7777 J-3Dマトリックス 2021-10-11 16:30:00
口腔粘膜炎治癒材の米国での販売承認取得に関するお知らせ [pdf]

                                                       2021 年 10 月 11 日

各     位


                           東 京 都 千 代 田 区 麹 町 三 丁 目 2 番 4 号
                           会   社   名   株式会社スリー・ディー・マトリックス
                           代 表 者 名     代 表 取 締 役 社 長   岡    田        淳
                                                  (コード番号:7777)
                           問 合 せ 先     取    締     役   新 井 友 行
                           電 話 番 号                         03 (3511)3440




     口腔粘膜炎治癒材(放射線性大腸炎の治癒材に向けたファーストステップ)の
             米国での販売承認取得に関するお知らせ

    当社米国子会社 3-D Matrix, Inc.は、Radiation Proctitis(放射線性大腸炎)向け創傷治癒材の
開発の前段階として、Oral Mucositis(口腔粘膜炎)向けの創傷治癒材を米国食品医薬品局(以下
「FDA」という)に医療機器(クラスⅡ)での市販前届 510(k)(以下「510(k)」という)(*1)の承認
申請をしておりましたが、この度、FDA より承認を受けましたので、お知らせいたします。


    本製品は、当社グループが米国マサチューセッツ工科大学(MIT)よりライセンスを受けた自己組
織化ペプチド技術を用いて開発しており、口腔粘膜炎を始めとしたあらゆる口腔内の創傷や潰瘍に
塗布することで粘膜組織上に保護膜を形成し、二次炎症の防止や痛みの軽減に加え創傷治癒に最適
な湿潤環境を維持することを目的とします。


 口腔粘膜炎は頭頚部癌をはじめとする固形がんや造血器悪性腫瘍等に対する化学療法や放射線療
法の副作用として4割以上の高頻度で発生すると言われており、口腔内粘膜の炎症を原因とする痛
みや二次炎症を生じ患者の QOL に多大な影響を与える症状です。対処法としては痛みの緩和や炎症
を抑えるための粘膜保護剤やステロイド薬剤の使用などの対症療法が中心となっており、有力な治
療法が待ち望まれています。


 また放射線性大腸炎は、前立腺がんや子宮がん等への放射線療法に起因する副作用で、大腸粘膜の
炎症を高頻度で引き起こします。2割程度の患者は慢性的な下血、頻繁な排便、激しい腹痛、直腸狭
窄を伴う晩期障害に悩まされておりますが、現時点では有効な治療法が確立されておらず対症療法
が中心となっており、特に患者の QOL 上のアンメットニーズが大きい状況です。


 放射線性大腸炎への有効な治療法が待ち望まれる中、当社止血材「PuraStat」は欧州において当該
症状に対して消化器内視鏡的に使用され、止血だけでなく正常組織への回復が促進されるなどの画
期的な炎症の治癒効果が医師より報告され、医療現場からも放射線性大腸炎向け創傷治癒材として
の製品化を強く望まれております。
 口腔粘膜炎の症状は発生部位が口腔内であることを除き炎症自体は放射線性大腸炎と類似してい
ることや、承認確度等を踏まえた米国の製品開発戦略に鑑み、放射線性大腸炎向け創傷治癒材開発の
前段階として本製品の販売承認取得を目指しておりました。また市販前届 510(k)の制度では、類似
する先行承認品の存在は承認確度を高めるため、今後、本製品を先行品として消化器内視鏡治療用の
放射線性大腸炎向け創傷治癒材の販売承認申請を行う予定です。更に、放射線性大腸炎向けの創傷治
癒材開発の次段階としては、同様に消化管粘膜に炎症が生じる疾患である炎症性腸疾患
(Inflammatory Bowel Disease)をターゲットとした創傷治癒材の開発を指向しております。潰瘍性
大腸炎とクローン病の総称である炎症性腸疾患は米国人口の約 1.3%(約 300 万人)が罹患する患者
数の非常に多い疾患である一方で未だに原因がはっきりと解明されておらず、現在の内科治療や手
術に加えて患者の QOL 向上に寄与する有効な治療法が待ち望まれています。


 現在、米国では癒着防止兼止血材「PuraSinus」の販売を開始し、消化器内視鏡領域向け止血材も
製造販売承認を本年 6 月に取得し早期の販売開始へ向けた準備を進めております。これら製品に加
え、来期以降には口腔粘膜炎や放射線性大腸炎、更には炎症性腸疾患の治癒材についても早期製品化
を進め、製品ラインナップを更に拡充していく計画です。


 なお、現在公表の当期の通期業績には影響ありません。中長期の業績への影響につきましては現在
精査中ですので、影響が生じる場合には速やかに公表させて頂きます。


                                                            以   上


(*1) 米国における医療機器の審査制度の1つ。一般的には、90 日~180 日で審査が終了。承認取得後は速やかに販売開始を予定
しています。