8132 シナネンHD 2019-06-04 16:30:00
特別調査委員会の中間調査報告書の受領に関するお知らせ [pdf]

                                                                            2019 年6月4日
各      位
                                            会社名            シナネンホールディングス株式会社
                                            代表者            代表取締役社長              﨑 村 忠 士
                                                           (コード番号 8132 東証第一部)
                                            問合せ先           常務取締役                清 水   直 樹
                                                           (TEL 03-6478-7801)



            特別調査委員会の中間調査報告書の受領に関するお知らせ


     当社は、2019 年5月8日付「2019 年3月期決算発表の延期及び特別調査委員会の設置に関するお知らせ」のとおり、当

社連結子会社であるミライフ西日本株式会社のソリューション事業部門における会計処理の誤謬と売上の不正計上などの

不適切な会計処理(以下「本件」といいます)について、外部専門家を交えた特別調査委員会(委員長:三宅英貴弁護士)

を設置し、調査を実施してまいりました。特別調査委員会では、①本件に関する事実関係(類似事象の存否を含む)の調

査、②本件による連結財務諸表、個別財務諸表への影響額の確定及び③本件が生じた要因の究明と再発防止策の提言を目

的とし、そのうち①、②を先行して調査を進めました。

     本日、特別調査委員会から「中間調査報告書」を受領いたしましたので、その内容と今後の当社の対応につき、以下の

とおりお知らせいたします。

     なお、
       「中間調査報告書」では一部を除き、社内外の個人名及び社外の取引先等に関して、個人情報等に配慮し匿名とし

ております。

                                     記


1.    特別調査委員会の中間調査結果
       特別調査委員会の中間調査結果につきましては、別添の「中間調査報告書」に記載のとおりでありますが、連結財
      務諸表に対する影響額を下記に記載いたします。


                     項    目              2018 年 3 月期          2019 年 3 月期
                                          影響額合計                影響額合計
           連結損益計算書       売上高               △107 百万円              △718 百万円
                         売上原価               △93 百万円              △665 百万円
                         売上総利益(差額)          △13 百万円               △52 百万円
           連結貸借対照表       売掛金               △107 百万円              △741 百万円
                         棚卸資産              △288 百万円               △15 百万円
                         買掛金                           -             -百万円


2.    決算への影響について
       特別調査委員会の調査対象期間として 2018 年3月期、2019 年3月期の2期間としましたが、
                                                      「中間調査報告書」を
      受け、2018 年3月期については重要性が乏しいと判断したため、訂正はしておりません。2018 年 3 月期を含めた 2019
      年3月期の連結業績への影響額は、調査結果に基づく売上・仕入の取り消しのほか、この取消処理に伴い、再計上さ
     れた債権に対する評価等を当社にて行った結果、以下の通りであります。


       2019 年3月期
             科   目    影響額                  主   な   要   因
       売上高           △825 百万円   実態のない売上の取り消し
       売上原価          △298 百万円   実態のない仕入の取り消し(△758)
                                                 、棚卸資産の評価(460)
       貸倒引当金繰入額等     △211 百万円   再計上した債権の評価等
       営業利益          △738 百万円


3.   今後の対応について
      本日、特別調査委員会から受領した「中間調査報告書」では、本件が生じた要因の究明と再発防止策の提言は、調
     査中であるため、2019 年6月下旬を目途に特別調査委員会から受領予定の最終の「調査報告書」の提言を踏まえ、再
     発防止策を策定し、コーポレートガバナンスの強化及びコンプライアンスの徹底を行ってまいります。


      株主、投資家の皆様をはじめ、関係者の皆様には多大なご迷惑とご心配をおかけいたしましたこと深くお詫び申し
     上げます。

                                                             以   上
      中間調査報告書

       【公表版】
        2019 年 6 月 4 日




シナネンホールディングス株式会社         特別調査委員会
シナネンホールディングス株式会社 御中


シナネンホールディングス株式会社 特別調査委員会




           委員長   三 宅 英 貴




           委 員   小 川 常     司




           委 員    篠   連
                                                  目      次
第1   調査の概要 ..................................................................................................... 1

1    特別調査委員会を設置した経緯 ...................................................................... 1

2    調査の目的・範囲 ........................................................................................... 1

3    調査体制等 ..................................................................................................... 1

 ⑴        特別調査委員会の構成 .............................................................................. 1

 ⑵        当委員会の運営に係る方針及び準則.......................................................... 2

第2   調査手続の概要 .............................................................................................. 3

1    調査実施期間.................................................................................................. 3

2    調査対象期間.................................................................................................. 3

3    本中間調査報告書を提出した経緯 ................................................................... 3

4    中間報告までに実施した調査手続の概要 ......................................................... 3

 ⑴        関係資料の確認・精査 .............................................................................. 3

 ⑵        ML 西日本の役職員に対するインタビュー ................................................ 4

 ⑶        会計分析・調査 ........................................................................................ 4

 ⑷        フォレンジック調査 ................................................................................. 4

 ⑸        反面調査 .................................................................................................. 5

 ⑹        監査人との情報交換 ................................................................................. 5

5    前提事項 ........................................................................................................ 5

6    制限事項 ........................................................................................................ 6

第3   当社グループ及び ML 西日本の概要 ............................................................... 7

1    当社グループの事業内容等 ............................................................................. 7

2    ML 西日本の概要 ........................................................................................... 7

第4   本件の事実関係の概要 .................................................................................... 9

1    ML 西日本のソリューション事業部門の概要 .................................................. 9
 2   売上の不正計上等が疑われる取引に関する調査結果 ...................................... 10

 ⑴        プラント敷地造成工事案件について........................................................ 10

 ⑵        太陽光発電用架台案件について .............................................................. 11

 ⑶                         向け地中埋設管取引案件について ...................................... 12

 ⑷        機器販売(在庫)案件について .............................................................. 12

 ⑸                                        設備改修工事案件について ................................ 13

 ⑹        マンション 2 棟設備工事案件について .................................................... 13

 ⑺        プラント監視装置案件について .............................................................. 13

 ⑻        D 社に対する売掛金の回収偽装について................................................. 14

 ⑼        宛先不明債権の回収工作......................................................................... 15

 ⑽        不正の動機について ............................................................................... 15

 3   会計処理の誤謬が疑われる取引に関する調査結果 ......................................... 16

 ⑴        B 社との取引の概要 ............................................................................... 16

 ⑵        FRP 製品取引の売上の期間帰属の誤謬について ..................................... 17

 ⑶        FRP 製品取引に係る前渡金の誤謬について ............................................ 18

 ⑷        地中埋設管取引(N 社案件)の実在性について ...................................... 19

第5   類似事象の有無の調査 .................................................................................. 21

 1   ソリューション事業部門の受払表の調査 ....................................................... 21

 2   アンケート調査 ............................................................................................ 22

 3   フォレンジック調査 ..................................................................................... 22

 4   a 氏らの入出金記録等の調査 ........................................................................ 23

第6   全調査結果の連結財務諸表に対する影響額 ................................................... 24

第7   今後の調査予定について............................................................................... 26
                  略語集


  略語                    正式名称等
  当社      シナネンホールディングス株式会社
 ML 西日本   ミライフ西日本株式会社
旧品川ハイネン   ML 西日本との統合前の品川ハイネン株式会社
          a氏(ML 西日本 元常務取締役兼エコロデュース本部
  a氏
          長兼北陸管掌役員)
  b氏      b 氏(ML 西日本 金沢支店業務チーム長)
          c 氏(ML 西日本 エコロデュース本部 FRP 事業推進
  c氏
          チーム長)
  B社      B社
  D社      D社
  A社      A社
  C社      C社
  E社      E社
  F社      F社
  H社      H社
  I社      I社
  J社      J社
  L社      L社
  M社      M社
  G社      G社
  N社      N社
  O社      O社
  P社      P社
 EY 新日本   EY 新日本有限責任監査法人
第1    調査の概要
1     特別調査委員会を設置した経緯
      当社は、当社の連結子会社である ML 西日本のソリューション事業部門において、
     2019 年 4 月下旬に実施した社内調査により、会計処理の誤謬(本来、前渡金として処
     理すべきものを仕入で処理していた等)、売上の不正計上(本来、売上とはならない取
     引を売上で処理していた等)などの不適切な会計処理が行われていたこと(以下「本
     件」という。)が判明したことを受け、2019 年 5 月 8 日付取締役会決議によって特別
                              「2019 年 3 月期決算発表の
                      )を設置し、同日、
     調査委員会(以下「当委員会」という。
     延期及び特別調査委員会の設置に関するお知らせ」と題する適時開示を行った。


2     調査の目的・範囲
      当委員会は、以下の各項目を委嘱事項として調査を実施した。
       ① 本件に関する事実関係の確認(類似事象の存否を含む。
                                 )の調査
       ② 本件による連結財務諸表、個別財務諸表への影響額の確定
       ③ 本件が生じた要因の究明と再発防止策の提言


3     調査体制等
 ⑴ 特別調査委員会の構成
       当委員会の構成は以下のとおりであり、両委員は、いずれも当社の独立役員であ
      ることに加え、委員長及びその所属法律事務所は当社から業務を受任したことはな
      く、委員長は、当社と利害関係を有しない外部専門家として選任された。


 委員長       三宅 英貴 (弁護士 アンダーソン・毛利・友常法律事務所)
 委 員       小川 常司 (当社社外取締役監査等委員)
 委 員          篠   連   (弁護士 当社社外取締役監査等委員)


       当委員会は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所(伊藤美奈子弁護士)
                                       、デロ
      イト トーマツ ファイナンシャル アドバイザリー合同会社(垂水敬公認会計士
      以下 22 名のチームにつき、以下「DTFA」という。)を調査補助者として選任し、
      関係者に対するインタビュー補助、会計分析・調査、デジタルフォレンジック調査
                       )等に活用した。
      (以下「フォレンジック調査」という。


       また、当委員会は、当社及び ML 西日本に関する資料の入手やインタビューのス
      ケジュール調整等の事務的作業については当社の監査部長兼監査等委員会室長で
      ある山本聡氏を中心とする事務局を活用した。



                            1
⑵ 当委員会の運営に係る方針及び準則
  当委員会は、当社の 2019 年 3 月期決算の早期確定の必要性を踏まえ、当社及び
 その監査人である EY 新日本と緊密に連携して調査を実施する運営方針を採用した。
  したがって、当委員会は、日本弁護士連合会の定める「企業等不祥事における第
 三者委員会ガイドライン」に完全に準拠するものではないが、その趣旨を最大限尊
 重し、その調査の独立性・中立性・客観性を担保するために、委員長と当社との間
 で締結された業務委託契約で以下の事項を合意し、かつ、これらの事項を完全に遵
 守した。
  ① 調査手続を立案・決定する権限は当委員会にあること
  ② 当委員会の成果物である調査報告書の起案権は当委員会にあること
  ③ 当社、ML 西日本及びそれらの役職員には当委員会の調査に誠実に協力する
    義務があり、当委員会に不当な影響を与える行為が禁じられること




                    2
第2    調査手続の概要
1     調査実施期間
      当委員会は、2019 年 5 月 8 日に設置され、同年 6 月 3 日までの間、調査及び調査
     結果に基づく検討を実施して本中間調査報告書の提出に至った。なお、本中間調査報
     告書提出後も当委員会の調査は継続する予定である。


2     調査対象期間
      想定される本件の影響額を踏まえ、当社の連結財務諸表に対する影響額を早期に確
     定する観点から 2018 年 3 月期及び 2019 年 3 月期を調査対象期間(以下「本調査対
     象期間」という。
            )として設定した。
      しかし、本件の誤謬あるいは不正の始期を特定する観点から必要な場合には、さら
 に遡った期間に発生した事象についてもインタビュー等による事実確認を実施した。


3     本中間調査報告書を提出した経緯
      当委員会は、当社が予定するスケジュールに沿って 2019 年 3 月期の株主総会を開
     催するためには決算を早期に確定する必要がある状況を踏まえ、当社の連結財務諸表
     に対する本件の影響額を確定する調査手続を先行して実施する方針を採用した。
      そして、本件の影響額を確定するために必要と考えられる調査手続が終了し、本件
     の影響額を確定するに至ったことから本中間調査報告書を提出した。


4     中間報告までに実施した調査手続の概要
      当委員会は、大要、以下の調査手続を実施するとともに、当委員会の全委員あるい
     は過半数が出席した会議あるいは電話会議による委員会を合計 4 回開催して問題点や
     調査結果等の検討を行った。


 ⑴ 関係資料の確認・精査
       当委員会は、当社及び ML 西日本から入手した関係資料を確認・精査した。その
     うち、主たる関係資料は以下のとおりである。
       ① 当社及び ML 西日本の組織図等
       ② 当社が本件に関して実施した社内調査の報告書及び資料一式
       ③ 本件の取引に係る証憑類
       ④ 当社及び ML 西日本の社内規程類
       ⑤ 当委員会設置前に当社監査部が実施した a 氏、b 氏及び c 氏に対するメール
          チェックで検出されたメール
       ⑥ 株式会社北陸銀行に開設された a 氏の普通預金口座の総合口座通帳(2017
          年 9 月から 2019 年 5 月までの取引記録)の写し


                            3
            ⑦ 株式会社北陸銀行に開設された c 氏の普通預金口座の預金通帳(2018 年 6 月
              から 2019 年 5 月までの取引記録)の写し
            ⑧ 株式会社ジェーシービー発行の c 氏のクレジットカードのカード利用明細書
              (2018 年 12 月分、2019 年 2 月分及び 2019 年 3 月分)の写し


     ⑵ ML 西日本の役職員に対するインタビュー
            当委員会は、本件についての当社の社内調査の状況や取引の経緯等を認識してい
      る可能性のある当社及び ML 西日本の役職員(過去に ML 西日本に所属した元従業員
         )に対し、下表のとおり、面談あるいは電話の方法によるインタビューを実
      も含む。
      施した。


    実施日                        対象者                      実施方法
     5/8                                                    面談
     5/14        a氏                                         面談
     5/15        b氏                                         面談
                                                    面談(5/24 のみ電話
5/15、5/23、5/24   c氏
                                                      の方法による)
     5/22        d 氏(ML 西日本 元北陸事業部建築部長)                     面談


           また、これらの正式なインタビューのほか、調査補助者である DTFA は、当委員
      会の指示に基づいて、本件の当社の連結財務諸表に対する影響額等を確定するため
      の調査手続として、当社及び ML 西日本の役職員に対する質問等の調査手続を随時
      実施した。


     ⑶ 会計分析・調査
           当委員会は、調査補助者である DTFA に指示して、ML 西日本のソリューション
      事業部門の受払表の売上側と仕入・棚卸側のそれぞれについて、証憑や入金を確認
      するとともに、帳簿との紐づけを確認するなどの会計分析・調査を実施した。


     ⑷ フォレンジック調査
           当委員会は、調査補助者である DTFA に指示して本件への関与が疑われる ML 西
      日本の職員 3 名(a 氏、b 氏及び c 氏)のメールデータ及び PC に記録された電子デ
      ータを保全し、メールデータ及び PC に記録されたドキュメントファイルに KW 検
      索を実施して抽出した合計 43,939 件について、ドキュメントレビューを実施し、本
      件に関連するものと判定された 2,761 件を証拠として活用した。
           また、上記 3 名の携帯電話に保存された電子データも保全し、SMS 及びチャット


                                  4
    のデータをレビューした。


 ⑸ 反面調査
     当委員会は、本件に関連する企業 21 社の登記情報を取得してその実在性や役員の
    氏名等を確認するとともに、下表のとおり、取引先 4 社に対する反面調査を実施し
    た。なお、F 社を含む 3 社については、該当する登記情報が存在せず、C 社につい
    ては登記事件処理中であったため、法人登記簿の取得ができなかった。


     反面調査先                      実施方法
                   面談によるインタビュー(2019 年 5 月 16 日実施)
         A社
                   一部売掛金台帳等の入手・確認
                   面談によるインタビュー(2019 年 5 月 20 日実施)
         B社
                   一部伝票類及び請求書等の入手・確認
                   代理人弁護士を介した書面照会による事実確認
         C社
                   一部請求書等の入手・確認
         D社        電話会議によるインタビュー(2019 年 5 月 23 日実施)


 ⑹ 監査人との情報交換
          当社が 2019 年 3 月期決算を早期に確定する必要がある状況を踏まえ、
     当委員会は、
    当社の監査人である EY 新日本と緊密に情報交換を行う方針を採用し、本中間調査
    報告書を提出するまでの間、調査の進捗状況等についての EY 新日本との情報交換
    を目的とした面談を全 4 回行った。


5   前提事項
    当委員会の調査は、以下の各事項を前提としている。
     ①   当社、ML 西日本その他の関係者が当委員会に提出した関係資料は全て真正
         かつ完全な原本又はその正確な写しであること
     ②   当委員会の調査は強制的な調査権に基づくものではなく、関係者の任意の協
         力に基づくものであること
     ③   当委員会の調査は、本件に関与した関係者の法的責任の追及や社内処分を目
         的とするものではなく、本報告書はそのような目的で使用されることを想定
         していないこと
     ④   当委員会が実施する事実関係の調査は、会計処理の前提となる事実関係の確
         認を目的として実施するものであり、個々の取引の法律関係の分析や法的評
         価あるいはその前提となる事実関係の確認を目的とするものではないこと



                          5
6   制限事項
    当委員会が本件の会計上の影響額を確定するために必要と考える調査は概ね実施す
    ることができたが、以下の各事項について制限が生じた。
      ①   調査対象となった ML 西日本のソリューション事業部門は、取引相手からの
          発注書のみで売上計上を行うなど本来必要となる証憑を揃えずに会計処理を
          行う実務が常態化しており、本件の大半の取引について、ML 西日本に保管
          された証憑類から取引実態を確認することができなかったこと
      ②   上記①の状況から、当委員会は、反面調査による外部証拠の収集を重視した
          が、代理人弁護士を介した書面による事実確認にのみ応じる取引先、当委員
          会への協力要請に返答しない取引先があり、面談等により詳細な事実関係を
          確認する反面調査が一部実現しなかったこと
      ③   上記②の状況に加え、当社の決算を早期に確定するための時間的制約から、
          本件に関与する ML 西日本の取引先に対する網羅的な残高確認等は実施する
          ことはできなかったこと
      ④   a 氏については、当委員会によるインタビューを一度実施したものの、その
          後、代理人弁護士を通じて健康上の理由から a 氏のみによる対応が難しい状
          況にあるとの申出があり、再度のインタビューの実施が困難と考えられる状
          況になったこと
      ⑤   a 氏及び c 氏から普通預金口座の通帳の写しの提出を受けたが、同人らが保
          有する全ての預金口座の入出金を網羅的に検証したものではないこと




                        6
第3     当社グループ及び ML 西日本の概要
       当委員会の調査で把握した当委員会の調査実施時点における当社グループ及び ML
      西日本の概要は以下のとおりである。


  1    当社グループの事業内容等
       当社グループは、当社、連結子会社 36 社及び関連会社 13 社で構成されており、主
      な事業として、①エネルギー卸・小売周辺事業(B to C 事業)
                                     、②大口需要家向け石
      油製品等各種燃料販売事業等のエネルギーソリューション事業(B to B 事業)
                                            、③抗
      菌事業や環境・リサイクル事業等の非エネルギー及び海外事業を営んでいる。
       当社グループのコア事業である石油・ガス事業が国内の人口減少や省エネ機器の普
      及などの外部環境の変化により厳しさを増している状況を受け、当社は、エネルギー
      の供給を目的とする会社から、地球環境に優しいエネルギー供給を手段とし、顧客の
      快適な住まいと暮らしを実現する「総合エネルギーサービス企業グループ」への進化
      を目指した中期経営計画を 2017 年 4 月より実施している。そして、石油・ガス事業
      のさらなる効率化を進め、また石油・ガス事業以外への積極的な経営資源投資により
      連結の利益構成比を変革することを経営の重点課題としている。


       当社の事業年度は、毎年 4 月 1 日から翌年 3 月 31 日までの 1 年間とされており、
      当委員会の調査結果による影響を反映させる前の最近 5 会計年度の連結経営指標は下
      表のとおりである。
                                                                     (百万円)
            2014 年 3 月期   2015 年 3 月期   2016 年 3 月期   2017 年 3 月期   2018 年 3 月期
  売上高           310,102       281,375       209,112       218,242       244,370
  営業利益            1,688         1,703         3,504         2,934         3,348
  経常利益            2,513         2,629         4,274         3,424         3,948
親会社株主に帰属
                    635         1,423         2,219         2,584         2,867
する当期純利益

  純資産額           45,880        47,075        48,173        50,685        46,863


       当委員会の調査実施時点において、当社の資本金は 15,630 百万円、連結での従業員
      数は 1,556 名である。


  2    ML 西日本の概要
       ML 西日本は、当社グループのエネルギー卸・小売周辺事業(B to C 事業)のセグ
      メントに属する当社の完全子会社であり、主たる事業として家庭向け及び小売業者向
      けに LP ガス等各種燃料の販売及びリフォーム・ガス器具を販売している。


                                    7
 当社は、従来、エネルギーの卸と小売を別の部門として運営していたが、2015 年 4
月、エネルギーの卸・小売部門を地域毎に統合する組織再編を実施した結果、ML 西
日本(当時の商号はミライフ関西株式会社)は「中部以西」のエリアを担当する事業
会社として存続した。また、その組織再編の際、当社が 1965 年に資本参加し、金沢
でエネルギーの卸と小売を営んでいた旧品川ハイネンも ML 西日本に統合された。
 なお、当社は、その後の 2015 年 10 月に純粋持株会社に移行し、商号を「シナネン
株式会社」から「シナネンホールディングス株式会社」に変更した。
 ML 西日本は、大阪府大阪市に本社を置くが、金沢支店・中部支店・関西支店・京
滋支店を設置して、北陸・中部・関西・四国・九州地方で個人顧客及び小売業者向け
店舗を展開し、LP ガス・石油販売を販売している。それ以外の事業として、本社で
FRP(繊維強化プラスチック)など新規事業を展開している。


 ML 西日本の事業年度は、毎年 4 月 1 日から翌年 3 月 31 日までの 1 年間とされて
おり、当委員会の調査結果による影響を反映させる前の 2017 年 3 月期及び 2018 年 3
月期の経営指標は下表のとおりである。
                                         (百万円)
                    2017 年 3 月期      2018 年 3 月期
             売上高            14,259        20,772
            営業利益              284            522
            経常利益              318            583
            当期純利益             279            313
            純資産額            3,622          3,889


 当委員会の調査実施時点において、ML 西日本の資本金は 90 百万円、従業員数は
195 名である。




                        8
第4    本件の事実関係の概要
      当委員会は、ML 西日本のソリューション事業部門において、当社の社内調査によ
     って判明したとされる売上の不正計上(本来、売上とはならない取引を売上で処理し
     ていた等)及び会計処理の誤謬(本来、前渡金として処理すべきものを仕入で処理し
     ていた等)について調査を実施した。
      そこで、以下では、ソリューション事業部門の概要とともに、これらの調査結果に
     ついて述べる。


1     ML 西日本のソリューション事業部門の概要
      ML 西日本のソリューション事業部門とは、本調査対象期間において存在した以下
     を総称した部門の呼称である。
      ①   北陸事業部(2018 年 4 月以降はソリューション統括本部)建築部ソリューシ
          ョンチーム
      ②   経営企画部ソリューションチーム(2018 年 4 月以降はソリューション統括本
          部ソリューション部)


      なお、①は ML 西日本金沢支店が存在する金沢を拠点とし、②は ML 西日本本社が
    存在する大阪を拠点とする。また、ソリューション統括本部は 2019 年 4 月 1 日付を
    もって「エコロデュース本部」に名称が変更されているが、以下では、ソリューショ
    ン統括本部として表記する。
      上記のとおり、ソリューション事業部門は、金沢と大阪を拠点とするが、その活動
    の中心は金沢に設置された建築部ソリューションチームにある。建築部は、a 氏が旧
    品川ハイネン時代の 2010 年に部長に就任して立ち上げた住宅サービス部をその前身
     としており、ML 西日本と旧品川ハイネンが統合した 2015 年以降は ML 西日本にお
     いても建築部として存続した。
      ML 西日本における建築部の事業は、当社グループの主要事業であるエネルギーの
     卸や小売とは異なるノンコア事業としての一般住宅や集合住宅のリフォーム事業等を
     中心とするものであったが、新規事業として、LED 関連商材の販売、省エネ提案に伴
     う空調関連商材の販売、FRP(繊維強化プラスチック)製地中埋設管の販売、その他
     の FRP 製品の販売等の法人・業務用の顧客向け事業を拡大し、これらをソリューショ
     ン事業と称してソリューション事業部門で事業展開していた。


      a 氏は、エネルギー関連企業を退職して 2007 年に旧品川ハイネンに入社後、2010
     年に住宅サービス部長に就任し、ML 西日本との統合により ML 西日本の取締役兼建
     築事業部長に就任した後、2016 年 6 月には常務取締役に就任するとともに、建築部長
     あるいはさらに上位の地位にある北陸事業部長やソリューション統括本部長としてソ


                          9
    リューション事業部門の最高責任者の地位にあった。また、c 氏は、2011 年に旧品川
    ハイネンに入社して住宅サービス部に配属され、ML 西日本との統合後も a 氏の部下
    として建築部の業務に従事していたが、2017 年 4 月に建築部ソリューションチームの
    担当課長となり、ソリューション事業部門の営業活動の中心的役割を担っていた。
     ソリューション事業部門の活動の中心は金沢にあり、建築部の事務所は、LP ガス・
    石油販売等の本業を担う ML 西日本金沢支店と同じ建物内にあったことから、金沢支
    店と兼任する従業員が相当数存在していた。そして、建築部の管理については、金沢
    支店業務チーム長を務める b 氏が 2017 年 4 月以降、建築部を兼任して経理を含むソ
    リューション事業部門の管理業務を行っていた。


2    売上の不正計上等が疑われる取引に関する調査結果
     当委員会は、当社の社内調査における a 氏に対するヒアリングによって判明したと
    される 2019 年 3 月に処理した売上の不正計上(本来、売上とはならない取引を売上
    で処理していた等)などの不正が疑われる取引について社内調査の状況を把握した上、
    事実関係の調査を実施した。その結果は以下のとおりである。


 ⑴ プラント敷地造成工事案件について
      2019 年 3 月に売上計上された E 社に対するプラント敷地造成工事売上 51 百万円
    の原価として、いずれも既に支払済みの A 社に対する 37 百万円及び C 社に対する
    11 百万円が計上された取引について、当社の社内調査では、F 社に対する滞留債権
    の回収のための資金融通取引の一部としていた。


      しかし、当委員会の調査の結果、E 社に対する売上 51 百万円が ML 西日本による
    役務提供の実態のない架空売上と認められる一方、A 社に対する 37 百万円の支払い
    は、D 社に対する雇用促進住宅向け LED 販売による滞留売掛金 32 百万円を回収す
    るために実行された以下の一連の資金融通取引の一部であることが判明した。
      ① A 社が自己調達した資金で 2018 年 3 月 29 日に D 社に 31 百万円を融通
      ② ML 西日本が 2018 年 3 月 30 日に上記①の資金を D 社に対する滞留売掛金 32
        百万円(税込)の回収として受領
      ③ ML 西日本が上記①を精算するため 2018 年 12 月 17 日にプラント敷地造成工
        事費用 37 百万円を A 社に支払い


      結果的に ML 西日本は D 社に対する滞留売掛金を全額回収するに至っているが、
    返済原資を提供した A 社が自己のリスク負担で D 社に対する資金融通をしているこ
    とに加え、相当程度の期間が経過した後に ML 西日本が A 社に補填していることな
    どからすると、ML 西日本が自己資金を還流させたとは認めがたく、 社からの資金
                                    D


                           10
流入は売掛金の回収と認められる。
 他方、 社に対する 11 百万円の支払いのその後の資金移動の状況については C 社
    C
に対する反面調査により、C 社は自社の利益分を控除した 10 百万円を 2018 年 12
月 17 日に G 社に対して地中埋設管の代金として支払った事実が判明したものの、そ
の後の資金移動の状況については解明するに至っていない。
 この取引は、a 氏の主導のもと、c 氏が A 社と調整して実行した案件と認められる
が、その目的は、 社に対する滞留債権を 2018 年 3 月末までに回収することにあっ
        D
たと認められる。その後、D 社に代わって E 社が肩代わりして最終負担する合意が
できたことから、a 氏は、A 社に対する支払済みの原価に対応する E 社に対する架
空売上 51 百万円を 2019 年 3 月期に計上してその売掛金として回収しようとしたも
のである。


 以上より、架空取引であるプラント敷地造成工事案件の売上と仕入れは取り消さ
れるべきである。他方、回収偽装の対象となった売掛金が発生した D 社に対する雇
用促進住宅向け LED 販売の取引については、そもそも実在性が疑われるものの、実
在性を否定するに足る証拠は得られなかった。


⑵ 太陽光発電用架台案件について
 2019 年 3 月に売上計上された H 社に対する太陽光発電用架台の販売売上 20 百万
円の原価として、既に支払済みの B 社に対する 18 百万円が計上された取引について、
当社の社内調査では、F 社に対する滞留債権の回収のための資金融通取引の一部と
していた。


 当委員会の調査の結果、E 社と a 氏が共同して H 社が本来発行すべき注文書を作
成している形跡があり、商品の移動の実態のない架空売上と認められる。一方、B
社に対する 18 百万円の支払いは、その後、B 社から太陽光発電所パネル架台部材等
の名目で 2018 年 10 月 31 日に E 社に 14 百万円、 社に 2 百万円それぞれ支払われ
                                   C
ており、これらは取引物の移動のない資金移動取引と認められる。しかし、E 社か
ら調査協力が得られなかったことなどにより、その後の資金移動の状況は判明せず、
ML 西日本の滞留売掛金や滞留在庫を処理するための資金循環や資金融通取引を確
認するには至らなかった。


 以上より、架空取引である太陽光発電用架台案件の売上と仕入れは取り消される
べきである。




                       11
⑶           向け地中埋設管取引案件について
    2019 年 3 月に売上計上された I 社に対する      向け地中埋設管取引の売
上 56 百万円の原価として、いずれも既に支払済みの C 社に対する 26 百万円及び同
社に対する 25 百万円が計上された取引について、当社の社内調査では、所在不明の
地中埋設管の預け在庫を処理するための架空取引としていた。


    当委員会の調査の結果、I 社に対する売上は実態のない架空売上と認められる。一
方、C 社に対する合計 51 百万円の支払いについては、a 氏は、当委員会のインタビ
ューにおいて、滞留債権あるいは滞留在庫を処理するために使用されたものの、C
社に支払った資金が A 社を経由してどこに支払われたかは記憶にない旨説明してい
る。そこで、A 社に対する反面調査等により資金移動の状況を調査したところ、C
社に支払われたこれらの資金は、A 社を経由して ML 西日本に還流していることが
判明した。すなわち、 社が A 社に対し、
          C          ①2017 年 12 月 20 日に 11 百万円、②2018
年 3 月 15 日に 37 百万円を支払ったことが確認され、さらに、そのうち①について
は、2017 年 12 月 25 日に 11 百万円が ML 西日本に支払われ、A 社に対する ML 西
日本の金属修復剤納入の売上(2017 年 7 月に 4 百万円、2017 年 9 月に 7 百万円)
で発生した売掛金の回収として還流している状況が確認された。これらは ML 西日
                            a
本が自己資金を還流させた売掛金の回収偽装と認められるが、 氏の説明からすると、
滞留在庫を処理するための架空取引と認められる。
    他方、C 社から A 社に流れた②の資金についても下記⑼記載の宛先不明売掛金の
回収として、A 社から ML 西日本に還流している状況が確認された。


    以上より、実態のない          向け地中埋設管の販売の売上及び仕入れは取り
消されるべきである。また、①で回収が偽装された売掛金 11 百万円の売上が計上さ
れた A 社に対する金属修復剤の取引についても滞留在庫を処理するための架空取引
として売上及び仕入れを取り消すべきである。


⑷ 機器販売(在庫)案件について
    2019 年 3 月に売上計上された I 社に対する床材資材や水加湿器等の販売売上 8 百
万円について、当社の社内調査では、2019 年 3 月末の棚卸で現物が確認できそうも
ない滞留在庫を I 社の資金負担で処理する取引としていた。


    a 氏は、当委員会のインタビューにおいても概ね社内調査と同様の説明をしており、
当委員会の調査結果でも、既に倒産した取引先において保管されていた在庫を処分
するための実態のないと認められる。




                         12
    以上より、実態のない床材資材や水加湿器等の売上と仕入れは取り消されるべき
であるが、当委員会の調査では、売上計上時に払い出されたとして処理された在庫
の実在性や仕入時期を確認する証拠は得られなかった。


⑸                 設備改修工事案件について
    2019 年 3 月に売上計上された J 社に対する            設備改修工事
の売上 33 百万円の原価として、いずれも既に支払済みの K 社に対する 16 百万円及
び L 社に対する 14 百万円が計上された取引について、当社の社内調査では、実際に
行われた工事に ML 西日本が介在した取引としていた。


    a 氏は、当委員会のインタビューにおいても社内調査と概ね同様の説明をしており、
当委員会の調査の結果、売上増加を企図した a 氏の主導により、既に終了した工事
について、取引先に依頼して商流の中間に ML 西日本を介在させ、証憑類だけを整
えて売上計上したものであり、取引実態のない資金移動取引と認められる。


    以上より、実態のない                   設備改修工事の売上と仕入れは取
り消されるべきである。


⑹ マンション 2 棟設備工事案件について
    2019 年 3 月に売上計上された M 社に対するマンション 2 棟の電気設備・空調設
備工事の売上 46 百万円の原価として、いずれも既に支払済みの K 社に対する 21 百
万円及び L 社に対する 20 百万円が計上された取引について、当社の社内調査では、
実際に行われた工事に ML 西日本が介在した取引としていた。


           a
    上記⑸と同様、 氏は、当委員会のインタビューにおいても社内調査と概ね同様の
説明をしているが、当委員会の調査の結果、売上増加を企図した a 氏の主導により、
            取引先に依頼して商流の中間に ML 西日本を介在させ、
既に終了した工事について、
証憑類だけを整えて売上計上したものであり、取引実態のない資金移動取引と認め
られる。


    以上より、実態のないマンション 2 棟の電気設備・空調設備工事の売上と仕入れ
は取り消されるべきである。


⑺ プラント監視装置案件について
    2019 年 3 月に売上計上された E 社に対する                の売
上 7 百万円の原価として、既に支払済みの G 社に対する 7 百万円が計上された取引


                         13
について、当社の社内調査では、同一人物が代表取締役として経営する E 社と G 社
の間に ML 西日本が介在する不審な取引として抽出した。
 しかし、2019 年 3 月 29 日に E 社から一部入金があることに加え、a 氏は、新規
事業の立ち上げを行っている E 社グループが ML 西日本との取引実績をつくるため
の実態のある取引と説明しており、当委員会の調査によって取引の実在性を否定す
るに足る証拠は得られなかった。


⑻ D 社に対する売掛金の回収偽装について
 上記⑴から⑺の取引に加え、当社の社内調査では、社内調査の過程で EY 新日本
から指摘を受けた A 社からの不自然な仕入れについて、 氏から説明を受け、 社か
                           c         A
ら D 社に対する融資を行わせた上で ML 西日本の D 社に対する滞留債権 52 百万円
を回収した資金融通取引として抽出していた。


 しかし、当委員会の調査の結果、ML 西日本が A 社に依頼して融資をさせた取引
ではなく、a 氏の主導のもと、以下の一連の資金移動により、ML 西日本が A 社の協
力のもとで自己資金を還流させて売掛金の回収を偽装した取引と判明した。
 ① ML 西日本が 2017 年 3 月 15 日に         新設工事案件に係るパ
   ワコン基礎及び地中配管工事の原価の名目で 58 百万円を A 社に支払い
 ② A 社が 2017 年 3 月 17 日に上記①の資金のうち 54 百万円を D 社に支払い
 ③ ML 西日本が 2017 年 3 月 17 日に D 社に対する滞留売掛金 52 百万円を全額回
   収


     A
 その後、 社に対する支払いは                 案件の仕掛工事として 2017 年
3 月期に計上されたものの、当該案件の採算が厳しくなって原価計上ができなくなっ
た結果、2019 年 3 月期まで同額が棚卸資産として資産計上されている。なお、当該
棚卸資産は、下記第 5 の 1 記載のソリューション事業部門の受払表の調査の結果、
2019 年 3 月期中に A 社ではない他社から仕入れた別の品名・数量・単価に変更され
ていることが判明している。
 また、当初の D 社に対する LED の販売取引については、対応する原価の存在が
確認できず、実在性が疑われたが、D 社に対する反面調査によっても架空取引と認
めるべき証拠は得られなかった。しかし、売掛金の回収については、A 社は資金負
                  ML
担リスクを負うことなく介在しており、 西日本が自己資金を還流させた滞留売掛
金の回収偽装と認められる。


 以上より、D 社に対する売掛金の回収を取り消すとともに、売掛金を再計上して
適切な債権評価を行うべきである。


                         14
⑼ 宛先不明債権の回収工作
 当社の社内調査では、上記⑻の事実確認の過程において、ML 西日本が有する宛先
不明の滞留債権 54 百万円について、2018 年 3 月に A 社が ML 西日本に支払った資
金で当該滞留債権を回収したとして処理するとともに、A 社から架空仕入れを行っ
て返済した疑いを把握した。


 当委員会の調査の結果でも同様の事実が確認された。すなわち、ML 西日本は、
2017 年 1 月と同年 2 月に債権について整理を実施しており、その際、宛先不明の滞
留債権 54 百万円を把握した。
 これらの滞留債権を回収するため、 氏は、 氏に指示して A 社に協力を促し、
                a   c                 2018
年 3 月 23 日に 54 百万円を ML 西日本に直接振り込んでもらうことにより当該滞留
債権を全額回収した。その原資の一部は、           向け地中埋設管案件の原価と
して C 社に支払った一部である上記⑶②の 37 百万円が A 社を介して ML 西日本に
還流したものと認められる。そして、c 氏の説明によると、残額については、ML 西
日本が A 社から架空仕入を行って補填したことがうかがわれるが、資金移動の全容
の解明には至らなかった。


 以上より、自己資金の還流による売掛金の回収偽装が認められ、宛先不明債権の
回収を取り消すとともに適切な債権評価を行うべきである。


⑽ 不正の動機について
 当委員会の調査の結果、売上を操作する不正も一部認められるが、ML 西日本のソ
リューション事業部門では、もともとの建築部の業務が業績の波が大きい傾向があ
ることから、本件を主導した a 氏が予算達成に向けた過度な収益プレッシャーに晒
されていたとは考えられない。
 それよりも、システム導入の遅れなどにより債権管理や在庫管理が適切に行われ
ていなかったソリューション事業部門においても 2017 年 11 月頃からはブラックボ
ックス化していた債権管理や在庫管理が次第に見える化される状況となり、ソリュ
ーション事業部門を統括する a 氏にとって滞留債権や滞留在庫の解消を促す大きな
プレッシャーとなって不正の動機となったことがうかがわれる。
 下記第5の4記載のとおり、当委員会では、a 氏や c 氏による個人的な着服の可能
性も視野に入れて調査を行ったが、そのような仮説を裏付ける証拠はなく、個人的
な利得を目的とした不正とは認められない。




                     15
3    会計処理の誤謬が疑われる取引に関する調査結果
     当委員会は、当社の社内調査によって判明した ML 西日本のソリューション事業部
    門が B 社との間で行った FRP 関連の取引における会計処理の誤謬(本来、前渡金と
    して処理すべきものを仕入で処理していた等)が疑われる取引について、社内調査の
    状況を把握した上、事実関係を確認する調査を実施した。その結果は以下のとおりで
    ある。


    ⑴ B 社との取引の概要
     B 社は、大阪に本社があり、                                FRP 製品の製造業
    者である。ML 西日本と B 社の取引関係は、2017 年から始まり、①
                        地中埋設管の取引と②それ以外の
    FRP 製品の取引に大きく 2 つに取引が分けられる。


     まず、地中埋設管の取引は、金型を所有する ML 西日本が B 社に製造委託し、同
    社が製造した製品を ML 西日本が C 社を介して仕入れてエンドユーザーに販売する
    商流の取引と認識されている。しかし、一部、N 社がエンドユーザーとなる取引に
    ついては、上記の商流で ML 西日本が C 社を介して仕入れた B 社製 FRP 製品を、
    今度は B 社が ML 西日本から仕入れてエンドユーザーである N 社に販売する商流の
    取引として認識されている。


     次に、FRP 製品の取引については、B 社とエンドユーザーとの間に ML 西日本が
    独占販売権を有する商社的機能を担う総代理店として介在し、ML 西日本は、 社に
                                        B
    対する発注を 2018 年 3 月から開始し、同社から仕入れた商材をエンドユーザーに販
    売する商流の取引が 2018 年 4 月以降、行われたとされている。ただし、B 社による
    と、ML 西日本が B 社に対して 33%の出資を行うことを前提として、ML 西日本を
    総代理店とする合意をしたに過ぎず、その前提となる出資につき、ML 西日本が一方
    的に出資割合を 51%とする条件に変更したことが原因となり、出資に関する合意が
    形成されなかったことから、当然、ML 西日本を総代理店とする合意についても破棄
    されたものとされている。


     ML 西日本と B 社との取引関係は概ね下表のとおりである。


     取引の種類                           商流(製品の流れ)



    地中埋設管取引   B社   ⇒   C社   ⇒   ML 西日本   ⇒   エンドユーザー




                                16
                      B社      ⇒   C社   ⇒   ML 西日本       ⇒
地中埋設管取引

(N 社案件)
                              ⇒   B社   ⇒       N社




FRP 製品取引            B社   ⇒    ML 西日本       ⇒   O社   ⇒   P社

(O 社案件)    ※   ML 西日本は B 社に対して仕入代金を前渡しして商品計上




⑵ FRP 製品取引の売上の期間帰属の誤謬について
 ML 西日本のソリューション事業部門では、B 社の製品を ML 西日本が仕入れ、O
社を介して P 社に販売する商流の FRP 製品取引を認識し、ML 西日本は、2019 年 3
月期中に O 社に対する売上 269 百万円を計上していた。そして、こうした商流の取
引について、当社の社内調査では、ML 西日本に対する納品書を入手したタイミング
で O 社に対する納品前に売上を早期計上した誤謬があるとしていた。


 しかし、当委員会が実施した反面調査に対し、B 社は、FRP 製品取引は、P 社に
対する試作品を納品した取引があったものの、それ以外には取引がなく、O 社向け
FRP 製品は製造していない旨明言している。また、ML 西日本は、2019 年 3 月 12
日に 24 百万円を売掛金の回収として O 社から受領しているが、B 社は、c 氏の指示
により、その前の 2019 年 3 月 8 日に O 社に対して 25 百万円の支払いを行っており、
O 社が手数料を受け取った残額の資金が ML 西日本の O 社に対する売掛金の回収に
回った旨説明している。
 一方、c 氏は、O 社とのやりとりは全て B 社が行っており、O 社向け FRP 製品は
製造・納品されていると認識していた説明するとともに、 社が拠出した資金が ML
                          B
西日本の売掛金として O 社から回収されることは知らなかった旨説明している。
 この点、B 社の説明と c 氏の説明は相反するが、フォレンジック調査で検出され
た c 氏の SMS メッセージには、2019 年 3 月 5 日頃に B 社の副社長と c 氏との間で
B 社の資金を O 社に支払って O 社から ML 西日本に入金することに関するやりとり
が残っており、c 氏の説明は、客観的な証拠と矛盾する。また、ML 西日本の O 社に
対する売掛金の回収に充てる資金を B 社が自発的に捻出して O 社に提供したと考え
るのは不自然であることからしても、c 氏の供述は信用性が低いと考えられる。
  そうすると、B 社の説明のとおり、O 社向け FRP 製品はそもそも製造されておら
ず、取引物が存在しない以上、当社の社内調査で認識された売上の期間帰属の問題
ではなく、ML 西日本の O 社向け FRP 取引は実在性がないと認めざるを得ない。


                         17
 しかし、FRP 製品の取引は、ML 西日本が商社的機能を果たすために商流に介在
した取引であり、製品は ML 西日本を介さずに直送されることに加え、c 氏が、O 社
向け製品が製造されていないことを明確に認識にしていたことを裏付ける証拠もな
いことからすると、意図的な架空売上とまでは認められない。


 以上より、O 社向け FRP 製品取引は取引の実態がなく売上と仕入れは取り消され
るべきである。


⑶ FRP 製品取引に係る前渡金の誤謬について
 当委員会設置前の社内調査では、FRP 製品取引において、B 社の製造に必要な原
材料等の前払いとしての資金を支払った際、本来前渡金として計上すべきところを
「商品」の勘定科目で資産計上した誤謬があるとしていた。


 当委員会が資金移動の状況について確認したところ、まず、ML 西日本から B 社
に対し、2018 年 3 月から同年 8 月までの間、前後 11 回にわたって 740 百万円もの
資金が提供された事実は認められる。
 そこで、資金提供の趣旨や目的が問題となるが、当委員会の反面調査に対し、B
社は ML 西日本から資金を受領した事実を認めた上、それらの資金は、B 社にほぼ
                  c
資金ニーズがなかったにもかかわらず、 氏の指示で一方的に送金されてきたもので
概ね以下の用途で使用されていた旨説明している。
 ① 約 1.3 億円程度は実際の製品の製造に使用
 ② 約 2 億円程度は c 氏の指示により ML 西日本や O 社(上記⑵の O 社に対する
   送金に相当)に送金
 ③ 残りは調査中で使途が不明


 他方、c 氏は、B 社の資金繰りのために前払した資金である旨説明しており、ここ
でも B 社の説明と相反する。
 この点、少なくとも納品前に資金を前払いした時点で商品として資産計上した ML
西日本の会計処理が誤りであったことは明らかである。しかし、ML 西日本と B 社
との取引は本来あるべき証憑類が揃わない状況で取引が実行されていて客観的な証
拠が極めて乏しいことに加え、B 社の説明する資金使途についても根拠資料を確認
できていないことからすると、ML 西日本から B 社に対する資金提供の目的や趣旨
を明らかにして本来あるべき会計処理を明確に特定することは困難といわざるを得
ない。
 しかし、少なくとも企業間取引で何の見返りもなく資金を拠出することはおよそ
考え難いことからすると、内容は明確ではないものの、ML 西日本から B 社に対し


                      18
て何らかの債権が成立していると考えるのが合理的である。
 したがって、本来は前渡金、貸付金や預け金などその実態に即した内容の債権と
して資産計上すべきものを商品として資産計上した限度で不適切な会計処理が認め
られる。また、当委員会の調査では、こうした誤った会計処理をあえて意図的に実
施したと認めるに足る証拠は検出されていない。


⑷ 地中埋設管取引(N 社案件)の実在性について
 当委員会の調査の過程で ML 西日本と B 社間の取引状況を確認したところ、N 社
向け地中埋設管の取引については、ML 西日本が B 社に対する売上として 2018 年 3
月期に 96 百万円、2019 年 3 月期に 235 百万円をそれぞれ計上しているものの、実
際には B 社はエンドユーザーである N 社との取引を失注しており、当初意図してい
た商流の取引が行われていないことが確認された。
 そして、当委員会の反面調査に対し、B 社は、c 氏から社内事情で必要なので発注
書を発行してほしい旨の依頼を受けて発注したもので、N 社は潜在的な顧客候補と
して c 氏に紹介したものの、その後に取引が成約したとは聞いておらず、したがっ
て、N 社向けの地中埋設管は全く製造していない旨説明している。また、ML 西日
本は、N 社案件の売掛金として、B 社から約 2 億円を回収しているが、当委員会の
反面調査に対し、B 社は、ML 西日本に支払った資金の原資はもともと ML 西日本
から支払われた資金(ML 西日本から見ると FRP 製品取引の仕入れの前払い)で、
c 氏の指示があるままに ML 西日本や O 社に送金していた旨説明している。
 他方、c 氏は、N 社は B 社の顧客で商談などは全て B 社で進めていたもので、失
注したということは後になって知ったと説明している。さらに、B 社が発注済みで
ML 西日本が売上計上したものについては、確かに早く支払うように要求し、FRP
製品の前払についても請求書を発行してくれないと払えないとは言ったが、B 社に
指示して FRP 製品の前払の資金を原資に N 社案件の売掛金を回収していたものでは
ない旨説明している。


 B 社と c 氏の説明はここでも食い違うものの、いずれの説明についても全面的に
信頼性が高いと評価するに足る客観的証拠がない。しかし、少なくとも N 社案件が
取引として失注しており、証憑類と資金の移動はあるものの、取引の対象物である
地中埋設管が製造・納品されていないことは明らかであり、取引としての実在性は
認められない。
 したがって、ML 西日本が計上した N 社案件の売上と仕入れは取り消されるべき
である。
 なお、地中埋設管の取引における ML 西日本の直接の仕入先は C 社であるが、C
社は、ML 西日本との空調関連事業で取引があるものの、地中埋設管の取引において


                     19
は、ML 西日本と B 社との間に介在するだけで商社的機能やその他の機能を何ら発
揮していない。そして、実際には使用されていないと c 氏は説明するものの、a 氏が
C 社の「C.E.O.」 氏が C 社「C.O.O.」の肩書きをもつ名刺の作成依頼に関する c
            、c
氏のメールがフォレンジック調査で検出されている。また、C 社の経費精算のメー
ルが頻繁に a 氏に届いており、少なくとも a 氏は、単なる取引先の関係を超えて、C
社の経営や事業に相当程度関与していたことがうかがわれる。そして、ML 西日本と
C 社との間に資本関係はないものの、少なくとも B 社は、C 社は ML 西日本の傘下
の企業と認識し、だからこそ、C 社が単に中間に介在して利益を売る商流の取引に
も異議を述べなかったと説明しており、地中埋設管の取引相手はあくまでも ML 西
日本と認識していたことがうかがわれる。




                     20
第5   類似事象の有無の調査
     ML 西日本のソリューション事業部門は、当社グループの本業であるエネルギーの
 卸・小売とは事業の性質が全く異なり、個別案件ごとに取引条件が異なる定型性のな
    い取引が多く、本質的に管理が難しい事業を営んでいた。にもかかわらず、ソリュー
    ション事業部門は、旧品川ハイネン時代に a 氏が立ち上げた建築部が、当社グループ
    の再編後も ML 西日本の金沢を拠点として存続してシステム化が遅れ、2018 年 12 月
 にようやく新システムの稼働が開始されたものの、新規取引分から順次移行する方針
 が採用されたために管理体制が特段強化されることなく事業が継続していた。
     当委員会は、こうしたソリューション事業部門の事業特性や来歴が本件の背景にあ
    るとの認識のもと、類似事象の有無の調査範囲として、ML 西日本のソリューション
    事業部門に加え、旧品川ハイネンを前身としてエネルギーの卸・小売を行う金沢支店
    を対象に加える方針を採用した。
     その結果は以下のとおりであり、上記の方針を変更して類似事象の調査範囲を拡大
    すべき事象は特段検出されなかった。


1    ソリューション事業部門の受払表の調査
     当委員会は、調査補助者である DTFA に指示して、本件に関連するものとして抽出
 した ML 西日本のソリューション事業部門の受払表の売上側と仕入・棚卸側のそれぞ
 れについて、証憑や入金を確認するとともに、帳簿との紐づけを確認するなどの会計
 分析・調査を実施した。
     そして、当該調査結果及び当社が 2019 年 3 月期決算で実施した実地棚卸に使用し
    た在庫表(ソリューション関連棚卸報告書(2019 年 3 月末))の確認結果から、2019
    年 3 月末時点で以下の状況が確認された。
     ① 実地棚卸で在庫が存在しないことが確認されたもの及び在庫証明送付の結果在
       庫がない旨の回答があったもの、あるいは回答を得ることができず在庫がある
       ことを確認できなかったもの合計 177 百万円
     ② 当社が実施した上記棚卸において実在すると確認されたものの、当初の在庫受
       払表に記載された品名・数量・単価と異なる内容で在庫表に記載されており、
       個別在庫についての在庫表の偽装が疑われるもの合計 125 百万円
     ③ 実地棚卸で在庫が実在すると確認されたものの、当該在庫は在庫受払表に存在
       する複数の在庫金額を集約して記載されており、複数在庫を集約する在庫表の




                        21
          偽装が疑われるもの合計 34 百万円 1


        上記①と③については、個々の在庫について不正や誤謬を認定するに足る証拠を
       検出するには至らなかった。また、上記②については、a 氏の指示により、棚卸品の
       品名・数量等が書き換えられたことに起因するが、書き換えの経緯は不明であるこ
       とに加え、書き換えられる前の在庫の実在性や状況を確認するに足る証拠はなく、
       不正あるいは誤謬との認定には至らなかった。


  2    アンケート調査
       当委員会は、 西日本の金沢支店の全従業員 33 名及び同支店兼務者を除くソリュ
             ML
      ーション事業部門専属の従業員 3 名に対し、架空取引その他の不適切な取引に関する
      アンケート調査を実施したところ、当委員会が直接インタビューを実施した a 氏と c
      氏を除く 34 名から回答が得られた。
       しかし、新たな不正や誤謬の具体的な証拠となる不適切な取引についての申告は得
      られなかった。


  3    フォレンジック調査
       当委員会は、調査補助者である DTFA に指示して、a 氏、b 氏及び c 氏のメールデ
      ータ等に対するフォレンジック調査を実施し、一般的に不正を示唆するキーワードも
      含めてメール等を抽出し、本件以外の不正や誤謬も視野に入れた確認作業を実施した。
       その結果、上記1②の a 氏による棚卸品の書き換えを裏付けるメールが検出された
      が、新たな不正や誤謬の発見につながる具体的な証拠は検出さなかった。




1 在庫金額の合計額の集計は実地棚卸に使用した在庫表では複数の在庫金額が集約されており、個別の在庫単位の金

額を特定することができないことから以下の手続により試算した。

(1)   受払表において、2019 年 3 月期末残高があるものの、在庫表に転記がなされていない在庫を特定した。

(2)   実地棚卸で在庫確認された各在庫に対して取引開始時点の請求書の単価(以下ア及びイを除く。)を乗じ推定さ

      れる簿価を計算し、帳簿上の簿価との差額を影響額として集計した。

      (ア) Q 社から仕入れた「冷媒ガス(       )」については金沢支店とオーストラリアに在庫が保管され、単価

         も異なる数字で在庫表に記録されているものの、請求書上では保管場所や個別単価が特定できないことか

         ら、全仕入取引内容の単価、数量及び金額を用いて総平均法により「冷媒ガス(               )」の単価を推定

         した。

      (イ) C 社から仕入れた「CC プロテクター」については、請求書上で試作品φ80 20 セット 単価 45,500 と記載

         されているが、20 セットとは 80S 20 個と 80F 20 個を示していると説明を受けたことにより、1 個当たり

         の単価は 45,500 を 2 で除し、22,500 円と推定した(試作品φ100、試作品φ130 についても同様)
                                                                  。


                                   22
4    a 氏らの入出金記録等の調査
     当委員会は、本件を調査する過程において、ML 西日本と B 社間の地中埋設管の取
    引に a 氏や c 氏と関係が深い C 社が介在していたこと、c 氏の親族が経営する R 社と
    ML 西日本との間で取引関係があることなどを把握した。そこで、a 氏や c 氏がこう
    した取引で ML 西日本から不当に流出させた資金を個人的に着服している可能性を視
    野に入れ、両名から預金通帳の写しの提出を受けて入出金の状況を確認した。加えて、
    c 氏については、クレジットカードの利用金額が比較的高額であったため、クレジッ
    トカードの利用明細書の提出も受けて内容を精査した。
     その結果、c 氏については、C 社の元取締役から 450 万円の振込があるなど一部不
    審な入金があったものの、同人から拠出された 450 万円と併せて新会社設立の資本金
    900 万円の資本金として使った旨の説明を受け、当該新会社の登記情報に記録された
    設立日とも整合することを確認した。
     その他、a 氏と c 氏の着服の仮説を裏付ける入出金記録やクレジットカード利用履
    歴は検出されなかった。




                         23
第6     全調査結果の連結財務諸表に対する影響額
       当委員会が上記第4で認定した事実関係に基づき、会計上は本件に関する売上高、
     売上原価及びその差額として算出された取引利益等は実態を欠くものとして消去する
     必要がある。2018 年 3 月期及び 2019 年 3 月期の当社の連結財務諸表において取り消
     すべき金額は以下のとおりである。
       なお、当委員会が認定した事実関係は、当社の個別財務諸表に対しては影響が及ば
     ない。


取引      内容                        取引        内容
①       プラント敷地造成工事案件              ⑦         プラント監視装置案件
②       太陽光発電用架台案件                ⑧         D 社売掛金回収偽装
③                 向け地中埋設管取引       ⑨         宛先不明債権の回収工作
        案件
④       機器販売(在庫)案件                ⑩         FRP 製品取引の売上の期間帰属の誤謬
⑤                        設備改修     ⑪         FRP 製品取引に係る前渡金の誤謬
        案件
⑥       マンション 2 棟設備工事案件           ⑫         地中埋設管取引(N 社案件)




                         2018 年 3 月期の影響額
                                                                   (百万円)
                  連結損益計算書                             連結貸借対照表
取引     売上高        売上原価       差 額 ( 利益      売掛金        棚卸資産        買掛金
                             影響額)
①             -          -             -          -           -          -
②             -          -             -          -           -          -
③            11          7             4          -           -          -
④             -          -             -          -           -          -
⑤             -          -             -          -           -          -
⑥             -          -             -          -           -          -
⑦             -          -             -          -           -          -
⑧ *1          -          -             -         52          54          -
⑨             -          -             -         54           -          -
⑩             -          -             -          -           -         --
⑪             -          -             -          -          67          -



                                  24
                   連結損益計算書                               連結貸借対照表
取引     売上高         売上原価        差 額 ( 利益      売掛金         棚卸資産        買掛金
                               影響額)
⑫             96          86          10             -       167           -
合計           107          93          13           107       288           -
*1:A 社からの仕入のうち、一部は N 社案件の売上原価として計上されているため、上表
    では当該部分を除いた金額を記載している。


                           2019 年 3 月期の影響額
                                                                      (百万円)
                   連結損益計算書                               連結貸借対照表
取引     売上高         売上原価        差 額 ( 利益      売掛金         棚卸資産        買掛金
                               影響額)
①             51          48             3          55           -         -
②             20          18             2          22           -         -
③             56          51             5          60           -         -
④             8            8             -           9           -         -
⑤             33          30             3          36           -         -
⑥             46          41             5          49           -         -
⑦              -           -             -           -           -         -
⑧ *1           -           -             -          52          93         -
⑨              -           -             -          54           -         -
⑩ *2         269       249            20           265       △73           -
⑪              -           -             -           -           -         -
⑫ *3         235       221            14           137       △5            -
合計           718       665            52           741          15         -
*1:A 社からの仕入のうち、一部は N 社案件の売上原価として計上されているため、上表
では当該部分を除いた金額を記載している。
*2:商品勘定からの売上原価への振替後、起票ミスにより更に同額を商品勘定から減額し前
渡金への振替を行っていたため、商品勘定は同額だけ過少計上されている。
*3:売上原価を構成する一部につき、仕入未計上の状態で払出し処理を行っていたため、商
品勘定は同額だけ過少計上されている。




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第7   今後の調査予定について
     本中間調査報告書の提出によって、当委員会による本件の会計的な影響額を確定す
 るための調査は全て終了した。
     今後、当委員会は、当社及び ML 西日本のガバナンスや当社の子会社管理態勢など
 の制度や運用状況を把握し、可及的速やかに本件の原因分析と再発防止策の提案を追
 記した最終調査報告書を提出する予定である。
                                         以上




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