8358 スルガ銀 2019-04-12 15:40:00
業務改善計画の主な進捗状況等について [pdf]

                                             2019 年 4 月 12 日
各   位
                          会社名      スルガ銀行株式会社
                          代表者名     取締役社長      有國 三知男
                                 (コード番号 8358 東証第 1 部)
                          問合せ先     上席執行役員
                                   総合企画本部長 秋田 達也
                                     (TEL 03-3279-5535)




             業務改善計画の主な進捗状況等について


 当行は、2018 年 10 月 5 日、銀行法第 26 条に基づき、金融庁から、業務の一部停止命令
および業務改善命令を受けました。これを受け、2018 年 11 月 30 日に金融庁に業務改善計
画を提出し、以後、12 月末時点を初回として 3 ヶ月毎に、業務改善計画の進捗状況を金融
庁に報告しております。
 業務停止命令については、本日 2019 年 4 月 12 日が業務停止期間の終了日であることか
ら、これまでの業務改善計画の主な進捗状況等について、公表させていただきます。


1. 業務改善計画の主な進捗状況について
(1) 経営責任の明確化
        「取締役等責任調査委員会」の調査結果を踏まえ、シェアハウスおよびその他投
    資用不動産に係る不適切な融資に関する現旧経営陣の責任追及のため、総額 35 億円
    の損害賠償請求訴訟を 2018 年 11 月 12 日付で提起いたしました。また、創業家ファ
    ミリー企業向けの不適切な融資に関する現旧経営陣の責任追及のため、既に申し上
    げました 35 億円とは別に、総額 32 億円の損害賠償請求訴訟を 2018 年 12 月 27 日付
    で提起いたしました。


(2) ガバナンス態勢の再構築の状況
        ① 2018 年 11 月に設置いたしました須藤英章弁護士を委員長とする「コンプライ
         アンス体制再構築委員会」
                    (以下、再構築委員会という。)は、当行コンプライ
         アンス体制の抜本的な改革を推進しております。具体的には、以下のような活
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動を行なっております。


<コンプライアンス憲章の策定・宣言>
 当行役職員による全ての行動・判断の基準となるコンプライアンス憲章を策
定・宣言いたしました。コンプライアンス憲章は以下の内容を定めています。
 ① お客さま本位の業務運営
 ② 誠実かつ公正で透明性のある企業活動
 ③ 健全な職場環境の確保
 ④ 反社会的勢力との一切の関係遮断
 ⑤ 当事者意識を持った行動
<3 つの防衛線の明確化>
 コンプライアンス リスク管理の枠組みである つの防衛線」
         ・            「3     を明確にし、
第 1 線である営業店の支店長に対するリスク・オーナーシップ醸成のための教
育・研修の徹底、営業店に第 2 線の役割を持つコンプライアンス・リーダーの
配置、第 2 線であるコンプライアンス統括部を強化するための教育・研修の徹
底、 3 線としての内部監査部による独立した検証態勢の確立をしております。
  第
<コンプライアンス・プログラムの策定>
 コンプライアンス推進およびコンプライアンス・リスク管理の具体的な行動
計画として、2019 年度上期のコンプライアンス・プログラムを策定いたしまし
た。同プログラムにおいては、コンプライアンス憲章の理解・浸透を図るため
の活動や、3 つの防衛線それぞれによるリスク管理能力の向上、内部通報等リ
スク情報への適切な対応、反社会的勢力との関係遮断およびマネー・ローンダ
リング対策、テロ資金供与対策を重点的に推進することとしております。
<コンプライアンス委員会の再設置等>
 2019 年 4 月にはコンプライアンスに関する審議体として、コンプライアンス
委員会を再設置したほか、不正行為等のリスク情報に対応して、再構築委員会
への情報集約を行なうとともに、調査チームの編成や調査指示等も行なってお
ります。
 なお、コンプライアンス委員会は、当面の間、再構築委員会の指導・監督の
もとに活動してまいります。


 上記のとおり、再構築委員会は、コンプライアンス全般の制度設計、運用、
モニタリング、改善施策の実施等に取り組んでまいりました。
 加えて、再構築委員会内に、マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対
策、内部通報等対応、顧客本位の業務運営・コンプライアンスに対する研修・
教育、ならびに内部監査高度化について、それぞれ分科会を設け、外部の専門
性のある弁護士を配置して機能強化に取り組んでおります。
                 2
    ② 2018 年 6 月に設置した「企業文化・ガバナンス改革委員会」においては、内部
     統制の基本方針等、ガバナンスの基底部分の改革を行なっております。同委員
     会は、実質的に指名・報酬委員会の機能を果たしており、支店長等幹部行員の
     登用、業績評価制度の点検等について、鋭意取り組んでおります。
    ③ ガバナンス体制の更なる強化に向け、取締役会の監督機能を充実させるべく、
     2019 年 6 月開催の定時株主総会において、監査等委員会設置会社への移行を準
     備しております。


(3) 健全な企業文化を醸成するための、全行員に対する研修の実施状況
    「顧客本位の業務運営」「コンプライアンスの徹底」「健全な職場環境の整備」
              、             、
   を実践する目的で、全行員が融資業務等の基本的素養、法令等の遵守や公的使命感、
   顧客本位の精神等に関して、銀行員として備えるべき知見を基礎から身に付けるた
   めに、一定期間、通常業務から離れた上で各種研修を実施し、健全な企業文化の醸
   成を図ってまいりました。
    加えて、全行員を対象としたコンプライアンス・スタディ(現場でのケース・ス
   タディに基づき議論を行なう勉強会) 議論を活発化させるためのファシリテーショ
                    、
   ン研修、融資業務担当者を対象にした融資基礎力強化研修、中途採用者向け特別研
   修などを実施しております。
    また、全ての研修につき、効果測定を実施しております。
   【研修の実施状況】
   ① 全行員向け研修
     2018 年 12 月 17 日から 2019 年 3 月末まで、各階層毎に計 6 日間の全行員向け
    研修を実施いたしました。同研修は、経営幹部はじめ行員一人ひとりが理解・納
    得したうえで、新しいスルガを自ら創る布石となるカリキュラム(特に「コンプ
    ライアンス」
         「業務知識」
              「ハラスメント」を強化)を採用いたしました。
     カリキュラムは、全て外部講師の知見を取り入れ、当行内のルール・認識と、
    外部との違いを客観的に把握いたしました。また、聴講のみのカリキュラムは排
    除し、自らの頭で考えるカリキュラムを構成し、「個人ワーク→グループワーク
    →グループ・受講メンバー間での共有」という一連の流れを意識した双方向型の
    研修を実施いたしました。
   ② コンプライアンス・スタディ
      過去に発生したハラスメント・法令違反に関する事例を題材に、双方向での
     議論を取り入れた勉強会を、これまでに全本部および各店舗で各 4 回実施いた
     しました。
   ③ 融資基礎力強化研修
      営業店の全融資担当役席者(284 名)を対象として、融資基礎力強化研修(丸
     1 日かけてコンプライアンス、審査、融資管理等 6 テーマを履修)を実施いたし
                         3
       ました。
   ④ 中途採用者向け特別研修
        中途採用者(108 名)に対しては、全行員向け研修に加え、金融のプロとして
       の高い倫理観と専門性を身につけることを主旨とした丸 1 日の研修を実施いた
       しました。
   ⑤ コンプライアンス・オフィサー資格の全行員取得
        全行員のコンプライアンス意識の醸成のために、主として営業店の管理職、
       コンプライアンス担当者等が取得する一般社団法人金融財政事情研究会主催の
       「コンプライアンス・オフィサー銀行コース」を全行員に受験させております。
       4 月 10 日時点での合格率は約 91.4%であり、4 月中には全行員の取得を目指し
       ております。
   ⑥ その他
        集合研修以外にも更なる学びの場を提供すべく、新たに全行員を対象に「動
       画研修」を 3 月 28 日から開始いたしました。今後も、研修の内容を適宜動画に
       て配信し、より多くの行員が学び、知見を深められるよう取り組んでまいりま
       す。
   ※ これらの研修については、2019 年度以降の人材育成計画において継続して実施
       してまいります。


(4) 投資用不動産融資の全件調査の状況
   全件調査対象の融資物件数は 38,000 件程度です。調査手順は以下のとおりです。
   ① 調査対象物件を所有するお客さまに対してアンケートを発送(約 23,000 人)、
       同時にお客さま手元保管資料の提供を要請
   ②   アンケート返送とともに提供を受けたお客さまの手元保管資料と当行保管の審
       査資料との突合
   ③   手元保管資料のご提供のないお客さまについては、当行保管の審査資料を精査
       (② および③については、外部の不正調査専門チームの協力を受けました。)
   ④   当行へ寄せられた苦情や不芳情報を基にした調査
   ⑤   不正または不正の疑いがある案件について、当行担当者の関与を明らかにする
       ため、弁護士チームによる当行担当者に対する個別ヒアリング


       調査は終了しているものの、現在、調査結果の取りまとめ段階であり、この作
    業には今しばらくの時間を要します。最終的な調査結果の公表は、5 月中旬に予定
    しております決算発表時とさせていただきます。また、調査の結果、その不正案
    件への関与が判明した当行担当者に対しては、厳正な処分を実施いたします。


(5) 反社会的勢力の排除、マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策に係る管理
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   態勢の確立の状況
    これまで、複数部署で分担しておりました反社会的勢力の排除、マネー・ローン
   ダリングおよびテロ資金供与対策に係る業務を集約し、コンプライアンス統括部内
   に専門部署として「AML/CFT(マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与防止)
   対策室」を設置いたしました。
    同室においては、日本弁護士連合会民事介入暴力対策委員会副委員長である竹内
   朗弁護士が代表を務めるプロアクト法律事務所の指導のもと、反社会的勢力の排除、
   マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策に係る業務の抜本的な見直し、規
   程類の整備からシステム対応、反社会的勢力との取引解消に至るまで、全般的な体
   制整備を行なっております。
    なお、2018 年 10 月 5 日付け業務改善命令において、金融庁から指摘を受けまし
   た「反社会的勢力との取引の管理態勢の不備」については、反社会的勢力との疑い
   のある先に対する対応方針を明確化する規程および業務手続等の改定を行ない、そ
   の対応方針に基づき警察への照会を徹底し、取引解消または取引解消の手続きを行
   なっております。
    不備の再発防止のために、改定した反社会的勢力との取引にかかる規程および業
   務手続等を周知徹底するとともに、人為的なミスを防止するため、反社会的勢力に
   よる新規口座開設をブロックするシステム構築を完了し、運用を開始しております。
    また、同じく指摘を受けました「法人取引における疑わしい取引の検知態勢の不
   備」および「法人の実質的支配者の確認の不備」につきましては、不備を防止する
   ためのシステム構築を完了し、運用を開始しております。


(6) 信用リスク管理態勢の確立の状況
    投資用不動産融資について、マーケットデータや将来の賃料下落予想等から物件
   毎の DSCR(借入償還余裕率)や対象の不動産が将来生み出すであろうと予測される
   純利益と現在価値を総合した評価額(収益価格)を算出する外部システムを導入し、
   今後の投資用不動産融資に活用いたします。第三者機関の客観的データに基づく評
   価により、レントロールの改ざん等の不芳案件を排除してまいります。
    なお、保有資産や収入等の確認書類については、お客さまから原本を直接受領・
   確認し、その履歴を記録として残すことの徹底や、お客さまの意向確認、契約時の
   理解状況の確認を検証、記録することの徹底を行ないました。
    また、投資用不動産融資をはじめとする不動産担保融資に関係する不動産売買仲
   介会社および家賃保証会社、サブリース会社、建設業者、ならびに融資案件に関係
   する個人を一元的に管理する「不動産関連業者管理システム」を構築し、社内の反
   社会的勢力データベースおよび外部からの情報も取り込んだうえで、不芳案件の排
   除、信用リスク管理を強化しております。
    審査部門の独立性を確保し、牽制機能を十分に発揮すべく、2018 年 12 月から、
                      5
   審査本部長の職責レベルを変更し、上席執行役員に引き上げております。


(7) 内部監査態勢確立の状況
    内部監査に関しては、再構築委員会の弁護士および外部専門機関の指導のもと、
   当行の固有リスクを踏まえたリスクアセスメントを実施し、その結果に基づき実施
   するリスクベース監査の試行を 2019 年 3 月までに完了し 4 月以降本格導入すること
   で、スリーライン・ディフェンスの第 1 線である営業店のリスク・オーナーシップ
   の発揮状況や、第 2 線である審査部の独立性等についてモニタリング・評価を行な
   い、取締役会へ報告するとともに、監査役会との連携も強化いたします。内部監査
   の実効性を評価する品質評価については、引き続き外部専門機関の指導のもと、個
   別監査の都度、また定期的にセルフチェックを実施し、監査品質の維持、向上を図
   るとともに、定期的に外部の品質評価を受け、更なる高度化を図ってまいります。
    また、内部監査部門の権限を強化し、牽制機能を十分に発揮すべく、2018 年 12
   月から、内部監査部長の職責レベルを変更し、上席執行役員に引き上げております。


(8) ファミリー企業との取引解消の状況
    創業家保有株式の売却および債権回収の交渉は、外部専門家をメンバーとする対
   応チームを組織し、法的側面、実務面等から当行として取り得るあらゆる選択肢を
   検討しつつ、鋭意行なっております。そうした中、ファミリー企業向け融資につい
   ては、期限の到来した貸出金について、預金との相殺、ファミリー企業保有不動産
   の売却等を通じて、順次回収を進めております。
    また、現在、当行は、経営の抜本的改革をさらに推し進め、経営の安定化を図る
   ため、提携について、候補先との具体的な協議を行なっているところです。ファミ
   リー企業が保有する当行の株式については、当該提携交渉も踏まえつつ、資本関係
   の解消に向けて取り組んでまいります。


(9) シェアハウス向け融資およびその他投資用不動産融資に関して個々の債務者に対し
   て適切な対応を行なうための態勢の確立の状況
    シェアハウス向け融資につきましては、現在までのところ、約 890 名のお客さま
   と交渉を行なっており、そのうち約 90%のお客さまと金利引下げ、返済条件変更の
   契約を締結しており、引き続き真摯に対応を行なってまいります。
    また、元本カットにつきましては、その税務上の取扱いについて確認を行なうな
   どしてまいりました。その取扱いについては、当行の不正行為によりお客さまの資
   産に生じている損害の補てんとして元本カットを実施する場合には、原則として、
   お客さまに所得税が課税されないことを確認しております。今後、これに基づき、
   可能な限り早期に元本カットの基準を確定させ、個別のお客さまの状況に応じて対
   応させていただきます。その際には、お客さまには、シェアハウス等顧客対応室に
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   お越しいただけますよう、別途ご案内いたします。


2. 投資用不動産融資の再開時期について
   業務の一部停止命令の対象となった投資用不動産融資、居住面積が1/2 に満たない
  賃貸併用住宅ローンについては、全件調査の取りまとめが完了し、投資用不動産融資
  に係る問題の全容を明らかにし、コンプライアンス体制再構築委員会による再開の承
  認を得たうえで、 月中旬に予定しております決算発表後に再開していくことを予定し
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  ております。営業体制については、まずはコンプライアンスに万全を期すべく、投資
  用不動産融資を専門的に扱うチームを少人数で組成し、メンバーにはコンプライアン
  ス統括部および審査本部経験者も配置する形で再開する予定です。
   また、不芳不動産関連業者を排除するため、「不動産関連業者管理システム」への情
  報入力、更新等を徹底し、不動産関連業者のみならず、その担当者個人の情報も適切
  に管理いたします。
   なお、過剰なノルマが不正の温床となったことを鑑み、当該部署では当面の間は目
  標設定をせずに、コンプライアンスを第一としてお客さまのニーズに対応してまいり
  ます。


3. 個人ローンの調査について
   当行行員が詐欺的商法に関与した疑いがあるとの報道を受け、現在、当該事案を含
  め、個人ローン全般について、デート商法を典型とする詐欺的商法への当行行員の関
  与の有無等について過去のお客さまからの苦情の分析、フォレンジック、弁護士によ
  る行員ヒアリング等の調査を行なっております。結果については、投資用不動産融資
  の全件調査の公表に合わせてお知らせできるよう作業を進めております。


4. 臨時株主総会の開催見送りについて
   2018 年 11 月 14 日付の 2019 年 3 月期第 2 四半期決算短信において、当行から責任追
  及訴訟を提起されている現職取締役を交代させるため臨時株主総会をできる限り早急
  に開催する旨、お伝えいたしました。既述のとおり、現在、当行は、経営の抜本的改
  革をさらに推し進め、また、経営の安定化を図るため、提携について、候補先との具
  体的な協議を行なっているところです。協議においては、役員人事も当然に含まれて
  いることから、定時株主総会と極めて近接した日程での臨時株主総会開催は現実的で
  はないと判断し、臨時株主総会の開催は見送り、定時株主総会で次期経営体制をお示
  しさせていただきます。
                                                     以上




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