7606 Uアローズ 2021-05-10 15:00:00
2021年3月期 本決算説明会資料 [pdf]

1
2
3
■2021/3期 業績総括

 (スライド資料の通り)




                4
■連結PL実績

当期は新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け減収減益となったものの、営業損失、経常損失は概ね計画値に近い水
準となった。

売上高は前期比77.3%の1,217億円となった。

売上総利益率は前期差▲5.6ptの45.2%となり、概ね計画値の水準。春夏商品の値引増、アウトレット等による過年度商品
の消化促進に加え、コロナ禍による2020年春夏商品の特別評価減 約10億円が発生したことなどによるもの。特別評価減の
影響を控除した場合、約46%となる。

販管費は前期比86.5%の616億円で計画から約29億円の低減、販管費率は前期差5.4pt増の50.6%。

以上により、営業損失は66億円、営業外収入に雇用調整助成金約10億円等を計上し、経常損失は48億円となった。

特別損失に営業店舗等の減損損失約19億円、関係会社株式売却損約4億円を計上し、当期純損失は71億円となった。




                                                              5
■連結販管費実績

前年同期比86.5%、販管費率前年同期差5.4pt増の50.6%。

売上減により伴い販管費率は上昇するものの、計画比では約29億円の低減。

主に金額の増減の顕著な科目等については以下の通り。

宣伝販促費:各種広告宣伝費の抑制による減

人件費:賞与や時間外手当等の減

賃借料:実店舗休業や減収に伴う減

その他:減収に伴う変動費(物流費、業務委託費、カード手数料等)および固定費抑制による減




                                              6
■Q別 連結 PL実績

Q別にみると、3Qまで段階的な回復をしたものの、2021年1月からの緊急事態宣言再発令の影響などにより、4Qは回復が
やや鈍化した。

4Qの売上高は前年同期比78.1%となったが、これは2020年12月末でCH JP合同会社を連結対象から除外した影響を含む。
この影響を控除すると前年同期の約83%。

4Qの売上総利益率は40.1%となったが、これは2020年春夏商品の特別評価減 約10億円の影響を含む。この影響を除外す
ると約43.4%となり、前年から2ポイント弱の減にとどまっている。




                                                                 7
■Q別 連結 販管費 実績

Q別に販管費の詳細を見ると、1Qは緊急事態宣言の発令に伴う実店舗の休業により、賃借料が大きく下がっている。2Q、4
Qは業績動向を踏まえた賞与引当金の減による人件費の圧縮が大きい。3Qは広告宣伝費の抑制によるもので、前年実施し
た自社ECサイトの大型販促キャンペーンの反動などを含む。

販管費については売上の増減に対する対応力が弱いと認識しており、前期から進めている業務改革の中で、販管費構造の
見直しを継続的に行っている。




                                                            8
■連結 売上総利益率 増減要因

通期の売上総利益率は45.2%で前期から5.6ポイントの悪化、2020年春夏商品の特別評価減 約10億円の影響を除くと約
46%となり、前期から4.8ポイントの悪化。

(株)UAの売上総利益率が43.5%となり、前期から6.6ポイントの悪化。上記の特別評価減の影響を除くと約44.5%で前年から
5.6ポイントの悪化。主に春夏商品の値引き販売の拡大によりビジネスユニットの売上総利益率が前期から3.9ポイント悪化し
たのに加え、過年度商品の消化促進によりアウトレット他の売上総利益率も前年から5.8ポイント悪化した。アウトレット専用品
の構成比も前年から2.1ポイント低下した。各子会社においても、新型コロナウイルス感染拡大の影響が小さかった台湾子会
社を除いてはすべて悪化した。

4Qだけを切り出すと、連結売上総利益率は40.1%で前年から5.1ポイントの悪化。上記の特別評価減の影響を除くと約
43.4%となり、前年から1.8ポイントの悪化にとどまった。

(株)UAの売上総利益率が37.9%となり、前年から6.1ポイントの悪化だが、特別評価減の影響を除くと41.7%となり、2.3ポイン
トの悪化、ビジネスユニットでは2020年秋冬、2021年春夏商品の調達抑制などにより値引販売を抑え、売上総利益率は前年
同期から0.5ポイント良化した。アウトレット他は過年度在庫の消化促進により7.7ポイントの悪化、アウトレット専用品の構成比
も前年同期から2.5ポイント下がった。子会社では全子会社で前年同期から売上総利益率は改善。




                                                                     9
■単体 売上高実績 チャネル別

単体売上高前期比78.8%、既存店売上高前期比75.7%。

特に大都市圏の店舗の苦戦が続き、小売既存店は前年を大きく下回ったものの、下期から改善傾向にある。

ネット通販売上は前年の111.7%と二けた成長を維持し、構成比32.0%。前期から9.4ptの増。自社ECサイト売上については、
前年に約2か月半の稼働停止期間もあるが、前年の163.4%と堅調に推移している。




                                                               10
■単体 上下別 既存店実績

既存店実績を上下別に見ると、売上高と客数については、小売+ネット通販、小売において、下期から回復傾向となってい
る。客単価については、上期は春夏商品の消化促進で大きく前年を割っている。下期は冬物コートのような単価の高い商品の
動きが鈍かった影響は残るが、秋冬商品の調達抑制、値引き抑制によりマイナス幅を低減している。今後についても調達抑
制、値引きの抑制を図り、客単価減を抑えていきたい。




                                                          11
■単体 売上高実績 事業別

両事業本部とも減収、小売+ネット通販既存店売上高が前期を下回るも、カジュアル商品から徐々に回復傾向にある。

事業別では、第一事業本部は高額品が比較的堅調に推移し、カジュアル商品から段階的に回復が見られている。第二事業
本部は、ビジネス需要の低迷の影響を大きく受けたことなどにより、回復に遅れが出ている。商品政策の見直し等により改善
を目指す。




                                                        12
■連結BS実績

連結総資産 前期末比90.9%の636億円、なお連結対象範囲の変更に伴い、2020年12月末でCHJP合同会社、2021年3月末
で(株)フィーゴの資産が除外されている。

前期末との主な増減要因は以下の通り。

流動資産:店舗売上等に係る未収入金の増、在庫調達抑制の施策等によるたな卸資産の減

固定資産:店舗の減損損失の計上等による建物及び構築物を始めとする有形固定資産の減、繰延税金資産の増

流動負債:短期借入金の増、買掛金の減、賞与引当金の減

純資産:親会社株主に帰属する当期純損失による剰余金の減、子会社の連結除外に伴う非支配株主持ち分の減

長短借入金残高:前年同期末比339.1%の156億円

たな卸資産:同71.3%の1,991億円。前期末からCHJP合同会社、(株)フィーゴの在庫を控除しても約86%程度の水準。在庫
政策の見直し等により効率化が進んでいる。在庫改善プロジェクトを通じて、継続的な抑制を図る。




                                                                   13
■ 連結CF実績

当期末の現金及び現金同等物は、66億円。

営業キャッシュ・フローは、32億円のキャッシュアウト。
キャッシュインの主な内訳は減価償却費16億円、たな卸資産の減 30億円
キャッシュアウトの主な内訳は、税金等調整前当期純損失 75億円、仕入れ債務の減 20億円。

投資活動によるキャッシュ・フローは、50億円のキャッシュアウト。
キャッシュアウトの主な内訳は有形固定資産の取得19億円、
連結範囲の変更を伴う現預金の減 29億円

財務活動によるキャッシュ・フローは、92億円のキャッシュイン。
キャッシュインの主な内訳は短期借入金の増110億円。
キャッシュアウトの主な内訳は、配当金の支払 17億円。




                                                14
■グループ合計出退店 通期実績

通期実績:グループ合計での新規出店数:21、退店:25、期末店舗数:330。

(2020年3月期末の連結店舗数359店舗から約8%の減)

連結対象範囲の変更により、前期末より(株)フィーゴの店舗、CHJP合同会社の店舗を除外している。




                                                   15
■参考:㈱UA ストアブランド別出退店実績

 (説明は省略)




                        16
■参考:グループ会社別出退店実績 個別明細

(説明は省略)




                        17
■参考:グループ会社別出退店実績 個別明細

(説明は省略)




                        18
■グループ会社の進捗

(スライド資料の通り)




              19
■2022/3期 連結PL計画

2022/3期は通期黒字化を目指す。

売上高の計画は前期比102.5%の1,248億円。連結体制の変更を控除すると約110%。売上総利益率は前期から5.5pt改善の
50.7%、2020/3期並の水準を目差す。

販管費率は前期から2.3pt改善の 48.3%を見込む。

以上の結果、営業利益は30億円、経常利益は35億円を目指す。

不採算事業や店舗の精査継続により特別損失を11億円計上、親会社株主に帰属する当期純利益は17億円の見込み。

コロナ禍の影響などにより前期は配当を見送らせていただいたが、2022/3期は暫定的に配当性向を31%とし、1株当たり配
当金は年間19円の復配予定。あくまでもこの配当性向は暫定的なものであり、中長期的な配当性向基準については引き続き
検討中。

なお、本計画は緊急事態宣言発令によるマイナス影響を考慮し、期初に立てていたものから一定程度引き下げたもの。その
ため各項目の詳細説明は割愛させていただく。




                                                              20
■グループ合計小売出退店 2022/3期計画

グループ合計での新規出店数8、退店:11、期末店舗数:327を計画。




                                     21
22
■2021年3月期の取り組み総括 ①

不採算事業・店舗・子会社の見極めについて、グループ合計で期初359店舗から期中に25店舗を退店し、期末時点で
330店舗となった。さらに㈱フィーゴについて、近年の市場環境の変化等において、当社とのシナジー効果を生み出しなが
ら同社の継続的な成長を目指していくことは難しいと判断し、全株式の譲渡を行ったため、同社の店舗も除外している。
今後も事業の見極めを継続していく。

本部組織の構造改革について、重複する機能や業務を精査し、効率的な組織体制に刷新した。営業部門としては、3年
前にマーケット特性に対応すべく第一、第二の2事業本部制としたが、改めて事業特性を最大限に活かせるような体制を
構築すべく3本部制に変更。第一事業本部をUA、BYの各本部に分割、第二事業本部はGLR本部へ名称変更。また、営
業統括本部を新設し、営業部門間で発生していた非効率な業務、運営の改善を図る。DX推進センターは、部署を超えた
全社の横断機能として、デジタルトランスフォーメーションを推進させることを目的としたものに。SCM本部は、MD支援、技
術、生産、物流、貿易、品質管理から海外戦略までを一貫して、サプライチェーンを効率的・有効的に機能させるために新
設。

人事施策について採用の抑制、退職者による自然減で中期最終年度までに10%程度の人員数の減少を見込んでいる。
ネット通販やお客様相談室など今後の重点分野に戦略的に人員配置し、生産性と効率の改善を目指す。

在庫効率の向上による売上総利益の改善に向けて、在庫改善プロジェクトを推進している。2021年4月以降の取り組み
として、 これまでMD(マーチャンダイザー)に立ち位置が近い業務内容であったDB(ディストリビューター)が、本来の機能
である在庫消化視点に立った業務を行えるよう修正していく。それぞれの所属部門を分離した上で、 MDは販売計画、商
品計画~物流納品、DBは店舗・ECへの在庫配分と売上高・売上総利益計画をもとに在庫消化促進を担うものと、それぞ
れの役割を明確化した。

また、人事評価と各営業指標の連動を強化し、商品部部課長やMD、DB担当者等の定量評価に売上、売上総利益、残
在庫を設定。これまでは売上高とプロパー消化率のみであったが、残在庫を追加することで在庫に対する意識向上を図
る。




                                                              23
■2021年3月期の取り組み総括 ②

主力事業の収益改善について、商品面では、引き続きカジュアルを強化。マークダウンせず比較的長期間展開できる
シーズンレス商品や、ニーズの高い抗菌素材、ストレッチ・自宅で洗えるといった機能性素材を取り入れた商品を拡充し
ていく。

販売・販促面では、販売員が店舗に勤務しながら、インスタライブやLINE接客に参加する取り組みを強化している。特
にGLRでは、LINE接客、インスタライブ、店舗ブログ、スタッフスタイリングなど様々なオンライン販促を行うことで、例えば
お客様が気になった商品をLINE接客で確認、店舗に取り寄せ、試着、購入といったオンラインとオフラインをシームレス
につなぐ新たなお買い物の仕方が進化している。セット率や客単価向上を意識して取り組み、プロパー消化率改善につ
なげていきたい。

新しい時代に即したブランド開発について、ライフスタイル軸のレーベルとして、アウトドア商品を展開する「コティ ビュ
ーティ&ユース」を開始。今後もヨガ等ウェルネス関連商品の展開を進める。また、EC・カジュアル主体の新規ブランドを
、GLRとコーエンの中間価格帯にて2021年秋冬に開始予定。詳細は後日プレスリリースにて発表する。

OMO戦略の推進について、自社EC開発状況として、2021年1月までにサービス全体の検証と導入テストが完了した。
現在は開発導入に向けた業務やシステムの整備を行い、予定通り来春自社インフラを活用した自社ECサイトリリースで
進行している。




                                                               24
■2022/3期 グループ経営方針

続いて2022年3月期のグループ経営方針をご説明する。今年度は昨年発表した中期経営計画の途中年度にあたり、中期経
営計画の各項目に沿った取り組みを進める。



2022年3月期のグループ経営方針は、「持続的成長と未来に向けた大改革 ~新時代のお客様大満足へ~」。コロナ禍の影
響や連結体制の変更で売上高の回復には時間を要するものの、中期最終年度に向けて当社グループを収益性の高い体質
に切り替える期と位置づけ、各種取り組みを実施する。当社グループの持続的成長に向けた施策と未来に向けた改革を進め、
新しい時代のお客様満足を追求する。



中期経営計画の重点取組の「収益構造を抜本的に見直す」については営業利益生産性計画を、「稼ぐ力を取り戻す」につい
ては連結売上総利益計画 50.7%をそれぞれ必達目標とし、様々な施策を打っていく。同時に当社グループの持続的成長を支
えるための必須項目としてサステナビリティ、DXの取り組みも進める。




                                                         25
■2022/3期 グループ経営方針

営業利益生産性計画の必達については、不採算事業・店舗・レーベル・子会社の見極めと成長戦略の再立案、本部組織・
人件費の効率化に向けた構造改革の継続、店舗生産性向上に向けた施策の実施を進める。

連結売上総利益50.7%の必達については、主力レーベルの商品改革による在庫効率の徹底改善、OMO推進やデジタルマ
ーケティングによる営業施策の拡充、利益率改善を伴うネット通販売上の伸長を目指す。

持続的成長を支えるベース戦略については、デジタルトランスフォーメーションの推進によるお客様最適の実現、マーケット
特性に応じたサステナビリティ推進を図る。

前者については、変化の激しい市場環境においても、顧客提供価値を高め、競争優位性を維持し続けることをビジョンに、今
期は新自社ECサイトのリリース、サプライチェーンのデジタル化を視野に入れた商品管理システムの刷新、CRM活動の進化、
タレントマネジメントの推進などを進める。

後者については経営会議の下部組織をして、取締役、常勤社外取締役、執行役員をメンバーとするサステナビリティ委員会
を設置。特に今期はサプライチェーンと資源を重点推進項目に定め、サステナブルな商品調達、資源利用の効率化、脱プラス
チックなどの課題に向けて、マーケット別の取り組みを協議していく。




                                                           26
■代表取締役 社長執行役員 松崎からのメッセージ

改めまして4/1より代表取締役社長執行役員に就任いたしました松崎善則と申します。簡単に自己紹介をさせていただきま
すと、自身の原点は店舗にあり、これまで常にお客様のニーズ応える現場最前線を主に役割として担ってまいりました。その
経験を経営の舵取りに生かしてまいりたい所存です。

私たちセレクトショップ、小売業にとって最も重要なのは、時代対応することだと考えております。お客様のニーズに合わせて
常に時代対応させていくことが何よりも重要で、これまでも当社は販売チャネルや商品、サービスのみならず、経営理念でさえ
も時代にあわせ表現の見直し、改定を行っております。これからもお客様にとってなくてはならない存在であるために、変化を
恐れずに様々なチャレンジをしてまいります。

非常に厳しい環境の中、このコロナ禍を乗り越え、業績を回復させることが喫緊の課題ですが、その先においてはファッショ
ンだけにとどまらずユナイテッドアローズというブランドを冠した事業を、さまざまなドメインで展開し、新しい時代の豊かな暮ら
しを提案していきたいと考えています。それは正に経営理念に掲げた通り、お客様の明日を創り、生活文化のスタンダードを
創造し続ける、ということです。

決して簡単なことではなく、資金も時間も必要となることですが、これまでの現場経験を活かし、スタッフ全員の活力を上げ、
知恵を出し合い、行動を繰り返していくことで、日々わずかながらでも良くなっていくと信じています。高感度で高付加価値を生
み出せる企業グループに向けて、DX推進を行いながら今一度お客様お一人お一人のご満足を積み重ねてまいります。

今後とも当社グループに引き続きご指導、ご支援を賜りますよう、何卒お願い申しあげます。




                                                              27
28
29
■コロナ禍による市場環境の変化
 コロナ禍により、社会には大きな変化が起きている。密を避ける行動様式に伴って外出も抑制傾向となり、リモート
ワークの普及で通勤回数も減り、特に大型都市においては昼間人口の減少が続く。企業業績の悪化で収入不安も生ま
れ、消費の抑制にもつながっている。


この影響で、小売業界では外出抑制による実店舗の入店客数の減、感染懸念による店舗滞在時間の短縮、オンライン
シフトの加速、収入不安による消費の抑制傾向などの変化が起きている。


アパレル業界においては、緊急事態宣言解除以降の大都市商業施設の回復遅れ、オンラインシフトの加速、消費抑制
による嗜好品のニーズの低下、式典ニーズやビジネスニーズなどのフォーマル需要の縮小などの変化が起きている。




                                                        30
■コロナ禍で直面する当社の課題
コロナ禍により、当社でも様々な課題が浮き彫りになった。


緊急事態宣言が解除されて以降、地方郊外の店舗の回復に比べ、大都市商業施設の店舗は入店客数の減少が続き、
今なお回復途上にある。利便性や集客力の高さなど、立地の優位性がある施設に多くの店舗を出店している当社におい
ては、この影響が大きく出ている。


実店舗の休業によりネット通販の売上が加速したものの、実店舗のマイナスを補填できなかった。ネット通販の取り組
みをさらに強化し、ネットを使った非接触型のコミュニケーションでお客様との接点を強化する必要性が高まっている。


ビジネスウェアのカジュアル化の加速に対しては、早急なMD修正が必要。ニューノーマル時代のビジネススタイルの開
発が急務。


スーツやジャケットなどの重衣料の構成比が下がっていることや、収入不安による嗜好品への購買欲の低下で商品単
価の下落傾向も見られる。


在庫については、実店舗休業に伴い2020年春夏商品をセールで消化促進を図ったものの、十分な消化は行えなかっ
た。これを機に在庫の持ち方を根本的に見直し、売上総利益率を改善させる必要性が出ている。


コスト構造については、売上低下に耐えられるコスト構造とする必要性があり、コスト構造を抜本的に見直すべきと考え
ている。




                                                         31
■コロナ禍を乗り越えるための当社の強み
一方、当社はコロナ禍を乗り越えるための様々な強みを有している。


一番の強みはお客様との高い信頼関係。高い接客能力、スタイリング提案などを通じたお客様の課題解決力、末永く
当社をご愛顧いただける顧客作りのノウハウなど、当社には実店舗でこれまで培ってきた様々な経験がある。今後、販
路がネット通販にシフトしたとしても、このノウハウをネット通販に取り込んでいくことで、大きな差別化が図れる。


お客様の変化への対応については、トレンド情報だけではなく、社会潮流なども含めて今後のお客様ニーズを予測し、
商品企画につなげていく仕組みを構築している。これまでも商品・販売・宣伝部門が連動してビジネス需要のカジュアル
化に対応するなど、お客様の変化に適応して業績を伸ばしてきた。この対応力を活かすことで、コロナ禍による社会の変
化、お客様のニーズの変化に対しても確実にキャッチアップできると考えている。


今後さらに重要性が高まるネット通販についても、当社は業界平均よりもネット通販の構成比は高く、今後に向けた基
盤はすでに構築されている。将来のOMO体制に向けた準備も行っており、アフターコロナにあるべき販売方法に向けた
変革は進んでいる。


実店舗とネット通販の両チャネルにおいて高いお客様との信頼関係を構築し、お客様の変化に対応した商品を適時に
ご提案していくことで、現在直面している様々な課題は確実に解決できると考えている。




                                                         32
■中期経営計画期間(2021/3-2023/3)の前提条件
続いて、中期経営計画見直しにあたっての前提条件についてご説明する。


大都市商業施設の売上減少が続くが、現在の感染状況やお客様の行動様式の変化などを踏まえると、完全回復には
まだ時間がかかると見ている。これまでのような新規出店を前提とした成長拡大は難しいと考えており、出店戦略、エリ
ア戦略の見直しを図っている。


ビジネス需要の変化は加速し、ニューノーマル時代に適応させた商品構成への練り直しが必要。具体的には2021年春
物商品からの対応を始めているが、過去に例を見ないスピードでの変化のため、仮説検証を繰り返しながら精度を高め
ていくことになる。


実店舗へのご来店が減少する中、ネットを通じた非接触型のコミュニケーションでお客様との接点を強化する必要性が
高まっている。現在、インスタグラムやネットのライブ配信による商品紹介、LINEを使ったオンライン接客など、ソフト面で
の様々な取り組みに着手しており、ここはまだまだ発展できると考えている。並行して自社ネット通販サイトのリニューア
ルを進め、2022年3月期中にはシステムや物流等のハード面の構築を終え、拡充したソフト面の取り組みと融合させた
本格的なOMO施策に取り組む。


当社では市場環境がコロナ禍前に完全に戻るとは想定してなく、新しい環境への対応にはある程度の時間を要すると
考えている。それを踏まえると、当中期経営計画の期間においては、この環境変化に対応できる企業に切り替え、事業
の継続性を担保する収益性の向上に優先順位を置くべきと判断した。




                                                             33
■新中期経営計画 2021/3-2023/3
新しい中期経営計画の基本方針は「危機に打ち勝ち、稼ぐ力を取り戻す」。この3年間をかけてコロナ禍で起きた不可
逆的な変化に対応し、収益性の高い企業体に生まれ変わり、今後の成長に向けた土台を作る。取り組み項目としては
「収益構造を抜本的に見直す」、「稼ぐ力を取り戻す」の二つを掲げ、様々な施策を進める。


財務目標についても一部修正。中期最終年度の連結営業利益は従来目標の90~100億円から70~80億円に引き下げ、
今期見込みから135~145億円の改善を目指す。ROEについては12~14%と据え置く。配当性向については、今後の投
資計画を含む財務状況や金融市場の動向等を見極めたのちに開示予定である。当社では、株主様価値の向上を引き
続き重要な経営課題として認識しており、まずは業績を早期に回復させることで、応援いただいている株主・投資家の皆
様に報いていきたいと考えている。




                                                             34
■新中期経営計画「収益構造を抜本的に見直す」
取り組み項目の一つ、「収益構造を抜本的に見直す」についてご説明する。


不採算な子会社、事業、店舗を見極め、退店や統廃合などを行う。現段階で連結店舗数の10%程度の退店を見込み、
引き続き検討を続ける。


本部組織についても、機能や業務を洗い出し、重複する業務、付加価値の低い業務を精査する。業務の削減、組織の
括り直しなどにより、生産性を高める。今春から進めているリモートワークを継続しつつ、現在一部でフリーアドレス性を
導入し、在宅と出勤のバランスをとった勤務体制を見極めるためのトライアルを実施中。ここから出た課題を抽出した上
で、今後拡大する方針。最終的に現在数か所に分散している本部オフィスを主要2拠点に集約し、固定費の抑制につな
げる。


人事施策については、採用抑制と退職者による自然減などで中期最終年度までに10%程度の人員数の減少を見込む。
業務を効率化した上で、人材をネット通販やカスタマーサポートなどの今後の重要分野に戦略的に配置。コロナ禍による
売上減に対して人件費を抑制しきれなかったことも、今期の赤字予想の要因の一つ。そのため、人件費の下方硬直性を
是正し、業績との連動性の高い報酬制度へ変更する。今年5月から続けている役員報酬の一部返上についても、今期
末まで継続。


在庫効率の向上による売上総利益率の改善については、在庫改善プロジェクトを立ち上げ、あるべき在庫の持ち方に
向けた討議を行っている。在庫の増加要因の分析、在庫量を最適化する仕組み作り、在庫状況を管理するKPIの設定と
評価制度との連動を図り、効率的な在庫運営を目指す。この取り組みでセール販売や在庫評価損の抑制を図り、売上
総利益率を改善させる。




                                                          35
■新中期経営計画「稼ぐ力を取り戻す」
「稼ぐ力を取り戻す」については、主力事業の収益改善、新しい時代に即した事業開発、OMOの推進を進める。


主力事業の収益改善については、主要な取り組みをご説明する。商品面の改善については、今秋冬から進めている
シーズンMDの変更とシーズンレス商品投入により、気候変動への対応力を高める。あわせてニューノーマルを見据えた
商品開発を行い、お客様ニーズの変化に対応する。具体的にはカジュアルを強化してビジネス需要の変化を捉え、ワン
マイルウェアの開発、アウトドア、ヨガなどのウェルネス商品を拡充し、新たな需要に対応する。価格帯についてはトレン
ドマーケットおよびミッドトレンドマーケットにおいて、カジュアル商品の価格帯を下に広げ、新たな需要を獲得する。当社
の強みであるお客様の変化への対応力を活かし、これらの取り組みを成功させる。


販売・宣伝面での改善については、実店舗で培ったお客様との信頼関係をベースとした取り組みを進める。販売スタッ
フを活用し、ネットを通じた商品説明動画の配信、オンライン接客など、非接触型の接客手法を確立する。ネット通販サイ
トでは商品コメントにおいて、生地の手触り、サイズ感や洗濯方法の説明など、実際に店頭で接客する際にお伝えしてい
るような情報まで網羅し、オンラインでの商品訴求力を高める。オンラインでの訴求力向上により、セール構成比が高くな
る傾向のあるネット通販においても定価販売を強化できる。今後、実店舗での買い物においても、来店前にネットで商品
を吟味し、購入したい商品を絞り込んだうえで、短時間で買い物をされる方が増えると予想。実店舗とネット通販の双方
で遜色のない接客力をつけていくことで、お客様の買い方の変化に対応する。


これに加えて、各マーケットに応じた取り組みを並行して進め、既存事業の収益改善につなげる。




                                                           36
■新中期経営計画「稼ぐ力を取り戻す」
新しい時代に即した事業開発については、ニューノーマルを見据えたコンセプトの新規事業開発を行っている。自社
ネット通販サイトを軸にして、従来のような多店舗出店を前提としない業態を考えており、中期期間の後半からスタートす
る予定。GLRとコーエンの中間の価格帯において、新しいお客様層を取り込んでいく考え。


OMOの推進については、ソフト面の充実とハードの刷新の二軸で進める。ソフト面の充実については、商品説明動画
の配信などのSNS活用、オンライン接客や掲載情報のブラッシュアップにおける販売員の関与拡大など、今から着手で
きる取り組みを進めている。ハードの刷新については2022年3月期中を目指し、自社ネット通販サイトのリニューアルを
進める。物流やシステムなどを融合させた仕組みに切り替えることで、実店舗同様のサービスをオンラインでも実現させ
るインフラを構築する。新しい仕組みに充実させたソフト面の取り組みと組み合わせることで、OMOの推進を図る。




                                                           37
■当社の直面する課題と新中期取り組み事項のマトリクス
当社が直面する課題と新中期計画の各取り組み事項をマトリクス化したもの。




                                      38
■業績回復までのステップおよび改善の内訳
最後に業績回復までのステップと内訳をご説明する。コロナ禍を経た中期の前半では、たとえ減収となっても利益を創
出できる体制を目指す。この実行を経て、中期の後半で長期的な成長の土台作りを行う。


中期最終年度の2023年3月期において売上高は1400億円台後半、売上総利益率は50%強を見込む。売上について
は、今期の途中で非連結化するCHJPの売上を除外した場合、180億円強の増加となる。これは主に今期4~5月の緊急
事態宣言に伴い休業した店舗のフル稼働による底上げ、ネット通販の成長によるものである。2023年3月期の売上は、
CHJP非連結化の影響を除き、コロナ禍の影響がなかった2019年3月期の売上の95%程度、売上総利益率は2019年3
月期並みの水準への回復を見込む。


コスト面では、来期および再来期において、採用の抑制、人事施策の改定、不採算な取り組みの精査等により、固定費
の低減を目指す。なお、売上の回復に伴い変動費は発生するものの、これらの固定費の低減により、来期および再来期
の販管費は今期に比較し大きく伸びないと想定している。
今期予定しているコロナ禍に伴う在庫評価損については、基本的に今期限りの計上となるため、来期以降の利益回復
に寄与する。
売上総利益率については、コロナ禍に伴い今期劇的に増加したセール売上構成比を是正するとともに、在庫プロジェク
トの推進で過剰在庫を抑制し、コロナ禍前の水準に戻すことを目指す。この改善に伴い、今期に比較した利益へのプラス
影響は高いものと考える。さらに180億円強の売上回復に対しても、利益の増加が見込まれる。
連結子会社の異動等に伴い、営業利益額のマイナスが発生するが、これを踏まえても、2023年3月期の営業利益額は
70~80億円になる見通し。


当中期経営計画の期間中に収益体質に切り替え、将来に向けた土台作りを行う。




                                                             39
40
41