8303 新生銀 2020-05-13 15:30:00
株主提案に対する取締役会意見に関するお知らせ [pdf]

             NEWS RELEASE
                                                                2020 年 5 月 13 日
各 位
                                                       会社名 株式会社新生銀行
                                                 代表者名 代表取締役社長 工藤 英之
                                                   (コード番号 : 8303 東証第一部)



                    株主提案に対する取締役会意見に関するお知らせ


 当行は、2020 年 6 月 17 日開催予定の第 20 期定時株主総会(以下「本総会」)における議案について、下記のと
おり株主提案を受けておりましたが、本日開催の当行取締役会において、株主提案に対する当行取締役会の意見と
して、本議案に反対することを決議しましたので、お知らせします。

1.   提案株主
      DALTON KIZUNA (MASTER) FUND LP(ダルトン・キズナ(マスター)ファンド・エルピー)

2.   株主提案の内容および理由
     (1) 株主提案の内容
         取締役 1 名選任の件
         議案の要領は、別紙に記載のとおりです。なお、提案株主から提出された株主提案書の該当記載を
         原文のまま掲載しております。

     (2) 株主提案の理由
         提案の理由は、別紙に記載のとおりです。なお、提案株主から提出された株主提案書の該当記載を
         原文のまま掲載しております。

3.   株主提案に対する取締役会の意見
     当行取締役会としては、本議案に反対いたします。

4.   取締役会意見の理由について
     当行取締役会は、慎重に審議・検討を重ねた結果、以下の理由から本議案に対しては「反対」いたします。

      ■ 独立社外取締役によるガバナンスの充分性の観点
        当行取締役会は 2 人の業務執行取締役と 4 人の独立社外取締役から構成され、独立社外取締役
         が過半数を占めております。本総会においては、2 人の業務執行取締役と独立社外取締役をさらに 1
         人加えた 5 人の独立社外取締役の計 7 人の取締役の選任を付議しており、独立社外取締役比率を
         一層高め、業務執行に対する監督機能が十分に確保された取締役会の体制を維持することをご提案
         しており、ローゼンワルド氏を社外取締役として更に追加する必要性は乏しいと考えております。

      ■ 取締役ポートフォリオの専門性と多様性の観点
        会社提案の選任候補者は 7 人中 4 人が会社経営の経験を持ち、金融に専門性を持つ選任候補者
         も 5 人いることから、Dalton 社が提案するローゼンワルド氏がお持ちの知見の領域については、全て会
         社提案の選任候補者で既に高い水準でカバーできており、その観点からも追加選任の意義は認められ
         ません。
        会社提案の選任候補者は 7 名中 2 名が女性候補者であり、当行取締役ポートフォリオのジェンダー多
         様性を推進する観点では、ローゼンワルド氏の追加選任の意義は認められません。

      ■ 適切な取締役報酬の設計の観点
        当行は、経営陣と株主との利害を適切に一致させるために制度として、業務執行取締役向けに譲渡
         制限付き株式報酬の導入を 2018 年 6 月 20 日の株主総会でご承認いただき、導入しております。ま
         た、譲渡制限付株式報酬制度を執行役員にも導入しています。


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    新たな取り組みとして、社外取締役に対しても譲渡制限付株式報酬の導入を会社提案議案として
     2020 年 6 月 17 日の株主総会に上程させていただいております。株主提案に記載のある「経営陣と株
     主との利害一致を図るための株式所有を重視した報酬制度の拡大」については、次項記載の経営健
     全化計画の範囲内で、当行としても既に実施することとしております。

■ 早期健全化法、およびこれに基づく経営健全化計画遵守の観点
  当行は、公的資金注入行として早期健全化法に基づき金融庁に提出している「経営の健全化のため
   の計画」(以下「経営健全化計画」)における計画値の一つとして、取締役の人数を 7 名と定めておりま
   す。当行取締役会は、経営健全化計画において定めた計画値である 7 人という取締役の人数を遵守
   する必要があり、かつ上記のように会社提案の 7 人は取締役ポートフォリオとしてベストと考えております
   ので、ローゼンワルド氏選任の必要性はありません。
  公的資金返済は経営の最重要課題の一つであり、返済の道筋をつける取組みの一環としての株主還
   元の向上に関しては、名目的な 1 円配当のみの状況から大幅に改善し、「国内銀行の一般的な総還
   元性向の水準を念頭に置きつつ、総還元性向の維持・向上を目指す」旨、当局との協議を踏まえ、経
   営健全化計画に記載するに至りました。つまり、株主還元に関しては他の金融機関と遜色のない水準
   にあり、返済原資を着実に蓄積していくことを前提とした早期健全化法の趣旨も踏まえると、株主の利
   益の最大化に向け、株主還元については、既に法令上可能な範囲で最大限の努力を行っていると考
   えております。Dalton 社の提案理由にある「年間 450 億円程度の大規模自社株買い及び金庫株の
   消却」は、早期健全化法に基づく経営健全化計画で許容された総還元性向の範囲から逸脱するもの
   であることが予想されます。このような、早期健全化法の趣旨に反するような提案を当行取締役会とし
   ては受け入れるべきでないと考えております。

■ ESGの観点
   当行は金融グループとして、社会的インフラとしての機能を提供することが求められていると考えておりま
    す。ESG 経営の S(社会)の観点からも、お客さまに適切な資金調達機能を提供することは重要です。
   今は、COVID-19(いわゆる新型コロナウィルス)感染拡大に伴い、民間金融機関においても、社会的
    責任の観点から、影響を受けているお客さまを守り、円滑な資金供給機能を提供することが特に強く求
    められております。ローゼンワルド氏が取締役会にて提案するとしている「限界的な利益率の貸出資産
    を削減」ということは一般論として必ずしも間違っているとは考えませんが、少なくとも現下の状況では、そ
    うした自らの短期的な利益追求に基づく行動は、適切な企業行動であるとは考えられません。


■ 結論
  上記の点を踏まえ、指名・報酬委員会において慎重に議論を重ねた結果、会社提案の取締役選任
   候補者を本総会に付議しております。従いまして、当行取締役会は、当行取締役会が提案する取締
   役会構成が最良と考えており、本議案に反対いたします。


                                                        以 上

                                               お問い合わせ先
                                        新生銀行 グループ IR・広報部
                                               下村、紀、風間
                                             Tel.03-6880-8303




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【株主提案の内容および理由】
提案株主から提出された株主提案書の該当記載を原文のまま掲載しております。

1.   議案の要領

     議案 取締役 1 名選任の件

     独立社外取締役候補者として取締役 1 名の選任を提案します。独立社外取締役候補者は以下の通りです2。

      <氏名> James B. Rosenwald III
      <生年月日> 1958 年 1 年 19 日
      <略歴及び重要な兼職の状況>
      1981 年〜1988 年
      Oliver R. Grace & Family, シニア投資アドバイザー、ポートフォリオマネージャー
      1984 年 Rosenwald Capital Management, Inc. 創業、会長 兼 CEO(現任)
      1996 年 Beach Front Properties LLC 共同創業、Managing Partner(現任)
      1998 年 Dalton Investments LLC 共同創業、Managing Partner(現任)
      2012 年 New York University, Leonard N. Stern School of Business 非常勤教授(現任)
      2020 年 Rising Sun Management Limited, Chief Investment Officer(現任)
      <所有する貴行の株式数> 0 株

2.   提案の理由

     弊ファンドの問題意識はシンプルなもので、貴行経営者と株主の最終的な目標は、1998 年に注入された公的資
     金の返済であるということです。私共は株主として、貴行の公的資金返済という全てのステークホルダー(政府、経
     営陣、株主)にとっての最重要課題の達成に資する一連の政策を提案してまいりました。現経営陣によってこれま
     で一定の進捗は有りましたが、更なる加速を企図してこの度ローゼンワルド氏の貴行取締役としての選任を提案
     いたします。同氏が選任された場合、以下の内容を取締役会において提案させて頂きます。

      1.   経営陣と株主との利害一致を図るための株式所有を重視した報酬制度の拡大
      2.   限界的な利益率の貸出資産を削減し、バランスシートを縮小
      3.   年間 450 億円程度の大規模自社株買い及び金庫株の消却


                                                                                  以上




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 上記候補者が取締役に就任する際には、就任期間中、弊ファンドを含め、ダルトン・インベストメンツ・エルエルシー及び関連企業及びそ
の顧客及び弊社には、入手出来る情報及び貴行株式の取引に対して制限がかかります。



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