7987 ナカバヤシ 2021-11-10 17:00:00
中期経営計画コア・コンセプト策定に関するお知らせ [pdf]

                                            2021 年 11 月 10 日
各位
                          会 社 名     ナカバヤシ株式会社
                          代表者名      代表取締役
                                    社長執行役員       湯本 秀昭
                                   (コード:7987、東証第一部)
                          問合せ先      常務執行役員
                                    管理統括本部長       作田 一成
                                   (TEL.06-6943-5555)




       中期経営計画コア・コンセプト策定に関するお知らせ

 当社グループは、2022 年 3 月期から 2024 年 3 月期までの3か年の中期経営計画「add+ve
nture70」(アドベンチャー70)を 2021 年 5 月 14 日に策定し、このほどコア・コンセプト
「生命関連産業」を策定いたしましたので、別紙のとおりお知らせします。
 この「生命関連産業」を中心に据え中期経営計画「add+venture70」(アドベンチ
ャー70)を実行してまいります。
                                                        以上
「生命関連産業」説明資料




   2021年11月10日

                 1
Well-beingへの関心の高まり
近年、国際連合、OECD 等の国際機関を中心に、GDP 等の経済指標では捉えられない人々の幸福や満足を描
き出そうとする試みが活発化しており(※注1)「Well-being(ウェルビーイング)」というテーマへの関心が高
まっています。
国連の関係組織である「持続可能な発展ソリューション・ネットワーク」は『世界幸福報告2021(World
Happiness Report2021)』で、日本の幸福度は先進国の中でもかなり低い56位であると公表しています。
(※注2、注3)

内閣府では、GDP のような経済統計に加え、社会の豊かさや人々の生活の質、満足度という質的・主観的観
点から、より多角的に「見える化」し、政策運営に活かしていく検討を進めています。(※注1)




       GDP                                                                                       安心と希望に
                                                Well-being                                       満ちた社会へ
  (国内総生産)
   ・物質的な豊かさ                                    ・社会の豊かさ
                                                                                        ・グリーン社会の実現
   ・量的拡大                                       ・生活の質や満足度
                                                                                        ・デジタル化による利便性の向上
   ・客観的指標                                      ・主観的指標
                                                                                        ・農業や観光による地方の所得の向上
                                                                                                        (※注4)




     ■Well-beingとは
   1947年に採択されたWHO憲章では、前文において「健康」を次のように定義しています。
   Health is a state of complete physical,mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.
   健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、
   すべてが満たされた状態にあることをいいます。(※注5)
                                                                                                                         2
AIを活用した日本社会の未来シミュレーション

2017年9月、広井良典氏研究グループは、 AIを活用した日本社会の未来の持続可能性に関するシミュレーショ
ンで、「都市集中型」か「地方分散型」かということがもっとも本質的な分岐点であり、
加えて人口、地域の持続可能性や格差、健康、幸福といった観点からは「地方分散型」の方が望ましいという
結果を公表しました。(注6)
そして新型コロナウイルス感染症の蔓延により「都市集中型」への脆弱性が浮き彫りとなり、
ポスト・コロナ社会では地方分散型への転換も重要な軸となっています。(注7)

                     持続可能な未来の日本社会


               都市集中型                   地方分散型※2
          ・人口の都市への一極集中
                                    ・地方への人口分散
          ・地方の衰退
                                    ・出生率の増加※1
          ・出生率の低下※1
                                    ・格差の縮小
          ・格差の拡大
                                    ・健康寿命や幸福感の増加
          ・健康寿命や幸福感の低下



             ヒト・モノ・カネができる限り地域で循環するような
             分散型の社会システムへの転換も重要
 ※1日本で出生率がもっとも高い都道府県は沖縄(1.89)であり、一番低いのは東京(1.20)である。(2018年)
 こうした事実の要因には無数の要因が働いているが、広い意味での「生活のゆとり」または「仕事と子育ての両立のしやすさ」と
 いうことが関与していることは確かではなかろうか。あるいは祖父母との同居や近接性(子育てへの支援)といった要因も関わっ
 ている可能性がある。これは単純に言えば「人口が東京に集中すればするほど日本全体の出生率が下がり、人口減少が進む」とい
 うことを意味している。
 ※2「分散型」とは国土の空間的構造だけでなく、リモートワークやテレワークを通じた自由で弾力的な働き方など、個人の生き
 方や人生のデザイン全体を含む包括的な意味での分散型社会を指す。
 引用:東洋経済新報社 広井良典 著『人口減少社会のデザイン』                            3
「情報」から「生命/生活(ライフ)」へ                 科学の基本コンセプトの変化

物質・エネルギー・情報の消費構造において成長の機軸をなしてきたコンセプトは以下の流れで変遷しており、
同時にこれらは科学における基本コンセプトの変遷とも対応します。(注6)

     石油・電力等エネルギーの大規模な生産・消費

                                      「情報」の消費のさらに先の「時間の消費」※1
物質やモノの流通や消費


  物質        エネルギー           情報        生命/生活
 17世紀前後        19世紀        20世紀後半


                                     ※1「時間の消費」とは
  情報の消費                              日常に根ざした「生活」の豊かさや幸福を求める
  情報技術と金融グローバルの結びつきを通じて近年に至る         ということであり、コミュニティや自然とのつな
  資本主義の基調を作った                        がり、精神的充足といった目に見えない価値への
                                     志向が含まれる。

    ■飽くなき手段化・効率化・加速化                 ■良質な時間消費
    →成長(物質・エネルギー・情報)                 →幸福度、生活満足度の向上(生命/生活)




 「情報」の次なるコンセプトは「生命※2/生活」であり、
 今後「生命関連産業※3」と呼ぶ領域が日本社会の中で比重を占めると考えられます。(注7)
   ※2「生命」とは生命科学といった狭い意味にとどまらず、生態系や地球の生物多様性といったマクロの意味も含んでいます。
   ※3京都大学の広井良典教授が提唱している概念                                    4
「生命関連産業」のリーディングカンパニーへ
   ナカバヤシグループは中期経営計画「add+venture70」を手段として
     「生命関連産業」のリーディングカンパニーを目指します。



   「生命関連産業」の
  リーディングカンパニー




             「生命関連産業」とは(※注7)
           具体的に次の5つの産業分野を指します。

              ①健康・医療
              ②環境
              (再生可能エネルギーを含む)
              ③生活・福祉
              ④農業
              ⑤文化
           京都大学の広井良典教授が提唱している概念。
           ・比較的小規模で「地域」に密着した「ローカル」な性格が強い
           ・「地域再生」あるいは「地方創生」の流れと呼応する
           ・相互扶助、循環、持続可能性といったコンセプトと親和性が高い
                                            5
           ・SDGsや「ESG投資」をめぐる話題とも接続する
「生命関連産業」のリーディングカンパニーへ
              生命関連産業の5つの分野は、
           当社グループの既存事業に多く該当します。
           既存事業内容               「生命関連産業」分野
   図書館運営・特殊製本・古文書修復・アルバム            文化
 ステーショナリー・PC周辺機器・チャイルドシート・ぬい
                                   生活・福祉
  ぐるみ・オフィス家具・BPO・人材派遣・試験運営受託
       電子カルテワゴン・点滴スタンド             健康・医療
 木質バイオマス発電・太陽光発電・紙器包材・古紙リサイ          環境
             クル                (再生可能エネルギーを含む)
      水耕栽培・にんにく栽培・食品加工              農業


  生命関連産業分野と新しい技術やDX、社会のニーズ・ウォンツを組み合
  わせることで、新商品や新サービス、新規事業を生み出していきます。


                     新技術
                                       新商品
  生命関連産業              DX
                                      新サービス
                    社会のneeds
  ・労働集約的                              新規事業
  ・雇用創出的            社会のwants
   (※注7)
                                                6
参考文献

注1 内閣府 政策統括官 (経済社会システム担当)
  『満足度・生活の質に関する調査報告書 2021 ~我が国の Well-being の動向~』(令和3年9月)
  『満足度・生活の質に関する調査」に関する第4次報告書
   ~生活満足度・暮らしのレポート~ (生活満足度の観点から経済社会構造を「見える化」する)』(令和2年9月11日 )
注2 東洋経済オンライン 広井良典 著
     『いま再び「幸福」が社会的テーマになっている理由「自己実現」のさらにその先にある「自己超越」』 (2021年9月29日)
注3    John F. Helliwell, Haifang Huang, Shun Wang, and Max Norton 著
     『Statistical Appendix 1 for Chapter 2 of World Happiness Report 2021』( March 18, 2021 )
注4    衆議院
     『第204回国会 予算委員会 第4号』(令和3年2月4日)
注5    公益社団法人 日本WHO協会
     『健康の定義』
注6    東洋経済新報社 広井良典 著
     『人口減少社会のデザイン』(2019年10月3日)
      週刊社会保障 広井良典 著
     『AIが示すポストコロナの日本の未来-「包括的な分散型」社会が鍵に』(2021年5月3日)
注7    農林業問題研究 広井良典・福田幸二 著
     『AI を活用した政策提言と分散型社会の構想』(第57巻第1号・2021年3月)




                                                                                         7