7958 天馬 2020-05-01 19:30:00
再発防止策の策定等に関するお知らせ [pdf]

                                          2020年5月1日
各位
                         会 社 名 天馬株式会社
                         代表者名 代表取締役社長 藤野 兼人
                              (コード:7958、東証第一部)
                         問合せ先 常務取締役総務部長 金田 宏
                              (TEL. 03-3598-5511)


           再発防止策の策定等に関するお知らせ

 当社は、2020年4月2日付「第三者委員会の調査報告書の公表等に関するお知らせ」でお
知らせしましたとおり、当社海外子会社において認識された不適切な金銭交付の疑いに関
し、第三者委員会を設置して調査を進め、2020年3月13日付けで第三者委員会より調査報
告書(以下「本調査報告書」といいます。)を受領し、2020年4月2日付けで調査報告書(公
表版)を公表いたしました。
 当社は、第三者委員会の調査報告書の内容を真摯に受け止め、2020年5月1日に開催し
た取締役会において、当社における関係者の処分及び再発防止策を決議いたしましたので、
下記の通りお知らせいたします。
 株主、投資家の皆様および関係者の皆様には多大なご迷惑をおかけしましたことを改め
て深くお詫び申し上げます。今後、ステークホルダーの皆様および社会からの信頼回復を
目指し、全社一丸となって再発防止の実行に着実に取り組んでまいる所存でございますの
で、何卒、ご理解いただきますとともに、引き続きご支援を賜りたく、よろしくお願い申
し上げます。


                     記


1.関係者の処分

(1)取締役による報酬返上

 本調査報告書における原因分析に記載のとおり、本調査報告書で報告された各事案(以
下「本件事案」といいます。)及びその事後対応の不備については、当社の取締役会によ
るガバナンスが機能不全に陥っていたことが原因の 1 つとなっていたことを全ての取締役
が真摯に反省し、各取締役の役割や関与の程度を踏まえ、当社取締役会としては、以下の
とおり、各取締役が報酬を返上することを求める旨を決議いたしました。
 当社といたしましては、今後、当該取締役会決議に基づき、各取締役との間で、以下の
内容で報酬を返上いただくよう真摯に協議を行ってまいります。



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            対象者                報酬返上の内容
代表取締役会長 金田 保一               月額報酬の40%を3か月分
代表取締役社長 藤野 兼人               月額報酬の40%を3か月分
専務取締役 司 久                   月額報酬の30%を3か月分
常務取締役 尾身 昇                  月額報酬の30%を3か月分
常務取締役 金田 宏                  月額報酬の30%を3か月分
取締役 須藤 隆志                   月額報酬の30%を3か月分
社外取締役(常勤監査等委員) 北野 治郎        月額報酬の10%を3か月分
社外取締役(監査等委員) 片岡 義正          月額報酬の10%を3か月分
社外取締役(監査等委員) 藤本 潤一          月額報酬の10%を3か月分


(2)代表取締役社長の退任及び経営体制の刷新

 代表取締役社長藤野兼人からは、本調査報告書において認定された本件事案に関する同
氏の責任を理由として、2020 年6月に開催予定の当社第 72 回定時株主総会(以下「本定時
株主総会」といいます。)の終結の時をもって、当社取締役を退任する旨の意向が示され
ました。なお、同氏からは、現在の我が国を含む各国における新型コロナウイルスの感染
拡大によって、当社を取り巻く事業環境が極めて不安定な状態に陥っていることに鑑み、
今後の当社事業の連続性及び安定性に最大限配慮し、本定時株主総会までは取締役として
の責務を果たした上で退任する旨の意向が示されました。
 なお、当社取締役会においては、現在、本定時株主総会に付議される役員選任議案(以
下「本役員選任議案」といいます。)の候補者の選定について、経営体制を大幅に刷新す
る方針で検討を重ねておりますが、代表取締役社長藤野兼人の上記意向も踏まえ、本役員
選任議案においては、同氏を役員候補者として含めない方針です。


(3)その他の役職員等に対する措置

 本件に関与したその他の役職員等につきましては、社内規程に基づき、厳正に人事上の
措置を行います。


2.外国公務員贈賄リスク管理体制の整備

(1)外国公務員から金銭要求を受けた際の本社相談窓口の設置

 外国公務員から金銭要求を受けた際に、海外子会社の役職員が即座に相談できる専用窓
口を本社の内部監査部に設置いたします。また、海外子会社の役職員から本社相談窓口が
相談を受けた場合に的確な指示を出せるよう、本社相談窓口及びその担当者に対し、継続
的な社内外の研修を実施し、当該研修の実施状況について監査等委員会へも定期的に報告


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することで、本社相談窓口担当者の専門性及び倫理観を高め、本社相談窓口が実効的に機
能する体制を構築いたします。


(2)コンプライアンス遵守に関する経営トップのコミットメントの発信

 新興国に事業展開する海外子会社の役職員が外国公務員から日常的に金銭要求に遭うと
いう過酷な現実を直視した上で、外国公務員から金銭要求を受けた際に、海外子会社の役
職員が利益とコンプライアンスとを天秤にかけることがないよう、経営トップのコミット
メントとして、当社グループの役職員に対し、継続的に社内ポスター・メール等によって、
業績への影響如何にかかわらずコンプライアンス遵守の行動を実施すべきであり、仮にコ
ンプライアンス遵守の行動によって業績に悪影響が生じたとしても役職員が責任を問わな
い旨のメッセージを発信していきます。また、当社ウェブサイトを通じて、対外的にもコ
ンプライアンス遵守に関する経営トップのコミットメントを発信してまいります。


(3)現地の専門家や関係機関から適切な支援を受けられる体制整備

 本社及び海外子会社が協力して、外国公務員からの金銭要求を拒んで様々な嫌がらせを
受けたときに当社グループの正当な権利を守るための正しい行動が確保されるよう、現地
の専門家(法律、会計、税務などの専門的知識を有するプロフェッショナル)や関係機関
(日本大使館、領事館、JETRO、JICA、商工会議所など)から適切な支援を受けられる体制
を整備・強化いたします。


(4)内部統制部門による外国公務員贈賄リスクの評価及びそれを踏まえたリスク低減活動
  の実施

 内部統制部門による外国公務員贈賄リスクの評価及びそれを踏まえたリスク低減活動の
一環として、総務部の体制を強化し、外部専門家からの助言も得ながら、関連する社内規
程の横断的見直しを行うとともに、総務部に内部統制部門を設置して贈賄等の早期発見を
目的とした当社グループ内部通報制度を導入した上で、内部監査部との連携・相互監視を
高めてまいります。


(5)内部監査部門及び監査等委員による内部統制部門の活動の監査

 内部監査部門及び監査等委員による内部統制部門の活動の監査の実効性を高めるために、
外部専門家からの助言も得ながら、対応する社内規程の見直しを実施し、総務部、内部監
査部及び監査等委員会の役割分担を明確化するとともに、当面の間は、外国公務員贈賄リ
スクを含む海外子会社におけるコンプライアンスの徹底を重点監査項目と位置づけた上で、
相互に連携した運用を徹底してまいります。



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(6)適正な経費処理を確保できる体制整備

 より適正かつ抜け漏れのない経費処理を確保できる体制整備の一環として、外部専門家
からの助言も得ながら、経理規程、グループ管理規程及び決裁権限規程等の社内規程の見
直しを実施いたします。


(7)財務経理担当取締役(CFO)における職業的倫理観の確保

 下記 3 の役員トレーニングによる知識・意識・リテラシーの向上に際しては、本調査報
告書の指摘を真摯に受け止め、特に、当社グループにおける財務経理担当取締役(CFO)の
在り方を含め、その職業的倫理観の醸成に努めてまいります。


(8)外国公務員への支出の記録化・事後検証の実施

 外国公務員への支出の記録化・事後検証を実施するための体制整備の一環として、外部
専門家からの助言も得ながら、対応する社内規程の見直しを実施し、記録化等を徹底する
とともに、本社の所管部署に加えて内部統制部門及び監査部門においても海外拠点の状況
を確認できる包括的なシステムの導入も検討してまいります。


(9)第三者(エージェント・コンサルタント)の管理

 外国公務員への支出に第三者(エージェント・コンサルタント)を関与させることは、
外国公務員贈賄リスクを低減させるどころか、逆に増大させるという理解の下、経済産業
省による「外国公務員贈賄防止指針」及び日本弁護士連合会による「海外贈賄防止ガイダ
ンス(手引)」において提言されている手続を念頭に置きつつ、外部専門家からの助言も
得ながら、対応する社内規程及び契約書の見直し及び整備を実施してまいります。


(10)役職員に対する継続的な教育研修の実施

 当社グループの役職員に対して外部専門家による研修を実施するとともに、特に、海外
赴任者に対しては外国公務員贈賄リスクを踏まえた研修を継続的に実施してまいります。
 また、当社グループの外国公務員贈賄リスクに関する取り組みを纏めたガイドブック(日
本語・英語)の策定についても検討してまいります。


3.役員トレーニングによる知識・意識・リテラシーの向上

 コーポレートガバナンス・コード原則 4-14 の取組みの一環として、①外部専門家によ
る役員トレーニングの実施、②社外取締役に対する当社の事業環境の理解を深めるための
機会の提供、③新任の取締役に対する経営者研修の実施などの継続的な役員トレーニング



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を計画的に実施してまいります。
 また、決定された役員トレーニングの進捗状況については、取締役会においてモニタリ
ングすることによって、その有効性の評価及び見直しを実施してまいります。


4.取締役会のガバナンス機能の再構築

(1)取締役会メンバー相互の信頼関係の再構築

 全ての取締役が本調査報告書の内容を真摯に受け止め、適時・適切な情報共有に努め、
取締役会の場以外での建設的な意見交換なども通じて、取締役会メンバー相互の信頼関係
を再構築し、取締役会における本来のガバナンス機能の回復することで、当社の企業価値・
株主共同の利益の向上に努めてまいります。


(2)司名誉会長による経営介入の排除

 2020 年4月 23 日付け「当社名誉会長の解任に関するお知らせ」でお知らせしましたとお
り、当社といたしましては、司治名誉会長による経営介入をこれ以上看過することは、当
社における実効性あるガバナンス体制の構築・整備に重大な悪影響を及ぼすものと判断し、
同日付けで、同氏との間の名誉会長職の委嘱に係る契約を解除いたしました。また、当社
の経営・ガバナンスの透明性を維持・確保するべく、名誉会長職を撤廃いたします。
 今後、当社といたしましては、取締役会における本来のガバナンス機能を回復・強化し、
当社の企業価値・株主共同の利益の向上に努めてまいります。


(3)創業家支配株主と会社との間に生じる利益相反の適切な管理・監督

 第三者委員会の調査報告書において、本件事案の背景として、創業家支配株主である司
名誉会長による経営介入があったことが指摘されております。当社といたしましては、こ
の指摘を真摯に受け止め、 (2)
            上記  のとおり、司名誉会長との契約を解除いたしましたが、
その他の現在及び将来の利益相反についても、外部専門家からの助言も得ながら、対応す
る社内規程及び契約書の見直しを実施し、適切に管理・監督できる体制を構築してまいり
ます。


(4)独立社外取締役の増員等を含めた取締役会の構成の検討

 第三者委員会の調査報告書における提言を真摯に受け止め、今後のガバナンス機能の再
構築の一環として、独立社外取締役の増員等を含めた取締役会の構成を検討してまいりま
す。
 なお、本定時株主総会に付議される本役員選任議案の具体的な候補者については、当社
取締役会において、経営体制の大幅な刷新をする方針で検討を重ねておりますが、決定次


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第、速やかにお知らせいたします。


(5)任意の指名・報酬委員会の設置の検討

 第三者委員会の調査報告書における提言を真摯に受け止め、中長期的な経営課題として、
外部専門家からの助言も得ながら、任意の指名・報酬諮問委員会を設置することも検討し
てまいります。


5.第三者委員会による調査過程における発見事項の追加調査

 本調査報告書においては、調査の過程で発見した事項のうち、第三者委員会としては内
容面・金額面から重要性が低いと判断し、詳細な調査は当社に委ねることとされた事項に
ついても報告されています。これらの発見事項についても、現地法律事務所などの外部専
門家・と連携しながら追加調査を実施して厳正に対処するとともに、いわゆるファシリテ
ーションペイメントに対する方針と社内規程を整理してまいります。


                                      以上




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