先)
                                                            2018年度
                    2015年度        2016年度       2017年度
                                                              上期
 中小企業再生支援協議会持込先数             7             7            5            6



(4)事業の承継に対する支援に係る機能の強化のための方策
   中小企業経営者層の高齢化が進展するなかで、後継者を確保できていないケース
 や、後継者不足を原因にやむを得ず廃業するケースが見受けられます。
   こうした環境を踏まえ、当行では、「高知県事業引継ぎ支援センター」等の公的
 支援機関や、 ビジネスマッチング契約を締結しているみずほ証券株式会社や株式会
社日本M&Aセンター、株式会社ストライク等の外部専門機関と連携を図り、事業
承継支援に取り組んでおります。
 また、2018 年 4 月には、当行が設立段階から深く関わり 2018 年 3 月に高知県内
士業専門家等で設立された    「一般社団法人ビジネスサポートこうち」 「業務連携・
                                        と
                             28
協力に関する覚書」を締結しました。同法人との連携による個別相談会や外部機関
との連携により、2018 年度上期の事業承継支援件数は 20 件となりました。このほ
か、同法人との連携事業として、改正事業承継税制などをテーマとした中小企業事
業者向けセミナーを 2 回開催し、延べ 84 事業者 97 名に参加いただきました。
 事業承継支援では法務・税務の専門知識が必要であり、今後も外部機関との連携
を密にして、中小企業等の事業課題解決に向けたサポートに努めてまいります。


(5)金融の円滑化を図るための取り組み
 ①金融円滑化体制の整備状況
  2009 年 12 月の中小企業金融円滑化法の施行を受けて、2010 年 1 月に「金融円
 滑化基本方針」を制定、公表するとともに、    「金融円滑化管理規程」を制定し、金
 融円滑化管理態勢を整備しております。
  また、2013 年 12 月に公表された「経営者保証に関するガイドライン」の趣旨
 を踏まえた態勢を整備しております。


 ②金融円滑化措置の状況
  中小企業金融円滑化法の趣旨に鑑み、中小規模事業者等のお取引先や住宅資金
 借入をご利用中のお取引先等から、貸付条件変更等のお申込みがあった場合には、
 当該お取引先の実態を把握して、そのライフステージや事業の持続可能性を見極
 めて真摯な対応を行っております。また、貸出条件等の変更に係る措置の状況に
 ついて定期的に開示しております。
  同法は 2013 年 3 月 31 日に終了しましたが、同法終了後もこれまでと取組方針
 が変わらないことを全役職員に周知徹底しております。引き続き、コンサルティ
 ング機能を発揮した事業再生等の経営改善支援活動に積極的に取り組んでまいり
 ます。

〔貸付条件の変更等の実施状況(表 22)(2018 年 9 月 30 日現在)
                    〕                        (単位:件)

                  申込み
                           実行       謝絶     審査中    取下げ
 中小企業のお客さま        19,071   18,187    374     96    414
 住宅資金借入れのお客さま       706      492     119      0     95


(6)地域貢献への取り組み
 ①地方公共団体との連携による地域経済活性化支援
   2012 年 1 月に高知県と当行は、「業務連携・協力に関する包括協定」を締結し
 て様々な連携活動を行っており、   「高知県産業振興計画」における地域アクション
 プランにも積極的に関与しております。2018 年度に設定された地域アクションプ
 ランは、県内 7 地域において 236 事業あり、地域連携ビジネスサポート部の担当
 者と各エリア統括店の営業店長  (地域連携ビジネスサポート部兼務)  が連携して、

                            29
高知県が各地域に配置している地域産業振興監等とのリレーションを強化し、各
種事業に積極的に関与しております。
 高知県下の地方公共団体との連携については、高知県内の 10 市町と「地域再
生・活性化支援に関する連携・協力協定」を締結しております。協定を締結した
10 市町とはそれぞれ協議会を開催するなど、各地域の地方創生に向けた様々な取
り組みを支援しております。
  また、地方創生に向けた取り組みをより一層強化していくため、2015 年 2 月に
「地方創生サポートデスク」を設置し、地方公共団体の地方版総合戦略の推進に
ついて、本部と営業店が連携・協力して当行が持つ情報やノウハウ等を提供する
など、地域経済活性化のサポートに向けた取り組みを行っております。
 さらに、高知市をはじめとした 14 市町村から地方版総合戦略推進委員を委嘱さ
れ、活動しております。

②高知工業高等専門学校との共催による「こども金融・科学教室」の開催
 地域のこどもたちへの金融知識の普及と併せ、科学に親しみながら学ぶことを
目的とした「こども金融・科学教室」を、高知工業高等専門学校と共同で 2008 年
より毎年開催しておりますが、より多くの皆さまにご参加いただきたいと考え、
2010 年以降は高知県内各地において年 2 回開催しております。2018 年度は、8 月
に「お金とくらし」  「シャカシャカ発電機を作ろう!」と題して本店にて開催し、
児童 55 名、保護者 46 名の合計 101 名に参加いただきました。
  学校では体験できない授業を保護者と一緒に学びながら親しんでもらえるよう
工夫して取り組んでおり、今後も、地域の未来を築くこどもたちの健全な育成に
向け継続的に開催してまいります。


③高知大学との連携による「こどもサッカー教室」の開催
 地域のこどもたちを対象に、競技の普及やジュニアの育成を通じて地域のスポ
ーツ振興に貢献していくことを目的とした「こどもサッカー教室」を高知大学と
共同で 2010 年より毎年開催しており、2018 年度も 10 月(野市教室)、11 月(黒
潮教室)11 月(春野教室)の 3 教室を開催いたしました。このうち、春野教室で
は、一般社団法人高知県サッカー協会等との共催による交流戦として「第 5 回こ
うぎんカップU-10 ジュニアサッカー大会」を開催いたしました。
 高知県のスポーツ振興に貢献することを目的に、今後もより多くのこどもたち
にご参加いただけるよう、継続して取り組んでまいります。




                     30
Ⅵ.剰余金の処分の方針
1.配当に対する方針
  2018 年 3 月期は、普通株式は 1 株当たり中間配当 1 円、期末配当 15 円(※)、
 優先株式は発行要項の定めに従い 1 株当たり中間配当 98 銭、期末配当 14 円 73 銭
 (※)の配当を行いました。
  2018 年 9 月期の利益剰余金は 228 億円となり、前倒しで積上げができておりま
 すが、さらに積上げを図るべく取り組んでまいります。
 ※2017 年 10 月 1 日付で普通株式 10 株につき 1 株の割合で株式併合を実施しましたので、2018
  年 3 月期の 1 株当たりの期末配当金については、当該株式併合の影響を考慮した金額を記載
  しております。


 〔当期純利益、利益剰余金の推移・計画(表 23)〕                                            (単位:億円)
               2010/3   2011/3   2012/3   2013/3   2014/3   2015/3   2016/3   2017/3
               期実績      期実績      期実績      期実績      期実績      期実績      期実績      期実績
  当期純利益            13       21       30       19       30       38       29       21
  利益剰余金            53       73       97      112      137      171      196      212
    利益準備金           1        2        3        4        5        6        7        8
    その他利益剰余金       51       71       94      108      132      164      189      204
               2018/3   2018/9   2019/3   2020/3   2021/3   2022/3   2023/3   2024/3
               期実績      期実績      期計画      期計画      期計画      期計画      期計画      期計画
  当期純利益            16        5       15       15       16       15       15       15
  利益剰余金           224      228      235      245      257      267      277      287
    利益準備金           8        9        9       10       11       12       13       14
    その他利益剰余金      215      219      225      235      246      255      264      273


2.役員に対する報酬および賞与についての方針
  社内取締役の報酬は基本報酬と業績連動型株式報酬で構成しており、社外取締役
 および監査役は独立性を明確にするため基本報酬のみとしております。
 2017 年度に業績連動型株式報酬制度を導入して以降、ストックオプションによる
新規の新株予約権付与は行わないこととしております。同制度は、当行の業績およ
び株式価値と取締役の報酬との連動性をより明確にするもので、取締役が中長期的
な業績向上と企業価値の増大に貢献する意識を高めることを目的としております。
 また、経営陣の指名・報酬に関する手続きの公正性・透明性・客観性を強化する
ため、2018 年 11 月に取締役会の任意の諮問機関として「指名報酬委員会」を設置し
ました。委員構成は社内取締役 1 名、社外取締役 3 名、社外監査役 3 名の 7 名で、
委員長は社外取締役が務めることとしております。
 当行はこれまでも、報酬総額の削減による利益の社外流出を抑制してまいりまし
た。今後も、取締役に対する報酬カットを継続していくとともに、役員賞与も不支
給といたします。



                                     31
Ⅶ.財務内容の健全性および業務の健全かつ適切な運営の確保のための方策の進捗状
 況
1.経営強化計画の運営管理
  経営強化計画に基づく各種施策については、四半期ごとに所管部および関係部署
 が推進状況を分析し、課題の抽出と課題への対応策等を検討しております。これら
 のプロセスは取締役会に報告しており、取締役会は各施策の検証ならびに実効性を
 高めるための指示を行うなど、経営陣も積極的に関与してPDCAを実践し、経営
 強化計画の達成に向けた運営管理を行っております。
  また、経営強化計画の履行状況や財務状況については、半期ごとに社外の有識者
 等第三者で構成する「経営評価委員会」に報告し、意見交換を実施しております。
 今後も、各委員からの客観的な評価および助言等を経営に反映してまいります。


2.内部監査態勢の強化
 (1)内部監査部門の態勢整備
    当行の内部監査は、業務運営の健全性と適切性の確保に資することを基本方針に
  掲げ、リスク管理を含む内部管理態勢の適切性、有効性を検証・評価し、経営の健
  全性確保に資することを目的としております。監査の実施にあたっては、オフサイ
 ト・モニタリングおよびリスクアセスメントの結果を踏まえ、リスクベース・アプ
 ローチの観点から行っております。
  監査部署における問題点の発見・指摘事項については、発生に至った背景や根本
 原因を分析するとともに、発生頻度、影響度およびリスクの重要度を評価して改善
 に向けた提言・提案等を行っております。また、監査結果に基づき被監査部店より
 指摘事項に対する改善計画書と、その実施状況の証跡の提出を求め改善に向けての
 定着度を確認しております。
  また、取締役会が内部管理態勢を適切に把握し的確な指示が行えるよう、監査結
 果を取締役会に定期的に報告して内部監査の適切性、有効性確保に努めております。
  2018 年 4 月には、適切な業務運営に向け、内部監査部門の品質の維持・向上を
 図ることを目的に、内部監査の実施状況を評価する「定期的内部評価」を初めて実
 施しました。同評価は、    「内部監査品質評価アンケート」および「内部監査品質評
 価チェックリスト」等を基に、リスク評価、監査計画および監査業務役への教育・
 研修等の品質評価事項などをそれぞれ評価しており、結果については取締役会に報
 告しております。
  さらに、今期より内部監査を通じ、監査項目を絞り込み重要なリスクを洗い出す
 とともに、リスクが大きいと認められるテーマについて優先的に取り組んでまいり
 ます。




                    32
(2)監査役との連携
   監査部は、監査講評および監査評定会等において、監査計画、監査結果および監
 査で得た情報等について、監査役に定期的かつ随時に報告を行うとともに、意見交
 換等を行っております。今後も、監査役との連携を一層強化して、内部統制プロセ
 スの有効性の確保、ならびに内部監査の高度化および品質の維持・向上に努めてま
 いります。


(3)監査法人との連携
  監査法人による財務諸表監査や財務報告に係る内部統制報告書、および資産査定
 監査の有効性検証の過程において、監査法人との緊密な連携を図っております。今
 後も意見・情報交換等を深めながら、相互の効率性かつ適切性の確保に努めてまい
 ります。


3.各種のリスク管理の状況および今後の方針等
  当行は、リスク管理の基本方針として「リスク管理方針」を制定し、信用リスク、
 市場リスク、流動性リスク、オペレーショナル・リスクについてそれぞれの統括管
 理部署を定め、管理しております。また、リスク管理のPDCAサイクルを確保す
 るための施策として、毎期初に「リスク管理プログラム」を策定しており、同プロ
 グラムの進捗状況について定期的にリスク管理委員会で審議・検証することで、リ
 スク管理の実効性確保に努めております。


(1)流動性リスク管理態勢
   流動性リスク管理につきましては、主管部署を市場金融部として「流動性リスク
 管理規程」や「流動性危機対策実施規程」を定めて管理しており、さらに適切に管
 理するための施策として、毎期初に「流動性リスク管理プログラム」を策定したう
 えで、 管理状況について定期的にリスク管理委員会および取締役会に報告しており
 ます。
  なお、市場金融部においては「資金繰り管理部門(キャッシュフロー管理)」を
 市場運用室が、
       「流動性リスク管理部門(ALM管理)」を市場事務室がそれぞれ担
 うことにより相互牽制機能を確保する態勢としています。
  また、リスク統括部署である経営統括部は、LCR(流動性カバレッジ比率)に
 ついて取り纏めのうえ、モニタリングを行いリスク管理委員会に報告しており、リ
 スク統括部署やリスク管理委員会において、管理の適切性を検証する態勢としてい
 ます。
  さらに、リスク主管部では各種ストレス事象を想定したストレス・テストを定期
 的に実施し、当行固有のリスク特性を踏まえた流動性リスク管理の適切性確保に努
 めるとともに、震災等による急激な資金繰り悪化に備え、緊急時の資金調達先の維
 持や拡大を図ってまいります。


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(2)オペレーショナル・リスク管理態勢
   オペレーショナル・リスク管理につきましては、リスク顕現化の未然防止と、発
 生時の影響を極小化することを基本方針としております。オペレーショナル・リス
ク統括管理部署の経営統括部、事務リスク・システムリスクの主管部の事務システ
ム部、法務リスクの主管部のコンプライアンス統括部が、リスクの状況についてモ
ニタリングを行うとともに、業務運営部署を指導・監督しております。
 特にシステムリスクにつきましては、金融機関のシステムは、社会インフラとし
ての公共性が高く、障害等発生時の影響が社会にも大きな影響を与えることになり、
安全対策基準を定めて管理をしております。最近では、サイバーセキュリティー対
策に注力しており、次世代ファイアーウォールの導入やインターネット環境の分離
などの対策を実施いたしました。
 今後も更なる高度化に努めてまいります。


(3)業務継続体制の整備
   当行は、金融が経済活動を支える重要な社会インフラであると認識し、災害等発
 生時においても、 現金供給や資金決済などの金融機能を維持するために業務継続計
 画(BCP)を策定し、平時より体制整備に取り組んでおります。
 また、BCP態勢の実効性向上に向けて全銀協が主催する業界横断的な訓練への
参加や、安否確認等を主体とした当行独自の訓練に定例的に取り組んでおります。
 今後も訓練や研修等の継続により、職員の防災やBCPに対する意識の向上を図
るとともに、訓練の結果等を踏まえた体制の見直しなどから更なる向上に努めてま
いります。
                                   以   上




                  34