7806 M-MTG 2019-07-18 19:00:00
再発防止策の策定について [pdf]

                                       2019年7月18日
各 位
                     会 社 名 株 式 会 社 M T G
                     代表者名 代表取締役社長 松 下             剛
                        (コード番号:7806 東証マザーズ)
                           取締役
                     問合せ先              久 世 浩 司
                           経営企画室長
                               ( TEL. 052-307-7890)



                再発防止策の策定について


 当社は、2019年7月12日付、「第三者委員会の調査報告書公表及び今後の対応に関するお
知らせ」にて公表いたしましたとおり、第三者委員会による調査の結果、当社の連結子会社
であるMTG上海において、会計監査人に対して虚偽の説明をし、かつ、不適切な営業取引行為
が行われていたこと、及び、当社グローバルブランド事業本部において中国向け越境EC事業
に係る取引にて不適切な営業取引行為及び会計処理が行われていたこと(以下「本件」とい
います。)が判明したことを受け、第三者委員会の提言を踏まえ再発防止策の検討を行って
まいりました。
 当社は、本日開催の取締役会にて再発防止策等を決議いたしましたので、下記のとおり、
お知らせいたします。
 株主及び投資家の皆様をはじめ関係者の皆様に多大なご迷惑とご心配をお掛け致しますこ
と、改めて深くお詫び申し上げます。今後全力で再発防止及び信頼回復に努めてまいります
ので、何卒ご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

                      記
1. 再発防止策の内容

 第三者委員会の指摘及び提言を踏まえ、以下のとおり再発防止策を策定いたしました。


(1) 経営陣の反省
    ⅰ.本件に組織的に加担した役職員の適正な処罰

 2019年7月12日付、「第三者委員会の調査報告書公表及び今後の対応に関するお知らせ」
にて公表いたしましたとおり、第三者委員会の調査結果を踏まえ、今回の事態の重大性と経
営責任を厳粛に受け止め、中島敬三氏(前常務取締役 グローバルブランド事業本部長、MTG
上海総経理)より、2019年7月12日付で取締役を辞任したいとの旨の申し出があり、当社は
これを受理致しました。本件に関与した他の役職員につきましても、社内規程に基づき厳格
な処分を行ってまいります。


   ⅱ.経営責任の明確化

 2019年7月12日付、「第三者委員会の調査報告書公表及び今後の対応に関するお知らせ」
にて公表いたしましたとおり、当社は、第三者委員会の調査結果を踏まえ、企業として重大
な責任があることを深く反省するとともに、今回の事態の重大性について厳粛に受けとめ、
その経営責任を明確にするため、以下のとおり、当社各役員が報酬を自主的に返上すること
と致しました。
    代表取締役: 月額報酬の100%(1年分)
    取締役: 月額報酬の20%(3ヶ月分)
    取締役監査等委員: 月額報酬の10%(1ヶ月分)

 今後は、売上・利益の追求だけに走らずに、コンプライアンスにコミットした意識改革を
行い、株主や関係者の皆様からの信頼回復に全力で努めます。また、2019年8月から、外部専
門家に依頼し、コンプライアンス意識と行動規範の理解を深めることを目的とした役員向け
研修を実施します。そして、今後の本社及びグループ会社の役員の採用と内部登用にあたっ
ては、コンプライアンス意識をはじめとする人物評価を慎重に行い、採用・登用後にコンプ
ライアンス研修を実施し、全役員の規範意識を徹底します。


      ⅲ.過度な売上必達に拘らない適切な経営目標値の策定・市場実態を反映した修正

 適切な経営目標値の策定と修正を実行するために、当社のグループ経営における経営目標
値の策定・進捗管理・修正プロセスを見直し、現場の実態を軽視した過度な経営目標値の設
定を防止する体制を構築します。
 これまで、事業本部の経営目標値管理は経理部門が行っていましたが、第三者委員会の指
摘にありましたように、上場直後の公表数値の必達に拘る全社的風潮の下で、その妥当性の
検証が十分な精度を持って行われていたとは言えませんでした。
 今後、経営目標値策定プロセスにおいては、各事業本部での収支予測後に、それらの裏付
けとなる数値資料を使い事業本部とブランド本部(開発・マーケティング部門)との間で協
議したうえで、経営推進本部および経営企画室も検証を行います。特に検証プロセスにおい
ては、セルスルー情報(卸先が消費者に販売した数量・売上情報)を最重要指標とすること
により、実需に応じた計画であるかを確認します。その検証結果を経営目標値承認時に取締
役会に報告する等により、経営目標値に客観性を持たせる取り組みを行ってまいります。こ
の点、市場の変化、顧客の嗜好、政府の政策を加味した、市場分析、外部環境分析により、
経営目標値と実績の乖離要因を客観化致します。経営目標値修正プロセスにおいては、経営
会議で経営目標値との乖離の要因、経営目標値の妥当性と確度についての検討を行います。
その結果、事業実体に即し、かつ、市場実態に合う経営目標値の設定と業務遂行を行い、コ
ンプライアンス違反の誘発を防ぎます。


(2) 企業風土の改革

 第三者委員会より、代表取締役をはじめとする役員の経営姿勢が、上司の意向に逆らえず、
上司の意向を忖度する企業風土を醸成し、本件を助長する一因となったとの指摘を受けまし
た。さらに、上場直後の環境変化による急激な業績変調の中、新規上場時に公表した業績予
想値を下回れないという過度のプレッシャーにより、リスキーシフト現象1を引き起こし、組
織全体が誤った結論への同調に向かったとの指摘を第三者委員会より受けました。当社全役
員は、これらを真摯に受け止め、危機に直面した際も、売上・利益追求以上にコンプライア
ンスを重視した経営を行い、役職員に上司の意向に忖度することのない企業風土に改革しま
す。
 改革にあたっては、これまでの、ベンチャー企業であるゆえの、代表取締役主導の経営姿
勢から、多様性を取り入れた集団的経営指導体制に変革致します。この点、オープン&フェ
ア、多様な人材、異なる意見を吸収し、役員と現場の役職員との双方向のコミュニケーショ
ンを充実させることに努め、経営に反映できる企業風土を目指します。
 以上を踏まえまして、上場会社が期待される役割と責務を理解し、市場に対して誠実性と
透明性を維持し、投資家の皆様が求める公正性・信頼性を会社として具備するよう、努めて
まいります。


1
 普段個人としては穏健で比較的節度を守って行動できる人が、組織が高度の危機・プレッシャーにさらさ
れた時に、自己を絶対的リーダーに顕示しようとして大胆で危険な行動を取り、その行動に反対する者を排
除し、組織全体が誤った結論への同調に向かう現象。
(3) 本社管理部門の機能に対する認識の改善と独立性確保・機能強化

 当社では、本社管理部門の機能が軽視されておりました。本社管理部門が、グループ管理
体制の強化を図り、当社、当社国内外のグループ会社ともに適切な業務レベルに到達し、継
続的に向上できる仕組みを構築することにより、信頼を取り戻したいと考えます。管理各機
能部門の責任において、グループ会社の支援と牽制を行い、管理各機能部門は相互に連携・
連動し、グループ会社を適切な方向に向けて指導・監督してまいります。


(4) 適切な会計処理を行うための仕組みの強化

 第三者委員会より、上場直後の公表数値の必達に拘る全社的風潮の下で、当社の目標値の
設定及び修正の妥当性の検証が十分な精度を持って行われていたとは言えないという指摘が
ありました。そこで、体制面について、当社として、グループ全体の会計を適切なものとす
るため、グループ会社については、利益・人員の規模の大小を勘案する形で、グループ会社
監査役等・グループ会社会計責任者等の配置を見直します。
 当社会計部門において、上場会社としての会計基準の適切な知識・理解の浸透を図ります。
加えて、グループ全体に会計基準の遵守を周知徹底致します。
 適切な会計処理の判断に必要な情報を適時・適切に収集できる仕組みとして、本社経理部
において、大口取引については、月次経営分析の過程でその重要な取引をプロアクティブに
認識し、収益認識に係る情報の収集と慎重な検討を行います。


(5)コンプライアンス体制の見直し・強化

 2019年7月18日の取締役会にて、法務知財担当取締役をコンプライアンス統括責任者とし
て任命し、その直下にコンプライアンス専任部署を設置し、不適切な取引や会計処理の再発
防止策を計画的かつ効果的に取組むことを決議しました。
 代表取締役が自らコンプライアンスにコミットするために、コンプライアンスを重視する
経営姿勢を示すトップメッセージを全役職員に向けて繰り返し発信してまいります。 また、
役員向けコンプライアンス研修を2019年8月から実施し、当社の海外グループ会社を含む全役
職員に対しては、e-ラーニングを利用したコンプライアンス研修を継続実施します。


(6)内部通報制度の運用改善と周知徹底

 当社においては、内部通報に関して、当社及び当社国内外のグループ会社従業員から通報
を受ける制度を運用しております。今後は、当制度が不祥事予防の要諦であり、不適切会計
を含むコンプライアンス問題全般の通報を受け付ける窓口であること、そして法令等に基づ
き通報者を保護する体制がとられていることを、コンプライアンス統括責任者である取締役
から直接発信することで、周知徹底に努めます。そして、役員による不適切行為を通報でき
る体制を構築するために、経営陣から独立した窓口を設置します。


(7)内部監査室の体制強化

 これまでの内部監査室の監査内容は、日常業務の執行監査及び労務監査を中心とした業務
監査に主眼を置いており、適正な取引契約と会計処理を目的とした内部監査の深度に欠けて
おりました。そこで、業務監査のみならず内部統制の評価により重点を置くことで、内部監
査の深度を改善します。また、内部監査室の人員を社内異動と外部採用により増員し、とく
に海外グループ会社の監査頻度を増加させます。
(8)取締役会・監査等委員会の監督機能の強化

 当社では、管理部門による事業部門への牽制機能を強化すること等をグループガバナンス
上の課題として検討しておりました。今後は、上述しましたように、本社管理本部の独立性
と機能を強化するとともに、取締役会及び監査等委員会による監督機能の更なる充実と強化
を図り、本件の再発が防止されるよう改善に向けた努力を重ねてまいります。


2. 今後の対応について

 コンプライアンス統括責任者及びコンプライアンス専任部署において、上記における再発
防止策の具体的なアクションプランおよびスケジュールの策定、組織横断的な実行指示およ
び定期的な進捗管理の実施、再発防止策の定着状況の評価等を実施します。


3. 不適切な売上取引により投資家及び証券市場に与えた影響についての認識

 当社は、適時開示を適切に行うための体制の不備から、2019年7月12日に過年度の決算短
信の訂正及び過年度の有価証券報告書等の訂正報告書を提出し、内部統制の開示すべき重要
な不備を公表し、また、第2四半期報告書の提出を延期することとなり、株主・投資家の皆
様をはじめとした関係各位に、多大なるご迷惑とご心配をおかけしましたことをあらためて
深くお詫び申し上げます。
 その深い反省に立ち、第三者委員会の調査結果を真摯に受け止め、当社グループの全ての
役職員が一丸となって再発防止の取り組みを進め、株主様、投資家様をはじめ関係者の皆様
からの信頼回復に努めてまいる所存であります。
 



                                         以 上