7777 J-3Dマトリックス 2021-07-27 16:30:00
アスベスト(石綿)のがんに用いる抗がん剤(核酸医薬)開発に関する共同開発先 広島大学による発表のお知らせ [pdf]

                                                           2021 年7月 27 日

各     位


                          東 京 都 千 代 田 区 麹 町 三 丁 目 2 番 4 号
                          会   社    名   株式会社スリー・ディー・マトリックス
                          代 表 者 名      代 表 取 締 役 社 長       岡    田        淳
                                                  (コード番号:7777)
                          問 合 せ 先      取    締     役   新 井 友 行
                          電 話 番 号                              03 (3511)3440




          アスベスト(石綿)のがんに用いる抗がん剤(核酸医薬)開発に関する
                共同開発先 広島大学による発表のお知らせ



    国立大学法人広島大学(学長:越智光夫)
                      、同大学院医系科学研究科・細胞分子生物学研究室 田原
栄俊教授らの研究グループが、当社と共同で、アスベスト(石綿)が原因で発症することが知られて
いる悪性胸膜中皮腫に対して顕著な治療効果の可能性がある核酸医薬*1 の抗がん剤の開発に成功し
たことを本日発表しましたので、お知らせいたします。


    なお、本件に関する広島大学の発表内容は下記リンクより同大学ホームページを御確認ください。
(広島大学発表資料のリンク: https://www.hiroshima-u.ac.jp/news/65836)


    共同開発した抗がん剤「MIRX002」は、天然型マイクロ RNA*2 を薬効成分とするもので、広島大学
田原栄俊教授らと共同開発してきた革新的な核酸医薬であり、悪性胸膜中皮腫に効果のある「マイク
ロ RNA」と、それをがん細胞に送達するための当社界面活性剤ペプチド*3「A6K」を組み合わせたも
のです。


    悪性胸膜中皮腫は、アスベスト(石綿)が原因で、暴露から数十年経ってから発症するがんで、効
果的な治療法がない難治性がんの一つです。アスベスト(石綿)は、1955 年ごろから使われ始め、鉄
骨造建築物などの軽量耐火被覆材、スレート波板(屋根)など、1960 年代の高度成長期に多く使用さ
れ、未だにそのまま使用されている例も少なくありません。
    アスベストを吸い込んでからがんが発症するまでに 25~50 年と非常に長く、今後 2030 年頃が発
生ピークとなり、年間 3000 人以上の罹患が予測され、2039 年までの累計死亡者数は 10 万人を超え
ると予測されています。2018 年の全世界の悪性胸膜中皮腫の罹患者数は 30,433 人で、死亡者数が
25,576 人、生存期間1年であり、非常に予後の悪いがんとして知られています。発症すると、肺の外
側にある胸膜で増殖して胸膜全体に広がる特有のがんです。症状が出るときには進行して、胸水が貯
まってきます。
    治療法は、外科的に胸膜に張り付いた腫瘍を剥がす、侵襲性が極めて高く手術後も激しい痛みが伴
うなど、患者にとって QOL(生活の質)の悪いものしかありません。その他、抗癌剤療法、免疫療法
などもありますが、十分な延命効果が得られる治療法はありませんでした。
 当社が提供する界面活性剤ペプチド「A6K」は、当社が開発中の難治性乳癌に対する siRNA 核酸医
薬「TDM-812」においても用いられており、医師主導治験において人での核酸医薬の送達を実証済み
です。今後も継続して研究開発を推進していく予定であり、ペプチドの新しい用途可能性の探索、新
規事業化に向け取り組んでまいります。


 なお、現在公表の当期の通期業績には影響ありません。
                                             以   上



【参考(語句説明)
        】
 *1:核酸医薬
 核酸医薬とは、異常な遺伝子の働きに対し、それを抑制するように作用する新しい医薬品です。
様々な遺伝子に対する核酸医薬が注目されていますが、現在のところ悪性胸膜中皮腫に対する治療
薬として承認されている核酸医薬はなく、新たな開発が期待されております。マイクロ RNA は、人
の細胞で合成される核酸の一種であることから、
                     「天然型」の核酸と呼ばれています。


 *2:マイクロ RNA
 生体内に存在する 20~25 塩基からなる微小な RNA であり、他の遺伝子の発現を調節することで
様々な生命現象を制御する分子です。人の体内には、判明しているだけでも 2500 種類以上のマイク
ロ RNA が存在しています。


 *3:界面活性剤ペプチド
 6-10 残基程度のアミノ酸から構成されるペプチドで、 疎水性部分と電荷をもつ部分が分子内の共
存することにより界面活性剤としての性質を示します。水溶液中で自己組織化されることでナノチ
ューブを形成し、マイクロ RNA をはじめとする各種の分子と複合体を形成します。それにより体内
での核酸の分解を保護したり、がん細胞への送達を達成できることがわかっています。