7914 共同印 2020-05-22 15:00:00
株主提案権行使に関する書面の受領および当社の対応に関するお知らせ [pdf]

                                                 2020年5月22日
各 位
                        会社名      共同印刷株式会社
                        代表者      代表取締役社長           藤森 康彰
                        (コード番号   7914)
                        問合せ先     取締役専務執行役員         渡邉 秀典
                        (TEL     03-3817-2525)


      株主提案権行使に関する書面の受領および当社の対応に関するお知らせ

 当社は、当社株主1名より2020年4月27日付で、2020年6月26日開催予定の当社第140期定時株主総
会における株主提案権の行使に関する書面を受領し、      本日開催の取締役会において本株主提案に反
対する決議をいたしましたので、下記のとおりお知らせいたします。

                          記

1.提案株主

  アジアグローバル6号投資事業有限責任組合



2.本株主提案の内容

 (1)議題
  ① 当社株式の大量買付行為への対応策(買収防衛策)の廃止の件
  ② 定款一部変更の件(資本効率の改善)

 (2)議案の内容
   別紙1「株主提案書」に記載のとおりです。(提案株主から提出された株主提案書を原文の
  まま掲載)



3.本株主提案に対する当社取締役会の意見

  当社取締役会は、本株主提案に反対いたします。
  反対の理由につきましては別紙2「本株主提案に対する当社取締役会意見」に記載のとおりで
  す。



                                                       以上
(別紙1)


                       株主提案書


 アジアグローバル 6 号投資事業有限責任組合(以下、「請求人」といいます。)は、共同
印刷株式会社(以下、「当社」といいます。)の議決権の 100 分の 1 以上の議決権を 6 か月
前から引き続き保有する株主として、会社法第 303 条第 2 項に基づき、令和 2 年 6 月開催
予定の当社第 140 期定時株主総会(以下、「本定時株主総会」といいます。
                                    )において、下
記第 1 に記載する議題(以下、
               「本議題」といいます。
                         )を株主総会の目的とするとともに、
本議題について、下記第 2 に記載する議案(以下、
                        「本議案」といいます。
                                  )を提出します
ので、同法第 305 条第 1 項及び会社法施行規則第 93 条に基づき、本議案の要領を株主に通
知することを請求します。


第1 提案する議題


1.当社株式の大量買付行為への対応策(買収防衛策)の廃止の件
2.定款一部変更の件(資本効率の改善)


第2 議案の要領及び提案の理由等


1. 当社株式の大量買付行為への対応策(買収防衛策)の廃止の件
 (1) 議案の要領
   平成 19 年 6 月 28 日開催の第 127 期定時株主総会の決議により導入し、平成 22 年 6
  月 29 日開催の第 130 期定時株主総会並びに平成 25 年 6 月 27 日開催の第 133 期定時
  株主総会、平成 28 年 6 月 29 日開催の第 136 期定時株主総会、令和元年 6 月 27 日開
  催の第 139 期定時株主総会の決議により更新した「当社株式の大規模買付行為への対
          」を、有効期間満了日である令和 4 年 6 月に開催予定の第 142 期定
  応策(買収防衛策)
  時株主総会の終結の時を待たず、廃止する。
 (2) 提案の理由
   金融商品取引法による株式の大量取得行為に関する規制が浸透し、株主が適切な判
  断をするための必要な情報や時間を確保する上記買収防衛策(以下「本プラン」とい
  います。)の導入目的も担保されるようになったこと、及びコーポレートガバナンス・
  コードの浸透等、買収防衛策をめぐる近時の外部環境が本プラン導入時とは変化した
  ことなど、当社を取り巻く経営環境は明らかに変化しており、本プランを継続するこ
  との意義が全くないと考えます。なおかつ、当社の企業価値の向上が全く見られない
  現状において、本プランの導入によって当社株式の潜在的な大量取得に対する経営陣



                        別紙 1-1
  の緊張感が欠け、買収を防ぐために株価を高めるインセンティブが全く働いておらず、
  資本効率を図る上で重要指標とされる ROE の値は 2%未満、ROA の値に至っては 1%
  未満と、当社の株主価値を不当に,かつ甚だしく毀損している恐れがあります。
   しかも、買収防衛策の導入企業は年々減少しており、ピーク時に比べて 3 割の減少
  となっています(平成 30 年 5 月 18 日付け日本経済新聞(朝刊)。また株式市場では
                                      )
  買収防衛策を廃止する企業を評価しています(平成 30 年 5 月 25 日付け日本経済新聞
  (朝刊)。
      )
   このように、他社の動向、近代経営の流れに逆らう本プランはいかなる形であろう
  と継続すべきではなく、即刻廃止されるべきで、当社の企業価値向上に必要不可欠な
  ものであると考えます。


2.定款一部変更の件(資本効率の改善)
 (1) 議案の要領
   現行の定款に以下の章及び条文を新設する。
  第●章 資本効率
  (資本効率の改善)
  第●条 当会社の事業部門毎に、その保有する資産の時価を 3 事業年度毎に洗い替え
  評価した上で、これらの資産の評価合計額に応じた利益に対する当該事業部門の資本
  利益率を算出することを含め、資本コストを意識した KPI を導入し、WACC(加重平
  均資本コスト)を継続的に下回る事業部門及び資産の売却を検討する等の方法により、
  資本効率の改善による企業価値を向上させるものとする。
 (2) 提案の理由
   当社は「2018 年~2020 年度 中期経営計画」において、2017 年度の ROE 3.2%の実
  績に対し 2020 年度は 5.0%の目標を掲げています。しかし、残念ながら 2018 年度にお
  いて ROE は向上するどころか、2%未満に減少しており、2020 年度の目標達成のため
  に改善努力をしているとは到底言えない状況にあると考えます。ROA に至っては 1%
  未満と、上場会社において極めて低水準であり、このような低い値の原因は、一言で
  言うならば資産が効率的に活用されていないことによります。平成 26 年 8 月付け経済
  産業省「『持続的成長への競争力とインセンティブ 〜企業と投資家の望ましい関係構
  築〜』プロジェクト(伊藤レポート) 最終報告書」において、
                              「投資家は何がなんで
  も ROE を最重視すべきと主張しているわけではない」ことを前提としつつ、「日本企
  業の ROE 水準は国際的に見て相当に低いのではないか。それを是認する何らかの根拠
  ないし理由はあるか。         「最低限資本コストを上回る ROE への向上
            」との論点に関して、
  を必達目標に」することが求められるとの指摘がされているとおり、当社の課題とし
  ては、株主価値向上に向けて、ROE 等の改善を目指す必要があり、そのためには、ま
  ずそのような資産の源泉である資本コストの考え方を導入し、金融費用として実際に



                       別紙 1-2
支出される負債コストに加え、目に見えない株主資本コストを可視化することにより、
改めて資本コストの意識が生まれ、それを管理することで効率的な経営に変わります。
 また、それらの源泉として投資した資産に関しても、個別に資本利益率を算出し、
不稼働資産や資本効率の悪い資産を保有している場合には、資産売却等を進めること
により現金化し、そこで得た資金を事業への資金投下などの企業価値向上策ないしは
株主還元等に充てることにより、ROE 向上に向けた効率的な経営を行うべきです。
 なお、管理部門を本社に集約している場合など、一義的には個別の資本利益率の算
出になじまない事業部門があるとの意見が想定されるところですが、このような場合
には、当該管理部門のコストを各事業部門に振り分けるなど、事業部門の分類及び資
本利益率の算出方法を工夫することにより、KPI の導入に支障となるものではないと
解されます。
 当社は、直接本業とは関係のない政策保有株式を 193 億円(当社第 140 期第 3 四半
期有価証券報告書記載の投資有価証券)も保有したままです。これは、株式会社東京
証券取引所が金融庁の有識者会議を踏まえ策定したコーポレートガバナンス・コード
に明らかに反しています。
 また、その他都心一等地(文京区小石川)の広大な土地も保有しているところ、当
該土地については、平成 29 年 12 月 20 日付け「本社社屋建替えに関するお知らせ」が
開示されていますが、かかる建替え及び当該土地の活用策については、株主に対して、
建替えを通じた当社資産の活用が上記観点から WACC を上回る効率的な運用であるこ
とを十分に説明すべきだと考えます。とりわけ、当社の令和元年 7 月 24 日付け「本社
土地活用に関する基本協定書締結(本社社屋建替えに関する経過報告)及び特別損益
の計上に関するお知らせ」においては、日鉄興和不動産株式会社に対して約 73 年間の
長期にわたり上記土地を賃貸する契約を締結予定であると開示されていますが、かか
る契約に当たっては、①当社の事業活動が従前と大きく変わることのない現状の下、
活用可能な土地が存置されていたことについての経営判断に関する妥当性、②基本協
定について相手方の選定理由及び調印に至る経緯が不明瞭であり、かつ、契約条件に
関する詳細な開示がなされることなく長期にわたる定期借地権設定契約に係る基本協
定書の締結が決議されたことについて明確な説明がなされることのない取締役会の運
営状況、③上記お知らせにおいて「上記敷地において土壌汚染改良工事を実施する予
定のため、工事費用の見積額について環境対策引当金繰入額として特別損失に約 298
百万円を計上いたします。
           」とあるところ、日鉄興和不動産株式会社との費用の分担の
割合及びその根拠が全く明らかでなく、当社が果たして資産の有効活用について十分
検討したか全く明らかでないことなどに鑑みると、当社取締役会の運営について、株
主軽視と捉えられてもやむを得ないような状況が客観的に存在していることは否定で
きません。
 以上の次第ですから、速やかに資本コストの考え方を導入し、各事業部門又は個別



                   別紙 1-3
資産毎に資本利益率を算出して経営判断の基準とするなどの方法により、資本効率の
改善による企業価値向上を目指すべきだと考えます。


                                    以上




                別紙 1-4
(別紙2)


             本株主提案に対する当社取締役会意見




1.当社株式の大量買付行為への対応策(買収防衛策)の廃止の件
   当社取締役会は、本議案に反対いたします。
   当社取締役会は、当社の株式は株主、投資家の皆様による自由な取引が認められて
 おり、当社の支配権の移転を伴う買付提案がなされた場合においても、これに応じる
 か否かは最終的に株主の皆様の自由な意思により判断されるべきであると考えます。
 しかしながら、当該買付提案が当社の企業価値および株主共同の利益に資するもので
 あるか否か、株主の皆様に適切に判断していただき、当該買付提案に応じるか否かを
 決定していただくためには、大量買付者および当社取締役会の双方から適切かつ十分
 な情報が提供され、検討のための十分な期間が確保されることが不可欠であると考え
 ます。また、株主の皆様にとっても、当該買付提案が当社に与える影響や、当社のお
 客様、取引先、従業員その他ステークホルダーとの関係についての方針を含む、大量
 買付者の当社経営への参画時における経営方針、事業計画などの内容に関する情報は、
 当社株式の継続保有を検討する際の重要な判断材料となります。さらに、当社取締役
 会が大量買付行為に対する意見を開示し、必要に応じ代替案を提示することにより、
 株主の皆様は、双方の方針、意見などを比較考量することで、当該買付提案に応じる
 か否かを適切に判断することが可能になります。
   上記のような考えの下、当社は、2007 年6月 28 日開催の第 127 期定時株主総会に
 おいて株主の皆様よりご承認を得て、当社株式の大量買付行為への対応策を導入し、
 その後も関連する指針や証券取引所の諸規則等への適応を図りながら内容の改良を重
 ね、2019 年6月 27 日開催の第 139 期定時株主総会において株主の皆様よりご承認を
 いただき、更新されております。
   提案株主は、「金融商品取引法による株式の大量取得行為に関する規制が浸透し、株
 主が適切な判断をするための必要な情報や時間を確保する本プランの導入目的も担保
 されるようになった」と主張していますが、例えば、金融商品取引法上の公開買付制
 度が適用される場合であっても、公開買付の開始前には事前の情報提供の必要がなく、
 公開買付開始公告から 10 営業日以内という極めて短い期間で当社が意見表明報告書を
 提出することが求められます。一方、本プランでは、原則として、公開買付の開始前
 に、本プランに定める買付提案書の提出が必要となり、当社から追加情報提供を請求
 することも可能となります。また、それらの内容を当社が検討する期間も 60 日以内ま
 たは 90 日以内となります。この結果、株主の皆様に対して十分な情報開示が可能とな
 り、公開買付に応じるか否かを十分に検討する時間が確保されます。



                     別紙 2-1
   また、公開買付制度は、市場内での買付けには原則として適用されませんが、本プ
 ランは市場内での大量買付行為全般に適用されるため、市場内での濫用的な買収を目
 的とした買付行為にも対応できます。
   このように、当社取締役会は、依然として買収防衛策の必要性は高いものと考えて
 おります。
   加えて、提案株主は、
            「本プランの導入によって当社株式の潜在的な大量取得に対す
 る経営陣の緊張感が欠け、買収を防ぐために株価を高めるインセンティブが全く働い
 ておらず」と主張していますが、本プランは前述のとおり、株主の皆様に対し適切か
 つ十分な情報を提供することと、検討のための十分な期間を確保することを目的とし
 て合理的かつ適正な手続を定めたものであり、独立委員会の勧告を踏まえるばかりで
 なく、必要に応じて当社から独立した地位にある専門家である第三者の助言を得るも
 のとされ、経営陣・取締役会の保身として機能し得るものではありません。買付提案
 に基づく大量買付行為が、当社の企業価値および株主共同の利益を著しく害するもの
 に該当することが客観的に明白な場合に限定されるように制度設計がなされています。
 一方、株価に対するインセンティブという観点では、2018 年6月 28 日開催の第 138
 期定時株主総会において株主の皆様よりご承認いただいた「業績連動型株式報酬制度」
 の導入により、取締役等が株価上昇によるメリットのみならず、株価下落リスクまで
 も株主の皆様と共有することで、中長期的な業績の向上と企業価値の増大に貢献する
 意識を高めております。
   なお、提案株主は、
           「株式市場では買収防衛策を廃止する企業を評価しています(平
 成 30 年5月 25 日付け日本経済新聞(朝刊)。
                          )」と主張していますが、買収防衛策廃止
 を決めた企業の翌営業日以降の株価は上昇する場合も下落する場合もあることから、
 当社取締役会は、必ずしも株式市場が買収防衛策の廃止を評価するとは考えておりま
 せん。


2.定款一部変更の件(資本効率の改善)
   当社取締役会は、本議案に反対いたします。
   当社取締役会としても、資本効率は重要な判断基準の一つと認識しており、投資判
 断等の業務執行においても活用しております。
   また、コーポレートガバナンス・コードにおいても、経営戦略や経営計画の策定・
 公表に当たっては、自社の資本コストを的確に把握した上で、収益計画や資本政策の
 基本的な方針を示すとともに、収益力・資本効率等に関する目標を提示することとさ
 れており、こうした考え方に則り、現在資本コストを踏まえた事業ポートフォリオの
 見直しや経営資源の配分について議論を行っているところです。これらの議論を通じ
 て取締役会で意思決定した内容に関しては、適宜適切な情報開示を心がけ、株主の皆
 様により一層の理解が得られるよう努めてまいります。



                   別紙 2-2
 しかしながら、重要なことは、資本効率の考え方を反映した経営を行うことであり、
定款に本議案のような規定を定める必要はないものと考えております。


                                    以上




                別紙 2-3