7777 J-3Dマトリックス 2021-06-14 15:30:00
中期経営計画(2022年4月期~2024年4月期) [pdf]

                                                           2021 年6月 14 日

各 位

                         東 京 都 千 代 田 区 麹 町 三 丁 目 2 番 4 号
                         会   社    名 株式会社スリー・ディー・マトリックス
                         代 表 者 名 代 表 取 締 役 社 長         岡    田         淳
                                                  (コード番号:7777)
                         問 合 せ 先 取         締     役     新 井         友 行
                         電 話 番 号                            03 (3511)3440



                中期経営計画(2022 年4月期~2024 年4月期)

1 今後3ヶ年の中期経営計画
(1) 当中期経営計画提出時点における前連結会計年度の総括
      当社グループは米国Massachusetts Institute of Technology(マサチューセッツ工科大学、以下
  「MIT」という。
          )のShuguang Zhang博士の発明による自己組織化ペプチド技術を基にした医療製品
  の開発・製造・販売に引き続き注力しており、主に外科領域では吸収性局所止血材:TDM-621(以下「止
  血材」という。、粘膜隆起材:TDM-644(以下「粘膜隆起材」という。、癒着防止材:TDM-651(以下「癒
         )                           )
  着防止材」という。、再生医療領域では歯槽骨再建材:TDM-711(以下「歯槽骨再建材」という。
           )                                    )及び
  創傷治癒材:TDM-511(以下「創傷治癒材」という。、
                             ) ドラッグ・デリバリー・システム(以下「DDS」
  という。
     )領域ではsiRNA核酸医薬:TDM-812の開発を行うなど事業展開を進めてまいりました。


【研究開発の状況】
 当社グループは、外科医療や再生医療の発展に寄与すべく、自己組織化ペプチド技術を、外科領域では
止血材、粘膜隆起材、後出血予防材や癒着防止材等、再生医療領域では歯槽骨再建材及び創傷治癒材等、
DDS領域ではsiRNA核酸医薬等のパイプラインへ応用し、製品化に向けた研究開発活動を行っておりま
す。


 外科領域:
 止血材(TDM-621)
 日本において消化器内視鏡治療における漏出性出血に対する止血を対象として実施しておりました治
験が、2019年7月に終了し、2019年10月に製造販売承認申請を独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以
下「PMDA」という。 )に提出しておりましたが、2020年7月にPMDAより製造販売承認を取得しており
ます。
 欧州では2014年にCEマークを取得しており、現在ヨーロッパ全域において販売中です。中枢神経分野
等領域の拡大や、創傷治癒等機能の拡大等、今後も継続して複数の分野で適応拡大を進め、オンリーワン
の製品となれるよう価値を一層高めていく方針です。
 米国では2021年1月に消化器内視鏡治療領域において、米国食品医薬品局(以下「FDA」という。
                                               )に
510(k)のプロセスにて承認申請を行いました。 (k)
                        510 は一般的に90日~180日の審査期間とされている
ため、比較的早期の承認取得を見込んでおります。また、承認取得後に向けて、創傷治癒や癒着削減等の
より高い付加価値がつけられる開発方針も模索しております。


                                 -1-
 粘膜隆起材(TDM-644)
 日本において製品の優位性を高めるため、ペプチドに改良を加えた新たな配列で開発を進めておりま
す。開発方針につきPMDAと協議を重ねた結果、性能と安全性が既存製品と同等であることを非臨床試
験で十分に検証できれば、臨床試験を必要としない改良医療機器としての申請が妥当との見解が得られ
ております。これを受けて当社では、非臨床試験において必要な検証事項をクリアし、2020年12月に製
造販売承認申請を提出しておりましたが、2021年5月11日付でPMDAより製造販売承認を取得しており
ます。


 後出血予防材
 欧州において消化器内視鏡治療時に生じる後出血予防効果に関して、2018年12月に適応追加が承認さ
れました。また、オーストラリアにおいても後出血予防効果に関して、2019年9月に適応追加が承認さ
れました。治療後に起こる後出血は、再手術が必要となることから患者及び医療機関双方の負担が大き
く、強いニーズがあります。消化器内視鏡治療における出血はおおよそ5%程度であるのに対し、治療後
に後出血が懸念されるリスクの高い患者・手技はおおよそ30%あるとされており、本適応の追加により当
社製品が獲得可能な市場は数倍に拡大する可能性があります。


 次世代止血材(TDM-623)
 MITからライセンス供与を受けた自己組織化ペプチド技術をベースとした、現在の止血材と異なる当
社が独自に特許を保有する新規ペプチド配列を用いた開発品です。現在の止血材より止血効果に優れ、
ペプチド原材料価格のコスト低減等の優位性があることから、将来的に主力製品として市場に供給すべ
く開発を進めてまいります。欧州においては、                (Good Manufacturing
                     製造管理 品質管理基準であるGMP
                         ・
Practice)に則ったコマーシャルスケールの製造方法は既に確立しており、最終製品を用いた前臨床試験
が終了し、2020年10月10日にベルギーの監督当局に治験計画届を提出しておりましたが2021年5月28日
に承認がなされましたので、今後速やかに臨床試験を開始する予定です。日本においては、既に承認され
ている製品を先行品として、改良医療機器(臨床試験なし)での申請可能性も検討しつつ、開発を進めて
まいります。


 癒着防止材(TDM-651)
 2019年4月に米国にて、耳鼻咽喉科領域においてFDAより販売承認を受けております。当社グループ
の米国における初めての上市製品です。  本製品は、癒着防止、止血及び創傷治癒を同時に行える現状唯一
の製品であることから、鼻甲介切除術や鼻中隔形成術等において高い臨床的価値を提供でき得るものと
期待しております。


 再生医療領域:
 歯槽骨再建材(TDM-711)
 米国での臨床試験で15症例の施術・経過観察が完了し、骨形成に良好な結果やデータを得ております。
一方で、プロトコルに改善の余地があったため、2018年4月期に臨床試験を12症例追加で継続する等、
臨床試験を継続しており、今後も引き続き製品化に向けた開発を進めてまいります。現在の試験完了後
のステップについてはFDAと協議中です。


 創傷治癒材(TDM-511)
 2015年2月にFDAより承認を受け販売の許認可を取得しております。より高い臨床的価値が求められ
る重度の熱傷や、皮膚がんの分野への進出を目指して、他薬剤とのコンビネーション(抗生物質、抗がん
剤等)も視野に入れて研究を進めております。また、巨大市場である美容整形分野にもアクセスすべく、
2019年11月にFDAへ適応拡大申請を提出しておりましたが、2020年5月にその承認を取得しております。
美容整形分野は一般の医療市場とは異なるマーケティング・アプローチが必要と考えており、まずは市
場開拓に必要な臨床データを取得しつつ、市場ニーズや市場構造を踏まえた販売戦略・販売チャネルを

                          -2-
企画してまいります。


  放射線性直腸炎治癒材
 2021年1月に、米国FDAに510(k)のプロセスにて口腔粘膜炎治癒材の販売承認申請を提出しておりま
す。当社は口腔粘膜炎治癒材の承認取得を放射線性直腸炎治癒材の開発に向けた前段階と位置付けてお
ります。放射線性直腸炎は、前立腺がんや子宮がん等への放射線療法に起因する副作用で、大腸粘膜の炎
症を高頻度で引き起こします。また、2割程度の患者は慢性的な下血、頻繁な排便、激しい腹痛等の晩期
障害に悩まされており有効な治療法の確立が望まれております。当社の止血材製品は、ヨーロッパの臨
床研究において、放射線性直腸炎に対して画期的な治癒効果が観察されております。当社では本領域の
アンメットニーズに応えるため、早期の製品化を目指し開発を進めてまいります。


  DDS領域:
  国立がん研究センターとの「RPN2標的核酸医薬によるトリプルネガティブ乳がん治療」共同プロジ
ェクトにおいて、自己組織化ペプチドA6KをsiRNA核酸医薬のDDSとして提供しておりました。本研究
を引き継ぐTDM-812に関しては、聖路加国際病院による治療抵抗性の乳がんを対象とした第Ⅰ相医師主
導の治験計画届を、2020年3月にPMDAへ提出いたしました。当社は、国立がん研究センターと共同で
がん幹細胞に対する治療薬や診断方法の特許を取得しており、同分野や関連分野の共同研究/共同開発に
向けた取り組みを進めております。
  広島大学との共同プロジェクトにおいても、悪性胸膜中皮腫を対象疾患とする革新的抗腫瘍核酸医薬
に界面活性剤ペプチドを提供し、共同開発を進めております。


  製品原価率を大幅に低減するための製造方法の変更検討:
  当社グループは、当社製品群の製品原価率を大幅に低減すべく、滅菌方法の変更及び製造スケール・ア
ップを進めております。2020年10月に欧州の第三者認証機関であるBSIに新たな製造方法への変更申請
を提出しておりましたが、2021年5月10日付でその承認を取得し、2022年4月期より実装を開始します。
この製法変更により粗利率は大幅改善し2023年4月期以降の黒字化に向けてのボトルネックが解消され
たと考えております。



  抗体検査領域:
 COVID-19抗体検査キットを、欧米に販売実績のあるPrometheus Bio社と日本市場向けに共同開発を
進めております。Prometheus Bio社の抗体検査キットであるCoronavirus IgG/IgM Antibody(COVID-
19)Test Cassetteは、血液、血清及び血漿中の2019-nCoVに対する抗体を検出する対外診断薬用のイムノ
アッセイであり、COVID-19の感染による免疫能獲得の存在を示唆する抗ウイルス抗体を検出すること
が可能であり、これを日本にて共同で開発を進めております。
  また、アンジェス株式会社が大阪大学と 2020 年 3 月に発表した「プラスミド DNA 製造技術を用い
 た新型コロナウイルス感染症向け予防用 DNA ワクチンの共同開発」に参画し、アンジェス株式会社と
 共同で日本国内での臨床試験データを収集し、ワクチン臨床試験における投与前抗体有無の確認等抗体
 検査キットの利用可能性を検討してまいります。


【販売進捗の状況】
 欧州における製品販売は、456,485 千円となり前年同期比で 15.6%増と拡大しました。
 当期の欧州の売上は、当社の止血材が消化器内視鏡領域で必要不可欠な製品として認識が広まってきて
いることもあり、当社製品を既に使用している医師・病院からは継続した購入があったため、コロナ禍に
も関わらず上期は売上を伸ばしました。一方で下期の売上は当初コロナが収束する見込みで計画していま
したが、第3四半期に入ると想定外の新型コロナウイルス感染症第二波の影響で、手術件数が大幅に減少
                                -3-
したことを受け、売上は徐々に計画を下回りました。しかしながら、第4四半期からは少しずつ状況が改
善し売上は回復基調となりました。2022 年4月期第1四半期以降は欧州でのワクチン接種の効果もあ
り、通常の販売活動に戻っていくものと想定しております。
 オーストラリアにおける製品販売は、495,003 千円となり前年同期比で 84.7%増と拡大しました。
COVID-19 の影響が他国と比べ比較的早く収束したことから、2020 年6月より徐々に病院・医師訪問が
再開され、また、先延ばしとなっていた手術も再開されたことから、前第4四半期に落ち込んだ需要を取
り戻す形となり、計画を超える売上となりました。
 米国では、2019 年4月に耳鼻咽喉科領域の癒着防止材兼止血材「PuraSinus」の販売承認を受けまし
た。米国内での本領域は、施術件数と既存製品の単価から推計して最大 200 億円の規模を有する市場と考
えられます。本領域はオーストラリアにおいて既に成功を収めている分野であるため、オーストラリアの
事例にならい直販で販売を開始し、試用の段階から医師からの評価も高く、販売開始からの獲得施設数な
どいくつかの営業指標ではオーストラリアの直販立ち上げ時と同等の観察結果が得られ始めているため、
オーストラリアと同等の成果が得られていくだろうという手ごたえを感じております。
 新型コロナウイルス抗体検査キットに関しましては、試験研究用として 2020 年4月より大学等の研究
機関への提供を開始しておりましたが、2020 年7月からは一般企業向けにも販売を開始したことで
48,985 千円の売上を計上いたしました。


 このような結果、当連結会計年度の業績については、止血材の製品販売は欧州で 456,485 千円、オース
トラリアで 495,003 千円、アジアで 7,774 千円、その他エリアで 10,970 千円を計上し、新型コロナウイ
ルス抗体検査キットを含む研究試薬の販売で 54,141 千円を計上したことから、事業収益 1,024,375 千円
(前年同期比 351,957 千円増加)と前年同期の 52.3%増となりました。
費用面に関しては、通期計画の範囲内で推移しており、その結果、経常損失 1,900,344 千円(前年同期は
経常損失 2,954,836 千円)
                 、親会社株主に帰属する当期純損失 2,012,615 千円(前年同期は親会社株主に
帰属する当期純損失 3,096,159 千円)となりました。


 なお、2020 年 12 月 21 日に開示しました通り、当社は、2009 年7月 17 日に扶桑薬品工業株式会社と
の間で締結した日本における自己組織化ペプチド(RADA16)を用いた吸収性局所止血材の独占販売権許諾
契約及び 2011 年5月 23 日に締結した製造委受託契約が、2020 年7月 10 日付の解除通知により終了し
たことを確認し、新たな製造受託先への移行までに必要と想定される製造量についての製造を行うことを
扶桑薬品工業株式会社との間で合意しております。
 日本での販売に関しましては、国内における新しい販売パートナーを早期に獲得すべく活動を進めてお
り、複数候補先との検討を進めております。また、販売パートナーを獲得したとしても自社での最低限の
販売力は必須であると考えており、営業社員の採用や卸を通じた販売網の構築など、販売開始に向けた体
制作りを進めております。
 また、製造所移管に関しては、次世代止血材の製造を行っている相手先を第一候補として進めているた
め、製造ラインは既にあり、申請準備は最終段階(製造バリデーション)に入っております。各国での当
局申請は 2022 年4月期中を計画しており、米国向けは 2022 年4月期中に、欧州、日本向けは 2023 年4
月期中に製品提供を開始する計画です。




                             -4-
(2)中期経営計画の概要及び策定の背景
  中期経営計画の基本方針
  当社グループは、自己組織化ペプチドを基盤技術として外科領域、再生医療領域、DDS領域におい
 て医療機器及び医薬品の開発を進めており、本基盤技術を用いたパイプラインの探索を経て、医療機器
 を開発し製品の上市を目指し製品販売によって事業収益を確保していくことを基本方針としております。
  また製品については欧州における消化器内視鏡領域は FUJIFILM と提携しております。これに加えて、
 日本、米国での止血材及び欧州における消化器内視鏡領域以外の止血材については、引き続き事業提携
 先の選定は進めていき、販売権等の許諾を行った際は、事業提携先に対して販売を行うこと及び販売権
 等の許諾による対価として契約一時金やマイルストーン収益の獲得が見込まれます。しかしながら、特
 に製品販売立ち上げ当初は最低限の直販力を確保する戦略に切り替えたことから、販売提携のタイミン
 グに対する自由度が増してきており、より良いタイミング、条件で販売提携できる可能性が出てきてお
 ります。そのため、どのタイミングで締結することがベストなのか現時点では予見することが難しく、
 その計上時期が不確定であり、当期から策定する中期経営計画の蓋然性を高めるために、製品販売のみ
 での販売計画としております。契約一時金等につきましては、契約の進展に合わせて中期経営計画を更
 新いたします。
       (具体的な経営目標を下記と定めております)
                           。
・事業化戦略や企画機能に特化して開発パイプラインのラインナップの拡充を図る。
・複数の領域で早期に製品を上市し安定的な製品売上の獲得、シェア拡大に取り組む。
・製造や販売機能は事業提携によって補完するビジネスモデルの更なる体制拡充を図る。
・グローバル展開を図り、製品開発・販売に向けた事業提携による体制を構築する。


(3) 事業の進捗状況及び今後の見通し並びにその前提条件
  当社グループは、自己組織化ペプチド技術を用いて外科領域及び再生医療領域で複数の主要なパイプ
 ラインの研究開発を行っております。また、当該パイプライン製品を上市して製品販売による収益を獲
 得する医療製品事業を行っております。
  欧州においては、既に止血材の販売を開始しており適応拡大も進めております。消化器内視鏡領域に
 おいては販売提携も完了し高い成長を遂げておりますが、この傾向が今後も継続することをベースに計
 画を立案しております。加えて、2022 年 4 月期からは最大の市場セグメントである心臓血管外科および
 既にオーストラリアで高い成長を遂げている耳鼻咽喉科への本格的拡販を計画しております。また、2023
 年 4 月期には、創傷治癒材としての適応拡大及び次世代の止血材製品の市場への投入も計画しており、
 これら新製品による更なる売上拡大も見込んでおります。さらに、販売エリアの拡大も計画しており、
 現在注力しているヨーロッパ主要 5 か国から、中東、東欧、ロシア、アフリカへと注力地域を順次拡大
 していく計画です。欧州事業の 2022 年4月期は、通年では赤字を大幅に縮小し、単月での黒字化を計画
 しています。その後、2023 年4月期では通年での黒字化を目指しております。
  米国においても、既に耳鼻咽喉科向けの癒着防止兼止血材の承認を得ております。本製品は既にオー
 ストラリアで高い成長を遂げている製品であり、かつ、米国とオーストラリアの市場環境の類似性が高
 いことから、オーストラリアでの成功を模倣し同程度のスピードで市場浸透を達成することを目標とし
 て計画を立案しております。新型コロナウイルス感染拡大の影響で 2021 年4月期における販売体制、販
 売方法の確立に遅れが生じましたが、2022 年4月期より営業人員4名の体制で本格的な販売を開始し、
 2023 年4月期には大きな成長を達成する見込みです。さらに、2022 年4月期中には消化器内視鏡領域の
 止血材の承認も取得する見込みです。消化器内視鏡領域の止血材は欧州で既に売上を伸ばしている製品
 であることから、本製品が 2023 年 4 月期から売上に貢献するという計画としております。なお、米国に
 おいてはこの他、創傷治癒材が承認取得済み、歯槽骨再建材が臨床試験中、となっておりますが、これら
 の製品に対しての販売戦略が現時点で確定していないことから、確定した時点で中期計画に織り込む予

                         -5-
 定としております。
  日本においては、2021 年4月期に消化器内視鏡領域の止血材の承認を得ております。販売開始は 2022
 年4月期下期の保険収載後となりますが、本製品は欧州で既に売上を伸ばしている製品であり、治験参
 加施設及び治験関連施設を中心に早期の売上の立ち上げが可能と考えており、本製品によって 2022 年 4
 月期に一定の規模の売上計上を計画し、2023 年4月期以降は大きく成長することを見込んでおります。
 また、消化器内視鏡領域の粘膜隆起材も 2021 年5月に承認を取得したことから、止血材とのクロスセル
 による拡販に寄与すると考えております。


  以上の見通しを前提として、今後の事業収益につきましては、止血材、癒着防止材、創傷治癒材等の製
 品販売売上の計上を計画しております。
  これら売上拡大策と並行して収益性も改善すべく、当社グループは、これまで収益化のボトルネック
 になっていた製品原価の低減に取り組んでおり、当社製品群の現在の製造方法から大幅に製品原価率を
 低減すべく、滅菌方法の変更及び製造スケール・アップを進めておりました。2021年5月に欧州にてそ
 の承認を取得し、2022年4月期から実装を開始します。これにより製品原価率は大幅に下がることにな
 り、2023年4月期における黒字化達成を目標とし、2024年4月期においてはグループ全体での営業利益率
 を29.5%とすることを目標としております。
                      。
  また当社グループの開発パイプラインは医療機器としての開発であることから、医薬品と比較して上
 市までの開発は短期間で行われ、コストも抑えられますが、開発に際して一定以上の費用を必要としま
 す。この開発の前提条件となる資金確保については、過去に公募増資や海外募集による資金調達、新株
 予約権の発行及び第三者割当増資による資金調達を実施しておりますが、引き続き必要に応じて適切な
 手法により資金調達を検討してまいります。


2 今期の業績予想及び今後の業績目標(連結)
(1) 売上・損益目標
                                                        (単位:百万円)
              2021 年4月期    2022 年4月期      2023 年4月期      2024 年4月期
                (実績)        (予想)           (目標)           (目標)

    事業収益           1,024          2,379         5,589          9,809


    営業利益          △2,648         △1,746           254          2,894


    経常利益          △1,900         △1,751           250          2,889

 親会社株主に帰属する
                  △2,012         △1,871           129          2,769
    当期純利益
(注)1.当社グループの事業収益については、各パイプラインの開発計画に即して、下記「業績予想及び
    業績目標策定の前提条件・数値根拠」に基づき収益計上時期を予測し策定しております。
(注) 事業収益は製品販売のみの計画としております。 「中期経営計画の基本方針」
   2.                     上記            に記載の通り、
    契約一時金等につきましては、契約の進展に合わせて中期経営計画を更新いたします。


(2) 業績予想及び業績目標策定の前提条件・数値根拠
(事業収益)

                           -6-
【2022 年4月期(予想)の前提条件】
 以下の製品販売を計画しております。
 1. 製品販売
 ・対象地域:欧州、米国、日本、オーストラリア、その他
 ・通期販売計画:2,379百万円(欧州1,099百万円、オーストラリア650百万円、米国318百万円、その他
 地域310百万円)を計画し、2021年4月期の132.3%の製品売上の増加を計画しております。前中期経営計
 画の2022年4月期における売上目標は4,802百万円としておりましたが、2021年4月期連結会計期間中
 を通じた新型コロナウイルス感染拡大(COVID-19)により、欧州・オーストラリアでは将来の成長に向
 けて開拓を開始した新領域で十分な立ち上げ準備が出来ず、米国では病院への訪問が制限され販売体制・
 手法の構築に計画より時間がかかる等の影響を受けました。また、日本では止血材の製造販売承認取得
 後に日本向け製品の製造開始が大幅に遅れてしまったことで販売の立ち上がりが遅れました。本計画は
 これらの影響を考慮し、前提の見直しを実施した上での通期販売計画となっております。


・各地域の前提条件:
欧州
 販売計画は 1,099 百万円を見込んでいます。過去数年、止血材の販売は消化器内視鏡領域にターゲット
を絞り順調に拡大し、欧州事業の赤字幅は徐々に縮小してきており、2022 年4月期は単月での黒字化を計
画しています。消化器内視鏡領域においては FUJIFILM との間の販売提携を中東まで拡大しており、今後
も FUJIFILM との協力体制のもと、コロナ禍以前の成長率と同等の前年比 100%増で販売を拡大していく
計画です。なお、欧州における消化器内視鏡領域の市場は潜在的に最大 80 億円程度あり、後出血予防の適
応を獲得していることから、さらに数倍の拡大余地があると考えています。また、2021 年 4 月期より心臓
血管外科領域、耳鼻咽喉科領域にも注力を開始しており、心臓血管外科領域はイタリア、フランス・スペイ
ンから各国へ、耳鼻咽喉科領域はイギリスから各国への拡大し、それぞれ新規 KOL やコアユーザーの獲得
を積み上げて計画としています。当社製品による推定市場規模の3%程度(前年 1.5%程度)までのシェア
拡大を計画しております。


米国
 販売計画は 318 百万円を見込んでいます。新型コロナウイルス感染拡大により病院及びドクターへの訪
問の制限を受け、大幅に市場立ち上げが遅れたものの 2021 年 4 月期末までに当初必要な営業人員として
4名を採用し、販売体制を構築し、初期の成功事例も生まれております。耳鼻咽喉科領域の癒着防止兼止血
材はオーストラリアでは営業人員一人当たり 1 百万豪ドルの売上実績があることから、その実績値をベー
スにオーストラリアで確立した販売ノウハウを市場環境が似ている米国で活かすことで、営業人員一人当
たり 70 万米ドルの売上を 2022 年 4 月期で計画しています。また、消化器内視鏡領域の止血材の承認取得
を当期で見込んでおり、市場投入に向けた体制準備を進め、当期中の販売開始を計画しております。


日本
 2021年4月期に承認を取得した消化器内視鏡領域の止血材は当期の下期での保険収載を見込んでおりま
す。当期は営業人員3名の体制で治験参加施設・治験関連施設への販売にフォーカスし、当期は販売期間が
短いことから売上は小規模にとどまりますが、販売体制・販売手法を確立することに注力し、来期以降の成
長を最大化していく計画です。


オーストラリア
 販売計画は 650 百万円を見込んでおります。2021 年 4 月期は新型コロナウイルス感染拡大の影響で新規
顧客の獲得が十分に進みませんでしたが、オーストラリア単体では、黒字化を達成しております。当期は利
                          -7-
益を拡大しつつ、その中で売上の最大化を図っていきます。具体的には、既存顧客の当社製品の使用率を増
やしていくことに注力し過去の成長スピードを維持します。それに加えて、前年までに 12%の市場シェア
を獲得している耳鼻咽喉科領域に加えて、欧州で実績を積み上げてきた消化器内視鏡領域にも注力し当社
製品の販売対象となる止血材市場のシェアを7%程度(前年5%程度)まで拡大することを計画していま
す。さらに、新しい領域において、耳鼻咽喉科領域の 2 倍以上の市場がある婦人科領域や泌尿器領域もタ
ーゲットとし、当社製品の価値を裏付ける臨床データの蓄積等を進め来期以降の新規顧客獲得に繋がる活
動を進めていきます。




【2023 年4月期(目標)の前提条件】
 以下の製品販売を計画しております。
 1. 製品販売
 ・対象地域:欧州、米国、日本、オーストラリア、その他
 ・通期販売計画:5,589百万円(欧州2,641百万円、オーストラリア1,010百万円、日本539百万円、米国
  1,377百万円、その他地域20百万円)
 ・各地域の前提条件:
  欧州
   販売計画は2,641百万円を見込んでおり、当期における欧州事業の黒字化を見込んでおります。2022
  年4月期の販売計画をベースとして欧州全域での販売パートナーを通じた止血材の販売拡大を前提に
  計画しております。消化器内視鏡領域は、前年度に引き続き販売国も広げていくことで前年比100%増
  の成長を維持していく計画です。心臓血管外科や耳鼻咽喉科領域では前期までに獲得した各地域で影
  響力を持つKOLを中心に、地域中核病院におけるコアユーザーを獲得していきます。当社製品による推
  定市場規模の8%程度(前年3%程度)までのシェア拡大を計画しております。また、当期中に次世
  代止血材の市場投入開始も見込んでおります。


  米国
   販売計画は1,377百万円を見込んでいます。2022年4月期中に販売方法を確立したことで、オースト
  ラリアでの耳鼻咽喉科向けの癒着防止材の販売での成功を模倣し大きく市場に浸透していくことを計
  画しており、営業人員を4名から12名まで増員し一人当たり1百万米ドルの売上を見込んでおります。
  また消化器内視鏡領域の止血材の承認を2022年4月期中に計画しており、同領域は欧州にて販売方法
  を確立し売上を伸ばしているセグメントであることから、その経験を活かして当期中に米国での販売
  方法を確立する計画です。なお、米国の消化器内視鏡領域は手術件数において日欧と同等であり、最
  も高い成長を遂げている市場です。


  日本
   販売計画は539百万円を見込んでいます。営業人員を3名から6名に増員し、治験参加施設・治験関
  連施設に加えて、年間のESD/EMRの施術数が150件以上ある病院を中心に販売を拡大していく計画です。
  営業人員一人当たりの売上を約90百万円と見込み、想定市場規模の7%程度の獲得を目指します。欧
  州市場における消化器内視鏡領域の初期の立ち上げスピードと比較すると十分実現が可能な計画と考
  えております。また、前期に粘膜隆起材の保険収載を終え、消化器内視鏡領域で止血材とのクロスセ
  ルによる拡販も見込んでおります。


  オーストラリア
   販売計画は1,010百万円を見込んでおります。2023年4月期は営業利益率を約30%とすることをめざ
  しております。前期から準備を始める新領域での取り組みを本格化させる計画です。前期に蓄積した
  臨床データ等を活用することで泌尿器科領域及び成長余地の大きい婦人科領域において新規顧客を獲
                          -8-
  得し、成長を維持していく計画です。当社製品の販売対象となる止血材市場のシェアを10%程度(前
  年7%程度)まで拡大することを目指します。



【2024 年4月期(目標)の前提条件】
 以下の製品販売を計画しております。
 1. 製品販売
 ・対象地域:欧州、米国、日本、オーストラリア、その他
 ・通期販売計画:9,809百万円(欧州3,962百万円、オーストラリア1,500百万円、米国2,968百万円、日本
  1,354百万円、その他24百万円)
 ・各地域の前提条件:
  欧州
   販売計画は3,962百万円を見込んでいます。消化器内視鏡領域の止血材は、引き続き販売パートナー
  と協力し、前年比30%増の成長で拡大していく計画です。心臓血管外科及び耳鼻咽喉科領域はこれま
  でに拡大してきた地域中核病院におけるコアユーザーからさらに病院内での横展開を進めユーザーの
  すそ野を大きく拡大していく計画です。当社製品による推定市場規模の11%以上の獲得(前年8%程度)
  を目標としております。また、当期には放射線性大腸炎及び潰瘍性大腸炎向けの創傷治癒材としての
  適応拡大や次世代止血材を脳神経外科向けに本格的な市場立ち上げすることを計画しており、これら
  新製品による売上拡大が当期以降に続くものと考えております。


  米国
   販売計画は2,968百万円を見込んでおります。耳鼻咽喉科領域向け癒着防止兼止血材は市場規模の
  12%程度のシェアを獲得する計画です。消化器内視鏡領域の止血材は、欧州での市場評価を活用し、
  米国市場への同領域への製品投入2年目となるため3%程度の市場シェアを獲得することを目標とし
  ています。また、放射線性大腸炎向け創傷治癒材についても本格的な市場立ち上げを行い、当期以降
  に売上拡大が続くものと考えております。


  日本
   販売計画は1,354百万円を見込んでおります。営業人員を9名に増員し前期までに販売を開始した施
  設に加えて、年間のESD/EMRの施術数が120件以上ある病院を対象に含め販売を拡大していく計画です。
  想定市場規模の15%程度(前年7%程度)のシェアを獲得することを見込んでおります。


  オーストラリア
   販売計画は1,500百万円を見込んでおります。2024年4月期の営業利益率は約40%をめざしておりま
  す。当社製品の対象となる止血材市場の12%程度(前年10%程度)までシェアを獲得することを目標と
  しております。泌尿器科領域及び成長余地の大きい婦人科領域も引き続き販売拡大を目指します。ま
  た、当期には欧州において放射線性大腸炎及び潰瘍性大腸炎向け創傷治癒材としての適応拡大や次世
  代止血材を脳神経外科向けに本格的な市場立ち上げすることを計画しており、同じCEマーキング製品
  としてオーストラリアでもこれら新製品による売上拡大が当期以降に続くものと考えております。



(販売提携に向けた取り組み)
 日本において止血材の販売提携、米国において癒着防止兼止血材及び消化器内視鏡領域の止血材の販売
提携、欧州において消化器内視鏡領域以外の止血材の販売提携の獲得に向けて活動を行っていきます。
 ただし、契約締結の時期に関しましては、
                   「中期経営計画の基本方針」に記載の通り、より良いタイミ
ング、条件で販売提携できる可能性が出てきており、どのタイミングで締結することがベストなのか現時

                           -9-
点では予見することが難しく、その計上時期が不確定であり、中期経営計画の蓋然性を高めるために、製
品販売のみでの事業収益の計画としております。


(製品原価)
                                                                 (単位:%)
            2021 年4月期        2022 年4月期           2023 年4月期     2024 年4月期
              (実績)            (予想)                (目標)          (目標)

 製品原価率               70%            約 50%             約 35%         約 30%

 当社グループは、当社製品群の製品原価率を大幅に低減すべく、滅菌方法の変更及び製造スケール・ア
ップを進めてきましたが、2021 年5月に欧州の第三者認証機関である BSI より新たな製造方法への変更
に対する承認を取得しました。この承認により黒字化に向けた最大のボトルネックが解消したことになり
ます。2022 年4月期より実装を開始し、段階的に製品原価率は低減し、2024 年 4 月期には約 30%まで
製品原価率が改善する見込みです。


(研究開発費)
                                                               (単位:百万円)
            2021 年4月期        2022 年4月期           2023 年4月期     2024 年4月期
              (実績)            (予想)                (目標)          (目標)

 研究開発費                785                 591            635           555

 当社グループの研究開発費については、開発パイプライン毎のプロジェクトベースでの積み上げによる
算定を行っており、次世代止血材、歯槽骨再建材等の関連費用の合計となっております。


(販売費及び一般管理費等)
                                                               (単位:百万円)
            2021 年4月期        2022 年4月期           2023 年4月期     2024 年4月期
              (実績)            (予想)                (目標)          (目標)
販売費及び
                     2,168               2,422         2,706         3,312
一般管理費
 当社グループの販売費及び一般管理費については、各費用における過去の実績金額を勘案し、今後の事
業計画に即して見積り金額を算出し策定しております。人員計画(2022 年4月期末 75 名、2023 年4月期
末 88 名、2024 年4月期末 106 名を想定)は、米国、日本を中心とした事業エリアの拡大や製品の増大、パ
イプラインの増加に伴う必要業務の拡大に合わせて適切な体制構築を行うべく計画を策定しております。


(設備投資計画)
 当社グループは、製品を全て外部の製造委託先で製造しているため自社における新規の設備投資計画は
ありません。


(資金計画)
 当社グループの資金計画については、主に開発パイプラインにおける臨床試験等の研究開発費用の比重
が大きく、必要な資金計画に対して継続的に財務基盤の強化を図っていく方針であります。



                                - 10 -
現在米国においてバイオ業界への投資に多くの実績を有する投資ファンドのハイツ・キャピタル・マネジ
メント・インクに対し、第2回及び第3回無担保転換社債型新株予約権付社債の発行及び第 25 回、第 27
回及び第 28 回新株予約権を発行しており、新株予約権につきましては今後も順調に行使が進むものと考
えております。また、2018 年3月には、りそな銀行との間で3億円を上限とするコミットメントライン契
約を締結し、2021 年4月期末においても契約の更新を行っております。今後は製品販売による安定的な事
業収益の確保に努め、事業提携等による契約一時金収益の確保にも取り組んでまいります。




                        - 11 -
3 その他参考情報
○ 主なパイプライン・主要地域の開発状況
                地域   基礎研究    前臨床   臨床試験     製造販売   製造販売
                                                          保険収載   上市
                     /評価試験   試験    (治験)     承認申請   承認取得


                欧州


     吸収性局所
      止血材
                日本
    (TDM-621)
     (注)2

外
                米国
科

領    粘膜隆起材
    (TDM-644) 日本
域
     (注)3


    次世代止血材
                欧州
    (TDM-623)


     癒着防止材
    (TDM-651) 米国
     (注)4


    歯槽骨再建材
    (TDM-711) 米国
再
生    (注)5
医
療
領
域    創傷治癒材
    (TDM-511) 米国
     (注)6

D siRNA 核酸医薬
D
S (TDM-812) 日本
領
域    (注)7
(注) 1        は開発計画を表しており、        は実施済みを表しております。      は2022年4月期、
            は2023年4月期、    は2024年4月期以降における開発計画の到達目標を表しております。
     2 吸収性局所止血材
       欧州:2014年1月にCEマーキング指令適合を受け、2015年4月期に製品販売を開始。
       日本:2011年4月に臨床試験を終了し2011年5月に製造販売承認申請も、2015年3月に承認申請取下げ。そ
       の後、2017年4月期に再度の臨床試験に向けた治験計画届を提出、2018年4月期に臨床試験を開始し、2019
       年7月に終了、2019年10月に製造販売承認申請、2020年7月に製造販売承認取得。
       米国:FDA(米国食品医薬品局)の市販前届501(k)のプロセスの活用を検討することで、2021年4月期に承認
       申請、2022年4月期での製造販売承認取得予定。
     3 粘膜隆起材

                                   - 12 -
      日本において2021年4月期に改良医療機器として製造販売承認申請、2021年5月に製造販売承認取得。
     4 癒着防止材
       米国においてFDA(米国食品医薬品局)に市販前届510(k)を申請、2019年4月期に製造販売承認取得。2021
       年4月期に製品販売を開始。
     5 歯槽骨再建材
       米国において2012年2月に臨床試験を開始、2021年4月末現在も臨床試験を継続中。
     6 創傷治癒材
       米国において2014年10月にFDA(米国食品医薬品局)へ市販前届510(k)を申請。2015年2月にFDAより同承認
       を取得。2019年11月にFDAに美容整形分野に適応拡大申請を提出し、2020年5月に承認取得を完了し、販売
       戦略を策定中。
     7 DDS領域
      DDS(ドラッグ・デリバリー・システム)領域において当社ペプチドを医薬品等のキャリアとする開発で、
      当社単独での事業化ではなく大手製薬企業への技術供与(ライセンス)を目標。


○ 開発パイプライン毎の主な前提条件、課題、具体的施策
●吸収性局所止血材(TDM-621)
 特    徴:血液等の体液と接触すると自己組織化しナノファイバーを形成しゲル化する特性から、外
         科手術時の出血部に塗布することで接触面を物理的に閉鎖して止血するという特徴
 適応対象:外科手術時での滲出性出血
 市    場:欧州、米国、日本、その他
 開発段階:欧州:2014 年1月に CE マーキングの承認取得
      米国:2021年1月に承認申請
      日本:2018年4月期より臨床試験の実施、2020年7月に製造販売承認取得
 前提条件:計画する各承認の取得に伴う一時金、想定する手術領域での製品販売を前提
 課    題:米国での承認取得
 具体的施策:適切な当局対応



●粘膜隆起材(TDM-644)
 特    徴:内視鏡手術による胃癌や食道癌等の粘膜切除術や粘膜下層剥離術において腫瘍部位を切除
         する際に腫瘍部位を隆起させることを目的としており、自己組織化によりゲル化する特性
         から、粘膜下層に注入し必要な隆起を形成するという特徴
 適応対象:内視鏡的粘膜切除術、内視鏡的粘膜下層剥離術
 市    場:日本
 開発段階:2021 年5月に承認取得
 前提条件:安全性及び他製品との同等性
 課    題:申請データの確保及び生産体制の確立
 具体的施策:プロジェクトプランニング、生産パートナーとのコラボレーション


●次世代止血材(TDM-623)
 特    徴:血液等の体液と接触すると自己組織化しナノファイバーを形成しゲル化する特性から、外
         科手術時の出血部に塗布することで接触面を物理的に閉鎖して止血するという特徴
 適応対象:外科手術時での滲出性出血
 市    場:欧州を先行に開発、米国、日本等に展開予定
 開発段階:2020 年 10 月に欧州にて治験計画届提出、2021 年5月に治験計画承認
 前提条件:前臨床試験の結果を基に臨床試験を実施し、製造販売承認の取得がなされることを前提
 課    題:治験を成功裏に終了すること

                               - 13 -
 具体的施策:プライマリー・インベスティゲーターとのコラボレーション、サイト・セレクション、
       CRO 選定及びプロトコル策定
●癒着防止材(TDM-651)
 特   徴:自己組織化によりゲル化してナノファイバーを形成することにより、外科手術の術後に生
       じる器官や組織の癒着が防止または軽減されるという特徴
 適応対象:耳鼻咽喉科領域やその他領域における外科手術時
 市   場:米国、オーストラリア、欧州
 開発段階:米国での製造販売承認を取得済
 課   題:説得力ある臨床事例の蓄積
具体的施策:販売・マーケティング戦略、体制の確立


●歯槽骨再建材(TDM-711)
 特   徴:歯周病により退行した歯槽骨に対してインプラント術が適用可能なまで歯槽骨を再建する
       ことを目的としており、自己組織化によりゲル化してナノファイバーを形成することで3
       次元構造が維持され、生体内で細胞が増殖する環境を作り出し、生体組織の再生をサポー
       トするという特徴
 適応対象:歯槽骨再建術
 市   場:米国、欧州
 開発段階:臨床試験段階
 前提条件:米国での臨床試験を終了し、製造販売の承認がなされることを前提
 課   題:今後のFDAからの照会事項等を想定し、必要なデータの整理、保存試験及び追加試験等
       を要求された場合には十分なデータ、追加の試験結果等を準備することが課題
具体的施策:米国の医療コンサルタントより想定されるFDAからの照会事項等に対する必要データ及
       び試験等のアドバイスを受け、適宜追加の試験等を実施


●創傷治癒材(TDM-511)
 特   徴:自己組織化によりゲル化してナノファイバーを形成することにより皮膚創傷部に皮膚組織
       の再生環境が形成されることで、創傷治癒を促すという特徴
 適応対象:軽度から中度の皮膚創傷
 市   場:米国・欧州
 開発段階:米国で製造販売承認を取得済み
 課   題:説得力のある臨床事例の蓄積、KOL の巻き込み、マーケティング戦略
 具体的施策:KOL、外部専門家とのコラボレーション




                         - 14 -
<用語解説>(50 音順、アルファベット)
*自己組織化ペプチド
 生理的条件下(中性 pH、塩の存在)に置くと、ペプチド分子同士が規則的に集合し、ナノファイバーを
 形成するペプチド群。


*内視鏡的粘膜下層剥離術
 癌の周囲にヒアルロン酸などの薬液を注射し、十分な粘膜下膨隆を作ったうえで、さまざまな電気メス
 を用いて癌を少しずつ切りはがしていく早期胃癌や早期食道癌に対する比較的新しい手術方法。電気メ
 スを用いて切り取るため、内視鏡的粘膜切除術とは異なり、切除する組織の大きさに制限がなく大きい
 病変を一括して切除することが可能。


*内視鏡的粘膜切除術
 内視鏡を用いて筋層以下(粘膜下層の奥)に障害を与えずに、粘膜下層の深さで粘膜層をスネアと呼ばれ
 るワイヤーに高周波電流を流して組織を回収することで、早期癌やポリープなどを治療する手術。


*ブリッジング
 薬事規制が異なる国の間で、前臨床試験・臨床試験データを共有して薬事承認申請をすること。

*DDS
 必要な薬物を必要な部位で必要な長さの時間、作用させるための薬物送達システム(工夫や技術) Drug
                                            。
 Delivery System の略称。


*IDE
 FDAへの新医療機器の臨床試験実施のための医療機器に関する適用除外申請。Investigational
 Device Exemption の略称。


                                                 以上




                         - 15 -
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 本開示資料は、投資者に対する情報提供を目的として将来の事業計画等を記載したものであって、投
資勧誘を目的としたものではありません。当社の事業計画に対する評価及び投資に関する決定は投資者
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         )は、現時点で入手可能な情報から得られた当社の判断に基づくものであり、将来
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際の事業の状態・業績等は影響を受けることが予想され、本開示資料の記載内容と大きく異なる可能性
があります。




                     - 16 -