7774 J-J・TEC 2021-05-11 11:30:00
中期経営計画(事業計画及び成長可能性に関する事項) [pdf]

                        証券コード:7774




      中期経営計画
(事業計画及び成長可能性に関する事項)



         2021年5月11日

  株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング



                                     0
                                目次


1.会社概要     ------------------------------------------------------------------    2

2.ビジネスモデル              ----------------------------------------------------      7

3.市場環境     ------------------------------------------------------------------    15

4.競争力の源泉           ---------------------------------------------------------     25

5.事業計画     ------------------------------------------------------------------    36

6.リスク情報        -------------------------------------------------------------     50

7.サステナビリティ             -------------------------------------------------------   52



                                                                                      1
1.会社概要




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                                                                         1.会社概要
                                    会社概要
【概要】                                                             (2021年3月31日時点)

 会社名           株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング
               (略称:J-TEC(ジェイテック))
               Japan Tissue Engineering Co., Ltd.
 本社所在地         愛知県蒲郡市三谷北通6丁目209番地の1
 代表者           代表取締役 社長執行役員         畠 賢一郎
 設立            1999年(平成11年)2月1日
 資本金           49億5,876万円
 従業員           200人    ※有価証券報告書基準で記載

 事業内容          1.再生医療製品事業 2.再生医療受託事業                3.研究開発支援事業
 上場            東証JASDAQグロース(2007年12月上場)

【大株主】

                 株主名                    保有株式数(%)
 帝人株式会社                                23,439,173 (57.72%)
 株式会社ニデック                               4,227,200 (10.41%)
 前田陽子                                    342,400 ( 0.84%)
 五味大輔                                    296,600 ( 0.73%)
 小澤洋介                                    292,000 ( 0.72%)
 桑田武志                                    288,800 ( 0.71%)
 J-TEC従業員持株会                             189,300 ( 0.47%)
 サーラエナジー株式会社                             184,000 ( 0.45%)
 PERSHING-DIV. OF DLJ SECS. CORP.        144,400 ( 0.36%)
 CREDIT SUISSE AG, SINGAPORE BRANCH      126,190 ( 0.31%)
 – FIRM EQUIY (POETS)
                                                                                  3
                                        1.会社概要
           企業理念・ビジョン


            再生医療の産業化を通じ、社会から求められる企業となる。
            法令・倫理遵守の下、患者様のQOL向上に貢献することにより、
            人類が生存する限り成長し続ける企業となる。
    企業理念
            その結果、全てのステークホルダーがより善く生きることを信条
            とする。



    ビジョン



                 一、一貫性と柔軟性のバランス感覚を持つ。
    行動指針         一、勇気を持って変化に挑戦する。
「プロフェッショナルとして」   一、異なる文化や考え方を尊重する。
                 一、徹底的に現場を重視する。
                 一、 J-TECを代表する社員として深く考え行動する。




                                               4
                                                                 1.会社概要
                                 沿革
              会社沿革                                       再生医療の環境
         創業(1999年2月1日、資本金1億円)    1999年(H11)   薬事法に確認申請制度導入
  自家培養表皮ジェイスの治験前確認申請提出(12月)      2000年(H12)
  自家培養軟骨ジャックの治験前確認申請提出(9月)       2001年(H13)   日本再生医療学会発足
                                 2002年(H14)
                                 2003年(H15)   日本でヒトES細胞樹立
                                 2004年(H16)
                                 2005年(H17)
                                 2006年(H18)   日本でマウスiPS細胞樹立
   自家培養表皮ジェイスの製造販売承認取得(10月)
                                 2007年(H19)   日本・米国でヒトiPS細胞樹立
             JASDAQ NEO上場(12月)
                                 2008年(H20)
 自家培養表皮ジェイス(重症熱傷)の保険収載(1月)       2009年(H21)
      富士フイルムに40億円の第三者割当(10月)     2010年(H22)
                                              再生医療イノベーションフォーラム(業界団体)設立
                                 2011年(H23)
                                              薬事戦略相談制度導入(確認申請廃止)
   自家培養軟骨ジャックの製造販売承認取得(7月)       2012年(H24)   山中教授ノーベル賞受賞(iPS細胞)
        自家培養軟骨ジャックの保険収載(4月)      2013年(H25)   再生医療推進法成立(議員立法)
 新株予約権行使により富士フイルムが親会社に(12月)      2014年(H26)   医薬品医療機器等法、再生医療等安全性確保法 施行
                                              日本医療研究開発機構(AMED)設立
                                 2015年(H27)
                                              テムセル、ハートシート承認
    自家培養表皮ジェイスの母斑への適応拡大(9月)
                                 2016年(H28)
   自家培養表皮ジェイス(母斑)の保険収載(12月)
                                 2017年(H29)
自家培養表皮ジェイスの表皮水疱症への適応拡大(12月)      2018年(H30)   ステミラック承認
 自家培養表皮ジェイス(表皮水疱症)の保険収載(7月)      2019年(R 1)   コラテジェン、キムリア承認
  自家培養角膜上皮ネピックの製造販売承認取得(3月)
                                 2020年(R 2)   ゾルゲンスマ承認
      自家培養角膜上皮ネピックの保険収載(6月)
            TOBにより帝人が親会社に(3月)    2021年(R 3)   イエスカルタ、ブレヤンジ承認
                                                                         5
                                                                1.会社概要
                    経営陣(執行役員の公職)
  J-TECの経営陣は、再生医療業界における深い知見を有している。

       名前                                  公職(期間)

                   ・再生医療イノベーションフォーラム 代表理事会長
                   ・内閣官房 健康・医療戦略推進会議 再生・細胞医療・遺伝子治療開発協議会
       代表取締役
                   ・文部科学省ライフサイエンス委員会委員、同幹細胞・再生医学戦略作業部部会委員
      社長執行役員
                   ・国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)プログラムスーパーバイザー、プログラムオフィサー
      畠 賢一郎
                   ・日本再生医療学会 理事 産業推進委員、再生医療推進戦略委員、財務委員、編集委員等
                   ・公益財団法人 京都大学iPS細胞研究財団 理事


  取締役 専務執行役員       ・日本再生医療学会 代議員 臨床培養士制度委員会委員
    生産統括本部長        ・豊橋技術科学大学 非常勤講師
     大須賀 俊裕        ・日本福祉大学経済学部 非常勤講師

新任
    常務執行役員
事業戦略本部長 兼 事業戦略部長   ・山形大学フレックス大学院   客員教授
      兼子 博章

      執行役員         ・再生医療イノベーションフォーラム 再生医療等製品委員会製造関連部会    部会長
  生産統括本部 副本部長
    兼 生産技術部長
                   ・厚生労働省行政推進調査事業(櫻井班)班員(FIRM代表)
                   ・バイオロジクスフォーラム 世話人(日本バイオテク協議会代表)
      森 由紀夫

       執行役員        ・再生医療イノベーションフォーラム    再生医療等製品委員会 委員長
      内部監査室長       ・再生医療イノベーションフォーラム    規制制度部会 部会長
     信頼性保証部管掌      ・再生医療イノベーションフォーラム    運営委員会 委員
      黒田 享         ・厚生科学審議会 再生医療等評価部会   再生医療等安全性確保法の見直しに係るワーキンググループ 委員

                   ・PMDA 再生医療等製品患者登録システムに関する検討分科会委員(表皮水疱症)
     執行役員
                   ・AMED 再生医療実現化拠点ネットワークプログラム評価委員
研究開発本部長 兼 研究開発部長
                   ・日本再生医療学会 施設認定WGメンバー
      井家 益和
                   ・日本生物工学会 代議員

                                                                         6
2. ビジネスモデル




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                事業セグメント・売上寄与度
  J-TECでは、3つの事業を展開している。
  全社業績におけるセグメント別の売上高(寄与度)として、再生医療製品事業が約6割を占める。


 Business                                        2021年3月期 売上高(実績)
            再生医療製品事業                                全体 2,257百万円
    1      再生医療等製品(自家培養表皮、自家培養軟骨、
           自家培養角膜上皮など)の開発・製造・販売
                                    Business   研究開発支援事業        Business   再生医療製品事業
                                      3          売上高             1          売上高

                                               207百万円                1,328百万円
Business
            再生医療受託事業                                      9%
   2       再生医療分野における製品開発、製品製造の
           経験・ノウハウを活用した再生医療に関する
           受託サービス
                                                    32%
                                                                  59%
Business
            研究開発支援事業                Business

   3       研究用ヒト培養組織(ラボサイトシリーズなど)
                                      2   再生医療受託事業
                                             売上高
           の開発・製造・販売
                                               721百万円

                                                                                 8
                                       2. ビジネスモデル
              自家再生医療等製品のビジネスモデル
   Business
                                           再生医療製品事業
     1

 培養技術を利用した再生医療等製品を開発し、医療機関向けに医療目的で製造販売している。
 J-TECの再生医療等製品は、現在、患者さまご本人から採取した細胞を培養し、その患者さま
  ご本人に移植する「自家移植」を対象としている。


   医療機関              輸送


   組織採取



                     究極の            受入検査
                  オーダーメイド製品
                                     培養


      移植                            出荷検査

                                    梱包・出荷
                     輸送


                                                  9
                                                                          2. ビジネスモデル
                            当社の再生医療等製品
                 Business
                                                                                再生医療製品事業
                    1


                    自家培養表皮                         自家培養軟骨            自家培養角膜上皮
 製品




製品外観



                                                                          イタリア
基本技術                 米ハーバード大学                         広島大学
                                                                       G Pellegrini教授
の導入元                Howard Green 教授                  越智 光夫 教授
                                                                       M De Luca教授

                            適応拡大       適応拡大
                                                     膝関節における
適応対象      重症熱傷            先天性          先天性         外傷性軟骨欠損症又は         角膜上皮幹細胞疲弊症
                        巨大色素性母斑       表皮水疱症          離断性骨軟骨炎


                                                                     組織運搬セット:4,280千円
保険償還価格        採取・培養キット: 4,460千円                  採取・培養キット: 895千円
                                                                     培養角膜上皮パッケージ:
              調製・移植キット: 154千円                    調製・移植キット: 1,270千円
                                                                             5,470千円

         製造販売承認         一部変更承認        一部変更承認         製造販売承認             製造販売承認
承認状況     2007年10月       2016年9月       2018年12月       2012年07月           2020年3月
          保険収載           保険収載          保険収載           保険収載               保険収載
         2009年1月        2016年12月      2019年7月        2013年4月            2020年6月

         国内第1号の             国内初の       さらなる      日本発の技術を製品化した         眼科領域で国内初の
特記事項     再生医療等製品            適応拡大       適応拡大      国内第2号の再生医療等製品         再生医療等製品

                                                                                        10
                                                 2. ビジネスモデル
                       薬事承認プロセス
            Business
                                                      再生医療製品事業
              1

 再生医療等製品の製造販売には厚生労働省の承認が必要である。
 製造販売承認を得た製品であっても、一般的に新規性の高い製品は、製造販売後一定期間内、
  販売した再生医療等製品の市販後調査を行う必要があり、その結果を厚生労働省に報告する
  ことが義務付けられている。

        前
  基     臨
  礎                            承
        床     治験   製造販売        認
  研     試                           市販・製造販売後対応
  究         (臨床研究) 承認申請
        験




再生医療等製品の早期の実用化に対応した承認制度
                             治験で有効性が推定され、安全性が確認された場合
2014年11月25日に施行された医薬品医療機器等法
により、早期承認(条件及び期限付承認)制度が                       申    承     市
                              条件・
導入された。均質でない再生医療等製品について、       期限付
                                    条件・期限付
                                             請    認     販
安全性を確認でき有効性が推定されれば、条件及び
                              承認     市販
期限を付した製造販売の承認を取得できる制度。



                                                            11
                                       2. ビジネスモデル
                 再生医療受託事業のビジネスモデル
      Business
         2                               再生医療受託事業


 従来の医薬品・医療機器とは異なる再生医療等製品の承認取得経験や、長年の製品製造および提供
  のノウハウを生かし、基礎研究から実用化までを包括的に支援する。


 医薬品医療機器等法

取引先: 再生医療等製品の製品化を
     目指す企業・アカデミア等

 細 胞 種 ( 体 細 胞 ・ 幹 細 胞 ・ iPS
  細胞)や製品形態を問わず、
  ワンストップで、開発製造受託
  と開発業務受託のサービス・
  ソリューションを提供している。




 再生医療等安全性確保法
取引先: 再生医療による治療を行う
     医療機関
 提供計画作成コンサルティング、
  特定細胞加工物製造受託のサー
  ビスを提供している。

                                                 12
                                             2. ビジネスモデル
              研究開発支援事業のビジネスモデル
   Business
      3                                         研究開発支援事業


 再生医療等製品の開発で蓄積した高度な培養技術を応用して、研究用ヒト培養組織を開発し、
  販売している。
 3次元構造を有しているヒト培養組織であり、外用医薬品や化粧品の開発、皮膚や角膜等を
  用いた各種基礎研究に使用されている。
 動物愛護の観点から世界的に動物実験代替が求められており、本製品は動物実験の代替に貢献
  する製品である。

 細胞販売業者
                                    ※ J-TECは、細胞販売業者から
                                      購入した細胞でマスターセル
                                      バンクを構築。セルバンクの
                                      細胞を用いて研究用ヒト培養
          細胞を購入                       組織を製造している。


                  製品の輸送
                                    注文
              日用品、医薬品、化粧品、化学品メーカーなど
                  化学物質を扱う企業・研究機関


                                 動物実験
                   ラボサイト等を使用して

                    開発・研究


                                                        13
                                                                               2. ビジネスモデル
                   当社が取扱う研究用ヒト培養製品
        Business
           3                                                                       研究開発支援事業



 ラボサイトエピ・モデル24を用いた皮膚刺激性試験および皮膚腐食性試験、ならびにラボサイト
  角膜モデルを用いた眼刺激性試験に関する試験法は、それぞれ標準法の一つとして経済協力開発機構
  (OECD*)の試験法ガイドラインに収載されている。



                    ラボサイト           ラボサイト                 ラボサイト             F-hiSIECTM
   製品              エピ・モデル          エピ・キット                 角膜モデル
                    ヒト3次元           ヒト表皮モデル                 ヒト3次元          ヒトiPS 細胞由来
                    培養表皮             作製キット                 培養角膜上皮           腸管上皮細胞



  製品外観




                   皮膚刺激性試験
  OECD
テストガイド              (TG439)                                眼刺激性試験
                                           -                                   -
 ライン収載             皮膚腐食性試験                                 (TG492)
                    (TG431)

  販売開始              2005年3月           2013年4月               2010年7月         2019年9月

* OECD: Organization for Economic Co-operation and Development, 経済協力開発機構


                                                                                         14
3.市場環境




         15
                                                                                                               3. 市場環境
                          再生医療の市場規模予測(国内)
     2013年(平成25年)時点では、再生医療の国内市場規模は、2030年に約1兆円、2050年には
      約2.5兆円となり、今後、我が国にとって非常に大きな経済効果が期待されると予測している。
     大幅な市場拡大が予想されるがん免疫領域に加え、その他の領域においても技術革新や外部環境の
      更なる向上により、市場拡大が見込まれている。
                                                                                                             (単位:億円)

                                                                                          2020年   2030年       2050年

                                                                                その他
                                                                                          42.0     200.3      466.0
                                                                              (毛髪再生等)
                                                                                  がん免疫    231.2   3,024.5     5,719.1

                                                                                    血液     0.0    1,178.8     2,865.9
                                                                                 膵臓
                                                                               (糖尿病等)      0.0     26.7       2,343.1

                                                                                    肝臓     0.0     655.0      2,229.4

                                                                                    腎臓     0.0     926.3      3,152.6

                                                                                    血管     2.4     315.4      759.7

                                                                                   歯槽骨     1.7     192.0      816.1

                                                                                    神経    47.3    1,114.0     2,900.0

                                                                                    心臓    217.5    632.8      730.8

                                                                                     眼    160.4   1,002.4     1,844.7

                                                                                    軟骨    205.0    862.1      1,137.3

                                                                                    皮膚    46.8     179.7      493.4

                                                                                    合計    954.4   10,309.8   25,458.0
出典:「再生医療の実用化・産業化に関する報告書 最終取りまとめ」(経済産業省)
   (https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002v591-att/2r9852000002v5dn.pdf)を加工して作成                                 16
                                                                 3. 市場環境
          再生医療の市場規模予測(国内)
 2020年3月現在での国内市場規模予測(再生医療・細胞治療 全体)では、CAR-T細胞治療など
  キラーテクニックが存在するがんを中心として市場規模が拡大し、2030年に8,500億円、2035年
  には約1兆円の市場規模に達すると推計されている。
 一方で、がん以外の疾患におけるイノベーションは組み込まれておらず、特に組織再生に関する
  市場規模の拡大は限定的と予測されている。




   出典:「日本医療研究開発機構(AMED)2019年度 再生医療・遺伝子治療の市場調査 最終報告書」
      2020年3月 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 委託調査(Arthur D. Little社実施)から改変
                                                                      17
                                                              3. 市場環境

  再生医療・細胞治療製品と開発動向(世界)
 世界の上市された再生医療製品は、筋骨格や皮膚が主なものであるが、研究開発段階のものでは
  がん治療が圧倒的に多い。
 現在、組織再生を目的とした製品は自家細胞を用いたものが中心だが、研究開発段階のものの多く
  は他家細胞を利用したものである。これらは一過性の生理活性物質がもたらす効果に期待するもの
  が多く、生着を目的とした再生医療とは異なる。
 がん治療では引き続き自家細胞を用いた製品および製品開発が行われており、これらのビジネス
  モデル構築が重要となる。


                  疾患分類・自家/他家別の再生・細胞治療
          上市品製品数                                      開発件数




出典:「日本医療研究開発機構(AMED)2019年度 再生医療・遺伝子治療の市場調査 最終報告書」
   2020年3月 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 委託調査(Arthur D. Little社実施)から改変
                                                                   18
                                                     3. 市場環境
               市場に対する当社の見方
 再生医療は未だ黎明期であり、調査の切り口や前提条件・想定等で市場規模予測は大きく異なる。
 「平成25年度 再生医療の実用化・産業化に関する研究会 再生医療の実用化・産業化に関する報告書」、
  「日本医療研究開発機構(AMED)2019年度 再生医療・遺伝子治療の市場調査 最終報告書」
   等の資料から、再生医療市場に対する当社の見方を以下に示す。


現時点において、世界の再生医療市場は軟骨・皮膚に代表されるような組織再生を目的とした製品が多いが
現状の開発動向からみて将来はCAR-T細胞等の遺伝子導入細胞を用いたがん治療が主流となる。
その理由は以下のとおりである。

〇CAR-T等の細胞治療は、主に一過性の効果が求められており、従前の医薬品同様の製品評価手法やビジネスモデルを活用
 することができる。そのため、大手製薬企業に親和性のある領域といえる。
〇他方、組織再生を目的とした細胞製品は、機能発現に必要な立体構造構築とその保存安定性や輸送適性を確保しなくては
 ならない。そのため、CAR-T等の細胞治療とは異なるノウハウが必要となる。
〇機能発現に必要な立体構造構築には、適切な材料ならびに細胞配列など探索的な要素を多く含まれている。
 これに関して現時点では、予測可能性の高い製品開発に至っている品目は少なく、市場規模を推定する根拠が薄い。



     慢性疾患等、従来の医薬品や上記細胞治療が奏功しない疾患領域をいかにとらえるか。
           新たな領域の製品開発・ビジネスモデル構築が重要である。
〇既存の医薬品や細胞治療が奏功しない疾患領域をターゲットに、新たな再生医療製品をデザインし、機能発現に必要な立体
 構造構築とその保存安定性や輸送適性ならびに製品評価手法を適切に確保・確立する必要がある。
〇既存の医薬品とは異なるビジネスモデルを構築しなくてはならない。
〇医薬品の投与とは異なり、手術等の医療行為が有効性・安全性に大きく影響するため、医療機関とのより密接な連携構築が
 重要である。
〇これらを実現するためには、最終製品製造を担う企業のみでなく、一連の再生医療エコシステムの構築を前提とする必要が
 ある。
                                                            19
                                                                                                          3. 市場環境
                    競合環境:再生医療等製品(国内)
    2021年3月末現在、国内で承認された再生医療等製品は11製品(13適応症)あり、そのうち3製品
     (5適応)がJ-TECの再生医療等製品である。


        11 製品 13 適応症
    (※内、遺伝子治療薬 2製品2適応症)

            承認年        「販売名」

         2007 年「ジェイス」
         2012 年「ジャック」
         2015 年「テムセル HS 注」
         2015 年「ハートシート」
         2018 年「ステミラック注」
         2019 年「キムリア点滴静注」
         2019 年「コラテジェン筋注用 4mg」※
         2020 年「ゾルゲンスマ点滴静注」※
         2020 年「ネピック」
         2021 年「イエスカルタ点滴静注」
         2021 年「ブレヤンジ静注」


出典:「審査報告書・申請資料概要」
   (PMDA)(https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/review-information/ctp/0002.html)より加工して作成        20
                                                                                                                        3. 市場環境
                  競合環境:再生医療の開発状況(国内)                                                                                    2021年4月時点
                       ヘリオス
                                                                    毛髪                                                    (承認品目)

                                                     脳
          (ヒト(同種)成人骨髄由来多能性前駆細胞)                                                                                            (開発中)
                                                                             資生堂                  承認済       J-TEC
              サンバイオ                 第一三共                                (毛球部毛根鞘細胞)
         (ヒト体性幹細胞加工製品)(遺伝子組換えウイルス)                                                            (自家培養角膜上皮)(自家培養口腔粘膜上皮)
                                                                                                「ネピック」

    承認済                       承認済
                                             脊髄                                        眼                  ひろさきLI
                                                                                                    (培養自家口腔粘膜上皮シート)
    ノバルティスファーマ                      ニプロ
       (遺伝子治療薬)               (自己間葉系幹細胞)
     「ゾルゲンスマ点滴静注」              「ステミラック」
                                                                                食道               セルシード
                                                                                         (口腔粘膜由来食道細胞シート)

          承認済     テルモ
                                       心臓
                                                                                                        承認済
       (自己骨格筋芽細胞由来細胞シート)
            「ハートシート」
                        日本再生医療                                                          皮膚                      J-TEC
                                                                                                            (自家培養表皮)
                       (自家心臓内幹細胞)                                                                            「ジェイス」

            アンジェス               動脈
   承認済
         (遺伝子治療薬)
      「コラテジェン筋注用 4mg」
                                                                                    軟骨           承認済       J-TEC
                                                                                                        (自家培養軟骨) ひろさきLI
                             アイロムグループ                                                                    「ジャック」 (自家培養軟骨)
                        (塩基性繊維芽細胞増殖因子治療薬)
    Caladrius Biosciences, Inc.                                                            ツーセル             インターステム
            (CD34 陽性細胞)                                                               (同種滑膜間葉系幹細胞) (自家培養軟骨細胞)
                                 テラファーマ
                                (樹状細胞ワクチン)
                                                  膵臓
         免疫抑制                                                                                承認済
                                                                                                     ノバルティスファーマ
                       JCRファーマ           JUNTEN BIO                         CAR-T細胞                     「キムリア点滴静注」
                承認済 (同種間葉系幹細胞) (誘導型抑制性T細胞)
                     「テムセルHS注」                                                                承認済
                                                                                                       第一三共             タカラバイオ
                                                                                                 「イエスカルタ点滴静注」
                           大塚製薬                            京都大学CiRA                           承認済
                                                                                                                         J-TEC
       固形がん                                                                                           セルジーン
                                                   富士フイルム          武田薬品工業
                       中外製薬                                                                         「ブレヤンジ静注」
                                                           大日本住友製薬                iPS細胞
出典:「審査報告書・申請資料概要」(PMDA)(https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/review-information/ctp/0002.html)より加工して作成
   「再生医療等製品の先駆け審査指定制度の対象品目一覧表」(PMDA)(https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/0003.html)より加工して作成                      21
                                                                                                                                            3. 市場環境
                          競合環境:再生医療受託事業(国内)
   再生医療関連事業を展開してきた企業が得意領域を軸にサービスを提供している。
   免疫細胞、体細胞・体性幹細胞を扱う企業が多く、再生医療等安全性確保法(安確法)の下、
    申請手続きから製造までを提供している企業が多い。

                                            免疫細胞                                      体細胞・体性幹細胞

              A社                            E社                            H社                            J社                            M社
  安確法   CDO   CRO   CMO   CSO   安確法   CDO   CRO   CMO   CSO   安確法   CDO   CRO   CMO   CSO   安確法   CDO   CRO   CMO   CSO   安確法   CDO   CRO   CMO   CSO




              B社                            F社                                                          K社                            N社
  安確法   CDO   CRO   CMO   CSO   安確法   CDO   CRO   CMO   CSO                                 安確法   CDO   CRO   CMO   CSO   安確法   CDO   CRO   CMO   CSO




              C社                            G社                                                          L社                            O社
  安確法   CDO   CRO   CMO   CSO   安確法   CDO   CRO   CMO   CSO                                 安確法   CDO   CRO   CMO   CSO   安確法   CDO   CRO   CMO   CSO
                                                              安確法   CDO   CRO   CMO   CSO




              D社
  安確法   CDO   CRO   CMO   CSO




                                                                          I社
                                                              安確法   CDO   CRO   CMO   CSO
                                                                                                                    各社HPの情報に基づき
                                                                                                                    サービスの有無を記載
                                                                                                                          サービスあり
                                                                                                                          サービスなし

                                                                                                          ※各社のサービス提供の実績については不明
各社HPより当社作成                                                          iPS細胞                                                                               22
                                                                                            3. 市場環境
     研究開発支援事業の市場規模予測(世界)
 国別市場は米国が最大である。国内市場規模は、皮膚刺激・腐食試験に比べ皮膚感作性試験が17.0億円
  と大きい。
 2020年から2025年にかけて、アジアでは中国・インドの市場規模の成長率が圧倒的に高い。

                           各国の皮膚刺激・腐食・感作性試験の市場


                                                        2020年の国内市場規模:21.6億円
                                                          皮膚刺激・腐食試験の市場規模:4.6億円
                                                          皮膚感作性試験の市場規模:17.0億円
                                                                  ※複数の市場調査データをもとに当社推定




  出典:MARKETSANDMARKETS 「IN VITRO TOXICITY TESTING MARKET GLOBAL FORECAST TO 2025」より加工して作成        23
            競合環境:研究開発支援事業(世界)
  皮膚を対象とした各種研究用ヒト培養組織(上市済みのもの)は主に以下の3製品がある。

                                                    MatTek
           社名                       J-TEC                            EPISKIN
                                                LIFE SCIENCES

           本社                        日本            アメリカ               フランス

        表皮モデル                         〇               〇                 〇

        角膜モデル                         〇               〇                 〇

            他                         -         口腔・気管・腸他           歯肉・口腔・膣粘膜他

   表皮モデル日本主要製品                  EPI-MODEL24         EPI-200         EPISKIN/RHE

OECD TG431(皮膚腐食性試験)              〇(2019年)        〇(2004年)           〇(2004年)
OECD TG439(皮膚刺激性試験)              〇(2013年)        〇(2010年)           〇(2010年)
      ISO10993-23
 (医療機器 皮膚刺激性試験)                     進行中          〇(2021年)           〇(2021年)

         ウェル数                       12/24           12/24               12


     価格(表皮モデル)                    90,900円      187,000円(24well)
                                                                     127,000円
      ※日本での購入価格                  (12/24well)   124,000円 (12well)


MatTek LIFE SCIENCES社・EPISKIN社の各社HPより当社作成
                                                                                  24
4.競争力の源泉




           25
                                             4. 競争力の源泉
                  J-TECの強み
           自家細胞のプラットフォーマーとして
     再生医療の製品化を実現し、製品を安定供給している実績
 J-TECは、研究開発、薬事、製造、販売および製造販売後対応までのすべての機能を保有。
 有望な再生医療の「種」を見つけ、製品化する開発プラットフォームを持つ。
 再生医療等製品を商用生産できる製造施設を持ち、再生医療メーカーとして自家細胞製品
 (自家培養表皮・自家培養軟骨・自家培養角膜上皮)を安定的に提供。
 再生医療の高い品質基準をもとに、研究開発支援事業と再生医療受託事業へと展開。

                 競争力の源泉となる3つの要素

     挑戦                経験                 歴史
 前例のない「患者自身の生     自社製品の研究・製品設       国内第1号(自家培養表皮
  きた細胞」を用いた製品安      計・薬事対応等を行い、        ジェイス)・第2号(自家
  定供給システムを実現。       再生医療等製品に特有の開       培養軟骨ジャック)の再生
                    発経験を蓄積。            医療等製品の承認取得・
 培養法の標準化、安全性と                         保険収載を実現。
  有効性の規格設定、製品      これまで2,000例を超える
  パッケージから輸送、使用      患者さまへの再生医療等製      規制の変遷とともに産業を
  法の適正化のための活動な      品の製造・販売を実施。        形成。規制当局と深い議論
  ど、すべてを自社で対応。      これを通じて数多くの課題       を重ねながら事業を推進し
                    を解決。               てきた。

                                                      26
                                                     4. 競争力の源泉
                         安定供給の実現                        挑戦
 J-TECは、2007年に日本で最初の再生医療等製品の製造販売承認
  を受けてから、有効性・安全性を保証した高品質な製品を安定
  供給してきた。
 研究開発・臨床開発、薬事、製造・検査、販売・製造販売後対応
  までのバリューチェーンのすべてを有し、そこから得られた情報
  を新製品の研究開発に生かす。

                 《研究開発》                      再生医療等製品の商用生産が
            基礎研究/非臨床試験/臨床研究/ GLP               可能な製造施設(右)


             《臨床開発・薬事開発》
       治験/製造販売承認申請/業許可申請/ GCP


              《品質保証・安全管理》
               GCTP/GQP/GVP/GPSP

                                             製品の品質向上に向けた厳重な
            《販売・マーケティング》                         モニタリング
-販売コア施設・コンサルタント医師の選定          -保険収載活動
-医師・コメディカルとの連携                -患者・家族の理解促進
-最適なロジスティックス構築                -再生医療製品の広報活動

《患者組織受入》      《製造》      《製品供給》 《製造販売後対応》
-無菌・密閉・温度    -受注生産体制     -無菌・温度管   -製造販売後
 管理可能な機器     -細胞培養手順      理可能な機器     臨床試験
-輸送体制        -培養進捗状況     -輸送体制     -使用成績調査
-組織採取・輸送手     報告システム     -施設受取時の   -安全管理体制
 順の教育        -出荷検査        手順教育     -記録の保存    安全キャビネットでの無菌操作
                                                              27
                                                              4. 競争力の源泉
        製品パッケージから輸送まで自社開発                                         挑戦
 「再生医療」という言葉もない時代から、前例のない「生きた細胞」の製品化に挑戦。
 培養法の標準化、安全性と有効性の規格設定、製品パッケージから輸送まで、すべてを自社で開発。

 製品パッケージの開発                               輸送システムの開発
最終製品は非常に薄くて脆弱な生きた細胞シートで                   ヒト細胞・組織そのものが製品であるため、厳密な
あ る 。 キ ャ リアとなる不織布に付着した状態で                貯蔵条件と使用期間を設定。
カバーシートに包み、保存液とともに 1 枚ずつ
                                          (ジェイスの場合)
無菌的にパッケージする方法を開発。
                                           ・貯蔵条件:10℃ ~ 25℃
培養表皮容器(蓋)   培養表皮保存液    カバーシート   トップフィルム    ・使用期限:パッケージから 56 時間
                                            10℃~25℃の温度を 56 時間以上担保できる
                                            断熱輸送容器を開発。


培養表皮容器(底)    培養表皮シート        キャリア




                           特許第4572258号
                           特許第4749155号
                                                                       28
                                        4. 競争力の源泉
     メーカーとしての生産革新・人材育成                     挑戦
 自社製品の製造販売を通じて培った経験とノウハウを生かし、細胞培養における機械化・自動化
  による効率化を実現している。
 独自の教育システムにより高度な専門人材の育成に取り組む。

 生産技術の取り組み:機械化・自動化
自家培養製品の生産において、高度なスキルを身につけ
た作業者が長時間従事しなければならない負荷の高い
工程を対象として、コンパクトな自動・機械化装置や
作業支援ツールを開発するなど、生産の効率化、安定を
実現している。




 独自の教育システム:専門人材の育成
自社独自の技術認定基準として特に優れた者をマイスターとして認定
する「マイスター制度」を制定。細胞の培養・検査に関する高度な
技能・知識の習得・維持と、それらを生かした会社への貢献を促す
ことにより、細胞の培養・検査に関する技能・知識の全社的な水準を
向上させることを目的としている。

 細胞培養マイスター1級     品質検査マイスター1級
 細胞培養マイスター2級     品質検査マイスター2級


                                                29
                                                             4. 競争力の源泉
                        経験とノウハウ                                  経験
  J-TECは自社製品の開発、 製造販売を通じて培ってきた経験とノウハウにより、 開発フローと
   各ステージで想定される開発長期化などのリスクを熟知している。
  各開発ステージでリスクコントロールすることで、計画的な開発推進が可能である。

                                            承認時
 製品開発時                                • 適応範囲が限定的となる
                                      • 施設基準、医師の資格・要件によって、
• 原料や加工等により製品品質に高い不均一性が生じる
                                        製品が使用される機会が限定される
• 患者毎に細胞の特性が異なり、ばらつきが生じやすい
• 製品製造量に限りがあり、試験検査用の検体が限定的           治験で安全性かつ有効性が確認された場合

                                                        市販
 製品開発          治験         申請          承認          • 移植方法および手技のデザイン
                                                  • 使用成績調査(再審査は最長8年)
 • 製品仕様の設計   • 臨床データの収集 • 承認申請書の提出
 • 品質設計        有効性・安全性  • GCTP適合調査
 • 非臨床試験                             治験で安全性が確認され、有効性が推定された場合
                                     再生医療等製品の早期の実用化に対応した承認制度
   治験時
                                      条件・
• 期待通りの有効性・安全性を証明できない                        条件・期限付
                                      期限付
                                                  市販     申請 承認 市販
  治験前に患者由来の検体を入手する事が困難であ             承認
   り、必ずしも特性解析結果が検討と同等ではない
  対照群の設定・盲検化が困難                       再審査時
  術者の手技が結果に影響を及ぼす
                                      期待通りの有効性・安全性を証明できない場合
                                      →条件・期限付承認が失効となる
                                                                       30
                                            4. 競争力の源泉
          2,000例を超える提供実績                        経験
 J-TECは、再生医療のトップランナーとして、多くの製品を上市し、適応拡大を実現してきた。
 これまで2,000例を超える患者さまへ再生医療等製品をご提供してきた。


      国内第1号の         国内第2号の        眼科領域で国内初の
     再生医療等製品        再生医療等製品         再生医療等製品




      適応対象            適応対象           適応対象

  ・重症熱傷
                  ・外傷性軟骨欠損症
  ・先天性巨大色素性母斑                     ・角膜上皮幹細胞疲弊症
                  ・離断性骨軟骨炎
  ・表皮水疱症



                                                     31
                                        4. 競争力の源泉
    医師の先生方向けの様々な情報提供活動                       経験
 製品を適切にお使いいただくため、医療従事者に対する取り扱い説明が重要であることに加え、
  患者さまに対しても製品の特性を十分にご理解いただく配慮を行っている。
 様々な情報提供活動を通じて、自家培養表皮ジェイスは重症熱傷治療において標準的な治療と
  して浸透してきた。
   医療機関と製作した治療手技DVD動画    ケースレポート・記録集の作成・配布




    中期的臨床データのフィードバック      ウェブ講演会・ウェブ面談の実施




                                                  32
                                                                            4. 競争力の源泉
                      国内初の製品化を実現                                                   歴史
 規制当局の方々と密に連携し、国内第1号・第2号の再生医療等製品の承認取得・保険収載を実現した。


                                     上市まで約10年

                        適合(H14.3) 終了届書(H16.10)       承認(H19.10)
    創業(H11.2)
   ジェイス開発開始          提出(H12.12)     計画届(H14.10)   提出(H16.10)      保険適用希望(H19.11)
                                                  優先審査認定
                                                  (H17.1)                保険収載(H21.1)




     基           前                                                 保険
     礎           臨                                                 収載
     研           床    確認申請            製造販売
                                       治験
     究           試   (H23.6に廃止)(臨床試験) 承認申請
                 験                                                 製造販売後
                                                                    対応

越智教授/JST/当社契約
       (H12.3)       提出(H13.9)      計画届(H16.4)    提出(H21.8)               保険収載(H25.4)

                        適合(H16.2)   終了届書(H19.3)      承認(H24.7)    保険適用希望(H25.1)


                                     上市まで約13年
                                                                                        33
                                                                  4. 競争力の源泉
             法規制とともに成長                                                    歴史
 当社の創業時は、まだ「再生医療」という言葉はなく、再生医療に特化
  した法規制も十分に整備がなされていなかった。当社は、規制当局の
  方々と議論を重ねながら、規制の変遷とともに歩んできた。
 厚生労働省の定める省令・通知に従い、研究開発・治験、製造・検査、
  販売・製造販売後対応を行うことを通じ、自家細胞のプラットフォー
  マーとして信頼性の高い製品の安定供給を実現する生産体制、信頼性
  保証体制を確立してきた。

信頼性保証体制




                ※1   GLP:再生医療等製品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令
                ※2   GCP:再生医療等製品の臨床試験の実施の基準に関する省令
                ※3   GCTP:再生医療等製品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令
                ※4   GQP:医薬品、医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品の品質管理の基準に関する省令
                ※5   GVP:医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の製造販売後安全管理の基準に関する省令
                ※6   GPSP:再生医療等製品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令                     34
                                                                4. 競争力の源泉
                         当社社員の受賞歴                                    歴史
 当社の歩みの中で多くの方々とつながり、その革新的な技術開発や、産学官連携などの取り組みが、
  高く評価されてきた。
  受賞時期                       受   賞   内   容

              中部ニュービジネス協会主催 「中部ニュービジネス大賞」
2000 年 11 月   「中部通商産業局大賞 」受賞

2002 年 1 月    中日新聞主催 「第15回中日産業技術賞        特別奨励賞」受賞
                                                         平成16年度産学官連携功労賞表彰
2004 年 6 月 平成16年度産学官連携功労賞表彰 「日本学術会議会長賞」

              フジサンケイビジネスアイ主催 「第4回 日本バイオベンチャー大賞」
2005 年 10 月   グランプリ受賞

              平成 22 年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰・科学技術賞
2010 年 4 月    「三次元培養による軟骨再生技術及び振興」
                                                      第5回ものづくり日本大賞・内閣総理大臣賞

              日本人工臓器学会 2012 年度技術賞
2012 年 11 月
              「自家培養表皮(商品名:ジェイス®)」

2013 年 9 月 第5回ものづくり日本大賞・内閣総理大臣賞

           第 12 回産学官連携功労者表彰
                                                       2018 年日本動物実験代替法学会・学会賞
2014 年 8 月 ~つなげるイノベーション大賞~・厚生労働大臣賞
           「自家培養軟骨ジャック®の開発と製品化」
              2018 年日本動物実験代替法学会・学会賞(Replacement 分野)
2018 年 11 月   「培養上皮モデルを用いた局所刺激性試験法の開発と
              OECD テストガイドライン収載」

              平成 31 年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰・科学技術賞
2019 年 4 月    「自家培養表皮の開発」                             科学技術分野の文部科学大臣表彰・科学技術賞

                                                                               35
    5.事業計画
(5ヵ年:2022年3月期~2026年3月期)




                          36
                                                                 5. 事業計画
                     基本方針・業績目標
 方針      3つの成長戦略を段階的に実施し、①2024年3月期に黒字化、
         ②2026年3月期に売上高50億円、営業利益率10%超を達成する。
  前提条件: 当社が展開する3事業(再生医療製品事業・再生医療受託事業・研究開発支援事業)の売上の相似拡大
        (うち再生医療製品事業は、主に今後上市予定の新製品による売上伸長)を主要因として売上目標を設定。
6,000

          売上高                                               売上高※
5,000                                                       50億円
         営業利益

4,000


                   2,758             成長戦略3
3,000                                        領域展開
         2,257                        同種細胞製品・がん免疫に展開
2,000
                                成長戦略2
                                         市場拡大
1,000                                対象患者の多い市場に展開
                                                           営業利益率※
                             成長戦略1
                                      基盤強化                  10%超
    0
                               自家細胞製品を軸に事業基盤を強化
         △ 466     △ 297
-1,000
         2021/3期   2022/3期              黒字化            2026/3期
(百万円)      実績        計画              2024年3月期            計画

                                        ※帝人とのシナジー織込み前の計数目標            37
                                                                               5. 事業計画
                  2022年3月期の業績予想

       単位:百万円                               2022年3月期               対前期
                             2021年3月期
     (百万円未満切捨て表示)
     (増減率は円単位で計算)               実績            業績予想           増減額         増減率
     ジェイス                             978            1,004     26        2.7%
     ジャック                             331             414      83        24.9%
     その他                               18             197     179    972.1%
     再生医療製品事業                       1,328            1,616    288        21.7%
     再生医療受託事業                         721             871     150        20.8%

     研究開発支援事業                         207             270      63        30.3%
     売上高                            2,257            2,758    501        22.2%
     営業利益                          △466              △297     169              -
     経常利益                          △462              △292     170              -
     当期純利益                         △466              △295     171              -

 2022年3月期の業績予想は、自家培養表皮ジェイス、自家培養軟骨ジャックに加え、自家培養角膜
  上皮ネピックおよび受託事業の売上拡大により、売上高2,758百万円(前期比22.2%増)を見込む。
 ①開発中のパイプラインへの研究開発投資 ②帝人株式会社による当社株式に対する公開買付け後の
  PMI*費用を織り込み、営業損失297百万円、経常損失292百万円、当期純損失295百万円を見込む。

 *PMI: Post Merger Integration, M&A(合併・買収)後の統合プロセス
                                                                                    38
                                           5. 事業計画
               成長戦略1:基盤強化
                   基本戦略
   再生医療製品の提供活動で培ったノウハウを強みとして、
  既存事業の売上利益を最大化し、黒字体質の基盤を確立する。

(1) 再生医療製品事業
 ジェイスは重症熱傷治療の標準治療として浸透。広範囲な重症熱傷に加え、受傷面積の小さい
  症例でも使用実績を増やし、当社の事業基盤を支える。母斑・表皮水疱症向けは拠点施設
  および患者団体との関係強化で確実に発生症例を獲得し、ゴールドスタンダード化を進める。
 ジャックはコロナ禍で苦戦したが、ワクチン接種の進捗を踏まえ医療機関への訪問を再開し、
  敬遠・延期された症例の掘り起しを図る。認定医療機関関連のクリニック等からの集患施策や
  リハビリ期間を短縮する研究会の立上げ等の新規施策を展開する。
 ネピックは引き続き株式会社ニデックとの連携により、拠点候補施設を中心に治療実績を積み
  上げる。現在承認申請中の自家培養口腔粘膜上皮(開発名:COMET01)との両輪で、根治療法
  の存在しなかった角膜上皮疾患に対する治療法の提供を実現する。

(2) 再生医療受託事業
 顧客である企業やアカデミアはコロナ禍で中止していた開発を再開。優良な案件に注力して
  安定的に収益を獲得する。親会社である帝人と連携し新たなCDMO事業を構想・実行する。

(3) 研究開発支援事業
 ラボサイトシリーズは、コロナ禍でも大幅に売上増加。更なる成長に向けて、市場の大きい皮膚
  感作性試験のOECDガイドライン化を進めつつ、アジア圏への海外展開も積極的に推進する。
                                                  39
                                            5. 事業計画
               成長戦略2:市場拡大
                   基本戦略
  既存製品とは異なる対象患者の多い市場をターゲットとした
新規自家製品の上市・効能追加により、売上を大幅に拡大させる。

(1) 再生医療製品事業
 皮膚領域では、尋常性白斑を対象としたメラノサイト含有自家培養表皮(開発名:ACE02)を
  上市する。早期より本領域の専門医と研究会を立上げ、上市後のスムーズな普及に繋げる。
 膝領域では、ジャックの二次性変形性膝関節症への適応拡大により、本来ジャックが狙って
  いた巨大市場に改めて挑戦する。先行してヘビーユーザーの医療機関と連携し、自由診療に
  よる同疾患の治療(メディカルツーリズム等)に着手し、承認後の迅速展開を図る。
 ネピックとCOMET01をラインナップすることで、片眼性と両眼性の両方の角膜上皮幹細胞
  疲弊症患者に根治療法を提供し、眼科領域における再生医療のスタンダードとなる。これまで
  根治療法がないため治療を諦め埋没した患者に訴求し、潜在市場を開拓する。


(2) 再生医療受託事業
 帝人と連携した新たなCDMO事業により、顧客(国内・海外)を拡大する。
 従来のCDMO事業に加え、海外での承認品目の国内製造受託(CMO)を積極的に獲得する。

(3) 研究開発支援事業
 帝人の海外ネットワークを活用し、海外展開を加速する。
 薬機法の制約がない製品であるため、製法改良等のコストダウンで利益率向上を図る。
                                                 40
                                           5. 事業計画
               成長戦略3:領域展開
                   基本戦略
同種製品やがん免疫治療等の新たな製品・領域への展開を実現し、
  中期目標:売上高50億円、営業利益率10%超を達成する。

(1) 再生医療製品事業
 皮膚領域では、当社初となる同種細胞を用いた培養表皮を上市する。Ⅱ度熱傷の新たな治療
  方法として、ジェイスで開拓した販路や医療機関とのネットワークを生かし普及させる。
 膝領域では、ジャックで実施してきた営業施策と適応拡大に加え、施設基準緩和に取り組み、
  これらの相乗効果で売上を飛躍させ、膝領域の再生医療として確たる地位を築く。
 新たな領域として、名古屋大学と開発中の自家CAR-T細胞製剤を上市する。低コストで供給で
  きる強みを生かし、他社との差別化を図る。
 細胞培養に関する実績・ノウハウと、帝人の有するエンジニアリングでシナジーを発揮し自家
  製品の製造自動化や同種製品の大量生産に向けた生産革新を実現し大幅なコスト低減を図る。


(2) 再生医療受託事業
 CDMO事業の拡大に伴い、新規生産拠点を立ち上げて製造受託のキャパシティを増大させる。
 皮膚、整形外科等の領域戦略に加え、培養法の相同性など当社事業との親和性を活用する。

(3) 研究開発支援事業
 ラボサイトシリーズでは、感作性試験OECDガイドライン化の実現と、帝人との連携による
  海外展開のシナジーにより、事業規模を飛躍的に成長させる。
                                                 41
                                                                             5. 事業計画
                         開発パイプラインの上市目標                                   承
                                                                         認

                                                                             収
                                                                             保険保
                                                                               載
                                                                             収載険
                                          基礎研究   前臨床試験     治験     製造販売
                                                         (臨床試験)   承認申請              製造
開発パイプライン             適応症       上市目標時期                                              販売後
                                                                                    対応

                  重症熱傷           上市済

            適応拡大   先天性表皮水疱症      上市済
表
            適応拡大   先天性表皮水疱症      上市済
皮
        メラノサイト
                  尋常性白斑        2024年3月期
        ACE02
          同種                   2025年3月期
                  Ⅱ度熱傷
         培養表皮

    軟
                  外傷性軟骨欠損症
                  離断性骨軟骨炎        上市済
    骨
            適応拡大 二次性変形性膝関節症    2025年3月期

角
                  角膜上皮幹細胞疲弊症     上市済
膜       口腔粘膜上皮
        COMET01 角膜上皮幹細胞疲弊症 2022年3月期

が
ん         自家
        CAR-T細胞   急性リンパ性白血病    2026年3月期


                                                                    ※参考:厚生労働省        42
                                                 5. 事業計画
              研究開発投資の方針
 当社事業のさらなる拡大を目的に、2022年3月期から2026年3月期の直近5ヵ年において、現開発
  パイプラインに総額25億円(対売上高比率17%)を集中的に投入する。これにより、飛躍的成長
  を実現する。
 開発投資の原資は、将来の可処分利益と手持ち資金であり、加えて国からの助成金を活用していく。
 持続的成長期では、安定的黒字化と成長投資のバランスを保ちつつ研究開発投資を実施していく。


             先行投資期                   持続的成長期




             先行投資として短期集中的に
                 総額25億円
                の研究開発費を投入
             ジャックOA 口腔粘膜上皮     同種
              適応拡大  COMET01   培養表皮
                メラノサイト      自家
                  ACE02   CAR-T細胞


       2022年3月期 ~ 2026年3月期           2027年3月期~
                                                      43
                                                                  5. 事業計画


   帝人とのシナジーにより期待される新たな展開

 われわれが目指すもの
   患者さんひとりひとりの状態・ニーズに合わせたテーラーメード治療
   ソリューションのラインナップを揃えることにより、安全で効率的、
   かつ患者さんの満足度が高い医療を提供する。
                       CDMO事業             整形外科領域

                新規               協創                 新規
              プロジェクト                              プロジェクト



                              埋め込み型                     地域包括      機能性
         再生医療等製品                        医薬品     在宅医療
                               医療機器                    ケアシステム      食品



  製品・
                     研究開発力            マテリアル                  IT
パイプライン
          自家細胞を用いた                            多様な視点・技術を持つ
            再生医療の
         プラットフォーマー                            ユニークなヘルスケア事業

再生医療に適した                製造/
                                 エンジニアリング                    繊維・製品
  営業手法                 品質管理



                                                                        44
                             5. 事業計画


帝人とのシナジーにより期待される新たな展開

1. 両社協業による再生医療等製品CDMO事業の拡大
2. 帝人の材料・素材開発力の再生医療への活用
3. 帝人のエンジニアリング活用による生産プロセス効率化・
   最適化、生産設備拡大支援
4. 帝人の医薬品・医療機器事業との連携による新技術の開発・
   事業拡大(膝関節領域等)
5. 当社の臨床開発業務への帝人の知見活用・支援
6. 当社製品の輸送・販売における協業
7. 当社製品の海外展開検討への支援


      両社協業による事業計画を策定予定
                                  45
                                                                             5. 事業計画
         再生医療の産業化に向けた戦略(1)
                                                      事業形態で再生医療を網羅する
  当社は想定しうる再生医療すべての領域について、網羅的に事業展開を進めている。

         間葉系幹細胞を用いた疾患治療           受託E            ※受託は当社の受託事業の主なものを匿名で記載
                                                 ※AMED:国立研究開発法人 日本医療研究開発機構
             ・移植に用いる間葉系幹細胞の評価ならびに製品開発
             ・同種細胞を用いた再生医療のための産業利用を目的
  同種細胞        としたヒト細胞及び組織の安定供給の実証

              同種培養表皮              受託F
                                                   受託H
ヒト細胞の産業利用          ・皮膚再建に用いる同種培養皮膚の基礎研究
                    ならびに製品開発
 倫理・取扱など           ・皮膚再建に用いる乾燥同種培養表皮の開発
                         戦略

         メラノサイト含有        ②            戦略

          自家培養表皮                      ①                      受託G
            受託A
  自家細胞
            受託B                              ③
                                        戦略
                                                 自家CAR-T細胞            遺伝子導入細胞の
             受託C                受託D              によるがん治療               取り扱い経験
自家細胞による再生医療
 プラットフォーム構築              自家培養口腔粘膜上皮               ・piggyBacトランスポゾンベクターを用いた自家
                                                   CD19 CAR-T療法の企業治験開始に向けた研究開発


                    接着系細胞                              浮遊系細胞
             (体の組織を構築する細胞)                       (血液などを構成する細胞)
戦略 ①:自家細胞を用いた接着系細胞治療は事業として最難題である。これをベースに同種細胞、浮遊系細胞へと展開していく。
戦略 ②:同種(他家)ヒト細胞の製品化に必要なヒト細胞の産業利用関連事業を実施する。
戦略 ③:自家CAR-T細胞によるがん治療事業を通じて、浮遊系(血液系)細胞および遺伝子導入細胞利用の経験を構築する。

          当社製品ラインナップの増強とともに、受託事業への布石とする。                                          46
                                                                                     5. 事業計画
              再生医療の産業化に向けた戦略(2)
                                                                  細胞種で再生医療を網羅する
 当社は再生医療に使用するすべての細胞種について、それぞれの産業化を見据え開発を進めている。
                                                            ※受託は当社が受けている受託事業の主なものを匿名で記載

 LabCyte EPI-MODEL    LabCyte CORNEA-MODEL                              戦略   ③

 受託A     受託B         受託F    受託G      受託H              受託C   受託D   受託E

 戦略
 ①                         自家CAR-T細胞
                           によるがん治療

                       自家培養口腔粘膜上皮
                                             戦略   ②

                                                        間葉系幹細胞を
              メラノサイト含有
                               同種培養表皮                   用いた疾患治療
               自家培養表皮


                 体細胞                                    体性幹細胞                    多能性幹細胞
        (体の組織を構成する細胞)                                 (体の中にある幹細胞)            (iPS細胞、ES細胞等)
戦略 ①:体細胞は増殖・分化制御ならびに品質管理を行いやすい。まずは、当該細胞領域で実績を蓄積する。
戦略 ②:間葉系幹細胞は、再生医療のみでなく細胞治療に不可欠である。同種(他家)細胞への展開も可能である。セルストッ
     ク事業を通じて、当該細胞の標準化を目指す。
戦略 ③:多能性幹細胞は扱いが容易でない。まずは研究開発支援事業(創薬支援)によって細胞制御の足掛かりをつくる。

               当社製品ラインナップの増強とともに、受託事業への布石とする。
       【用語】 体細胞    :体に存在する細胞
            体性幹細胞  :体に存在する幹細胞(自己複製能に加え、複数の細胞種に分化することができるもの)
            多能性幹細胞 :主に人為的操作を加え、体のほとんどの細胞に分化可能な細胞(ES細胞、iPS細胞細胞等)
                                                                                             47
                                                            5. 事業計画
           再生医療の産業化に向けた戦略(3)
                                    バリューチェーンで再生医療を網羅する
 当社は再生医療に関する製販技すべての機能について、産業化を見据えた仕組みづくりに取り組んでいる。

                                    製品開発から収益性の向上にむけて
              戦略   ①                 戦略   ②
研究開発                   生産・品質管理                営業・販売
 再生医療の技術評価              生産・培養人材育成             最適化のための医療-企業連携

 再生医療に最適な

 非臨床安全性試験 品質・製品設計 生産デバイス開発・投入                           医療情報収集
                                          自家細胞に最適化され
    臨床試験      包装・輸送      自動装置開発・投入         た受発注システム     各種情報提供

 市販後評価科学の構築            インテリジェントファシリティー        市販後調査体制

                          J-TECの品質保証

                                                   戦略   ③
   臨床現場の声を研究開発現場へ       新たな価値をもたらす再生医療の創出

戦略 ①:製品開発初期から、生産、販売等の下工程を意識している。これにより現実的な製品の上市を目指す。
戦略 ②:高コストになりがちな自家細胞をベンチマークとして、生産効率化(インテリジェントファシリティー)を実現する。
戦略 ③:製販技すべてを有することで、医療現場の声をフィードバックできている。これにより新たな価値を創出する。


           当社製品ラインナップの増強とともに、受託事業への布石とする。
                                                                 48
                                                          5. 事業計画
              研究開発支援事業の戦略
     LabCyteシリーズ                  LabCyte 皮膚モデル
        の海外展開                     のさらなる価値向上

背景                           背景
• 皮膚刺激性試験・腐食性試験にてOECDの       • 皮膚刺激性試験、皮膚腐食性試験に関する
  ガイドライン収載されているため、海外から         シェアは十分に伸ばしてきた。
  の引き合いが増加している。              • あらたな用途(研究用ヒト培養組織を用いた
• 欧米に加え、アジア諸国においても動物実験         感作性試験)のニーズが高まっている。
  代替の動きが大きい。特に中国、インドは             皮膚刺激・腐食試験の市場規模:4.6億円
  成長市場を形成する傾向にある。                 皮膚感作性試験の市場規模  :17.0億円

• 国内ではLabCyteシリーズの認知度が向上し、   • 現在、LabCyteユーザーの方々による、
  基礎データの蓄積がなされてきた。             OECDテストガイドライン化に向けたバリ
                               デーションが進められている。

実施内容                         実施内容
• LabCyteシリーズのアジア地域における      • LabCyteシリーズの価値向上に向け、
  売上拡大とその標準化を目指す。              新たな試験法の標準化に取り組む。


解決すべき課題                      解決すべき課題
• 保存安定性の獲得に向けた製品仕様の再検討       • 実施中のバリデーション試験およびOECDへ
• 当該国との関係構築と海外輸送に関するロジ         の提案を積極的に支援する。
  スティックスの構築                  • 当該価値を訴求すべく、皮膚感作性試験、
• 営業活動を支える広告・啓蒙手法確立            医療機器 皮膚刺激性試験についてマーケティ
                               ングを実施する。


                                                               49
6.リスク情報




          50
                                                                        6. リスク情報
                           当社事業に関するリスク
  重大        影響する                                  顕在化 顕在時
                               主なリスク内容                             リスク対応策
 リスク       事業セグメント                               可能性 影響

                      ・ 当社製品の市場規模は限定的で、一定以上のシェア             ・ 医療機関との密な連携や周知活動により、
           再生医療         を確保していたとしても、対象患者の発生状況や他               対象者を適切に把握し、影響の最小化に取
市場規模       製品事業         社の参入により、売上高が大きく変動する可能あり。 中     大      り組んでいる。
           再生医療       ・ 開発状況や委託元の方針変更等により受託業務の解             ・ 委託元と密に連携し、適時に対応すること
           受託事業         約や規模縮小等の可能性あり。                        で影響の最小化に取り組んでいる。
           再生医療
                      ・ 予測できない法改正や医療行政の方針変更等による             ・ 薬事承認に関する経験やノウハウを磨き、
           製品事業
 法規制       再生医療         急激な環境変化が生じると、当社の経営戦略や経営    中   中      規制当局に相談を行い、影響の最小化に取
           受託事業         成績に影響を及ぼす可能性あり。                       り組んでいる。

                      ・ 代替の利かない原材料、資材等を一定数使用してい             ・ サプライヤーと安定供給契約等を締結。
                        る。                                  ・ 重要度の高い原材料、資材から優先的に代
製品の
                      ・ 代替の利かない原材料、資材等が調達できない場合、 中     大      替品の調査、検討、選定を行う。
安定製造
                        自社製品及び受託製品の製造中止の可能性あり。              ・ 新しい製造方法、検査方法等の開発により
                                                              代替技術を確立する。

                      ・ 競合企業が増えており、離職の可能性あり。                ・ 様々な働き方に対応するため、社内外の状
                      ・ 専門性の高い従業員の離職は、補填、育成に時間が               況に応じて制度の再整備、見直し等を行う。
人材流出                                               高   中
           再生医療         かかるため、一時的な影響が出る可能性あり。               ・ ブランド向上や働きがいのある業務設計・
           製品事業                                               報酬体系等により従業員満足度向上を図る。
           再生医療       ・ 従業員が意図せずに第三者に機密情報を情報提供す             ・ 就業規則や誓約書、教育等による従業員へ
           受託事業
                        る可能性あり。                               の秘密情報管理の意識づけを徹底する。
情報流出       研究開発                                    中   中
                      ・ コンピューターウイルスの侵入等のサイバー攻撃に             ・ 社内ネットワークのセキュリティ対策実施。
           支援事業         よる情報漏洩等の可能性あり。

                      ・ 本社と生産拠点が一ヶ所にまとまっており、災害で             ・ 大規模災害等を想定したインフラ整備や運
                        両方の機能が停止する可能性あり。                      用整備を図っている。
                      ・ 新型コロナウイルスの感染拡大により、医療機関へ             ・ コロナ禍で変化する情勢を鑑みつつ、新た
 大規模                    の訪問自粛や治験の停滞による売上減少、開発スケ               な営業活動等を推進することで、事業への
  災害                    ジュール遅延の可能性あり。              小   大      影響を小さくすることに取組んでいる。
パンデミック              ・ 顧客の状況変化により当社業績にマイナス影響を及             ・ 原材料、資材等の代替品の調査、検討、選
                        ぼす可能性あり。                              定を行う。取引先との有事に備えた関係を
                      ・ サプライチェーンの寸断で原材料・資材等が調達で               構築。
                        きない可能性あり。
※当社の認識する上記以外のリスクについては、有価証券報告書の「事業等のリスク」に記載。                                     51
7.サステナビリティ




             52
                                                               7. サステナビリティ
             サステナビリティへの取り組み
 当社ビジョンのもと、当社事業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献する。




                   株主さま                              学生の皆さま




              環境                J-TECの事業                地域の皆さま


                               ・再生医療製品事業
                               ・再生医療受託事業
                               ・研究開発支援事業

                   従業員                                患者さま




 ※国連が採択したSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)において、当社に関連すると想定される項目。
                                                                              53
                                                                       7. サステナビリティ
                     従業員に向けて
 当社は、従業員にとってより働きやすい職場づくりを目指している。
 2008年より、仕事と生活の調和を図ることができる環境づくりに積極的に取り組む
  「愛知県ファミリーフレンドリー企業」に認定。
 3年連続で、特に優良な健康経営を実践している法人を顕彰する「健康経営優良法人」に認定。

         2008年より認定                     2019年より3年連続で認定




男女比率                           離職率(正社員)
                                2019年3月期 2020年3月期 2021年3月期

                                     5.0%                6.5%                 2.6%
                               一般労働者における2019年の離職率:11.4%
                               出典:「2019 年(令和元年)雇用動向調査結果の概況」(厚生労働省)
                               (https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/20-
                               2/index.html)より引用して作成

         ※取締役・監査役・嘱託・パート含む
                               障がい者雇用率
 多くの女性社員が各職場で大活躍している。
  (女性管理職比率:33.3%)               2019年3月期 2020年3月期 2021年3月期
 5名が育児休業中、18名が短時間勤務制度
  を利用している。                            2.2%                2.3%                 3.0%
               (2021年4月1日現在)
                                                                                               54
                                                   7. サステナビリティ
          学生・地域・患者の皆様に向けて
 再生医療のまちづくりを推進するために「蒲郡再生医療産業化推進委員会」が2015年に
  設立された。当社は蒲郡市と協力し、再生医療の発展・普及に向けてさまざまな活動を推進
  している。
 当社は、より多くの方に再生医療への理解を深めていただけるよう、学生や市民を対象とし
  た、再生医療に関する体験講座やワークショップを開催している。

地域社会との関わり:再生医療産業化推進委員会の活動               次世代への教育・支援


 小学生向け体験講座       市民向け再生医療講座         健康未来EXPO 2019(日本医学会主催)




顕微鏡で細胞を観察する様子                    ワークショップ わくわく再生医療ラボ「細胞培養体験講座」


再生医療学会への生徒派遣                               会社見学会




                  「細胞で生命を救う」
                名古屋大学小児科教授高橋先生
 企業展示で話を聞く様子



                                                                55
                  本資料の取扱いについて

  本資料は、投資者に対する情報提供を目的として将来の事業計画等を記載したものであって、投資
  勧誘を目的としたものではありません。当社の事業計画に対する評価及び投資に関する決定は、投
  資者ご自身の判断において行われるようお願いいたします。


  また、当社は、事業計画に関する業績目標その他の事項の実現・達成等に関しその蓋然性を如何な
  る意味においても保証するものではなく、その実現・達成等に関して一切責任を負うものではあり
  ません。


  本資料に記載されている将来に係わる一切の記述内容(事業計画に関する業績目標も含みますがそ
  れに限られません。)は、現時点で入手可能な情報から得られた当社の判断に基づくものであり、
  将来の経済環境の変化等を含む事業計画の前提条件に変動が生じた場合その他様々な要因の変化に
  より、実際の事業の状態・業績等は影響を受けることが予想され、本開示資料の記載内容と大きく
  異なる可能性があります。




 本資料「中期経営計画(事業計画及び成長可能性に関する事項)」の進捗状況を
  反映した最新の内容につきましては、通期決算発表予定時期である2022年5月頃の
  公表を予定しております。


            Copyright Japan Tissue Engineering Co., Ltd.
                                                           56