8254 さいか屋 2019-05-21 16:00:00
事業の現状、今後の展開等について [pdf]

                                                  2019 年 5 月 21 日
各   位
                            会 社 名 株 式 会 社         さ い か 屋
                            代表者名 取締役社長兼社長執行役員 岡本 洋三
                                   (コ ー ド 番 号 8254 東 証 第 二 部 )
                            問合せ先 経 営 本 部 総 務 部 長     宮本 貴司
                                   (TEL:046-845-6814)

                 事業の現状、今後の展開等について

 当社は、下記のとおり、事業の現状および今後の展開等について、株式会社東京証券取引所に対し、
同社有価証券上場規程第 601 条第1項第4号 a 本文に定める書面を提出致しましたので、お知らせ致し
ます。
 本書面の提出により、2019 年 11 月末日までのいずれかの月に於いて、月間平均時価総額および月末
時価総額が 10 億円以上になった時は、上場廃止基準に該当しないこととなります。
 当社はこの度、時価総額基準に抵触致しましたが、下記「2.今後の展開について」に記載致しまし
た事業計画の推進により、業績の向上をはかり、市場の信頼を回復することによって、今後も東京証券
取引所市場第二部上場を維持するよう努めて参る所存です。

                           記

1.事業の現状について

(1)経営の基本方針
  当社は、百貨店事業を核として、
                「人々に安心と潤いのある生活の提案を行う生活文化企業」をめざ
 し、永い間培ってきた信用を命として、
                  「地域のお客様に最も支持される百貨店」を目指すことを企業
 理念としております。

(2)当社事業の現状 <表1参照>
  当社は、企業理念を実現するため、     「いつ行っても欲しいものがあり、いつ行っても気持ちよく買い
 物ができ、また行ってみたいと思っていただける百貨店」の企業ビジョンのもと、社会構造の変化や環
 境変化にともなうお客様の消費嗜好の多様化に対応し、     地域の皆様の生活に貢献することで、   企業価値
 の向上に努めて参りました。しかしながら、百貨店業界におきましては、大都市圏はインバウンドの伸
 長や富裕層消費の活況もあり回復基調にある中、地方では低調な消費傾向が依然として続いておりま
 す。
  このような状況の中、当社は、2018 年2月期を初年度とする3年間の中期経営計画を策定し、     「営業
 力の強化」「財務基盤の強化」「CS 徹底の推進」の3つの基本戦略に対応するための施策実行に全社
      、          、
 を挙げて取り組んでおります。
  その結果、2019 年2月期連結会計年度の連結業績に関しましては、売上高は 19,384 百万円(前連結
 会計年度比 97.6%)
            、営業損失は 34 百万円(前連結会計年度は営業損失 13 百万円)
                                             、経常損失は 157 百
 万円(前連結会計年度は経常損失 124 百万円)  、親会社株主に帰属する当期純損失は 145 百万円(前連
 結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失 125 百万円)となりました。



                            1
   <表1> 中期経営計画    連結業績実績及び連結業績予想                          単位:百万円
                    2018 年2月期      2019 年2月期       2020 年2月期 予想
                      実    績         実    績        (前期に対する増減額)
    売上高                     19,855        19,384    19,600   (216)
     内、藤沢店                  10,600        10,820    11,183   (363)
     内、横須賀店                  7,654         7,018     7,045   ( 27)
     内、川崎店                     993           951       970   ( 19)
    営業利益                      ▲13           ▲34        150   (184)
    経常利益                     ▲124          ▲157         30   (187)
    当期純利益                    ▲125          ▲145         20   (165)

  各店舗別の業績は以下のとおりです。

  ①藤沢店
    基幹店の藤沢店では、2018 年2月期に顧客支持の高いテナントとして、ニトリ、タリーズコーヒ
  ーを導入、あわせて澤光青果の導入をはじめとした百貨店ゾーンの見直しをはかりました。2019 年
  2月期には、婦人服・紳士服を中心に、地元のお客様に支持されているショップの導入をはかりまし
  た。その結果、入店客数が 2 年連続増加となり、2019 年2月期は、売上高が 10,820 百万円(前期比
  102.1%)と前年実績を上回り、   これまで実施した諸施策の成果が着実に出てきております。    更に一部
  テナント化に伴う賃料収入も増加しております。
  ②横須賀店
    横須賀店では、売上比重が高くデイリー商材でもある食品の強化のため、2018 年2月期に九州屋
  を導入しました。2019 年2月期には、横須賀・三浦の食品を取りそろえた「よこすかすきショップ」
  をオープンするなど、地元に根差した施策を実行しました。しかしながら、中元・歳暮需要の低迷、
  入店客数の伸び悩みなどもあり、2019 年2月期は、売上高 7,018 百万円(前期比 91.7%)と前年実績
  を下回る結果となりました。
  ③川崎店
    川崎店におきましては、   外商担当者の増員をはじめとした、  川崎店での売上比重が高い外商部門の
  強化を進めてきたことにより、2018 年2月期の外商扱い売上高が前年を上回るなど、一定の成果が
  出てきております。しかしながら、横須賀店同様に中元・歳暮需要の低迷もあり、2019 年2月期は、
  売上高 951 百万円(前期比 95.8%)と前年実績を下回る結果となりました。

2.今後の展開について <図1参照>

  3年間の中期経営計画の最終年度を迎える 2020 年2月期においては、前年からの売上高トレンドや
 消費増税の影響などによる売上高減少に伴う損益減少(▲146 百万円・図1:A)や設備工事竣工による
 一時的費用増(▲40 百万円・図1:B)などのマイナス要因はあるものの、以下の「      (1)財務基盤の強
 化」に記載の経費削減施策を実行することで、2020 年 2 月期は、前期実績に対し 240 百万円の経費削
 減(図1:C+D+E)をはかり、営業損益黒字化を見込んでおります。更に「     (2)営業力の強化」に記載
 の新たな営業施策をはじめとした営業諸施策を実行することで、    2020 年 2 月期は、前期実績に対し 130
 百万円の損益増加(図1:F+G)をおこなうことで、黒字化(営業利益 150 百万円、経常利益 30 百万円、
 当期純利益 20 百万円)を着実に実現し、企業価値の向上をはかり、早期に時価総額基準 10 億円以上へ
 回復するよう全社一丸となり取り組んでまいります。




                              2
  <図1> 2020 年2月期              営業利益(150 百万円)黒字化イメージ (連結)
   単位: 百万円
                                                                                              G

                                                                                   F
                                                                                              +86
                                                                       E
                                                                                  +44

                   A
      ▲34                                                                       営業力強化のための基盤整備に

                                                          D                     よ り 可能と なっ た「 新たな営業
                                             C                        +110      施策の実行」 によ り 、 前期実績
                                                          +20                   に対し 、 130百万円の損益増加
                                                       業務およ びコ スト の可視化によ
                                  B                    る 「 大幅な固定費削減」 によ り 、
                  ▲146                                 前期実績に対し 、 240百万円の
                                                       経費削減( 実施済み)
                                  ▲40       +110

   2019年2 月期   前年から の売上高      設備工事竣工に     委託業務のよ り     電力の自由化な      効率的な要員配     店舗・ EC部門に   外商部門によ る
   営業利益        ト レ ン ド や消費増   よ る 一時的費用   効率的な仕様変      ど を 活用し た固   置、 役員報酬の    よ る 損益増加額   損益増加額
               税の影響など によ      増           更によ る 固定費    定費削減額        見直し など によ
               る 売上高減少に伴                  削減額                       る 人件費削減額
               う 損益減少額



(1)財務基盤の強化
  ①経費の削減 (削減額:240 百万円・図1:C+D+E)
  (ⅰ)中期経営計画の一環としてこれまで実施した施策の効果と課題
    ・経費削減については、継続的なローコストオペレーションを実行してきた結果、効率的な広告
      宣伝費の運用や販売費などの減少もあり、2018 年2月期は前期比 92.7%、2019 年2月期は前
      期比 98.4%の販売費および一般管理費の削減効果がありました。
    ・しかしながら、売上高の減少傾向が続く中、更なる経費削減が必要となることから、固定費・
      人件費をはじめとした損益改善効果の大きい抜本的な費用構造の見直しに着手するため、        2017
      年 12 月に「構造改革推進部」を新設しました。
    ・
    「構造改革推進部」     では、業務およびコストの可視化の実行、  構造改革方針の立案をおこない、
      その成果として、2020 年2月期までに、用度品費用の見直しが実行され、2019 年2月期の期
      中からの経費削減がおこなわれ、2020 年2月期は年間を通しての経費削減効果があらわれま
      す。
  (ⅱ)2020 年2月期の展開
    ・「構造改革推進部」により実施した、業務およびコストの可視化、構造改革方針の立案をもと
      に、2019 年2月期に交渉をスタートさせた委託業務のより効率的な仕様変更まで踏み込んだ
      見直しが実現したことにより、2020 年2月期においては、110 百万円の固定費削減効果(図
      1:C)があります。
    ・また、電力の自由化などを活用した水道光熱費の削減をはじめ、現在実行中の固定費の削減策
      (図1:D)を 2020 年2月期中に実現させることにより、20 百万円の固定費削減効果を見込ん
      でおります。
    ・人件費におきましては、効率的な業務運用を含めた要員配置をおこなうことにより、定年退職
      者をはじめとした退職者の補充を最小限に留めることに加え、2019 年2月期の業績を勘案し、
      役員などの報酬・給与の見直しを実行することにより、2020 年2月期においては、110 百万円


                                                   3
    の人件費の削減(図1:E)をはかります。
(2)営業力の強化 (損益増加額合計:130 百万円・図1:F+G)
 ①店舗部門・EC 部門 (損益増加額:44 百万円・図1F)
 (ⅰ)中期経営計画の一環としてこれまで実施した施策の効果と課題
   ・営業店舗においては、顧客支持の高いテナントの導入、百貨店ゾーンの見直しをおこない、デ
    イリーでもご利用いただける店舗づくりを進めてまいりました。
   ・その結果、    基幹店の藤沢店では、   入店客数が2年連続で増加しており、売上高においても、  2019
    年2月期は前年実績を上回るなど、着実に成果が出てきております。
   ・一方、横須賀店では、その効果が限定的であり、入店客数・売上高ともに低迷しております。
   ・藤沢店の成果を継続していくこと、横須賀店の魅力を向上させることを目的として、2018 年
    6月に、営業に関する方針・計画の立案推進機能を一元化する「営業企画部」を新設し、施策
    推進のスピードを向上させました。更に、商販分離を明確にし、商品調達力、店頭販売力を強
    化するため「MD 統括部」を再編しました。
   ・上記部門に加え、既存の「営業計画部」が協働し、2020 年2月期には、藤沢店におきまして
    「休業日内覧会(前期比 195%)」などといった、これまでおこなっていなかった効果の高い施
    策をスピーディーに実行しました。
   ・以上と並行して、各部門での OJT により営業を担える人材を早期に育成し、PDCA により業務
    の精度向上をはかるなど、営業力強化のための基盤整備をおこないました。
 (ⅱ)2020 年2月期の展開
   ・上記「営業企画部」     「MD 統括部」に加え、営業計画および販売促進計画を立案・実行する「営
    業計画部」    が協働し、  各店舗をバックアップする以下の施策をはじめとした諸施策を実行する
    ことにより、店舗および EC サイトの魅力を向上させ、店舗部門・EC 部門の損益を 44 百万円
    円増加いたします。
      『店頭販売力の強化』
          ・商販分離の明確化に加え、事務作業の効率化、会議の削減などをおこなうことで、マ
           ネージャーの店頭での指揮時間を増加させ、     繁閑による販売員の適正配置などをリア
           ルタイムで実行し、より一層の販売時間の創出をおこないます。
          ・それにより、接客機会を増加させ、ご来店されたお客様への接客サービスの強化によ
           り、2020 年2月期は、前期実績に対し 75 百万円の売上高増をはかります。
      『食品の強化による、デイリーユース商材の拡大』
          ・2019 年3月の組織改正により、商品カテゴリー別の売上高構成比が 40%超と高い食
           品部門を各店舗個別ではなく、各施策を全社的に立案推進する「食品部」を新設しま
           した。
          ・「食品部」の組織力を活かし、ショップの退店などにより、空き区画となっている売
           場への催事ショップ、    常設ショップの新規誘致または入替えを迅速に進め、   従来の百
           貨店の枠組みにとらわれることなくお客様に支持される売場づくりを実行します。
          ・更に、仕入お取引先様との交渉をより深く、よりスピーディーにおこない魅力ある品
           揃えおよび施策を実現させます。
          ・以上の施策を実行し、2020 年2月期は、前期実績に対し 25 百万円の食品部門売上高
           増をはかります。
      『EC 部門の活性化』
          ・2019 年3月の組織改正により、 サイトの活性化を目的とした
                              EC            「Web 計画グループ」
           を新設しました。
          ・2020 年2月期におきましては、多くの潜在顧客が想定される EC サイトにおいて、商
           品仕入れの担当部署「MD 統括部」と連携し、品揃えを強化するとともに、商品紹介の
           充実をはかるなど、魅力ある EC サイトの構築を実行し、2020 年2月期は、前期実績


                           4
       に対し 35 百万円の EC サイト売上高増をはかります。
    『地域競合店舗の変化への的確な対応』
      ・横須賀店では、2019 年3月末に近隣大型商業施設が改装工事のため一時閉店したこ
       とを、新規顧客様にご来店いただく好機と捉え、その効果を最大とするため、新しい
       商品の提案や、お買物がしやすい売場づくりに取り組んでおります。2019 年4月に
       おいては、入店客数・売上高ともに改善傾向になるなど、生鮮食品などのデイリー商
       材をはじめとして、その効果が出てきております。
      ・藤沢店では、2019 年3月の近隣大型商業施設リニューアルオープンを藤沢駅周辺の
       集客力アップの好機と捉え、     婦人服・紳士服売場を中心とした一部売場のリニューア
       ルをおこないました。    更に、 さいか屋カード会員向けの化粧品インセンティブ策を実
       施するなど、百貨店ゾーンの魅力向上による新規顧客の拡大をはかります。
      ・地域競合店舗の変化への的確な対応を取ることで、2020 年2月期は、前期実績に対
       し 100 百万円の売上高増を見込みます。

②外商部門 (損益増加額:86 百万円・図1:G)
(ⅰ)中期経営計画の一環としてこれまで実施した施策の効果と課題
  ・外商部門は、    「お客様と接する機会の更なる拡大」「きめ細かい外商活動の実行」を目的とし
                               、
   て、外商担当者の増員とスキルアップをはかってまいりました。
  ・その結果、一部で売上高増加の効果が出てきたものの、その効果を最大とするためには、新た
   な企画の実行、      新たな商材の開発への取り組みが必要であると考え、店舗を横断した発想で立
   案し、全体最適となる外商活動を実践するため、2018 年9月に外商部門を営業各店舗所属か
   ら独立させ、    「外商部」として統合いたしました。
(ⅱ)2020 年2月期の展開
  ・新設した「外商部」において、2019 年2月期に準備を進めてきた以下の施策をはじめとした諸
   施策を実行することにより、外商顧客様のロイヤリティー向上をはかり、2020 年2月期の外
   商部門損益 86 百万円、売上高 460 百万円の増加をはかります。
     『外商顧客様向け「さいか屋カード」のポイント付与率アップ』
         ・2019 年3月から外商顧客様に限定し、「さいか屋カード」のポイント付与率をアップ
           いたしました。
         ・これまでポイント付与率は一律で設定しており、   インセンティブが無かったことから、
           顧客ロイヤリティーが低く、  同一商品の販売においては、競合他社と比べ競争力を欠
           いておりました。
         ・ポイント付与率をアップしたことを切り口とし、   外商顧客様との接触機会をこれまで
           以上に増加させるとともに、新たな外商顧客様の創出活動を活性化させます。
     『外商サロンの新設』
         ・2019 年4月に横須賀店におきまして「外商サロン」を新設いたしました。
         ・ごゆっくりとお買物を楽しめる環境を整備するとともに、   サービスの徹底をおこない、
           外商顧客様の来店頻度増加に伴う売上高増を目指します。
         ・「外商サロン」のオープンをきっかけとしてご来店いただく方も増えており、1日平
           均50名程度のご利用をいただいていることから、  「外商サロン」付近の婦人服ショ
           ップなどへの相乗効果も出てきております。
     『スペシャルインビテーションの新規開催』
         ・外商顧客様をはじめ、各ショップの上得意様をお招きし、特別な限定品、イベント企
           画などをご用意した 1 日限りのご招待会を藤沢店、横須賀店で開催しました。
         ・藤沢店、横須賀店ともに前年を大きく上回る実績をあげました。



                       5
 また、業績が低迷している横須賀店におきましては、地域の皆様に支持していただける存在であり続
けるために、「高付加価値商品群の導入」や「地域オンリーワン商品群の導入」などを目指し、百貨店
面積の適正化を含めた店舗改装の検討や、更なるコスト構造の見直しをはかるなど、業績の改善策を進
め、企業価値の向上に邁進してまいります。

3.今後の見通しおよび上場維持について

 当社は、2020 年2月期連結会計年度の見通しにつきまして、売上高 19,600 百万円(前期に 216 百万
円増)、営業利益 150 百万円(前期に 184 百万円増)、経常利益 30 百万円(前期に 187 百万円増)、親会社
株主に帰属する当期純利益 20 百万円(前期に 165 百万円増)を予想しておりますが、      「2.今後の展開に
ついて」にあげました施策を実施することにより、      今後業績予想の見通しに変更が生じることになれば、
速やかにお知らせいたします。
 当社は、2020 年2月期の黒字化実現のための諸施策を着実に実行することにより、市場からの信頼
回復と企業価値の向上に向けて取り組んでまいります。        これにより、  当社株式の月間平均時価総額およ
び月末時価総額について、   株式会社東京証券取引所の定める基準を上回ることにより、          今後も東京証券
取引所市場第二部上場を維持するよう努めて参る所存であります。

                                                        以上




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