8349 東北銀 2019-03-01 17:45:00
平成30年9月期における経営強化計画の履行状況について [pdf]

                                         平成31年3月1日

各   位
                  会 社 名   株式会社 東 北 銀 行
                  代表者名    取締役頭取 村 上 尚 登
                            (コード番号 8349 東証第一部)
                  問合せ先    経営企画部長   千 葉 泰 之
                                   (TEL.019-651-6161)


        平成 30 年 9 月期における経営強化計画の履行状況について



 株式会社東北銀行(頭取 村上 尚登)は、金融機能の強化のための特別措置に関する法律に
基づき、平成 30 年 9 月期における経営強化計画の履行状況をとりまとめましたのでお知らせい
たします。
 詳細につきましては、別添「経営強化計画の履行状況報告書」をご参照ください。


                                                     以 上
経営強化計画の履行状況報告書




    平成30年12月
                                        目 次

1.平成 30 年 9 月期決算の概要 ................................................................ 1
 (1) 経営環境 ................................................................................ 1
 (2) 決算の概要 .............................................................................. 1
   ①    資産・負債の状況 ...................................................................... 1
   ②    損益の状況 ............................................................................ 2
   ③ 自己資本比率 .......................................................................... 4
2.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化その他当行が主として業務を行っている地域にお
 ける経済の活性化に資する方策の進捗状況 .................................................... 4
 (1) 中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化のための方策 .................................... 4
   ①    岩手県の経済環境及び復興状況 .......................................................... 4
   ②    経営計画 .............................................................................. 8
   ③    中小規模の事業者に対する信用供与の実施体制の整備のための方策 ......................... 12
   ④    担保又は保証に過度に依存しない融資の促進その他の中小規模の事業者の需要に対応した
       信用供与の条件又は方法の充実のための方策 ............................................... 19
 (2) 被災者への信用供与の状況及び被災者への支援をはじめとする被災地域における東日本大震
   災からの復興に資する方策 ................................................................. 23
   ①    当行の体制(震災復興推進本部) ....................................................... 23
   ②    返済に関する柔軟な対応 ............................................................... 23
   ③    復旧・復興資金への対応 ............................................................... 24
   ④    復興支援住宅ローン、復興支援アパートローンによる被災者支援 ........................... 25
   ⑤    中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業等の活用支援 ................................. 26
   ⑥    東日本大震災事業者再生支援機構及び岩手(宮城)産業復興機構の活用支援 ................. 27
   ⑦    「個人版私的整理ガイドライン」の活用支援 ............................................. 29
 (3) その他主として業務を行っている地域における経済の活性化に資する方策 ...................... 29
   ①    創業又は新事業の開拓に対する支援に係る機能の強化のための方策 ......................... 29
   ②    経営に関する相談その他の取引先の企業に対する支援に係る機能の強化のための方策.......... 31
   ③    早期の事業再生に資する方策 ........................................................... 33
   ④ 事業の承継に対する支援に係る機能の強化のための方策 ................................... 36
3.剰余金の処分の方針 ...................................................................... 36
4.財務の健全性及び業務の健全かつ適切な運営の確保のための方策 ............................... 37
 (1) 経営管理に係る体制及び今後の方針 ....................................................... 37
 (2) 業務執行に対する監査又は監督の体制及び今後の方針 ....................................... 37
 (3) 与信リスクの管理(不良債権の適切な管理を含む)及び市場リスクの管理を含む各種リスク管
    理の状況並びに今後の方針 ................................................................ 37
   ①    リスク管理体制 ....................................................................... 37
   ②    統合的リスク管理 ..................................................................... 38
   ③    信用リスク管理 ....................................................................... 38
   ④    市場リスク管理 ....................................................................... 39
   ⑤    流動性リスク管理 ..................................................................... 39
   ⑥    オペレーショナルリスク管理 ........................................................... 39
1.   平成 30 年 9 月期決算の概要


 (1)      経営環境
     平成 30 年度の国内経済は、生産活動は輸出の増勢鈍化などからややかげりがみられました
 が、雇用・所得環境の改善から個人消費が持ち直しの動きとなり、良好な収益環境を背景に企
 業の設備投資も増加するなど、緩やかな回復の動きが継続する展開となりました。
     このようななか、当行では“地域力の向上”をテーマとし、平成 28 年 4 月に新中期経営計
 画を策定し、
      『事業性評価に基づく金融支援・本業支援』 「復興」 「成長」
                          、
                          『    から   へ向けた支援』
                                          、
 『地域産業・企業の活性化支援』 3 つの基本戦略のもと中小事業者への積極的な支援に取組
                の
 んでまいりました。


 (2)      決算の概要


     ①    資産・負債の状況


      A   預金・譲渡性預金残高
          公金預金は前年同月比 42 億 75 百万円減少し 262 億 77 百万円となりましたが、個人預
      金は、同 68 億 90 百万円増加し 5,366 億 70 百万円、法人預金は同 23 億 89 百万円増加し
      2,708 億 87 百万円となったことから、預金等残高(譲渡性預金を含む)は同 50 億 4 百万
      円増加し 8,338 億 35 百万円となりました。


      B   貸出金残高
          中小企業等向け事業性貸出金が、前年同月比 225 億 11 百万円増加し、3,117 億 33 百万
      円となったことを主因として、貸出金残高は同 303 億 47 百万円増加し 5,665 億 38 百万円
      となりました。


      C   有価証券残高
          債券残高が、前年同月比 224 億 26 百万円減少し 1,315 億 21 百万円、投資信託等のその
      他の証券残高が同 404 億 20 百万円減少し 542 億 48 百万円となったことから、有価証券残
      高は同 600 億 58 百万円減少し 1,944 億 22 百万円となりました。




                                1
【資産・負債の状況】                                                     (単位:百万円)
                    29年9月末      30年3月末        30年9月末
                      実績          実績            実績        29年9月末比    30年3月末比
    資    産            877,820     855,256       883,050      5,230     27,794
        うち貸出金         536,191     552,482       566,538     30,347     14,056
          中小企業等向け
                      289,222       306,416     311,733     22,511      5,317
          事業性貸出

       うち有価証券         254,480       201,125     194,422   △60,058     △6,703
    負   債             841,166       818,971     845,833     4,667     26,862
       うち預金等          828,831       807,470     833,835     5,004     26,365
       うち借用金            5,230         5,218       5,111     △119       △107
    純 資 産              36,654        36,284      37,216       562        932


②   損益の状況


A   資金利益
    貸出金利息収入は増加したものの、有価証券利息配当金が減少したことから、資金利益
は前中間期比 3 億 47 百万円減少し 50 億 29 百万円となりました。


B   役務取引等利益
    生命保険・投資信託等の預り資産関連手数料や為替手数料が増加したこと等から、役務
取引等利益は前中間期比 95 百万円増加し 6 億 3 百万円となりました。


C   コア業務粗利益
    役務取引等利益は増加したものの、資金利益が減少したことから、コア業務粗利益は前
中間期比 2 億 53 百万円減少し 56 億 34 百万円となりました。


D   経費
    税金費用および過年度の投資に係る減価償却の終了などにより物件費が減少したこと
から、経費は前中間期比 2 億 29 百万円減少し 44 億 44 百万円となりました。


E   コア業務純益
    経費が前中間期比減少したもののコア業務粗利益も同減少したことにより、コア業務純
益は同 24 百万円減少し 11 億 89 百万円となりました。




                                2
 F   債券関係損益・株式関係損益
     国債等債券損益は海外の債券を投資対象とした投資信託について損失を計上したこと
 により△2 億 76 百万円となりました。また、株式等関係損益は 4 百万円となりました。


 G   与信関連費用
     与信関連費用は、貸倒引当金戻入益を計上したことを主因として前中間期比 2 億 49 百
 万円減少し、1 億 74 百万円の戻入益となりました。


 H   経常利益
     経常利益は、コア業務純益が減益となったものの貸倒引当金戻入益を計上したこと等を
 主因として、前中間期比2億5百万円増加し11億98百万円となりました。


 Ⅰ 中間純利益
     中間純利益は、前中間期比3億6百万円増加し10億21百万円となりました。


【平成30年9月期における決算業績(単体)】                          (単位:百万円)
                  29年9月期      30年3月期      30年9月期
                    実績          実績          実績        前中間期比
 コア業務粗利益              5,887      11,845       5,634      △253
     うち資金利益           5,376      10,479       5,029      △347
     うち役務取引等利益          508       1,038         603        95
 経  費                 4,673       9,128       4,444      △229
 コア業務純益               1,213       2,717       1,189      △24
 債券関係損益               △312       △1,606       △276         36
 一般貸倒引当金繰入額             △9           −           −          9
 業務純益                   910       1,110         913         3
 臨時損益                    82         255         285       203
     うち不良債権処理額          161         355          32      △129
     うち株式等関係損益           70         334           4      △66
     うち貸倒引当金戻入益          −           29         195       195
     うち償却債権取立益           77         112          12      △65
 経常利益                   993       1,365       1,198       205
 特別損益                   △4         △28         △66       △62
 当期(中間)純利益              715       1,085       1,021       306
 利益剰余金                9,117       9,265      10,047       930




                          3
     ③    自己資本比率
      自己資本比率は国内基準を採用しております。自己資本の額は、利益の積み上げにより前
     中間期比 6 億 5 百万円増加し 347 億 79 百万円となりました。また、リスクアセットの額は、
     中小企業等向け事業性貸出金が増加したことから同 242 億 19 百万円増加し 4,152 億 5 百万
     円となりました。以上のことから単体自己資本比率は、8.37%(同 0.37 ポイント低下)とな
     りました。連結自己資本比率は単体自己資本比率の低下を主因として 8.74%(同 0.45 ポイ
     ント低下)となりました。


2.   中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化その他当行が主として業務を行っている地域
 における経済の活性化に資する方策の進捗状況


 (1)      中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化のための方策


     ①    岩手県の経済環境及び復興状況


      A   岩手県の経済環境
          平成 30 年度上期の岩手県経済は、公共投資が前年の復興道路工事など大型工事の反動
      からマイナス基調となり、個人消費は持ち直しの動きにやや足踏み感がみられたほか、生
      産活動も一部で弱い動きとなりましたが、住宅投資は持ち家を中心に増勢となり、雇用情
      勢も改善が続くなど、全体としては引き続き緩やかな回復の動きとなりました。


      B   岩手県の復興の状況【平成 30 年 9 月末現在、資料出所:岩手県】


          ≪都市再生区画整理事業≫
          ○地区数
                 計画         工事中            完了
                 19 地区   9 地区(47%)      10 地区(53%)
          ○区画数
                 計画         工事中            完了
             4,911 区画    928 区画(19%)   3,983 区画(81%)




                               4
≪防災集団移転促進事業≫
○地区数
        計画         工事中            完了
       88 地区     4 地区(4%)      84 地区(96%)
○区画数
        計画         工事中            完了
   2,103 区画      34 区画(2%)    2,069 区画(98%)


≪災害公営住宅等整備事業≫
        計画         工事中            完成
       5,552 戸   148 戸(2%)    5,392 戸(97%)


≪海岸保全施設整備事業≫
○岩手県
        計画         工事中            完了
       105 箇所    46 箇所(44%)    59 箇所(56%)
○市町村
        計画         工事中            完了
       29 箇所     15 箇所(52%)    14 箇所(48%)


≪復興道路整備事業≫
○三陸沿岸道路
   事業化延長           工事中            供用中
       213 ㎞     113 ㎞(53%)    100 ㎞(47%)
○東北横断自動車道釜石秋田線
   事業化延長           工事中            供用中
        80 ㎞     17 ㎞(21%)     63 ㎞(79%)
○宮古盛岡横断道路
   事業化延長           工事中            供用中
        66 ㎞     42 ㎞(64%)     24 ㎞(36%)


≪漁港災害復旧事業≫
        計画         工事中            完了
       31 漁港     0 漁港(0%)     31 漁港(100%)




                      5
C   中小事業者の業況及び中小事業者が抱える課題の状況
    岩手県「被災事業所復興状況調査」では、定期的に沿岸 12 市町村の事業者を対象に復
旧・復興状況について調査を実施しております。平成 30 年 8 月の調査では、業績(売上
高)が「震災前と同程度又は上回っている」と回答した事業所の割合は 45.5%となり、前
回調査(平成 29 年 8 月)から 1.4 ポイント低下しております。業種別に見ますと「震災前と
同程度又は上回っている」と回答した事業所の割合は、建設業では 83.2%
                                   (前回調査比 0.9
ポイント低下)と高くなっておりますが、水産加工業では 33.0%(同 1.0 ポイント低下)と前回
調査時同様低い数値を示しております。
    また、事業者の抱える課題については「取引先の減少・販路の喪失」と回答した事業所
の割合が 54.2%(同 2.7 ポイント上昇)で最も高く、次いで「業績悪化」37.0%(同 1.1 ポイ
ント上昇)、
     「雇用・労働力の確保」34.8%
                    (同 1.1 ポイント上昇)と事業の本業に関わる課題が、
引き続き、高い割合を占めております。
    今回調査より「事業承継」に関する調査が新設され、事業承継を「する予定がある(す
るつもり) と回答した事業所の割合が 45.4%と最も高く、 まだ、
    」                        「    検討していない」 14.2%)
                                         (      、
「検討中である」
       (11.2%)
             、「しない」
                  (9.6%) となりました。
                        」       事業承継の予定がある場合、
後継者が「決まっている」と回答した事業所の割合は 68.1%、「決まっていない」と回答
した事業所の割合は 30.6%となりました。


    ≪業績(売上高)の変化≫




                        6
≪業種別売上高の変化≫
※震災前の売上を上回るまたは同程度と回答した事業者の割合
・建設業




・水産加工業




≪事業者の抱える課題の変化≫


                                 取引先の
         施設整備 運転資金の 二重債務の 雇用・労働       原材料価格      事業計画の 事業用地の 後継者の
                                減少・販路       業績悪化
         資金の不足 不足    負担    力の確保        の高騰       作成が困難 確保     不在
                                  の喪失

H24年2月     38.1%   30.0%   18.1%   14.2%   23.8%    5.9%   33.2%   11.0%   19.8%
H25年2月     26.6%   20.3%   14.1%   24.8%   29.9%    5.4%   39.0%   11.5%   20.5%
H26年2月     21.3%   20.8%   10.7%   30.8%   27.0%    6.6%   42.6%    9.7%   16.7%
H27年2月     24.0%   22.1%   10.4%   35.6%   45.3%   22.1%   38.6%           14.5%   20.0%
H28年2月     20.6%   21.0%    9.7%   34.4%   44.1%   18.8%   38.6%           12.9%   21.4%
H28年8月     17.4%   21.6%   10.6%   35.9%   50.3%   22.5%   45.4%            8.8%   21.9%
H29年8月     14.3%   21.2%   11.7%   34.7%   52.0%   23.3%   35.9%            7.8%   25.6%
H30年8月     14.2%   23.5%   10.0%   34.8%   54.2%   29.5%   37.0%            5.3%   22.9%




                                       7
②   経営計画
 前中期経営計画で認識した経営課題を解決し、地域の中小事業者に対する積極的な支援を
推し進めるため、平成 28 年 4 月∼平成 31 年 3 月までの経営強化計画の実施期間と同期間の
中期経営計画を策定しております。
 新中期経営計画の策定にあたっては、地域が成長力を維持していくためには、地域産業や
個々の中小事業者の活力向上が不可欠であり、当行が企業価値向上に向けた支援を積極的に
行うことで、お客様の成長・発展に繋がり、雇用が増加し、地域の活性化に繋がるという好
循環を形成したいとの思いから「“地域力の向上”∼地域の中小事業者の企業価値向上をお
手伝いします∼」をテーマに掲げております。また、「中小事業者への積極的な支援」をビ
ジネスモデルとし、中小事業者のための銀行として、中小事業者支援に特化していくことを
鮮明に打ち出し、『事業性評価に基づく金融支援・本業支援』、『「復興」から「成長」へ
向けた支援』、『地域産業・企業の活性化支援』の 3 つの基本戦略のもと、中小規模の事業
者への信用供与の円滑化及び地域における経済の活性化に努めております。
 中期経営計画では、金融機能強化法の趣旨を踏まえ、公的資金を活用した東日本大震災か
らの復興から再生に繋がる事業再生支援やミドルリスク先を中心とした地域の中小事業者
への積極的な信用供与に努めることとしております。
 平成 30 年 9 月基準の地元向け信用リスク量(UL)は 20 億 17 百万円(平成 30 年 3 月末比
+1 億 86 百万円)となっており、岩手県を中心とする地域に相応にリスクテイクを行って
おります(当行の地元の定義は東京を除く営業店を構える地域としております)。
 これに東日本大震災事業者再生支援機構、岩手(宮城)産業復興機構、地域経済活性化支
援機構を活用した支援による債権放棄額 37 億 42 百万円、個人版私的整理ガイドラインを活
用した支援による債務免除額 3 億 94 百万円と自己資本でカバーすべき破綻懸念先Ⅲ分類に
対する未引当部分 21 億 34 百万円を加算すると 82 億 87 百万円となり、公的資金 100 億円に
ついて有効に活用しております。




                         8
【中期経営計画全体図】




【基本戦略】
 ■   事業性評価に基づく金融支援・本業支援
 売上や利益などの過去の実績、担保や保証の有無のみで融資の判断を行うのではなく、
取引先事業者の商品力、技術力、成長可能性などを分析する「事業性評価」を通じて、
企業価値向上に向けた金融支援・本業支援に努めております。


 ■   「復興」から「成長」へ向けた支援
 東日本大震災の発生から、約 7 年 9 ヶ月が経過しますが、地域間、業種間による景況
の温度差、格差が生じております。
               「復興」から次のステージに向けて個々の事業者が
直面しているそれぞれの課題について、課題解決へ向けた支援に努めております。


 ■   地域産業・企業の活性化支援
 岩手県の主要な産業である農林水産業を起点に、加工や販売のみでなく、物流、建設、
サービス業といった様々な関連業種に商流を派生させ、
                        「事業性評価」からソリューシ
ョン営業を行うことで、中小事業者の発展・成長に寄与するような支援に努めておりま
す。




                     9
【本業支援の実績】
  中期経営計画では、『事業を営むお客様の本業の支援となる提案・助言』を本業支援
の定義と定め、計画数値を年間 600 件以上とし、
                        「起業・創業支援」「6 次産業化支援」
                                 、         、
「マッチング支援」「営業支援」「経営改善支援」等の本業支援に取組んでおります。
         、     、
  平成 28 年度は、本業支援への動機づけとして「本業支援件数」、平成 29 年度は、本
業支援の質の向上を目的に「本業支援ポイント」
                     、平成 30 年度からは、顧客、地域、銀
行「三方よし」の取組みとなる高レベルの本業支援を目指し、各営業店の本業支援好事
例を共有する取組を行っております。
  平成 30 年度上期における本業支援の実績は、
                        「起業・創業支援」72 件、 次産業化
                                     「6
支援」5 件、
      「マッチング支援」211 件、
                    「営業支援」544 件、
                               「経営改善支援」58 件、計
890 件の本業支援の取組を行っています。


平成 28 年度からの本業支援の実績
            起業・創業    6 次産業化    マッチング        営業      経営改善     本業支援

             支援       支援            支援      支援      支援        合計

 平成 28 年度
   上期
              37 件      9件          171 件   361 件    153 件    731 件

 平成 28 年度
   下期
              46 件      10 件        294 件   141 件    120 件    611 件

 平成 29 年度
   上期
             130 件      12 件        513 件   552 件    368 件   1,575 件

 平成 29 年度
   下期
              79 件      8件          285 件   389 件     97 件    858 件

 平成 30 年度
   上期
              72 件      5件          211 件   544 件     58 件    890 件




                               10
【業種別中小企業事業性貸出金残高の推移】
                                                                         (単位:百万円)
                    平成 28 年        平成 29 年        平成 30 年       平成 30 年
                                                                               計画始期比
                     3 月末           3 月末           3 月末          9 月末
 製造業                     28,416         31,456         31,707         33,544         5,128
 農業、林業                    3,545          4,622          5,744          6,154         2,609
 漁業                       1,199            970           869            955          △244
 鉱業、採石業                   1,470          1,259          1,340          1,222         △248
 建設業                     38,458         38,536         41,486         35,951    △2,507
 電気・ガス・熱供給・水道             9,772         11,235         16,558         18,230         8,458
 情報通信業                    1,403          1,766          1,647          1,228         △175
 運輸業、郵便業                  7,036          7,278          9,255          9,699         2,663
 卸売業                     12,695         12,350         11,752         12,516         △179
 小売業                     18,978         19,846         19,724         19,186          208
 金融業、保険業                  9,517         10,126          8,866          8,755         △762
 不動産業                    74,017         79,085         88,094         94,755        20,738
 物品賃貸業                    5,587          6,099          6,070          6,242          655
 学術研究、専門サービス業               980            972           772            749          △231
 宿泊業                      2,458          3,035          3,695          3,640         1,182
 飲食業                      3,831          3,846          4,149          3,729         △102
 生活関連サービス業                7,242          8,835          8,732          8,488         1,246
 教育、学習支援業                 1,029          1,171          1,245          1,039            10
 医療、福祉                   12,666         14,123         18,635         18,599         5,933
 その他サービス                 22,318         23,361         26,017         26,939         4,621
 合計                      262,727        279,982      306,416      311,733           49,006


【一般貸出金平残の推移】                                                             (単位:百万円)
中期経営計画の計画数値(平成 30 年度一般貸出金平残 385,000 百万円以上)
             平成 27 年度      平成 28 年度       平成 29 年度       平成 30 年度          計画
                                                                                      計画比
               実績            実績             実績            上期実績            始期比
 一般貸出金平残       369,046        376,248        402,633        423,569        54,523    43,569
※「一般貸出金」とは総貸出金から地方公共団体向け貸出金、運用目的貸出金を除いた
貸出金で主に中小企業、個人向けの貸出金となります。




                                   11
③   中小規模の事業者に対する信用供与の実施体制の整備のための方策


A       中小規模の事業者に対する信用供与の本部支援体制
    中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化に向けて、各営業店に対する本部サポート
体制を構築するため、「地域応援部」「地域応援部地方創生推進室」「融資部企業経営支
                 、             、
援室」を設置し、中小規模の事業者への資金供給、各種ソリューションの提供、経営改善
支援等の本部サポート体制を構築しておりました。平成 30 年 3 月には、本部組織機構の
改定を行い、営業推進担当部署を「地域応援部」 1 部から
                      の     「地域応援部」、
                                   「支店統括部」、
「資産運用コンサルティング部」 3 部体制とし、
               の        それぞれの専門性を高めるよう営業推
進態勢とし、中小事業者の経営改善支援を担当していた「融資部企業経営支援室」は、担
当業務の「融資管理部」への移管を実施し、中小事業者の本業支援への本部サポート態勢
の強化を図りました。


    a    地域応援部における取組
        地域応援部は、中小事業者の本業支援を推進していくための中心的な役割を担う部署
    であり、本部渉外及び帯同訪問等による営業店サポート、営業店からの相談窓口等の業
    務等を担当しております。具体的には、事業性評価に基づく本業支援や企業のライフス
    テージに対応した経営支援を実施するための各種方策を策定し、その実行にあたっては
    営業店毎担当者を定め、営業店と協働した取組を行っております。


    b   支店統括部における取組
        支店統括部は、営業店の営業推進支援の中心的な役割を担う部署であり、営業支援シ
    ステム(KeyMan)を活用した預貸金等の計数状況の管理から、住宅ローンを中心とする個
    人ローンの商品開発に加え、各種金融サービス等の企画を行っております。商品の企画
    立案から始まり、広告宣伝等の商品 PR、販売状況の管理、検証まで銀行の営業推進全
    般を統括しております。また融資審査業務を同時進行することで中小事業者に対する支
    援体制の整備を図っております。


    B 「営業店 PL」の策定
    当行では主たる営業エリアである岩手県を中心として 57 ヶ店の営業店を展開しており
ます。営業店毎に出店の経緯、歴史、お客様の特性、他行との競合状況、市場環境等、取
り巻く環境が異なっております。従来は、支店の業容等に応じて、均質的な営業展開を行
ってまいりました。また、岩手県については広大な面積を有しており、多店舗展開してい
る盛岡市近郊の営業店を除くと、エリア連携による営業推進についても難しい状況にあり
ます。そのような課題を解決するにあたり、営業店の属する地域の事業者にきめ細かい支
援を実施することを目的として平成 27 年度に「店別営業戦略」の決定をし、平成 28 年度


                        12
から決定した戦略に基づき営業推進を実施してまいりました。
    平成 30 年度からは、
               「店別営業戦略」を基本として営業店収益の向上を目的とした平成
30 年度の計画を「営業店 PL」として定め、その「営業店 PL」の達成向けた具体的な行動
として「アクションプラン」を策定しております。
                      「アクションプラン」では各営業店が
注力する項目について数値目標・ターゲット・推進方法・モニタリング手法を定め、計画
達成へ向けたターゲット先のリストアップを行い、営業推進に繋げるものとしております。
    今後においても適宜その手法について見直しを実施し、中小規模の事業者に対する信用
供与の円滑化に努めてまいります。


C   渉外行動基準
    「行動の質」の向上を図ることを目的に、平成 28 年 6 月に渉外行動基準を改定してお
ります。「面談件数」から「有効面談件数」に基準の変更を行いました。
    ローカルベンチマークを活用した事業性評価を実施することにより地域の中小事業者
に対し、ソリューション営業を行い、
                「顧客の課題解決・CF 改善・業績向上」に向けた本
業支援に繋げていくための営業推進体制の整備を図っております。


    【渉外行動基準】                                                                         (単位:件)
                      有効面談件数                        うち新規                      提案書交付

      支店長                             3                            1                         −
      渉外課長                            4                            1                          3
      タイプ A                           5                            2                          3
      タイプ B                           7                            1                          2
      タイプ C                           8                            −                         −
      タイプ D                           10                           −                         −
     ※有効面談件数については、1 日あたりの面談件数、提案書交付先数については半期単位での交付
     先数

    【平成 30 年度上期までの実績】                                                                (単位:件)
                          有効面談件数                                             うち新規
              28 年度   28 年度   29 年度        29 年度   30 年度   28 年度   28 年度     29 年度   29 年度   30 年度
               上期      下期      上期           下期      上期      上期      下期        上期      下期      下期

      支店長      1.0     1.1     1.4          1.5     1.3     0.1        0.1    0.1     0.1     0.1
     渉外課長      2.6     2.5     2.5          2.5     2.4     0.2        0.2    0.1     0.2     0.2
      タイプ A    2.8     3.2     3.2          3.0     2.9     0.4        0.4    0.4     0.4     0.2
      タイプ B    3.3     3.6     3.8          3.3     3.1     0.2        0.2    0.3     0.2     0.1
      タイプ C    6.2     5.7     5.6          4.7     4.4      −         −       −       −          −
      タイプ D    7.0     7.4     6.1          5.3     5.3      −         −       −       −          −
     ※平成 28 年度上期実績は平成 28 年 7 月から 9 月の実績

                                            13
    【渉外タイプの役割】
     行動タイプ       担当者                        役割

                                渉外活動の統括責任者として営業店渉外戦略の構
                               築・管理を行う。また、自ら既存法人先の取引深耕並
       −         渉外課長
                               びに新規法人先開拓を率先して行うことを業務とす
                               る。

                                既存法人先の取引深耕並びに新規法人先開拓を行
     タイプ A    法人営業中心担当者
                               うことを業務とする。

                                法人・個人顧客に並行して営業活動を行うことを業
     タイプ B   法人・個人営業担当者
                               務とする。

                                主に個人顧客への営業を展開し、住宅ローンを主と
     タイプ C    個人営業中心担当者        した個人ローンの推進並びに個人預金・預り資産等個
                               人金融資産の拡大を図ることを業務とする。

                                主に集金・職域を中心とし、個人金融資産の拡大を
     タイプ D   集金・職域中心営業担当者
                               図ることを業務とする。



D   事業性評価体制の確立
    平成 28 年度から中小規模の事業者に対する信用供与の実施にあたり、事業性評価に基
づいた融資促進や中小規模の事業者の本業支援を推進するため「事業性評価シート」作成
の平準化、課題抽出方法の訓練、僚店の取組状況の共有を目的として「本業支援研究会」
を開催し、頭取をはじめとする役員ならびに本部関連部署を交え、活発なディスカッショ
ンを行いました。ディスカッションを通じ、他店の事業性評価の内容や経営課題抽出方法
を共有することによって参加者の更なるレベルアップを図ってまいりました。
    平成 29 年度下期には、事業性評価の更なる深化に向け、ローカルベンチマークを活用
した事業性評価へ取り組むこととしました。経済産業省の策定したローカルベンチマーク
を積極的に活用することにより、中小事業者の目線で対話を重ね、中小事業者の事業理解
を深めることが可能となります。
    また、当行が使用するローカルベンチマークでは、当行独自の「ソリューション提案シ
ート」を策定し、中小事業者の事業把握から課題の抽出を行い、当行としてのソリューシ
ョン提案まで一気通貫で取組むことが可能な提案シートとしております。
    今後も事業性評価に基づく本業支援・金融支援を通じ、積極的に中小事業者の支援に取
組んでまいります。


E   本業支援好事例集の発刊
    本業支援の事例を各営業店で共有することを目的として、平成 28 年度より「本業支援
好事例集」
    (以下、
       「事例集」という。
               )を発刊しております。平成 30 年度からは業績評価


                          14
項目に「本業支援好事例数」を加え、本業支援の深化に向けて取組んでおります。今後も
営業店から報告のあった本業支援の好事例について、特にも顕著な事例や他の営業店にも
参考になる事例について、事例集として取りまとめ発刊してまいります。


G   とうぎんボードの有効活用
    当行では、平成 28 年度上期より、本部及び営業店が営業活動の中で把握した中小規模
の事業者の様々なビジネス情報について、行内イントラネットワーク(とうぎんボード)
を活用して僚店間でその情報を共有し、販路開拓・不動産ニーズ・本業支援等のお客様同
士の様々なマッチングに貢献できる態勢を整備しております。
    平成 30 年度上期のとうぎんボード登録件数は 51 件、うち商談への発展件数は 37 件、
成約件数は 8 件となっております。とうぎんボードを活用した好事例については行内ニュ
ースの発信を行い、とうぎんボードを活用したお客様の本業支援を更に活性化させるよう
努めております。


    【とうぎんボード活用実績】
                      登録件数          商談への発展件数     成約件数

      平成 28 年度上期             53 件         20 件          2件
      平成 28 年度下期             59 件         24 件          3件
      平成 29 年度上期             79 件         48 件          5件
      平成 29 年度下期             52 件         50 件          9件
      平成 30 年度上期             51 件         37 件          8件


    【とうぎんボードのイメージ】

                             とうぎん
                              ボード


     お客様           営業店                 営業店       お客様

                         ビジネスマッチング
                   販路情報・仕入先の発掘・不動産情報等




                             15
    【支援事例 1】
        「とうぎんボード」を活用したマッチング支援事例
         本事例のお客様は岩手県外で食品加工業を営むお客様です。お客様は運送コスト削
        減に向けて、これまで北海道から仕入れていた材料を、東北地方から仕入れたいとい
        うニーズがあり、当行へ相談があった事例となります。
         当行では、「玉ねぎ生産者情報提供依頼」としてとうぎんボードを活用し情報収集
        を行ったところA支店から玉ねぎ生産農家の情報提供があり、商談を開始しました。
         生産農家では、食品加工業者からの依頼には 1 事業者では生産規模が大きすぎると
        いう不安があったため、さらに生産者としてもう1事業者を紹介しました。その後商
        談が成立し、2 事業者で玉ねぎ生産を受注することとなりました。
         食品加工会社は、材料仕入コストが削減され、生産者は不採算の牧草地を畑作地に
        転換し、生産規模を拡大することができ、双方の本業支援に寄与した事例となってお
        ります。



H       人材育成
    中小規模の事業者に対する信用供与の実施に向けて、中小企業診断士の養成、本業支援
の深化へ向けた渉外課長研修の開催、農林水産業に係る専門資格者の養成、外部機関との
連携を通じた人材育成、その他各種研修を実施し、コンサルティング機能を発揮できる人
材の育成を行っております。


    a    中小企業診断士の養成
        中小企業の経営支援をはじめとした積極的な金融機能仲介を発揮するための人材を
    養成する一環として中小企業診断士の養成に取組んでおり、当行の平成 30 年 9 月末の
    中小企業診断士は 13 名となっております。
        今後においても、中小企業の経営支援に向けて、公募選抜等を活用し、資格保有者の
    増員、養成に向けて取組んでまいります。


    b    渉外課長研修の開催
        「成長予備軍(正常先下位から要管理先)へのローカルベンチマークを活用した支
    援」「本業支援の深化、日常化」への取組みを全店に浸透させることを目的に渉外活
     、
    動の統括責任者である渉外課長を対象として渉外課長研修を実施しました。研修では
    成長予備軍に対して、ローカルベンチマークを活用した事業性評価に基づき抽出され
    た経営課題に対する本業支援を通して営業キャッシュフローが改善するまでの間の資
    金繰り支援を目的とした新商品「グローリング」の営業推進施策の徹底等を図ってお
    ります。
        各営業店での営業活動の中心となる渉外課長のレベルアップを目的として本研修を

                         16
    定期的に実施することで、全営業店での「本業支援への深化」に向けて取組んでおり
    ます。


    c    農林水産業に係る専門資格者の養成
        当行では日本政策金融公庫の農業・林業・水産業の各経営アドバイザー制度を通じ地
    域産業である農林水産業に係る専門資格者を養成しております。当アドバイザー制度は
    「農林水産業の特性を理解している税務、労務、マーケティングなどの専門家からアド
    バイスを受けたい」という経営者の要望を受けて、経営への総合的かつ的確なアドバイ
    スを実践できる人材を育成するために平成 17 年 2 月に創設されたものであり、資格取
    得者の養成に努めてまいりました。
        平成 30 年 9 月末現在、農業経営アドバイザー15 名、林業経営アドバイザー1 名、水
    産業経営アドバイザー1 名、計 17 名のアドバイザーが在籍しており、地域の農林水産
    業者を支援しております。
        中期経営計画において地域産業 企業の活性化支援に向けて地域の特性である農林水
                      ・
    産業を起点として、地域産業の創出、成長へ向けた支援に取組むこととしており、農林
    水産業の特殊性を理解し、コンサルティング機能を発揮できる人材育成を図るため、専
    門資格者の養成に努めてまいります。


    d    外部機関との連携を通じた人材育成、
        東日本大震災事業者再生支援機構、岩手(宮城)産業復興機構の各機構を活用した再
    生支援の件数は、平成 30 年 9 月末までの累計で 112 先となっております。これらの案
    件については、融資管理部が中心となり、外部コンサルタント等の様々な専門能力を有
    効活用し、営業店とともにお客様を訪問しております。今後の収支見込みの検討や再建
    のための資金対応を含めた具体的な計画策定等を協議しており、各機構との連携を通じ
    再生支援案件に対するスキル向上につながっております。
        また、平成 30 年 9 月末現在、当行行員 1 名が岩手県産業復興相談センターへ出向し
    ており、復興支援の運営に参加するとともに経営支援のスキル向上に努めております。
        この他、平成 26 年 3 月に締結しております地域経済活性化支援機構との特定専門家
    派遣契約も継続しており、個別の案件相談を通じて事業再生等に関するノウハウを融資
    管理部が中心となって吸収し、その情報等を営業店に還元しております。


I       中小規模の事業者に対する信用供与の実施状況を検証するための体制
    中小規模の事業者に対する信用供与の実施状況を検証するための体制として、半期ごと
に開催する支店長会議において施策及び各種計画数値の徹底を図っております。また、営
業店長または渉外課長を対象に地域ごとに開催する「グループ会議」等で進捗状況の管理




                          17
を行っております。取組結果については、営業店業績評価を行い、営業店・行員のモチベ
ーション向上に努めております。


 a   取締役会・常務会
     取締役会は原則毎月 1 回、常務会は原則毎週開催しております。取締役会には社外監
 査役 3 名を含む監査役 5 名、常務会には常勤監査役 2 名が出席し、ガバナンス強化に努
 めております。社外取締役については独立役員 2 名を選任し、第三者の客観的かつ中立
 的な視点を取入れた経営管理態勢としております。中小規模の事業者への信用供与を含
 む中期経営計画に基づく業務計画書においては期中及び期末において進捗状況を常務
 会に付議し、取締役会に報告することで、進捗状況の確認並びに以後の改善策・推進策
 等をチェックする体制としております。


 b   支店長会議
     全営業店長及び本部の部室長を対象に半期ごとに「支店長会議」を開催し、中期経営
 計画、単年度業務計画、重要施策についての徹底を図っております。平成 30 年度上期
 においても 1 回開催し、会議終了後には外部講師による講演会、分科会を開催しており
 ます。


 c   グループ会議
     全営業店の営業店長または渉外課長を対象として、施策及び各種計数の進捗状況等を
 確認することを目的に営業店を地域ごとにグループとして区分けのうえ、「グループ会
 議」を実施しております。平成29年度は5月、7月、11月に開催しております。5月のグ
 ループ会議では、営業店長を対象に、今年度の業務施策の周知・徹底を実施、7月のグ
 ループ会議では渉外課長を対象に、「店別営業戦略」に基づく「アクションプラン」の
 履行状況の確認と、推進項目の進捗状況の確認を実施、11月のグループ会議では営業店
 長を対象に「地域力の向上」に向けた取組状況と推進方法の確認および「店別営業戦略」
 に基づく「アクションプラン」の履行状況の確認を実施しております。


 d   営業店業績評価
     当行では、地方公共団体向け貸出金及び資金運用を目的とした市場性貸出金を除く、
 主に中小企業、個人からなる貸出金について「一般貸出金」と定義し、「一般貸出金」
 の増強にウエイトをおいた営業店業績評価としておりました。
     平成 30 年度は、営業店業績評価の目標設定が複雑化していることに加え、目標達成
 が目的化し、お客様本位の業務運営に結びついていない側面もあり、評価方法の見直し
 を実施しております。具体的には本業支援好事例に関する評価を加え、配点比重を大き
 くすることで、本業支援に対する営業店・個人の意識向上に取組んでおります。


                     18
④    担保又は保証に過度に依存しない融資の促進その他の中小規模の事業者の需要に
 対応した信用供与の条件又は方法の充実のための方策


    A 事業性評価シートの活用
     平成 27 年 7 月より、事業性を評価した融資を行うことを目的とした事業性評価シート
を導入しております。「事業性評価に基づく金融支援・本業支援の深化」を目的に平成 29
年 4 月にシートの改定を行い、
               「事業性評価のレベル向上」を目的に本業支援研究会を平
成 29 年度に 12 回開催しております。また平成 30 年 3 月には、事業者との「対話」を通
じて事業者の課題を共有し、事業者と協働での課題解決を図ることで事業者の成長を支援
するため、ローカルベンチマークを使用した事業性評価手法への改定を行っております。
     シートの作成実績は平成 30 年 9 月で 1,193 先(融資残高 1,170 億円)となり、当行取
引先事業者(個人事業主を含む)の約 15.0%となっております。
     また、ローカルベンチマークを使用した事業性評価シートの作成件数は平成 30 年 9 月
で 171 先(融資残高 157 億円)となり、当行取引先事業者(個人事業主を含む)の約 2.2%
となっております。


【支援事例 2】
      事業性評価に基づいた事業戦略策定及び金融支援を行った事例
       本事例のお客様は、産直事業を営むお客様です。お客様は店舗のリストラ等により
      売上高が大幅に減少し、経営資源を残存店舗に集中しながら収益改善を急ぐ必要があ
      りました。当行では創業時からのメインバンクに先駆けて事業性評価を実施し、代表
      者との面談を重ね構想を聞き取りしながら主要戦略や課題、アクションプランを共に
      検討いたしました。その結果、仕入先徴収手数料の改定、店舗内産直食堂の新設、イ
      ンバウンド需要に対応した免税システムの導入、地元素材を使用した菓子・ジュース
      等独自商品の開発・販売を戦略として策定いたしました。
       収益性に加えて関連会社との連結財務にも問題を抱える中で、戦略実現に向けた各
      事業についてそれぞれ設備・運転資金の調達が必要な事が課題となりました。当行で
      は、事業性評価の内容を踏まえて岩手県信用保証協会の協力も得ながら資金支援を実
      施、産直食堂新設や専用レジ導入による岩手県内初の産直免税店化2店舗実施など、
      収益性の拡大に向けた支援を行っております。
       本事例はローカルベンチマークを活用した事業性評価を実施し、経営課題解決に向
      けた戦略策定支援、戦略実現に必要な資金支援を行った事例となります。



 B    ABL(動産担保融資)
     担保や保証に過度に依存しない融資手法の 1 つとして、企業の事業活動そのものに着目
 し、事業に基づく資産を担保として活用することで資金調達手段の拡大を図る ABL に取組

                           19
んでおります。
    具体的な取組みとしては、外部専門業者トゥルーバグループホールディングス株式会社
との提携により、評価における客観性の確保、管理レベルの向上や換価手段の確保を図り、
一般担保としての要件を満たす態勢を整えております。また、外部機関の講座を活用し、
企業の実態を適正に把握する目利き力をもった人材の育成に取組んでおります。
    取組実績については、当初は、米、肉用牛、木材チップ、冷凍水産物など、農林水産業
関連が中心となっておりましたが、現在は太陽光発電事業に係る発電設備や売電債権、不
動産賃料債権や診療報酬債権等の取扱いが多くなっております。
    ABL は、モニタリングを通してお客様の経営状況、問題点の把握等、お客様と共通の認
識をもち、信頼関係を高めていく「お客様を良く知る」手法となることから、お客様の状
況やニーズに応じ取組んでまいります。


C シンジケートローン
    お客様の資金調達ニーズの多様化に対応するために、シンジケートローンの組成に取組
んでまいりました。今後も引き続き、復興需要や制度活用が求められている PPP・PFI 事
業、再生可能エネルギーの活用に伴う発電事業等、大きな資金需要への対応が必要となり
ます。従来の組成ノウハウを最大限に活用し、地域金融機関が連携し地域を支援していく
ため、引き続き案件の組成に取組んでまいります。


D   経営者保証に関するガイドラインへの対応
    平成 25 年 12 月 5 日に公表された「経営者保証に関するガイドライン」
                                          (以下、
                                             「ガイド
ライン」という。
       )を踏まえ、内部基準の見直しを実施し、新規の無保証融資や保証契約
の解除等に取組み、被災企業を含む中小規模の事業者への円滑な資金供給に取組んでまい
りました。
    今後も引き続きガイドラインに則して、中小規模の事業者の経営状況等を勘案し、経営
者保証に過度に依存しない融資の促進を図るとともに、保証契約締結の際や保証債務の整
理の申出において誠実な対応を行ってまいります。




                       20
【
「経営者保証に関するガイドライン」の活用状況の実績】                                             (単位:件)
            27 年度    27 年度       28 年度       28 年度       29 年度       29 年度       30 年度
   項   目
             上期       下期          上期          下期          上期          下期          上期

  新規に無保証で
              491       570           571       604         704         795         906
   融資した件数
  保証契約を解除
               20        43            71       141         100         127          85
    した件数
  保証債務整理の
                0            0           2           1           0           0           1
    成立件数
  新規融資に占め
  る経営者保証に
            13.01%   14.94%      15.50%      15.87%      18.90%      20.42%      23.78%
  依存しない融資
    の割合


【支援事例 3】
 信用保証協会の「経営者保証を不要とする取扱い(担保充足型)」を活用した事例
   本事例のお客様は、高い技術を背景に取引先からの信頼が厚く、小規模ながら安定
 した経営基盤を築いておられる創業 50 年の塗装業を営む企業です。お客様との融資
 取引にあたっては、代表取締役会長とご子息の代表取締役社長の 2 名の保証人取引と
 させていただいておりました。
   この度、新たに長期運転資金の相談をいただき、利子補給のある低利の市町村中小
 企業融資制度での対応を検討しました。当行では、平成 30 年 4 月 1 日から施行され
 た「信用保証制度の見直し」に基づく「経営者保証を不要とする取扱い(担保充足型)」
 を活用するため、既存の根抵当権を信用保証協会に引当することとしました。
   結果、会長、社長の両名ともに保証を付さず、経営者の保証に頼ることなく無保証
 人にて低利の市町村中小企業融資制度を融資するとともに、お客様がかねてより懸念
 されていた事業承継への不安を解消した支援事例となっております。



E 各種ビジネスローン
 中小事業者に対する円滑な資金供給や環境保全への取組みを金融面から積極的に支援
していくために、利便性の高い各種ビジネスローンの開発に取組んでおります。平成 26
年上期には地域活性化に取り組む事業者に対して積極的な支援を目的とした事業性融資
商品「とうぎん雇用拡大支援ローン(人増繁盛)「とうぎん創業支援ローン(起業のとび
                      」
ら)」の取扱いを開始しております。また、
                   「ビジネスローン 1000」については、新規先
や復旧・復興需要にスピーディな対応をすることを目的に商品内容を改定し「とうぎん復
興ビジネスローン 2000」として取扱いを行っております。また、
                               「とうぎん医療・介護ロ
ーン」では、
     「はるかプラン(運転資金・設備資金)」「みらいプラン(開業資金)」「きず
                       、              、
なプラン(賃貸用医療介護福祉施設等の設備資金)」の 3 つをラインナップし、医療・介護
事業者への資金供給を行っております。

                                 21
   各種ビジネスローンについては、お客様のニーズに対応するよう商品性の見直し、商品
 開発を検討し、中小規模の事業者への円滑な資金供給に努めてまいります。


【各種ビジネスローンの実行実績】                                (単位:件、百万円)
                                          震災後∼平成 30 年 9 月末
             商品名
                                    取扱件数        実行金額       残高
 とうぎん復興ビジネスローン 2000                1,909(48) 14,113 (361)  2,441
 とうぎんエコ・ローン                           71 (13) 6,307 (793)  4,576
 とうぎん農業ローン「アグリビジョン」                   29 (0)    138  (0)       7
 とうぎん創業支援ローン「起業のとびら」                  76 (4)    248 (17)     157
 とうぎん雇用拡大支援ローン「人増繁盛」                  32 (0)    440  (0)     217
 医療・介護ローン「はるかプラン」                     56 (7) 4,959 (667)   4,589
 医療・介護ローン「みらいプラン」                      7 (0)    431  (0)     369
 医療・介護ローン「きずなプラン」                     13 (1) 1,994 (322)   1,875
   ※( )内は平成 30 年 4 月∼平成 30 年 9 月の実績



 F 短期継続融資への取組
   お客様のキャッシュフローの改善、継続的なモニタリングによるリレーションの強化、
 金利競争によらない融資の促進へ向けて平成 29 年 7 月より短期継続融資への取組強化を
 図っております。本取組は自己資本に乏しい中小零細事業者へ事業継続に必要な運転資金
 を疑似資本の性格を持つ短期資金で応需し、財務改善及び資金繰り改善を図る取組であり、
 継続的な面談による実態把握を行うことでリレーションの強化を図っております。
   特にも当行取引先の太宗を占める成長予備軍(正常先下位から要管理先)に対しては、
 金融支援として経営改善等の企業努力、当行の本業支援の成果が出るまでには、相応の時
 間を要することから短期継続融資を活用することにより時間的な猶予を確保するための
 金融支援と位置付け取組んでおります。また平成 30 年 9 月には短期継続融資「グローリ
 ング」を発売による取組強化に努めております。


【短期資金の実績(科目別貸出金末残実績の推移)】                                  (単位:百万円)
                      平成29年6月末残         平成30年11月末残          増加額

      手形貸付                    39,787             37,445       △2,042

      当座貸越                    21,905             34,789       12,884

     短期資金合計                   61,692             72,234       10,542




                              22
(2) 被災者への信用供与の状況及び被災者への支援をはじめとする被災地域における東日
     本大震災からの復興に資する方策


①    当行の体制(震災復興推進本部)
 平成 23 年 5 月に震災復興推進本部を設置し、本部各部・営業店が被災地域の現状、課題
等について共通認識をもって取組む体制を構築してまいりました。震災復興推進本部におい
て、「震災復興推進本部活動報告書」を作成し、毎月定例的に報告を行ってまいりました。
 今後も引き続き「震災復興推進本部活動報告書」にて復旧・復興資金の実行実績、各機構
の活用状況、被災地域の現状等、定例的にモニタリングを行い、被災地域の状況把握に努め
てまいります。


②    返済に関する柔軟な対応
 当行は、震災による甚大な被害状況を踏まえ、返済猶予の申出が「震災に伴う理由である
こと」かつ「約定弁済を停止(据置)することに妥当性があること」に該当するものと判断
した場合には、約定弁済を一時停止する取扱いを迅速に実施してまいりました。また、震災
の影響を受け、約定弁済の履行に支障をきたしている事業者や個人のお客様からの融資条件
の変更について適切に対応してまいりました。
 震災関連の約定弁済の一時停止については、被災者ニーズが収束しているため、新規相談
案件が発生する可能性は低いと想定しておりますが、条件変更については、経済情勢の変化
等により、再度条件変更の申出も想定されます。被災事業者の経営状況のモニタリング等を
通じ、外部機関とも連携を図りながら柔軟な対応を行ってまいります。


 A   事業性融資のお客様
     事業性融資のお客様について、震災後から平成 30 年 11 月までに約定弁済の一時停止を
 累計 370 件/138 億 26 百万円実施しました。お客様との個別面談や事業再生計画の策定支
 援などを通じ、一時停止先は既に解消されております。また、1,093 件/192 億 8 百万円の
 融資条件変更に応じ、条件変更への弾力的な対応を行ってまいりました。


 B   住宅ローンのお客様
     住宅ローンのお客様について、約定弁済の一時停止を累計 196 件/18 億 80 百万円実施
 しました。お客様の現状・実態把握に努め、平成 30 年 11 月現在で約定返済が一時停止と
 なっているのは 1 先となりました。また、75 件/9 億 16 百万円の融資条件変更に応じ、条
 件変更への弾力的な対応を行ってまいりました。




                        23
【約定弁済一時停止実績、融資条件変更実績】                                     (単位:先、百万円)
                         H23 年 3 月∼H30 年 11 月             H30 年 11 月末一時停止先

               約定弁済一時停止実績              融資条件変更実績

                先数         金額          先数        金額        先数       金額

     事業性融資         370      13,826      1,093    19,208         0        0
     住宅ローン         196       1,880          75     916          1        0
 消費者ローン等             7           6          0         0         0        0
      合計           573      15,712      1,168    20,124         1        0


③    復旧・復興資金への対応
 東日本大震災の発生直後から積極的に金融支援に取組み、復旧・復興資金については、震
災後から平成 30 年 11 月までに 4,309 件/1,004 億 86 百万円実行しました。また、震災によ
る被害が甚大であった地域の営業店を被災店(宮古・宮町・釜石・大船渡・高田・南気仙沼・
石巻支店の 7 ヶ店)と定義し、同地域への復旧・復興資金の融資実行は平成 30 年 11 月まで
に 2,087 件/568 億 52 百万円となりました。


 A   事業資金
     震災直後から、「とうぎん復興ビジネスローン 2000」
                               、信用保証協会保証付融資制度、
 被災者の負担軽減に繋がる自治体等による利子補給制度も活用しながら、復旧・復興の段
 階に合わせ、被災者の要望に応じた支援を行ってまいりました。
     平成 28 年 4 月から平成 30 年 11 月までの運転資金の実績は 319 件/72 億 40 百万円、設
 備資金の実績は 132 件/39 億 71 百万円であり、合計 451 件/112 億 11 百万円となりました。
 震災初年度をピークに復旧・復興資金のニーズは減少傾向にありますが、復興事業に係る
 建設業等の運転資金、土地造成事業や社屋設備資金等の需要は継続していることから、引
 き続き積極的な対応を行ってまいります。


 B   個人向けローン
     震災直後から、特別金利のマイカーローン、復興支援住宅ローン等を活用しながら、個
 人のお客様の要望に応じた支援を行ってまいりました。
     平成 28 年 4 月から平成 30 年 11 月までの住宅ローンの実行実績は 211 件/39 億 74 百万
 円、消費者ローンの実行実績は 30 件/3 億 40 百万円となりました。津波による被害が甚
 大であった沿岸部においては防災集団移転促進事業等の進展による住宅建設需要が継続
 しており、引き続き積極的な対応を行ってまいります。




                                 24
【復旧・復興資金の実行実績】                                                  (単位:件、百万円)
              前計画期間           平成 28 年 4 月∼
                                                           累計               うち被災店
          震災後∼平成 28 年 3 月     平成 30 年 11 月

            件数       金額       件数             金額       件数        金額        件数      金額

事業資金                            319          7,240
             2,470   52,756                           2,789      59,996    942    24,745
(運転)                          (25)           (325)

事業資金                            132          3,971
              754    25,796                            886       29,767    603    22,914
(設備)                          (19)           (374)

    住宅                          211          3,974
              284    5,823                             495       9,797     427    8,323
    ローン                       (28)           (741)

    消費者                            30          340
              109      583                             139         923     115      868
    ローン                        (1)            (1)

                                692          15,526
    合計       3,617   84,960                           4,309     100,486   2,087   56,852
                              (73) (1,440)

 ※(   ) 内は平成 30 年 4 月∼平成 30 年 11 月の実績



④    復興支援住宅ローン、復興支援アパートローンによる被災者支援
 住宅再建支援および賃貸住宅着工によるインフラ整備のため、平成 24 年 3 月に発売しま
した復興支援住宅ローン『未来飛行』
                、復興支援アパートローン『日あたり良好』により、
被災者支援を行ってまいりました。復興支援住宅ローンは、お客様から保証料をいただかな
い商品として通常の住宅ローンよりも金利を引き下げて取組を行い、平成 30 年 9 月末まで
に 344 件/80 億 11 百万円の融資を実行しております。復興支援アパートローンにおきまし
ても、通常のアパートローンよりも金利を引き下げて取組を行い、平成 30 年 9 月までに 113
件/52 億 62 百万円の融資を実行しております。
 住宅ローン、アパートローンともにピークアウト感はありますが、防災集団移転促進事業
等により沿岸被災地における住宅ローン需要は引き続き想定されることから、本部・営業店
が連携を密にし、積極的な支援を行ってまいります。




                                        25
【復興支援住宅ローン・復興支援アパートローンの実績】                                                   (単位:件、百万円)
           前計画期間                  平成 28 年 4 月∼
                                                              累計                     うち被災店
        震災後∼平成 28 年 3 月            平成 30 年 9 月

         件数            金額         件数          金額        件数           金額             件数      金額

復興住宅                                   115    2,960
            229        5,051                             344         8,011           288     6,640
ローン                                (21)       (667)

復興AP                                    12        429
            101        4,833                             113         5,262            88     4,003
ローン                                    (3)    ( 91)

 ※( )内は平成 30 年 4 月∼平成 30 年 9 月の実績



⑤   中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業等の活用支援
 震災からの復旧を目指すお客様に対して、中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業の
活用を案内するのみでなく、補助金が交付されるまでのつなぎ融資や自己負担部分への融資
に取組んでおります。
 平成 30 年 4 月から平成 30 年 9 月までの中小企業等グループ施設等整備補助事業に関する
補助金つなぎ融資の実績は、3 先/34 百万円、自己負担部分への融資対応は 1 先/8 百万円、
平成 30 年 9 月までの累計でそれぞれ 82 先/84 億 77 百万円、 先/12 億 53 百万円となって
                                       17
おります。
 また、漁業等の漁業者団体や水産加工流通業者の復興を支援するための水産加工場施設整
備事業等を活用されるお客様への対応を行い、水産加工場施設整備事業に関する補助金つな
ぎ融資の実績は平成 30 年 9 月末までの累計で 8 先/23 億 10 百万円、自己資金部分への融資
対応は 6 先/3 億 48 百万円となりました。
 中小企業等グループ施設等整備補助事業、水産加工場施設整備事業等に関する補助金つな
ぎ融資については取扱いが継続しており、震災復旧に向けた施設整備、被災地域の雇用拡大、
活性化支援に向けて引き続き積極的な対応を行ってまいります。


    【中小企業等グループ施設等補助事業に関するつなぎ融資実績】
                                (単位:先、百万円)
            前計画期間                            平成 28 年 4 月∼
                                                                                累計
         震災後∼平成 28 年 3 月                     平成 30 年 9 月
          件数                金額               件数         金額                件数               金額

                                                  13         1,072
                  69           7,370                                           82           8,442
                                              (3)        (34)

      ※( )内は平成 30 年 4 月∼平成 30 年 9 月の実績




                                             26
    【自己負担部分への融資対応実績】                               (単位:先、百万円)
           前計画期間             平成 28 年 4 月∼
                                                        累計
        震災後∼平成 28 年 3 月      平成 30 年 9 月
         件数        金額        件数         金額        件数         金額

                                  4          92
              14     1,169                             18     1,261
                              (1)           (8)

     ※( )内は平成 30 年 4 月∼平成 30 年 9 月の実績



 【支援事例 4】
    グループ補助金を活用した食品製造業者への支援事例
     本事例のお客様は岩手県沿岸部で喫茶店を営むお客様です。昭和 48 年に開業し、
    長きに亘り営業を続けておりましたが、東日本大震災により被災し店舗が全壊、流出
    となりました。
     震災後、岩手産業復興機構の債権買取スキームにより震災前の借入金については
    DDS 化を行い、復興商店街において業態転換しラーメン店を仮設営業する中で、換
    地に本設店舗の建設を計画しました。信用保証協会の協力も得ながら専門家による事
    業計画策定支援を実施し実現可能性のある事業計画を策定、グループ補助金と岩手県
    高度化資金、及び当行融資を合わせた資金調達による店舗建設を計画しました。
     当行では、グループ補助金を活用したつなぎ資金の融資支援、及び保証協会との協
    調融資支援を行いました。今後は、岩手産業復興機構の買取債権についても当行がリ
    ファイナンス支援する計画としております。
     本事例は事業再生に向けた金融支援を行いつつ、地域経済活性化にも寄与する支援
    事例となっております。



⑥   東日本大震災事業者再生支援機構及び岩手(宮城)産業復興機構の活用支援
 東日本大震災事業者再生支援機構及び岩手(宮城)産業復興機構を活用し、過大な債務を背
負い被災地域において事業の再生を図ろうとする事業者に対して、二重債務を解決するため
の支援を行っております。
 平成 30 年 12 月末において、東日本大震災事業者再生支援機構を活用し、支援・買取が決
定したお客様は 55 先となっております。また、岩手産業復興機構を活用し、支援・買取が
決定したお客様は 44 先、宮城産業復興機構を活用し、支援・買取が決定したお客様は 13
先となっております。
 各機構を活用した先については、二重債務問題の解決のみならず、東日本大震災事業者再
生支援機構を活用したお客様に 21 億円、岩手産業復興機構を活用したお客様に 11 億円、宮
城産業復興機構を活用したお客様に 3 億円、合計 35 億円の設備復旧や運転資金等の新規融
資を実行し、事業再開及び再成長へ向けた積極的な支援を行っております。


                             27
 今後も、新規の相談案件はもちろんのこと、機構を活用したのち、経営再建計画が当初計
画通り進まない事業者への各機構と連携した経営相談を強化することで事業者の経営改善
支援・事業再生支援に努めてまいります。
 一方、機構を活用したお客様のなかには、東日本大震災の発生後約 7 年 9 ヶ月が経過し、
当初事業計画を上回って業績が好調に推移しているお客様もおります。機構債権については、
DDS 化等により金利負担が低減されている等のお客様にとっては有益なものもある一方で、
コベナンツ条項等により経営の自由度が一定程度制限されている場合もあります。そのよう
なことからも、業績が好調に推移しているお客様においては、その後のモニタリングの中で
早期に機構債権を完済し、事業再生を完了したい等のニーズも存在します。引続き、モニタ
リングによるお客様との対話を継続し、早期に事業再生の完了がなされるよう支援に努めて
まいります。


【各機構の活用実績】                                                     (単位:件)
                                     平成 28 年 4 月∼
                      平成 28 年 3 月末                  累計         新規融資対応額
                                     平成 30 年 12 月
東日本大震災事業者再生支援機構                 52         3(0)           55      21 億円

    岩手産業復興機構                    42         2(0)           44      11 億円

    宮城産業復興機構                    13         0(0)           13       3 億円

        合計                     107         5(0)          112      35 億円

 ※( )内は平成 30 年 4 月∼平成 30 年 12 月の実績



 【支援事例 5】
     機構買取債権の一括返済による事業再生完了事例
     本事例のお客様は、沿岸地域において食料品製造業を営む事業者です。昭和 8 年創
   業の老舗であり、地域に愛される製品を作り続けてきた企業でありましたが、東日本
   大震災により工場・店舗が全壊する等、壊滅的な被害を受けました。新工場や新店舗
   の再建に伴い、いわゆる二重ローンの状態となった為、産業復興機構による債権買取
   支援を受け事業再生を図りました。
     その後は、事業再生計画の達成に向けた経営努力及び、当行を含む関係機関の本業
   支援により地元の複合商業施設内への本設を果たす等、今後の業績回復に目処が立つ
   状況となりました。
     一方、機構による支援期間中においては、契約上、一定程度経営の自由度が制限さ
   れていることもあり、お客様よりリファイナンスの相談を受けました。当行では、リ
   ファイナンス資金に対応し、買取債権について機構へ一括返済を行い、事業再生が完
   了した支援の事例となっております。




                                28
⑦   「 個人版私的整理ガイドライン」の活用支援
    当行では、東日本大震災で被災されたお客様に対して、生活再建に向けた積極的な支援を
 行っております。なかでも、個人版私的整理ガイドラインを活用した二重債務問題の解決に
 力を入れてきており、平成 30 年 12 月までの累計で、債務整理開始の申出が 39 件、うち弁
 済計画案が示された 30 件(うち当行が決裁権限者となるものは 18 件)すべてについて債務
 整理が決定し、本制度を活用して債務整理を行ったお客様に対して、新たな住宅資金の供給
 を行った事例も出てきております。
    また、各自治体で活発化している防災集団移転促進事業について、土地買上代金の全額を
 債権に充当してもなお債務が残る場合であっても、当該抵当権の解除に応じる対応を行うな
 ど、復興に向けた柔軟な対応を行っております。
    今後については、震災から 7 年 9 ヶ月が経過し、お客様のニーズも多様化してきているこ
 とから、既に条件変更を実施したお客様に対しても、状況に応じてガイドライン運用を促す
 など、それぞれのお客様に合った支援策を提案・実行してまいります。また、本制度を活用
 して債務整理を行ったお客様への住宅資金の対応、ガイドラインの周知及び利用促進につい
 ても、ポスターやパンフレットを活用し、引き続き積極的に取り組んでまいります。


(3)         その他主として業務を行っている地域における経済の活性化に資する方策


    ①   創業又は新事業の開拓に対する支援に係る機能の強化のための方策


    A       アグリビジネス支援


        a   「とうぎん AFF クラブ」
            平成 24 年 5 月に農林水産事業者や食品関連事業者 32 社からなる「とうぎんアグリビ
        ジネスクラブ」を立ち上げ、販路支援を推し進めていく体制を整えてまいりました。順
        次新規会員の入会があり、平成 30 年 9 月末現在の会員数は 43 社となっております。
            また、平成 27 年より組織名を「とうぎん AFF クラブ」に改称し、農林水産業全ての
        事業者を対象としていることをイメージした組織名としております。
            今後は、販路拡大などお客様が現在抱える経営課題の解決へ向けて、商品開発や販路
        開拓等について、互いに高め合いながらブランドの創造を目指すことができるよう、当
        行は事務局として、これまで培ってきたノウハウを基に情報提供や更なるネットワーク
        の構築を図り、お客様の本業の成長支援に努めてまいります。




                              29
     【会員の業種】
農畜産物            14 社   米、雑穀、野菜各種、きのこ、牛肉、牛乳など
水産物             13 社   いか、さんま、鮭等の鮮魚及び業務用加工品など
加工食品             5社    菓子、漬物、ワイン製造など
その他             11 社   小売業、飲食業、農業用資材販売など


【支援事例 6】
    八戸ワインのブランド化を支援した事例
     八戸市南郷地区は葉タバコの産地でありましたが、需要減少と農家の高齢化に伴い
    年々生産量が減少している状況にありました。八戸市では平成 26 年より葉タバコに
    代わる基幹産業の創出を目的に、「八戸ワイン産業創出プロジェクト」をスタートさ
    せました。当行のお客様は同プロジェクトに参加し、地元産ブドウを使用した高品質
    ワインのブランド化に「生産・加工・販売」までの 6 次産業化事業にグループ会社を
    含めて取組んでおります。
     当行では、同プロジェクト参加への計画立案支援、また自社醸造工場整備への他金
    融機関との協調融資による金融支援を行っております。本事例は官民共同の地域プロ
    ジェクトへの支援を通じ、地域産業の活性化に寄与した事例となっております。



B 環境ビジネス支援


 a   再生可能エネルギー支援
     東日本大震災の発生以降、自然エネルギーへの需要が増加し、再生可能エネルギー事
業に参入されるお客様に対し、積極的な支援を行ってまいりました。平成 30 年 9 月末
の再生可能エネルギー関連融資残高は 193 件/214 億円となりました。
     東北地方においては、電力会社の連系容量状況や FIT 単価の下落等により新規大型案
件の需要が少なくなってきている状況にあります。一方で、省エネ事業や蓄電池を活用
した自家消費型太陽光発電、農地を活用したソーラーシェアリングについては事業者の
関心事として拡大してきており、新事業等への支援強化を図ってまいります。


b    「とうぎんエコ・ローン」による支援
     平成 22 年 5 月より「とうぎんエコ・ローン」の取扱いを開始し、環境保全や再生可
能エネルギーの利用に積極的な企業に対し、必要な資金を提供することで、当地におけ
る環境保全への取り組み促進をしてまいりました。
     東日本大震災の発生以降、自然エネルギーへの需要は増加しており、エネルギー供給
環境の変化は大きなテーマとなっております。当行では再エネ事業に取り組む事業者、


                         30
    温室効果ガス排出削減を行う事業者など「環境保全に対して積極的に取り組む事業者」
    に対し、「とうぎんエコ・ローン」を通じて円滑な資金供給を行ってまいりました。平
    成 30 年 3 月末現在の「とうぎんエコ・ローン」の融資残高は 63 件/45 億円となってお
    ります。
         今後も「とうぎんエコ・ローン」を通じ、金融機関として環境保全に対して積極的な
    事業者の支援を継続してまいります。


    C 医療・介護ビジネス支援


     a   「とうぎん医療・介護ローン」による支援
         平成 26 年 5 月より「とうぎん医療・介護ローン」の取り扱いを開始し、医療・介護
    事業者へ必要な資金を円滑に提供することで支援を行ってまいりました。「とうぎん医
    療・介護ローン」では、
              「はるかプラン(運転資金・設備資金)、
                                」「みらいプラン(開業
    資金)、
       」「きずなプラン(賃貸用医療介護福祉施設等の設備資金)
                                 」の 3 つをラインナッ
    プしております。
         地域における医療・介護に関する需要は、高齢化率の上昇により増加が見込まれてお
    り、今後も引き続き施設整備が求められています。当行では、
                               「とうぎん医療・介護ロ
    ーン」を通じ医療・介護事業者へ円滑な資金供給を行い、平成 30 年 9 月末の残高は 67
    億 34 百万円となっております。
         今後も「とうぎん医療・介護ローン」を通じ、地域における医療・介護事業に対する
    支援に積極的に取組んでまいります。




②   経営に関する相談その他の取引先の企業に対する支援に係る機能の強化のための方策


A       ビジネスマッチング


    a    ビジネスサポートサービス
         当行では取引先事業者の様々な経営課題やニーズに対する支援ツールとして、「事業
    承継」 「土地の有効活用」
       や         、
                 「医療介護」など約 25 の分野で 60 社超の提携外部専門家、
    専門事業者をマッチングする「ビジネスサポートサービス」を整備しております。
         当行単独では対応できないような中小事業者の経営課題やニーズに対しても、外部専
    門家をマッチングすることで、解決につなげるための支援体制を構築し、外部専門家と
    の提携についても随時拡充しております。




                          31
【ビジネスサポートサービス活用実績(平成 30 年 9 月末実績)】
                   マッチング紹介件数         うち成約件数

      平成 28 年度上期           153 件              22 件
      平成 28 年度下期           173 件              10 件
      平成 29 年度上期           258 件              31 件
      平成 29 年度下期           416 件              56 件
      平成 30 年度上期           342 件              31 件


B   地方自治体との連携
    当行はこれまでに岩手県内 11 の市町(紫波町、遠野市、洋野町、一関市、平泉町、矢
巾町、滝沢市、大船渡市、岩手町、二戸市、宮古市)と地方創生に向けた連携協定を締結
しております。連携した自治体とは、
                「地方版総合戦略」の実効性を高めるため、随時情
報連絡会を開催しているほか、地域資源を活かした 6 次産業化等地域力向上に繋がるよう
取組を行っております。
    岩手町と遠野市とは、6 次産業化に取組むお客様が融資を受ける際、各自治体から全額
利子補給を受けられる融資商品を共同開発しております。また、平成 30 年度より遠野市
との融資商品については幅広い資金ニーズに応えられるよう融資金額、融資期間の改定を
行っております。
    今後も地域の活性化に繋がるような地域特産品の開発支援や地域の抱える課題解決に
資するセミナーなどの開催を通じて、地方自治体と連携し地方創生に向けて取組んでまい
ります。


C   盛岡信用金庫との「包括業務連携に関する協定」の締結
    平成 29 年 2 月に地方創生や中小企業への資金供給に協力して取組むため、盛岡信用金
庫と「包括業務連携に関する協定」を締結しました。当行と盛岡信用金庫は従来から合同
勉強会の開催、商談会への参加、協調融資の実行等において個別に連携を図ってまいりま
したが、取引先企業の成長や経済活性化への貢献へ向けて「包括業務連携に関する協定」
を締結し、中小事業者の支援を強化していくことといたしました。6 月には両行庫の管理
職を対象に外部講師によるパラダイムシフトコーチングについての休日合同セミナーを
開催し、約 100 名が参加しました。その他、大型設備投資案件等について協調融資による
支援等を行っております。
    今後は相互の情報ネットワークや営業ノウハウを共有し、地域力の向上へ向けて取組ん
でまいります。




                      32
    【連携内容】
    1.   地方創生に関わる取組           5.   人材育成
    2.   中小事業者への資金供給          6.   経営の効率化に関する事項
    3.   中小事業者に対する本業支援        7.   その他
    4.   災害時の相互支援




D   フィデアホールディングス株式会社及び、株式会社荘内銀行、株式会社北都銀行との
    業務連携の締結
    平成 30 年 2 月、両者の強みやノウハウをお互いに有効活用し、お客様の発展と地域経
済の活性化への一層の貢献に繋げることを目的に「包括的な業務提携協定書」を締結しま
した。
    ビジネスマッチング分野での協業や、事業承継ニーズの共有による後継先の相互紹介、
アグリビジネスや再生可能エネルギー分野でのプロジェクトファイナンスの共同アレン
ジなど、お客様の本業支援の分野での相互の情報ネットワークを共有することで、地域の
中小事業者等への支援強化を図ってまいります。


E   ヒューレックスグループとの業務提携契約の締結
    平成 30 年 4 月、地域の中小事業者が抱える経営課題の解決に取組むため、人材紹介サ
ービスを行うヒューレックス株式会社、結婚相手紹介サービスを行うマリッジパートナー
ズ株式会社、M&A などの事業引継支援を行う東日本事業承継推進機構株式会社と業務提
携契約を締結しました。
    本業務提携では、当行の営業エリア内に雇用の受け皿をつくり、さらには U ターン転職
や U ターン結婚による当行営業エリア内への移住・定住により少子化対策・地域の消費拡
大を展望すると同時に、地域中小企業の存続 発展を支援することを目的としております。
                    ・
ヒューレックスグループ 3 社と連携し、雇用創出と結婚支援、事業承継支援等を通じて、
地域の中小事業者の課題解決へ向けたサポートに努めてまいります。


③   早期の事業再生に資する方策


A   中小企業再生支援協議会の活用支援
    債権者間調整を必要とする事業者について外部の専門的なノウハウを活用するべく中
小企業再生支援協議会(以下、「協議会」という。)を活用した支援を行っております。平
成 30 年 4 月から平成 30 年 9 月における協議会の新規相談件数は 4 先となっております。
    その進捗状況の内訳については、改善計画策定済の先が 1 先(うち、暫定計画 1 先)、と


                         33
なっており、計画の進捗状況について協議会と共同して定期的なモニタリングを行ってお
ります。
    今後についても、当行の取引先が様々な支援を必要とする状況(事業再生、業種転換、
事業承継等)となった場合に債権者間の調整が必要となることが想定されます。協議会に
よる経営改善計画の実現可能性についての評価は、中立な立場で客観的な検証を経て行わ
れることから、結果として債権者間調整の際に求められる透明性や妥当性が高まります。
また、結果として暫定計画となった場合でも、事業者の改善に対するモチベーションを高
める効果も期待出来るものとなることから、今後においても案件検討の初期段階から協議
会への事前相談を積極的に活用してまいります。


【支援事例 7】
    中小企業再生支援協議会を活用した農業を営むお客様の支援事例
     本事例のお客様は、震災直後の平成 23 年 7 月に新規創業した「菌床しいたけ」の
    生産事業者です。当初は原木栽培による生産計画としていましたが、創業準備期間中
    に発生した東日本大震災の影響により菌床栽培による生産へ変更となりました。
     そのようななか、原発の風評被害が想像以上に大きく、計画通りの販売が出来ない
    状況が続きました。そのため、資金繰りに支障をきたしはじめ、止む無く低価格での
    販売を余儀なくされ、結果として赤字が続き金融機関からの借入金について約定返済
    を継続することが困難な状況となりました。また、複数の金融機関との取引があり債
    権者間調整も必要な状況であったことから協議会への相談にいたりました。
     現在、お客様は、協議会主導により経営改善計画書を策定し、計画のアクションプ
    ランに基づき収支改善に取り組んでいるところであります。債権者間調整が必要なお
    客様について、協議会を活用した支援事例となっております。



B   地域経済活性化支援機構の活用支援
    有用な経営資源を有しながら過大な債務を負っている事業者の事業再生を支援するた
め、地域経済活性化支援機構(以下、
                「機構」という。)を活用した支援を行っております。
    機構は、従前からの事業再生支援に加えて、地域経済の活性化支援に係る新たな業務が
追加され、機構の関与する事業再生案件のみならず、地域金融機関やその融資先、地域金
融機関の事業再生子会社や事業再生ファンドに対する専門家派遣等を行うことができる
等、地域金融機関の事業再生をサポートする体制がとられております。
    また、平成 26 年 10 月施行の改正機構法により、事業者の債務整理を行うと同時に代表
者等保証人の保証債務について一体整理を行う「特定支援業務」も追加されており、転業・
廃業支援もサポート可能な体制となっております。
    当行では、機構がこれまで蓄積してきた実績やノウハウを活用し、被災地の復興のみな


                       34
  らず、構造不況や後継者問題等を抱え、収益改善の展望が描けない事業者に対する対応等
  を検討するため、平成 26 年 3 月に「特定専門家派遣に関する契約」を締結しております。
  この契約は現在も継続されており、引続き「行内研修の講師」や個別事業者の相談等、今
  後も機構を活用しながら事業者のライフステージに沿った支援を行ってまいります。


  C   認定支援機関としての経営支援
      当行では、平成 24 年 8 月に施行された「中小企業経営力強化支援法」に基づき平成 24
  年 11 月に経済産業省より「経営革新等支援機関(以下、
                             「認定支援機関」という)」の認定
  を受けました。
      認定支援機関として中小企業の経営力強化のため、中小企業施策の情報提供、補助金制
  度へ関与、他認定支援機関との連携等、事業者の経営状況の分析やモニタリング等の実施
  などにより中小事業者への支援態勢を整備しております。


【認定支援機関としての支援実績(平成 30 年 9 月末)】
                 制度融資                 件数         金額
 経営力強化保証制度                              21 件    723 百万円


               補助金等制度名               関与件数       採択件数
 ものづくり補助金                               55 件       23 件
 創業・第二創業促進補助金                           13 件          7件
 小規模事業者活性化補助金                              4件         4件
 中小企業等グループ施設等復旧整備補助金                       2件         2件
 認定支援機関による経営改善策定支援事業                    10 件          1件
                  合計                    84 件       37 件




                         35
      【支援事例 8】
          ものづくり補助金採択に関与し支援した事例
           本事例のお客様は、製造業を営むお客様です。取扱製品は電気機械器具を中心に多
          岐に亘っており、テレビ、エレベータの回路基板実装加工、カラオケ、アンプ等の電
          気機器、道路安全標識など幅広い分野で材料調達から加工、納品に至るまで一貫生産
          を行っています。
           お客様は売上の約 8 割を占める回路基盤実装加工において、取引先より従来のはん
          だ付けからプレスフィット加工の要請が増えたことが背景としてあり、外注対応して
          いたプレスフィット加工を内製化することによって受注の増加、納期の短縮、低コス
          ト化を実現できることから専用設備の導入検討を行い、平成 29 年度補正ものづく
          り・サービス経営力向上支援補助金を申請することとしました。
           当行では事業性評価を行いながら、認定支援機関として基本事業計画に対する助言
          等の支援を実施、平成 30 年 6 月に補助金申請が採択され、補助金交付が決定となり
          ました。金融支援にとどまらない伴走型支援の実施することにより、お客様が抱える
          課題解決にともに取組んだ支援事例となっております。



     ④    事業の承継に対する支援に係る機能の強化のための方策


      A   事業承継支援
          当行では、外部専門機関等との連携を図り、事業承継支援を行っております。事業者の
      現在の経営課題の上位に挙げられるなど中小企業経営者の高齢化の進展や地域経済の減
      退等による後継者不足等の事業承継に関する課題は増加傾向となることが想定されるこ
      とから、外部専門家とも連携を図り、引き続き事業承継に向けた支援に努めてまいります。


      B   M&A 支援
          当行では、後継者不在で事業の継続に課題を抱える地元企業に対し、M&A による事業
      継続支援を行っております。特に当行の主要顧客である中小・零細企業の需要に対し、岩
      手県事業引継ぎ支援センターや商工会議所、外部のM&A事業者と連携し、売却・購入案
      件のマッチングを通じ、事業が存続できるよう支援に努めております。


3.   剰余金の処分の方針
     当行は、銀行業の公共性を踏まえ内部留保の充実に努めるとともに、配当につきましても安
 定的な配当を継続することを基本方針としております。平成 30 年 9 月期につきましては、普
 通株式の期末配当は 1 株あたり 25 円の配当を実施、第 1 種優先株式については約定に従った
 配当を行っております。また、当初の計画以上に内部留保の積み上げを図っており、平成 49


                           36
 年 9 月末には国の資金 100 億円を返済するための財源として利益剰余金を確保できる計画とな
 っております。なお、当行は本計画以上に利益剰余金が積み上がった場合、国の資金について
 早期返済を検討してまいります。


4.   財務の健全性及び業務の健全かつ適切な運営の確保のための方策


 (1)     経営管理に係る体制及び今後の方針
     経営管理体制の充実は、株主の皆様をはじめとし、取引先、地域の皆様など、全てのステー
 クホルダーの方々からの厚い信頼を確立していくための最も重要な経営課題の一つであると
 認識しております。当行では経営管理に係る体制の充実を図るため、的確な経営の意思決定、
 決定に基づく迅速な業務執行、並びに適正な監督・監査体制の構築に努めております。
     取締役会については、原則月 1 回開催しており、経営に関わる重要事項の決定を行うととも
 に、業務の執行状況の監督を行っており、平成 30 年度上期は 6 回開催しております。社外の
 専門的な見地からの意見を取入れるため、独立役員 2 名以上の社外取締役を含む体制とし、取
 締役会において活発かつ十分な実質的な議論のもとに意思決定がなされるよう、社外役員には
 事前資料配布並びに議題の事前説明を行っております。
     常務取締役以上及び常勤監査役で構成される常務会は、原則毎週開催しており、迅速な意思
 決定を行う体制を整備しており、平成 30 年度上期は 35 回開催しております。常務会は取締役
 会で定めた基本方針に基づく業務執行や、常務会規程に基づく付議案件を審査するとともに、
 重要な銀行業務の意思決定機関としての機能を担っております。


  (2)    業務執行に対する監査又は監督の体制及び今後の方針
     当行は監査役制度を採用しており、監査役会は監査役 5 名(会社法第 2 条第 16 号に規定さ
 れた社外監査役 3 名を含む)で構成されており、平成 30 年度上期は 5 回開催しております。
 取締役会については監査役 5 名が、常務会については常勤監査役 2 名が出席し、適切な提言・
 助言を行っております。監査役は取締役会への出席を通して経営チェックを行うとともに、営
 業店及び本部各部の業務執行状況、内部統制の有効性及び法令遵守状況等を監査しております。


 (3) 与信リスクの管理(不良債権の適切な管理を含む)及び市場リスクの管理を含む各種
         リスク管理の状況並びに今後の方針


     ①   リスク管理体制
      当行では業務運営上発生が予想されるリスクについて、統合的リスク管理の考え方のもと、
     取締役会がリスク管理の基本方針及びリスク管理体制を定めております。
      リスク管理の基本方針では、リスクを定量化し自己資本と対比して管理する「統合リスク
     管理」と、統合リスク管理以外の手法による「その他リスク管理」とに区分しております。


                            37
前者は、資産・負債の総合管理、自己資本管理、流動性リスク管理に係る事項も含め、経営
陣と関係部で構成する ALM 委員会において管理する体制としております。後者は、リスクの
種類ごとに主管部署を明確にし、当該主管部署ごとに管理体制の堅確化に努め、リスクの顕
在化を抑制する管理体制としております。


②   統合的リスク管理
 統合的リスク管理については、リスクの種類ごとにリスクの顕在化により発生が予想され
る損失額を統計的な方法で計測を行い、自己資本を原資として主要なリスク(信用リスク、
市場リスク、オペレーショナルリスク)にリスク資本を配賦して、設定したリスク管理枠に
収まるよう管理する手法としております。
 経営陣と関係部で構成する ALM 委員会では、毎期リスク管理枠の設定を行い、経営体力に
見合ったリスクテイクとなっているかを毎月確認しており、定期的にストレステストを実施
することにより、自己資本充実度の検証を実施しております。


③   信用リスク管理
 当行の信用リスク管理については、融資規程(クレジット・ポリシー)において、信用リ
スク管理の基本方針として、信用リスク管理態勢の整備、与信審査の客観性の確保、問題債
権の管理、与信ポートフォリオ管理による与信集中の排除、信用リスクの定量的把握、適正
な収益確保等の方針を定め実施しております。さらに、信用リスク管理規定において、目的、
定義、範囲、態勢及び役割、管理方法等を定め、適正な信用リスク管理が実現するような態
勢を整備し実施しております。
 与信ポートフォリオについても、四半期ごとに ALM 委員会において経営に報告し、信用リ
スク額、リスク量、予測最大損失額等の把握を行うとともに、改善策等を指示するなどによ
り管理しております。具体的な顧客管理手法としては、融資先管理要領に基づき、大口与信
先、特別管理先、経営改善指導先、事業再生支援先等を選定し、営業店のモニタリング等を
基に年 2 回、営業店と本部で取組方針協議を実施し、支援及び管理を行っております。また、
本部管理・指導が必要な先については、本部担当部署が直接顧客訪問を実施し、経営改善計
画策定等の支援・指導を行っております。
 問題債権の管理としては、営業店からの毎月 2 回の期日経過債権の報告や月例の貸出金延
滞報告により管理を強化し、条件変更による長期延滞の未然防止や問題解決に向けた取組を
図っております。実質破綻先以下の管理は、毎年 2 月末、8 月末基準日として営業店より、
債権管理報告を受け、問題解決に向けた方針協議を行い、再建支援や円滑な処理等への協力
を含めた取組を強化しております。
 今後につきましても、信用リスク管理として、態勢を強化するとともに、管理の適正化を
図り、取組方針協議を基に、これまで以上に本部が積極的に関与し、経営改善や事業再生の
可能性が高いと見込まれる取引先を健全な企業に立て直すための支援を行ってまいります。


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④   市場リスク管理
 市場リスク管理については、市場リスクの所在、市場リスクの種類・特性及び市場リスク
の特定・評価・モニタリング・コントロール等の重要性を認識し、適正な市場リスク管理体
制の整備・確立へ向けて、リスク管理の方針及び管理体制の整備をしております。
 具体的には、毎期、資産・負債の総合管理や自己資本管理等に関わる「ALM 運営方針」を
決定しております。また、ALM 委員会では、毎期、
                        「市場運用業務等の方針」を設定し、市
場リスクを管理可能なリスクに限定する中で安定的な収益を確保することを確認しており
ます。あわせて「有価証券の売買方針」について、毎月 ALM 委員会にて協議を行い決定する
こととしております。


⑤   流動性リスク管理
 流動性リスク管理について、流動性リスクの所在、流動性リスクの種類・特性及び流動性
リスクの特定・評価・モニタリング・コントロール等の手法並びに流動性リスク管理の重要
性を十分に認識し、
        「リスク管理規程」「ALM 運営方針」「流動性リスク管理規定」「市場
                 、         、           、
運用業務等の運用管理基準」等の規定を定めております。月次の ALM 委員会において、資金
の運用・調達状況の予測に基づく中長期的な資金動向の報告を行うほか、
                                「市場運用業務等
の運用管理基準」に日次・月次等の定例報告を定めております。また、重要な事項について
は随時報告する体制としております。


⑥   オペレーショナルリスク管理
 オペレーショナルリスク管理については、事務リスク・システムリスク、その他オペリス
ク(法務リスク・人的リスク・有形資産リスク・風評リスク)の区分ごとに主管部を定め、
管理を行う体制としております。
 事務リスクについては、事務規程の整備、研修及び営業店事務指導等により、厳正な事務
取扱の定着に努めております。システムリスクに関して、当行は基幹システムの運営・管理
を外部へ委託しておりますが、新日本有限責任監査法人から委託業務に係る内部統制の状況
を把握し、その有効性の評価に利用する報告書(日本公認会計士協会監査・保証実務委員会
実務指針第 86 号「受託業務に係る内部統制の保証報告書」に基づき、受託会社監査人が提
供する保証業務)を毎年受領しモニタリングを実施するとともに、 1 回基幹システムの運
                              年
用・管理を委託している株式会社エヌ・ティ・ティ・データに対しシステム監査を実施する
ことにより、システムリスクの顕在化防止に努めております。その他オペリスクについては
当該主管部署ごとに管理体制の堅確化に努め、また、内部監査の実施により、リスクの顕在
化を抑制しております。




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