7748 J-ホロン 2021-06-02 15:30:00
2021年3月期 決算補足説明資料 [pdf]

2021年3月期

 決算補足説明資料



        2021年6月2日
        株式会社ホロン
       (証券コード:7748)

  インタビュー形式での資料となります。
トップインタビュー
株式会社ホロン        張 皓社⻑




   3年間トータルで30%の成⻑、
   130億円の売上達成を⽬指す。

 Q 2021年3⽉期の経営成績を振り返ってください。
  前期業績に及ばないものの、期初計画からは売上を上積み。
  顧客の投資意欲は引き続き旺盛である中、
  当社が扱う装置が1台あたり数億円であり、顧客の希望納期の変動が⽣じることがある
  ため、3年程度での経営計画を⾏っております。
                              当期の売上⾼は31億500万円。営業利益は、6億1,100万円、当
                             期純利益は4億3,100万円となりました。前期⽐で減収減益とな
                             りましたが、結論から申し上げると、私たちとしては、想定ど
                             おりマーケットの獲得ができた1年と⾔えます。
                              当社の半導体製造装置は、お客様の設備投資のタイミングに
                             左右されるビジネスです。また、当社は創業以来、お客様の要
                             望にお応えすることを最優先に考えてきたメーカーで、お客様
                             の設備投資のタイミングに寄り添い事業を⾏っています。その
                             ため、3年程度での経営計画を⾏っており、期初では堅実に⾒て
                             いるところがあります。よって、期中で前倒しオーダーが⼊っ
                             てきた場合は、その時に修正することになります。
                              2020年3⽉期の売上が過去最⾼の43億円に達したのも、多数の
                             お客様の投資タイミングが重なったにもかかわらず当社の努⼒
                             で希望納期にお応えすることができたからです。
  付け加えるなら、当社は従業員数が50名にも満たないメーカーです。2021年3⽉期だけを⾒ても、⼀⼈あたりの
 売上は7,000万円を超え、純利益は1,000万円に迫っており、当社の製品価値が着実に認められていると⾃負してお
 ります。

 Q 増収幅と⽐較して増益幅が少ない理由は?
  研究開発費、新型コロナによる現地滞在費の増加と
  短期間で開発した特別仕様の装置が利益を押し下げる形に。
  要因としては投資の側⾯と当期ならではの要因で、3つあります。1つは、研究開発費が増えたことです。当社で
 はフォトマスク⽤CD‐SEMの次世代機の開発を3〜4年のサイクルで⾏っています。2020年3⽉期以前は設計段階だっ
 たので資⾦の投⼊額は低かったのですが、2021年3⽉期は試作機の開発フェーズに⼊ったため、研究開発費の計上
 額が増えました。具体的には、1億8,000万円から3億5,000万円。ほぼ倍増です。
  2つ⽬は製品保証維持費の増加です。これは、当社の製品を購⼊していただいたお客様に導⼊時のトレーニング
 や保守・メンテナンスサービスを提供するための費⽤。つまりエンジニアの派遣・滞在費⽤です。当社のお客様は


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ほとんどが海外。コロナ禍で緊急事態に対応するには出⼊国の度に隔離を強要されるので、回数を減らすために現
地に⻑期滞在する必要があり、この1年で計上額が⼀気に膨らみました。
 そして3つめは製造原価が⾼い装置を開発したことです。お客様のアグレッシブな要望にお応えするため、経営
判断によって短期間で開発した特別仕様の装置が、利益を圧迫する形になりました。


Q 2022年3⽉期の業績⾒通しについてお聞かせください。
 売上は横ばい、次世代機の開発、新旧⼯場の並⾏稼働による固定費増加により減益予
 想も、前期同様に上振れを⽬指し、事業を推進します。
 先ほどご説明したように、当社の製品は1台あたりの販売価格が⾼額であり、期初にお客様の設備投資のタイミ
ングを全て予測するのが困難です。そのため業績予想は年間⽬標として通期で開⽰させていただいており、今期は
売上⾼31億円。営業利益4億6,100万円。経常利益4億5,500万円。当期純利益は3億1,400万円と設定いたしました。
利益⾯については、次世代機の開発に加え、7⽉に移転予定の新本社⼯場への移転費⽤と旧⼯場の年末までの並⾏
稼働により、固定費の増加が⾒込まれることからこのように⾒積もっていますが、売上⾼は2021年3⽉期の期初予
想(25億円)よりも⾼く設定しています。新型コロナの収束時期が⾒通せないものの、顧客の投資意欲は⼤きく、
今期についても前期同様に業績の上積みができる展開を⽬指して参ります。


Q 半導体市場、製造装置市場ともコロナ禍で成⻑を続けていますが、現在のマーケッ
トや事業環境をどのように捉えていますか?
 今や半導体は安全保障上の戦略的物質。
 ⾃動⾞、IT業界でも熾烈な争奪戦が続く。
 半導体はもともとは⼈々の⽣活の質を向上させるための技術であ
り製品でありましたが、今は安全保障上の戦略的物質と位置づけさ
れております。それを如実に表しているのが⽶中関係。トランプ⼤
統領の時が貿易摩擦なら、今は半導体戦争とも⾔える状況ではない
でしょうか。韓国、台湾は新型コロナワクチン⼊⼿のカードとして
半導体を使おうとしているようですし、在宅勤務の浸透によるパソ
コン需要の急増により、スマート化が進む⾃動⾞業界とIT業界の間
で熾烈な半導体争奪戦を繰り広げています。そのため半導体⼤⼿各
社は競って設備投資を計画しており、当社にとっては⼤きな追い⾵
と⾔えます。


Q   ホロンの主要取引先は海外の半導体メーカー。投資意欲はいかがですか?
 ターゲット企業の投資意欲はきわめて旺盛。
 当社にとっても⼤きなチャンスが続きます。
 きわめて旺盛です。当社にとって最⼤の取引先である台湾のメーカーの投資額も、昨年の1.8兆円から今年の3.3
兆円へと増⼤。今後3年間の投資総額は11兆円に達すると発表しています。この企業は近い将来、⽶国・アリゾナ
州に新⼯場の建設を計画しており、⽣産ラインは5ナノメートル、3ナノメートル、2ナノメートルの3種類・6ライ
ンを設置する予定です。
 韓国のお客様においても積極的にEUV露光装置を導⼊し、マスク⽤CD‐SEM及び⽋陥レビュー装置の増設を計画
しております。
 また、最先端のEUV製造設備導⼊制限が⽶国によりかけられている中、中国勢は14ナノメートル以下の技術
ノードで投資を⾏っています。
 これまでにマーケットシェアが12%まで低下した⽶国の半導体製造は、バイデン政府が⽣産や研究開発の補助
⾦などに約6兆円を投じて⽶国本⼟での製造を奨励しております。当社にとってマーケットシェア拡⼤の好機と
とらえております。


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Q   拡⼤を続けるマーケットで成⻑するため、どのような戦略を⽴てられていますか。
 マスク⽤CD‐SEMの次世代機と
 ⽋陥レビューSEM『LEXaシリーズ』を2本柱に。
 増⼤するニーズに応えていきます。
 主⼒製品であるマスク⽤CD‐SEMついては、当社のビジネスを⽀える1本の⼤きな柱となっております。2022年末
〜2023年のリリースを⾒据えてスタートした次世代機の開発プロジェクトがすでに試作品の開発フェーズに⼊って
います。親会社のエンジニアと連携して国内トップクラスの技術⼒を投⼊していますので、最⾼性能の装置になる
と確信しています。最新鋭の装置の販売価格は既存製品に2〜3割程度上乗せした額になります。最新鋭の装置で新
製品開発に取り組み、完成したら装置を増設して量産に⼊り、4〜5年間は運⽤する、というのがお客様の製造⼯場
での流れですので、次世代機の開発が会社の成⻑に直結すると⾔っても過⾔ではありません。
 近年はEUVの登場によってEUVマスクのパターン転写使⽤時の取り扱いがかなりデリケートになっており、ウエ
ハの製造現場でEUVマスクの⽋陥レビューSEM『LEXaシリーズ』のニーズが⾼まっており、不可⽋の装置となって
います。こちらにつきましてはASML社の副社⻑Anthony Yen⽒がELECTRON DEVICES SOCIETY 2021年4⽉号に発表した
記事で当社名をあげて記述しております。このLEXa をもう1本の⼤きな柱に育てていき、当⾯この2本の柱で当社の
安定した運営・発展を⽀えていきます。

Q 2021年6⽉末には、東京都⽴川市に建設中の新⼯場が完成します。本社⼯場の移転の
理由についてお聞かせください。
 ⽣産体制の拡⼤と開発環境の改善が第⼀。
 機能と制度が充実した職場で⼈材を確保。
 ⽣産体制の拡⼤と開発・製造環境の充実をはかることが⼀番の⽬的で、最⼤の変化はクリーンルームを従来の3
倍のスペースに拡充したこと。これにより年間20基超(現在は10基)の製造が可能になります。ここには次世代機
の開発スペースも確保でき、製品のプレゼンテーションができるショウルームも併設します。新社屋の⽴地は駅近
でアクセスもよく、社員の働く環境が改善され、優秀な⼈材を獲得しやすくなり、機能、環境、制度の充実した職
場で育成したいという強い想いもありました。


Q 2018年4⽉に社⻑に就任されてから3年。経営の舵取りにあたり、⾃⾝の強みをお聞
かせください。
 技術とマーケティングを理解し、独⾃の⼈脈もある。
 その強みを⼗分に発揮できていると⾃負しています。
                                        半導体業界にはシリコンサイクルというものがあり、
                                       会社の売上拡⼤の要因分析や売上予測は簡単でありま
                                       せんが、私⾃⾝は、エンジニアとして培った知識と技
                                       術⼒。営業部⾨の責任者として⻑年にわたって築いて
                                       きた業界での⼈脈。顧客の半導体製造メーカーだけで
                                       はなく、同業者の半導体装置メーカーにも独⾃のルー
                                       トで得る確かな情報に基づくマーケティング⼒。この
                                       3つを⼗分に発揮できているという⼿応えを感じてい
                                       ます。世界初で世界最⼤の半導体製造ファウンドリで
                                       あるTSMCの創業者モリス・チャン⽒が台湾の⼤学で
                                       講演された時「優秀な社⻑には技術⼒とマーケティン
                                       グ⼒、⼈脈がある」と⾔われましたが、その⾔葉を思
                                       い出すたびに、だから私はここにいるのだと感じてい
                                       ます。




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Q    中⻑期的な⽬標と成⻑戦略について教えてください。
    今後3年間で30%の成⻑と130億円の売上をめざす。
    ⼈材の獲得・育成を積極的に進めながら実現したい。
 私の⽬標としては、今期を含むこれからの3年間の総売上を130億円に設定しています。過去3年間の総売上が103
億円でしたので、成⻑率は3年で30%、年換算で9%になります。半導体製造装置の価格はこれからさらに⾼くなり
ますが、作れば売れる状態が続くのは間違いなく、新規顧客の獲得もできていますので、⾒通しは明るいと思って
います。⼀⽅で克服すべき課題としては⼈材の獲得と育成があり、現在は海外の販売代理店に常駐できる技術者を
増員するため、当社におけるトレーニング環境の整備を進めています。今後は、増加の⼀途を辿っているリピート
オーダーに対応するため、外国⼈の優秀な⼈材を獲得することも検討しています。


Q    株主、投資家の皆様にメッセージをお願いいたします。
    ホロンの株主で良かったと思っていただけるように
    業界トップメーカーの⾼度なニーズに応えていきます。
 現在、半導体業界に対する投資意欲は史上例を⾒ないほど旺盛であり、数兆円規模の巨額投資が続々と発表され
ています。IT、通信技術の進歩やAIの普及、そして新型コロナの感染拡⼤によって半導体への依存度はさらに⾼
まっており、市場の活況は5年後、10年後も続くと思われます。そのなかでホロンは少数精鋭体制を維持しながら
業界トップメーカーの⾼度なニーズに確かな技術で応えています。開発中の次世代機ではさらなる性能向上を実現
し、お客様の期待に応えられると確信していますので、投資家の皆さまには、ぜひホロンに期待をしていただきた
いと思っています。




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