7518 ネットワン 2021-05-13 15:00:00
再発防止策の追加について [pdf]

                                       2021 年5⽉13⽇

 各 位
                    会 社 名     ネットワンシステムズ株式会社
                     代表者名 代表取締役 社長執行役員 竹下 隆史
                            (コード番号:7518 東証第一部)
                    問合せ先     経営企画本部 IR室 村元 裕二
                                (TEL. 03-6256-0615)



             再発防止策の追加について


 当社は、当社元従業員等による一連の不正取引について、当社のコーポレート・ガバナン
スの信頼を著しく損ない、株主を代表とする当社を取り巻くステークホルダーの皆様に大
変なご迷惑をおかけしており心よりお詫び申し上げます。
 2019年に発覚した当社元従業員による架空取引や循環取引などの不正取引を二度と起こ
さないため、当社では再発防止策を講じ、改善に向けて取り組んでまいりました。しかしな
がら、改善を実施する過程において、2020年10月22日に当社の元従業員による新たな不正取
引の疑義を認識いたしました。これを受けて、当社は、2020年11月2日に当該事案の事実関
係及び当該事案の類似案件の調査等について外部調査委員会に委嘱し、同委員会より2020
年12月14日付で調査報告書を受領し、また、2021年3月18日付で不正事案の原因分析及び再
発防止策の提言についての調査報告書を受領しております。
 一連の不正取引は、短期的な業績向上に注力するために個人の成果主義に依拠した経営
体制であったことを背景として、過去の不正取引を踏まえた取組や部門間の牽制等による
十分なリスク管理体制が構築できていなかったこと、経営陣が現場の状況を十分に把握で
きていなかったことなどが主要因となって生じたものであると考えております。
 当社では、外部調査委員会からの提言を受け、2021年4月1日付で刷新した経営体制の下、
2020年12月16日付で提出した改善状況報告書に記載の再発防止策を全面的に見直して新た
な再発防止策を講じることといたしましたので、別紙のとおりお知らせいたします。今後、
組織単位による中長期的な成長を視野に入れた経営体制へとシフトし、別紙記載の再発防
止策を実行することで内部統制を実効的に機能させ、抜本的な企業統治や企業文化の改革
に全社一丸となって取り組むことにより、信頼回復に向け邁進してまいります。


                                               以上
(別紙)
 Ⅰ 再発防止策について
  今般、当社では、2021年4月1日付で刷新した経営体制の下、2021年3月19日付「再発
 防止策及び今後の対応に関するお知らせ」に記載しましたとおり、新たに実施する施策を
 具体化いたしました。
  当社は、内部統制全般の強化策の実行及び推進、並びに継続的な経営陣によるモニタリ
 ングの関与と更なる改善を目的として内部統制強化協議会を発足しており、再発防止策
 についても内部統制強化協議会にて推進、モニタリングを実施してまいります。
  内部統制強化協議会は、社長を統括責任者、執行役員経営企画本部長を統括推進役とし、
 以下の1から8までの再発防止策について、管理部門の執行役員本部長及び社長直轄組
 織の室長から、その責任者を任命しております。また、各責任者の下には、具体策の推進
 を担う部室長が推進リーダーとして配置され、全社横断的な人員構成となっております。


                      取締役会
                                       内部統制強化協議会
                                     (統括責任者:竹下代表取締役)

                                                  統括推進役:経営企画本部本部長




            1.ガバナンス           2.リスク管理体制           3.業務執行に係る          4.監査体制の
            の改革と推進                の強化           体制及び社内体制の強化         抜本的な見直し
           経営企画本部長            リスク管理室長             業務統制本部長            内部監査室長



   具体策①   具体策②        具体策⑤
    推進      推進          推進
   リーダー    リーダー        リーダー




           5.従業員の声を            6.組織文化の          7.会計リテラシー教育及び       8.モニタリング体制
            集める仕組み              改革・形成           過去不祥事からの学び,啓蒙           の継続
          コンプライアンス室長           管理本部長               管理本部長              業務統制本部長




                                         1
 また、再発防止策に関係する会議体、組織体制は下記の図のとおりです。

                      株主総会(株主)


                   取締役会          監査役会           会計監査人
    諮問委員会

   リスク管理委員会

  内部統制強化協議会

                代表取締役社長
                (社長執行役員)
                                    第3ライン
        経営委員会
                                    内部監査部門
                                     内部監査室
  コンプライアンス委員会
                                    第2ライン
                   執行役員
                                     管理部門
  企業文化改革委員会                        リスク管理室
                                  コンプライアンス室


     第1ライン       第1.5ライン            第2ライン
    営業/技術部門      業務統制部門              管理部門
                                    経営企画本部
     事業本部         業務統制本部          (経営企画部、財務経理部、
   ビジネス開発本部      (業務管理部、購買部、             部、法務室)
  カスタマーサービス本部   営業統轄室、業務企画室)            管理本部
                                    (総務部、人事部)


 各会議体の目的については、「1.(1)経営陣が自ら意識改革をし、企業文化の改革
を推進する」の「e.ガバナンスを司る会議体に関する変更」の項目を、各委員会の管
掌取締役、委員長については、
             「1.(5) 取締役会による監督強化・ハンズオン」の
「c.取締役による重要な委員会活動のハンズオン」の項目をご参照下さい。
 また、各会議体、各組織における活動、各会議体・各組織間の連携については、後記
において記載しております再発防止策の各項をご参照下さい。


 なお、後記において記載しております再発防止策の一覧は以下となります。
 また、2020年12月16日付で提出した改善状況報告書に記載の再発防止策を強化した施
策を【継続的強化策】
         、問題を繰り返さないという視点から再発防止策を全面的に見直し
た結果、今回新たに追加する施策を【追加施策】としております。

                  再発防止策
1.ガバナンスの改革と推進
【継続的強化策】
(1)               a    コンプライアンス活動宣言及びその実施



                       2
                     再発防止策
      経営陣が自ら意識改革を    b コンプライアンス教育の実施
      し、企業文化の改革を推進   c コンプライアンス室の設置
      する             d 上場会社における取締役の役割と責任等に
                       係る取締役研修の実施
                     e ガバナンスを司る会議体に関する変更
                     f 内部監査結果の報告体制の整備
(2)   組織体制の在り方について   a 3ラインに係る組織体制の見直し
      抜本的な見直しを行う     b 営業部門・技術部門における業務内容・牽
                       制機能の明確化
                     c 購買部及び管理部門における業務内容・牽
                       制機能の明確化
                     d 明確化した各部門の業務内容・牽制機能の
                       実効性の確保
                     e 従業員に対する各部門の役割の理解促進の
                       機会の設定
                     f 役員・執行役員の管掌部門の見直し
                     g   人員配置の見直し
(3)   従業員へのメッセージの頻   a   従業員へのメッセージ発信の頻度・質の強
      度・質の強化によるコンプ       化
      ライアンス意識の向上
(4)   業務を執行する現場と経営   a   取締役と執行役員のコミュニケーション強
      陣との乖離を埋めるコミュ       化
      ニケーションの強化      b   コンプライアンス教育の実施等を通じたコ
                         ミュニケーション強化
                     c   コミュニケーション促進のための職場環境
                         づくり
                     d   中間管理層に対する役割意識の教育
                     e   ボトムアップでの課題認識及び課題解決
【追加施策】
(5) 取締役会による監督強化・     a   内部監査室による取締役会及び経営委員会
    ハンズオン                に対する再発防止策の実施状況の内部監査
                         結果の報告
                     b   執行役員による各担当部署の日常的モニタ
                         リングの実施
                     c   取締役による重要な委員会活動のハンズオ
                         ン
                     d   取締役による重要会議の資料等へのアクセ
                         ス体制の構築
                     e   取締役会の運営方法の見直し
                     f   取締役のスキル・マトリックスの開示
                     g   取締役会の運営に係る社内体制の再構築
(6)   社外役員(諮問委員会も含   a   社外役員による重要会議の資料等へのアク
      む)による監督・監査強化       セス体制の構築
                     b   社外役員と内部監査室との連携強化
                     c   役員間の情報共有の充実
                     d   社外役員による監督・監査強化のための取
                         締役会の運営方法の見直し


                         3
                   再発防止策
                   e 株主との対話
(7) コンプライアンスに関する   a 取締役候補者及び執行役員の選任基準の見
    資質・能力を有する取締役     直し
    候補者及び執行役員の選任
2.リスク管理体制の強化
【継続的強化策】
(1) リスクオーナーとしての第   a   第1ラインの自覚の醸成及び第2ラインと
    1ラインの自覚の醸成・第       しての意識改革
    1ラインへの牽制支援を担
    う第2ラインとしての意識
    改革
(2) リスク管理委員会による網   a   不正リスクに対する組織体制及び運用方法
    羅的かつ主体的マネジメン       の設計
    ト能力の強化         b   リスク調査シートによるリスク管理強化
                   c   リスク管理委員会へのリスク情報の集約
                   d   顕在化したリスクの社内共有
                   e   内部統制強化協議会との連携
(3) リスク管理室の体制の強化   a   専任のリスク管理室長の任命
(4) リスク管理委員会及びコン   a   リスク管理委員会及びコンプライアンス委
    プライアンス委員会等への       員会等への外部有識者の参画
    外部有識者の参画
【追加施策】
(5) 有事対応への備え(クライ    a  有事対応マニュアルの整備
    シスマネジメント)
3.業務執行(第1ライン・第 1.5 ライン、第2ライン)に係る体制及び社内体制の強
化
【継続的強化策】
(1) 第1ライン及び第 1.5 ライ a  営業部門と技術部門及び購買部との間の情
    ンにおける営業部門に対す       報の共有化
    る牽制の強化          b  販売及び購買プロセスに関する規程の見直
                       し
(2) 第2ラインにおける管理部    a  管理部門間の意見交換の場の設定
    門間の連携強化及びチェッ
    ク・フォローアップ体制の    b  財務経理部によるチェック体制の整備
    整備・強化による健全な牽
    制・支援体制
(3) 原価管理体制の強化(予算    a  財務経理部による案件単位での検証
    管理ルールの再考等)      b  原価付替防止のための原価管理策の導入
                   c   追加原価の申請ルールの再考
                   d   取引の妥当性について審査する仕組みの導
                       入
4.監査体制の抜本的な見直し
【継続的強化策】
(1) 内部監査室の体制強化・人   a   内部監査室の人員構成の変更、資格の推奨
    員構成の変更・権限強化        及び取得サポートの導入
                   b   内部監査機能の強化
                   c   内部監査に係る研修の実施・参加


                       4
                      再発防止策
                      d 営業部門全体での不備ゼロ運動の横断的実
                        施とその実施状況のフォロー・検証等
                      e 内部監査への協力義務を社内規程に明記
                      f 内部監査室の役割の見直し
【追加施策】
(2) 内部監査室のキャリアパス      a   内部監査室のキャリアパス化
    化(部署としての地位・役
    割向上)
(3) J-SOX 業務の抜本的見直し   a   J-SOX 統制文書の見直し
                      b   J-SOX 評価の見直し
                      c   J-SOX の管理部門の明確化
                      d   J-SOX に係る研修等の実施
(4)   監査役の体制強化        a   取締役との定期的な意見交換
                      b   内部監査室との定期的な意見交換
                      c   不正事案等に係る研修への参加
                      d   監査役に会計リテラシーが高い者を起用
(5) 内部監査室と会計監査人の      a   内部監査室と会計監査人との連携強化
    連携強化
5.従業員の声を集める仕組み
【継続的強化策】
(1) 内部通報制度に対する信頼      a   内部通報規程の整備及び内部通報制度の周
    の醸成                   知・教育活動
【追加施策】
(2) 第三者を窓口とした目安箱      a   第三者を窓口とした目安箱
6.組織文化の改革・形成
【継続的強化策】
(1) コンプライアンスの強化を      a   営業個人インセンティブルールの廃止
    目的とした人事制度改革       b   コンプライアンスの状況を盛り込んだ人事
                          評価制度及びコンプライアンス意識の浸透
                          度の確認
(2)   会社としての一体感に関連    a   企業文化改革委員会の発足
      する企業文化改革        b   経営ビジョン・行動指針の見直し
                      c   ビジョンブック作成・電子掲示板での特設
                          サイト設置
                      d   ビジョンウィークの企画、実行計画の策定
                      e   行動指針に基づく行動宣言の策定と浸透
(3) 当事者意識の醸成・他人事      a   人事ローテーションの確立
    文化の打破
7.会計リテラシー教育及び過去不祥事からの学び・啓蒙
【追加施策】
(1) 会計リテラシーの向上・会 a  会計リテラシーの向上・会計知識教育
    計知識教育        b  自社及び他社の不正事例の事例研究会
(2) 過去不祥事からの学び・啓 a  過去不祥事の全従業員に対する周知活動
    蒙
(3) 日々の失敗事例(ヒヤリハ a  失敗事例からの学び
    ット)からの学び
8.モニタリング体制の継続


                          5
                   再発防止策
【追加施策】
(1) 「内部統制強化協議会」に   a   内部統制強化協議会による再発防止策の推
    よる全社横断的かつ継続的       進
    な再発防止策の推進
(2) 不正等(会計不正に限らな   a   内部監査以外の定期的な調査
    い)の有無に係る、内部監
    査室による内部監査とは別
    個の定期的な調査の実施




                       6
1.ガバナンスの改革と推進


【継続的強化策】
(1) 経営陣が自ら意識改革をし、企業文化の改革を推進する
 a.コンプライアンス活動宣言及びその実施
   コンプライアンスに関する企業文化の改革推進のため、各本部は、自部門で取り
  組むべきコンプライアンスに関する活動を主な内容として取りまとめたコンプラ
  イアンス活動計画を策定し、それを実施しております。コンプライアンス活動計画
  の内容及びその進捗状況については、経営委員会で四半期毎に継続的にモニタリ
  ング(具体的には、各本部が経営委員会に対してコンプライアンス活動計画の内容
  及びその進捗状況について報告をし、経営委員会が各本部に対してこれらについ
  てのフィードバックを行います。)を実施しております(なお、昨年度まではコン
  プライアンス委員会がかかるモニタリングを実施していましたが、モニタリング
  の重要性を踏まえ、今年度からは、コンプライアンス委員会の上位機関として同委
  員会を管掌する経営委員会がかかるモニタリングを実施しております。)。また、
  取締役及び全従業員(主要子会社へ出向している従業員を含みます。以下同じ。)
  は、コンプライアンス活動計画を踏まえ、自身が取り組むべきコンプライアンスに
  関する活動を宣言し、社内に公開しております。加えて、取締役や幹部(部長職以
  上の者を指します。以下同じ。)の宣言状況等については、取締役会又は経営委員
  会で四半期毎にレビューしております(取締役会では取締役及び執行役員の宣言
  状況等をレビューし、経営委員会では部長の宣言状況等をレビューしておりま
  す。)。
   これらにより、取締役及び全従業員がコンプライアンスに関する認識を深める
  ことで、コンプライアンスに関する企業文化の改革推進につなげていきたいと考
  えております。


 b.コンプライアンス教育の実施
   コンプライアンスに関する企業文化の改革推進のため、新設したコンプライア
  ンス室(詳細については、「1.(1) 経営陣が自ら意識改革をし、企業文化の改
  革を推進する」の「c. コンプライアンス室の設置」の項目に記載の内容をご参照
  願います。)を主管部署として、各部門において、自部門のコンプライアンス活動
  計画についてディスカッションする「意見交換会」と(自社及び他社の事例も含め
  た)過去事例を題材にディスカッションする「事例研究会」をそれぞれ四半期に1
  回開催します。「意見交換会」の題材はコンプライアンス室に事前に各部門から提
  出された自部門のコンプライアンス活動計画とし、
                        「事例研究会」の題材は不正営




                   7
業取引、不正会計、ハラスメントの事例などをコンプライアンス室があらかじめ準
備することを想定しております。
 なお、「意見交換会」及び「事例研究会」の実施状況については、各部門がコン
プライアンス室に対して報告し、これをコンプライアンス室が経営委員会に対し
て報告することで、経営委員会がコンプライアンス室とともに「意見交換会」及び
「事例研究会」の実施状況をモニタリングする体制としております。
 これらにより、全従業員(主要子会社へ出向している従業員を含みます。以下同
じ。)のコンプライアンスに関する理解度を向上させることで、コンプライアンス
に関する企業文化の改革推進につなげていきたいと考えております。
 なお、「事例研究会」の詳細については、「7.(1) 会計リテラシーの向上・
会計知識教育」の「b. 自社及び他社の不正事例の事例研究会」の項目に記載の内
容をご参照願います。


c.コンプライアンス室の設置
 コンプライアンスに関する企業文化の改革推進のため、コンプライアンス強化
を推進する第2ラインの組織としてコンプライアンス室を設置いたしました。コ
ンプライアンス室は、室長を含めて6名体制であり、代表取締役社長直轄の組織と
して、代表取締役社長に直接、コンプライアンス室の業務(コンプライアンス室の
主な業務は、後述のとおりです。)の状況を報告します。なお、取締役会、経営委
員会に対しては、コンプライアンス室から報告を受けた代表取締役社長が、コンプ
ライアンス室に関する業務のうち重要な事項について報告をすることになります。
 コンプライアンス室の主な業務は、内部通報相談窓口の担当、コンプライアンス
教育、コンプライアンス活動計画と「事例研究会」の進捗状況のモニタリング等で
す。
 なお、第2ラインとしてのコンプライアンス室の業務執行の適正性については、
常勤監査役及び第3ラインとしての内部監査室による、独立的、客観的な立場から
の監査を受けることになります(なお、常勤監査役はそれら監査の結果を監査役会
に報告することになります。)。
 コンプライアンス室が以上の活動を行うことにより、当社のコンプライアンス
強化を進め、コンプライアンスに関する企業文化の改革を推進します。


d.上場会社における取締役の役割と責任等に係る取締役研修の実施
 コンプライアンスに関する企業文化の改革推進のため、人事部を主管部署とし
て、取締役に対し、コーポレート・ガバナンスやコンプライアンスを熟知した外部
講師(弁護士、公認会計士等)による、上場会社における取締役の役割と責任、コ
ーポレート・ガバナンスやコンプライアンスの在り方、リスク管理の在り方等に係



                  8
   る研修を実施(半期に1回、2月と7月を予定)してまいります。また、研修の都
   度、事後にアンケートとテストを実施することにより、その浸透度を確認するとと
   もに、アンケートとテスト結果は人事部が集約し保管します。また、保管されたア
   ンケートとテスト結果は、人事部が研修の内容の浸透度を確認するエビデンスと
   して、取締役会への報告に利用します。
    これにより、取締役のコーポレート・ガバナンスやコンプライアンスの在り方、
   リスク管理の在り方等に関する知識を深め、コンプライアンスに関する企業文化
   の改革を推進します。


  e.ガバナンスを司る会議体に関する変更
    ガバナンスの改革と推進のため、2021 年4月1日付で次の変更を行っておりま
   す。
    まず、取締役会による監視監督強化を目的として、①経営委員会の直属の機関で
   あったリスク管理委員会を取締役会の直属の機関に変更し、また、②2021 年3月
   19 日付の「再発防止策及び今後の対応に関するお知らせ」でご報告しておりまし
   た「内部統制強化協議会」を新たに取締役会の直属の機関として設置しています。
    この変更により、取締役会による監視監督を強化するとともに、経営陣のコーポ
   レート・ガバナンスに関する意識改革を促すことで、ガバナンス改革の推進につな
   がっていると考えています(ガバナンスを司る各会議体の目的については下表の
   とおりです。また、それら会議体の体系に関しては、
                          「Ⅰ.再発防止策について」の
   冒頭の文章に記載の体制図をご参照願います。。
                        )


  会議体名                      目的
諮問委員会       経営の透明性・公正性を高め、コーポレート・ガバナンスを強化す
            るため、取締役会の議長の諮問を受けて、取締役及び執行役員の
            選任、解任及び報酬等に関する事項を審議し、取締役会へ答申す
            ること
リスク管理委員会    当社グループのリスク管理活動に関する重要な事項を検討し、取
            締役会へ答申すること
内部統制強化協議会   内部統制全般の強化策の実行及び推進方法、並びに継続的な経営
            陣によるモニタリングの関与と更なる改善案を取締役会へ答申す
            ること
経営委員会       経営活動の効率化を図るため、会社経営に関する基本的又は重要
            な事項を審議、決裁すること




                     9
コンプライアンス委   当社グループのコンプライアンス活動に関する重要な事項を検討
員会          し、経営委員会へ答申すること
企業文化改革委員会   企業文化の改革を図るため、企業理念や行動指針の見直し、ビジ
            ョン浸透活動、人事評価制度の見直しを検討し、経営委員会へ答
            申すること


     f.内部監査結果の報告体制の整備
      「4.(1) 内部監査室の体制強化・人員構成の変更・権限強化」の「b. 内部
     監査機能の強化」の項目に記載の内容をご参照願います。


(2) 組織体制の在り方について抜本的な見直しを行う
     a.3ラインに係る組織体制の見直し
      リスク管理の観点から組織体制の見直しを行い、いわゆる3ラインの概念に基
     づき、営業部門・技術部門(具体的には、事業本部、ビジネス開発本部及びカスタ
     マーサービス本部)を第1ライン、第1ラインを監視する業務統制部門(具体的に
     は、業務統制本部。なお、業務統制本部には購買部も含まれます。)を第 1.5 ライ
     ン、管理部門(具体的には、経営企画本部、管理本部、リスク管理室及びコンプラ
     イアンス室)を第2ライン、内部監査部門(具体的には、内部監査室)を第3ライ
     ンと位置付けることにより、各部門による牽制機能の強化を図っております。
      これら3ラインに係る組織体制に関しては、
                         「Ⅰ.再発防止策について」の冒頭の
     文章に記載の体制図をご参照願います。
      なお、業務統制本部は、より現場に近い立場(第 1.5 ライン)から業務統制を行
     う部署として今年度新設された部署であり、営業統轄室、業務管理部(旧営業管理
     室)、購買部、業務企画室から構成されます。業務統制本部では、営業取引に係る
     受注前及び受注後の活動(具体的には、顧客登録、案件登録・推進、見積作成、受
     注計上、売上計上等)のうち、受注前段階までの案件状況については営業統轄室が、
     受注以降の売上計上及び債権回収業務については業務管理部が、発注及び仕入業
     務については購買部がそれぞれ確認・精査を実施します。その他、業務企画室は業
     務ガイドラインやチェックリストの作成を実施します。また、業務統制本部では、
     それら活動の結果を内部統制強化協議会に報告します。


     b.営業部門・技術部門における業務内容・牽制機能の明確化
      営業部門・技術部門における業務内容・牽制機能の明確化のため、業務統制本部
     において、営業取引に係る受注前及び受注後の活動(具体的には、顧客登録、案件
     登録・推進、見積作成、受注計上、売上計上等)における各部門の業務内容や牽制
     項目を洗い出し(詳細は「3.(1) 第1ライン及び第 1.5 ラインにおける営業部



                        10
門に対する牽制の強化営業部門に対する牽制の強化」の「b.販売及び購買プロセ
スに関する規程の見直し」の項目に記載の内容をご参照願います。)、業務ガイド
ラインやチェックリストを作成します。営業部門・技術部門においては、それらに
基づき業務を実施し、案件ごとのチェック項目の履践状況をチェックリストに記
録します。
 これにより、営業部門・技術部門における牽制機能が強化されると考えておりま
す。


c.購買部及び管理部門における業務内容・牽制機能の明確化
 購買部及び管理部門における業務内容・牽制機能の明確化のため、業務統制本部
において、購買部及び管理部門における業務内容や牽制項目を洗い出し(詳細は
「3.(1) 第1ライン及び第 1.5 ラインにおける営業部門に対する牽制の強化営
業部門に対する牽制の強化」 「b.
             の   販売及び購買プロセスに関する規程の見直し」
の項目に記載の内容をご参照願います。)、業務ガイドラインやチェックリストを
作成します。購買部・管理部門においては、それらに基づき業務を実施し、案件ご
とのチェック項目の履践状況をチェックリストに記録します。これらについては、
2021 年5月以降順次実施してまいります。
 これにより、購買部及び管理部門における牽制機能が強化されると考えており
ます。


d.明確化した各部門の業務内容・牽制機能の実効性の確保
 業務統制本部において、上記 b.及び c.に記載のチェックリストを逐次確認する
ことで、営業部門、技術部門、購買部及び管理部門がチェック項目を確実に履践し
ているかについて確認・精査します。また、業務内容・牽制項目を変更する際には、
その内容を業務ガイドラインやチェックリストに適宜反映し、その履践状況まで
確認いたします。
 これらにより、明確化した各部門の業務内容・牽制機能の実効性を確保してまい
ります。


e.従業員に対する各部門の役割の理解促進の機会の設定
 四半期毎の全社会議(全役職員が参加します。なお、全役職員は、主要子会社へ
出向している従業員を含みます。以下同じ。)における各本部のオペレーション状
況(具体的には、各部門の部門戦略・目標についての活動状況・取組内容とこれら
の今後の予定)の共有により、従業員が自身の所属する部門や他部門の役割を理解
する機会を設定してまいります(この施策は、2022 年3月期第2四半期より実施
してまいります。)。



                 11
   これにより、従業員の各部門の役割に関する理解を深めてまいります。


 f.役員・執行役員の管掌部門の見直し
   各部門間の対等なパートナーシップ形成のために、各部門を管掌する役員・執行
  役員を置き、各部門が対等に意見を述べ、牽制することができるような体制を 2021
  年4月1日付機構改革(取締役会及び経営委員会にて決定しております。具体的な
  内容については、2021 年3月 26 日付「2021年4月1日付 機構改革及び幹部
  人事異動のお知らせ」をご参照願います。)において整備いたしました。この機構
  改革は、昨年度の中期事業計画策定の過程で議論をし、当該議論を踏まえた内容と
  なっております。今後も、取締役、執行役員、本部長等が出席する中期事業計画策
  定会議において役員・執行役員の管掌部門が適切かどうか毎年検証し、見直しを図
  ってまいります。これにより、各部門が対等に意見を述べ、牽制することができる
  ような体制を維持してまいります。


 g.人員配置の見直し
   各部門・部署・委員会等の役割を実効的に機能させるため、それぞれの役割に応
  じた十分な知見や能力を有する者を各部門・部署・委員会等に配置してまいります。
  各部門・部署・委員会等の役割を果たす上で必要な知見や能力、人数規模について
  は、昨年度の中期事業計画策定の過程で、取締役、執行役員、本部長等が中心とな
  って議論しており、2021 年4月1日付機構改革(取締役会及び経営委員会にて決
  定)は、当該議論を踏まえた内容になっております。
   今後も、取締役、執行役員、本部長等が出席する中期事業計画策定会議において
  各部門・部署・委員会等の役割を果たす上で必要な知見・能力・人数規模と実際の
  人員配置の状況を毎年検証し、見直しを図ることで、各部門・部署・委員会等にそ
  れぞれの役割に応じた十分な知見や能力を有する者が配置されるようにしてまい
  ります。


(3) 従業員へのメッセージの頻度・質の強化によるコンプライアンス意識の向上
 a.従業員へのメッセージ発信の頻度・質の強化
   当社では、従業員のコンプライアンス意識の向上のため、以下のとおり、従業員
  に対するメッセージ発信を実施しております。
   ・外部調査委員会の報告書の内容のビデオメッセージ配信(2021年3月19日実施)
   ・2022年3月期重点施策のビデオメッセージ配信(2021年3月26日実施)
   ・外部調査委員会による幹部を対象とした集合ミーティングの実施(2021年3月
    26日実施)




                    12
   ・継続的なトップメッセージの配信(月1回の定期的な取締役ビデオメッセージ
    の配信を実施するとともに、ビデオに対する従業員の声を収集し、寄せられた
    質問、意見に対しての回答を開示することにより、従業員の理解を深めており
    ます。なお、かかる活動は今後も継続して実施してまいります。)
   今後、当社では、従業員のコンプライアンス意識の向上を更に徹底するため、年
  4回開催される全社会議や毎月開催される幹部会において経営トップのメッセー
  ジを発信する際に、例えば全社会議では役員間のトークセッションにより従業員
  に理解しやすい表現での配信を行い、幹部会においては参加する幹部へ毎回トッ
  プメッセージを伝え、それを配下組織に確実に伝達させることで、メッセージ発信
  の強化を図ります。また、タテのコミュニケーション機会として、全従業員を対象
  に、経営陣と少人数の従業員が語り合うRCT
                      (Respect、Communication、Teamwork)
  というディスカッションのイベントを2021年4月から2022年1月まで全64回にわ
  たり開催することで、経営陣が従業員に直接トップメッセージを伝えるとともに、
  従業員がビジョンを自分ゴトとして捉え、考える機会としてまいります。更に、ヨ
  コのコミュニケーション機会として、2021年5月から7月にかけて全12回のワー
  クショップ(ビジョンワークショップ)を開催し、
                        「企業にとってなぜ理念が必要
  か?行動指針を自分の言葉で語る」をテーマに、参加する従業員同士が、トップメ
  ッセージや企業理念・ビジョンをもとに、自身の行動指針について語り合うことで、
  各人の行動指針についての理解を深める場を設けていきます。また、四半期ごとに
  行う上司と部下の面談(One On One)時に、上司が部下のトップメッセージや行動
  指針に対する理解度を確認することで、継続的なモニタリングを実施してまいり
  ます。
   これらの施策により、従業員へのメッセージ発信の頻度・質が高まり、従業員の
  コンプライアンス意識の向上を更に徹底できると考えております。


(4) 業務を執行する現場と経営陣との乖離を埋めるコミュニケーションの強化
 a.取締役と執行役員のコミュニケーション強化
   執行役員から取締役に対する業務についての情報提供の機会を増やすことを目
  的として、取締役、執行役員、必要に応じて関連部署が参加する会議を 2021 年5
  月より、毎月1回以上開催し、執行役員からの業務報告をもとに、その報告内容に
  ついて、同会議の出席者間で十分なディスカッションを行う機会を設けます。これ
  により、各業務を執行する現場と経営陣との間の業務に関する認識の乖離を埋め
  るコミュニケーションの強化につながると考えております。


 b.コンプライアンス教育の実施等を通じたコミュニケーション強化




                        13
 業務を執行する各部門(主要な子会社において業務を執行する各部門を含みま
す。以下同じです。
        )と経営陣とのコミュニケーションを強化するため、以下の施
策を実施します。
 まず、業務を執行する各部門において、自部門のコンプライアンス活動計画につ
いてディスカッションする「意見交換会」と、過去事例を題材にディスカッション
する「事例研究会」(詳細は「7.(1) 会計リテラシーの向上・会計知識教育」
の「b. 自社及び他社の不正事例の事例研究会」の項目に記載の内容をご参照願い
ます。 をそれぞれ四半期に1回開催し、
   )               これらの「意見交換会」 「事例研究会」
                              や
において出された、コンプライアンス活動計画や自社及び他社の不正事例等に対
する当該各部門の意見をコンプライアンス室に集約いたします。そして、コンプラ
イアンス室が事務局となり、各部門を管掌する経営陣と管掌対象となる各部門の
従業員との間で、前述の「意見交換会」と「事例研究会」において各部門から出さ
れた意見を題材とし、コンプライアンスに関する意見交換(半期に1回を予定)を
行う機会をつくってまいります。意見交換の実施履歴はコンプライアンス室で集
約し、経営委員会へ報告することで継続的な活動として取り組んでまいります。
 これにより、経営陣が管掌する各部門の意見に耳を傾けることができるととも
に、コンプライアンス意識を共有することができ、コミュニケーションの強化につ
ながると考えております。


c.コミュニケーション促進のための職場環境づくり
 社内全体のコミュニケーションの促進のため、コンプライアンス室が主管とな
り、オフィス、タッチダウンオフィス、テレワークの利用に関するガイドラインを
策定し、2021 年7月を目途に周知することで、部門・役職員がコミュニケーショ
ンをとりやすい環境を整備してまいります。


d.中間管理層に対する役割意識の教育
 中間管理層(マネージャーを指します。以下同じ。)に対して、経営陣のメッセ
ージを正確に理解・共有して現場に根付かせるとともに、現場の声を束ねて経営陣
に伝えるという中間管理層の役割(ハブ機能)についての意識を浸透させるため、
コンプライアンス室が事務局となり、 ラーニングもしくは集合研修によるトレー
                 e
ニング(半期に1回を予定)を実施します。
 また、各部門では、2022 年3月期上半期と下半期それぞれの期初に、中間管理
層に、上記の中間管理層の役割についての個人目標を設定させ、期末に、実際に中
間管理層が果たした役割を評価してまいります。
 これにより、中間管理層のハブ機能が強化され、経営陣と経営陣が管掌する各部
門とのコミュニケーションの強化につながると考えております。



                14
  e.ボトムアップでの課題認識及び課題解決
    経営陣と経営陣が管掌する各部門とのコミュニケーションを更に強化するため、
   リスク管理委員会及びコンプライアンス委員会が主体となって、リスク管理委員
   会、コンプライアンス委員会、及び社員会(各部門から募集される約 20 名の従業
   員で構成されます。)の各選抜メンバーが定期的(四半期に1回、初回は 2021 年
   7月を予定)にディスカッションできる場を設け、コンプライアンスに係る従業員
   の意見を題材として、解決に向けたディスカッションを実施します。そして、この
   結果を内部統制強化協議会に集約し、内部統制強化協議会から取締役会に共有い
   たします。これにより、トップダウンだけではなくボトムアップでの課題認識と課
   題解決のためのコミュニケーションが促進され、経営陣と経営陣が管掌する各部
   門とのコミュニケーションの強化につながると考えております。
    このディスカッションの活動状況はリスク管理委員会及びコンプライアンス委
   員会に対する必須報告事項として位置づけ、継続的にかかるディスカッションの
   実施に取り組んでまいります。


【追加施策】
  (5) 取締役会による監督強化・ハンズオン
  a.内部監査室による取締役会及び経営委員会に対する再発防止策の実施状況の内
    部監査結果の報告
    第3ラインである内部監査室は、取締役会及び経営委員会において、再発防止策
   の実施状況についての継続的かつ独立的な内部監査結果の報告を実施しておりま
   す。
    取締役会及び経営委員会は、かかる報告を踏まえ、再発防止策が適切に実施され
   ているかをモニタリングしてまいります。


  b.執行役員による各担当部署の日常的モニタリングの実施
    各執行役員は、各自が担当する部門の業務上のリスクについて日常的モニタリ
   ングによって自己点検を実施し、その結果について当該部門を管掌する取締役に
   報告しております。報告を受けた取締役は、内部監査室による内部監査結果及び執
   行役員による日常的モニタリングの結果の報告に基づき、内部統制強化協議会及
   びリスク管理委員会に対して内部統制についての必要な改善施策を諮問した上で、
   内部統制について必要な改善施策を検討し、適時、必要な見直しを図ってまいりま
   す。


  c.取締役による重要な委員会活動のハンズオン



                    15
     ガバナンスの強化のため、リスク管理委員会等、ガバナンスに関する重要な委員
    会活動については、委員会を管掌する取締役を設置するか、または、取締役自らが
    委員会の委員長を務めることで、各取締役が各委員会の活動内容を直接的に把握
    し、各取締役が委員会の活動内容を取締役会に答申または活動報告できる体制を
    構築しております(以下の表をご参照願います。)。


   委員会名        管掌取締役             委員長        事務局
  諮問委員会           ※             今井取締役    諮問委員会事務局
 リスク管理委員会     竹下取締役(CRO)        石橋執行役員    リスク管理室
内部統制強化協議会         ※             竹下取締役     経営企画本部
  経営委員会           ※             竹下取締役     経営企画部
コンプライアンス委員会    田中取締役            成田副本部長   コンプライアンス室
企業文化改革委員会      竹下取締役            岩本執行役員      総務部
 ※取締役自らが委員長を務めることにより、取締役が委員会の活動内容を直接的に把握
しております。


  d.取締役による重要会議の資料等へのアクセス体制の構築
     取締役が業務執行機関の適切な監督を行うために、2021 年5月から、従来から
    アクセス可能であった過去の履歴も含めた議案書、報告資料、議事録に加え、業務
    上の必要性のある範囲(議案や報告事案の適否を判断するうえで追加的に必要な
    資料・データとして、取締役過半数から要請があった場合には、業務上の必要性の
    あるものとします。)で、経営会議等の重要な会議体に関する資料・データにアク
    セスできる体制を構築してまいります。具体的には、アクセス可能なフォルダの準
    備とそのフォルダへの資料・データの格納や取締役会事務局からの資料・データの
    提供を実施いたします。
     これにより、取締役が業務執行機関を監督するために必要な情報を把握するこ
    とで、取締役が業務執行機関の適切な監督を行うことができるようにします。


  e.取締役会の運営方法の見直し
     取締役が業務執行機関の適切な監督を行うために、取締役会主導で現状の取締
    役会資料の在り方や業務報告の在り方を見直してまいります。
     具体的には、議案の論点や社内での検討状況を十分に把握・理解できるよう議案
    の起案者である管掌取締役が資料を作成し、各取締役が十分な検討時間(少なくと
    も2日程度)を確保できるように取締役会事務局が当該資料を配付いたします。さ
    らに、社外取締役に対しては、わかりにくい専門用語等について説明を加えること
    とし、社外取締役からの事前質問を取締役会事務局が受け付け、可能なものは取締



                           16
  役会事務局が即時回答を行い、時間を要するものについては管掌取締役が取締役
  会当日までに回答を準備します。
   これにより、取締役が業務執行機関を監督するために必要な情報を把握するこ
  とで、取締役が業務執行機関の適切な監督を行うことができるようにします。
   なお、これらの施策は 2021 年5月から実施します。


 f.取締役のスキル・マトリックスの開示
   取締役会は、2021 年6月末までに、経営戦略に照らして取締役が備えるべきス
  キル等を特定した上で、取締役会全体としての知識・経験・能力のバランス、多様
  性及び規模に関する考え方をコーポレートガバナンス・ガイドラインで定めてま
  いります。また、2021 年6月末までに、各取締役の知識・経験・能力等を一覧化し
  たいわゆるスキル・マトリックスをはじめ、経営環境や事業特性等に応じた適切な
  形で取締役の有するスキル等の組み合わせを取締役の選任に関する方針・手続と
  併せて開示してまいります。
   これにより、会社の企業価値向上に必要となる知識・経験・能力を備えた取締役
  を選任することができるようにし、このような取締役が実際に選任されることで、
  継続的に取締役会による十分な監督が図られるようにしてまいります。


 g.取締役会の運営に係る社内体制の再構築
   取締役会を実効的に機能させるため、2021 年5月末までに、取締役会事務局を
  複数の部門(現時点では、経営企画部と法務室を想定しています。)に属するメン
  バーによって構成するとともに、事務局の役割を見直してまいります。
   これにより、取締役会の運営に係る社内体制を再構築し、取締役会をより実効的
  に機能させるようにします。


(6) 社外役員(諮問委員会も含む)による監督・監査強化
 a.社外役員による重要会議の資料等へのアクセス体制の構築
   「1.(5) 取締役会による監督強化・ハンズオン」の「d.取締役による重要
  会議の資料等へのアクセス体制の構築」の項目に記載の内容をご参照願います。


 b.社外役員と内部監査室との連携強化
   社外役員連絡会(社外役員が社内の情報を共有するために開催される会合にな
  ります。同会議については、2021 年5月末までに会議体運営規程に記載する予定
  です。)を設置したうえで、社外役員連絡会において、社外役員と内部監査室とで
  会話する機会を設け、社外役員が内部監査室から直接情報を取得することで、社外




                    17
    役員による経営監視体制を強化してまいります。具体的な手法は検討中であり、開
    催スケジュールと併せて 2021 年5月中に決定します。


 c.役員間の情報共有の充実
     役員間の情報共有の充実化を図るために、取締役会及び社外役員連絡会におい
    て、社外役員からの要望事項や確認事項が出た場合は、取締役会でその内容を共有
    し、かかる事項を担当する執行役員に対して、管掌取締役からその対応と確認の結
    果報告を指示すると共に、要望事項や確認事項にもれなく対応したか否かの確認
    も含むフォローアップを取締役会が実施し、取締役会がその結果を社外役員連絡
    会に共有することで、社外役員からの要望事項や確認事項に対するフィードバッ
    クを行ってまいります。
     これにより役員間の情報共有の充実化を図ることで、社外役員による監督・監査
    強化を図ってまいります。


 d.社外役員による監督・監査強化のための取締役会の運営方法の見直し
     「1.(5) 取締役会による監督強化・ハンズオン」の「e.取締役会の運営方
    法の見直し」の項目に記載の内容をご参照願います。


 e.株主との対話
     社外取締役が株主の意思を把握し、これを監督強化に役立てる観点から、他社に
    おける株主との対話の手法における取組等を踏まえ、弁護士を始めとした外部専
    門家のアドバイスを受けながら、株主が社外取締役と対話する手法について、2021
    年5月末までに検討してまいります。


(7) コンプライアンスに関する資質・能力を有する取締役候補者及び執行役員の選
任
 a.取締役候補者及び執行役員の選任基準の見直し
     コンプライアンスに関する資質・能力を有する取締役候補者及び執行役員を選
    任するため、取締役会において、外部専門家(弁護士等)の支援を受けながら、コ
    ンプライアンス意識、会計リテラシーの観点、さらには任期にも考慮して、コーポ
    レートガバナンス・ガイドラインに規定された、取締役(社外取締役を含む)候補
    者及び執行役員に係る選任基準を見直します。


2.リスク管理体制の強化




                     18
【継続的強化策】
(1) リスクオーナーとしての第1ラインの自覚の醸成・第1ラインへの牽制支援を
  担う第2ラインとしての意識改革
 a.第1ラインの自覚の醸成及び第2ラインとしての意識改革
   「1.(2) 組織体制の在り方について抜本的な見直しを行う」の項目の内容を
  ご参照願います。


(2)リスク管理委員会による網羅的かつ主体的マネジメント能力の強化
 a.不正リスクに対する組織体制及び運用方法の設計
   「1.(2) 組織体制の在り方について抜本的な見直しを行う」の項目の内容を
  ご参照願います。


 b.リスク調査シートによるリスク管理強化
   リスク管理室は、不正を未然に防止するための全社横断的なリスク管理の取組
  の一環として、各部門の業務におけるオペレーショナルリスク及び不正リスクを
  洗い出すために、2020 年5月 27 日に各部門にリスク調査シートを配布し、それら
  のリスクに対する認識・取組状況を確認しました。リスク管理室は、上記リスク調
  査シートを基に各部門の業務におけるリスク管理活動を検証し、客観的な視点か
  ら評価を行った上でリスク管理委員会に報告しております。リスク管理室は、評価
  結果に基づき、各部門に対し、必要な指導をしております。
   なお、リスク管理室において、2021 年6月末までに、昨年度の調査の効果等を
  検証した上で、今年度の調査の実施要領を決定し、リスク調査シートを用いた取組
  を継続してまいります。


 c.リスク管理委員会へのリスク情報の集約
   リスク情報については、リスクが発生する部門(リスク発生部門)が部門限りで
  対応方針を検討するのではなく、全社レベルでリスク情報の把握及び対応方針の
  検討を行う必要があることから、全てのリスク情報がリスク管理責任を有する
  CRO/リスク管理委員会に集約される体制の構築を図ります。
   具体的には、後掲の図のとおり、①リスク発生部門においてリスクが顕在化した
  場合、リスク発生部門がリスク管理分科会(リスクごとにリスク管理委員会から一
  部のリスク管理を委任される会議体で、副本部長以上の役職者が管掌として配置
  され、リスク管理室及び各リスクの関連部署の従業員で構成される会議体)又は各
  ホットライン・窓口等にこれを報告し、②各ホットライン・窓口等は報告された内
  容をリスク管理分科会に報告し、③リスク管理分科会は報告された内容を CRO/リ




                    19
スク管理委員会に報告する体制をリスク管理委員会が責任者となって構築するこ
とにより、リスク情報の集約を図ります。
 また、
   「1.(4)e.ボトムアップでの課題認識及び課題解決」「2.(2)e.内
                              、
部統制強化協議会との連携」に記載の取組も実施することで、顕在化したリスクの
みではなく、これらにつながる可能性が高いと考えられる状況に関する情報もリ
スク管理委員会が把握できるようにします。
 リスク管理委員会はかかる体制の構築に関し、具体的には以下の対応を実施し
ます。
 ・ リスク管理委員会は、不正や事故の発生又はこれらにつながる可能性が高い
  と考えられる状況といった、経営陣に迅速に報告すべきリスクの定義と、顕
  在化したリスクをリスク発生部門が報告すべき組織(報告先。各ホットライ
  ン・窓口等/リスク管理分科会等)を決定します。リスク管理室は、その決定
  に基づいて、リスクの報告体制について規定したマニュアルを起案し、2021
  年第2四半期中にリスク管理委員会の承認を得ることといたします。また、
  リスク管理委員会は少なくとも年1回の頻度で、リスクの定義を含めた当該
  マニュアルの見直しを実施します。
 ・ リスク管理委員会は、上記マニュアルに基づいてリスク発生部門から直接報
  告され、またはリスク発生部門から各ホットライン・窓口等を経由して報告
  されるリスクのリスク管理分科会での対応(緊急性リスク/通常リスク別の
  対応等)方針を決定し、リスク管理室は、その決定に基づいて、リスクの対
  応方針について規定したマニュアルを起案し、2022 年3月期第2四半期中に
  リスク管理委員会の承認を得ることといたします。
 ・ リスク管理委員会に、管掌取締役(CRO)に加え、他の取締役クラスも委員と
  して出席する体制とし、リスクへの対策の検討又は指示が迅速に行える体制
  を整備しました。




                20
                             2.(2)e リスク情報の共有


                                             内部統制
                   リスク管理委員会
          委員                                 強化協議会
1.(4) e
  課                                    2.(2)c
  題                リスク管理分科会              顕
  の                                      在
  把                                      化
  握                                      リ
                    各ホットライン・窓口等
                                         ス
                                         ク
          社員
                                         の
                    リスク発生部門              把
                                         握



    d.顕在化したリスクの社内共有
          不正を未然に防止しようとするリスク管理意識の向上を図るため、リスク管理
      室において、2022 年3月期第3四半期以降、
                            「2.(2)c.リスク管理委員会への
      リスク情報の集約」に記載の取組によりリスク管理委員会に集約された内容を、四
      半期毎に、メルマガでの配信や社内イントラネット・ポータルサイトへの掲示等の
      全役職員が確認できる仕組みを利用して社内に共有してまいります。これにより、
      リスクを意識する機会が増え、役職員一人ひとりのリスク管理意識の向上につな
      がると考えております。


    e.内部統制強化協議会との連携
          内部統制の強化活動及びその継続的なモニタリング活動の過程において把握さ
      れたリスク情報についても、リスク管理委員会が適切に把握したうえで、リスク管
      理活動を行う必要があると考えております。このため、リスク管理委員会は、内部
      統制強化協議会と連携してリスク管理活動を実施してまいります。具体的には、内
      部統制強化協議会の委員とリスク管理委員会の委員を一部重複させる、リスク情
      報や内部統制の整備状況などを相互に報告する仕組みをつくること(具体的には、
      2021 年7月までに検討する予定です。)により、リスク情報や内部統制の整備状況
      などを相互に共有してまいります。これにより、リスク管理委員会においては内部
      統制強化協議会の内部統制の整備状況を踏まえたリスク管理活動を行うことがで
      きると考えております。




                        21
  (3) リスク管理室の体制の強化
   a.専任のリスク管理室長の任命
     リスクマネジメント体制の更なる強化を図るため、これまで兼任であったリス
    ク管理室長について、新たに専任のリスク管理室長(主な経歴;法務部門 15 年、
    営業管理部門4年)を任命しました。


  (4) リスク管理委員会及びコンプライアンス委員会等への外部有識者の参画
   a.リスク管理委員会及びコンプライアンス委員会等への外部有識者の参画
     リスク管理体制の強化について外部からの目線、専門家の目線を取り入れるた
    め、リスク管理委員会及びコンプライアンス委員会等の活動につき、外部有識者と
    の間でアドバイザリー契約を 2020 年 12 月に締結して外部有識者から適宜助言・
    支援を受けることのできる体制を整備しました。これにより、リスク管理体制に外
    部からの目線、専門家の目線を取り入れることができ、網羅的なリスク管理体制の
    構築に資すると考えております。


【追加施策】
  (5) 有事対応への備え(クライシスマネジメント)
   a.有事対応マニュアルの整備
     リスク情報の集約及びリスクの予防のみならず、不祥事が発覚した場合の有事
    対応方針も予め定めておくことが必要であることから、リスク管理室において、弁
    護士等の外部専門家の支援を受けながら、不祥事が発覚した場合の対応要領を定
    める有事対応マニュアルを 2021 年7月末までに整備し、①調査委員会(第三者委
    員会を含みます。)の設置基準、②調査結果等に関する情報開示の基準、③再発防
    止策の策定・実行及びその定期的な検証の実施、④社外役員に対する適時の正確か
    つ十分な情報提供について、規定します。なお、同有事対応マニュアルには、有事
    対応後の関係役員の処分を実施する場合の処分決定のプロセスも規定することと
    し、役員の不祥事予防に対する意識を向上させることといたします。


 3.業務執行(第1ライン・第 1.5 ライン、第2ライン)に係る体制及び社内体制の強化


【継続的強化策】
  (1)第1ライン及び第 1.5 ラインにおける営業部門に対する牽制の強化


   a.営業部門と技術部門及び購買部との間の情報の共有化
     技術部門及び購買部から営業部門への適切な牽制を担保するため、営業部門か
    ら技術部門及び購買部に対して適切に情報提供がなされる体制を構築してまいり



                      22
  ます。具体的には、2022 年3月期第1四半期より、少なくとも四半期に1度の頻
  度で、これらの部門間の連携会議を実施することにより、営業部門から技術部門及
  び購買部に対して案件情報や営業手法の共有を図り、技術部門及び購買部からの
  営業部門への適切な牽制を担保してまいります。なお、営業手法の共有化について
  は、業務統制本部(より現場に近い立場(第 1.5 ライン)から業務統制を行う部署
  として今年度新設された部署であり、営業統轄室、業務管理部(旧営業管理室)、
  購買部、業務企画室から構成されています。詳細は「1.(2)組織体制の在り方に
  ついて抜本的な見直しを行う」の「a.3ラインに係る組織体制の見直し」の項目
  に記載の内容をご参照願います。)直属の業務企画室において、営業部門の取引形
  態別の営業手法をわかりやすい形で文書化し、社内サイトへの公開等を 2021 年6
  月以降順次実施したうえで、営業手法を定期的に見直し、変更があった際には適宜
  文書の改訂を実施してまいります。


 b.販売及び購買プロセスに関する規程の見直し
   営業部門内の適切な牽制、並びに技術部門及び購買部から営業部門への適切な
  牽制の体制を構築するため、業務統制本部直属の業務企画室において、2022 年3
  月期第2四半期までに販売及び購買プロセスについて、外部有識者の意見や内部
  監査室の指摘事項も踏まえた上で、販売及び購買プロセスの中で確認すべきチェ
  ック項目の網羅性、一連の業務手続における前後の業務ステップとの整合性、内部
  牽制上の観点から、これに関する規程の十分性を改めて確認したうえで、必要に応
  じ規程の改訂を行います(前述の1(2)d.では、規程類の改訂ではなく、業務
  ガイドラインやチェックリスト等の文書化を行います。。かかる規程の確認及び
                           )
  改訂により、営業部門内の適切な牽制、並びに技術部門及び購買部から営業部門へ
  の適切な牽制の体制を構築してまいります。
   なお、これらの規程の確認及び改訂を行った際には、業務統制本部長より内部統
  制強化協議会に対し速やかに確認及び改訂の内容(改訂時には改訂の理由を含み
  ます。
    )の報告をいたします。


(2) 第2ラインにおける管理部門間の連携強化及びチェック・フォローアップ体制の
  整備・強化による健全な牽制・支援体制
 a.管理部門間の意見交換の場の設定
   管理部門間の連携を強化して第1ラインに対する牽制・支援体制を強化するた
  め、2021 年6月以降、管理部門の各本部長が参加する意見交換の場(少なくとも
  2か月に1回以上開催することを想定しております。)を設けることで、各管理
  部門で顕出された第1ライン及び第2ラインの問題事象の共有、業務改善事項の
  意見出し、当該部門から他部門への依頼の実施を議論し、各部門間の連携を図っ



                   23
  てまいります。これにより、管理部門間の連携を強化して第1ラインに対する牽
  制・支援体制を強化できると考えております。また、意見交換の状況について
  は、2ヶ月に1回、管理部門の各本部長が内部統制強化協議会に報告し、内部統
  制の整備にも役立てる予定です。


 b.財務経理部によるチェック体制の整備
   財務経理部においても会計不正の有無をチェックするため、販売先及び仕入先
  を対象とした債権債務の残高確認及び取引の相互確認を実施しておりますが、そ
  の範囲を拡大するとともに、案件名等の認識差異があった場合は、財務経理部が
  注文書原本を確認して実在する取引であるかを確認して営業部門を牽制します。
   これらの施策の具体的な方法について 2022 年3月期第2四半期までに検討し
  てまいります。


(3) 原価管理体制の強化(予算管理ルールの再考等)
 a.財務経理部による案件単位での検証
   案件単位での原価状況によっては、それが不正に気付く端緒となり得ることか
  ら、財務経理部にて、一定金額以上の案件について、案件単位での原価状況の妥当
  性の検証を行ってまいります。その結果、たとえば粗利率に鑑みて不正の存在が疑
  われる場合、営業部門に対して問合せを行う、技術部門にて評価を行う等といった
  方法によって、不正の顕出をすることを予定しております。
   これらの施策の具体的な方法について2022年3月期第2四半期までに検討して
  まいります。


 b.原価付替防止のための原価管理策の導入
   原価付替をはじめとする不正の予防のためには原価管理策自体も見直す必要が
  あることから、業務統制本部直属の業務企画室にて、原価付替防止を目的とした実
  行可能な原価管理策として、案件単位での予算管理や原価管理、標準原価の設定な
  どの今後の検討のステップを2021年5月末までを目途に検討してまいります。検
  討に際しては、システム面の刷新・改善等も考慮いたします。


 c.追加原価の申請ルールの再考
   原価付替を予防するために、業務統制本部直属の業務企画室にて、2021年6月末
   までに、追加原価に関連する職務権限の金額範囲等を見直し、実態に即した追加
   原価申請ルールを再考することで、追加原価に対する過度のプレッシャーを排
   除します。これにより原価付替の動機を減らすことができるものと考えており
   ます。



                    24
   d.取引の妥当性について審査する仕組みの導入
     取引の妥当性について審査する仕組みを構築することにより取引を利用した不
    正を防止するため、新規取引先(仕入先及び売上先のいずれも含み、売上先がエン
    ドユーザーに該当する場合も含みます。
                     )と取引を行う場合には、営業部門及び業
    務統制本部にて、顧客登録時、案件登録時、見積承認時に商流等を審査しておりま
    す。また、既存取引先(仕入先及び売上先のいずれも含み、売上先がエンドユーザ
    ーに該当する場合も含みます。
                 )であっても新たに取引を行う場合には、営業部門
    及び業務統制本部にて、案件登録時、見積承認時に商流等を審査しております。そ
    の上で、かかる審査において取引の妥当性について疑義が生じた場合には、取引の
    実施を取りやめることにしております。今後、業務効率性も鑑み、審査項目の改訂
    を2021年6月以降検討してまいります。


 4.監査体制の抜本的な見直し


【継続的強化策】
(1) 内部監査室の体制強化・人員構成の変更・権限強化
   a.内部監査室の人員構成の変更、資格の推奨及び取得サポートの導入
     内部監査機能の強化のため、内部監査室の人員を前年度の8名(全て専任)から、
    2021年4月1日付人事異動にて3名増員し、 (全て専任)
                          11名    体制としております。
    また、営業部門の知見のある人員が不足していたことから、増員室員の内2名は営
    業部門経験者を配置しました。
     また、内部監査室メンバーの能力向上のため、内部監査室メンバーに対して、公
    認内部監査人、公認不正検査士等の資格取得を推奨するとともに、資格取得時には
    奨励金を支給し、また、勉強時間確保のための業務面での配慮も実施してまいりま
    す(これらの施策については、2021年6月からの実施を予定しております。)。
     さらに、当資格を有する人材の採用活動も実施し、質・量ともに内部監査のレベ
    ルアップを図ります(採用活動は、2021年6月から開始します。)。
     これらの施策により、内部監査室の体制強化を図ってまいります。


   b.内部監査機能の強化
     内部監査機能を強化するため、以下の取組を実施してまいります。


    ・   営業部門に対する内部監査において、原価付替等の不正の検知にとどまらず、
        不正を生み出す可能性のある制度・ルール・仕組みの改善を指摘できるよう着
        眼点の設定(追加原価申請ルールや案件単位での予実管理方法等、不正の動機



                      25
    や機会の作出に関係し得るルール等を洗い出し、改善の指摘の要否を検討する
    など)を行います。加えて、過去の不正事案を参考にするだけでなく、リスク
    管理委員会におけるリスク評価を参考にしつつ、内部監査室としても内部監査
    実施のためのリスク評価を実施しリスクの大きい取引(例えば、新技術領域案
    件や見積積算時において顧客要件が曖昧な案件)やオペレーション(例えば、
    残業時間が過度に多い部門や退職者が多い部門)を検証し、リスクベースでの
    着眼点の設定を行うことで、制度・ルール・仕組みの問題を検知し、不正や重
    大事故の回避のための指摘を行えるように取り組みます。
    また、営業部門に対する内部監査の実査を行うにあたり、どのような取引を実
    査の対象とするかという抽出の基準を設けた上で、内部監査を実施します(抽
    出基準の例として、原価予算・実績の差異が大きく発生している案件等を考え
    ております。。抽出基準については、2022 年3月期第1四半期中に内部監査室
          )
    内規において明記する予定です。
    以上の、内部監査における取組は 2021 年7月からの開始を見込んでおります。


・    内部監査の6カ月後にフォローアップ内部監査を必ず実施し、指摘事項に対
    する改善策が着実に実行され改善につながっているかを検証し、被内部監査部
    署の取組状況をフォローします(2022 年1月から実施します。。
                                   )


・    内部監査の報告はこれまで半期に 1 回の頻度で業務監査結果を経営委員会と
    取締役会に対して行っておりましたが、今後は前述の新たな着眼点の設定や抽
    出基準の策定も踏まえた上で実施した内部監査の結果(フォローアップ内部監
    査の結果も含みます。)を以下のとおり報告することといたします(2021 年7
    月から実施します。。
             )
      ―月次にて、代表取締役社長及び経営委員会、監査役会に対して報告
      ―四半期毎に、取締役会に対して報告


・    これまで内部監査では組織単位の内部監査を実施しておらず、取引業務の内
    部監査や購買部の内部監査を実施するにとどまっておりました。今後は管理部
    門や技術部門を含む全部門を対象として組織単位の内部監査を実施します(リ
    スクが相対的に高いものから順に、2021 年7月から実施します。。
                                    )


・    内部監査の指摘内容を全社的に理解させ、問題意識を持たせるために、本年
    度から、内部監査室は、内部監査結果を全社に開示する(半期に1回)ととも
    に、年に1回内部監査指摘事例集を作成して全社に展開します。




                   26
   以上の取組の検討・実施に当たっては、内部監査計画の策定段階から、実施結
  果の確認まで、内部監査について豊富な経験・知見を有する者(2021年3月25日
  以降に、内部監査室へのアドバイザーとして、代表取締役社長の直属の顧問とし
  て2名が就任。)が内部監査室とは独立の立場から指導・監督を行ってまいりま
  す。


  以上の取組を実施することで、内部監査機能を強化し、監査体制を抜本的に見直
 してまいります。


c.内部監査に係る研修の実施・参加
  内部監査室メンバーの内部監査に関する知識やスキル向上のため、内外の専門
 家を講師とする研修を四半期に1回実施(2021年4月から開始)することで、内部
 監査を円滑に行えるようにします。また、内部監査室メンバーは、原価付替等不正
 の類型・パターンについての正しい理解を習得できるように、不正事案等に関する
 外部実施の研修に定期的に参加(年1回以上)することとします。当研修には、監
 査役・監査役スタッフも参加するため、参加する研修については監査役・監査役ス
 タッフとも連携し検討します(2021年6月末までに具体的な研修計画を策定いた
 します。)。
  これらの内部監査に係る研修の実施・参加により、内部監査に関する知識を深め、
 内部監査機能を強化してまいります。


d.営業部門全体での不備ゼロ運動の横断的実施とその実施状況のフォロー・検証等
  当社は、営業部門における不備の発生を防止するため、内部監査で指摘された事
 項を営業部門全体で共有し、指摘を受けた営業部門のみに限らず、営業部門全体で
 内部監査にて指摘された内容(特に営業部門に対する指摘)を参考にし、同様の指
 摘事項が発生しないように不備防止に努める不備ゼロ運動を営業部門全体で横断
 的に実施してまいります。また、不備ゼロ運動が適切に実施されるように、管理部
 門は、営業部門に対し、営業部門による改善の支援を行います。そして、内部監査
 室においては、不備ゼロ運動が営業部門において着実に実施されているか、管理部
 門において営業部門への支援を十分に行っているかを確認してまいります。
  これにより、営業部門全体で不備ゼロ運動が適切に実施されるようにし、不備の
 発生を防止してまいります。


e.内部監査への協力義務を社内規程に明記
  内部監査室の権限をより明確にする観点から、内部監査室において、社内規程に、
 被監査部署の内部監査に対する説明義務及び協力義務、並びに、これらに違反した



                  27
     場合に懲戒処分等の対象となることについて規定することを2021年7月末までに
     検討・実施します。


    f.内部監査室の役割の見直し
      全社的な内部統制の強化を図るため、内部監査室は、単に不備の指摘だけでなく、
     営業部門や管理部門に対し、不備や不正、事故につながる制度・ルール・仕組み自
     体の問題を指摘し改善を求め、全社の内部統制のレベルアップにつなげていくと
     いう役割を担うということを2021年7月末までに内部監査規程において明確にし
     ます。また、内部監査室員に対する人事考課においては、単なる不備の指摘を行っ
     たことに加えて、こうした制度・ルール・仕組みに関する指摘を行ったことも評価
     することとします(2022年3月期上期の目標設定から実施してまいります。)。
      これにより、内部統制に関する制度・ルール・仕組みの改善が図られ、全社的な
     内部統制の強化につながるものと考えております。


 【追加施策】
 (2) 内部監査室のキャリアパス化(部署としての地位・役割向上)
    a.内部監査室のキャリアパス化
      内部監査の重要性に鑑み、内部監査室の地位、役割の向上を目的として、幹部、
     経営陣への昇進に当たっての評価項目の見直し(内部監査やモニタリング部門の
     経験有無を評価項目とする等)を実施します。また、全社的な視点で俯瞰する能力
     を高めるために、幹部や経営陣に昇格することを期待される人材のキャリアパス
     として、内部監査室への配置を積極的に進めます。
      これらの施策については、人事部において2021年9月までに具体的な方針の策
     定を行い、2022年3月期下期に人事部が経営委員会に対して策定した方針を報告
     します。そして、当該方針の内容を2022年4月1日付の人事異動において反映いた
     します。
      これにより、内部監査室の地位・役割を向上させてまいります。


(3) J-SOX 業務の抜本的見直し
    a.J-SOX 統制文書の見直し
      J-SOX 業務の抜本的見直しを図るために、業務統制本部直属の業務企画室が、J-
     SOX 統制文書について、特にリスク及びコントロールの観点から、2022 年3月期第
     2四半期迄を目途に見直しを実施します。なお、リスク管理委員会にリスク管理委
     員会の分科会及び内部統制強化協議会から集約・共有された J-SOX に関連するリ
     スク情報(かかるリスク情報の集約・共有の体制については、
                                「2.(2) リスク管
     理委員会による網羅的かつ主体的マネジメント能力の強化」の「c.リスク管理委



                       28
 員会へのリスク情報の集約」の項目に記載の内容をご参照願います。
                               )は、リスク
 管理委員会が業務統制本部に対して即時共有し、業務企画室が J-SOX 統制文書へ
 の反映を行います。
  これにより、J-SOX 業務の抜本的な見直しを図ってまいります。


b.J-SOX 評価の見直し
  業務統制本部直属の業務企画室において、内部監査や調査(詳細は「8.(2)不
 正等(会計不正に限らない)の有無に係る、内部監査室による内部監査とは別個の
 定期的な調査の実施」の項目に記載の内容をご参照願います。
                            )といった活動で発
 見した不備や指摘事項について、2021 年8月を目途に対応方針を検討いたします。
 さらに、対応方針を受けての J-SOX 統制文書への反映を、業務企画室が主体となり
 2021 年9月頃を目途に実施いたします。また、内部監査室は、2022 年3月期 J-SOX
 評価において統計的なサンプリング手法を含む評価手続きの見直しを行います。
 加えて、内部監査について豊富な経験・知見を有する者が内部監査室とは独立の立
 場からの指導・監督(詳細は「4.(1) 内部監査室の体制強化・人員構成の変更・
 権限強化」 「b. 内部監査機能の強化」
      の              の項目に記載の内容をご参照願います。)
 をすることで、内部監査室が、発見した不備を漏れなく J-SOX 評価に反映し、ま
 た、取締役、監査役及び会計監査人に遅滞なく報告を行っているかをモニタリング
 する仕組みを整備します。


c.J-SOX の管理部門の明確化
  確実な J-SOX の運用を行うため、業務統制本部直属の業務企画室において、J-
 SOX 統制文書を一元的に管理し、統制文書の記載マニュアル等の作成を行います。
 また、内部監査室にて J-SOX 評価を行い、業務統制本部直属の営業統轄室におい
 て、J-SOX 評価結果の各部門へのフォローを行う体制を 2021 年4月1日付機構改
 革(取締役会及び経営委員会にて決定)において整備いたしました。なお、営業統
 轄室がフォロー活動を通して得た情報は、そのレポートラインである業務統制本
 部長に対して報告され、同人を通じて内部統制強化協議会に対して共有をいたし
 ます。
  このように J-SOX の管理部門を明確にすることで、確実に J-SOX を運用してま
 いります。


d.J-SOX に係る研修等の実施
  研修等に係る主管部門である人事部と業務統制本部直属の業務企画室が連携し、
 J-SOX に係る認識及び理解を促進するため、全従業員に対して e ラーニング等を用




                    29
  いた研修を年に1回実施いたします。これにより、全従業員の J-SOX に係る認識及
  び理解を深め、J-SOX 業務の抜本的な見直しにつなげてまいります。


(4) 監査役の体制強化
 a.取締役との定期的な意見交換
   従来、常勤監査役は、代表取締役社長執行役員及び社外取締役との間で意見交換
  を年2回実施しておりましたが、監査役会の情報収集体制を強化するために、常勤
  監査役は、代表取締役社長執行役員と引き続き年2回、社外取締役と年2回、及び
  各社内取締役・執行役員と(ローテーションを組んだ上で順に)月1回、経営ガバ
  ナンス状況、経営進捗状況、コンプライアンス管理状況等に関して意見交換を行う
  こととします。また、意見交換に当たっては、その内容を記録に残し、次回の監査
  役会において、常勤監査役から社外監査役に対して共有いたします。
   これにより監査役会としての情報収集体制を強化することで、監査体制の強化
  を図ってまいります。
   なお、この意見交換は 2021 年6月から開始いたします。


 b.内部監査室との定期的な意見交換
   監査役会の情報収集体制を強化するために、内部監査室による内部監査結果の
  報告とは別に、常勤監査役において、毎月1回内部監査室との間で、内部監査の状
  況等(特に内部監査室が内部監査を行うに当たっての方針)について意見交換を行
  う意見交換会を実施することとします(従来、かかる意見交換会は実施しておりま
  せんでした。。また、当意見交換会には、必要に応じて社外監査役も参加すること
        )
  とします。
   これにより、監査役会としての情報収集体制を強化することで、監査体制の強化
  を図ってまいります。
   なお、この意見交換会は、2021 年5月から開始いたします。


 c.不正事案等に係る研修への参加
   監査役及び監査役付スタッフは、不正事案等に関する外部実施の研修に、年1回
  以上定期的に参加することとします。当研修には、内部監査室メンバーも参加する
  ため、参加する研修については内部監査室とも連携し検討します(2021 年6月末
  までに具体的な研修計画を策定いたします。「4.(1) 内部監査室の体制強化・
  人員構成の変更・権限強化」の「c.内部監査に係る研修の実施・参加」もご参照
  願います。。
       )




                    30
   d. 監査役に会計リテラシーが高い者を起用
     次回開催予定の定時株主総会において、公認会計士資格を有する者を監査役候
    補者とする監査役選任議案を付議します。
     これにより、更なる監査体制の強化を図ってまいります。


 (5) 内部監査室と会計監査人の連携強化
   a.内部監査室と会計監査人との連携強化
     従前、内部監査室と会計監査人との間では、四半期に1回、会計監査人が、会計
    監査人の監査計画やその着眼点の共有、監査中の気づき事項の共有、監査終了後の
    監査報告などを行うための場が設けられていましたが、内部監査室と会計監査人
    による監査体制を強化するために、今後は、会計監査人からの報告のみを主体とす
    る場にするのではなく、内部監査室が、会計監査人に対して、内部監査室における
    内部監査計画及び内部監査の実施状況についても説明をし、両者の間で意見交換
    を実施することとします(2022 年3月期第2四半期監査完了後の意見交換から実
    施します。。
         )
     これにより、内部監査室と会計監査人との連携を強化することで、内部監査室と
    会計監査人による監査体制の強化を図ってまいります。


 5.従業員の声を集める仕組み


【継続的強化策】
 (1) 内部通報制度に対する信頼の醸成
   a.内部通報規程の整備及び内部通報制度の周知・教育活動
     従業員の内部通報制度に対する信頼を醸成するため、以下の施策を実施いたし
    ます。
     まず、従業員が安心して内部通報制度を利用できるよう、調査協力者も含めた関
    係者の守秘義務及び通報者の探索の禁止並びに前記の内容に違反した場合には懲
    戒処分の対象となり得る旨を内部通報規程に規定します。かかる規程の変更は、コ
    ンプライアンス室が法務室の支援の下実施します。また、かかる規程の変更により
    通報者の秘密保護の徹底が図られることを社内 WEB ポータルから全従業員に向け
    て周知します(周知は 2021 年5月末~6月初旬を予定しております。。
                                       )
     次に、コンプライアンス室において、①四半期に1回各部門で開催される「事例
    研究会」
       (詳細は「7.(1) 会計リテラシーの向上・会計知識教育」の「b. 自社
    及び他社の不正事例の事例研究会」の項目に記載の内容をご参照願います。)の場
    を利用した内部通報制度についての教育・啓蒙活動、②社内掲示板における内部通
    報制度についての掲示、さらには③年4回(四半期に1回)の全社会議での内部通



                       31
   報制度についての講話活動を実施し、従業員に対し、内部通報制度の目的・必要性
   及び上記内部通報規程の変更に関する教育・啓蒙を実施してまいります。
    これらの施策により、従業員に当社の内部通報制度を正しく理解させ、安心して
   利用できるものであると認識させることで、従業員の内部通報制度に対する信頼
   が醸成されるものと考えております。


 【追加施策】
 (2) 第三者を窓口とした目安箱
   a.第三者を窓口とした目安箱
    再発防止策の運用に対する従業員からの率直な意見・評価を求めるべく、コンプ
   ライアンス室が主管となり、2021 年8月~9月初旬を目途として、 (第三者)
                                    外部
   の弁護士等を窓口とする目安箱を設置します。目安箱は、社内イントラ上に開設さ
   れる投稿フォームから意見を投稿させる形式をとります。また、窓口である弁護士
   等は、目安箱に寄せられた意見・評価を秘匿性に配慮しつつ集約し、その結果をコ
   ンプライアンス室へ四半期に1回報告し、コンプライアンス室が内部統制強化協
   議会へ四半期に1回報告することにします。なお緊急性の高い内容や、内部通報に
   近い内容については四半期に1回に限らず、窓口である弁護士等からコンプライ
   アンス室が通知を受けて対応します。内部統制強化協議会では、目安箱に寄せられ
   た意見・評価の集約結果を吟味して具体的な改善施策に結びつけるとともに、目安
   箱に寄せられた意見・評価の集約結果及びかかる結果への対応状況を WEB ポータ
   ルに掲示し、随時更新してまいります。


 6.組織文化の改革・形成


【継続的強化策】
 (1) コンプライアンスの強化を目的とした人事制度改革
   a.営業個人インセンティブルールの廃止
    当社では、2019 年3月期より新人事制度に移行し、営業職個人に対する受注と
   粗利の目標達成度合いに応じたインセンティブ制度(個人インセンティブ制度)に
   ついて、インセンティブの割合を見直し、報酬の平準化を図ってまいりました。そ
   の後、当社は、2022 年3月期の中期事業計画の策定に向けた会議(2020 年 11 月~
   2021 年3月に開催され、社外取締役を含む取締役、執行役員、本部長以上の役職
   者及び代表取締役社長が指名した翌年の本部長候補者が参加した会議となりま
   す。)において上記の新人事制度についての評価を行い、個人インセンティブ制度
   が営業職による不正を惹起する原因となっているおそれがあることを踏まえ、




                      32
 2021 年4月から個人インセンティブ制度の廃止を実施いたしました。また、併せ
 て、同月から、賞与の算定における業績配分比率の低減も実施いたしました。
  当社では、今後も、1年に一度の頻度で、人事部において、人事制度の継続的な
 検証・改訂を行ってまいります。これにより、コンプライアンス重視の企業文化を
 浸透させることができるものと考えております。


b.コンプライアンスの状況を盛り込んだ人事評価制度及びコンプライアンス意識
の浸透度の確認
  人事部は、従業員のコンプライアンス意識の醸成を目的として、2022 年3月期
 から、①人事評価制度において、従業員がコンプライアンスに係る目標を設定する
 ことを必須としたうえで、②人事評価の評価項目として、上記目標の達成度につい
 ての項目を設け、かつ、当該項目の割合が評価全体の約 20%となるよう変更いた
 しました。
  また、年2回実施する人事評価面談に際して、コンプライアンス室が提供する自
 己点検を目的としたコンプライアンスチェックシートも活用しつつ、上司と部下
 が対話することを通して、従業員のコンプライアンス意識の浸透度の確認を行い
 ます。


(2) 会社としての一体感に関連する企業文化改革
a.企業文化改革委員会の発足
  企業風土の改善に取り組むことを目的として、2020 年4月 22 日に、管理本部担
 当取締役が委員長となり、全本部及び主要子会社へ出向している従業員の立候補
 者 37 名及び事務局4名をメンバーとし、
                     社外取締役4名をアドバイザーとする「ビ
 ジョン浸透委員会」を発足させました。
  当社は、従前から、
          「ICT の利活用を通じて、社会変革へ貢献する。」という企業
 理念を掲げるとともに、
           「ADMIRED COMPANY-すべてのステークホルダーから信頼さ
 れ支持される企業へ-」という経営ビジョンを掲げておりましたが、
                               「ビジョン浸透
 委員会」は、「ネットワングループの社員としてどう行動すべきか」をテーマとし
 て、上記の企業理念及び経営ビジョンに基づく、新たな行動指針(
                              「Netone グルー
 プ行動指針~社員一人ひとりが行うべき行動~」
                      )を策定し、全従業員(主要子会
 社に出向している従業員を含みます。)に対し、かかる行動指針を自身の行動宣言
 へ反映させてまいりました。
  そして、当社は、今般、
            「ビジョン浸透委員会」を発展させた「企業文化改革委
 員会」を新たに設置しました。
  「企業文化改革委員会」 外部調査委員会から企業文化の改革に関する提言が
             は、
 なされたことを踏まえ、管理本部長執行役員が委員長となって、ビジョン浸透委員



                   33
会を改組する形で発足された組織であり、昨年度からのビジョン浸透委員会のメ
ンバーに加え、人事部等から新たな追加メンバーを選出しております。その結果、
現在、
  「企業文化改革委員会」のメンバーは、管理本部長執行役員、全本部及び主
要子会社の従業員 42 名並びに事務局2名により構成されております。また、同委
員会は、社外取締役2名をアドバイザーとしております。
 「企業文化改革委員会」は、6.(2)「b.経営ビジョン・行動指針の見直し」
のとおり、改めて当社の経営ビジョン・行動指針を見直した上で、6.(2)「c.
ビジョンブック作成・電子掲示板での特設サイト設置」から「d.ビジョンウィー
クの企画、実行計画の策定」までの施策を実施することで、企業文化の改革を更に
推進し、内部統制強化協議会が実施状況の報告を受ける形で当該活動をモニタリ
ングしてまいります。


b.経営ビジョン・行動指針の見直し
 前記6.(2)「a.企業文化改革委員会の発足」のとおり、当社は従前、新た
な行動指針を策定してまいりました。今後、企業文化改革委員会においては、外
部専門家(企業文化改革及び労務人事に係るコンサルティング会社等)の助言や
指導などを求めながら、2021 年 12 月までに、①経営ビジョンを、全役職員が共
有するにふさわしい内容に改訂するとともに、②経営ビジョンに沿うように、行
動指針の更なる見直しも行います。


c.ビジョンブック作成・電子掲示板での特設サイト設置
 ビジョン浸透委員会では、前記6.(2) 「a.企業文化改革委員会の発足」の
とおり新たな行動指針の策定を行ったうえで、かかる行動指針を反映した電子版
ビジョンブックを作成して社内電子掲示板に掲示しました。今後は、企業文化改革
委員会において、経営ビジョン及び行動指針の見直しを行った後、これを踏まえた
電子版ビジョンブックの改訂及び社内電子掲示板への掲示を 2022 年1月中に行い、
経営ビジョンや行動指針の従業員への浸透を高めてまいります。また、かかる掲示
に当たっては、画面のトップページに特設サイトを設けて電子掲示板上での視認
性を改善します。


d.ビジョンウィークの企画、実行計画の策定
 企業理念、経営ビジョン及び行動指針に対する理解と浸透を深め、会社としての
一体感をより強化するために、企業文化改革委員会において、年2回、「ビジョン
ウィーク」と称する期間を設定いたします(初回は 2021 年5月に実施しておりま
す。。
  )「ビジョンウィーク」では、代表取締役社長と従業員との公開座談会などの
オンラインイベントを実施します(イベントの様子は録画し、追って社内で配信す



                  34
  る予定です。。
        ) イベントでは、匿名のチャットツールによる参加者からの質問に代
  表取締役社長がリアルタイムで回答することで、普段従業員が企業理念、経営ビジ
  ョン及び行動指針について疑問に感じていることの解決・納得を得ることができ、
  従業員の企業理念、経営ビジョン及び行動指針に対する理解及び浸透が促進され
  ると考えております。


 e.行動指針に基づく行動宣言の策定と浸透
   社内イントラの従業員プロフィール欄に、行動指針を踏まえた従業員個人の4
  つの行動宣言を記載して社内に公開しています。
   また、2021 年6月以降、四半期ごとに行う上司との One on One で、行動指針に
  ついて会話をし、各自の行動宣言の達成度を振り返る機会を設けることなどで、行
  動指針を従業員に浸透させてまいります。
   さらに、自身の行動宣言を他の従業員に共有する全従業員参加のワークショッ
  プを 2021 年5月から7月にかけて 12 回開催いたします。これにより、従業員が他
  者の行動宣言に触れることで、各従業員の行動指針に対する相互理解が促進され、
  組織の一体感につながるものと考えています。


(3) 当事者意識の醸成・他人事文化の打破
  a.人事ローテーションの確立
   (ⅰ) 人事ローテーションの実施
    当社では、業務の属人化や業務のブラックボックス化(業務に関する情報を当
   該案件の担当のみが把握しており、他の者が何も分からない状態)を避けるため、
   2020 年4月1日付の人事異動において特に人材の固定化傾向が強かったマネー
   ジャー職の人事ローテーションを優先的に推進しました。これにより、全社の平
   均ローテーション率が 6.3%であるのに対し、マネージャー職のローテーション
   率は 9.3%となりました。今後も、人材の固定化傾向を踏まえながら、業務経験
   年数が5年以上で一定以上の評価を受けた従業員のローテーションを優先的に
   推進するとともに、特に、お客様を直接担当する営業職については、以下の(ⅱ)
   の①又は②に該当する場合は、必ずローテーションを実施します。


   (ⅱ) 人事ローテーションに関する規程整備
    就業規則に、人事ローテーションについての規定を追加するとともに、人事ロ
   ーテーションのガイドラインを新たに整備しております。
    具体的には、不正の防止を目的とする人事ローテーションと、組織の活性化を
   目的とする人事ローテーションの2つの枠組みで人事ローテーションを実施す
   ることとしております。



                      35
     不正の防止を目的とする人事ローテーションについては、業務の属人化及び
    ブラックボックス化、並びに外部業者との癒着の発生防止を図るために、①5年
    以上同一顧客を担当している営業部の従業員(役職者を除きます。、
                                  ) ②5年以上
    同一市場を担当している営業部の部長・副部長・シニアマネージャー及びマネー
    ジャーを対象としてローテーションを実施いたします。
     また、組織活性化を目的とする人事ローテーションについては、
                                 「キャリアプ
    ラン」
      (従業員が上司及び人事部に対して自らの希望する将来のキャリアの計画
    について宣言する仕組みであり、少なくとも1年に1回以上見直しがなされま
    す。)において人事ローテーションについての希望があった場合や、5年以上同
    一業務を経験している場合等の条件に合致した従業員に対して優先的にローテ
    ーションを実施いたします。


    (ⅲ) 人事ローテーション情報の管理
     不正の防止を目的とする人事ローテーションについては、人事部において、従
    業員が担当する顧客及び市場の情報を年度単位で管理し、(ⅱ)の①又は②のル
    ールに該当する場合に、人事ローテーションを行います。また、組織活性化を目
    的とする人事ローテーションについても、人事部において、従業員の「キャリア
    プラン」や勤続年数等の情報を管理し、人事ローテーションの実施に役立ててお
    ります。


 7.会計リテラシー教育及び過去不祥事からの学び・啓蒙

【追加施策】
 (1) 会計リテラシーの向上・会計知識教育
  a.会計リテラシーの向上・会計知識教育
    全社的に会計リテラシーを向上させるため、人事部がファイナンスサービス部
   と連携して、公認会計士等の会計専門家や他の上場企業において CFO の経験があ
   る者等を講師とした会計リテラシーの向上・会計知識教育のための研修を実施し
   ます。具体的には、全役職員(社外役員を含みます。
                          )を対象にeラーニングによ
   る研修を実施するとともに、本部長、副本部長、部・室長については、集合研修も
   実施します。また、研修の実施後に、理解度チェックを実施することで、その浸透
   度を測定します。そして、その測定の結果については、人事部が経営委員会へ報告
   いたします。
    本研修及び理解度チェックは年2回程度実施します。初回実施は 2022 年3月期
   第2四半期を予定しております。




                     36
    以上の研修・理解度チェックを実施することにより、全役職員の会計リテラシー
   の向上を図ってまいります。


  b.自社及び他社の不正事例の事例研究会
    全社的な会計リテラシーの向上、コンプライアンスに関する企業文化の改革推
   進のため、コンプライアンス室を主管部署として、全従業員を対象に、それぞれが
   所属する各部門において、過去の過ちを繰り返さないこと、コンプライアンス意識
   を醸成することを目的として「不正営業取引、不正会計、ハラスメント」などの事
   例を題材として意見交換を行う「事例研究会」を実施いたします。「事例研究会」
   で取り扱う題材については、コンプライアンス室が、過去の自社及び他社の不正事
   案について具体的な手法の分析及び把握を行ったうえで、その分析結果をもとに、
   外部専門家(公認会計士、弁護士等)、リスク管理室、法務室からの意見も取り入
   れながら、作成いたします。「事例研究会」の開催頻度・回数は、四半期に1回と
   して、1年度内に4回実施いたします(初回実施は 2022 年3月期第1四半期を予
   定しております。。
          )


    また、
      「事例研究会」の実施状況については、それぞれ「事例研究会」を実施し
   た各部門がコンプライアンス室に対してその実施状況を報告することにより、コ
   ンプライアンス室に情報を集約し、これをコンプライアンス室が経営委員会に対
   して報告することで、経営委員会及びコンプライアンス室が「事例研究会」の実施
   状況をモニタリングする体制としております。「事例研究会」の実施及びそのモニ
   タリングは、今後も継続的な活動として取り組んでまいります。
    これにより、全従業員の会計リテラシーの向上を図るとともに、コンプライアン
   スに関する企業文化の改革推進につなげてまいります。


(2) 過去不祥事からの学び・啓蒙
  a.過去不祥事の全従業員に対する周知活動
    二度と不祥事を起こさないために、
                   「事例研究会」「事例研究会」の詳細につい
                         (
   ては、
     「7.(1) 会計リテラシーの向上・会計知識教育」の「b.自社及び他社の
   不正事例の事例研究会」の項目に記載の内容をご参照願います。
                               )において、自社
   における過去の不祥事を題材としたディスカッションを行い、過去の不祥事の具
   体的な手法やその原因を学ぶ機会を設けることで、これらの周知・啓蒙を図ります。
    過去の不祥事を題材とする「事例研究会」については、年2回実施します。2022
   年3月期は、第1四半期と第3四半期の実施を予定しております。
    これにより、全従業員の不正に対する感度を高めるとともに、全従業員の会計リ
   テラシーの向上を図ってまいります。



                    37
(3) 日々の失敗事例(ヒヤリハット)からの学び
   a.失敗事例からの学び
     過去の過ちを二度と繰り返さないため、以下のような社内の業務ルール勉強会、
    ワークショップ、日々の失敗事例(ヒヤリハット)共有を通して、社内の業務ルー
    ル、日々の失敗事例の第1ラインの全従業員への周知を図ります。以下の取組の実
    施状況については、第1ラインから選出した教育担当がコンプライアンス室に対
    して報告し、コンプライアンス室においてその実施状況を確認いたします。以下の
    取組は、2022 年3月期第2四半期からの開始を予定しております。
     ・ 第1ラインから選出した教育担当と業務統制本部による第1ラインの全従業
      員への社内の業務ルール理解のための勉強会と理解度テスト(四半期毎)
     ・ 第1ラインの従業員同士での、顧客に対する提案活動やシステム導入・構築
      作業における失敗事例共有のためのワークショップ(四半期毎)
     ・ 失敗事例を共有するための投稿型の社内Web等のツールによる、第1ラインの
      全従業員同士での日々の失敗事例や障害事例の発信と相互共有(適時)
     以上の取組により、第1ラインの全従業員に対し発生した失敗事例を周知する
    ことで、過去の過ちを二度と繰り返さないようにしてまいります。


 8.モニタリング体制の継続


 【追加施策】
  (1)「内部統制強化協議会」による全社横断的かつ継続的な再発防止策の推進
   a.内部統制強化協議会による再発防止策の推進
     「Ⅰ.再発防止策について」冒頭の内部統制強化協議会の役割、構成に関する記
    載をご参照願います。


 (2) 不正等(会計不正に限らない)の有無に係る、内部監査室による内部監査とは別
    個の定期的な調査の実施
   a.内部監査以外の定期的な調査
     モニタリング体制を強化するために、内部監査室による内部監査とは別に、業務
    統制本部が個別の不正等の有無の調査を定期的に実施し、当該結果をリスク管理
    室に報告します。そのうえで、リスク管理室は、リスク管理委員会に報告し、万一、
    個別の不正等を把握した場合には、リスク管理委員会において追加調査等の然る
    べき対応をとります。なお、具体的な調査の実施方法、実施頻度等については、2021
    年7月末までに決定してまいります。




                     38
Ⅱ 今後の対応について
 今後、以上の再発防止策を速やかに実行することにより、当社グループを再生してまい
ります。
 また、不正事案に関係した役員及び従業員への責任追及並びに懲罰など、皆さまへお知
らせすべきことが生じた場合は、適時、公表いたします。
 株主、投資家の皆さまをはじめ関係者の皆さまには、多大なご迷惑とご心配をおかけし
ましたことを、心よりお詫び申し上げます。今後、皆さまからの信頼回復に努めてまいり
ますので何卒ご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。


                                     以上




                  39