7776 J-セルシード 2019-02-15 16:30:00
中期経営計画(2019 年12 月期~2021 年12 月期) [pdf]
中期経営計画
(2019 年 12 月期~2021 年 12 月期)
2019 年2月 15 日
会 社 名 株式会社セルシード
代表者氏名 代表取締役社長 橋本 せつ子
(コード番号:7776)
問合せ先 取締役 最高財務責任者 小野寺 純
電話番号 03-6380-7490
1.今後の3ヶ年の中期計画
(1)当中期経営計画提出時点における前連結会計年度の総括
当連結会計年度におけるわが国経済は、好調な企業収益を背景に、雇用・所得環境の改善が続き、
個人消費が持ち直すなど、緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、今後の景気の先行きに
ついては、米国の保護主義的な通商政策の動向が世界経済に与える影響や、海外経済の不確実性等に
より、依然として留意すべき状況も見られます。
当社グループを取り巻く再生医療分野におきましては、引き続きビジネス化に向けて複数企業によ
る積極的な参入が進むなどの盛り上がりを見せております。iPS 細胞やミューズ細胞のほか、骨や神
経などに分化する「間葉系幹細胞(MSC)」を活用する細胞医薬品開発も活発化しており、将来におけ
る再生医療分野への期待度・関心度はますます高まっております。
このような環境のもと、当社は細胞シート再生医療事業では、食道再生上皮シート及び軟骨再生シ
ートの細胞シート再生医療製品パイプラインの自社開発を中心とした研究開発を推進いたしました。
また、再生医療支援事業では温度応答性細胞培養器材を中心とする器材販売活動を推進いたしました。
また、当社細胞培養センターを活かした再生医療を支援する新たな事業として「再生医療受託事業」
を開始いたしました。
このような活動を行った結果、当連結会計年度の売上高は 1,026,094 千円(前連結会計年度比
941,032 千円の増加)
、営業利益は 140,062 千円(前連結会計年度は営業損失 956,807 千円)、経常利
益は 140,675 千円(前連結会計年度は経常損失 964,184 千円)
、親会社株主に帰属する当期純利益は
129,745 千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失 966,474 千円)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
① 再生医療支援事業
温度応答性細胞培養器材を中心とする器材販売活動を推進いたしました。また、当社細胞培養セン
ターを活かした再生医療を支援する新たな事業として「再生医療受託事業」を開始し、11 月には再生
医療受託サービスに関する第1号案件を東京女子医科大学より受注(売上計上は 2019 年以降の予定)
いたしました。
このような活動を行った結果、売上高は 66,094 千円(前連結会計年度比 3,266 千円の減少)、営業
損失は 70,272 千円(前連結会計年度は営業損失 98,539 千円)となりました。
② 細胞シート再生医療事業
細胞シート再生医療事業では、食道再生上皮シート及び軟骨再生シートの細胞シート再生医療等製
品パイプラインの自社開発を中心とした研究開発を推進しております。
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食道再生上皮シート再生医療等製品パイプラインでは、2016 年8月より進めて参りました治験につ
いて 2018 年4月までに治験実施施設での症例登録を終了いたしました。本治験の安全性については、
本製品に関連した副作用の発生はなく、問題は認められませんでした。一方で、主要評価項目である
ESD(内視鏡的粘膜切除術)後 8 週目の狭窄予防効果において、閾値奏効率(ESD 後の無処置患者に対
する非狭窄率)に対して統計的な優位性が証明されませんでした。今般、PMDA(独立行政法人医薬品
医療機器総合機構)より安全性は確認できたものの、有効性については十分なデータであるとは言い
切れず、製造販売承認申請については追加の臨床試験を実施し、有効性を確認するデータの提出が必
要である旨の回答がありました。これを受けて当社は追加臨床試験を実施すべく、PMDA と協議を続け
て、2022 年に製造販売承認申請を目指し引き続き開発を進めて参ります。
軟骨再生シート再生医療等製品パイプラインでは、日本医療研究開発機構(AMED)が公募した補助
事業である 2018 年度「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療シーズ開発加速支
援)」に、当社が提案した研究開発課題(同種軟骨細胞シート(CLS2901C)の製品化に向けた製造方法の
確立)が採択されました。また 2019 年1月には当社の共同研究先である東海大学医学部付属病院が申
請いたしました「自己細胞シートによる軟骨再生治療」が厚生労働省「第 71 回先進医療会議」におい
て承認されました。なお、当該先進医療が開始した際には、当社は一部受託加工による収益を獲得し
つつ、引き続き開発を進めて参る予定でございます。
また、海外展開におきましては、台湾企業(MetaTech 社)との間で締結した細胞シート再生医療事
業に関する台湾での独占的事業提携契約に基づく売上高として 960,000 千円計上いたしました。
以上のような活動を行った結果、売上高は 960,000 千円(前連結会計年度比 944,299 千円の増加)
、
営業利益は 497,664 千円(前連結会計年度は営業損失 547,132 千円)となりました。
(2)中期経営計画の概要及び策定の背景
中期経営計画の概要は以下の通りです
●日本で 2022 年の食道再生上皮シートの製造販売承認申請を目指す
●軟骨再生シートの 2021 年治験開始に向けた開発を加速する
●食道再生上皮シート及び軟骨再生シートに続く、次期品目の開発に着手する
●細胞シート再生医療及び支援製品の組織・インフラ体制を構築する
●再生医療支援製品の新製品開発及び受託製造を推進し、更なる収益機会獲得を目指す
●日本発の細胞シート工学の世界展開のために事業提携を積極的に推進し収益の拡大を目指す
当社は、細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤として様々な細胞シート再生医
療等製品を開発し、その世界普及を目指しております。
当社の基盤技術である細胞シート工学は、バラバラの細胞から生体組織・臓器の基本単位となる「細
胞シート」を生体外で人工的に作製することができる再生医療基盤技術です。
細胞シート再生医療については既に様々な組織の再生に関する臨床研究が実施されており、実際に
ヒト患者治療における基本的な安全性・有効性を示唆する科学的エビデンスが示され始めています。
また 2014 年 11 月に「医薬品医療機器法」並びに「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」が
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施行され、日本における再生医療を取り巻く環境が大きく変化し、再生医療等製品の産業化が進みつ
つあります。この日本における大きな外部環境の変化を活かしつつ、上記概要の通り計画を推進して
参ります。
(3)事業の進捗状況及び今後の見通し並びにその前提条件
<当社が開発主体となり推進中のパイプライン>
●食道再生上皮シート
特 徴:自己口腔粘膜上皮細胞より培養した細胞シート
適応症:内視鏡による早期食道癌除去後の食道狭窄の防止
近年、初期の食道癌に対しては、内視鏡を用いて病変部を局所的に切除する内視鏡的粘膜下層剥離
術(ESD)が行われています。ESD は身体への負担は小さいものの、術後に癌切除部位にしばしば狭窄
が生じます。食道狭窄に対してはバルーン拡張術で狭窄部を広げる治療が行われますが、強い痛みを
伴う難点があります。 また繰り返し生じる狭窄の度にバルーン拡張治療が必要になるため、 患者の QOL
が低くなってしまう問題があります。このような初期の食道癌治療の問題を解決するために東京女子
医科大学で、細胞シートを用いた治療が開発されました。これは患者自身の口の中から採取した組織
(口腔粘膜組織)から細胞シートを作製し、癌切除部に貼り付ける治療法です。癌切除部位の治癒を
促進させることで、食道狭窄の生じる頻度を抑える効果があり、術後の身体的負担を軽減させること
ができます。
当パイプラインでは、2016 年8月より進めて参りました治験について 2018 年4月までに治験実施
施設での症例登録を終了いたしました。本治験の安全性については、本製品に関連した副作用の発生
はなく、問題は認められませんでした。一方で、主要評価項目である ESD(内視鏡的粘膜切除術)後
8 週目の狭窄予防効果において、閾値奏効率(ESD 後の無処置患者に対する非狭窄率)に対して統計
的な優位性が証明されませんでした。今般、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)より安全
性は確認できたものの、有効性については十分なデータであるとは言い切れず、製造販売承認申請に
ついては追加の臨床試験を実施し、有効性を確認するデータの提出が必要である旨の回答がありまし
た。
これを受けて当社は追加臨床試験を実施すべく、 PMDA と協議を続けて、2022 年に製造販売承認申請
を目指し引き続き開発を進めて参ります。
●軟骨再生シート
特 徴:自己軟骨細胞及び同種軟骨細胞より培養した細胞シート
適応症:軟骨欠損、変形性膝関節症
変形性膝関節症は加齢・肥満・遺伝・外傷などを原因として膝関節の軟骨表面が摩耗・変性し、膝
に痛みを感じ、曲げ伸ばしが困難になる疾患です。変形性膝関節症の患者数は近年増加の一途を辿っ
ており、自覚症状を有する推定患者数は 1000 万人ともいわれております。症状が軽度の場合はリハ
ビリテーション・サポーターなどの装具療法・ヒアルロン酸注射などの薬物療法といった保存療法が
行われ、症状が重度の場合は手術療法が行われます。これらの治療法は一定の効果はあるものの、根
本的な治療法ではありません。
当社は細胞シート工学を応用し、東海大学との共同研究によって患者さん自身の軟骨組織から軟骨
再生シートを作製することに成功しました。軟骨再生シートは温度操作のみで回収しているため細胞
表面の接着タンパク質などを保持していることから、容易に移植部分に接着する特徴を持っていま
す。移植された軟骨再生シートは損傷部分の保護や軟骨再生に必要な栄養分の分泌を行い、本来の軟
骨組織への再生に貢献すると考えられます。
共同研究先である東海大学は自己細胞を用いた軟骨再生シートについて、臨床研究時よりも適応面
積の拡大を検証することで、企業治験に資するデータを収集することができ、より多くの変形性膝関
節症患者を対象にすることを目的として、先進医療申請いたしました。2019 年1月には「自己細胞シ
ートによる軟骨再生治療」が厚生労働省「第 71 回先進医療会議」において承認されました。なお、当
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該先進医療が開始した際には、当社は一部受託加工による収益を獲得しつつ、引き続き開発を進める
予定でございます。
同種細胞を用いた軟骨再生シートについては、2017 年6月に国立研究開発法人 日本医療研究開発
機構が公募した 2017 年度「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療等の産業化
に向けた評価手法等の開発) 」に、当社を代表機関とした研究開発項目が採択されました。また、2018
年9月には 2018 年度「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療シーズ開発加速
支援) に、
」 当社が提案した研究開発課題 (同種軟骨細胞シート(CLS2901C)の製品化に向けた製造方法
の確立)が採択されました。上述の委託事業等を活用して、自己細胞由来軟骨再生シートの開発と並
行して同種細胞由来軟骨再生シートの開発を推進して参りました。また、同種細胞由来軟骨再生シー
トの開発では、同種細胞をストックするためのセルバンク構築や細胞シート製造の自動化に向けた開
発にも着手を開始いたしました。しかしながらセルバンク構築には、各種医療機関・行政における細
胞を採取・保管・供給するための仕組み作りに未だ整備が十分ではない点も見受けられ、このような
社会的な環境整備の状況等も鑑みると、当社企業治験実施は 2021 年となる見通しでございます。
<その他>
●事業提携活動
台湾企業(MetaTech 社)と細胞シート再生医療事業に関する台湾での独占的事業提携契約を 2017
年4月に締結いたしました。本契約に基づく 2018 年度売上高は 960,000 千円となりました。
また、アジア諸国・欧米への新規の事業提携・ライセンシングに向けた活動を進めて参りました。
しかしながら、交渉企業先の中には MetaTech 社のように開発中案件に関心を示す企業はあるものの、
2018 年中に最終的な契約締結に至った案件はございませんでした。 当社は、 開発中パイプラインの開
発推進による事業価値向上と並行してアジア諸国・欧米を中心とした細胞シート再生医療事業の普及
を目指して、事業提携・ライセンシング等を進めて参ります。
●次期開発品目について
現在、当社が開発主体となり推進するパイプラインとして、食道再生上皮シート(日本) 、軟骨再生
シート(日本)を選定しております。当社は 2020 年末までに、これらに続く第3品目目の開発案件
を選定して事業化を開始したいと存じます。具体的な開発品目・地域については研究実施機関との契
約等、準備が整い次第お知らせいたします。
●角膜再生上皮シート
今後の日本での角膜再生上皮シートの開発については、引き続き、関係各所と協議を進めていく予
定です。
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2.今期の業績予想及び今後の業績目標
(1)損益目標数値(2019 年 12 月期~2021 年 12 月期)
親会社株主に帰属
売上高 営業利益 経常利益 する当期純利益
百万円 百万円 百万円 百万円
2019 年 12 月期(計画) 300 △1,100 △1,100 △1,100
2020 年 12 月期(目標) 350 △1,300 △1,300 △1,300
2021 年 12 月期(目標) 2,000 300 300 225
※売上高構成
再生医療支援事業 :2019 年 150 百万円 2020 年 225 百万円 2021 年 300 百万円
細胞シート再生医療事業:2019 年 150 百万円 2020 年 125 百万円 2021 年 1,700 百万円
(2)業績予想及び業績目標の計画達成のための具体的な施策・前提条件・数値根拠
①再生医療支援事業
器材については現状の需要動向が引き続き継続する前提
再生医療等製品周辺機器の海外を中心とした販売チャネル拡充・新製品開発を推進
再生医療受託サービスの受注を拡充
②細胞シート再生医療事業
●軟骨再生シート
<自己細胞>
2019 年下期以降、共同研究先である東海大学より先進医療(今後 5 年間で最大 20 症例を移植予
定)に係る製造を受託。先進医療の状況を見据えて治験を実施。
<同種細胞>
東海大学で臨床研究実施中(2020 年終了予定) 。
それに対応してレギュラトリーサイエンス戦略相談・レギュラトリーサイエンス総合相談
セルバンクの構築と細胞シート製造の自動化に向けた開発推進
2021 年企業治験開始
●食道再生上皮シート
2019 年 治験届を提出
2020 年 企業治験進行
2021 年 企業治験終了(2022 年 製造販売承認申請)
●海外事業展開
既契約先である MetaTech 社の支援を引き続き推進しつつ、MetaTech 社と当社共同で台湾政府支
援の下で新規研究開発拠点の設立に向けた活動予定。アジア諸国・欧米をターゲットに当中期経
営計画期間中に新規事業提携先を獲得。
③全社・共通事項
●人員計画
再生医療等製品の研究開発には様々な専門スキルを有する人材が必要であり、特に細胞シート再生
医療は工学・細胞生物学・化学などの学際分野に属することから多様な専門人材の採用・育成が不可
欠です。当社は今後海外での採用活動・アウトソーシングの活用を含めて人材の確保に注力する方針
です。
●資金調達
今後の必要資金については、現有手許資金を充当する他、公的助成・補助の活用、エクイティ・フ
ァイナンスを含めた金融的手法など様々な手段を活用して機動的に手当てを行う方針です。
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以上
本開示資料は、投資者に対する情報提供を目的として将来の中期経営計画等を記載したものであっ
て、投資勧誘を目的としたものではありません。当社の中期経営計画等に対する評価及び投資に関する
決定は投資者ご自身の判断において行われるようお願いいたします。
また、当社は、中期経営計画に関する損益目標その他の事項の実現・達成等に関しその蓋然性を如何
なる意味においても保証するものではなく、その実現・達成等に関して一切責任を負うものではありま
せん。
本開示資料に記載されている将来に係わる一切の記述内容(前提条件、ビジョン、各種方針、損益目
標数値を含みますがそれらに限られません。)は現時点で入手可能な情報から得られた当社の判断に基
づくものであり、将来の経済環境の変化等を含むこれらの記述内容の前提に変動が生じた場合その他
様々な要因の変化により実際の当社グループの事業の状態・業績等がそれらの影響を受けて本開示資料
の記載内容と大きく異なる可能性があります。
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